(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903030
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】ブロックおもちゃ
(51)【国際特許分類】
A63H 33/08 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
A63H33/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-261032(P2012-261032)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-104258(P2014-104258A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年3月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511287204
【氏名又は名称】ビーエルホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 俊彰
【審査官】
彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−329279(JP,A)
【文献】
米国特許第05172534(US,A)
【文献】
特公昭57−060034(JP,B2)
【文献】
米国特許第05910038(US,A)
【文献】
米国特許第05605486(US,A)
【文献】
米国特許第03838535(US,A)
【文献】
米国特許第05378185(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
A63F 9/06− 9/12
G09B 1/00− 1/40
G09B 23/00−25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸部や嵌合穴を有する複数種類の玩具ブロックを嵌合して任意のブロック構造体を形成し得るブロックおもちゃであって、
前記玩具ブロックは、嵌合凸部と2つの前記嵌合凸部を重ね合わせた状態で嵌脱可能である嵌合凹部とを有し、前記嵌合凹部の幅方向両側に前記嵌合凸部が前記嵌合凹部と並んで形成されている基本ブロックを含み、
前記基本ブロックの嵌合凸部の先端部分が前記嵌合凸部の厚さに相当する長さを、前記厚さ方向に延びる直径として有する半円柱形状となっており、
前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合した状態で前記先端部分の先端湾曲面が前記嵌合凹部の底面に連続的に相対回転可能に接触することを特徴とするブロックおもちゃ。
【請求項2】
前記基本ブロックは、
前記嵌合凸部の幅が前記嵌合凹部の幅の1/2であり、
前記嵌合凸部の突出量が前記嵌合凹部の深さと等しい請求項1記載のブロックおもちゃ。
【請求項3】
前記基本ブロックは、
さらに、前記嵌合凹部の幅に等しい長さを一辺とする断面正方形状の嵌合穴を有する本体部を備え、
前記本体部から互いに反対方向に前記嵌合凸部が2つずつ突出している請求項1または2記載のブロックおもちゃ。
【請求項4】
前記玩具ブロックは、円筒形状のシャフト形または角筒状のシャフト形のものを含む請求項1記載のブロックおもちゃ。
【請求項5】
前記玩具ブロックは、嵌合穴を有する車輪形の玩具ブロックを含み、
前記嵌合穴に前記角筒状のシャフト形の玩具ブロックが嵌合可能である請求項4記載のブロックおもちゃ。
【請求項6】
前記基本ブロックは、一定の大きさの基本形状のものに加えて、前記基本形状のブロックの嵌合凹部にブロック全体が嵌脱可能に嵌合する幅を有する小型形状のものを含み、
前記基本形状と前記小型形状とは相似形である請求項1〜5のいずれか1つに記載のブロックおもちゃ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の玩具ブロックを組み合わせて任意のブロック構造体を形成し得るブロックおもちゃに関する。
【背景技術】
【0002】
