【実施例】
【0049】
実施例1:CardioMatrixの研究:虚血−再灌流ラットモデル
この実施例では、虚血−再灌流ラットモデルを使用して、心室の収縮性ならびに梗塞部の大きさおよび重篤度の病理学的評価によって測定したときに、CardioMatrixの局所的な心筋注射の使用が、梗塞形成後の心室リモデリングを改善するかどうかを調べた。これらの実験において、CardioMatrix材料の導入は、「細胞を含まない状態」で行った。すなわち、梗塞形成した領域に導入されるべき細胞の調製物を使用もせず、必要ともしなかった。
【0050】
CardioMatrix材料
CardioMatrixを以下のように調製した:CardioMatrix粉末を、ビヒクル対照溶液(10%スクロース)中に溶解して、この実施例において使用する1重量%および3重量%の濃度の溶液を生成した。この溶液は、実質的に細胞を含まなかった。次いで、注射のために、この溶液をシリンジに移した。10%スクロース溶液を対照として用いた。
【0051】
外科手術、AMIおよびCardioMatrixの注射
雄性のSprague Dawleyラット(n=29、体重240〜300g)に、全身麻酔(ペントバルビタール 0.06〜0.10mg/g ip)下で経壁的に虚血を起こした。挿管および正中胸骨切開の後、左前下行枝の中間部分を7/0縫合糸で結紮し、そして、遠位の左前下行枝の領域における心筋の青白い変色によって虚血を確認した。45分後、縫合糸を切断し、取り除いた。動脈を結紮している間に、2匹のラットが死亡した。
【0052】
ラット(n=27)を無作為に、以下の3種の材料のうちの1つを与えるように選択した:3% CardioMatrix(3% CardioMatrix、3DM Inc.,Cambridge,MA,USA)、1% CardioMatrix(1% CardioMatrix、3DM Inc.,Cambridge,MA,USA)、または、ビヒクル対照(CardioMatrixビヒクル、3DM Inc.,Cambridge,MA,USA)。前室の心筋再灌流から3分後に、遠位の左前下行枝の領域への3箇所の注射により、合計50μlの材料を梗塞形成した心筋に送達した。その後、4/0縫合糸で胸骨切開を閉じ、そして、ラットを回復させた。
【0053】
心エコー検査
外科手術から3日後、軽度の鎮静(ケタミン、0.05〜0.10mg/g ip)の後に、13MHzの線形アレイ超音波プローブ(Vivid 7,GE Medical
Systems,Milwaukee,WI,USA)を用いて、経胸腔心エコー検査を行った。心室中央部の高さにおいて、胸骨傍の短軸Mモード追跡から左心室の寸法を測定し、そして、Teich法を用いて左室駆出率(LVEF)を算出した(5)。2回の連続した追跡から得た測定値の平均をとった。
【0054】
先に記載した方法を用いて、手術から28日後に、軽度の鎮静下で心エコー検査を繰り返した。その後、ラットに麻酔をかけ(ペントバルビタールナトリウム 0.10mg/g ip)、屠殺し、そして、病理学的評価のために心臓を外植した。
【0055】
病理学
各心臓を、心尖から基部までの5つの同心性の輪にスライスした。各輪を、梗塞形成の存在もしくは非存在、壁の菲薄化、線維症、および炎症について評価した。梗塞形成が生じていた心臓の腹側領域のみを、梗塞部の重篤度または壁の菲薄化についてスコア付けした。影響は、以下のようにしてスコア付けした:0 − 梗塞部または菲薄化について陽性のスコアの領域が0%、すなわち、なし;1 − 25%の領域が冒されている(軽度と称される);2 − 50%の領域が冒されている(中程度);3または4 − (75〜100%)の領域が冒されている(重度)。ラットの外科手術、心エコー検査および病理学的評価を行った研究者には、ラットにどの材料を与えたかを伏せた。
【0056】
全ての統計的解析は、SPSS for Windows(登録商標) 10.0(SPSS Inc,Chicago,USA)を用いて行った。データがパラメトリックであったので、平均±標準偏差として表し、両側の0.05のp値を有意とみなした。カテゴリー的変数をχ
2検定およびFisherの正確確率検定を用いて比較した。対応ありのt検定と対応なしのt検定を用いて、被験体内および被験体間の差を調べた。
【0057】
心エコー検査の結果
