特許第5902719号(P5902719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902719
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】低密度ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20160331BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20160331BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20160331BHJP
【FI】
   C08G18/48 F
   C08G18/76 Z
   C08G101:00
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-553636(P2013-553636)
(86)(22)【出願日】2012年2月13日
(65)【公表番号】特表2014-506615(P2014-506615A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】US2012024865
(87)【国際公開番号】WO2012112445
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】61/442,474
(32)【優先日】2011年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】509079695
【氏名又は名称】ダウ ブラジル スデステ インダストリアル エルティデイエイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】モッタ,ブルーノ シーザー シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ミニカンティ,ヴェンカット エス.
(72)【発明者】
【氏名】ガンボア,ロゲリオ アール.
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−255858(JP,A)
【文献】 特開平07−258373(JP,A)
【文献】 特表2003−533565(JP,A)
【文献】 特表2009−530458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0184878(US,A1)
【文献】 特表2008−539314(JP,A)
【文献】 特開平11−201629(JP,A)
【文献】 特表2009−533489(JP,A)
【文献】 特表2000−517347(JP,A)
【文献】 特開平11−012341(JP,A)
【文献】 特開2015−038218(JP,A)
【文献】 特表2009−541576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応系の反応生成物を含む軟質ポリウレタンフォームであって、前記反応系が、
少なくとも50重量%のイソシアネート成分がメチレンジフェニルジイソシアネート系イソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネート成分
少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールおよび少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールを含むポリオール成分であって、
前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールは1000から2500の当量、からの複合公称官能価を有し、10から20%の百分率でキャップされたポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールであり、前記少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオールは使用されるポリオールの総重量に基づき50から99重量%含まれ、
前記少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオールは1400から2000の当量、から7.2の複合公称官能価を有ポリオキシエチレンの百分率が60から85重量%のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールを含み、前記少なくとも1種の第2のポリオールは使用されるポリオールの総重量に基づき1から30重量%含まれる、ポリオール成分;および、
少なくとも1種の遅延作用ゲル触媒および少なくとも1種の遅延作用発泡触媒を含み、
前記軟質ポリウレタンフォームが、ASTM D3574−01に従って決定された33kg/m未満の密度を有し、
ASTM D−3574−H ボールリバウンドに従って測定された少なくとも45%の弾力性を有する、軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
ASTM D3574−03により決定された13%未満の90%圧縮永久歪みをさらに有する、請求項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
NBR8515:2003に従って決定された、120%を超える破断伸びをさらに有する、請求項1または2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
NBR8515:2003に従って決定された、34kPaを超える引張強度をさらに有する、請求項1からのいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
フォームがkg/m未満の密度変化/高さメートルを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
MDI系イソシアネートが、4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物を重量比98:2から60:40で含む、請求項1からのいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
MDI系イソシアネートが、ポリメリックポリメチレンポリフェニルイソシアネートならびに4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
MDI系イソシアネートが、MDIと、からの平均公称官能価を有する少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールとを反応させることによって得られる、少なくとも1種のイソシアネート基末端プレポリマーを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
第2のポリオールが、ポリブチレンオキシドポリエーテルを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポリウレタンフォーム、より詳細には軟質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームはよく認識された商品である。軟質ポリウレタンフォームは広範囲の用途に使用され、クッション材(マットレス、枕およびシートクッション)から断熱用包装にまで及ぶ。ポリウレタンフォームは、通常、ポリオール成分とイソシアネートとを、発泡剤、触媒および他の添加剤の存在下で反応させることによって調製される。2種の一般に使用されるイソシアネートは、TDI(トルエンジイソシアネート)およびMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)タイプのイソシアネートである。MDI系イソシアネートを使用して作られるフォームは硬化がより速いことが公知であり、したがって、TDI系イソシアネートを使用して作られたフォームより優れた密度分布がもたらされる。より高い処理能力が必要とされる不連続形成工程において、およびフォームが高い(例えば約2メートル以上)の場合、より速い硬化速度が特に有用である。しかし、許容可能な弾力性および圧縮永久歪みを有し、一方、任意の補助発泡剤を使用せずに許容可能な引張強度、破断伸び(elongation to break)および引裂強度を保ち続ける、MDI系イソシアネートを用いた低密度(例えば33kg/m未満)フォームを作ることは困難である。一方が引張強度、引裂強度、破断伸び、他方が弾力性および圧縮永久歪みである機械的特性の間に、通常観察されるトレードオフが存在する。さらに、このような低密度軟質フォームは、フォームのさまざまな高さにおいて一様でない密度分布を有することがある。
【0003】