凸部、この凸部と嵌合する凹部、或いはこの凸部と嵌合する開口部等を備える樹脂製の玩具ブロックであって、凹凸部や、凸部と開口部等とを嵌合させて複数の玩具ブロックを連結し、ブロック構造体を組み立てて遊ぶようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、凸部(突起)を多角柱体として、ブロックどうしを傾斜して組み立てることができるようにした組合せブロック玩具も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−299610号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1,2に記載されるような玩具ブロックでは、玩具ブロックどうしを、それらの表面が傾斜するように凹凸部を嵌合して、組み立てる際に、凸部が断面四角形や断面多角形で先端が平坦面であるため、安定した嵌合を維持して連続的な角度調整を行うことは困難である。
【0006】
本発明は、玩具ブロックどうしを傾斜させて組み立てる場合に、安定した嵌合を維持して連続的な角度調整が可能であるブロックおもちゃを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、凹凸部や嵌合穴を有する複数種類の玩具ブロックを嵌合して任意のブロック構造体を形成し得るブロックおもちゃであって、前記玩具ブロックは、嵌合凸部と2つの前記嵌合凸部を重ね合わせた状態で嵌脱可能である嵌合凹部とを有し、前記嵌合凹部の幅方向両側に前記嵌合凸部が前記嵌合凹部と並んで形成されている基本ブロックを含み、前記基本ブロックの嵌合凸部の先端部分が前記嵌合凸部の厚さに相当する長さを、前記厚さ方向に延びる直径として有する半円柱形状となっており、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合した状態で前記先端部分の先端湾曲面が前記嵌合凹部の底面に
連続的に相対回転可能に接触することを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、玩具ブロックどうしを、それらの表面が傾斜するように嵌合凹部と嵌合凸部を嵌合して、ブロック構造体を組み立てる際に、前記嵌合凸部の先端部分の先端湾曲面を前記嵌合凹部の底面に接触させながら回転することで、両者の位置関係を確定しつつ玩具ブロックの表面がなす角度について連続的な角度調整を行うことができる。よって、ブロックどうしをそれらの表面が一定の角度をなすように傾斜させた、安定した嵌合を実現できる。
【0009】
請求項2に記載のように、前記基本ブロックは、前記嵌合凸部の幅が前記嵌合凹部の幅の1/2であり、前記嵌合凸部の突出量が前記嵌合凹部の深さと等しいことが望ましい。
【0010】
請求項3に記載のように、前記基本ブロックは、さらに、前記嵌合凹部の幅に等しい長さを一辺とする断面正方形状の嵌合穴を有する本体部を備え、前記本体部から互いに反対方向に前記嵌合凸部が2つずつ突出している構造とすることができる。
【0011】
請求項4に記載のように、前記玩具ブロックは、円筒形状のシャフト形または角筒状のシャフト形のものを含むことも可能である。
【0012】
請求項5に記載のように、前記玩具ブロックは、嵌合穴を有する車輪形の玩具ブロックを含み、前記嵌合穴に前記角筒状のシャフト形の玩具ブロックが嵌合可能であるようにすることができる。
【0013】
請求項6の記載のように、前記基本ブロックは、一定の大きさの基本形状のものに加えて、前記基本形状のブロックの嵌合凹部にブロック全体が嵌脱可能に嵌合する幅を有する小型形状のものを含み、前記基本形状と前記小型形状とは相似形であるようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、玩具ブロックどうしを、それらの表面が傾斜するように嵌合凹部と嵌合凸部を嵌合して、ブロック構造体を組み立てる際に、玩具ブロックの表面がなす角度について連続的に角度調整して所望の嵌合角度(傾斜角度)とすることができ、玩具ブロックどうしが傾斜状態であっても嵌合を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)〜(e)はそれぞれ本発明の実施の形態に係るブロックおもちゃに含まれる玩具ブロックを示す斜視図である。