27匹のラットのうち、2回目の心エコー検査の前に3匹(各群から1匹ずつ)が死亡し、24匹が解析のために残された。表1は、3つの実験群の各々についての、3日目および28日目のLVID測定値(cm)、3日目および28日目のLVEF(%)、ならびに、3日目および28日目からのLVEFの変化を示す。虚血−再灌流後3日目では、3% CardioMatrix群と1% CardioMatrix群とビヒクル対照群との間でLVEFに差は見られず(それぞれ、69.4±5.3%、68.3±2.7%および70.5±8.9%、p>0.50、表1)、この研究において、全てのラットに対して一様な様式で梗塞部に投与されたことが実証された。
【0058】
【表1】
【0059】
AMIのこのラットモデルにおける心室機能に対するCardioMatrix処置の効果を決定するために、処置を互いに比較するp値(すなわち、3% CardioMatrix 対 1% CardioMatrixもしくは対照、および1% CardioMatrix 対 対照)、そして、単一の群内で処置を比較するp値(すなわち、3日目 対 28日目における3% CardioMatrix、1% CardioMatrixまたは対照)を算出した(
図1)。3% CardioMatrix 対 1%
v(p=0.25)と、3% CardioMatrix 対 対照(p=0.04)と、1% CardioMatrix 対 対照(p=0.49)との間の比較のために、対応するp値を算出し(表1、7行目、太字)、そして、
図1(a)に示す。3% CardioMatrix 対 対照の0.04というp値は、ビヒクル対照を与えた動物と比較して、3% CardioMatrixを与えた動物における統計的に有意な改善を実証する。群の各々を個々に検討すると、3% CardioMatrix群について3日目から28日目へのLVEF(69.4±5.3% 対 76.4±10.7%、7.0+7.1%の平均変化、p=0.028、表1、
図1b)にも、1% CardioMatrix群における正の傾向(68.3±2.7% 対 70.5±10.1%、2.2±8.9%の平均変化、p=0.52、表1、
図1b)にも統計的に有意な改善が見られたが、ビヒクル対照群については統計的に有意な改善が見られなかった(70.5±8.9% 対 69.9±11.5%、−0.6+6.3%の平均変化、p=0.79、表1、
図1b)。
図1(b)はまた、各動物が3日目および28日目の測定値によって結ばれた一本の線によって表された、別々にプロットされた群の各々の図表を含む。各群の8匹の動物のうち、3% CardioMatrix群では6匹のラットにおいて、1%
CardioMatrix群では3匹のラットにおいて、そして、ビヒクル対照群では2匹のラットにおいて、LVEFの改善が見られた(
図1(b)を参照のこと)。総合すると、これらの計算は、3% CardioMatrixを用いた処置が、ビヒクル対照と比較して、以前にAMI事象を経験したラットにおいて、LVEFの統計的に有意な向上を示すことが実証された。
【0060】
病理学
28日目に屠殺した24匹のラットの各々について、心臓を5つの部分に切断し、そして、梗塞形成の大きさ、壁の菲薄化、線維症および炎症について、0〜4のスケール(0−影響なし、4−重度)で個別に評価した。梗塞部についてのスコアの例を
図2に示す。
図2のaのパートでは、ビヒクル対照が、広い領域の梗塞形成(心臓の腹側領域の75%)を有するように示されているのに対し、bのパートでは、3% CardioMatrixが、かなり小さな領域の梗塞形成(心臓の腹側領域の25%)を示している。梗塞形成、線維症および炎症を有するラット毎のスライスの数は、3% CardioMatrix群、1% CardioMatrix群およびビヒクル対照群で全て同じであった(表1)。結果はまた、合計の症例および各徴候についての重篤度として別々に表にまとめた。本発明者らは、群を他の群と比較したとき、または、単一の群内(3日目 対 28日目の比較)に存在する、線維症または炎症の量には差がないことを確認した(表2、5行目および6行目)。しかし、重度の梗塞形成(0.9±0.8および0.8±1.1 対 1.4±1.5)、および壁の菲薄化〜両方の壁の全体的な菲薄化(1.5±1.2および1.4±1.1 対 2.3±1.7)、および重度の壁の菲薄化(0.50±0.8および0.4±0.7 対 0.9±1.1)については、ビヒクル対照と比較して、3%および1% CardioMatrixにおいて、ラット毎により少ない数のスライスで正の傾向が見られた(表2、1〜4行目、
