特許第5902811号(P5902811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5902811バッテリモジュール間のコネクタおよびそれを備えるバッテリシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902811
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】バッテリモジュール間のコネクタおよびそれを備えるバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20160331BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-521930(P2014-521930)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公表番号】特表2014-524126(P2014-524126A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】CN2012079287
(87)【国際公開番号】WO2013017048
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】201110214063.3
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201120271655.4
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512197733
【氏名又は名称】シェンゼェン ビーワイディー オート アールアンドディー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(74)【代理人】
【識別番号】100107560
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 惣一郎
(72)【発明者】
【氏名】トン ジーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ライ チン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジア
(72)【発明者】
【氏名】ジュー ジャンフア
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−251352(JP,A)
【文献】 特表2011−517008(JP,A)
【文献】 特開2006−253060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュール間のコネクタであって、
第1および第2の接続ピースであって、前記第1の接続ピースは、第1のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続され、前記第2の接続ピースは、前記第1のバッテリモジュールに隣接する第2のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続され、前記第1の接続ピースおよび前記第2の接続ピースは、その間に電気的接続部分を形成するように互いに電気的に接続される、第1および第2の接続ピース、を備え、
前記第1および第2の接続ピースの各々は、
実質的に逆U字形状を有する緩衝部、
前記緩衝部の一端部に連結されて、前記バッテリモジュールの前記出力端部に電気的に接続される出力端部接続部、
前記緩衝部の他端部に連結されるクランプ部、を備え、
前記第1および第2の接続ピースの前記クランプ部は、互いに電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記電気的接続部分を締め付けるように構成されるクランプユニットを備え、
前記クランプユニットは、
上のクランプ板、
下のクランプ板、および、
留め金具、を備え、
前記電気的接続部分は、前記上のクランプ板と前記下のクランプ板との間に締め付けられ、前記上のクランプ板および前記下のクランプ板は、前記留め金具によって一緒に固定される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記留め金具は、ねじを含む、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記緩衝部の上部は、円弧の形状であり、前記円弧の半径は、前記緩衝部の高さの20%〜80%である、請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記緩衝部は、それぞれ移行円弧を介して、前記出力端部接続部および前記クランプ部に連結される、請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1および第2の接続ピースの前記クランプ部は、一緒に溶着される、請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1の接続ピースおよび/または前記第2の接続ピースは、複数の重ねられた金属シートによって形成される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1の接続ピースおよび前記第2の接続ピースの前記電気的接続部分は、絶縁カバーによって覆われる、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
