(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な変更が可能であり、様々な実施形態を有するが、特定の実施形態を図面に示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0016】
以下、添付図面を参照して、従来のマルチレベル高圧インバータの構成を説明し、本発明の好ましい一実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図8は従来のマルチレベル高圧インバータの構成図であり、
図9は
図8の各単位電力セルの構成図である。
【0018】
図8に示すように、従来のマルチレベル高圧インバータは、入力三相電源102、三相電動機103、移相変圧器104及び単位電力セル105a〜105fを含む。
【0019】
入力三相電源102は、線間電圧の実効値が600V以上の電圧を印加する。三相電動機103は、インバータシステムの負荷である。移相変圧器104は、1次側巻線が三相Y結線の形態を有し、2次側巻線は1次側巻線に対して−15度、0度、15度、30度の位相差を有する巻線が3つずつの計12個の巻線で構成される。2次側巻線の構造は、単位電力セル105a〜105fの電力セル数に応じて決定される。
【0020】
単位電力セル105a〜105fの各出力電圧は5レベルである。負荷として動作する三相電動機103には、1相当たり2つの単位電力セルが接続され、必要に応じて単位電力セルの数は増加させることができる。単位電力セル105a、105bは直列に接続されて負荷の三相電動機103のa相電圧を出力し、単位電力セル105c、105dはb相電圧を出力し、単位電力セル105e、105fはc相電圧を出力する。単位電力セル105a、105c、105eは、移相変圧器104の出力のうち−15度及び0度の位相を有する出力に接続され、単位電力セル105b、105d、105fは、移相変圧器104の出力のうち15度及び30度の位相を有する出力に接続される。
【0021】
図9に示すように、単位電力セルは、ダイオード整流部201、平滑部202、及び出力電圧を合成するインバータ部203を備える。ダイオード整流部201には2つの三相電源が入力され、その入力電源は
図8に示す移相変圧器104の出力電圧である。ダイオード整流部201の出力は直列に接続された2つの直流リンクコンデンサである平滑部202に入力され、その2つの直流リンクコンデンサは同じキャパシタンスを有する。インバータ部203は、出力電圧を合成するためのものであって、出力線間電圧が5レベルとなる。
【0022】
インバータ部203の1つのレグは、4つのスイッチ部203a、203b、203c、203dが直列に接続されており、スイッチ部203a、203b、203c、203dの動作に基づいて出力電圧が決定される。
【0023】
スイッチ部203a、203cのスイッチング動作は互いに相補的(complementary)であり、スイッチ部203b、203dのスイッチング動作も互いに相補的である。つまり、直列に接続された平滑部202のコンデンサの電圧をそれぞれEと定義すると、スイッチ部203a、203bがオンになった場合は、スイッチ部203c、203dがオフになり、このとき出力される極電圧(pole voltage)はEとなる。
【0024】
また、スイッチ部203a、203cがオンになった場合は、スイッチ部203b、203dがオフになり、このとき出力される極電圧は0となる。同様に、スイッチ部203a、203bがオフになった場合は、スイッチ部203c、203dがオンになり、このとき出力される極電圧は−Eとなる。
【0025】
このように決定される出力極電圧を用いる場合、各単位電力セルの出力線間電圧は2E、E、0、−E、−2Eの5レベルを有する。各単位電力セルの出力線間電圧が5レベルを有することから、
図8の単位電力セル105a、105bが合成できる電圧は、4E、3E、2E、E、0、−E、−2E、−3E、−4Eの9レベルを有し、負荷の三相電動機103の出力線間電圧は、8E、7E、6E、5E、4E、3E、2E、E、0、−E、−2E、−3E、−4E、−5E、−6E、−7E、−8Eの17レベルを有する。
【0026】