したがって、許容可能な密度分布および一方が引張強度、引裂強度、破断伸びとし、他方が弾力性および圧縮永久歪みである機械的特性の間の、許容可能なバランスを有する低密度ポリウレタン軟質フォームの必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、許容可能な密度分布および一方が引張強度、引裂強度、破断伸び、他方が弾力性および圧縮永久歪みである機械的特性の間の、許容可能なバランスを有する低密度ポリウレタン軟質フォームを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、反応系の反応生成物を含むポリウレタンフォームを含み、該反応系は、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも50重量%のMDI系イソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネートを含む。該軟質ポリウレタンフォームは、ASTM D3574−01に従って決定された約33kg/m未満の密度、NBR8515:2003に従って決定された約160N/mを超える引裂強度およびASTM D−3574−H ボールリバウンドに従って測定された少なくとも45%の弾力性を有する。密度は、約26、27、28、29、30、31、32、33、34または35kg/m未満であってもよい。引裂強度は、約166、170、173、180、190、200、205、210、212、220、230、240、249、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、368、370または376N/mを超えてもよい。45、弾力性は、少なくとも46、47、49、50、51、52、53、55、56、57、58、60、61、62または65%であってもよい。
【0006】
本発明の実施形態は、反応系の反応生成物であるポリウレタンフォームを含み、該反応系は:
少なくとも50重量%のイソシアネート成分がMDI系イソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネート成分、
約1000から2500の当量、約3から約6の複合公称官能価(combined nominal functionality)を有する、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオール、および
約1400から2000の当量、約2から約7.2の複合公称官能価を有する、少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオール、
を含み、
軟質ポリウレタンフォームは、ASTM D3574−01に従って決定された約33kg/m3未満の密度を有する。
【0007】
実施形態は、NBR8515:2003に従って決定された約160N/mを超える引裂強度およびASTM D−3574−H ボールリバウンド%に従って測定された少なくとも45%の弾力性を有する、上記のフォームを含む。密度は、約26、27、28、29、30、31、32、33、34または35kg/m未満であってもよい。引裂強度は、約166、170、173、180、190、200、205、210、212、220、230、240、249、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、368、370または376N/mを超えてもよい。45、弾力性は、少なくとも46、47、49、50、51、52、53、55、56、57、58、60、61、62または65%であってもよい。
【0008】
実施形態は、ASTM D3574−03により決定された約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13%未満の90%の圧縮永久歪みを有する、上記のフォームを含む。
【0009】
実施形態は、NBR8515:2003に従って決定された約120、125、130、132、140、150、156、160、168、170、180、185、188、190、195、200、205、208または210%を超える破断伸びを有する、上記のフォームを含む。
【0010】
実施形態は、NBR8515:2003に従って決定された約34、35、40、45、50、55、60、70、78、80、85、90、95、97、100、105、109、110、115、120または125kPaを超える引張強度を有する、上記のフォームを含む。
【0011】
実施形態は、約2kg/m3未満の密度/高さメートルを有する、上記のフォームを含む。
【0012】
実施形態は、反応系が、少なくとも1種の遅延作用ゲル触媒および遅延作用発泡触媒をさらに含む、上記のフォームを含む。
【0013】
実施形態は、反応系が、少なくとも1種の遅延作用ゲル触媒および少なくとも1種の遅延作用発泡触媒をさらに含む、上記のフォームを含む。
【0014】
実施形態は、MDI系イソシアネートが、4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物を重量比98:2から60:40で含む、上記のフォームを含む。
【0015】
実施形態は、MDI系イソシアネートが、ポリメリックポリメチレンポリフェニルイソシアネートならびに4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物を含む、上記のフォームを含む。
【0016】
実施形態は、MDI系イソシアネートが、MDIと、約2から約4の平均公称官能価(nominal functionality)を有する少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールとを反応させることによって得られる、少なくとも1種のイソシアネート基末端プレポリマーを含む、上記のフォームを含む。
【0017】
実施形態は第1のポリオールが、約10から20%の百分率でキャップされたポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールを、使用されるポリオールの総重量に基づき50から99重量%含む、上記のフォームを含む。
【0018】
実施形態は第2のポリオールが、ポリオキシエチレンの百分率がおよそ60から85のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンキャップドポリオキシプロピレンを、使用されるポリオールの総重量に基づき1から30重量%含む、上記のフォームを含む。
【0019】
実施形態は、第2のポリオールがポリブチレンオキシドポリエーテルを含む、上記のフォームを含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、軟質フォーム内に狭い密度分布を有し、一方が引張強度、引裂強度、破断伸び(elongation at break)、他方が弾力性および圧縮永久歪みである機械的特性の間の、許容可能なバランスを有する低密度ポリウレタン軟質フォームを提供する。これらの低密度ポリウレタン軟質フォームは、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも種のイソシアネートを反応させることにより作ることができる。実施形態は、MDI系イソシアネートである少なくとも1種のイソシアネートを包含する。実施形態は、少なくとも1種のイソシアネートおよび少なくとも1種の遅延作用触媒の存在下で反応させた少なくとも1種のポリオールを包含することができる。
【0021】
ポリオールは、当分野において周知であり、本明細書に記載のポリオールおよび任意の他の市販のポリオールを含む。ポリオールは一般に、2から8の平均官能化、100から10,000、例えば200から7,000の数平均分子量、20から400mgKOH/g、例えば20から100mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有する。1またはそれ以上のポリオールおよび/または1またはそれ以上のコポリマーポリオールの混合物もまた、本発明の実施形態に従った低密度ポリウレタンフォームの製造に使用できる。
【0022】
代表的ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシ末端アミンおよびポリアミンを含む。これらおよび他の適切なイソシアネート反応物質の例は、例えば、米国特許第4,394,491号により詳細に記載されている。使用することができる代替のポリオールは、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールおよびポリリン酸系ポリオールを含む。
【0023】
実施形態は、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの組み合わせを、2から8の活性水素原子を有する開始剤に加えることによって調製される、ポリエーテルポリオールを包含する。この重合のための触媒は陰イオン性または陽イオン性のいずれであってもよく、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素などの触媒または亜鉛ヘキサシアノコバルトなどの複合シアン化物錯体(double cyanide complex)(DMC)触媒であってもよい。
【0024】
ポリオール製造用の開始剤は、アルキレンオキシドと反応する2から8の官能基を有することができる。適切な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸およびテレフタル酸ならびに多価、特に二価から五価のアルコールまたはジアルキレングリコール、例えばエタンジオール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトー、ソルビトールおよびスクロースまたはこれらのブレンドである。他の開始剤は、第3級アミン、例えばエタノールジアミン、トリエタノールジアミンおよびトルエンジアミンのさまざまな異性体を含有する、直鎖化合物および環状化合物を含む。
【0025】
実施形態は、下記の式により示されるアルキルアミンにより開始される、またはポリオール鎖の一部としてのアルキルアミンを含有するアミン開始ポリオール(amine initiated polyol)を包含することができる。
A−(CH−N(R)−(CH−AH
【0026】
式中、nおよびpは独立して2から6の整数であり、Aは、出現ごとに独立して酸素または水素であり、mは、Aが酸素の場合1に等しく、Aが窒素の場合2に等しい。
【0027】
