特許第5903076号(P5903076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5903076取引用記録媒体取扱装置及び取引用記録媒体の画素表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903076
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】取引用記録媒体取扱装置及び取引用記録媒体の画素表示方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   G07D9/00 436A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-121195(P2013-121195)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238729(P2014-238729A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】桜井 雄一
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−310386(JP,A)
【文献】 特開平4−111082(JP,A)
【文献】 特開2011−196730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定型書式の取引用記録媒体に印された画素を、所定間隔のライン毎に読取るラインセンサと、
前記ラインセンサで読取った画素のライン毎の画素数の数値情報を記憶する画素数記憶手段と、
前記ライン毎の画素数を、該画素数に応じた長さの棒状グラフでライン毎に表示し、かつ、該ライン毎の棒状グラフの中心位置が全ての棒状グラフに亘って一定の位置となるように表示する棒状グラフ表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする取引用記録媒体取扱装置。
【請求項2】
前記棒状グラフ表示手段は、前記取引用記録媒体に印された画素の前記取引用記録媒体における配置位置を示すための補助ラインを表示し、前記棒状グラフを、該補助ラインとともに、前記取引用記録媒体における前記画素の配置位置に対応した位置に配置して表示することを特徴とする請求項1記載の取引用記録媒体取扱装置。
【請求項3】
前記棒状グラフ表示手段は、前記補助ラインで示される前記配置位置を、前記棒状グラフが越える場合、該補助ラインを特定して警告を表示することを特徴とする請求項2記載の取引用記録媒体取扱装置。
【請求項4】
前記棒状グラフ表示手段は、前記補助ラインから、前記棒状グラフの端部が所定長以上離れている場合、該補助ラインを特定して警告を表示することを特徴とする請求項2記載の取引用記録媒体取扱装置。
【請求項5】
定型書式の取引用記録媒体に印された画素を、所定間隔のライン毎にラインセンサにより読取るライン読取ステップと、
前記ラインセンサで読取った画素のライン毎の画素数の数値情報をメモリに記憶させる画素数記憶ステップと、
前記ライン毎の画素数を、該画素数に応じた長さの棒状グラフでライン毎に表示し、かつ、該ライン毎の棒状グラフの中心位置が全ての棒状グラフに亘って一定の位置となるように表示部に表示させる棒状グラフ表示ステップと、
を含むことを特徴とする取引用記録媒体の画素表示方法。
【請求項6】
前記棒状グラフ表示ステップは、前記取引用記録媒体に印された画素の前記取引用記録媒体における配置位置を示すための補助ラインを前記表示部に表示させ、前記棒状グラフを、該補助ラインとともに、前記取引用記録媒体における前記画素の配置位置に対応した位置に配置して表示させることを特徴とする請求項5記載の取引用記録媒体の画素表示方法。
【請求項7】
前記棒状グラフ表示ステップは、前記補助ラインで示される前記配置位置を、前記棒状グラフが越える場合、該補助ラインを特定して警告を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項6記載の取引用記録媒体の画素表示方法。
【請求項8】
前記棒状グラフ表示ステップは、前記補助ラインから、前記棒状グラフの端部が所定長以上離れている場合、該補助ラインを特定して警告を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項6記載の取引用記録媒体の画素表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で使用される通帳や伝票等の定型書式の取引用記録媒体に印されたバーコードや文字等の情報を読取って取引データ等を処理する取引用記録媒体取扱装置及び取引用記録媒体の画素表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関では、顧客に対する入出金等の取引に現金自動取引装置(ATM:Automated teller machine)が使用されている。現金自動取引装置(ATM)は、顧客がみずから操作して、入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込、振替、送金、定期性預金設定等の金融サービス利用の取引を行うための取引用記録媒体取扱装置である。
