(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の果汁搾り器は、搾り部により果汁と種が同時に搾り出され、果汁と種がそのまま椀体に溜まるため、それらを分離する作業が必要となり、時間と労力が費やされるだけでなく、道具や手を使うことになり、衛生面でも好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る果汁搾り器は、果実が押し当てられる部位である搾り部と、前記搾り部により搾り出された果汁を収納する収納部とを備える果汁搾り器において、前記果汁搾り器は、前記搾り部の中央部に凹部を形成した種を受け止める種取り部を備え、前記種取り部は、開口部と、底部と、前記開口部と前記底部とを接続する筒状の周壁部と、を有する。
また、前記種取り部は、深さが直径より深くてもよい。
【0007】
また、前記搾り部は、上方に隆起する略円錐形状であって、その外周面に外周方向に向って隆起する複数の稜部を有し、前記収納部は、前記搾り部と一体として、前記搾り部の下端縁から外周方向に広がった後上方に起立して形成されてもよい。
【0008】
また、前記搾り部は、上方に隆起する略円錐形状であって、その外周面に外周方向に向って隆起する複数の稜部を有し、前記収納部は、前記搾り部とは独立して形成され、少なくとも、胴部と、底面部と有する容器であり、前記果汁搾り器は、さらに、前記搾り部と一体として、前記搾り部の下端縁から外周方向に広がった後斜め上に起立して形成され、少なくとも、果汁を流下させる貫通孔を有する受け皿部を備えてもよい。
【0009】
また、前記種取り部には、複数の貫通孔が設けられてもよい。
【0010】
また、前記種取り部の底部は、前記種取り部の周壁部の下端に着脱可能に取り付けられ、筒状の円筒部と該円筒部の下端を閉塞する種取り面とを有する種取り具により構成され、前記種取り部の貫通孔は、前記種取り具の種取り面に設けられていてもよい。
【0011】
また、前記種取り部は、一又は二以上の板状の種取り具を備え、前記種取り部の底部は、中央部が開口しており、前記種取り具は、前記種取り部の底部に前記開口を閉鎖するように載置されて用いられ、前記種取り部の貫通孔は、前記種取り具に設けられてもよい。
【0012】
また、前記種取り部の貫通孔は、幅が1mm〜2mmの範囲内で、長さが2mm〜4mmの範囲内である細長い略楕円形の貫通孔であってもよい。
【0013】
また、前記搾り部は、前記稜部が先端付近において上方に延長して爪状突起を形成していてもよい。
【0014】
また、前記搾り部は、前記種取り部の底部より上方であって前記種取り部の開口部より下方の位置において、前記稜部の一部が略平坦な面を形成し、該略平坦な面に棘状突起が形成されていてもよい。
【0015】
また、前記収納部は、さらに、注ぎ口と掴み部とを有し、前記掴み部には、親指を通す指通し孔が設けられていてもよい。
【0016】
また、前記収納部の胴部は、直径が60mm〜80mmの範囲である中空の筒状体であり、前記収納部の胴部の上端である口縁部は、外周方向に広がる略皿状であってもよい。
【0017】
また、前記収納部の胴部には、外周面に縦方向に延びる複数の浅い溝により形成される滑り止部が設けられていてもよい。
【0018】
また、前記収納部は、前記胴部下端から前記底面部に向って外周方向に傘状に広がる台座部を有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る果汁搾り器は、種を果汁や果肉から分離して収集することができ、その分離する作業にかかる時間と労力が省かれるだけではなく、道具や手を使わなくなるため衛生面でも優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。以下では、便宜のため、グレープフルーツを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、ぼんたんや夏みかんなど幅広い果実に適用される。
【0022】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る果汁搾り器100の構成を説明する。
図1は、果汁搾り器100の横からの断面図である。
図2は、果汁搾り器100を上から見た平面図である。
図1(a)及び
図2に示すように、果汁搾り器100は、搾り部110と、種取り部120と、収納部140と、を備える。
【0023】