バッテリシステムであって、
各々複数のセルを有する複数のバッテリモジュールであって、前記セルの各々は端子を有し、各バッテリモジュールの前記複数のセルは、その前記端子によって互いに直列におよび/または並列に接続され、前記バッテリモジュールの各々は出力端部を有する、複数のバッテリモジュール、および、
複数のコネクタであって、各コネクタは、隣接するバッテリモジュールの前記出力端部にそれぞれ電気的に接続される、複数のコネクタ、を備え、
各コネクタは、請求項1〜8のいずれか1項に記載のものである、バッテリシステム。
【請求項10】
複数のバッテリモジュール載置ゾーンおよび複数のコネクタゾーンを備えるバッテリトレイをさらに備え、前記バッテリモジュール載置ゾーンおよび前記コネクタゾーンは、間をおいて配置され、前記複数のバッテリモジュールは、前記複数のバッテリモジュール載置ゾーンにそれぞれ配置され、前記複数のコネクタは、前記複数のコネクタゾーンにそれぞれ配置される、請求項9に記載のバッテリシステム。
【請求項11】
各コネクタは、サポートを有し、前記第1の接続ピースと前記第2の接続ピースとの間の前記電気的接続部分を支持するように前記クランプユニットが前記サポート上に固定され、
各コネクタの前記サポートは、クランプ板固定部分および、前記クランプ板固定部分に対して垂直な支持部分を備え、前記クランプ板固定部分は、前記クランプユニットに接続され、前記支持部分は、前記バッテリトレイ上に接続される、請求項10に記載のバッテリシステム。
【請求項12】
各コネクタの前記第1の接続ピースおよび前記第2の接続ピースの前記電気的接続部分は、絶縁カバーによって覆われる、請求項11に記載のバッテリシステム。
【請求項13】
各コネクタゾーンには、隣接するバッテリモジュール載置ゾーンに対応する引き板がそれぞれ配置され、前記絶縁カバーの2つの端部は、前記引き板上にそれぞれへ固定される、請求項12に記載のバッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての相互参照]
この出願は、2011年7月29日に中華人民共和国の国家知的所有権事務所に出願された中国特許出願番号第201110214063.3号および第201120271655.4号の両方の優先権およびその利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、一般にコネクタに関し、より詳しくは、バッテリモジュール間のコネクタおよびそれを備えるバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
車両の電源バッテリの適用において、複数のバッテリモジュールは、電力出力の要求を満たすように一般にコネクタによって接続される。そして、バッテリモジュールの各々は、複数のセルによって形成される。したがって、車両の電源バッテリの信頼性および安全性は、バッテリモジュール間の接続の信頼性によって直接的に影響を受ける。
【0004】
バッテリモジュール間の従来の接続は、低い抵抗値を有する金属部材(例えば、銅線または銅の部分、およびねじ)を用いることによって、主に達成される。しかしながら、車両の走行中に、異なる周波数を有する振動は、ねじを緩ませる場合があり、そしてそれは、電源供給の中断を生じさせる場合がある。さらに、ねじの緩みの後、銅線は、バッテリにおいて自由に揺動してよく、そしてそれは、短絡を引き起こす場合がある。
【0005】
ねじが緩められるのを防止するために、緩み止め構造が提供される。しかしながら、銅線が固定構造以外の重い重量を有しないので、銅線は、ねじに対して外向きの引張力を生成する。その結果、ねじは緩み、そしてそれは、短絡を引き起こす場合がある。
【0006】
バッテリモジュールの従来のコネクタは、金属部分および少なくとも1つの円弧形状の金属箔の層を備える。金属部分の2つの端部は、隣接するバッテリモジュールの端子にそれぞれ接続される。金属箔は、金属部分の2つの端部の間に配置される。しかしながら、金属箔は、大きい衝撃力の下で壊れ易い。さらに、隣接するバッテリモジュールは、1つのコネクタを共有する。その結果、コネクタの2つの端部は、隣接するバッテリモジュールの端子にそれぞれ接続されなければならず、そしてそれは、バッテリモジュールの組立能力を減少させてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の実施形態は、従来技術において少なくともいくつかの範囲に存在する課題の少なくとも1つを解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様の実施形態は、バッテリモジュール間のコネクタを提供する。そしてそれは、信頼性が高くて、組み立てが容易である。