【0003】
図8は取引用記録媒体取扱装置の構成例を示す。取引用記録媒体取扱装置80は、通帳読取装置81、操作部82、主制御部83、記憶部84を備える。通帳読取装置81は、挿入された通帳に付された磁気ストライプ及び通帳の各頁に印刷されたバーコードや記帳された印字文字を読取る。
【0004】
操作部82は、タッチパネルを有する表示部を備え、顧客に操作案内情報を表示すると共に、顧客がタッチパネルの指触等により入力される金融サービス利用の取引データを主制御部83に送出する。主制御部83は、通帳読取装置81及び操作部82の動作を制御する。
【0005】
また、主制御部83は、通帳読取装置81及び操作部82において取得された種々の取引データや監視データ等を、ホストコンピュータ85に送信し、ホストコンピュータ85からの制御情報に従って、通帳読取装置81及び操作部82の動作を制御する。
【0006】
記憶部84は、半導体メモリやハードディスク等の記憶媒体を備え、主制御部83に種々の処理を実行させるためのプログラムや、主制御部83が種々の処理を実行する際に一時的に保持するデータや、処理結果や取引内容の記録(ログ)データ等を記憶する。
【0007】
図9は、通帳読取装置81の構成例を示す。通帳読取装置81は、通帳91が挿入口92に挿入されると、通帳91を搬送ローラ93により、磁気部94、光学部95、印字部96、捲り部97に搬送し、それぞれ、磁気情報の読書き、光学情報の読取り、取引明細の印字、通帳の頁捲りを行う。
【0008】
光学部95においては、搬送ローラ93により搬送された通帳91に付されているバーコード、日付欄等の記帳印字の画素を、読取面951を通して、光学センサであるラインセンサ(図示省略)により所定間隔毎にスキャンして逐次読み込む。
【0009】
光学部95で読み込まれた画素は、制御部98において画素の有無を示す2値化された画素データとして加工され、バーコードの認識、記帳印字行の検出が行われる。制御部98は、通信制御部981を備え、バーコード/記帳印字行の認識/検出の結果を、通信制御部981を介して上位の主制御部83に通知する。
【0010】
印字部96は、プラテン961上に搬送された通帳91に対して、ワイヤドットプリンタ(図示省略)によりインクリボン(図示省略)のインクを打ち付け、通帳の日付欄に日付、摘要欄に取引明細、金額欄に入出金の金額等の文字を印字する。
【0011】
図10は、通帳91の明細の記帳の一例を示す。図10の(a)は、縦型と呼ばれるバーコード101が付された記帳頁の例を示し、(b)は、横型と呼ばれるバーコード102が付された記帳頁の例を示している。一般に図10の(a)、(b)に示すように、通帳91の記帳頁に付されるバーコードには二つの種類のバーコードが存在する。また、通帳91の記帳頁には、取引が行われた年月日、摘要、支払金額等の項目が並び、取引内容の明細が所定の欄内に印字される。
【0012】
通帳91の各記帳頁のバーコード及び年月日の欄の記帳印字は、光学部95内のラインセンサにより、通帳91が搬送ローラ93により搬送されて光学部95の読取面951を通過するときに読取られる。
【0013】
図11は、ラインセンサによって読取られた画素数を数値化した例を示す。図11の(a)に示すように、通帳91の搬送により、ラインセンサ111の光学読取エリア112内を通過するバーコード及び年月日の欄の記帳印字の画素が、通帳91の記帳頁の上端位置から下端位置までラインセンサ111により読取られる。
【0014】
光学読取エリア112において、ラインセンサ111により読取られたバーコード及び年月日の欄の記帳印字の画素は、或る閾値より濃い画素に対して黒画素(論理値“1”)と判定される。ラインセンサ111による1ライン分のスキャンにおいて黒画素と判定された画素数の合計値を制御部98内のメモリに1ライン毎に記憶する。
【0015】
図11の(b)は、黒画素と判定された画素数の合計値をスキャンの1ライン毎の棒グラフとして示している。図11の(b)において、横軸は黒画素と判定された画素数を、縦軸は通帳91の搬送に伴うスキャンの進行方向を表している。図11の(c)は、黒画素の画素数の合計値をスキャンの1ライン毎に記憶したメモリ内の数値例を示している。
【0016】
ラインセンサ111によって読込まれ、メモリに取込まれた画像データを基に、バーコードの認識処理及び記帳印字の行位置の検出処理が制御部98により行われる。それらの認識結果及び検出した行位置は、主制御部83又は上位のホストコンピュータ85に通知される。
【0017】
なお、図11の(b)の棒グラフは、実際に取引用記録媒体取扱装置80表示されるものではなく、ラインセンサ111により読取られた画像の黒画素数についての理解を容易にするために、黒画素の数量を視覚的に示したものである。