搾り部110は、二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面に当接して果肉に含まれている果汁を押し出す部分である。搾り部110は、上方に隆起する略円錐形状であり、その外周面に外周方向に向かって隆起する複数の稜部111を有する。隣り合う稜部同士の間には溝が形成されている。
【0024】
種取り部120は、搾り部110の中央部に凹部を形成した搾り部110により搾り出された種を受け止める部分である。種取り部120は、例えば搾り部110の中央部が下方に陥没して形成される。種取り部120は、開口部121、周壁部122及び底部123を有する。種取り部120の開口部121を中心に、稜部111が放射状に配列している。
【0025】
図13は、二つに輪切りしたグレープフルーツGの断面を説明するための図である。グレープフルーツGは、果皮aの中において、果肉Cを内包している複数のじょうのうbが果芯eを包むようにして構成され、種dはじょうのうbの果芯側に分布している。即ち、切断面において果芯eを中心にじょうのうbが放射状に配列しており、種dは果芯eの周りに集まっている。以下、このグレープフルーツにおける種が分布している区域を種分布部という。
【0026】
種取り部120は、直径Dが上記グレープフルーツの果芯eより大きく形成され、種分布部の外周直径に等しく、例えば、35mm〜45mmの範囲内である。
【0027】
また、例えば、グレープフルーツにおいて、成熟した大きな種と、未成熟な小さな種が存在し、未成熟な種は、果芯付近についており、成熟した大きな種は、果芯からやや離れた部分に付いている。従来の絞り器で種も一緒に絞り、グレープフルーツサワーなどの飲み物とした場合に、成熟した大きな種は沈み、未成熟な小さな種は浮きやすく、これらの浮いた種が、飲み物を飲みづらくしている事が多い。このため、主に未成熟な種を対象にする場合には直径Dは35mm以下でも良い。
【0028】
また、種取り部120は種ばかりでなく、じょうのうの果芯部をも分離し、絞るため、果肉が分離しやすく、効率的に絞ることが可能になる。さらに、絞る際に、果芯の果皮側はやや突起状態となっており、この部分が、種取り部120の凹み上部に位置するため、突起部が絞り部110に当たり邪魔することがなくなり、無駄な力を要せずに絞る事ができる。さらには、絞りきった後に、果実の上部を振りながら回すことにより、果芯軸部を開口部121の淵に突起している稜部111で、取り除く事ができる。
【0029】
収納部140は、搾り部110により搾り出された果汁を収納する。収納部140は、搾り部110と一体として形成され、前記搾り部110の下端縁から外周方向に広がった後上方に起立して形成される。
【0030】
次に、果汁搾り器100を用いて果汁を搾る過程を説明する。
【0031】
グレープフルーツを、切断面を下にして搾り部110に載せると、種取り部120の開口部121が上方から種分布部の外周に当接し、種取り部120の開口部121を中心に放射状に配列している稜部111がじょうのう膜の内側に当接する。そして、グレープフルーツをさらに下方に押し付けながら回すと、搾り部110はグレープフルーツに食い込みながらグレープフルーツとの当接面を大きくして果汁及び果肉を搾り出す。搾り出された果汁及び果肉は、搾り部の溝に案内されて受け皿部140に溜められる。そして、種は、種取り部120の周壁部122に阻まれて、種取り部120に落下、押し込まれて集められる。また、上述のように、種分布部、すなわち果芯軸部は、果汁を搾る過程において自然に落下するか、搾り部110の先端が果皮に到達した際にグレープフルーツを斜めにして搾り部110の先端を用いて削り落として種取り部120に落下させる。
【0032】
以上で説明したように、果汁搾り器100は、搾り部110の中央部に種取り部120を設けることにより、種を果汁から分離して収集することができる。これにより、果汁と種とを分離する作業にかかる時間と労力が省かれる。また、道具や手を使わなくなるため衛生的である。さらに、果芯部付近を分離して効率的に絞れる。
【0033】
また、
図1(b)に示すように、搾り部110には、種取部120の底部123より上方であって開口部121より下方の位置において、棘状(串状)突起114が形成されていてもよい。二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面を搾り部110に押し当てて果汁や果肉を搾り出すとき、棘状突起114がじょうのう膜を切断して、効率的に果汁を搾り出すことができる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る果汁搾り器200の構成を説明する。
