(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902788
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】携帯端末装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20160331BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
H04N5/225 A
H04N5/232 Z
H04N5/225 F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-218943(P2014-218943)
(22)【出願日】2014年10月28日
(62)【分割の表示】特願2009-291840(P2009-291840)の分割
【原出願日】2009年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-57903(P2015-57903A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2014年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】渡部 修
【審査官】
瀧内 健夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−229392(JP,A)
【文献】
特開2005−303913(JP,A)
【文献】
特開平10−301550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ機能を備えた携帯端末装置であって、
前記カメラ機能により得られた画像を処理する画像処理部を含むカメラモジュール部と、
前記カメラモジュール部で処理された画像データを格納する格納部と、
前記画像データに対して手ブレ補正、高画質化処理を含む後処理を実行する後処理手段と、
画像表示部の表示を制御する表示制御部と、
前記カメラ機能による撮影開始から前記後処理手段による後処理終了までの複数の処理の開始あるいは終了タイミングのうち、少なくとも前記カメラ機能による撮影開始を規定する撮影トリガと、前記画像処理部による画像処理の終了を規定する撮影完了トリガと、前記後処理手段での前記後処理の終了を規定する終了トリガとを検出する検出部と、を含み、
前記表示制御部は、前記撮影トリガの発生時から前記撮影完了トリガの発生時までは、前記画像表示部に「撮影中」の文字による案内表示を行い、前記撮影完了トリガの発生時から前記終了トリガまでは、前記後処理手段による後処理中の画像を表示する、ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記撮影完了トリガの発生時から前記終了トリガまでは、前記手ブレ補正や高画質化処理により時間と共に鮮明化されてゆく画像を、前記後処理中の画像として表示する、ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
カメラ機能を備えた携帯端末装置の制御方法であって、
前記カメラ機能による撮影開始を規定する撮影トリガを検出してから、カメラモジュール部に含まれる画像処理部による前記カメラ機能により得られた画像の処理の終了を規定する撮影終了トリガを検出するまで、画像表示部に「撮影中」の文字による案内表示を行う第1の工程と、
前記撮影終了トリガを検出してから、前記カメラモジュール部で処理された画像データに対して手ブレ補正、高画質化処理を含む後処理の終了を規定する終了トリガを検出するまで、前記後処理中の画像を表示する第2の工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項4】
カメラ機能を備えた携帯端末装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記カメラ機能による撮影開始を規定する撮影トリガを検出してから、カメラモジュール部に含まれる画像処理部による前記カメラ機能により得られた画像の処理の終了を規定する撮影終了トリガを検出するまで、画像表示部に「撮影中」の文字による案内表示を行う第1の処理と、
