(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】先行技術の肉エマルション製品の写真である。
【
図2】本発明の一実施形態の肉エマルション製品の一実施形態の写真である。
【
図3】本発明の一実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【
図7】本発明の第5の実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【
図8】本発明の第6の実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【
図9】本発明の第7の実施形態の肉エマルション製品の製造プロセスの概略図である。
【0025】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、改善された肉エマルション製品、及び肉エマルション製品の製造方法を提供する。本発明は、以前の肉エマルション製品とは対照的に、本物らしく繊維が明示されている肉エマルション製品を提供する。このように繊維を明示することは、非内臓肉と類似の、非常に本物らしい肉様の姿又は外観をもたらす。生成製品は、他の肉エマルション製品と比較して、より強い噛み応え/口当たりも有しており、ペースト状でも、柔らかくも、脆くもない。該肉エマルション製品は、人間及び動物の食品に有用である。好ましい実施形態では、該肉エマルション製品は、缶詰のペットフードのために考えられている。該肉エマルション製品は、鳥肉、牛肉、豚肉、魚肉、及びそれらの組合せを含めた任意の種類の肉製品を模擬し得る。
【0026】
「繊維様」、「肉様」及び「キブル(kibble)様」という用語は、肉エマルション製品について説明するのに使用される場合、当業者に理解されるように、肉エマルション製品が、実際の繊維、肉及びキブルと同じ又はほぼ同じ物理的外観及び特性を部分的に所有することをそれぞれ意味している。非内臓肉と類似の非常に本物らしい肉様外観をもたらす本物らしい繊維の明示をしている肉エマルション製品が製造される。
【0027】
特許請求された製品は、部分的に肉エマルションであるが、それらは、本物の肉と同じ又はほぼ同じ特性を有している。生成製品は、他の肉エマルション製品と比較して、より強い噛み応え/口当たりも有しており、ペースト状でも、柔らかくも、脆くもない。さらに、生成製品の小片が、繊維を示しながらも、全体としてキブル様の外観を有するように、水分削減も達成され得る。
【0028】
以下で詳細に説明するように、肉エマルション製品は、一般に、肉、タンパク質、水、及び様々な成分を乳化することによって製造される。次いで、エマルションは、高速エマルションミルを通過させられ、そこでエマルションは、エマルションを熱的にゲル化するために急速に加熱される。次いで、加熱されたエマルションは、保持管又は他の装置の中へ排出され、そこで固化して筋のある肉様の構造になる。
【0029】
以下で詳細に説明するように、肉エマルション製品に非常に本物らしい肉様の姿をもたらす、繊維の明示が改善された(可視的な小径繊維)肉エマルション製品が製造される。このことについては、生成肉エマルション製品は、肉エマルションに非常に本物らしい非内臓肉の外観をもたらす繊維の束又はストランドを有する。鳥肉エマルション製品については、該製品は、それ自身の煮出し汁/液で覆われた、骨から手で引っ張られた柔らかくてじっくり調理された鶏肉又は七面鳥の肉の外観を有する。さらに、本発明は、不規則な製品形状及び寸法を有し、より強い噛み応え/口当たりを有し、ペースト状でも、柔らかくも、脆くもない肉エマルション製品を提供する。
【0030】
図を参照すると、
図1は、先行技術の肉エマルション製品を例示している。写真で示されているように、該製品は繊維を全く含まず、むしろ均質様な構造を有する。対照的に、
図2は、本発明の肉エマルション製品を例示している。写真で見られるように、該製品は、束となって線状に配置されている繊維の複数のストランドを有する。このことは、