一実施形態において、少なくとも1種のポリオールは、約1000から2500の当量を有するポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールの少なくとも1種を含む。このようなポリオールは、約3から6の複合公称官能価を有することができる。いくつかの実施形態において、ポリオールは、グリセロールおよびスクロースのブレンドにより開始することができる。ポリオールは、約10から20%の百分率でポリオキシエチレンによりキャップされてもよい。このようなポリオールの例は、SPECFLEX NC630、SPECFLEX NC632、VORALUX HF505およびVORANOL CP6001であり、すべてがThe Dow Chemical Companyから入手可能である。実施形態は、これらのポリオールの異なる実施形態の混合物を使用することを含む。これらのポリオールまたはポリオールの混合物は、それらがブレンド中のポリオールの重量で総量に基づき50から99重量%の比でブレンド中に存在するように、ポリオールのブレンドに含まれ得る。50%および95%の間のすべての個別の値および部分範囲は本明細書に含まれ、開示され、例えば、該ポリオールは、下限50、60、70,または80%から上限60、70、80、85、90、95または99%でブレンド中に存在することができる。
【0028】
ポリオールブレンドはまた、約1400から2000の当量、約2および7.2の間の複合公称官能価およびおよそ60−85のポリオキシエチレン百分率を有する少なくとも1種のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールを含む。このようなポリオールは、The Dow Chemical Companyから入手可能である。実施形態は、これらのポリオールの異なる実施形態の混合物を使用することを含む。これらのポリオールは、それらがブレンド中のポリオールの総重量に基づき0から30重量%の比でブレンド中に存在するように、ポリオールのブレンド中に含まれ得る。0%と30%の間のすべての個別の値および部分範囲は本明細書に含まれ、開示され、例えば、該ポリオールは、下限0、1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、15、17、19または20%から上限5、6、7、8、10、12、15、17、19または20、25または30%でブレンド中に存在することができる。
【0029】
ポリオールブレンドは、開始剤とブチレンオキシドとを、米国特許第5,600,019号に記載の塩基性触媒の存在下で組み合わせることにより作られる、少なくとも1種のポリブチレンオキシドポリエーテルを代替的に含むことができる。ブロックポリマーは、その後、ポリブチレンオキシドとエチレンオキシドとを塩基性触媒の存在下で組み合わせ、エチレンオキシド/ブチレンオキシド・ブロックポリエーテルを形成することによって調製される。別の実施形態において、ポリブチレンオキシドポリエーテルは、ポリエチレンオキシドポリエーテルをまず形成し、その後ポリエチレンオキシドとブチレンオキシドとを塩基性触媒の存在下で組み合わせることによりブロックポリマーを形成することにより調製することができる。ブロックポリマーは、比較的低分子量を有するポリエーテルの形成に有用であるが、約2,000を超える分子量を有するポリエーテルの形成にはある程度のランダム性の導入が望ましいと思われる。例えば、別の実施形態において、ポリブチレンオキシドポリエーテルは、上記のようにポリブチレンオキシドをまず形成し、その後、ポリブチレンオキシドとエチレンオキシドおよびブチレンオキシドの混合供給とを塩基性触媒の存在下で組み合わせることにより調製することができる。
【0030】
ポリブチレンオキシドポリエーテルは、約1から約8の公称官能価を有することができる。ポリブチレンオキシドポリエーテルは、ポリエーテルの調製に有用であることが公知の任意の方法で調製することができるが、ポリブチレンオキシドポリエーテルは、通常、開始剤とアルキレンオキシドとを塩基性触媒の存在下で組み合わせることにより調製される。例えば、メタノールを開始剤として使用して、公称官能価1を有する界面活性剤を調製することができる。スクロースを使用して、公称官能価8程度を有するポリブチレンオキシドポリエーテルを調製することができる。開始剤の混合物もまた使用することができる。
【0031】
追加のポリオールは、2から4の官能価および800から2200の当量を有する、プロピレンオキシドおよび最大20重量%のエチレンオキシドのポリ(プロピレンオキシド)ランダムコポリマーを含んでもよい。
【0032】
追加のポリオールは、500以上の当量を有するポリオールおよび分散ポリマー相を有するポリオールを含有するポリマーポリオールを含んでもよい。分散ポリマー相は、エチレン系不飽和モノマー(そのうちスチレン、アクリロニトリルおよびスチレン−アクリロニトリルコポリマーが特に対象となる)の粒子、ポリ尿素粒子またはポリウレタン粒子であってもよい。分散相は、5から60重量%のコポリマーポリオールを構成することができる。
【0033】
低密度軟質フォームを作るために、1種またはそれ以上のポリオールの混合物を少なくとも1種のイソシアネートと反応させることができる。通常使用されるイソシアネートの量は、65から110のイソシアネート指数を提供するために十分である。別の実施形態において、該指数は70から100であり、さらなる実施形態において、75から90である。
【0034】
少なくとも1種のイソシアネートは、少なくとも1種のMDI系イソシアネートを含むことができる。該少なくとも1種のMDI系イソシアネートは、使用されるイソシアネートの総重量の少なくとも 50、55、60、70、80、90、95、または100重量%を構成することができる。該少なくとも1種のMDI系イソシアネートは、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)および/または少なくとも6重量パーセントのイソシアネート含有量を有するこれらのイソシアネート基末端プレポリマーを含むことができる。MDIは、異性体の4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートを重量比、例えば98:2から60:40、98:2から68:32、95:5から70:30または90:10から70:30で含むことができる。4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートではない場合、イソシアネート混合物のバランスは、2,2’−メチレンジフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネートのカルボジイミドまたはアロファネートまたはウレトンイミン(uretonimine)付加化合物およびこれらの混合物を含むことができる。
【0035】
4,4’−および2,4’−MDI異性体もまた、ポリメリックポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)との混合物に使用することができる。一実施形態において、ポリメリックMDIは、総MDIイソシアネートのうちの40、50、60もしくは70wt%またはそれ以上を含む。特に適切なポリメリックMDI製品は、5から50重量%、10から40重量%または10から30重量%の遊離のMDI含有量を有する。このようなポリメリックMDI製品は、The Dow Chemical Companyから商品名PAPIおよびVORANATEで入手可能である。実施形態は、2から3.3イソシアネート基/モルの平均イソシアネート官能価および120から170または125から135のイソシアネート当量を有するポリメリックMDI製品を含む。そのタイプの適切な市販製品は、PAPI PB−219、PAPI 27、VORANATE M229、VORANATE 220、VORANATE 290、VORANATE M595およびVORANATE M600を含み、これらのすべてはThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0036】
MDIのイソシアネート基末端プレポリマーは、少なくとも1種のイソシアネートと準化学両論的量で存在する少なくとも1種のポリエーテルポリオールとを反応させることによって得ることができ、6、8、10、15、20、25、または28から28、30または31重量パーセントのイソシアネート含有量を有する得られた付加化合物を提供する。
【0037】
このようなイソシアネート基末端プレポリマーの適切な実施形態の例は、米国特許第5,114,989号に開示されており、例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NE134として指定された、ウレタンで修飾されたポリイソシアネートにより例示される。プレポリマーの調製に使用されるポリオキシアルキレンポリオールは、約2から約4、約2から約3の平均官能価を有する。「平均官能価」は、イソシアネート基と反応可能なイソシアネート反応部位(ポリオールの場合ヒドロキシル基)/モルの数と理解される。ポリオキシアルキレンポリオールは、約2200から約3500のヒドロキシル当量を有し、約40から約68重量パーセントのオキシエチレン残基を含有することがさらに特徴付けられている。ポリオールのヒドロキシル当量は、約2300または2400から最高で約3200または2800までであってもよい。
【0038】