前記撮影終了トリガを検出してから、前記カメラモジュール部で処理された画像データに対して手ブレ補正、高画質化処理を含む後処理の終了を規定する終了トリガを検出するまで、前記後処理中の画像を表示する第2の処理と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ機能を備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のような携帯端末装置にはカメラ機能を備えるのが普通になってきており、カメラ機能について言えば高画質化が課題の一つとなっている。このような課題は、これまでは、カメラ機能で撮影した画像信号を携帯電話機とは別の画像処理装置に送信して高画質とするための画像処理を行なうことで達成されていた(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、近年、カメラ機能を備えた携帯端末装置においては、装置自体の高機能化、すなわちカメラの高解像度化、画像表示部としてのLCDの大画面化と高解像度化が進んできており、これに伴い、装置内でのソフトウェアの処理負荷が増加する傾向にある。このような傾向の中で、ユーザに対する使い勝手の良さ、処理の速さ(体感的なものを含む)を提供することが携帯端末装置の要件として重要となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−281511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末装置におけるカメラ機能の使い勝手の一例として、携帯端末装置でカメラ撮影を行う場合に、携帯端末装置を動かしてはいけない撮影中と、撮影が完了したあとの高画質化などの後処理がUI(User Interface)上わかりにくく、その結果、ユーザは後処理が終わるまで携帯端末装置を動かさないという使い勝手の悪さ、そして撮影動作の体感的な遅さを感じさせている。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カメラ機能を備えた携帯端末装置において、カメラ撮影に際し、装置を動かしてはいけない時間と撮影後の後処理の時間とを明確に識別できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる携帯端末装置は、
カメラ機能を備えた携帯端末装置であって、
前記カメラ機能により得られた画像を処理する画像処理部を含むカメラモジュール部と、
前記カメラモジュール部で処理された画像データを格納する格納部と、
前記画像データに対して手ブレ補正、高画質化処理を含む後処理を実行する後処理手段と、
画像表示部の表示を制御する表示制御部と、
前記カメラ機能による撮影開始から前記後処理手段による後処理終了までの複数の処理の開始あるいは終了タイミングのうち、少なくとも前記カメラ機能による撮影開始を規定する撮影トリガと、前記画像処理部による画像処理の終了を規定する撮影完了トリガと、前記後処理手段での前記後処理の終了を規定する終了トリガとを検出する検出部と、を含み、
前記表示制御部は、前記撮影トリガの発生時から前記撮影完了トリガの発生時までは、前記画像表示部に「撮影中」の文字による案内表示を行い、前記撮影完了トリガの発生時から前記終了トリガまでは、前記後処理手段による後処理中の画像を表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラ撮影に際し、装置を動かしてはいけない時間と撮影後の後処理の時間とを明確に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る携帯端末装置の実施例のブロック構成を示した図である。
【
図2】これまでの携帯端末装置と本発明の実施例におけるカメラ撮影時のUI上の処理、表示形態を比較説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施例の構成]
次に、本発明に係る携帯端末装置の実施例の構成について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明を、携帯端末装置のうち、携帯電話機に適用した場合の実施例を示す。
【0012】
図1を参照すると、携帯電話機1はマイクロプロセッサMPUを備える。
図1ではマイクロプロセッサMPUの構成を機能ブロック図で示しており、マイクロプロセッサMPUは、プログラム制御により動作し少なくとも手ブレ補正や高画質化処理を実行するCPU(後処理手段)11と、カメラで取得した撮影(画像)データに対し画像フォーマットの変換を含む画像処理を行う画像処理部を含むカメラモジュール部12と、撮影や画像処理、手ブレ補正や高画質化処理の終了を検出する検出部13と、検出部13からのトリガを監視し、そのトリガによって表示画面を更新する表示制御部14を含む。携帯電話機1はまた、撮影データを格納するためのRAM20と、OS(Operating System)や携帯電話機の備える各種機能を実現するための各種プログラム、本実施例で言えば画像処理を制御するプログラムを格納したROM30、画像表示部としてのLCD40を有する。
【0013】
MPUの各構成要素は内部バスで相互接続され、RAM20、ROM30、LCD40とはデータバスで接続されている。
