特許第5902778号(P5902778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5902778周辺機器を安全に制御する機能を有する工作機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5902778
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】周辺機器を安全に制御する機能を有する工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/03 20060101AFI20160331BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20160331BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   G05B9/03
   G05B19/05 N
   B23Q11/00 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-179082(P2014-179082)
(22)【出願日】2014年9月3日
【審査請求日】2015年6月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】星野 嘉則
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−318277(JP,A)
【文献】 特開平05−233017(JP,A)
【文献】 特開2009−259134(JP,A)
【文献】 特開2010−262432(JP,A)
【文献】 特開2001−014015(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0306601(US,A1)
【文献】 特許第4300129(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/00− 9/03
B23Q 11/00
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全信号の状態を監視する独立した二つの安全機能用シーケンスプログラムと、前記安全機能用シーケンスプログラムが別々に保存される二つの記憶部と、前記安全機能用シーケンスプログラムをそれぞれ起動する第1のCPUおよび第2のCPUを備えた工作機械おいて、
前記記憶部の各々が、プログラムを変更出来ない固定プログラム領域と、
プログラムの追加・変更可能な可変プログラム領域を有し、
前記固定プログラム領域の中には、前記工作機械の制御に用いられる前記安全機能用シーケンスプログラムが予め記憶されており、
前記可変プログラム領域の中には、さらに複数の領域に分割された周辺機器プログラム領域が含まれ、
前記第1のCPU1と第2のCPU2は、夫々の周辺機器プログラム領域に記憶された周辺機器プログラムを実行して入出力される入出力信号が一致するかどうかを監視すると共に、
前記第2のCPUは、前記安全機能用シーケンスプログラム毎に予め設定された実行周期で安全機能用シーケンスプログラムを実行する、
ことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
安全信号の状態を監視する独立した二つの安全機能用シーケンスプログラムと、前記安全機能用シーケンスプログラムが別々に保存される二つの記憶部と、前記安全機能用シーケンスプログラムをそれぞれ起動する第1のCPUおよび第2のCPUを備えた工作機械おいて、
前記記憶部の各々が、プログラムを変更出来ない固定プログラム領域と、
プログラムの追加・変更可能な可変プログラム領域を有し、
前記固定プログラム領域の中には、前記工作機械の制御に用いられる前記安全機能用シーケンスプログラムが予め記憶されており、
前記可変プログラム領域の中には、さらに複数の領域に分割された周辺機器プログラム領域が含まれ、
前記第1のCPU1と第2のCPU2は、夫々の周辺機器プログラム領域に記憶された周辺機器プログラムを実行して入出力される入出力信号が一致するかどうかを監視すると共に、
前記第2のCPUは、実行周期の異なる複数の系統のシーケンス制御部を制御する、
ことを特徴とする特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関し、特に工作機械本体だけでなく、その周辺装置を含めた状態で安全を確保したい場合、新たに安全スイッチ、安全リレーなどハード回路の安全装置や安全シーケンサなどを追加することなく、工作機械に組み込まれた安全機能付プログラマブル・シーケンス制御(安全シーケンスラダー)により、工作機械に取付けられる周辺機器に関するプログラムを後付で容易にカスタマイズすることができる工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械からオペレータを安全に保護するために最低限必要な部分については、ユーザが変更できないシーケンスプログラムで構成された組み込み安全回路と、ユーザが自由に変更可能なユーザ安全回路を有し、ユーザ安全回路が不適切なものであっても、機械を操作するオペレータの最低限の安全は保持される安全機能を内蔵したプログラマブル・シーケンス制御装置があった(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、従来、工作機械において周辺装置を含めた状態で安全を確保したい場合、安全スイッチや安全リレーなどを追加して、安全回路をハードで構成して周辺装置を制御したり、安全シーケンサを追加して本体ソフトウェアと異なる手段で安全ソフトウェアを作成・追加する場合もある。