図10A〜
図10Fは
図9のインバータ部の動作を示す図であって、出力極電圧がE、0、−Eに決定された場合における電流の方向に応じた電力用半導体の導通を示すものである。
【0027】
図10Aは出力極電圧が0、出力電流が正の場合に導通するスイッチ部を示し、
図10Bは出力極電圧がE、出力電流が正の場合に導通するスイッチ部を示し、
図10Cは出力極電圧が−E、出力電流が正の場合に導通するスイッチ部を示す。
【0028】
図10Aでは1つのダイオード及び1つのスイッチ部が導通し、
図10Bでは2つのスイッチ部が導通し、
図10Cでは2つのダイオードが導通することが分かる。
【0029】
図10Dは出力極電圧が0、出力電流が負の場合に導通するスイッチ部を示し、
図10Eは出力極電圧がE、出力電流が負の場合に導通するスイッチ部を示し、
図10Fは出力極電圧が−E、出力電流が負の場合に導通するスイッチ部を示す。
【0030】
図10Dでは1つのダイオード及び1つのスイッチ部が導通し、
図10Eでは2つのダイオードが導通し、
図10Fでは2つのスイッチ部が導通することが分かる。
【0031】
次に、
図8の移相変圧器104の動作を説明する。
【0032】
移相変圧器104は、電気的に絶縁された三相電源を入力三相電源102から各単位電力セルに供給する。ここで、移相変圧器104の1次側巻線はY結線(ワイ結線)又はΔ結線(デルタ結線)であり、2次側巻線は1次側から移相した電源を出力し、このとき単位電力セルの要求に応じた適切な大きさの電圧を出力する。
【0033】
移相変圧器104の2次側出力は、単位電力セルのダイオード整流部201の数と同じであり、次の関係を有する。
【数1】
【0034】
ここで、N
secは移相変圧器104の2次側出力数であり、N
unitは負荷の三相電動機103の各相に接続される単位電力セルの1相当たりの数であり、N
diodeは1つの単位電力セルに設けられているダイオード整流部201の数である。
【0035】
例えば、
図8のような構造では、N
unitが2であり、N
diodeが2であるので、N
secは12となる。
【0036】
移相変圧器104の2次側巻線の移相角は、次の関係から求められる。
【数2】
【0037】
ここで、α
secは2次側巻線間の移相角である。例えば、
図8のようにN
secが12であると、2次側巻線間の移相角は15度となる。このようにして求められた2次側巻線間の移相角により、それぞれの2次側巻線の出力電圧は、1次側入力電源電圧に対して移相角だけ移相する。
【0038】
このような従来のマルチレベル高圧インバータの入力端の移相変圧器は、1次側に1つの三相電源のみ接続され、2次側に全ての単位電力セルが接続される構造である、単一ユニットで構成される。
【0039】
このような単一ユニット構造の移相変圧器においては、要求される出力が1つの変圧器により満たされなければならないので、変圧器自体の体積及び重量が増加するだけでなく、機構設計上の自由度がないことからシステム全体の体積を増加させるという問題があり、変圧器の1次側巻線又は2次側巻線に問題が生じるとシステム全体の運転が不可能になるという問題があった。
【0040】
また、従来の単位電力セルは、インバータ部が4つのダイオードと8つの能動スイッチ(active switch)とから構成されており、電圧合成時、常に2つの電力用半導体が導通するので、インバータ部の損失が相対的に大きいという問題があった。
【0041】
本発明においては、単一ユニットで構成されたマルチレベル高圧インバータの移相変圧器の構造をモジュール化することにより、機構設計上の自由度を提供し、システム全体の体積及び重量を低減する。また、モジュール化した移相変圧器を用いることにより、1つの変圧器モジュールが故障しても、負荷電動機は出力が減少した状態で連続的に運転することができるという利点がある。
【0042】
また、本発明においては、従来の単位電力セルに比べて導通損失を低減できるカスケードT形NPCインバータを提案する。
【0043】
図1は本発明の第1実施形態によるマルチレベル高圧インバータの構成図である。本発明の第1実施形態によるマルチレベル高圧インバータ41は、三相電源42から実効値が600V以上の線間電圧が印加され、三相電動機43に三相電圧を出力する。