図3は果汁搾り器200の斜視図であり、
図4は果汁搾り器200の横からの断面図である。
図3及び
図4に示すように、果汁搾り器200は、搾り部210と、種取り部220と、受け皿部230と、収納部240と、を備える。
【0035】
搾り部210は、二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面に当接して果汁や果肉を押し出す部分である。搾り部210は、上方に隆起する略円錐形状であり、その外周面に外周方向に向かって隆起する複数の稜部211を有する。隣り合う稜部同士の間には溝が形成されている。
【0036】
種取り部220は、搾り部210の中央部に凹部を形成した搾り部210により搾り出された種を受け止める部分である。種取り部220は、例えば搾り部210の中央部が下方に陥没して形成される。種取り部220は、開口部221、周壁部222及び底部223を有する。種取り部220の開口部221を中心に、稜部211が放射状に配列している。
【0037】
種取り部220は、直径Dがグレープフルーツの果芯より大きく形成され、種分布部の外周直径に等しく、例えば、35mm〜45mmの範囲内である。
【0038】
また、例えば、グレープフルーツにおいて、成熟した大きな種と、未成熟な小さな種が存在し、未成熟な種は、果芯付近についており、成熟した大きな種は、果芯からやや離れた部分に付いている。従来の絞り器で種も一緒に絞り、グレープフルーツサワーなどの飲み物とした場合に、成熟した大きな種は沈み、未成熟な小さな種は浮きやすく、これらの浮いた種が、飲み物を飲みづらくしている事が多い。このため、主に未成熟な種を対象にする場合には直径Dは35mm以下でも良い。
【0039】
また、種取り部220は種ばかりでなく、じょうのう果芯部をも分離し、絞るため、果肉が分離しやすく、効率的に絞ることが可能になる。さらに、絞る際に、果芯の果皮側はやや突起状態となっており、この部分が、種取り部220の凹み上部に位置するため、突起部が絞り部210に当たり邪魔することがなくなり、無駄な力を要せずに絞る事ができる。さらには、絞りきった後に、果実の上部を振りながら回すことにより、果芯軸部を開口部221の淵に突起している稜部211で、取り除く事ができる。
【0040】
種取り部220の底部223には、下方に貫通する複数の貫通孔224が設けられている。種取り部220の貫通孔224は、グレープフルーツの種よりも長さ及び幅の少なくともいずれかが小さく、搾り出されたグレープフルーツの種を収納部240に落下させることなく受け止めることができる。例えば、種類によっても異なるが、グレープフルーツの種は未成熟の小さな種が多い事が有り、貫通孔224は、例えば、幅が1mm〜2mmの範囲内で、長さが2mm〜4mmの範囲内である楕円形の貫通孔である。これにより、未成熟な種を捉えやすい。また、種とともに果汁が種取り部240に流れ込んだとしても、流れ込んだ果汁は、種取り部220の貫通孔224を通って収納部240に流れ落ちることになり、種取り部220に溜まることはない。
【0041】
受け皿部230は、搾り部210により搾り出された果汁を集めて、収納部240に案内する部分である。受け皿部230は、搾り部210と一体として形成され、搾り部210の下端縁から外周方向に広がる深底部231及び当該深底部231の外周縁から斜め上に起立する外周縁部232を有する。外周縁部232は、収納部240の口縁部245に載置される部分である。
【0042】
深底部231には、下方に貫通する複数の貫通孔233が設けられている。搾り部210により搾り出された果汁は、深底部231の貫通孔233を通って収納部240に流れ落ち、果汁ととともに搾り出された果肉は、深底部231の貫通孔233に妨げられて収納部240に流れ落ちることなく、深底部231に留まる。
【0043】
また、受け皿部230には、外周縁部232の一部が外周方向に延出して果肉注ぎ口234が形成されている。深底部231の貫通孔233に妨げられて深底部231に溜められた果肉は、果肉注ぎ口234から、注ぎ出して又は掬い取って利用することができる。
【0044】