ポリオールのオキシエチレン残基含有量は、約55、約58または約60重量パーセントから、最高で約64または約65重量パーセントまでであってもよい。ポリオール内のオキシエチレン残基の分布は、ポリオキシアルキレン鎖の内部または末端のいずれかに位置する、1もしくは複数のブロックであっても、または代替的にはポリオールのポリオキシアルキレン鎖の間のランダム様式であっても、またはこれらの組み合わせであってもよい。ポリオキシアルキレン鎖の残存部分は、オキシエチレン残基により構成されない場合、オキシプロピレン、オキシブチレン残基またはこれらの混合物を含むが、特にオキシプロピレン残基を含む。このような残基は、それぞれプロピレンオキシドおよびブチレンオキシドの反応から得られる。他のオキシド由来の残基もまた存在してもよい。
【0039】
実施形態は、4,4’−MDIおよび2,4’−MDIを70:30の重量比で含むイソシアネートブレンドと、粗メチレンジフェニルジイソシアネート組成物、例えばThe Dow Chemical Companyから入手可能なVORANATE* M220を使用して得られ、ポリメチレン ポリフェニルポリイソシアネート(およそ57.5重量パーセント)、4,4’−MDI(40wt.%)および2,4’−MDI(2.5wt.%)を含有するイソシアネート基末端プレポリマーを包含する。70:30の4,4’−/2,4’−MDIブレンドとVORANATE M220とを、例えば60:40重量比で組み合わせることで、4,4’−MDI(約58%)、2,4’(約19%)およびポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(約23%)から基本的になるプレポリマーを提供する。
【0040】
一実施形態において、ポリオキシアルキレンポリオールを、少なくとも1種のMDI系イソシアネートと反応させて、その後、粗メチレンジフェニルジイソシアネートを含む他のイソシアネートなどとブレンド可能なプレポリマーを提供することができる。
【0041】
プレポリマーを調製する場合、ポリオキシアルキレンポリオール対ポリイソシアネートの相対量は、上述のイソシアネート含有量を有する得られたプレポリマーを提供するような量である。プレポリマーを調製する場合、上記のポリオキシアルキレンポリオールは、イソシアネート基末端プレポリマーの調製に従来使用される他のイソシアネート反応物質との組み合わせにも、場合により使用できる。このような既存の物質は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、これらのより高い他のオキシアルキレン付加化合物およびポリオキシアルキレンポリオールの上の説明の範囲内に収まらない他のポリエーテルポリオールを含む。
【0042】
プレポリマーは、このような調製のために先行技術において記載されている条件を使用して調製することができる。通常、プレポリマーは、連続混合しながら、ポリオールをイソシアネートに対して調節付加することにより調製することができる。ポリオールのイソシアネートに対する有利な付加速度は、加熱または冷却が必要な場合、約45°から約90°または約60°から約80℃の反応温度を維持するような速度である。
【0043】
実施形態はまた、米国特許出願第公報第2006/0142529号に記載のように作られたプレポリマーも包含する。プレポリマーは、ポリエーテルポリオールと、化学量論的に過剰な少なくとも1種のイソシアネートとの反応生成物であってもよい。
【0044】
プレポリマーを調製するために使用されるポリエーテルポリオール組成物は、1またはそれ以上のポリエーテルポリオールを含んでよく、1.6から8の平均公称ヒドロキシル官能価、1000から12000の分子量を有し、少なくとも30重量パーセント、少なくとも重量40パーセント、少なくとも50重量パーセントまたは少なくとも65重量パーセントのオキシエチレン基を有する。一実施形態において、ポリオール組成物は、1.6から6、1.6から4または1.6から2.5の公称官能価を有する。同様に、ポリオール組成物の分子量は、1000から8000、1000から5000およびまたは1500から3500であってもよい。モノヒドロキシル物質および低分子量ジオールおよびトリオール物質またはアミンを含む、さまざまな官能価およびオキシエチレン含有量のポリエーテルポリオールの組み合わせが使用できるが、その時この事象において、このような組み合わせの平均官能価、分子量およびオキシエチレン含有量は、上述の通りである。個別のポリオールのオキシエチレン含有量が分子の間にランダムに分散されることもまた有利である。プレポリマーを調製するために使用されるポリエーテルポリオール組成物は、1.6から2.5の公称ヒドロキシル官能価、1500から3500の分子量を有し、少なくとも65重量パーセントのオキシエチレン基を有するポリエーテルポリオールであってもよい。
【0045】
低密度軟質フォームを作るために、1種またはそれ以上のポリオールの混合物と少なくとも1種のイソシアネートとを、セルが相対的に均一でフォームが許容可能な機械特性を有する低密度軟質ポリウレタンフォームを製造するための、イソシアネートとポリオールとの反応(ゲル化)およびイソシアネートと水との反応(発泡)の間のバランスを得るために、少なくとも1種の遅延作用触媒の存在下で反応させる。本明細書において使用する場合、「遅延作用触媒」は緩速の開始、その後の活性の増加を有する所望の特性を表す触媒を指すことが意図される。すなわち、遅延作用触媒は、最初は低い活性を示し、その後しばらく経って活性の増加を示すものである。活性化の後で高触媒活性を示す触媒は有用であり得る。
【0046】
少なくとも1種の遅延作用触媒は、遅延作用ゲル触媒または遅延作用発泡触媒であってもよい。実施形態はまた、少なくとも1種の遅延作用ゲル触媒および少なくとも1種の遅延作用発泡触媒の両方を含む、少なくとも1種の遅延作用触媒を包含する。
【0047】
本発明の実施形態に用いる触媒に時間遅延特長を提供するために、いくつかの触媒は、有機カルボン酸またはフェノールを用いてブロックされていてもよい。「ブロックされた」触媒化合物または第3級アミン化合物は、該化合物がポリオール成分との混合前に有機カルボン酸またはフェノールを用いてブロックされ得ること、または該化合物が、ポリオール成分を含む当初はブロックされていない化合物と有機カルボン酸とを一緒に混合することにより、ポリオール成分内でブロックされ得、有機カルボン酸によりブロックされた化合物が有効に得られることを意味する。「ブロックされていない」触媒または第3級アミンは、その分子構造が、有機カルボン酸によるブロックを必要とせずに要求された時間遅延を提供するので、触媒化合物をポリオール成分に加える前にカルボン酸によりブロックされていないことを意味する。遅延作用触媒の例は、米国特許第5,478,494号に記載されている。
【0048】
本発明に使用される遅延作用発泡触媒は、カルボン酸によりブロックされた第3級アミン、例えば、カルボン酸によりブロックされた第3級アミンエーテルであってもよい。これらの遅延作用発泡触媒は、イソシアネートとポリオールとの発熱反応の熱により熱的に活性化され得る。遅延作用発泡触媒の第3級アミン部分は下記の一般式を有し:
【化1】
式中、R、R、RおよびRは、対応するcまたはdがゼロと等しい場合、各々独立して、メチルまたはエチルラジカルのような、分岐の、または好ましくは非分岐のC−Cアルキル基であり、そしてR、R、RおよびRは、対応するcまたはdが0を超えるものである場合、各々独立してメチレン基を表し;RおよびRは、エーテルを含有する、分岐または非分岐メチレン基であり;RとRは、各々独立して、分岐または非分岐メチレン基であり;Yは酸素であり、または
【化2】
およびR10は、各々独立して、メチルラジカルまたはエチルラジカルのようなC−Cラジカルであり;aおよびbは、各々独立して、1から6までの整数、例えば1〜2であり;cとdは、各々独立して、0から6までの整数であり;eは2から4までの整数であり;また、fは1から3までの整数である。
【0049】
第三級アミンの具体例としては、N,N,N,N”−テトラメチル−2,2’−ジアミノジエチル・エーテル;N,N,N’,N”,N”ペンタメチル・ジエチル・トリアミン;N,N,N’,N”,N’”,N””,N””ヒドロメチル・テトラエチル・ペンタミン;N,N,N’,N”,N”ペンタメチル・ジプロピレン・トリアミン、2ジメチルアミノエチル−1,3−ジメチルアミノプロピルエーテル;およびN,N−ジモルホリノエチル・エーテルが挙げられる。
【0050】
第三級アミン発泡触媒および遅延作用ゲル触媒のブロックに使用される好適な有機カルボン酸としては、1〜20個の炭素原子を有するモノカルボン酸またはジカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、およびマレイン酸が挙げられる。結晶および結果として生じる相分離として塩が分離するのを防ぐために、第三級アミン発泡触媒をブロックする有機酸は、水または有機溶媒に溶解してもよい。好適な有機溶媒は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、2,6−ヘキサンジオールおよびグリセリンのような分子に2〜4個の水酸基を有するポリオールを含む。最も頻繁に使用する、引用された化合物には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよび1,4−ブタンジオールがある。
【0051】
第3級アミン発泡触媒は、有機カルボン酸により完全または部分的にブロックされ、それぞれ、有機カルボン酸の完全にブロックされた第3級アミン塩または有機カルボン酸の部分的な塩を得ることができる。第3級アミン発泡触媒と反応させる有機カルボン酸の量は、第3級アミン触媒の活性を遅延させたいと望む程度に依存する。
【0052】
遅延作用発泡触媒の例は、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルに基づくDABCO BL−17触媒(Air Products and Chemicals,Incから入手可能)およびNIAX A−400(Momentive Performance Materialsから入手可能)を含む。