【0009】
本開示の第2の態様の実施形態は、バッテリシステムを提供する。
【0010】
本開示の第1の態様の実施形態は、バッテリモジュール間のコネクタを提供する。バッテリモジュール間のコネクタは、第1および第2の接続ピースであって、第1の接続ピースは、第1のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続され、第2の接続ピースは、第1のバッテリモジュールに隣接する第2のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続され、第1の接続ピースおよび第2の接続ピースは、その間に電気的接続部分を形成するように互いに電気的に接続される、第1および第2の接続ピース、電気的接続部分を締め付けるように構成されるクランプユニット、および、第1の接続ピースと第2の接続ピースとの間の電気的接続部分を支持するようにクランプユニットがサポート上に固定される、サポート、を備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、クランプユニットは、上のクランプ板、下のクランプ板、および、留め金具、を備え、電気的接続部分は、上のクランプ板と下のクランプ板との間に締め付けられ、そして、上のクランプ板および下のクランプ板は、留め金具によって一緒に固定される。
【0012】
いくつかの実施形態において、留め金具は、ねじを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1および第2の接続ピースの各々は、実質的に逆U字形状を有する緩衝部、緩衝部の一端部に連結されて、バッテリモジュールの出力端部に電気的に接続される出力端部接続部、緩衝部の他端部に連結されるクランプ部、を備え、第1および第2の接続ピースのクランプ部は、互いに電気的に接続される。
【0014】
いくつかの実施形態において、緩衝部の上部は、円弧の形状であり、円弧の半径は、緩衝部の高さの20%〜80%である。
【0015】
いくつかの実施形態において、緩衝部は、それぞれ移行円弧を介して、出力端部接続部およびクランプ部に連結される。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1および第2の接続ピースのクランプ部は、抵抗溶接によって一緒に溶着される。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1の接続ピースおよび/または第2の接続ピースは、複数の重ねられた金属シートによって形成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1の接続ピースおよび第2の接続ピースの電気的接続部分は、絶縁カバーによって覆われる。
【0019】
本開示の第2の態様の実施形態は、バッテリシステムを提供する。バッテリシステムは、各々複数のセルを有する複数のバッテリモジュールであって、セルの各々は端子を有し、各バッテリモジュールの複数のセルは、その端子によって互いに直列におよび/または並列に接続され、バッテリモジュールの各々は出力端部を有する、複数のバッテリモジュール、および、複数のコネクタであって、各コネクタは、隣接するバッテリモジュールの出力端部にそれぞれ電気的に接続される、複数のコネクタ、を備え、各コネクタは、本開示の第1の態様の実施形態のいずれか1つによるコネクタである。
【0020】
いくつかの実施形態において、バッテリシステムは、複数のバッテリモジュール載置ゾーンおよび複数のコネクタゾーンを備えるバッテリトレイをさらに備え、バッテリモジュール載置ゾーンおよびコネクタゾーンは、間をおいて配置され、複数のバッテリモジュールは、複数のバッテリモジュール載置ゾーンにそれぞれ配置され、複数のコネクタは、複数のコネクタゾーンにそれぞれ配置される。
【0021】
いくつかの実施形態において、各コネクタのサポートは、クランプ板固定部分および、クランプ板固定部分に対して垂直な支持部分を備え、クランプ板固定部分は、クランプユニットに接続され、支持部分は、バッテリトレイ上に接続される。
【0022】
いくつかの実施形態において、各コネクタの第1の接続ピースおよび第2の接続ピースの電気的接続部分は、絶縁カバーによって覆われる。
【0023】
いくつかの実施形態において、各コネクタゾーンには、隣接するバッテリモジュール載置ゾーンに対応する引き板がそれぞれ配置され、絶縁カバーの2つの端部は、引き板上にそれぞれへ固定される。
【0024】
本開示の実施形態によれば、第1および第2の接続ピースの電気的接続部分は、上下のクランプ板によって締め付けられ、次いで、上のクランプ板および下のクランプ板は、留め金具によって一緒に固定される。その結果、第1および第2の接続ピース間の接続強度および接続の信頼性は、改善される。上のクランプ板および/または下のクランプ板がサポート上に固定されるので、サポートは、バッテリモジュールが外力によって振動されるかまたは衝撃を与えられるときに電気的接続部分に適用される衝撃力を減らすことができる。そしてそれは、バッテリモジュール間のコネクタを破壊することを回避してよく、そして接続信頼性および反衝撃能力を高めてよい。加えて、1つの接続ピースは、1つのバッテリモジュールに接続され、そして、隣接するバッテリモジュールは、留め金具によって固定される。その結果、バッテリシステムの組立能力は、高められる。