【
図2】前記玩具ブロックを複数組み合わせた状態を示す斜視図である。
【
図5】1つの玩具ブロックに対し2つの玩具ブロックを、それらの表面が傾斜した状態で嵌合した場合の嵌合凸部と嵌合凹部との関係を示す説明図である。
【
図7】2つの玩具ブロックを、それらの表面が90度の角度をなすように組み付けた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0017】
図1(a)は本発明の実施の形態に係るブロックおもちゃの一つの玩具ブロック(基本ブロック)を示す斜視図、
図1(b)〜(e)はそれぞれ
図1(a)に示す玩具ブロック(基本ブロック)に嵌合により組み合わせて用いられる他の玩具ブロックを示す斜視図である。
【0018】
本発明に係るブロックおもちゃは、凹凸部や嵌合穴を有する複数種類の玩具ブロックを嵌合して任意のブロック構造体を形成し得るもである。そして、玩具ブロックには、例えば
図1(a)〜(e)に示すように、各種形状のものが含まれ、軽量化のために中空形状となっている。これら各種形状の玩具ブロック1〜5を組み合わせて任意のブロック構造体を組み立てるものである。つまり、
図1(a)に示すように、矩形枠状の本体部1Aとこの本体部1Aの角部から互いに平行に突出する4つの嵌合凸部1B,1C,1D,1Eとを有する基本ブロックとなる玩具ブロック1や、
図1(b)に示すように、一側が湾曲面2Aaとなっている本体部2Aとこの本体部2Aの他側から互いに平行に突出する2つの角柱状の嵌合凸部2B,2Cとを有する略A字形状の玩具ブロック2や、
図1(c)に示すように角筒形状のシャフト形の玩具ブロック3や、
図1(d)に示すように円筒状のシャフト形の玩具ブロック4や、
図1(e)に示すように車輪形の玩具ブロック5が含まれる。なお、各玩具ブロック1〜5は、中空であっても中実であってもよい。
【0019】
次いで、本発明の特徴の1つである先端湾曲面を備える玩具ブロック1(基本ブロック)について、まず、説明する。
【0020】
玩具ブロック1は、
図1(a)に示すように、矩形枠状の本体部1Aを有し、この本体部1Aは、中央部に正方形状の嵌合穴1Aaが貫通して形成され、本体部1Aの一側から2つの角柱状の嵌合凸部1B,1Cが平行に突出する一方、他側から2つの角柱状の嵌合凸部1D,1Eが嵌合凸部1B,1Cとは反対方向に平行に突出している。そして、互いに平行に延びる嵌合凸部1B,1Cあるいは1D,1Eの間に、2つの嵌合凸部1B,1Cあるいは1D,1Eが嵌脱可能に嵌合される嵌合凹部1F,1Gが形成されている。そして、嵌合凸部1B〜1Eは断面略正方形状で、嵌合凸部1B〜1Eの幅は、嵌合凹部1F,1Gの幅Wの1/2であり、嵌合凸部1B〜1Eの突出量は、嵌合凹部1F,1Gの深さと等しくなっている。そして、嵌合穴1Aは、嵌合凹部1F,1Gの幅を一辺とする水平断面正方形状である。よって、各嵌合凹部1F,1Gの大きさと嵌合穴1Aaの大きさは対応し、ほぼ一致している。
【0021】
各嵌合凸部1B〜1Eの自由端部(先端部分)は厚さ方向に直交する方向に延びる中心線(中心O参照)を有する略半円柱形状である。つまり、各嵌合凸部1B〜1Eの先端面は断面半円弧状の先端湾曲面1Ba〜1Eaを形成し、その先端湾曲面1Ba〜1Eaは嵌合凸部1B〜1Eの厚さHに相当する長さを、厚さ方向における直径として有する。
【0022】
例えば
図2および
図3に示すように、
図1(a)の玩具ブロック1を3個用い、2つの嵌合凸部1B,1Cを嵌合凹部1Gに一緒に嵌合させた状態(図示左側の玩具ブロック1の図示右側の嵌合凹部1Gに対し、図示右側の2つの玩具ブロック1の図示左側の2つの嵌合凸部1B,1Cを嵌合させている状態)では、
図4に示すように、先端湾曲面1Ba,1Caが嵌合凹部1Gの底面(本体部の1Aの外周面の1つ)に接触している。この接触は、平面と湾曲面との接触であるので、それらの接触を維持した状態で2つの玩具ブロックを連続的に(無段階に)相対回転可能となっている。
【0023】