【0044】
同図に示すように、本発明の第1実施形態によるマルチレベル高圧インバータ41は、複数の単位電力セル45と移相変圧器44とを含む。本発明においては、1相当たり2レベルの単位電力セルが配置された例を説明するが、単位電力セルの数がこれに限定されるものではないことは自明である。
【0045】
本実施形態の移相変圧器44は、2つのモジュール44a、44bから構成される。ただし、単位電力セル45が2レベルであるので2つのモジュールから構成されるものを示すが、モジュールの数は単位電力セルのレベルによって決定される。
【0046】
第1モジュール44aは、1次側巻線が三相Y結線で構成され、2次側巻線はY結線とΔ結線とで構成され、0度と30度とに移相する。第2モジュール44bは、1次側巻線が移相したZ結線で構成され、2次側巻線は第1モジュール44aと同じ構造で構成される。移相変圧器44は、2次側巻線の数に応じて1次側巻線及び2次側巻線の位相を変更してもよい。
【0047】
単位電力セル45の出力電圧は5レベルにしてもよい。本発明の第1実施形態においては、負荷の三相電動機43に1相当たり2つの単位電力セルが接続され、必要に応じて単位電力セルの数を増加させることができることは前述した通りである。
【0048】
第1単位電力セル45a及び第2単位電力セル45bは直列に接続されて負荷の三相電動機43のa相電圧を出力し、第3単位電力セル45c及び第4単位電力セル45dはb相電圧を出力し、第5単位電力セル45e及び第6単位電力セル45fはc相電圧を出力する。
【0049】
第1単位電力セル45a、第3単位電力セル45c及び第5単位電力セル45eは第1モジュール44aの出力に接続され、第2単位電力セル45b、第4単位電力セル45d及び第6単位電力セル45fは第2モジュール44bの出力に接続される。
【0050】
図2は
図1の単位電力セルの詳細回路図であり、第1〜第6単位電力セル45a〜45fの構成は同じであるので、以下、「単位電力セル45」と称してまとめて説明する。
【0051】
同図に示すように、本実施形態の単位電力セル45は、整流部51、平滑部52及びインバータ部53を含む。
【0052】
整流部51は、2つの三相ダイオード整流器で構成され、移相変圧器44の第1モジュール44aの2次側巻線から三相電圧が印加される。
【0053】
平滑部52は、2つのコンデンサC1、C2がそれぞれ2つの三相ダイオード整流器に直列又は並列に接続される。
【0054】
インバータ部53は、カスケードT形NPCインバータであってもよい。インバータ部53は、第1〜第8スイッチ部53a〜53hを含み、各スイッチ部は、並列に接続されたダイオードと電力用半導体とから構成されるようにしてもよい。
【0055】
第1〜第4スイッチ部53a〜53dが1つのレグを構成し、第5〜第8スイッチ部53e〜53hが他の1つのレグを構成するようにし、2つのレグの電位差により出力電圧が合成される。
【0056】
図3は本発明の第2実施形態によるマルチレベル高圧インバータの構成図である。
【0057】
同図に示すように、本発明の第2実施形態によるマルチレベル高圧インバータ61は、移相変圧器64と単位電力セル65とを含む。
【0058】
本実施形態の移相変圧器64は、3つのモジュール64a〜64cを含む。
【0059】
第1モジュール64aは、1次側巻線が−5度の位相を有するZ結線で構成され、2次側巻線は−15度、0度、15度、30度の位相を有する巻線で構成される。また、第2モジュール64bは、1次側巻線が0度の位相を有するY結線で構成され、2次側巻線は第1モジュール64aと同様に構成される。さらに、第3モジュール64cは、1次側巻線が5度の位相を有するZ結線で構成され、2次側巻線は第1モジュール64aと同様に構成される。
【0060】
各単位電力セル65は、5レベルの出力電圧を合成することができる。
図4は
図3の単位電力セルの詳細回路図である。
図4の単位電力セル65の構成は、整流部71の数及び平滑部72の数を除いては、
図2の単位電力セル45の構成と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0061】
図5は本発明の第3実施形態によるマルチレベル高圧インバータの構成図であり、