図3)。まとめると、このラットAMIモデルにおけるCardioMatrixでの処置は、心室機能を改善するだけでなく、重篤度、したがって、28日後に存在する梗塞部の大きさ、ならびに、壁の菲薄化の量をも低減する。
【0061】
【表2】
【0062】
結果の考察
この実施例では、心エコー検査により測定された心機能の改善が、AMIのラット動物モデルにおける本発明のCardioMatrix材料の効果を実証した。さらに、ビヒクル対照と比較したCardioMatrix材料の効果の組織学的特徴付けがさらに、処置した動物におけるより小さな梗塞部の大きさおよびより少ない壁の菲薄化に関する、CardioMatrix材料の治療上の利益を支持している。特に、実験的な梗塞形成後の左心室の収縮性の改善された回復が、ビヒクル対照群と比較して、高用量の3% CardioMatrix群で見られ(+7.0% 対 −0.6%、p=0.04)、低用量の1% CardioMatrix群では中間の反応が見られた(+2.2%)。3日目のLVEFが同様であり、そして28日目の線維症、炎症および梗塞形成を有するラット毎の心臓スライスの数が同じであることによって示される、3群におけるリスクのある心筋層の領域が同様であるにも関わらず、対照群と比較して、CardioMatrix群において、梗塞部の大きさおよび壁の菲薄化の減少が存在した。
【0063】
内皮−心筋細胞の相互作用が、心臓の調節において重要な役割を担うことが報告されている(6、17)。理論に束縛されないが、CardioMatrix材料により形成される足場は、細胞の移植、長期の細胞の生存および脈管構造の形成(例えば、毛細管様ネットワークの形成)を促進する脈管形成環境(例えば、心筋の微環境)を提供するものと考えられる。
【0064】
そのラットAMIモデルにおけるSAPのみの注射では、心室内径短縮率も統計的に改善せず、梗塞部の大きさも減じなかったことが報告されている(14)。しかし、本願の実施例の結果は、3% CardiMatrixを使用した結果を、ビヒクル対照と比較したとき、統計的に有意な心室の回復が見られる(p=0.04)ことを実証している。
【0065】
理論に束縛されないが、細胞レベルでは、本発明の種々の実施形態にしたがうCardioMatrixの注射による、ナノファイバー足場の微環境の生成は、虚血障害後の心筋細胞および内皮細胞の生存および組織化を促進し得(5)、そして、心室の収縮性の回復における改善をもたらすものと考えられる。さらに、これらの結果は、種々の実施形態において、本発明が、再灌流傷害に対する保護または心保護作用を促進し得ることを実証している。理論に束縛されないが、本実施例のCardioMatrix中に存在するL−アルギニン(LA)ペプチド配列は、心保護作用を促進または提供し得るものと考えられる。例えば、一酸化窒素(NO)は、LAから形成され得、そして、酸素およびNOは、生理学的および病理学的な刺激に応じて合成される;心臓の再灌流傷害は、LAの不足から生じるNO活性の低下に原因があるとされるので(3)、本発明の種々の実施形態は、NOの局所送達による処置を提供し得る。心疾患に加え、高血圧、敗血症性ショック、神経変性、関節炎および喘息を含むいくつかの他の疾患が、一酸化窒素の不適切な放出と関連付けられている。したがって、種々の実施形態において、本発明は、LAを含有するCardioMatrixの局所投与を用いた、高血圧、敗血症性ショック、神経変性、関節炎および喘息のうちの1以上の処置のための方法を提供する。
【0066】
理論に束縛されないが、心停止の解決のためのCardioMatrix材料を介したLAの投与、または、心臓の再灌流の間の使用は、一酸化窒素放出の増加および内皮細胞機能の維持により、低体温の虚血後の左心室機能の回復を促進し得るものと考えられる(18)。したがって、種々の実施形態において、本発明は、約1重量%より多いCardioMatrix、好ましくは約3重量%より多いCardioMatrixを含有する、実質的に細胞を含まない溶液の局所投与による、心室機能の回復を促進するための方法を包含する。
【0067】