【0025】
さらに、第1の接続ピースおよび第2の接続ピースの電気的接続部分を越えて絶縁カバーが配置されてよい。そしてそれは、外部デバイスから第1の接続ピースおよび第2の接続ピースの電気的接続部分を絶縁してよく、バッテリモジュールの短絡を防止してよい。したがって、バッテリモジュールの安全性は、改善されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本開示の一実施形態によるバッテリモジュール間のコネクタを用いたバッテリシステムの概略的な斜視図である。
図2図2は、本開示の一実施形態による第1の接続ピースの概略的な斜視図である。
図3図3は、図2のA−A断面に沿って示す第1の接続ピースの断面図である。
図4図4は、本開示の一実施形態による重ねられた第1および第2の接続ピースの概略的な斜視図である。
図5図5は、本開示の一実施形態による上のクランプ板の概略的な斜視図である。
図6図6は、本開示の一実施形態による下のクランプ板の概略的な斜視図である。
図7図7は、本開示の一実施形態によるバッテリモジュール間のコネクタの概略的な斜視図である。
図8図8は、図7のバッテリモジュール間のコネクタの概略的な背面図である。
図9図9は、本開示の一実施形態によるボルトの概略図である。
図10図10は、本開示の一実施形態によるサポートの概略的な斜視図である。
図11図11は、本開示の一実施形態による絶縁カバーの概略的な透視図である。
図12図12は、本開示の他の実施形態によるバッテリモジュール間のコネクタの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本開示の実施形態は、例としてだけ記載される。
【0028】
装置または要素の方向に関して本明細書において用いられる語法および用語(例えば、「中央」、「上の」、「下の」、「正面」、「背面」などのような用語)は、本開示の説明を単純化するために用いるだけであり、参照される装置または要素が特定の方向を有しなければならないことを単独で示すかまたは意味するのではないことを理解すべきである。
【0029】
本開示の実施形態によるバッテリモジュール間のコネクタは、図1図12を参照して後述される。
[実施形態1]
【0030】
図1に示すように、本開示の一実施形態によるバッテリモジュール81間のコネクタ1は、第1および第2の接続ピース21、22、クランプユニットおよびサポート5を備えてよい。第1の接続ピース21は、第1のバッテリモジュール(例えば、図1の左側のバッテリモジュール81)の出力端部に電気的に接続されてよい。第2の接続ピース22は、第2のバッテリモジュール(例えば、図1の右側のバッテリモジュール81)の出力端部に電気的に接続されてよい。そして、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22は、その間に電気的接続部分を形成するように互いに電気的に接続されてよい。
【0031】
クランプユニットは、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分を締め付ける。クランプユニットは、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分を支持するように、サポート5上に固定されてよい。
【0032】
本実施形態において、第1および第2の接続ピース21、22は、同一構造を有し、したがって、都合よく記載するために、第1の接続ピース21が例として記載される。図2は、本開示の一実施形態による第1の接続ピース21の概略的な斜視図である。第1の接続ピース21は、出力端部接続部211、クランプ部212、および、実質的に逆U字形状を有して、出力端部接続部211とクランプ部212との間に位置する緩衝部213を備える。
【0033】
出力端部接続部211およびクランプ部212は、実質的に平坦で、それぞれ接続ピース21の各側に位置する。出力端部接続部211は、緩衝部213の一端に連結されて、第1のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続される。そして、クランプ部212は、緩衝部213の他端に連結される。第1の接続ピース21は、第1のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続される。そして、第1の接続ピース21のクランプ部212は、第2の接続ピース22のクランプ部に電気的に接続される。
【0034】