図1の肉エマルションよりも本物らしい肉様の製品をもたらす。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態の肉エマルション製品の一般的な製造プロセスの概略図を例示している。本発明の一実施形態に従って肉エマルション製品を調製する際、必要な品質、原材料価格及び嗜好性を有する、哺乳類、魚類、若しくは鳥類の肉及び/又は肉副産物を含めた天然肉材料の混合物が、配合され、練磨され、乳化される。例えば、肉材料は、以下で詳述されるような混合及び剪断の力を介して肉材料の大きさを(任意の添加された成分と共に)縮小させる高速ブレンダーを使用して乳化され得る。
【0032】
使用される肉及び/又は肉副産物は広範囲の構成要素から選択されてもよく、配合で使用される肉材料の種類及び量は、製品の使用目的、製品の望ましい香り、嗜好性、価格、原材料の入手可能性などの考慮すべき事項の数に応じて決まる。様々な哺乳類、鳥類、及び魚類の肉(即ち、骨格組織と非骨格筋)、並びに/或いは肉副産物(即ち、屠殺された哺乳類、鳥類、又は魚類に由来する、肉以外の精製加工されていない清浄部)の両方が、肉材料として使用されてもよい。したがって、本明細書で使用される場合、肉材料という用語は、冷凍材料を含めた、非脱水状態の肉及び/又は肉副産物について言及するものと理解される。
【0033】
該製品が人間の食用を目的としている場合、牛及び羊の全枝肉、赤身豚くず肉、牛の脛肉、子牛肉、牛及び豚の頬肉、並びに唇、トライプ、心臓、舌などの肉副産物を含めた、従来の肉エマルション製品の製造で使用される肉及び肉副産物のいずれも本発明で使用され得る。該製品がペットフード製品としての使用を目的としている場合、肉混合物は、上記の肉材料の他に、機械的に骨を取り除いた牛肉、鶏肉、又は魚肉、牛及び豚の肝臓、肺、腎臓などの、動物の食物での使用が承認された肉副産物いずれをも含有してもよい。一般に、肉材料は、脂肪を最大で約25重量%、好ましくは約15重量%未満含有するように配合される。
【0034】
従来の肉エマルション製品で使用される添加物は、乳化の前又は後に肉材料と混合されて、本発明の肉エマルションに含まれてもよい。これらの添加物は、塩、香辛料、調味料、砂糖などを、該製品に望ましい味覚特性をもたらすのに十分な量で含む。さらに、少量のビタミン、ミネラル、香料などの他の乾燥成分も、肉エマルションに添加され得る。
【0035】
1種又は複数の乾燥タンパク性材料は、肉エマルションに添加され得る。一実施形態では、乾燥タンパク性材料は、肉材料が第1のステップで乳化された後に、肉材料に添加され得る。添加された乾燥タンパク性材料を含む乳化された肉材料は、続いて、さらに混合されて、高速ブレンディング及び剪断の力を伴う別の乳化ステップを受けることができる。乾燥タンパク性材料が第1の乳化の前に肉材料に添加される得ることも、理解されたい。
【0036】
乾燥タンパク性材料は、エマルションの安定性及び結合を改善し、香りを付与し、配合費用を低減させるために、例えば、小麦グルテン、大豆粉、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質分離物、卵アルブミン、及び脱脂粉乳を含んでもよい。肉エマルションが乾燥タンパク性材料を含むことは、ペットフードとしての使用を目的とした製品の製造において特に有利である。乾燥タンパク性材料は、それがなければ、肉エマルション製品の調製に使用するには、ぎりぎり許容できる程度と思われる、タンパク質対脂肪比及びミオシン対総タンパク質比を有する肉材料を、加工者が使用することを可能にする。乾燥タンパク性材料が肉エマルションに含まれる場合、使用される量は、該製品の使用目的、エマルション中で使用される肉材料の品質、原材料価格の配慮などの要因に応じて、エマルションの約5重量%から約35重量%まで変動することができる。好ましい実施形態では、乾燥タンパク性材料の量は、約25重量%〜約35重量%である。一般に、肉材料の脂肪含量及び/又は水分含量が増加されると、エマルション中の乾燥タンパク性材料の量は、それに応じて増加される。
