特許第5903025号(P5903025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コロナの特許一覧

<>
  • 特許5903025-貯液タンク 図000002
  • 特許5903025-貯液タンク 図000003
  • 特許5903025-貯液タンク 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903025
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】貯液タンク
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20160331BHJP
   B65D 88/08 20060101ALI20160331BHJP
   B65D 90/02 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   F24H9/00 E
   B65D88/08
   B65D90/02 F
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-234244(P2012-234244)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-84146(P2014-84146A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正章
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−013355(JP,A)
【文献】 特開平03−018440(JP,A)
【文献】 特許第2562060(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
B65D 88/08
B65D 90/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴部と、該胴部の上端を閉塞する上鏡板と、該胴部の下端を閉塞する下鏡板とを備え、前記胴部には複数個の突ビードが等間隔で円周方向に設けられている貯液タンクに於いて、前記突ビードの突出高さは、胴部の上方へ行くに従い高くなるように形成した事を特徴とする貯液タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体を貯えるタンクに関し、特に電気温水器やヒートポンプ式給湯機の貯液タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯液タンクに於いては、胴部の内側にリング状の補強金具が3個等間隔に溶接されて備えられ、貯液タンクが負圧で内側に変形しようとするのを防止するものであった。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−76863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、補強リングが溶接により胴部に固定されているので、補強リングと胴部との間の部分で隙間腐食を起こし耐用年数が短くなるものであり、又補強リングを別部材で形成しているので、コスト高を招くものであり、更に貯液タンク内は貯液で満杯となり、貯液タンクの下程外側への水頭圧がかかり、逆に上行く程水頭圧が弱くなるので、補強リングを胴部に等間隔に設けたのでは、水頭圧の関係から貯液タンク全体を均一に負圧から守ることが出来ないと共に、胴部の下方は負圧には強く正圧には弱く、反対に上方は負圧には弱く正圧には強いと言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、円筒状の胴部と、該胴部の上端を閉塞する上鏡板と、該胴部の下端を閉塞する下鏡板とを備え、前記胴部には複数個の突ビードが等間隔で円周方向に設けられている貯液タンクに於いて、前記突ビードの突出高さは、胴部の上方へ行くに従い高くなるように形成したものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、貯液タンの胴部には複数個の突ビードを等間隔で円周方向に設けると共に、この突ビードの突出高さは胴部の上方へ行くに従い高くなるように形成したので、水頭圧の関係で負圧に強く正圧に弱い下方には、突出高さが低い突ビードを設け、逆に負圧に弱く正圧に強い上方には、下方より突出高さが高い突ビードが形成されることとなり、貯液タンク全体を均一に負圧から防止出来ると共に、突出高さが高い突ビードを形成することで発生する、加工時の材料の割れの危険性や、材料の縮み、端面の歪み、真円精度の低下等の不具合を極力抑えながら、負圧と正圧に対してバランス良く補強して、負圧や過圧による破損の危険が少ないタンクを提供出来ると言う効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明の一実施形態の貯液タンクの概略構成図。
図2】同貯液タンクの水頭圧の説明図。
図3】同要部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図示した給湯用で薄板ステンレス鋼の貯液タンクに基づいて説明する。
1は円筒状の胴部で、この上端は円弧状の上鏡板2が溶接されて閉塞しており、下端は同じく円弧状の下鏡板3が溶接されて閉塞している。
4は前記上鏡板2の頂部に接続された出湯管で、タンク内に貯湯された温水を適宜給湯箇所に設けられた給湯栓(図示せず)の開栓によって出湯するものである。
5は前記下鏡板3の最低部に接続された給水管で、出湯管4から出湯されて減った分の給水を市水の給水圧で補水して常にタンク内を満杯にしておくものである。
【0009】
6は胴部1の円周方向で等間隔に複数個設けられた突ビードで、この突ビード6は胴部1の外側に向かって一体的に突出させて3個設けており、各突ビード6の間隔Lはは等しく等間隔であり、各突ビード6の胴部1の外壁面からの突出高さを最下方の突ビード6Aの高さT1から中央の突ビード6Bの高さT2、最上方の突ビード6Cの高さT3の順に上方へ行くに従い高くなるようT1<T2<T3に形成したものであり、水頭圧の関係で負圧に強く正圧に弱い下方には、突出高さが低い突ビード6Aを設け、逆に負圧に弱く正圧に強い上方には、下方より突出高さが高い突ビード6B、6Cが形成されることとなり、貯液タンク全体を均一に負圧から防止出来ると共に、突出高さが高い突ビード6B、6Cを形成することで発生する、加工時の材料の割れの危険性や、材料の縮み、端面の歪み、真円精度の低下等の不具合を極力抑えながら、負圧と正圧に対してバランス良く補強して、負圧や過圧による破損の危険が少ないタンクを提供するものである。
【0010】
次にこの一実施形態の作動について説明するが、その前にこの貯液タンクは、タンク内に備えられた電気ヒーター(図示せず)やタンク外に備えられたヒートポンプ装置(図示せず)で、貯液タンク内の給水を加熱して所定温度に沸き上げて満杯に貯湯しているものであります。
又満杯で上下方向に立設した貯液タンクは図2に示すように、タンクの外側に向かう水頭圧は、タンクの下の方が上よりはるかに高く、上に行く程圧力が弱くなるものであり、即ち、この水頭圧の関係で胴部1の下方は負圧には強いが水頭圧にプラスされることになる正圧には弱くなるもので、逆に胴部1の上方へ行くに従って負圧には強く正圧には弱くなるものである。
【0011】
そこで、この満杯状態の貯液タンクに断水等によりタンクを内側に向かって変形させる負圧が作用した場合、胴部1には補強として突ビード6が形成され、そしてこの各突ビード6A、6B、6Cは上方に行く程突出高さが高くなり、突出高さは突ビード6Aの高さT1<6Bの高さT2<6Cの高さT3の関係となるもので、水頭圧の関係で負圧に強く正圧に弱い下方には、突出高さが低い突ビード6Aを設け、逆に負圧に弱く正圧に強い上方には、下方より突出高さが高い突ビード6B、6Cが形成されることとなり、貯液タンク全体を均一に負圧から防止出来ると共に、突出高さが高い突ビード6B、6Cを形成することで発生する、加工時の材料の割れの危険性や、材料の縮み、端面の歪み、真円精度の低下等の不具合を極力抑えながら、負圧と正圧に対してバランス良く補強して、負圧や過圧による破損の危険が少ないタンクを提供出来るものである。
【0012】
又上鏡板2と下鏡板3については、予め円弧状に形成されているので、負圧に対する耐圧強度は強く、補強を施す必要はなく、薄板を円筒状に巻いた胴部1が耐圧に弱くここの補強が必要であった。
【符号の説明】
【0013】
1 胴部
2 上鏡板
3 下鏡板
4 出湯管
5 給水管
6 突ビード
T1、T2、T3 高さ
図1
図2
図3