【0004】
更に、複数のCPUを用いた機械における安全確保のための技術として、それぞれのCPUが利用するプログラム領域の相互チェックを行う技術がある。例えば、図5に示すように、複数のCPUを用いた機械では、プログラム領域は、CPU1が制御する固定プログラム領域(機械本体で使用している部分)と周辺機器メーカやユーザが自由にプログラムを作成できる可変プグラム領域に分けられている。CPU2が制御するプログラムは、固定プログラム領域で構成されている。固定プログラム領域内に安全機能の領域も含まれる。CPU2が制御する安全機能領域とCPU1内の安全領域のプログラムについては、固定プログラム領域内の相互チェックが行われており、安全が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4300129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示される従来技術は、機械の制御論理の初期設計段階において、安全機能を可能にする安全機能内蔵プログラマブル、シーケンス制御装置を構築する技術であり、機械が完成後に周辺機器メーカが自由に安全機能の制御論理を組み替え・追加することは、困難であるという問題があった。
【0007】
安全スイッチや安全リレー、安全シーケンサを追加する従来技術は、周辺装置に作業者の安全を確保する必要がある場合に、安全スイッチや安全リレー、安全シーケンサなどを追加して、安全回路を構成し、周辺装置を制御しているが、これは、安全を守る為の部品の追加に費用が掛かり、また、ソフトウェアで構成しても、構造的に安全が確実に確保されない場合がある。
【0008】
複数のCPUを用いた機械における安全確保をする場合、安全機能の中に、短い周期で動作を監視する機能と安全信号状態をモニタする機能がある。CPU2の処理は、どれも同じ周期で相互監視処理を行っており、CPUへの負担が大きい。また、CPU1は、PMC専用のCPUであり、処理に余裕があるが、CPU2は、CNCのCPUの空き時間で処理されている為、処理に余裕がなく、大きな容量のソフトを作成することが難しい。
また、可変プログラム領域に周辺機器のプログラムを追加しても、周辺機器に関する入出力信号が1重構造となるため、安全回路として不十分であった。これを補うためには、追加のハードウェア回路が必要であり、手間もコストもかかった。
【0009】
更に、数値制御装置のコントロールソフトウェアの処理量は、工作機械の多軸化、多系統化や、高機能化の要望実現により年々増加しており、特に多軸化による軸制御処理の増加は顕著である。また、より高速かつ高精度な加工を実現するために、リアルタイム性の高い軸制御処理の既定周期をより短縮化することも要求されており、結果として、より短時間でより多くの処理を行うことが必要となるという問題があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、周辺機器の後付けが容易かつ安価に実現でき、安全性も保てる工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1に係る発明は、安全信号の状態を監視する独立した二つの安全機能用シーケンスプログラムと、前記安全機能用シーケンスプログラムが別々に保存される二つの記憶部と、前記安全機能用シーケンスプログラムをそれぞれ起動する第1のCPUおよび第2のCPUを備えた工作機械おいて、前記記憶部の各々が、プログラムを変更出来ない固定プログラム領域と、プログラムの追加・変更可能な可変プログラム領域を有し、前記固定プログラム領域の中には、前記工作機械の制御に用いられる前記安全機能用シーケンスプログラムが予め記憶されており、前記可変プログラム領域の中には、さらに複数の領域に分割された周辺機器プログラム領域が含まれ、前記第1のCPU1と第2のCPU2は、夫々の周辺機器プログラム領域に記憶された周辺機器プログラムを実行して入出力される入出力信号が一致するかどうかを監視すると共に、前記第2のCPUは、前記安全機能用シーケンスプログラム毎に予め設定された実行周期で安全機能用シーケンスプログラムを実行する、ことを特徴とする工作機械である。
【0012】