収納部240は、搾り部210、種取り部220及び受け皿部230とは独立して形成され、搾り出された果汁を収納するための容器として構成される。収納部240は、胴部241と、底面部242と、掴み部243と、果汁注ぎ口244と、を備える。
【0045】
掴み部243は、胴部241の外周に設けられ、例えば胴部241の上端縁である口縁部245の外周に設けられる。掴み部243には、親指を通して掴むための指通し孔246が設けられている。親指を指通し孔246を通して掴み部243を掴むことにより、収納部240をより安定的に保持することができる。
【0046】
果汁注ぎ口244は、胴部241の一部が外周方向に延出して形成される。果汁注ぎ口244は、胴部241の外周上の、掴み部243と対向する側に形成されることが好ましい。受け皿部230が収納部240に載置された状態において、果汁注ぎ口244は、受け皿部230の果肉注ぎ口234の下方に位置するが、両者の間には空隙があり、その空隙を流出口として、果汁が注ぎ出される。
【0047】
次に、果汁搾り器200を用いて果汁を搾る過程を説明する。
【0048】
収納部240の口縁部245に、受け皿部230の外周縁部232が載置された状態において、二つに輪切りしたグレープフルーツを切断面を下にして搾り部210に載せると、種取り部220の開口部221が上方から種分布部の外周に当接し、種取り部220の開口部221の周りに放射状に配列している稜部がじょうのう膜の内側に当接する。そして、グレープフルーツをさらに下方に押し付けながら回すと、搾り部210はグレープフルーツに食い込みながらグレープフルーツとの当接面を大きくして果汁や果肉を搾り出す。図示していないが、受け皿部230の外周縁部232と、収納部240の口縁部245には搾り時にお互いの回転を抑えるスットッパー部が設けられている。
【0049】
搾り部210により搾り出された果汁は、受け皿部230の貫通孔233を通って収納部240に流れ落ちて溜められる。そして、収納部240に溜められた果汁は、果汁注ぎ口244を通して注ぎ出され、利用される。前述のように、果汁注ぎ口244は、受け皿部230の果肉注ぎ口234の下方に位置するが、両者の間には空隙があり、果汁は、その空隙を流出口として注ぎ出される。
【0050】
また、果汁とともに搾りだされた果肉は、受け皿部230の貫通孔233に阻まれて受け皿部230の深底部231に留まる。そして、果肉注ぎ口234から、果肉を注ぎ出して又は掬い取って利用することができる。
【0051】
また、種は、種取り部220の周壁部222に阻まれて種取り部220に集められる。これにより、たとえ種とともに果汁が種取り部220に流れ込んだとしても、種取り部220の貫通孔224を通って収納部240に流れ落ちることになるので、収納部240に溜められ、注ぎ出して利用することができる。
【0052】
以上で説明した本実施形態における果汁搾り器200は、種取り部220を設けることにより、果汁や果肉と種とを一つの搾汁作業で分離することができる。そのため、果汁や果肉と種を分離する作業にかかる時間と労力が省かれるだけでなく、道具や手を使わなくなるので衛生的である。
【0053】
また、種取り部220に貫通孔224を設けることにより、たとえ種とともに果汁が種取り部220に流れ込んだとしても、果汁は収納部240に通して、種のみを捕獲することができる。また、開口部221の周囲に放射状に配列している稜部211がグレープフルーツの切断面に食い込んでじょうのう膜を破り、より手早く搾汁作業を行うことができる。
【0054】
さらに、受け皿部230に貫通孔233及び果肉注ぎ口234を設けることにより、果汁とともに搾り出された果肉を受け皿部230に留めて、果肉注ぎ口234から注ぎ出して、又は掬い取って利用することができる。
【0055】
言い換えれば、本発明の第2実施形態に係る果汁搾り器200によれば、果汁、果肉及び種を分離して利用することができる。例えば、果汁搾り器200によれば、お酒やソフトドリンク等を飲用する際に、一つの搾汁作業で、果肉及び果汁を個人の好みに合わせてそれぞれ好きな量だけ利用することができるようになる。また、例えば、台所で料理を作る際にも、果肉はサラダにトッピングし、果汁はお菓子の生地に加えるなど異なる用途に利用することも可能となる。
【0056】
<変形例1>
次に、本発明の第2実施形態の変形例1に係る果汁搾り器200Aについて説明する。
図5は、果汁搾り器200Aの斜視図である。果汁搾り器200Aは、搾り部210Aのみが第2実施形態と異なるため、以下では第2実施形態と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