図6は本発明の第4実施形態によるマルチレベル高圧インバータの構成図である。なお、
図5は出力1相当たり3つの単位電力セルを含む例であり、
図6は出力1相当たり5つの単位電力セルを含む例である。
【0062】
図5を参照すると、本発明の第3実施形態の移相変圧器84は、第1〜第3モジュール84a〜84cを含む。
【0063】
第1モジュール84aは、1次側巻線が−3.3度の位相を有する三相Z結線で構成され、2次側巻線は1次側巻線に対して0度、30度の位相差を有する巻線で構成される。また、第2モジュール84bは、1次側巻線が0度の位相を有する三相Y結線で構成され、2次側巻線は第1モジュール84aと同様に構成される。さらに、第3モジュール84cは、1次側巻線が3.3度の位相を有する三相Z結線で構成され、2次側巻線は第1モジュール84aと同様に構成される。
【0064】
図5の第3実施形態の単位電力セル85は、
図3の単位電力セルと同様に構成することができ、その詳細な説明は省略する。
【0065】
一方、
図6を参照すると、本発明の第4実施形態の移相変圧器94は、5つのモジュールから構成される。
【0066】
第1モジュール94aは、1次側巻線が4度の位相を有するZ結線で構成され、2次側巻線は1次側巻線に対して0度、30度の位相差を有するY結線及びΔ結線で構成される。また、第2〜第5モジュール94b〜94eの2次側巻線は第1モジュール94aの2次側巻線と同様に構成される。
【0067】
第2モジュール94bは、1次側巻線が2度の位相を有するZ結線で構成され、第3モジュール94cは、1次側巻線が0度の位相を有するY結線で構成され、第4モジュール94dは、1次側巻線が−2度の位相を有するZ結線で構成され、第5モジュール94eは、1次側巻線が−4度の位相を有するZ結線で構成される。
【0068】
図6の第4実施形態の単位電力セル95は、
図2の単位電力セルと同様に構成することができ、その詳細な説明は省略する。
【0069】
このように、本発明においては、従来の単一ユニットの移相変圧器をモジュール化する。1つのモジュール化した移相変圧器は、1つのレベルの単位電力セル(すなわち、3つの単位電力セル)に三相電圧を供給する(
図1、
図5及び
図6の実施形態)ようにしてもよく、1つの単位電力セルに三相電圧を供給する(
図3の実施形態)ようにしてもよい。
【0070】
本発明によるモジュール型移相変圧器において、2次側巻線の移相角は上記数式1及び2により決定され、1次側巻線の移相角は下記数式3により決定される。
【数3】
【0071】
ここで、N
m_Tは移相変圧器のモジュール数、N
sec_outは1つの移相変圧器モジュールの2次側出力数、N
diode_pulseは整流部のパルス数である。例えば、
図1の第1実施形態においては、N
m_Tが2、N
sec_outが6、N
diode_pulseが6であるので、α
primは5度となり、移相変圧器の1次側巻線は、0度を基準として±α
primの倍数の形で移相するように構成することができる。
【0072】
本発明によるモジュール型移相変圧器の容量は、従来の単一ユニット型移相変圧器の容量と次の関係を有する。
【数4】
【0073】
ここで、S
m_Tは本発明によるモジュール型移相変圧器の1モジュール当たりの皮相電力であり、S
convは単一ユニット型移相変圧器の皮相電力である。
【0074】
本発明によるモジュール型移相変圧器は、従来の単一ユニット型移相変圧器に比べて容量が小さいため、移相変圧器の巻線の占める面積(winding window)が小さくなり、移相変圧器全体の体積及び重量が減少することにより、システム全体の体積及び重量が減少する。
【0075】
また、本発明によるモジュール型移相変圧器は、N
m_T個の変圧器モジュールを有し、それにより、システム全体の設計上の自由度を提供し、設計の柔軟性を提供することができる。
【0076】
さらに、従来の単一ユニット型移相変圧器においては、1次側巻線が故障すると、システム全体の運転が不可能になるのに対して、本発明によるモジュール型移相変圧器においては、1つのモジュールの1次側巻線が故障すると、故障したモジュールに接続された電力変換回路を迂回し、出力を低減した状態で連続的に運転することができる。このような構造的特徴により、本発明によるモジュール型移相変圧器を用いた場合、システム全体の冗長性が増加する。