【0018】
通帳の記帳頁のバーコードをラインセンサで読取り、その黒画素数を基に通帳の種類を判定する取引用媒体種別判定方法等について、下記の特許文献1等に記載されている。特許文献1に記載された取引用媒体種別判定方法は、通帳の種類によって縦型又は横型等の異なる種類のバーコードが付されている場合に、ラインセンサで読取ったライン毎のバーコードの黒画素数を基に、通帳の種類を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−310386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
通帳91の各記帳頁に印刷されたバーコードや記帳印字の情報は、ラインセンサ111によって読取られ、読取られた結果は、主制御部83又は上位のホストコンピュータ85に通知される。しかしながら、ラインセンサ111の読取り部分は、常に通帳91と接触しながら読取りを行う構造であるため、通帳91等の紙粉(白ノイズ成分)やインクリボンの繊維屑(黒ノイズ成分)等が付着し、読取り異常が発生する場合がある。
【0021】
また、挿入された通帳91の側に汚れや折れがある場合、或いは他の金融機関の通帳が挿入された場合などでも、読取り異常となることがあり、何れの要因で読取り異常が発生したのか、取引用記録媒体取扱装置側でも顧客側でも判定が難しい場合がある。
【0022】
図12は、ラインセンサ111にゴミ(黒ノイズ)が付着し、頁数を示すバーコードの認識異常による「頁異常」及び記帳印字の「行検出異常」となってしまう例を示す。図12の(a)に示すように、ラインセンサ111にゴミ121が付着した場合、ラインセンサ111により取込まれた画素データには、常に数個の黒画素(ゴミ画素)が入り込む。しかし、上位側の制御部にはこの情報が伝わらないため、上位側では、何故「頁異常」や「行検出異常」が発生したのか、原因を究明することができない。
【0023】
また、図12の(b)に示すような黒画素数の棒グラフや、図12の(c)に示すようなメモリ内部の黒画素数の数値を、銀行員や保守員に見せても、銀行員や保守員がそれらを見てすぐにラインセンサ111にゴミが付着していることを予測することは困難である。
【0024】
この場合、取引用記録媒体取扱装置80では、通帳91を返却し、通帳91の再挿入や窓口への誘導等を促す案内を表示させる機能により対処し、顧客側では、銀行員や保守員に備付けの電話を通して連絡するなどにより、解決し得る場合もあるが、顧客によってはそのまま諦めて帰ってしまい、サービスの提供を損なうこともあった。
【0025】
通帳返却の原因の究明においては、まず、銀行員や保守員が通帳91の状態を確認し、外観上に問題が無いか、或いは他の取引用記録媒体取扱装置80が有れば、その取引用記録媒体取扱装置80での取扱状態を確認し、装置側と通帳側との原因の切り分けを行い、装置側に原因があると判断された場合、装置の製造業者に通帳返却の原因の問い合わせなどを行う。
【0026】
その後、製造業者が通帳返却の調査を行うが、その段階においては、通帳返却を生じた通帳91は、既に顧客が持ち帰り、銀行員や保守員からの通帳91の折れ具合や汚損状態の問診情報と、取引用記録媒体取扱装置80で保管されている異常発生時のログ情報等を基に、通帳返却の発生原因を推測し、特定しなければならならず、通帳返却の発生原因の特定に手間や手数が掛かるという問題があった。
【0027】
上記課題に鑑み、本発明は、通帳のバーコードや記帳印字のラインセンサによる読取りの異常に対して、読取り異常の要因を容易に見分けることが可能となる取引用記録媒体取扱装置及び取引用記録媒体の画素表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題解決する一形態としての取引用記録媒体取扱装置は、通帳等の定型書式の取引用記録媒体に印された画素を、所定間隔のライン毎に読取るラインセンサと、前記ラインセンサで読取った画素のライン毎の画素数の数値情報を記憶する画素数記憶手段と、前記ライン毎の画素数を、該画素数に応じた長さの棒状グラフでライン毎に表示し、かつ、該ライン毎の棒状グラフの中心位置が全ての棒状グラフに亘って一定の位置となるように表示する棒状グラフ表示制御手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ラインセンサにより読取った通帳のバーコードや記帳印字の画素の黒画素数を基に、該黒画素数の棒状グラフを、通帳の実際の画素配置の外観の形状と類似した形状に加工して表示することにより、通帳のバーコードや記帳印字のラインセンサによる読取りの異常に対して、読取り異常の要因を容易に見分けることが可能となる。
【0030】
また、通帳の実際の外観の形状と類似した形状で表示する構成は、ラインセンサにより読取った通帳のバーコードや記帳印字の画素データの全てをメモリに記憶するのではなく、ラインセンサによりスキャンしたライン毎の黒画素数をメモリに記憶し、該黒画素数を基に表示するため、記憶容量の小さいメモリを用いて構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による通帳読取装置の構成例を示す図である。