緩衝部213は、外部の衝撃によって生じるバッテリモジュール間の相対的な移動を緩衝するように、そしてバッテリモジュール間の接続に影響を及ぼすことを回避するように、第1の接続ピース21の中央に位置してよい。したがって、バッテリモジュールの耐震能力は、高められる。緩衝部213の断面形状は、実質的に逆U字形状である。図3は、図2のA−A断面に沿って示す第1の接続ピースの断面図である。緩衝部213の上部は、円弧の形状でよく、円弧の半径は、緩衝部213の高さHの20%〜80%でよい。そしてそれは、振動によって生じるバッテリモジュールに対する衝撃を都合よく吸収してよい。緩衝部213は、第1の接続ピース21の中央に型を押す(stamp)ことによって形成されてよい。
【0035】
緩衝部213は、それぞれ移行円弧214を介して、出力端部接続部211およびクランプ部212に連結される。各移行円弧は、緩衝部213の半径Rの10%〜50%でよい半径rを有する。そしてそれは、振動中にクランプユニットによって適用される、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分に対して垂直な剪断力を除去してよいだけでなく、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の緩衝能力を増加させてもよい。一方、直角移行と比較して、移行円弧214の電流密度は低い。そしてそれは、高電流の充電および放電中の導通のために有利でもよい。
【0036】
第1の接続ピース21および第2の接続ピース2は、高い導電性を有するさまざまな金属(例えば、銀、高純度銅または高純度アルミニウム、好ましくは、柔らかい高純度銅または高い柔軟性を有する高純度アルミニウム)でできていてよい。
【0037】
好ましくは、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の各々は、複数の重ねられた金属シートによって形成される。そして、単一の金属シートの厚みは、0.01〜0.5mm、より好ましくは0.03〜0.2mmである。その結果、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の強度および柔軟性は、増加してよい。
【0038】
重ねられた金属シートの枚数は、バッテリモジュールの出力端部の寸法ならびに充電および放電電流によって決定されてよい。複数の金属シートは、さまざまな方法(例えば、表面コーティング、接着、溶接、リベット留めおよびホットプレス)で一緒に重ねられてよい。好ましくは、複数の金属シートは、ホットプレスによって一緒に重ねられてよい。しかしながら、金属シートの緩衝部213は、その弾性に影響を及ぼすことを回避するために、ホットプレスされることができない。より好ましくは、ホットプレスの前に、腐食を防止するために金属コーティング(例えばスズ、クロム、ニッケルまたは亜鉛コーティング)が単一の金属シートの両端部上に被覆されてよい。しかしながら、緩衝部213は、その弾性に影響を及ぼすことを回避するために金属コーティングによって被覆されない。
【0039】
第1の接続ピース21の出力端部接続部211は、さまざまな接続方法(例えば、熱圧着、レーザ溶接、鑞付けまたは摩擦溶接)で、第1のバッテリモジュールの出力端部に電気的に接続されてよい。そして、レーザ溶接および鑞付けは、好ましい。第1の接続ピース21の出力端部接続部211および第1のバッテリモジュールの出力端部の融合幅(図1に陰影のついた部分として示される)は、mであり、融合幅mは、第1のバッテリモジュールの出力端部813の長さnの30〜80%である。融合幅mがあまりに少ない場合、第1の接続ピース21と第1のバッテリモジュールの出力端部との間の接続強度は、影響を受ける。融合幅mがあまりに大きい場合、耐震機能は、弱められる。
【0040】
図5図6に示すように、第1の接続ピース21は、さまざまな接続方法で第2の接続ピース22に接続されてよい。本開示のいくつかの実施形態において、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分を形成するように、クランプユニットは、第1の接続ピース21のクランプ部212および第2の接続ピース22のクランプ部222を締め付けてよい。
【0041】
具体的には、クランプユニットは、上のクランプ板31、下のクランプ板32および留め金具を備える。第1の接続ピース21のクランプ部212および第2の接続ピース22のクランプ部222は、上のクランプ板31と下のクランプ板32との間に締め付けられ、次いで、上のクランプ板31および下のクランプ板32は、留め金具によって一緒に固定される。
【0042】
第1の接続ピース21のクランプ部212は、孔2121を有してよく、第2の接続ピース22のクランプ部222は、孔2221を有してよい。したがって、上のクランプ板31および下のクランプ板32は、それぞれ孔311、321を有してよい。
【0043】
第1の接続ピース21のクランプ部212および第2の接続ピース22のクランプ部222は、孔2121、2221が互いに整列配置されるように重ねられる。重ねられたクランプ部212、222は、上のクランプ板31と下のクランプ板32との間に位置する。そして、孔311、321、2121、2221を通過する留め金具によってクランプ部212およびクランプ部222を固定するように、孔311、321および孔2121、2221は、それぞれ整列配置される。