【0057】
搾り部210Aは、二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面に当接して果汁や果肉を押し出す部分である。搾り部210Aは、上方に隆起する略円錐形状であり、その外周面に外周方向に向かって隆起する複数の稜部211Aを有する。隣り合う稜部同士の間には溝が形成されている。
【0058】
搾り部210Aの稜部211Aは、先端付近において上方に延長して爪状突起212Aを形成している。二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面を搾り部210Aに押し当てて果汁や果肉を搾り出すとき、爪状突起212Aがじょうのう膜を破って、より効率的に果汁や果肉を搾り出すことができる。
【0059】
このように、本発明の第2実施形態の変形例1に係る果汁搾り器200Aによれば、果汁、果肉及び種を分離して利用することができるだけでなく、爪状突起212Aがじょうのう膜を破ることにより、より手早く搾汁作業を行うことができる。
【0060】
なお、全面にこの爪状突起212Aを設けても良いが、グレープフルーツのような大きな果実は、突起部での抵抗が強いと潰れやすく、回転させて絞りにくくなるため、全体形状を円錐状の絞り部が支え、潰さないように、徐々に爪状突起がじょうのう膜を破り絞り出すものである。
【0061】
<変形例2>
次に、本発明の第2実施形態の変形例2係る果汁搾り器200Bを説明する。
図6は果汁搾り器200Bの斜視図であり、
図7は横からの断面図である。果汁搾り器200Bは、搾り部210Bのみが第2実施形態と異なるため、以下では第2実施形態と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
【0062】
搾り部210Bは、二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面に当接して果肉に含まれている果汁を押し出す部分である。搾り部210Bは、上方に隆起する略円錐形状であり、その外周面に外周方向に向かって隆起する複数の稜部211を有する。隣り合う稜部同士の間には溝が形成されている。
【0063】
搾り部210Bには、種取部220の底部223より上方であって開口部221より下方の位置において、稜部211の一部が略平坦な面である基底面213Bを形成し、当該基底面213Bに棘状(串状)突起214Bが形成されている。二つに輪切りしたグレープフルーツの切断面を搾り部210Bに押し当てて果汁や果肉を搾り出すとき、棘状突起214Bがじょうのう膜を切断して、効率的に果汁を搾り出すことができる。
【0064】
このように、本発明の第2実施形態の変形例2係る果汁搾り器200Bによれば、果汁、果肉及び種を分離して利用するだけでなく、搾り部210Bにおいて棘状突起214Bを設けることにより、棘状突起214Bがじょうのう膜を切断して、より手早く搾汁作業を行うことができる。
【0065】
<変形例3>
次に、本発明の果汁搾り器の第2実施形態の変形例3係る果汁搾り器200Cを説明する。
図8は、果汁搾り器200Cの横からの断面図である。
図8(a)は、果汁搾り器200Cの横からの断面の一例であり、
図8(b)は、果汁搾り器200Cの横からの断面のもう一つの例である。果汁搾り器200Cは、種取り部220Cのみが第2実施形態と異なるため、以下では第2実施形態と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
【0066】
種取り部220Cは、搾り部210の中央部に凹部を形成して、搾り部210により搾り出された種を受け止める部分である。種取り部220Cは、開口部221C、周壁部222C及び種取り具225Cを有する。
【0067】
種取り部220Cは底部の代わりに、周壁部222Cの下端に種取り具225Cが着脱可能に取り付けられている。種取り具225Cは、筒状の円筒部226C及び円筒部226Cの下端を閉塞する種取り面227Cを有し、種取り面227Cには複数の貫通孔224Cが形成されている。なお、種取り具225Cは、周壁部222Cの周囲の溝に、種取り具225Cの円筒部226Cの内壁周囲の突起が嵌まり込んで、保持されるようになっている。または、その逆でもよく、またそれぞれの位置に、雄ネジ、雌ネジを設け、ネジ構造で保持されるようにしてもよい。