図2】本発明による黒画素数の棒状グラフの表示例を示す図である。
図3】余白数と黒画素数とを対応付けたテーブル及び棒状グラフを示す図である。
図4】補助ラインを表示する例を示す図である。
図5】補助ラインを点滅表示させて警告を表示する例を示す図である。
図6】黒画素数の外観擬似表示画面を表示させる手順を示す図である。
図7】取引用記録媒体の画素表示の処理フローを示す図である。
図8】取引用記録媒体取扱装置の構成例を示す図である。
図9】通帳読取装置の構成例を示す図である。
図10】通帳の明細の記帳の一例を示す図である。
図11】ラインセンサによって読取られた画素数を数値化した例を示す図である。
図12】ラインセンサにゴミが付着し、読取異常となってしまう例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明による取引用記録媒体取扱装置80は、ラインセンサ111で読取った通帳91の各記帳頁のバーコードや記帳印字の黒画素の画素数を基に、該黒画素の画素数の棒状グラフを、該バーコードや記帳印字の外観の形状と類似した形状となるように、操作部82の表示画面に表示する。そうすることにより、ラインセンサ111に付着したゴミか、通帳91に付着した汚れ又は通帳91の記帳頁の折れ曲がり等による読取り異常かを、容易に見分けることが可能となる。
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明による取引用記録媒体取扱装置80の通帳読取装置81の構成例を示す。図1に示す構成例において、図9で説明した通帳読取装置81と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0034】
図1において、制御部98は、光学部95内のラインセンサによるスキャンで読取られた通帳91の画素のライン毎の画素数の数値情報を画素数記憶手段982に記憶する。そして、画素数記憶手段982に記憶されたライン毎の画素数を、該画素数に応じた長さの棒状グラフでライン毎に表示し、かつ、該ライン毎の棒状グラフの中心位置が全ての棒状グラフに亘って一定の位置となるように表示する棒状グラフ表示制御手段983を備える。
【0035】
図2は、黒画素数の棒状グラフを、通帳の実際の黒画素の配置形状の外観と類似した形状に加工して表示する例を示す。図2の(a)は、図12の(a)と同様の、ラインセンサ111にゴミ121が付着した場合の、常に数個の黒画素(ゴミ画素)が入り込む例を示している。
【0036】
図12の(b)に示す黒画素数の棒グラフの表示方法では、ゴミ121の黒画素が小さい場合、棒グラフのゼロを表す基準線と、ゴミ121の黒画素数の表示とが近接したものとなり、一見しただけでは区別し難いものであった。
【0037】
それに対して、図2の(b)に示すように、黒画素数に応じた長さの棒状グラフ21をライン毎に表示し、かつ、該ライン毎の棒状グラフの中心位置が、全ての棒状グラフに亘って一定の位置となるように表示することにより、縦型バーコードの外観の形状、記帳印字の外観の形状、ラインセンサ111に付着したゴミによる黒画素22等を、容易に見分けることができるように表示することができる。
【0038】
黒画素の画素数から上述の表示形態で表示するために、棒状グラフ表示制御手段983は、下記の計算式(1)による演算を行う。
Y=α−(黒画素数/2) ・・・(1)
【0039】
ここで、Yは、表示画面の左端と棒状グラフの左端との間の余白数である。αは各棒状グラフの中心位置である。ラインセンサ111で読取られた各ラインの黒画素数毎に、上記の計算式(1)による余白数Yを算出し、該余白数Yと黒画素数とを対応付けてメモリに記憶する。
【0040】
図3の(a)は、余白数Yと黒画素数とを対応付けたテーブルの例を示す。図3の例では、中心位置αを100としている。そして、図3の(b)に示すように、表示画面の左端位置(0)から余白数Yの分空けた位置から、黒画素数に応じた長さの棒状グラフをライン毎に順々に積み重ねて表示する。そうすることにより、中心位置100を中心に左右均等に広がる棒状グラフが表示される。なお、余白数Yの部分は、白抜きの表示にすることにより、黒画素数に応じた長さの棒状グラフのみが中心位置に表示される。
【0041】
また、通帳の記帳面におけるバーコードや記帳印字の位置関係の把握を容易にするために、バーコード位置や記帳印字の行位置を示す補助ラインを追加して表示する構成としても良い。図4は補助ラインを表示する例を示している。図4図2に示した棒状グラフの表示例に、補助ライン41、42を追加して表示する例を示している。
【0042】
図4に示すように、前述の棒状グラフ21を、該補助ライン41、42とともに、通帳91におけるバーコード等の画素の配置位置に対応した位置に配置して表示する。補助ライン41、42を追加して表示することにより、通帳91の記帳面にさらに類似した疑似的な表示が可能となる。