【0077】
次に、本発明による単位電力セルのインバータ部について説明する。
【0078】
図2及び
図4に示すように、本発明による単位電力セルは、カスケードT形NPCインバータで構成される。以下、
図2を参照して本発明による単位電力セルのインバータ部の動作を説明する。
【0079】
本発明によるインバータ部53の1つのレグは4つのスイッチ部から構成され、第1〜第4スイッチ部53a〜53dの動作により出力極電圧が決定される。
【0080】
第1スイッチ部53aと第3スイッチ部53cとは同時にオンにすることができず、第2スイッチ部53bと第4スイッチ部53dとは同時にオンにすることができない。また、第1スイッチ部53a及び第2スイッチ部53bの動作は互いに独立して行われ、出力極電圧指令が正の場合は第1スイッチ部53a及び第3スイッチ部53cが動作し、出力極電圧指令が負の場合は第2スイッチ部53b及び第4スイッチ部53dが動作する。
【0081】
直列に接続された直流リンクコンデンサC1、C2の電圧をそれぞれEと定義すると、出力極電圧指令が正の場合、第1スイッチ部53aがオン、第3スイッチ部53cがオフであると、出力極電圧は0となる。
【0082】
このように決定される出力極電圧を用いる場合、各単位電力セルの出力線間電圧は2E、E、0、−E、−2Eの5レベルを有する。
【0083】
図7A〜
図7Fは出力極電圧がE、0、−Eに決定された場合における電流の方向に応じた電力用半導体の導通を示す図である。
【0084】
図7Aは出力極電圧が0、出力電流が正の場合に導通するスイッチ部を示し、
図7Bは出力極電圧がE、出力電流が正の場合に導通するスイッチ部を示し、
図7Cは出力極電圧が−E、出力電流が正の場合に導通するスイッチ部を示す。
【0085】
図7Aでは第3スイッチ部53cのダイオード及び第4スイッチ部53dの電力用半導体が導通し、
図7Bでは第1スイッチ部53aの電力用半導体が導通し、
図7Cでは第2スイッチ部53bのダイオードが導通する。
【0086】
図7Dは出力極電圧が0、出力電流が負の場合に導通するスイッチ部を示し、
図7Eは出力極電圧がE、出力電流が負の場合に導通するスイッチ部を示し、
図7Fは出力極電圧が−E、出力電流が負の場合に導通するスイッチ部を示す。
【0087】
図7Dでは第3スイッチ部53cの電力用半導体及び第4スイッチ部53dのダイオードが導通し、
図7Eでは第1スイッチ部53aのダイオードが導通し、
図7Fでは第2スイッチ部53bの電力用半導体が導通する。
【0088】
つまり、本発明によれば、
図7A及び
図7Dではスイッチ部及びダイオードが導通するが、それ以外の場合は1つの素子のみ導通することから、
図10A〜
図10Fの従来技術と比較して導通する電力半導体素子の数が減少する。
【0089】
従って、本発明によれば、電力用半導体から発生する損失(熱)が減少してシステム全体の効率が向上し、それにより放熱板(ヒートシンク)の大きさが小さくなるので、システムの大きさを小さくすることができる。
【0090】
本発明によれば、マルチレベル高圧インバータの入力端に用いられる移相変圧器の構造をモジュール化することにより、システム設計時の自由度を高めてシステム全体の体積及び重量を減少させ、従って、システム全体の冗長性を増加させることができる。
【0091】
また、本発明によれば、インバータ部をカスケードT形NPC構造に構成し、導通する電力用半導体の平均数を減らすことにより、導通損失を低減し、従って、放熱設計を容易にしてシステム全体の体積及びコストを低減することができる。
【0092】
以上、代表的な実施形態により本発明を詳細に説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範疇を逸脱しない限り、前述した実施形態から様々な変形が可能であることを理解するであろう。よって、本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されて定められてはならず、添付の特許請求の範囲及びその均等物により定められるべきである。