【0044】
上のクランプ板31、下のクランプ板32および留め金具は、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22を締め付けて固定するために、一緒に機能してよい。その結果、第1の接続ピース21と第2の接続ピース22との間の接続は、より信頼性が高い。
【0045】
いくつかの実施形態では、クランプ部212およびクランプ部222が上下のクランプ板31、32によって締め付けられる前に、第1の接続ピース21のクランプ部212および第2の接続ピース22のクランプ部222は、抵抗溶接によって一緒に溶着されてよい。その結果、コネクタの内部抵抗は、減少してよい。
【0046】
上下のクランプ板31、32の材料は、鋼、銅、アルミニウム、マグネシウムまたはその合金でもよい。そして、アルミニウム合金は、好ましい。
【0047】
留め金具は、ねじを含んでよい。そして、孔2121、2221、311、321は、ねじ穴でもよい。したがって、ねじは、上下のクランプ板31、32を固定するようにねじ穴に螺合されてよい。好ましくは、留め金具は、上のクランプ板31および下のクランプ板32を固定するために一緒に機能するボルト41およびナット42を備える。図6図8に示すように、ナット42は、下のクランプ板32上に前もって作られてよい。好ましくは、ボルト41およびナット42は、上下のクランプ板31、32と同じ金属材料によって作られる。そのため、接続から生じる抵抗は、減少してよく、そして、コネクタの導電性は、増加してよい。
【0048】
さらに、図9に示すように、溶接穴411は、ボルト41の頭部に前もって作られる。ナット42およびボルト41が(図7に示すように)螺合された後、ボルト41は、溶接によって上のクランプ板31上に固定されてよい。その結果、ボルト41と上のクランプ板31との溶着結合は、コネクタの内部抵抗を減らすことができて、コネクタの導電性を改善することができる。溶接は、抵抗溶接、レーザ溶接または鑞付けでもよい。そして、抵抗溶接は、好ましい。そしてそれは、高周波溶接中に発生する熱によって生じるバッテリのリークを回避してよい。
【0049】
図10に示すように、サポート5は、実質的にL字形状を有し、そして、クランプ板固定部分51および、クランプ板固定部分51に対して垂直な支持部分52を備える。クランプ板固定部分51は、孔511を有してよい。いくつかの実施形態では、上のクランプ板31は、サポート5上に固定される。具体的には、上のクランプ板31の孔311およびクランプ板固定部分51の孔511は、整列配置されて、次いで、上のクランプ板31およびクランプ板固定部分51は、ボルト41およびナット42によって固定される。ナット42は、サポート5上に前もって作られてよい。
【0050】
サポート5の材料は、軽量材料(例えば、アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金またはチタン合金)でよい。そして、アルミニウム合金は、好ましい。さらに、第1および第2の接続ピース21、22がそれぞれ外部デバイスから絶縁されることを確実にするために、サポート5の表面は、絶縁処理を受ける。絶縁処理は、陽極酸化、噴霧およびコーティングから選択される1つ以上のプロセスでよい。そして、陽極酸化は、好ましい。
【0051】
図11に示すように、バッテリモジュール間に絶縁信頼性を確保するために、(図12に示すような)絶縁カバー6は、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分を越えて配置されてよい。そしてそれは、外部デバイスから第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分を絶縁してよく、そして、バッテリモジュールが短絡するのを防止してよい。したがって、バッテリモジュールの安全は、改善されてよい。
【0052】
絶縁カバー6は、良好な絶縁特性、高い耐炎性および良好な耐食性を有する材料(例えば、TPE(熱可塑性エラストマ)、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマ)、PPO(ポリプロピレンオキシド)またはPPS(硫化ポリプロピレン))でできていてよい。そして、TPEおよびEPDMは、好ましい。
[実施形態2]
【0053】
図1に示すように、本開示の実施形態によるバッテリシステム8は、複数のバッテリモジュール81(図1には第1および第2のバッテリモジュールだけが示される)および複数のコネクタを備えてよく、各コネクタは、上記のコネクタ1でよい。各バッテリモジュールは、複数のセル811を備えてよく、各セル811は、端子812を有してよい。各バッテリモジュール81の複数のセル812は、その端子812を介して互いに直列におよび/または並列に接続されてよく、そして、各バッテリモジュール81は、出力端部813を有してよい。コネクタ1は、隣接するバッテリモジュール81(例えば、第1および第2のバッテリモジュール)を接続する。