また、理論に束縛されないが、本発明が作用する別の機構は、内皮細胞および筋細胞様前駆体細胞の成長の増強により、成熟した微小血管環境をもたらすことであるとも考えられる。このような増強は、治癒を促進し得ると報告されている(5)。理論に束縛されないが、梗塞形成および壁の菲薄化の領域が同様であるにも関わらず、ナノファイバー足場の微環境を形成する細胞のタイプまたは時間経過の差は、1% CardioMatrix群と比較して、高用量の3% CardioMatrix群でのより大きな収縮性の改善が見られる傾向を説明するために使用され得る作用機構であると考えられる。
【0068】
また、理論に束縛されないが、本願の実施例において、CardioMatrix材料は、損傷を受けた組織を浮腫および炎症が鎮まるまで気絶状態に維持することによって、損傷を受けた組織を「救出し」得るものと考えられる(19、22)。CardioMatrixはまた、心機能をさらに弱める壁応力から組織を保護するバルキング剤として作用し得る(19)。壁応力は、うっ血性心不全についての重要な代用マーカーであるので、本発明は、梗塞形成した組織に対して、生体力学的または生物物理学的な保護作用を提供するものと考えられる(19)。
【0069】
実施例2:研究:生体適合性および毒性学
細胞傷害性および血液適合性についてのEN/ISO試験を含む、標準的なインビトロでの毒性学研究を完了した。以下の試験は、CardioMatrix材料についての判定の確立された標準規格品を用いて、FDA公認の毒性学試験会社(Toxikon Corp,Bedford,MA)にて完了した(表3および4)。本実施例で試験したCardioMatrix溶液は、実質的にスクロースを含まない水溶液中の、種々の濃度のCardioMatrix粉末から構成された。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
細胞傷害性
寒天拡散試験(ISO 10993−5)は、細胞培養に対する物質の影響を判定するもので、微量の浸出性の化学物質に対して極めて感度が高く、潜在的に有害な浸出物の存在下での毒性の特徴的な徴候を容易に呈する。哺乳動物の単層L929マウス線維芽細胞培養物の、試験物品に対する生物学的反応を、試験において「反応性なし」と決定した。
【0073】
溶血
溶血試験(直接接触法、ISO−10993−4)は、物質が赤血球を破裂させる能力を判定する。この試験は、十分に確立されたNIHのプロトコールから派生するもので、三連で行う。この試験は、試験物質と直接接触したウサギの血液を用い、そして、分光測光法により溶血の程度を判定する。CardioMatrixは、独立したFDA公認の試験機関によって行われた試験において、「溶血性なし」との評価を得た。
【0074】
凝固プロトロンビン時間
プロトロンビン時間(ヒト血漿、ISO 10993−4)は、ヒト血液凝固時間に対する試験物品抽出物の影響を判定する。このアッセイは、凝固のプロセスにおけるプロトロンビンの存在および機能を果たす能力を決定する、適切な臨床上の手段となっている。CardioMatrixは、独立したFDA公認の試験機関により行われた試験において、ヒト血漿のプロトロンビン凝固時間に対して有害な影響を有さなかった。
【0075】
ADMEおよび生分解性
動物の局所的および全身の分布を判定するために、14C炭素で放射標識したバージョンのCardioMatirxを生成した。インビボでのCardioMatrix材料の吸収、分解、代謝および排泄(ADME)をより良く特徴付けるために、切断され得る標識されたアセチル基とは対照的に、放射標識したバージョンは、3番目のアラニン部位において内部に標識した(アセチル−(RADA)−(R−[
14C(U)−Ala]−D−A)−(RADA)
2−CONH
2)。その後、放射標識した物質をSprague
Dawleyラットの大腿に欠陥を持つモデルに移植した。尿および糞便のサンプルを回収し、放射活性をカウントした。
【0076】
ウサギの筋肉移植(2週間)