【0043】
さらに他の実施例として、補助ライン41、42により示される配置位置からはみ出す黒画素の棒状グラフとなった場合は、ゴミ等の影響による読取り異常が発生したことを示す警告を表示する。そうすることにより、通帳返却の原因をさらに容易に特定することが可能となる。
【0044】
図5は、バーコードにゴミ画素が加わったことにより、本来発生すべき黒画素数より多く黒画素数が発生し、補助ライン41を超える黒画素数の棒状グラフ51が発生したため、補助ライン41を点滅表示させて、警告を表示する例を示している。
【0045】
同様に、横型バーコードや記帳印字の行検出のずれに対して、同様に補助ラインを越える黒画素数の棒状グラフが発生した場合も、該棒状グラフが越えた補助ラインを点滅表示するなどにより、警告を表示することができる。
【0046】
また、通帳の記帳頁の折れ曲がり等により、本来、黒画素が存在すべき位置の黒画素が隠されて読込まれず、本来の黒画素数より減少した黒画素数となり、黒画素数の棒状グラフの端部が補助ラインから所定長以上離れている場合等にも、同様に補助ラインを点滅表示するなどにより、警告を表示することができる。
【0047】
また、通帳の読取異常による通帳返却時に、該通帳返却の要因を確認する銀行員や保守員は、一例として図6に示す手順のように、通帳から読取った黒画素数の外観擬似表示画面を表示させることができる。銀行員又は保守員は、操作部82の表示部に、係員処理モード画面61を表示し、該係員処理モード画面61において、通帳返却ログボタン62を指触して選択して、通帳返却ログ画面63を表示し、異常発生時の通帳返却ログ画面63の詳細ボタン64を指触して選択する。
【0048】
すると、異常発生の通帳読取り時の黒画素数による外観擬似表示画面65を表示し、該外観擬似表示画面65に、上述の黒画素数の棒状グラフを表示する。銀行員又は保守員は、外観擬似表示画面65の上述の黒画素数の棒状グラフを見て、通帳返却の要因を見分けることができる。
【0049】
図6の例では、黒画素数による外観擬似表示画面65に、ラインセンサ付着のゴミ等による読取り異常が発生しているため、記帳頁数のバーコードの認識異常を示す「頁異常」の警告66、及び「汚れあり」の警告67を表示する例を示している。
【0050】
図7は本発明による取引用記録媒体の画素表示の処理フローを示す。取引用記録媒体である通帳91が通帳読取装置81の挿入口92に挿入されると、搬送ローラ93により搬送された通帳91に付されているバーコード、日付欄等の印字文字の画素が、光学部95における光学センサであるラインセンサ111により所定間隔毎にスキャンして逐次読み込まれる(ステップS71)。
【0051】
ラインセンサ111により読み込まれた通帳91の画素は、通帳読取装置81の制御部98において、或る閾値より濃い画素に対して黒画素(論理値“1”)と判定され、ラインセンサ111による1ライン分のスキャンにおいて黒画素と判定された画素数の合計値を1ライン毎に記憶する(ステップS72)。
【0052】
黒画素の1ライン毎の画素数を、該画素数に応じた長さの棒状グラフで、かつ、該棒状グラフの中心位置が全ての棒状グラフに亘って一定の位置となるように1ライン毎に表示する(ステップS73)。次に、読取った黒画素の記帳頁における配置位置を示すための補助ラインを表示するようにしてもよい(ステップS74)。
【0053】
次に、補助ラインで示される配置位置を、黒画素数の棒状グラフが越えるか否かを判定し(ステップS75)、該配置位置を棒状グラフが越える場合(ステップS75でYesの場合)、該補助ラインを特定して警告を表示するようにしてもよい(ステップS77)。
【0054】
また、棒状グラフの左又は右の端部が、それぞれ、補助ラインから所定長以上離れているか否かを判定し(ステップS76)、所定長以上離れている場合(ステップS76でYesの場合)、該補助ラインを特定して警告を表示するようにしてもよい(ステップS77)。
【0055】
このように、通帳からラインセンサで読取ったバーコード記帳印字の黒画素の画素数の棒状グラフを、通帳の実際の画素配置の外観の形状と類似した表示形状に加工し、その表示形状を顧客操作部の表示画面等に表示することにより、ラインセンサ若しくは通帳の汚れ又は通帳の折れ曲がり等による読取り異常の要因を、銀行員又は保守員らによって容易に見分けることが可能となる。
【0056】
以上、本発明の取引用記録媒体取扱装置及び取引用記録媒体の画素表示方法の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成又は実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0057】
81 通帳読取装置
91 通帳
92 挿入口
93 搬送ローラ
94 磁気部
95 光学部
96 印字部
97 捲り部
98 制御部
981 通信制御部
982 画素数記憶手段
983 棒状グラフ表示制御手段
図1
図3
図7
図8
図9
図10
図2
図4
図5
図6
図11
図12