【0037】
肉エマルションの配合は幅広く変動し得るが、乾燥タンパク性材料を含むエマルションは、タンパク質の凝固時に、エマルションの不安定性の兆候なく、堅い肉エマルション製品を形成するのに十分なタンパク質対脂肪比を有するべきであり、エマルションのタンパク質含量は、エマルションが、水の沸点を超えた温度まで加熱されるとき、そのような温度まで加熱された後、短期間、即ち約5分以内、好ましくは3分以内に凝固して堅いエマルション製品を形成することを可能にするようなものでなければならない。したがって、肉材料と乾燥タンパク性材料(使用された場合)を含めた添加物は、肉材料が肉エマルションの約50重量%〜約70重量%、好ましくは約60重量%〜約70重量%の間の量で存在するような割合で、共に混合される。好ましい実施形態では、肉エマルション用の出発原材料は、タンパク質を約29重量%〜約31重量%、脂肪を約4重量%〜約6重量%含む。生成肉エマルション製品は、出発原材料と実質的に類似の分布を有するべきである。しかし、該製品に肉汁又は煮出し汁が添加される場合、この分布は、肉汁/煮出し汁の水分、タンパク質及び/又は脂肪含量に起因して変化し得る。
【0038】
さらに、肉エマルションは、水分を約45重量%〜約80重量%の間含有するように配合されるべきであり、水分含量が、肉エマルション、即ち肉材料及び添加物の約49重量%〜約56重量%の間で制御されることが好ましい。エマルション中の水分の正確な濃度は、当然のことながら、エマルション中のタンパク質及び脂肪の量に応じて決まる。
【0039】
使用するために選択された肉混合物は、肉材料を粉砕して実質的に均一な大きさの小片にするために、粉砕機を通過させる。一般に、肉に1cm以下の粉砕板を備えた粉砕機を通過させることが好ましい。肉を粉砕して1cm以上の粒径にすることによって満足のいく結果を得ることができるが、そのようなより大きい肉小片を使用することは、一般に好ましくない。使用される肉材料が冷凍状態である場合、粉砕機に入る小片の大きさを縮小するために、それらはまず予め切断されるか、又は小片に切断されなければならない。小片の大きさは肉粉砕機の取入れ口の大きさによって決まるが、通常、冷凍肉材料は、約10cm角の小片に切断される。
【0040】
粉砕後、肉小片の混合物は、混合タンクに運ばれてその中で均一になるまで混合され、好ましくは、肉混合物のポンピングを容易にするために、温水ジャケット、水蒸気圧入などによって約−1℃〜約7℃の間の温度まで加熱される。
【0041】
次いで、粉砕された肉小片の均一な混合物は、肉材料を乳化して肉エマルションを形成する条件下で微粉砕され、肉混合物のタンパク質及び水は、脂肪球を被包するマトリックスをそこで形成する(例えば、乳化ステップ)。肉材料は、エマルションを形成するために、脂肪を砕いてタンパク質スラリー中に小球として分散させることが可能な、ミキサー、ブレンダー、粉砕機、サイレントカッターチョッパー、エマルションミルなどを使用することなどによって、肉の乳化において一般に使用される任意の従来の手順及び設備で乳化され得る。
【0042】
一般に、肉エマルションの温度は、乳化プロセスの間に上昇する。肉エマルションのこの加熱は、該プロセスのこの段階で、タンパク質の変性が望ましくない速度で起こり始める温度までその温度が上昇しない限り、好ましくないものではない。乳化の間の肉混合物の温度は、該プロセスのこの段階でのタンパク質の変性を最小限にするために、約49℃未満に維持されるべきである。本発明の好ましい実施形態によると、肉材料は、肉材料を乳化するためにエマルションミルを通過させられて、エマルションは、約10℃〜約49℃の間、好ましくは約21℃〜約38℃の間の温度まで加熱されている。
【0043】