【0068】
種取り部220Cの貫通孔224Cは、例えば、1〜2mmの円形の穴や、幅が1mm〜2mmの範囲内で、長さが2mm〜4mmの範囲内である楕円形状の貫通孔である。これにより、種とともに果汁が種取り部220Cに流れ込んだとしても、流れ込んだ果汁は、種取り孔224Cを通って収納部240に流れ落ちることになり、種取り部220Cに溜まることはない。
【0069】
このように、本発明の果汁搾り器の第2実施形態の変形例3係る果汁搾り器200Cによれば、種取り具225Cが着脱可能であるため、搾汁の際に種取り具225Cのみを外して溜まった種を除去し、洗浄して、取り付け直して継続して搾汁することができ、利便性が高くなる。また、使用後は、種取り具225Cを外して洗浄することができ、汚れやすい貫通孔の洗浄にも便利である。
【0070】
また、図示していないが、果汁搾り器200Cは、円筒部226Cの内周面に略垂直の方向において複数の貫通孔を有してもよい。これにより、種取り部220Cに流れ込んだ果汁は、さらに収納部240へ流れ落ちやすくなる。
【0071】
さらに、
図8(b)に示すように、種取り具225Cが周壁部222C及び開口部221Cを含んで構成され、搾り部210Cに上から載せるようにはめ込む構造としてもよい。ここでは、その際の搾り時の種取り具225Cと搾り部210との横方向のずれを抑制する構成として、両者の当接面において、種取り具225Cには凸部を、搾り部210本体には凹部を設けて両者が嵌め込む構成を示しているが、その逆でもよく、また同様な効果を持たすその他の構成でもよい。
【0072】
<変形例4>
次に、本発明の果汁搾り器の第2実施形態の変形例4係る果汁搾り器200Dを説明する。
図9は、果汁搾り器200Dの横からの断面図であり、
図10は種取り具225Dを上から見た平面図の一例である。果汁搾り器200Dは、種取り部220Dのみが第2実施形態と異なるため、以下では第2実施形態と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
【0073】
種取り部220Dは、搾り部210の中央部に凹部を形成して、搾り部210により搾り出された種を受け止める部分である。種取り部220Dは、開口部221、周壁部222、底部223D及び種取り具225Dを有する。
【0074】
種取り部220Dの底部223Dは、中央部が開口している。種取り具225Dは、底部223Dの中央部の開口の直径より大きい直径の円形の板状のものであり、底部223Dに載置される。即ち、種取り具225Dは、底部223Dにおいてその中央部の開口を上方から閉鎖するようにして載置される。
【0075】
種取り具225Dは、複数の貫通孔224Dを有する。搾汁の際に種取り部220Dに種取り具225Dが載置され、種とともに果汁が種取り部220Dに流れ込んだとしても、流れ込んだ果汁は、種取り具225Dの貫通孔224Dを通って収納部240に流れ落ちることになり、種取り部220Dに溜まることはない。
【0076】
このように、本発明の果汁搾り器の第2実施形態の変形例4係る果汁搾り器200Dによれば、種取り具225Dのみを取り外すことができ、利便性がさらに高くなる。例えば、使用後は、種取り具225Dを取り出して洗浄することができるので、汚れやすい貫通孔の洗浄にも便利である。
【0077】
また、本発明の果汁搾り器の第2実施形態の変形例4係る果汁搾り器200Dは、複数の種取り具225Dを有してもよい。例えば、複数の種取り具225Dは、貫通孔224Dの形状や大きさがそれぞれ異なり、搾ろうとする果実に応じて種取り具225Dを適切に選択して用いることができる。また、複数の種取り具225Dは、同等のものであって、汚れた場合に取り替えるようにしてもよい。
【0078】
なお、以上では、貫通孔224、224C及び孔224Dが細長い略楕円形であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば円形や長方形など他の形状でもよく、また、それらの組合せでも良い。
【0079】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る果汁搾り器300を説明する。
図11は、果汁搾り器300の横からの断面図である。