【0054】
バッテリモジュール81のセル811は、さまざまな従来のセル(例えば、アルカリ二次電池またはリチウムイオン二次電池)でよい。セル811の製造方法は、当業者に知られているので、その詳細な説明は、本明細書では省略される。バッテリモジュール81のセル811の数は、増加してよくまたは減少してよい。そしてそれは、要求に依存する。
【0055】
バッテリモジュール81の出力端部813は、バッテリモジュール81の最も外側のセル811の端子812として使われる。一実施形態において、出力端部813は、実質的にL字形状を有してよい。出力端部813の第1の端部は、セル811の表面から外向きに延び、次いで、L字形状を形成するように90°折り畳まれる。出力端部813の折り畳まれる位置は、セル811の表面に近い。出力端部813の第2の端部は、第1の接続ピース21の出力端部接続部211または第2の接続ピース22の出力端部接続部に電気的に接続される。
【0056】
バッテリシステム8は、バッテリトレイ82を備えてもよい。バッテリトレイ82は、複数のバッテリモジュール載置ゾーン821および複数のコネクタゾーン822を備えてよい。バッテリモジュール載置ゾーン821およびコネクタゾーン822は、間をおいて配置される。バッテリモジュール81は、それぞれバッテリモジュール載置ゾーン821に配置されて固定される。コネクタは、それぞれコネクタゾーン822に配置される。
【0057】
サポート5の支持部分52は、バッテリトレイ82上に固定される。その結果、バッテリが振動を受けるときに、サポート5は、コネクタ1の振動を吸収することができて、振動をバッテリトレイ82へ移すことができる。上述の構成は、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分の断線(break)を防止することができる。
【0058】
隣接するバッテリモジュール載置ゾーン821にそれぞれ対応する引き板(drawing plate)83は、コネクタゾーン822に配置されて、絶縁カバー6の2つの端部は、それぞれ引き板83上に固定される。したがって、引き板83は、最も外側のセル811をきつく引くことによってバッテリモジュール81を固定することができる。そしてそれは、車両が走行するときに、バッテリモジュールの移動を回避することができる。
【0059】
複数のバッテリモジュール81をバッテリシステム8に組み立てるプロセスは、記載される。第1に、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22は、隣接するバッテリモジュール81の出力端部813にそれぞれ溶着される。同時に、サポート5および引き板83が固定されるバッテリトレイ82は、準備される。
【0060】
第2に、バッテリモジュール81は、それぞれバッテリトレイ82のバッテリモジュール載置ゾーン821内に配置される。
【0061】
第3に、第1の接続ピース21のクランプ部212および第2の接続ピース22のクランプ部222は、重ねられて、バッテリトレイ82のコネクタゾーン822内に配置される。そして、クランプ部212およびクランプ部222は、一緒に溶着される。
【0062】
第4に、溶着されたクランプ部212、222は、上のクランプ板31と下のクランプ板32との間に締め付けられ、上のクランプ板31および下のクランプ板32は、留め金具で固定され、次いで、留め金具は、溶接される。
【0063】
第5に、上のクランプ板31は、サポート5上に固定される。
【0064】
最後に、絶縁カバー6は、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22の電気的接続部分をカバーするために配置され、次いで、絶縁カバー6の2つの端部は、それぞれ引き板82上に固定される。本開示の実施形態によるバッテリシステム8は、組み立てられてよい。
【0065】
本開示の実施形態によるバッテリモジュール間のコネクタ1を用いるバッテリシステム8については、接続の信頼性は、改善されることができる。換言すれば、バッテリシステム8が電気自動車または他の分野で用いられるときに、バッテリシステム8が外力によって衝撃を受けるときに、第1の接続ピース21および第2の接続ピース22が実質的に逆U字形状を有する緩衝部および移行円弧214を有するので、緩衝能力は、高められる。そしてそれは、バッテリモジュール81間の接続信頼性を都合よく増加させてよい。さらに、実質的に逆U字形状を有する緩衝部は、組立て公差を増加させてよい。すなわち、実質的に逆U字形状を有する緩衝部は、他の構造(例えばバッテリの厚み)の許容度によって生じる不利点を相殺することができる。
【0066】
説明的な実施形態が図示され、記載されたけれども、上記の実施形態は、本開示を制限するように解釈されることができず、そして、本開示の精神、原則および範囲を逸脱しない範囲で実施形態における変更、代替および修正がなされることができることが当業者によって認識される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12