乾燥タンパク性材料(使用される場合)を含めた、肉エマルションに混合される添加物は、乳化の前に肉混合物に添加されてもよい。代替として、添加物、特に乾燥タンパク性材料を、肉の乳化の後に肉混合物に混合することがしばしば好ましい。乾燥タンパク性材料を添加するとエマルションの粘度が増大するので、肉混合物が乾燥タンパク性材料の添加の前に乳化されると、より良好な乳化が達成され、結果として粘性の肉エマルションが形成される。
【0044】
肉エマルションは、エマルションの細度を増大させるために再び微粉砕され(例えば、第2の乳化ステップ)、水の沸点を超えた温度まで急速に加熱され、該温度では、非常に短い時間、例えば20秒以下でエマルションが固化して堅いエマルション製品が形成されるほど急速に、エマルション中のタンパク質の凝固が進行する。
【0045】
粘性のある肉エマルションを水の沸点を超えた温度、一般に約120℃〜約165℃の間、より好ましくは約132℃〜約154℃の間まで急速に加熱すると、加熱後約5分以内、一般には数秒〜約3分以内に、エマルション中のタンパク質が凝固してエマルションが固化し、堅いエマルション製品を形成するであろう。プロセス中のこの段階では、エマルションは、約40〜約500psi、好ましくは60〜350psiの圧力下にある。この高温は、増大した圧力と共に、製品に繊維の明示をもたらすことになろう。驚いたことに、製品の温度及び圧力が高いほど、繊維発達は良好になる(細くなった長い繊維の線状配列)ことが見出された。
【0046】
エマルションは、エマルションが機械的加熱及び/又は水蒸気圧入などによって微粉砕されながらそのような高温まで加熱される設備で加工されることが好ましい。好ましい実施形態によると、約30度〜約40℃の間の温度の粘性の肉エマルションは、エマルションミルを通してポンピングされ、そこで肉エマルションは、エマルションの細度を増大させ、ほぼ同時に急速な機械的加熱及び/又は水蒸気圧入によってエマルションを約120℃〜約165℃の間、好ましくは132℃〜約154℃の間まで加熱するために、剪断加工に付される。したがって、エマルションは、約60秒未満の時間でそのような高温まで加熱されることが好ましい。このように、そのような高温までエマルションが加熱された場合、エマルションのさらに大幅な剪断加工及び切断加工は避けられるべきである。所望の範囲内にエマルションの温度を制御することは、エマルションミルへの供給量、エマルションミルの回転速度などの要因を調整することによって実施されることができ、当業者によって速やかに決定されることができる。
【0047】
水の沸点を超えた、好ましくは約120℃〜約165℃、好ましくは約132℃〜約154℃の範囲の温度のホット肉エマルションは、容積形ポンプ、例えば、ギア又はローブポンプを用いて、密閉加工ゾーンを画定する保持管又は他の装置へ移送される(例えば、熱交換ステップ)。該製品は、約80psi〜約600psiの高圧、好ましくは約100psi〜約500psi、最も好ましくは140psi〜約350psiで加工ゾーンへポンピングされる。そのような高圧では、該プロセスは、基本的には乳化機の最大の圧力設計限界値(最大で235psi)で操作される。このため、ギアポンプ(500〜2500psi超の圧力限界値)が乳化機の直後に直結されることが好ましい。このことにより、乳化機を使用して高圧を用いずに高温を生じさせることが可能になる。圧力は、ギアポンプの後で生じるであろう。したがって、このことは、乳化機ハウジングの圧力を60〜100psiに低下させる。
【0048】
一般に、熱交換ステップにおける熱交換器の使用を例示するために、全体を通して保持管が使用される。平板熱交換器などの他の熱交換装置は、熱交換ステップを実施するために使用され得る。
【0049】
図3に例示されている実施形態では、密閉加工ゾーンが、細長い管の形状をしている。エマルションは、肉エマルション中のタンパク質が十分に凝固してエマルションが固化して堅いエマルション製品を形成するまで、エマルションの蒸気圧を超えた圧力で密閉加工ゾーンに保持されており、堅いエマルション製品は、密閉加工ゾーンから排出されるときにその形状及び構造を保持する。そのような高温では、タンパク質の凝固は非常に速い速度で進行する。
【0050】