【0053】
遅延作用ゲル触媒は、ポリオールおよびイソシアネート間の反応速度を上昇させ、寸法安定性を促進するために設計される。その時間遅延特性を提供するためにカルボン酸によりブロックされ得る遅延作用発泡触媒とは異なり、遅延作用ゲル触媒は、構造に依存して、ブロックされても、またはブロックされなくてもよく、それでもなお時間遅延を提供する。
【0054】
適切な遅延作用ゲル触媒は、時間遅延特性を有することがポリウレタン分野において公知の任意の第3級アミン触媒であり、脂環式第3級アミンおよび脂肪族第3級アミンを含む。下記の一般式を有する、ブロックされていない脂肪族第3級アミンは、遅延作用ゲル触媒として本明細書における使用によく適合しており:
【化3】
式中、R’、R’、R’、およびR’は、各々独立して、C−C分岐または非分岐アルキル基、好ましくはメチルラジカルまたはエチルラジカルであり、任意に、水酸基で置換されている。R’およびR’は、各々独立して、水素またはC−Cアルキルラジカル、好ましくは水素であり;また、nは、4〜10、好ましくは6〜8の整数である。
【0055】
ブロックされていない脂肪族ゲル触媒の例としては、N,N,N’,N’テトラメチルのヘキサメチレンジアミンおよびN,N’ジメチル−N,N’−ジイソプロピル・ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
【0056】
本発明の実施形態において有用な他の第3級アミンゲル触媒は、イソシアネート−ポリオール反応を触媒することが当分野において公知である、有機酸によりブロックされた脂肪族、脂環式または複素環式の第3級アミン触媒である:
【化4】
式中、R’およびR10’は、各々独立して、分岐または非分岐C−C10メチレン基であり、好ましくはC−Cメチレン基であり、または式中、R’およびR10’は、互いに結合し、複数の窒素間に2〜6個の炭素原子を有する、閉環を形成してもよく;およびR’とR’は、各々独立して、分岐または非分岐C−Cメチレン基であり;窒素原子または酸素原子およびR’またはR’基にわたる結合は、単一結合または二重結合であり;Xは水素であり、または
【化5】
式中、R”およびR’”は、各々独立して、メチルまたはエチルラジカルのような分岐または非分岐C−Cアルキルラジカルであり、式中、R’およびR”は、任意に、酸素または置換された第三級窒素を介して互いに結合され、2〜6個の炭素原子を有する閉環を形成してもよい。
【0057】
好適な有機酸でブロックされたアミンゲル化触媒は、トリエチレンジアミン、N−エチルまたはメチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、N−ブチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、ビス−(ジメチルアミノ−アルキル)−ピペラジン類、1,2−ジメチル・イミダゾールである。有機酸でブロックされる本発明の好適な第三級アミンは、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミンおよびジメチルシクロヘキシルアミンである。
【0058】
ゲル触媒のブロックに使用される適切な酸は、発泡触媒のブロックに使用される酸と同じであってもよい。ゲル触媒は、発泡触媒を溶解するために使用されるものと同じ溶媒に溶解され得る。
【0059】
ポリオール組成物中の発泡触媒およびゲル触媒総量は、発泡剤(複数可)−ポリオールおよびイソシアネート間の反応を加速するために有効な重量である。一般に、発泡触媒およびゲル触媒の総量は、ポリオール成分の100pbwに基づいて0.1から6.0pbw、好ましくは2.0から4.0pbwの範囲である。
【0060】
遅延作用ゲル触媒の例は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンに基づくDABCO 8154(Air Products and Chemicals,Incから入手可能)、POLYCAT DBUアミン触媒に基づくPOLYCAT SA−1、POLYCAT SA−102およびPOLYCAT SA−610/50(Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能)、DABCO TMR−30、POLYCAT 1058(Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能)、TEGOAMIN AS 33(Evonik Industries AGから入手可能)ならびにNIAX A−300(Momentive Performance Materialsから入手可能)を含む。
【0061】
特定の実施形態において、1種またはそれ以上のポリオールの混合物および少なくとも1種のイソシアネートの反応のための反応系は、発泡剤をさらに含むことができる。特定の実施形態において、発泡剤含有量は、反応系の総重量の1重量%から5重量%である。特定の実施形態において、発泡剤含有量は、反応系の総重量の1重量%から2重量%である。特定の実施形態において、発泡剤は水である。
【0062】
発泡性ポリウレタン組成物中には(遅延作用触媒以外の)追加の触媒は一般的に使用されないが、1種またはそれ以上の既存の触媒を含むことは、本明細書に記載の実施形態の範囲内である。触媒は通常少量で使用され、例えば、各触媒は、全反応系の重量の0.0015から5重量%で用いられる。この量は、触媒または触媒の混合物、特定の装置のためのゲル化反応および発泡反応の所望のバランス、ポリオールおよびイソシアネートの反応性ならびに当業者によく知られた他の要因に依存する。
【0063】
さまざまな種類の材料が、反応を形成するポリウレタンを触媒することが知られており、材料としては、第三級アミン;トリアルキルホスフィン類およびジアルキルベンジルホスフィン類のような第三級ホスフィン;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチル・アセトン、アセト酢酸エチル等のから得ることができるもののようなさまざまな金属キレート類、併せて、Be,Mg,Zn,Cd,Pd,Ti,Zr,Sn,As,Bi,Cr,Mo,Mn,Fe,CoおよびNi等の金属類;塩化第二鉄、塩化錫(IV)、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマスのような強酸の酸性金属塩類;アルカリとアルカリ土類金属水酸化物のような強塩基、アルコキシドおよびフェノキシド、Ti(OR)4、Sn(OR)4、およびAl(OR)3のようなさまざまな金属アルコレートまたはフェノレートであって、この場合のRはアルキルもしくはアリール、またはアルコラートのカルボン酸、ベータ・ジケトンおよび2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコールとの反応生成物であり;アルカリ土類金属、ビスマス、鉛、スズ、またはアルミニウム・カルボン酸塩;および四価スズ化合物および三価もしくは五価ビスマス、アンチモンまたはヒ素化合物を含む。好ましい触媒は第三級アミン触媒および有機スズ触媒を含む。市販の第三級アミン触媒の例は:トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルアルキルアミン類を含み、この場合、アルキル基は、4〜18個の炭素原子を含む。これらの第三級アミン触媒の混合物はしばしば使用される。
【0064】
市販のアミン触媒の例は、NIAX A1およびNIAX A99(プロピレングリコール中ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、Momentive Performance Materialsから入手可能)、NIAX B9(ポリアルキレンオキシドポリオール中N,N−ジメチルピペラジンおよびN−N−ジメチルヘキサデシルアミン、Momentive Performance Materialsから入手可能)、DABCO8264(ジプロピレングリコール中ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルヒドロキシエチルアミンの混合物、Air Products and Chemicalsから入手可能)、DABCO 33LV(ジプロピレングリコール中トリエチレンジアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)、DABCO BL−11(ジプロピレングリコール中70%ビス−ジメチルアミノエチルエーテル溶液、Air Products and Chemicals,Incから入手可能;POLYCAT58(特許権を有するアミン触媒、Air Products and Chemicalsから入手可能)、POLYCAT5(ペンタメチルジエチレントリアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)およびPOLYCAT8(N,N−ジメチルシクロへキシルアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)を含む。
【0065】
有機スズ触媒の例は、塩化第二スズ(stannic chloride)、塩化第一スズ(stannous chloride)、第一スズオクトアート(stannous octoate)、オレイン酸第一スズ(stannous oleate)、ジメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、式SnRn(OR)4−n、式中Rがアルキルまたはアリールであり、nが0から2である他の有機スズ化合物などである。有機スズ触媒は、使用するならば、一般に、1種またはそれ以上の第3級アミン触媒と併せて使用される。対象となる市販の有機スズ触媒は、KOSMOS29(Evonik AGからの第一スズオクトアート)、DABCO T−9およびT−95触媒(両方とも第一スズオクトアート組成物、Air Products and Chemicalsから入手可能)を含む。