本願の請求項2に係る発明は、安全信号の状態を監視する独立した二つの安全機能用シーケンスプログラムと、前記安全機能用シーケンスプログラムが別々に保存される二つの記憶部と、前記安全機能用シーケンスプログラムをそれぞれ起動する第1のCPUおよび第2のCPUを備えた工作機械おいて、前記記憶部の各々が、プログラムを変更出来ない固定プログラム領域と、プログラムの追加・変更可能な可変プログラム領域を有し、前記固定プログラム領域の中には、前記工作機械の制御に用いられる前記安全機能用シーケンスプログラムが予め記憶されており、前記可変プログラム領域の中には、さらに複数の領域に分割された周辺機器プログラム領域が含まれ、前記第1のCPU1と第2のCPU2は、夫々の周辺機器プログラム領域に記憶された周辺機器プログラムを実行して入出力される入出力信号が一致するかどうかを監視すると共に、前記第2のCPUは、実行周期の異なる複数の系統のシーケンス制御部を制御する、ことを特徴とする特徴とする工作機械である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、可変プログラム領域を複数の領域に分け、その領域に周辺機器用のプログラム領域が含まれるようにし、複数の安全機能用シーケンスプログラムの実行周期を変更する構成、およびCPU2を複数系統処理可能な構成とすることにより、系統毎に実行周期を変更できる構成を工作機械に設けている。このような構成を設けることにより、周辺機器の後付けが容易かつ安価に実現でき、安全性も保てる工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施の形態の周辺機器を安全に制御する機能を有する工作機械の要部ブロック図である。
図2】本発明に係る実施の形態における固定プログラム領域と可変プログラム領域の関係を説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態におけるCPUによる入出力監視処理のフローチャートである。
図4】本発明の他の実施の形態の概要を説明する図である。
図5】従来技術における安全制御機能を有する工作機械の要部ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明に係る実施の形態の周辺機器を安全に制御する機能を有する工作機械の要部ブロック図である。工作機械100には、CPU1とCPU2の2つのプロセッサと、CPU1,2がそれぞれ実行する安全関連ソフトウェアプログラムを記憶するプログラム領域10,20を備えている。それぞれのプログラム領域10,20は、固定プログラム領域11,21と可変プログラム領域12,22とに分けられている。
【0016】
固定プログラム領域11と固定プログラム領域21には、機械本体の制御に用いる安全機能用シーケンスプログラムが両領域に格納されており、CPU1,2はそれぞれの固定プログラム領域11,21に記憶された安全機能用シーケンスプログラムを実行することにより、工作機械から入力される機械信号を処理することができるようになっており、いずれか一方のCPUに問題が発生したとしても、他方のCPUにより安全制御が実行されるようになっている。
【0017】
また、可変プログラム領域12と可変プログラム領域22には、周辺機器メーカやユーザが作成した複数の周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムを記憶する周辺機器プログラム領域が設けられている。可変プログラム領域12,22に設けられた各周辺機器プログラム領域は両可変プログラム領域間で対応付けられており、同一の周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムがそれぞれの領域に2重に格納されているため、いずれか一方のCPUに問題が発生したとしても、他方のCPUにより周辺機器に関する安全制御が実行されるようになっている。
【0018】
CPU1,2は工作機械から機械信号を受信すると、固定プログラム領域11,21に記憶されている安全機能用シーケンスプログラムを実行して入力された機械信号を解析し、油圧モータ、空圧回路、動力などの機械各部に対する出力信号を生成し、油圧モータ等の動力遮断、空圧回路の元電源の遮断、機械の安全停止、機械の安全な緊急停止などの制御を行う。
【0019】
また、CPU1,2は安全柵スイッチ3、治具関係の油圧・空圧回路4、コンベア、ローダ回路5などの周辺機器からの入力信号を受信すると、可変プログラム領域12,22に記憶されている、それぞれの周辺機器に対応する周辺機器プログラム領域に記憶されている周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムを実行し、当該安全機能用シーケンスプログラムにより入力された各種信号を解析して機械各部を制御するための出力信号を生成し、油圧モータ等の動力遮断、空圧回路の元電源の遮断、機械の安全停止、機械の安全な緊急停止などの制御を行う。
【0020】
そして、CPU1とCPU2は、相互に相手の入力信号、出力信号が、自CPUへの入力信号、出力信号と一致するかを監視することで、安全制御の2重化を実現している。このような相互監視は、固定プログラム領域11,21と、可変プログラム領域12,22内の周辺機器プログラム領域ごとに実行されているため、機械信号に基づく安全制御だけでなく、各周辺機器に基づく安全制御についても完全な2重化が実現される。