ホットエマルションが十分に固化して堅い製品を形成するのに必要な時間は、エマルションが加熱される温度と、エマルション中のタンパク質の量及び種類によって決まるものであるが、一般に、細長い管又は他の装置での数秒〜約3分の間、通常は約1〜約1.5分の間の滞留時間が、タンパク質が十分に凝固して、その形状、完全性、及び物理的特性を保持する堅いエマルション製品を形成するのに十分である。細長い管又は他の装置での滞留時間は、エマルションの該装置への供給量を調整すること及び/又は該装置の長さ若しくは他のパラメーター、例えば細長い管の長さ若しくは平板熱交換器内の平板間隔を調整することによって制御され得る。
【0051】
一実施形態では、該製品を製造するために細長い管が使用される。細長い管の構造は、該製品の繊維構造を作る一助となる。細長い管は、該製品が管の中を進むにつれて管の外周が縮小するように、その長さに沿って縮小する断面直径を有するべきである。実際、約2.5mと約8.0mの間、好ましくは3.0m〜6.0mの長さ、及び約12mmと約75mmの間の内径を有する管が、堅いエマルション製品を形成するのに満足に機能すると考えられている。管が、その長さ又はその一部に沿って縮小する断面直径を有するので、該製品は、管に入ると、管を通って流れるにつれて圧迫される。供給量及び該製品にかかる異なる圧力は、繊維構造を作る一助となる。一例として、開口部で約62mmの直径を有する材料が使用され、該開口部で製品が管に入って、円錐の径違い継手を通って25mmの直径に狭まる。直径が縮小される限り、円形、正方形、長方形などの様々な断面形状の管が使用されてもよい。
【0052】
管は、冷却されることが好ましい。このことにより、該製品は、管を通されるときに冷却され得る。一般に、管は、外部ジャケット又は他の手段によって冷却され得る。長方形又は類似の形状の管は、外部から冷却され得る構造をもたらして、管の中央に含有された該製品が十分に冷却され得るようにする好ましい設計を提供し得る。
【0053】
密閉加工ゾーンから排出された固化した肉エマルションの小片は、温度が約65℃〜100℃で、水分含量が約47%〜65%である長い細片の製品形状であり、小片の大きさは様々である。加工ゾーンから排出されるとき、小片は、蒸発冷却によって60℃〜93℃の範囲の温度まで急速に冷却される。所望される場合、回転切断式ナイフ、水噴射式ナイフ、ナイフグリッドなどの好適な切断手段は、該製品を所望の大きさ、例えば約150mm〜約350mmの小片に切断するために、細長い管又は他の装置の排出端に取り付けられてもよい。所望される場合、該製品は、より急速に冷却され得るように、中心を切り落とされてもよい。このようにして形成された厚切り肉エマルションは、優れた完全性及び強度を有しており、高水分含量の缶詰食品の製造で必要とされるような、缶詰及びレトルト処理の業務手順に付されたときに、それらの形状及び繊維特性を保持するであろう。
【0054】
該製品の繊維状の姿を強化するために、類似の速度で回転する2本の僅かに歯のある長い円柱(ロール)からなる一組の圧縮ロールが使用され得る。密閉加工ゾーンから排出される製品は、繊維を広げる/部分的に分離する/裂く、回転している円柱の間の狭い調節可能な開口部の中へ落とされる。この不完全な細断が、線状繊維を強調するように機能することが見出された。
【0055】
排出された肉エマルションの小片は、多数の排出後ステップを受けることができる。例えば、密閉加工ゾーンから排出された肉エマルションの小片は、そこから水分の大部分を除去するために乾燥機へ搬送され、乾燥された製品は収集され、貯蔵されてもよい。水分の削減は、生成製品の小片が、繊維を示しながらも一般にキブル様の外観を有するように、小片を乾熱にさらすことによっても達成され得る。乾熱は、本体をロースト、ベーキング、グリル又はフライにすることによって提供され得る。本体は、さっとフライにされることが好ましい。持続時間は、油が150℃〜200℃の範囲の温度である場合、一般に1分未満、好ましくは15〜35秒の範囲であろう。