【0066】
特定の実施形態において、反応系は、フォームが膨張し硬化するようにフォームを安定化させる助けとなる、1種またはそれ以上の界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は通常少量で使用され、例えば、各触媒は、全反応系の重量の0.0015から5重量%で用いられる。この量は、界面活性剤または界面活性剤の混合物および当業者によく知られた他の要因に依存する。
【0067】
界面活性剤の例は、非イオン性界面活性剤および湿潤剤、例えば、プロピレンオキシドおよびその後エチレンオキシドをプロピレングリコールに逐次付加させることによって調製されるもの、固体または液体の有機シリコーンおよび長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルを含む。イオン性界面活性剤、例えば長鎖アルキル酸硫酸エステルの第3級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステルおよびアルキルアリールスルホン酸もまた使用できる。プロピレンオキシドおよびその後エチレンオキシドをプロピレングリコールに逐次付加させることによって調製される界面活性剤が好ましく、固体または液体の有機シリコーンも同様に好ましい。有用な有機シリコーン系界面活性剤の例は、市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー、例えばTEGOSTAB(Evonik AGから入手可能)B−8462、B−8404およびB−8871ならびにDow Corningから入手可能なDC−198およびDC−5043界面活性剤ならびにMomentive Performance Materialsから入手可能なNIAX L−627、NIAX L−620およびNIAX L−618を含む。
【0068】
さらなる実施形態において、工程を改良するため、およびより高いイソシアネート指数の使用を可能にするために、追加の添加物、例えば、公報WO20008/021034(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載の添加物を反応混合物に加えてもよい。このような添加物は、1)カルボン酸のアルカリ金属塩または遷移金属塩;2)1,3,5−トリアルキル−または1,3,5−トリス(N,N−ジアルキルアミノアルキル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン化合物;ならびに3)第4級アンモニウム化合物のカルボン酸塩を含む。使用する場合、このような添加物は一般に、約0.01から1部/総ポリオール100の量で使用される。追加の添加物は一般に、反応混合物の少なくとも1種の他の成分に溶解される。一般に、追加の添加物をポリイソシアネートに溶解することは好ましくない。
【0069】
さまざまな追加の成分をフォーム配合物に含むことができる。これらは、例えば、架橋剤、可塑剤、フィラー、防煙剤、芳香剤、強化剤、染料、着色剤、顔料、防腐剤、臭気遮蔽剤(odor mask)、物理的発泡剤、化学的発泡剤、難燃剤、内部離型剤、殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、チキソトロープ剤、接着促進剤、セルオープナー(cell openers)およびこれらの組み合わせを含む。
【0070】
1種またはそれ以上の架橋剤は、フォーム配合物中に場合により存在する。使用する場合、使用する架橋剤の量は、好ましくは少なくとも約0.1、より好ましくは少なくとも約0.25であり、好ましくは多くても約1、より好ましくは多くても約0.5重量部/総ポリオール100重量部である。
【0071】
「架橋剤」は、3またはそれ以上のイソシアネート反応基/分子および好ましくは当量/約400未満のイソシアネート反応基を有する材料であってもよい。架橋剤は、少なくとも約3および多くても約8のヒドロキシル基、第1級アミン基または第2級アミン基/分子を有することができ、少なくとも約30または50および独立して多くても約125または200の当量を有する。適切な架橋剤の例は、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−、ジ−またはトリ−(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどを含む。
【0072】
1種またはそれ以上の鎖延長剤をフォーム配合物中に使用することもまた可能である。鎖延長剤は、2つのイソシアネート反応基/分子および当量/約400未満のイソシアネート反応基を有する材料であってもよい。イソシアネート反応基は、好ましくはヒドロキシル基、第1級の脂肪族もしくは芳香族のアミン基または第2級の脂肪族もしくは芳香族のアミン基である。代表的鎖延長剤は、アミンエチレングリコール(amines ethylene glycol)、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタンおよび2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンを含む。使用する場合、鎖延長剤は、好ましくは少なくとも約1、より好ましくは少なくとも約3および独立して、好ましくは多くても約50、より好ましくは多くても約25重量部/高当量ポリオール100重量部の量で通常存在する。
【0073】
1種またはそれ以上のフィラーもまた、粘弾性フォーム配合物中に存在してもよい。フィラーは、有益な方法での組成物のレオロジー特性の改変、コストの削減および有益な物理的特性をフォームにもたらす助けとなり得る。適切なフィラーは、安定で、ポリウレタン形成反応中に受ける温度において溶解しない、微粒子の無機および有機材料を含む。適切なフィラーの例は、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、マイカ、ウォラスナイト、タルク、高融点熱可塑性物質、ガラス、フライアッシュ、カーボンブラックチタニウムジオキサイド、アイアンオキサイド、クロミウムオキサイド、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジンなどを含む。フィラーは、チキソトロピー特性を発泡性ポリウレタン組成物にもたらすことができる。フュームドシリカはこのようなフィラーの例である。
【0074】
反応性粒子もまた、フォームの特性を改変するために反応系に含まれ得る。このような反応系は、コポリマーポリオール、例えば、スチレン/アクリロニトリル(SAN)、ポリ尿素分散(polyharnstoff dispersion)(PHD)ポリオールおよびイソシアネート重付加体(PIPA)を含有する、例えば、Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes, Rapra Technology Limited (2005) pp185-227に教示されるようなコポリマーポリオールを含む。使用する場合、フィラーは、反応系の約0.5から約30重量%、特に約0.5から約10重量%を有利に構成する。
【0075】
追加の発泡剤(水以外)は、発泡性ポリウレタン組成物に通常使用されないが、補助的発泡剤を含むことは本明細書に記載の実施形態の範囲内である。補助的発泡剤は、限定するものではないが、液体二酸化炭素(CO2)、臨界超過CO2ならびにさまざまなハイドロカーボン、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、クロロカーボン(メチレンクロライドなど)、クロロフルオロカーボンおよびハイドロクロロフルオロカーボンであってもよい。
【0076】
スラブストックフォームは、フォーム原料を混合し、それらをトラフまたは反応混合物が反応する他の領域に分配し、(時としてフィルムまたは他の軟質被覆下で)大気に対して自由に上昇し、硬化することにより、都合よく調製される。一般的な工業規模のスラブストックフォーム生産において、フォーム原料(またはこれらのさまざまな混合物)は、それらが混合されるミキシングヘッドに独立してポンプで送り込まれ、紙またはプラスチックで裏打ちされたコンベヤーに分配される。発泡および硬化は、フォームバン(foam bun)を形成するコンベヤー上で起こる。
【0077】
発泡ポリウレタンのブロックを円筒形にまず製造し、その後円筒形ブロックからシートを剥離し、したがって廃棄物が減少される、カーペット裏地、衣類を裏打ちする積層などに使用する発泡ポリウレタンのシートの製造は公知である。自由上昇(free rise)円筒形フォームは、フォーム原料を混合し、それらを円筒形の型枠に分配し、型枠においてフォームを自由に上昇させることによって調製することができる。通常、直径約2m、高さ約2.5mを有するフォームがこの様式で得られる。
【0078】
軟質低密度ポリウレタンフォームは、米国特許第6,372,812号に記載のような、真空下(大気圧未満)条件で形成できる。
【0079】
本明細書に記載のように作られた低密度ポリウレタンフォームは、それらを発泡ポリウレタンの剥離シートの製造に適切にする機械特性を有する。該フォームは、許容可能な機械特性、例えば、剥離工程の間のポリウレタンフォームの引裂防止を助ける、引張強度, 引裂強度および破断伸びを有する。同時に、該フォームは許容可能な弾力性および圧縮永久歪みを有し、フォームに印加された外力に対して、軟質ポリウレタンフォームの初期の高さの減少をほどんと示さないフォームをもたらす。
【0080】