【0021】
図2は、本発明の一実施の形態における固定プログラム領域と可変プログラム領域の関係を説明するための図である。
図1で説明したように、本発明の工作機械においては、周辺機器に基づく安全制御を行うための周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムを周辺機器のメーカやユーザが自由に追加できるように構成している。そのために、可変プログラム領域22に記憶された周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムから出力される出力信号を、工作機械が備える機械各部に対して出力するための機構を設ける必要がある。本発明の一実施の形態における工作機械は、予め工作機械の仕様に合わせて、固定プログラム領域21に可変プログラム領域22から出力される信号を受け付けるための安全信号インタフェース230を設けることで、この問題を解決する。
【0022】
図2に示すように、機械主要部から入力された信号は、固定プログラム領域21の入力信号受信部211により受信され、論理(ロジック)部212によって解析される。そして、解析結果に基づいて出力信号送信部油圧用213、出力信号送信部空圧用214、出力信号送信部動力停止用215、出力信号送信部動力遮断用216に対する信号が生成され、各送信部から油圧部110、空圧部120、動力停止部130、動力遮断部140の機械各部へ制御用の信号が出力される。
【0023】
これに対して、周辺機器から入力された信号は、可変プログラム領域22の入力信号受信部221により受信され、論理(ロジック)部222によって解析される。なお、入力信号受信部221、論理(ロジック)部222は、各周辺機器プログラム領域に格納されている周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムにより実現される機能手段である。
その後、論理(ロジック)部222の解析結果に基づいて、安全信号インタフェース230を介して出力信号送信部油圧用213、出力信号送信部空圧用214、出力信号送信部動力停止用215、出力信号送信部動力遮断用216に対する信号が生成され、各送信部から油圧部110、空圧部120、動力停止部130、動力遮断部140の機械各部へ制御用の信号が出力される。
【0024】
このように、周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムを作成する周辺機器メーカやユーザは、安全信号インタフェースを介して信号を出力するプログラムを作成することで機械各部に対する制御を行うことができるので、新たな追加のハードウェア回路を設けることなく各周辺機器に基づく安全制御に関する処理を自由に作成することができる。
【0025】
ここまで説明してきたように、本発明が提案する構成を設けることにより、周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムを周辺機器メーカやユーザが工作機械に自由に追加できるようにし、追加した周辺機器に基づく工作機械の安全制御を2重化することができる。しかしながら、固定プログラム領域11,21に格納されている安全機能用シーケンスプログラムの入出力を監視するのと同じ周期で全ての周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムに対する入出力を監視した場合、CPUに対して負荷がかかるという問題がある。そこで、本発明においては、追加された周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの種類や重要度に応じて、固定プログラム領域11,21の監視とは異なるあらかじめ設定された周期にて、周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの入出力を監視するように構成する。
【0026】
図3の左側のフローチャートは、本発明の一実施の形態における、周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムが追加されていない状態における、CPU2による入出力監視処理のフローチャートである。周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムが追加されていない状態では、CPU2においては、固定プログラム領域11,21の安全機能用シーケンスプログラムのみが監視対象となる。そのため、ステップSA01に示すように、CPU2は数μsec周期でCPU1の固定プログラム領域11の入出力信号とCPU2の固定プログラム領域21の安全機能用シーケンスプログラムの入出力信号の一致を監視する。
【0027】
図3の右のフローチャートは、本発明の一実施の形態における、周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムが追加された状態における、CPU2による入出力監視処理のフローチャートである。