【0056】
代替として、肉エマルションの小片は、細長い管又は他の装置から、ソース、肉汁などの他の成分と共に缶に厚切りが充填されて缶がレトルト処理される缶詰工程へ直接搬送されてもよい。どちらの状況でも、所望される場合、該製品はサイズ変更され得る。
【0057】
一例として、缶詰ペットフード製品の製造では、好適な肉汁は、水、デンプン、及び香辛料の混合物を加熱することによって調製され得る。厚切り肉エマルション及び肉汁は、所望の割合で缶に充填され、缶は真空密封され、次いで、業務用殺菌を達成するのに十分な時間・温度条件下でレトルト処理される。従来のレトルト処理手順が使用され得る。一般に、商業的無菌製品の製造において、約40〜約90分の約118℃〜約121℃のレトルト処理温度が十分である。
【0058】
一態様では、本発明は、複数の異なる色及び/又は質感を含む肉エマルション製品を提供する。例えば、肉エマルションは、複数の繊維構造及び複数の色によって明示される本体を含む。本体は、タンパク質を少なくとも約29重量%、脂肪を約8重量%未満、好ましくは脂肪を約6重量%未満含む。複数の色は、肉エマルションの外面に、異なる色の渦巻き、霜降り、陰影、又はそれらの組合せなどの外観をもたらす。色は、例えば、カラメル、FD&C(食物、薬物&化粧品)認可色素、二酸化チタン、酸化鉄、アナットー、ターメリック、天然色素、人工着色料、又はそれらの組合せなどの任意の好適な着色料に由来する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、タンパク質、脂肪、及び複数の異なる質感を含む肉エマルション製品を提供する。例えば、1種又は複数の質感は、それにより一体的に形成された複数の繊維構造を含み、肉エマルション製品に本物らしい肉様外観をもたらす。複数の異なる質感をもたらすために、肉エマルション製品は、1種又は複数の好適な質感付与原料を含む。質感付与原料は、例えば、小麦グルテン、小麦粉、卵白、硫黄化合物、シスチン、ガム(例えば、キサンタン、アルギン)、大豆タンパク質(例えば、大豆タンパク質の濃縮物及び分画)、及びそれらの組合せなどであり得る。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、肉エマルション製品に本物らしい肉様外観をもたらす、繊維状材料の複数の線状ストランド及び繊維状材料の複数の軸方向ストランドによって明示される本体を含む肉エマルション製品を提供する。
【0061】
別の態様では、
図4〜9で部分的に例示されているように、本発明は、複数の異なる色及び/又は質感を有する肉エマルション製品の様々な製造方法を提供する。
図4で例示されている実施形態では、本発明は、複数の色を含む肉エマルションを作るために、以前に論じられた方法(
図3に例示されている)を変更することを提供する。例えば、該方法は、タンパク質、脂肪及び第1の色を含む第1の肉エマルションを形成することと、タンパク質、脂肪及び第2の色を含む第2の肉エマルションを形成することを含む。各製品ストリームについて乳化ステップが完了した後、第1の肉エマルションは、第2の肉エマルションと混合される。該混合物は、第1の肉エマルション及び第2の肉エマルションが単一のエマルションを形成するが、少なくとも2種以上の色が該混合物の表面から明らかであるように、ある速度で、ある時間十分に混合され得る(例えば、静的ミキサーを使用して)。
【0062】
混合された肉エマルションは、加工ゾーンにおいて加熱され(例えば、約100℃〜約165℃の温度まで)、次いで、80psi〜約600psi、好ましくは約100psi〜約500psi、最も好ましくは140psi〜約350psiの圧力を受ける。後の熱交換ステップでは、高圧ポンプから出て来たときの混合された肉エマルションの温度は、熱交換装置又はチャンバ内で、短時間で実質的に低下させられる(例えば、約20℃〜約40℃の低下)。
【0063】