この試験は、生体組織と接触したときの物質の局所的な影響を評価するものである。試験物品を、3匹のニュージーランド白ウサギの脊柱傍に移植し、各動物の対側の筋肉にネガティブ対照(GelFoam)を移植した。2週間にわたり治癒させた。動物を屠殺し、移植物を切除した。切除した移植物を、拡大レンズを用いて顕微鏡により検討し、ホルマリン固定した。ヘマトキシリン・エオシン(H&E)およびMasonのトリクローム染色した切片の組織学的スライドを調製し、委員会公認の獣医病理学者により顕微鏡下で検討し、そして、0〜3のスケールで評価した。CardioMatrix移植物は、最初の移植容積、コラーゲン線維および注射部位の血管新生を保った。独立したFDA公認の試験機関によって行われた試験において、毒性なし(<1)から、わずかに毒性あり(1〜<2)、軽度の毒性(2〜<3)、中程度の毒性(3〜>4)、重度の毒性(<4)までの範囲のスケールについて、毒性なし(0.13)と評価された。
【0077】
皮内の反応性
刺激反応性試験は、裂け目を作った組織および血液との接触を含む、デバイスの材料もしくは抽出物に対する組織の局所的な反応を評価する。0.5%w/vのCardioMatrixペプチド溶液を、70±2℃にて24時間、1.0mLにつき0.2グラムの割合で、NaClおよびCSO中で抽出した。対照の抽出物を、試験物品と同様の様式で調製した。動物の片側を試験物品抽出物のために、そして、もう片側を対照抽出物のために用いて、各部位につき0.2mLで、3匹のウサギに皮内注射した。接種から24時間後、48時間後および72時間後に、紅斑、浮腫および壊死のような組織反応の大まかな徴候について、注射部位を調べた。0.5以下の一次皮膚刺激性を、無視してよい刺激原とみなし、0.5〜<2を軽度の刺激原、2〜<5を中程度の刺激原、そして、>5を重度の刺激原とした。CardioMatrixを注射した試験部位は、72時間の観察点まで、紅斑または浮腫の徴候を示さなかった。独立したFDA公認の試験機関によって行われた試験において、物質についての一次皮膚刺激性は0.0である。
【0078】
ウサギの発熱物質
この試験の目的は、試験物品抽出物の投与の結果として、発熱反応に対する患者のリスクを検出することであった。9mLの試験物品を9mLの注射用0.9% USP塩化ナトリウム(NaCl)と混合して試験物品を調製し、得られたゲルを1.0mLにつき0.2グラムの割合で抽出した。試験物品抽出物を、10mL/kgで静脈内注射により投与した。注射したウサギの直腸温度を、同様にして注射用0.9% USP塩化ナトリウム(NaCl)を注射した対照のウサギの温度と比較した。試験物品抽出物の注射より前30分以内に決定した、ウサギの基線温度を用いて、その体温が互いに1℃を超えて変化するウサギ、および、その温度が39.8℃よりも高いウサギを除外した。注射から1時間後〜3時間後の間に、30分間隔で体温を記録した。その基線温度について0.5℃以上の体温上昇を示したウサギがいない場合、その製品は、発熱物質がないことの要件を満たしたことになる。試験物品抽出物を注射した動物はどれも、独立したFDA公認の試験機関によって行われた試験において、発熱反応の徴候を示さなかった。
【0079】
本明細書中で用いた節の見出しは、系統化の目的だけのためのものであり、いかなる方法でも、記載される主題を制限するものとしてみなされるべきでない。
【0080】
本発明は、種々の実施形態および実施例と関連して記載されてきたが、本発明は、このような実施形態または実施例に制限されることは意図されない。逆に、当業者に理解されるように、本発明は、種々の代案、修正および等価物を包含する。
【0081】
本発明は、特定の例示的な実施形態を参照して具体的に示され、記載されてきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形状および細部において種々の変更がなされ得ることが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲および趣旨に入るあらゆる実施形態およびその等価物が権利主張される。
【0082】
参考文献
本願において引用される全ての文献および同様の資料(特許、特許公開、論文、書物、専門書およびウェブページが挙げられるがこれらに限定されない)は、このような文献および同様の資料の形式に関わらず、その全体が明示的に参考として援用される。1以上の引用される文献および同様の資料が本願と相違または矛盾する場合(定義される用語、用語の使用法、記載される技術などが挙げられるがこれらに限定されない)には、本願が支配する。
【0083】
【表5-1】
【0084】
【表5-2】
【0085】
【表5-3】