【0014】
以降の実施例の動作説明は複数種類のトリガを用いて行なうが、これらのトリガについて説明すると以下の通りである。
【0015】
撮影トリガTG1:ユーザが撮影を行う際にシャッターボタンを押下したタイミングで発生される信号。
【0016】
撮影完了トリガTG2:カメラモジュール部内での撮影(露光)処理、画像フォーマットの変換処理を含む画像処理の完了(=撮影データの取得処理完了)のタイミングで発生される信号。
【0017】
終了トリガTG3:CPU11においてカメラモジュール部から取得した撮影データに対する手ブレ補正や高画質化処理が終了したタイミングで発生される信号。
【0018】
撮影完了トリガTG2はカメラモジュール部12から検出部13に通知され、終了トリガTG3は、CPU11の実行するプログラムが、手ブレ補正や高画質化処理の終了時に検出部13に通知する。表示制御部14は、検出部13が撮影完了トリガTG2や終了トリガTG3を受けたかを監視し、受け取ったトリガに応じて表示制御を行なう。
【0019】
なお、
図1は、携帯電話機1の備える構成要素のうち、本発明を実施するために必要な構成要素を示しており、キー入力部のほか、携帯電話機として機能させるために必要な構成は周知の構成が適用されるので、図示、説明は省略する。
【0020】
[実施例の動作]
次に、
図2をも参照して本発明の実施例の動作について説明する。
【0021】
図2は、これまでの携帯電話機と本発明の実施例による携帯電話機におけるカメラによる撮影時のUI上の処理を比較説明するための図である。
【0022】
図2(a)はこれまでの携帯電話機におけるカメラ撮影時の表示形態を示す。これまでの表示形態では、単一色による背景に「撮影中」、「処理中」というような文字表示による案内がLCDにより切替え表示されるが、ユーザは、撮影完了がわからない=その間は装置を動かしてはいけない、と誤解し、UI上好ましくない形態となっている。
【0023】
これに対し、本実施例ではまず、携帯電話機1において、ユーザがキー入力部によりカメラ機能の使用を選択する操作を行なうと、CPU11がROM30に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、前記プログラムで規定された目的に応じた設定をカメラモジュール部12に対して行う。これにより、カメラモジュール部12はその動作を開始する。カメラモジュール部12は、前記プログラム、シャッターボタン押下による撮影トリガTG1に同期して撮影処理を行い、撮影データをRAM20に格納する。
【0024】
検出部13は、カメラモジュール部12からの撮影完了トリガTG2の有無を監視する。検出部13はまた、CPU11において前記プログラムによってRAM20に格納された撮影データに対して行われる、手ブレ補正や高画質化処理の終了トリガTG3を監視する。
【0025】
表示制御部14は、撮影トリガTG1を監視すると共に検出部13を監視し、
図2(b)に示すように、撮影トリガTG1の発生時から撮影完了トリガTG2の発生時まではLCD40により、所定の背景、ここでは単一色の背景に「撮影中」の文字による案内表示を行なう。表示制御部14は続いて、検出部13において撮影完了トリガTG2を受けたことを知ると表示を更新し、手ブレ補正、高画質化処理などの後処理中であることを示す後処理画像をLCD40に表示する。表示制御部14は更に、検出部13において各処理の終了トリガTG3を受けたことを知ると、この終了トリガTG3に従い、LCD40の表示画面を画像処理後の確認のための画像に更新する。
【0026】
このようにして、撮影からはじまる処理プロセスにおいて、各処理の開始あるいは終了をトリガにより明確に検出することによって表示画面を更新することで、UI上の使い勝手の悪さ、体感的な遅さを軽減させる。すなわち、撮影から始まる処理プロセスの各段階を把握して表示画面を更新し、特に、装置を動かしてはいけないという拘束時間が経過したら直ちに後処理中の画像を表示させるようにしたことにより、ユーザは後処理中の画像が表示されたら拘束を解除しても良いと判断することができ、これによって、これまでの表示形態に比べて、装置を動かしてはいけないという拘束時間を短縮することができる。
【0027】
なお、後処理中の画像は、後処理開始時の画像を変化させずに表示しても良いが、体感的な遅さを抑制するためには手ブレ補正や高画質化処理により時間と共に鮮明化されてゆく画像を表示させるのが好ましい。
【0028】
[実施例の効果]
本発明の実施例では、検出部13の機能を用い、撮影からはじまる処理プロセスにおける各処理の開始あるいは終了トリガを監視し、そのトリガに従ってLCD40における表示画面を更新できる構成としたことにより、撮影終了と撮影後の後処理を明確に識別でき、さらに後処理の経過を画面に表示することで、撮影に際して携帯電話機を動かしてはいけない時間帯をユーザに明確に知らせることができ、処理経過における体感的な遅さを抑制することができる。