高加圧の前又はその最中の肉エマルションの温度は、約100℃〜約165℃、好ましくは約120℃〜約140℃に及ぶことができる。熱交換ステップの直前の初期温度は、最終製品で望ましい構造繊維の形状及び程度に応じて制御され得る。混合された肉エマルションの温度は、数秒〜10分(好ましくは、約1〜約3分)の時間で、所望されている構造繊維形成の程度に応じて、高圧ポンプから出て来たときの約120℃〜約165℃から約80℃〜約125℃まで低下され得る。加圧された肉エマルションは、肉エマルション製品を形成するために排出されて、上で論じられたような様々な排出後ステップを受けることができる。
【0064】
図5で例示されている代替の実施形態では、本発明は、タンパク質、脂肪及び第1の色を含む肉エマルション製品を形成することを含む方法を提供する。肉エマルションは、微粉砕されて、約100℃〜約165℃の温度まで加熱される。1種又は複数の色は、肉エマルションに添加され、肉エマルションと混合される。添加された(1種又は複数の)色を含有する肉エマルションは、少なくとも2種以上の色が肉エマルションの表面から明らかであるように、ある速度で、ある時間十分にブレンドされ得る(例えば、静的ミキサーを使用して)。肉エマルションは、加熱されて、少なくとも80psiの圧力を受ける。加圧された肉エマルションは、肉エマルションの温度を低下させて肉エマルション製品を形成するために、熱交換器を通過させられる。加圧された肉エマルションは、肉エマルション製品を形成するために排出されて、様々な排出後ステップを受けることができる。
【0065】
図6で例示されているさらに別の実施形態では、本発明は、タンパク質及び脂肪を含む肉エマルションを形成することと、肉エマルションを微粉砕して約100℃〜約165℃の温度まで加熱することを含む方法を提供する。肉エマルションは、加熱されて、少なくとも80psiの圧力を受ける。次いで、肉エマルションは、長軸方向の螺旋流を受ける(例えば、熱交換プロセスの前、最中又は後)。螺旋流は、銃身の螺旋溝と類似することができる。肉エマルションの流れの形状は、管を直線的に下降しながら、肉エマルションが、3−D軸方向繊維がライナー繊維と共に形成され、調理された魚の質感と類似の外観を創出するような期間、螺旋運動も行うというものである。肉エマルションは、最終的に、肉エマルション製品を形成するために排出されて、様々な排出後ステップを受けることができる。
【0066】
図7で例示されている代替の実施形態では、本発明は、タンパク質、脂肪及び第1の質感付与原料を含む第1の肉エマルションを形成することと、タンパク質、脂肪及び第2の質感付与原料を含む第2の肉エマルションを形成することを含む方法を提供する。第1の肉エマルションは、第2の肉エマルションと混合される。混合された肉エマルションは、加熱されて、少なくとも80psiの圧力を受ける。加圧された肉エマルションは、肉エマルションの温度を低下させて複数の質感を有する肉エマルション製品を形成するために、熱交換器を通過させられる。加圧された肉エマルションは、肉エマルション製品を形成するために排出されて、様々な排出後ステップを受けることができる。
【0067】
図8で例示されているさらに別の実施形態では、本発明は、タンパク質及び脂肪を含む肉エマルションを形成することと、肉エマルションを微粉砕して約100℃から約165℃の温度まで加熱することを含む方法を提供する。肉エマルションは、少なくとも80psiの圧力を受け、熱交換装置に入れられて、そこで肉エマルションは、肉エマルションから蒸気/水分を放出するために排気/フラッシュ蒸発(flash)される。肉エマルションは、肉エマルション上に意図された外観をもたらすために、任意の好適な時間排気され得る。肉エマルションは、肉エマルション製品を形成するために排出されて、様々な排出後ステップを受けることができる。
【0068】