●[ステップSB01]周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムを追加する場合、追加する周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの個数nを取得する。個数nは、オペレータからの入力により取得してもよいし、工作機械の起動時の初期化の際に読み込まれる周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの個数をカウントするようにしてもよい。
●[ステップSB02]ステップSB01で取得したnに基づいて、周辺機器プログラム領域をn個確保する。
●[ステップSB03]CPU2は数μsec周期でCPU1の固定プログラム領域11の安全機能用シーケンスプログラムの入出力信号と、CPU2の固定プログラム領域21の安全機能用シーケンスプログラムの入出力信号の一致を監視する。
●[ステップSB04]CPU2は、周辺機器プログラム領域に格納された周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラム毎に、それぞれの周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムに設定された重要度や種類に応じてあらかじめ設定されている周期で、CPU1の可変プログラム領域12に記憶された各周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの入出力信号と、CPU2の可変プログラム領域22に記憶された対応する各周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの入出力信号の一致を監視する。
【0028】
図3のフローチャートでは、各周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの入出力信号の監視はあらかじめ設定された周期(数十msec周期)で行うように記載しているが、当該周期は、CPUにかかる負荷と、周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムに設定された重要度や種類に基づく優先度に応じて、動的に調整するようにしてもよい。
【0029】
このように、固定プログラム領域に格納されている工作機械の安全機能用シーケンスプログラムの入出力の監視周期と、各周辺機器用の安全機能用シーケンスプログラムの入出力の監視周期とを異なる周期とすることにより、CPUによる監視処理の負荷を軽減することができる。
【0030】
以上、説明してきた構成を工作機械に設けることにより、CPUの負荷を高くすることなく、追加した周辺機器に基づく工作機械の安全制御の2重化が実現できるが、この構成を応用することで、CPUの安全制御にかかる負荷を高くすることなく、多系統の安全制御を同時に行うようにすることができる。
【0031】
図4の左は、従来通りCPUを1つの系統のPMCとして動作させ安全制御を行う場合の概念図である。これに対して、本発明においては、図4の右に示すように、系統毎に処理時間(監視周期など)を設定できるように構成する。このように構成することで、系統毎にあらかじめ設定された周期にて安全制御の状態を監視できるため、CPUの負荷を高めることなく複数系統の監視を実現することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,2 CPU
3 安全柵スイッチ
4 治具関係の油圧・空圧回路
5 コンベア、ローダなどの回路
10 プログラム領域(CPU1用)
11 固定プログラム領域(CPU1用)
12 可変プログラム領域(CPU1用)
20 プログラム領域(CPU2用)
21 固定プログラム領域(CPU2用)
22 可変プログラム領域(CPU2用)
100 工作機械
110 油圧部
120 空圧部
130 動力停止部
140 動力遮断部
211 入力信号受信部
212 論理(ロジック)部
213 出力信号送信部油圧用
214 出力信号送信部空圧用
215 出力信号送信部動力停止用
216 出力信号送信部動力遮断用
221 入力信号受信部
222 論理(ロジック)部
230 安全信号インタフェース
【要約】
【課題】周辺機器の後付けが容易かつ安価に実現でき、安全性も保てる工作機械を提供すること。
【解決手段】安全信号の状態を監視する独立した二つの安全機能用シーケンスプログラムと、前記安全機能用シーケンスプログラムが別々に保存される二つの記憶部と、前記安全機能用シーケンスプログラムをそれぞれ起動する第1のCPUおよび第2のCPUを備えた工作機械おいて、前記第2のCPUが、前記安全機能用シーケンスプログラム毎にあらかじめ設定された異なる実行周期で監視処理を実行するように構成することで、安全信号の状態監視におけるCPU負荷を軽減する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5