【0029】
本発明は、カメラ機能により得られた撮影(画像)データを処理する画像処理部を含むカメラモジュール部をもつマイクロプロセッサを実装した携帯端末装置に適用されるのが好ましい。この場合、本携帯端末装置は、上記目的を達成するために必要な要素としては、マイクロプロセッサのほか、カメラモジュール部から転送された撮影(画像)データを格納するRAM(Random Access Memory)、高画質化のための画像処理のソフトウェアプログラムや携帯端末装置に必要な様々な機能を実現するための様々なソフトウェアプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、画像表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display)を備えることが望ましい。
【0030】
マイクロプロセッサは命令を実行するCPU(Central Processing Unit)のほか、カメラ撮影完了や高画質化などの後処理の終了を検出する検出部、検出部を監視し表示画面を更新する表示制御部を含む。
【0031】
なお、本発明は、カメラモジュール部がカメラと一体にされてマイクロプロセッサの外に配置される、いわゆる外付けタイプの携帯端末装置にも適用され得る。
【0032】
本発明は、以下の態様で実施されることが好ましい。
【0033】
(第1の態様)
カメラ機能により得られた画像を処理する画像処理部を含むカメラモジュール部と、前記カメラモジュール部から転送された画像データを格納するRAMと、少なくとも手ブレ補正、高画質化のための画像処理用のソフトウェアプログラムを格納したROMと、前記ソフトウェアプログラムに基づいて、前記画像データに対して手ブレ補正、高画質化処理を含む後処理を実行する後処理手段と、画像表示部としてのLCDと、前記LCDの表示を制御する表示制御部と、前記カメラ機能による撮影開始から前記後処理手段による後処理終了までの複数の処理の開始あるいは終了タイミングを検出する検出部と、を含み、前記表示制御部は、前記カメラ機能による撮影に際し、前記検出部において前記複数の処理の開始あるいは終了タイミングが検出される毎に前記LCDの表示内容を更新することにより、撮影中の表示と撮影終了後の画像の後処理中の表示とを区別して表示することを特徴とする携帯端末装置。
【0034】
(第2の態様)
上記第1の態様において、前記表示制御部は、前記撮影中の表示を、「撮影中」の文字を表示することで行い、前記撮影終了後の画像の後処理中の表示を、後処理の画像を表示することで行なう。
【0035】
(第3の態様)
上記第2の態様において、前記複数の処理の開始あるいは終了タイミングの検出として、少なくとも、前記カメラ機能のシャッターボタンの押下により発生され、前記「撮影中」の文字表示の開始を規定する撮影トリガの検出と、前記カメラモジュール部内部での画像処理完了に伴って発生され、前記「撮影中」の文字表示から前記撮影終了後の後処理中の画像表示への切替えを規定する撮影完了トリガの検出と、前記後処理手段での前記後処理完了に伴って発生され、前記撮影終了後の後処理中の画像表示から確認のための画像表示への切替えを規定する終了トリガの検出と、を行なう。
【0036】
(第4の態様)
上記第1〜第3の態様のいずれかにおいて、前記後処理手段、前記表示制御部、前記検出部、前記カメラモジュール部がマイクロプロセッサで実現される。
【0037】
(第5の態様)
上記第1〜第4の態様のいずれかにおいて、前記表示制御部は、前記撮影終了後の後処理中の画像表示を、前記手ブレ補正や高画質化処理により時間と共に鮮明化されてゆく画像を表示することで行なうことにより、ユーザにおける体感的な遅さを抑制する。
【0038】
(第6の態様)
LCDとカメラ機能を備えた携帯端末装置の表示制御方法において、前記カメラ機能により得られた画像を処理する画像処理過程と、処理された画像データをメモリに格納する過程と、前記画像データに対して手ブレ補正、高画質化処理を含む後処理を実行する後処理過程と、前記カメラ機能による撮影開始から前記後処理過程の終了までの複数の処理の開始あるいは終了タイミングを検出する検出過程と、前記カメラ機能による撮影に際し、前記複数の処理の開始あるいは終了タイミングが検出される毎に前記LCDの表示内容を更新する過程と、を含み、撮影中の表示と撮影終了後の画像の後処理中の表示とを区別して表示することを特徴とする携帯端末装置の表示制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、カメラモジュール部とMPU、あるいはカメラモジュール部をオンチップ化したMPUを搭載した携帯型の情報処理装置全般に適用できる。