図1(b)に示す玩具ブロック2は、本体部2Aが、玩具ブロック1の嵌合穴1Aaと同じ大きさの嵌合穴2Aaを有し、2つの嵌合凸部2B,2Cの厚さが本体部2Aの厚さの略2倍とされている。また、嵌合凸部2B,2Cの先端面も断面半円弧状の先端湾曲面2Ba,2Caとなっており、玩具ブロック1の嵌合凸部1B〜1Eの場合と同様に、嵌合凸部2B,2Cの幅は嵌合凹部2Dの幅Wの1/2であり、別の玩具ブロックの嵌合凹部に嵌合すると、先端湾曲面2Ba,2Caが前記嵌合凹部の底面に接触することになる。
【0024】
図1(c)に示す玩具ブロック3は、嵌合凹部1F,1Gの幅に等しい長さを一辺とする角筒状のシャフト形の玩具ブロックであり、
図1(d)に示す玩具ブロック4は、嵌合凹部1F,1Gの幅Wに等しい長さを直径として有する円筒形状のシャフト形の玩具ブロックである。
【0025】
図1(e)に示す玩具ブロック5は、
図1(c)に示す玩具ブロック3(角筒状のシャフト形の玩具ブロック)が挿入される嵌合穴5aを有し、例えば玩具ブロック3を嵌合穴5aに挿入することで、玩具ブロック3を車軸として利用することができる。
【0026】
上記のように基本ブロックとなる玩具ブロック1の嵌合凸部1B〜1Eがそれぞれ先端湾曲面1Ba〜1Eaを有するので、例えば
図2および
図3に示すように、2つの玩具ブロック1の嵌合凸部1B,1Cを重ねて嵌合凹部1Gに嵌合させると、
図4に示すように、先端湾曲面1Ba,1Caが嵌合凹部1F,1Gの底面(本体部の1Aの外周面の1つ)に接触することになる。この接触は、平面と湾曲面との接触である。
【0027】
この状態で、嵌合凸部1B,1Cの先端部分の中心O回りに、2つの玩具ブロックと1つの玩具ブロック1とを相対回転すれば、前記接触状態を維持して嵌合凹部1Cの底面(平面)に対し先端湾曲面1Ba,1Caが回転するので、その回転が安定する。
【0028】
つまり、先端湾曲面1Ca,1Baの外周面を嵌合凹部1Gの底面に接触させながら回転させることができるので、ブロック構造体を組み立てる際に、両玩具ブロックの位置関係を一定に維持しながら、それらの傾斜角度(玩具ブロックの表面がなす角度)を連続的に調整して所望の嵌合角度(傾斜角度)とすることができる(
図5および
図6参照)。
【0029】
よって、玩具ブロックどうしが傾斜状態で嵌合する場合も、玩具ブロックどうしが、しっかりと安定した嵌合状態となることを実現できる。
【0030】
また、
図4に示すように、玩具ブロックどうしの表面が一致している傾斜角度が0°の状態から、
図5に示す状態を経て、
図7に示すように、玩具ブロック1どうしの表面が90°の角度をなす状態まで連続的に角度調整をすることができ、逆方向にも同様に連続的に角度調整をすることができる。そして、嵌合状態では嵌合凹部1Gの底面に嵌合凸部1B,1Cの側面が接触しているので、その接触状態は安定し、嵌合凹部1Gを形成する2つの嵌合凸部1D,1Eの表面より、嵌合凹部1Gに嵌合される嵌合凸部1B,1Cの先端部分が突出することもない。
【0031】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら本発明を限定するものではなく、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であることはいうことはいうまでもない。例えば、次のように変更して実施することができる。
【0032】
(i)玩具ブロックの形状は、図示したものに限らず、周知のように、互いに嵌合することができる一定の寸法関係を満たす凹凸部等を備え、凹凸部等を相互に嵌合させて玩具ブロック相互を連結し、所望のブロック構造体を作ることができる形状のものであれば、特に制限されない。
【0033】
(ii)前記実施の形態では、玩具ブロックの大きさは、嵌合凸部と嵌合凹部あるいは嵌合穴との嵌合を実現するものであるが、例えば複数種類の玩具ブロックうちの一種類の玩具ブロック全体の幅が、別の種類の玩具ブロックにおける嵌合凹部の幅に等しくなるように形成し、玩具ブロックどうしを相互に嵌合可能である相似形状のもの含むようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1〜5 玩具ブロック
1A 本体部
1Aa 嵌合穴
1B〜1E 嵌合凸部
1Ba〜1Ea 先端湾曲面
1F,1G 嵌合凹部
2A 本体部
2Aa 嵌合穴
2B,2C 嵌合凸部
5a 嵌合穴