得られたフォームは、ASTM D3574−01に従って決定された、35kg/m以下の密度を有する。35kg/m以下の個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、該密度は、下限が20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30から上限が26、27、28、29、30、31、32、33、34または35kg/mであってもよい。
【0081】
得られたフォームは、フォームの高さに沿って均一な密度分布を有することができる。例えば、密度変化/高さメートルは、約2kg/m未満であり得る。約2kg/m未満のすべての個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される、例えば、該密度変化/高さメートルは、約0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8または2.0kg/m未満であり得る。
【0082】
得られたフォームは、NBR8515:2003に従って決定された、約34kPaから約130kPaの範囲の引張強度を有することができる。約34kPaから約130kPaのすべての個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、該引張強度は、下限が34、35、40、45、50、55、60、70、78、80、85、90、95、97、100、105、109、110、115、120、または125kPaから上限が50、55、60、70、78、80、85、90、95、97、100、105、109、110、115、120、125または130kPaであり得る。
【0083】
得られたフォームは、NBR8515:2003に従って決定された、約160N/mから約380N/mの範囲の引裂強度を有することができる。約160N/mから約380N/mのすべての個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、該引裂強度は、下限が160、166、170、173、180、190、200、205、210、212、220、230、240、249、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、368、370または376N/mから上限が170、173、180、190、200、205、210、212、220、230、240、249、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、368、370、376または380N/mであり得る。
【0084】
得られたフォームは、NBR8515:2003に従って決定された、約120%から約230%の範囲の破断伸びを示すことができる。約120%から約230%のすべての個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、該破断伸びは下限が120、125、130、132、140、150、156、160、168、170、180、185、188、190、195、200、205、208または210%から上限が130、132、140、150、156、160、168、170、180、185、188、190、195、200、205、208、210、220または230%であり得る。
【0085】
得られたフォームは、ASTM D−3574−H従って決定された、約40%から約65%の範囲の弾力性を示すことができる。約40%から約65%のすべての個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、該弾力性は、下限が40、42、45、46、47、49、50、51、52、53、55、56、57、58または60%から上限が45、46、47、49、50、51、52、53、55、56、57、58、60、61、62または65%であり得る。
【0086】
得られたフォームは、ASTM D−3574−03従って決定された、13%以下の90%圧縮永久歪みを示すことができる。約13%未満のすべての個別の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、該圧縮永久歪みは、下限が2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12%から上限が3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13%であり得る。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]
反応系の反応生成物を含み、前記反応系が、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも50重量%のMDI系イソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネートを含み、前記軟質ポリウレタンフォームが、ASTM D3574−01に従って決定された約33kg/m未満の密度、NBR8515:2003に従って決定された約160N/mを超える引裂強度およびASTM D−3574−H ボールリバウンドに従って測定された少なくとも45%の弾力性を有するポリウレタンフォーム。
[2]
反応系の反応生成物を含み、前記反応系が、
少なくとも50重量%のイソシアネート成分がMDI系イソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネート成分、
約1000から2500の当量、約3から約6の複合公称官能価を有する、少なくとも1種の第1のポリエーテルポリオール、および
約1400から2000の当量、約2から約7.2の複合公称官能価を有する、少なくとも1種の第2のポリエーテルポリオール、
を含み、
前記軟質ポリウレタンフォームが、ASTM D3574−01に従って決定された約33kg/m未満の密度を有する、軟質ポリウレタンフォーム。
[3]
軟質ポリウレタンフォームが、NBR8515:2003に従って決定された約160N/mを超える引裂強度およびASTM D−3574−H ボールリバウンド%に従って測定された少なくとも45%の弾力性を有する、[2]に記載の軟質フォーム。
[4]
ASTM D3574−03により決定された約13%未満の90%圧縮永久歪みをさらに有する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[5]
NBR8515:2003に従って決定された、約120%を超える破断伸びをさらに有する、[1]から[4]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[6]
NBR8515:2003に従って決定された、約34kPaを超える引張強度をさらに有する、[1]から[5]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[7]
フォームが約2kg/m未満の密度変化/高さメートルを有する、[1]から[6]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[8]
反応系が、少なくとも1種の遅延作用ゲル触媒および遅延作用発泡触媒をさらに含む、[1]から[7]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[9]
反応系が、少なくとも1種の遅延作用ゲル触媒および少なくとも1種の遅延作用発泡触媒をさらに含む、[1]から[7]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[10]
MDI系イソシアネートが、4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物を重量比98:2から60:40で含む、[1]から[8]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[11]
MDI系イソシアネートが、ポリメリックポリメチレンポリフェニルイソシアネートならびに4,4’−および2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物を含む、[1]から[8]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[12]
MDI系イソシアネートが、MDIと、約2から約4の平均公称官能価を有する少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールとを反応させることによって得られる、少なくとも1種のイソシアネート基末端プレポリマーを含む、[1]から[8]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[13]
約10から20%の百分率でキャップされたポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールを、使用されるポリオールの総重量に基づき50から99重量%含む、[1]から[12]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[14]
第2のポリオールが、ポリオキシエチレンの百分率がおよそ60から85のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンキャップドポリオキシプロピレンを含み、使用されるポリオールの総重量に基づき1から30重量%含む、[1]から[13]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[15]