図11に示すように、果汁搾り器300は、搾り部310と、種取り部320と、受け皿部330と、収納部340と、を備える。搾り部310、種取り部320及び受け皿部330は、第2実施形態に係る果汁搾り器200における搾り部210、種取り部220及び受け皿部230と共通するため、以下ではその説明を省略する。
【0080】
収納部340は、搾り部310や受け皿部330とは独立して形成され、胴部341と、底面部342と、果汁注ぎ口344とを備える。収納部340は、搾り出した果汁を収納するための容器である。果汁注ぎ口344は、収納部340の上端である口縁部345の一部が外周方向に延出して形成される。
【0081】
胴部341は、片手で無理なく把持できる程度、例えば直径が60mm〜80mmの範囲である中空の筒状体である。胴部341の上端である口縁部345は、外周方向に広がる略皿状であり、受け皿部330が載置される部分である。搾り部310で果汁を搾りだすとき、胴部341は把持部として機能する。これにより、果汁を搾るとき、収納部の胴部を五本の指及び手の腹全体で握って作業することになり、果汁搾り器を十分な力で把持した状態で果汁を搾り出すことができる。
【0082】
底面部342は、胴部341の下端を閉塞する部分である。胴部341は、底面部342に向かって徐々に狭めるように形成されることが好ましい。これにより、手を握るときの形状に近づき、収納部340を握りやすくなる。
【0083】
胴部341の外周面には、滑り止め部347が形成されている。滑り止め部347は、胴部341を把持したときの摩擦力を大きくして、果汁搾り器300をより安定的に保持できるようにするものである。滑り止め部347は、胴部341の外周面に縦方向に延びる複数の浅い溝により形成される緩やかな起伏であることが好ましい。これにより、構造が簡便であるうえに、洗浄や乾燥の面で優れたものになる。
【0084】
このように、本発明の第3実施形態に係る果汁搾り器300は、果汁、果肉及び種を分離して利用するだけでなく、筒状体であって、外周面に滑り止め部が設けられる把持部として胴部341を有することにより、搾汁作業を行う高さより低い位置でもう一方の手でしっかりと果汁搾り器を把持することができ、果汁搾り器を載せる平らな台がなくても、十分な力で安定して搾汁作業を行うことができる。
【0085】
なお、図示していないが、本発明の第3実施形態に係る果汁搾り器300は、さらに果汁注ぎ口344と対向する側の収納部340の側壁に取っ手が設けられてもよい。取っ手を設けることにより、収納部340から果汁を注ぎ出そうとするとき、果汁搾り器300を十分な力で安定して持ち上げて移動して注ぎ出すことができるようになる。
【0086】
<変形例1>
次に、本発明の第3実施形態の変形例1に係る果汁搾り器300Aを説明する。
図12は、果汁搾り器300Aの横からの断面図である。果汁搾り器300Aは、収納部340Aのみが第3実施形態と異なるため、以下では第3実施形態と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
【0087】
収納部340Aは、胴部341Aの下端から底面部342Aに向かって外周方向に傘状に広がる台座部348Aを有する。
【0088】
本発明の第3実施形態の変形例1に係る果汁搾り器300Aは、さらに台座部348Aが形成されていることによって作業面との接触面を大きくして、安定性が高められる。
【0089】
ここで、台座部348Aは、胴部341Aと一体として構成されてもよく、また、胴部341Aとは別体として成型し、後から組み立てるように構成されてもよい。また、台座部346Aは、収納部340Aに軸芯を設けて回転自由に取り付けられてもよい。
【0090】
なお、以上で説明した本発明に係る果汁搾り器の各構成部分は、プラスチック樹脂で成形することができる。また、例えば薄いステンレス鋼をプレス加工したもので構成してもよく、プラスチック樹脂で成形したものと薄いステンレス鋼をプレス加工したものとを組み合わせても良い。
【0091】
また、本体が動きにくく絞りやすくなる為に、収納部の底面部の外側にシリコンゴムやエラストマーの滑り止めを配しても良い。
【0092】
以上、本発明に係る果汁搾り器の実施形態について説明したが、これらは本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明には、以上の各実施形態を組み合わせた形態や、様々な変形例が含まれる。例えば、第1実施形態に係る果汁搾り器は、注ぎ口を有してもよく、また、掴み部を有してもよい。また、各実施形態において蓋体を備えてもよい。