排気/フラッシュ蒸発ステップでは、高圧ポンプから出て来たときの混合された肉エマルションの温度は、熱交換装置又はチャンバで、水分/蒸気が肉エマルションから放出されるようにすることによって、短時間で実質的に低下させられる(例えば、約20℃〜約40℃の低下)。温度変化の程度及び温度変化の結果生じる肉エマルションからの水分/蒸気の放出量は、完成品における繊維の明示量及び明示度をもたらすであろう。例えば、初期温度がより高い(例えば、約140℃〜約165℃)と、生成繊維は、形状及び外観がより不揃いである。初期温度がより低い(例えば、約100℃〜約120℃)と、生成繊維は、より高密度であると思われる(例えば、ストリングチーズの様に)。
【0069】
図9で例示されている代替の実施形態では、本発明は、タンパク質、脂肪及び第1の色を含む第1の肉エマルションを形成することを含む。次いで、肉エマルションは、微粉砕されて、該肉エマルションを約100℃〜約165℃の温度まで加熱した。肉エマルションは、少なくとも80psiの圧力を受け、焼結チャンバを通過させられる。例えば、焼結チャンバは、実際のチャンバの一部である、金属などの焼結材料(例えば、多孔性又はスポンジ様の材料)を含み得る。焼結チャンバは、肉エマルションが冷却に付されてそれによって独特な質感を有する肉エマルション製品を作るときに、フラッシュ蒸発をせずに蒸気を制御放出するための熱交換器として使用され得る。加圧された肉エマルションは、肉エマルション製品を形成するために排出されて、様々な排出後ステップを受けることができる。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、タンパク質、脂肪、及び第1の色を含む肉エマルションを形成することと、肉エマルションを第1の部分及び第2の部分に分割することと、第2の色を第1の部分に添加することと、第1の部分及び第2の部分を独立に微粉砕して、約100℃から約165℃の温度まで加熱することと、複合肉エマルションを形成するために第1の部分及び第2の部分を組み合わせることと、複合肉エマルションを少なくとも80psiの圧力にさらすことと、肉エマルションの温度を低下させて肉エマルション製品を形成するために、加圧された肉エマルションに熱交換器を通過させることとを含む、肉エマルション製品の製造方法を提供する。該製品は、肉様外観を有し、一般に、本物の厚切り肉の霜降り肉のように見える。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、タンパク質、脂肪、及び第1の色を含む肉エマルションを形成することと、第1の色を有する肉エマルションを微粉砕して約100℃〜約165℃の温度まで加熱することと、タンパク質、脂肪、及び第2の色を含む肉エマルションを形成することと、第2の色を有する肉エマルションを微粉砕して約20℃〜約50℃の温度まで加熱することと、複合肉エマルションを形成するために加熱された肉エマルションを組み合わせることと、複合肉エマルションを少なくとも80psiの圧力にさらすことと肉エマルションの温度を低下させて肉エマルション製品を形成するために、加圧された肉エマルションに熱交換器を通過させることとを含む、肉エマルション製品の製造方法を提供する。この方法は、第1の色を有する肉エマルション中のエネルギーが、第2の色を有する肉エマルションを「調理」するために使用されることを可能にする。この方法を使用して製造された肉エマルション製品は、類似の方法を用いて製造された製品とは異なる。本発明は、この方法を使用して製造する肉エマルション製品も提供する。
【0072】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載されている個別の方法のそれぞれによって製造される製品を提供する。
【0073】
本明細書に記載されている現在好ましい実施形態に対する様々な変更及び改変は、当業者には明らかであると見込まれることを理解されたい。そのような変更及び改変は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、また意図した利点を損なうことなくなし得る。したがって、そのような変更及び改変は、添付の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。