第2のポリオールが、ポリブチレンオキシドポリエーテルを含む、[1]から[13]のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【実施例】
【0087】
下記の実施例を、本発明の実施形態を例示するために提供するが、これらの範囲を限定する意図のものではない。すべての部および百分率は、特に明記しない限り重量による。
【0088】
下記の材料を使用した:
SPECFLEX* NC 630 グリセロールおよびスクロースのブレンドを用いて開始される、約1,810当量のポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール。およそ4.2の公称官能価、ポリオキシエチレンによりキャップされた百分率およそ15.5%、およそ79%の最終1級OH百分率ならびに29.0および33.0の間のヒドロキシル価を有する。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOL* CP 1421 グリセロールを用いて開始される、約1,675当量のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール。3の公称官能価、ポリオキシエチレン百分率およそ78%および約32のヒドロキシル価を有する。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOL* CP 6001 グリセロールを用いて開始される、約2,040当量のポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール。3の公称官能価およびポリオキシエチレン百分率およそ15%を有する。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOL* 4053 グリセロールおよびスクロースのブレンドを用いて開始される、約1,795当量のポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール。およそ6.9の公称官能価、ポリオキシエチレンによりキャップされた百分率およそ 75を有する。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOL* WJ 4001 グリセロールおよびスクロースのブレンドを用いて開始される、約1,810当量のポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール。およそ4.2の公称官能価、ポリオキシエチレンによりキャップされた百分率およそ15.5%、およそ79%の最終1級OH百分率ならびに29.0と33.0の間のヒドロキシル価を有する。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOL* 3943A グリセロールを用いて開始される、約1,030当量のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール中に、100ミクロンに溶かされた、コポリマー化されたスチレンおよびアクリロニトリルを含有するグラフト化ポリエーテルポリオール。3の公称官能価およびポリオキシエチレン百分率およそ13%を有する。The Dow Chemical Companyから入手可能。
DEOA ジエタノールアミン85%、架橋剤、Aldrichから入手可能。
TEGOSTAB B 8681 シリコーン界面活性剤、Evonik Industriesから市販。
TEGOSTAB B 4113 シリコーン界面活性剤、Evonik Industriesから市販。
DABCO BL−17 遅延作用発泡触媒;70%の酸ブロック化ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルおよび30%のジプロピレングリコール。Air Products and Chemicals,Incから入手可能。
NIAX A−400 第3級アミン遅延作用発泡触媒。Momentive Performance Materialsから入手可能。
DABCO 8154 酸ブロック化第3級アミン遅延作用ゲル触媒。Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能
TEGOAMIN AS 33 遅延作用ゲル触媒。Evonik Industries AGから入手可能。
NIAX A−300 第3級アミン遅延作用ゲル触媒。Momentive Performance Materialsから入手可能。
DABCO T−12 既存のジブチルチンジラウレートゲル触媒。Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能。
DABCO 33−LV 既存のゲル触媒、プロピレングリコール中トリエチレンジアミンの33%溶液。Air Products&Chemicals Inc.から入手可能。
NIAX A−1 70%のビス(2ジメチルアミノエチル)エーテルおよび30%のジプロピレングリコールの触媒。Momentive Performance Materialsから入手可能。
DABCO T−9 第一スズオクトアート触媒。Air Products&Chemicals Inc.から入手可能。
PAPI* 27 およそ2.7の官能価、およそ134のイソシアネート当量および約31.4重量%のNCO含有量を有するMDIを含有する、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)。The Dow Chemical Companyから入手可能。
PAPI* 94 およそ2.3の官能価、およそ131のイソシアネート当量および約32重量%のNCO含有量を有するMDIを含有する、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)。The Dow Chemical Companyから入手可能。
SPECFLEX* NE 134 約29.5%の遊離NCO含有量を有するMDI系プレポリマー。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANATE* T−80 トルエンジイソシアネート(80重量%の2,4−トルエンジイソシアネートおよび20重量%の2,6−トルエンジイソシアネート)組成物。The Dow Chemical Companyから入手可能。
*PAPI、SPECFLEX、VORANATEおよびVORANOLは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0089】
特に明記しない限り、下記の試験方法を使用する:
通気:ASTM D3574 G
圧縮永久歪み:ASTM D3574−03
密度:ASTM D3574−01
押込力たわみ(Indent Force Deflection):NBR9176:2003
弾力性:ASTM D−3574−H ボールリバウンド%
引裂強度:NBR8516:2003
引張強度:NBR8515:2003
伸び:NBR8515:2003
快適係数(Comfort factor):NBR76:2003
NBR標準はABNT、Associacao Brasileira de Normas Tecnicasにより発行されている。
【0090】
実施例E1〜E16および比較実施例CE1〜CE3
ポリウレタンフォームを、ポリオール、界面活性剤、水および触媒を、表1(および実施例E1〜E9)および表2(比較実施例CE1〜CE3および実施例E10〜E16)に示した相対重量で組み合わせることによって調製する。イソシアネートをその後混合物と混合し、40cm×40cm×40cmのプラスチックで裏打ちされた木箱に移し、自由に上昇させる。
【0091】
表1および2からわかるように、フォームの密度が低い(約22kg/m(E14)から約29kg/m(E3))場合でも、高い伸びの結果(約120%(E3)から約208%(E13))および高い引裂抵抗(約166N/m(E12)から約376N/m(E6))を得ることが可能であることがわかる。さらに、MDI系イソシアネートをTDI系イソシアネートに置き換えた場合(比較実施例CE1)、フォームは崩壊する。
【表1】

【表2】
【0092】
実施例E17およびE18ならびに比較実施例CE4およびCE5
ポリウレタンフォームを、ポリオール、界面活性剤、水および触媒を、表3に示した相対重量で組み合わせることによって調製する。混合物を、その後イソシアネートと、Cannonの低圧連続発泡機において反応させ、1mの高さを有する自由上昇フォームを形成させる。
【0093】
実施例E17およびE18ならびに比較実施例CE4およびCE5のための配合物を、低密度、高弾力性、高引裂強度のフォームを製造するために配合する。実施例E17およびE18は、遅延作用触媒を組み込むMDI系配合物であり、一方、比較実施例CE4およびCE5は、最適化TDI系配合物である。
【0094】
実施例E17およびE18ならびに比較実施例CE4およびCE5のために、サンプル(40×40×10cm)を、フォームの底部、中間部および上部から得る。見てわかるように、実施例E17およびE18のフォームは、底部から上部までがそれぞれ1.6および0.7の密度変化を有し、一方、比較実施例CE4およびCE5の密度変化は、少なくとも2から5倍大きい。非常に優れた密度分布のため、実施例E18のフォームは、少なくとも最高2.2メートルまでの高さの高弾力性のフォームバン(foam buns)の製造に使用することができる。
【0095】
前述は本発明の実施形態を対象とするが、他およびさらなる本発明の実施形態が、本発明の基本範囲から逸脱することなく考案でき、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲により決定される。
【表3】