【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、ハウジング
と、ダイヤルおよび用量設定部材をさらに備える用量設定システム
と、プッシュボタン、前記ハウジングに
対して回転
がロックされるリードスクリュー、およびギア機構をさらに備える用量注射システム
とを備える用量送達装置により達成され得る。ギア機構はさらに、第1のギア部材、軸方向の動作を可能にするトラックにおいて該第1のギア部材に接続されたドライバ、およびドライバと第1のギア部材との間に提供される第2のギア部材(これはさらに後で説明される)を備える。
【0011】
用量設定システムは、ダイヤルが、ネジを介してハウジングと係合し、用量が設定される場合、用量設定部材に回転可能に接続され
(つまり、共に回転するように接続され)、設定用量が注射される場合、回転
可能な接続が解除される、種類のものである。ダイヤル、ドライバおよび用量設定部材は、用量が設定される場合、同じ距離まで動く。ダイヤル
を運んでいく(引き連れていく)用量設定部材を回転させることにより、用量は設定される。注射の間、ダイヤルは、用量設定部材から外され
(つまり切り離され)、下方に押され、ハウジングとのネジ係合に起因して回転する。用量設定部材およびダイヤルにおける摺動面は装置の上部にあり、従ってそれらは非常に小さな直径を有し、それにより、エネルギーの損失をほとんど生じない。
【0012】
ダイヤルと用量設定部材との間の回転可能な結合は、一方向または二方向のいずれであってもよいラチェットである。ラチェットにおける抵抗に起因する部品の間のトルクは、ダイヤルとハウジングとの間の摩擦に起因するトルクより大き
くなければならない。なぜならば、これにより、用量設定部材はダイヤル
を運んでいくことになるからである。注射の間、用量設定部材は回転しないか、またはそれはダイヤルより少なく回転するので、ダイヤルは、ハウジングとのそのネジ係合において強制的に回転し、それにより、用量設定部材とダイヤルとの間のラチェットはカチっという音を生じる。
【0013】
別の実施形態において、ダイヤルと用量設定部材との間の接続は、係合または外すことができる各部品上の歯を含む、より剛性な接続である。
【0014】
非回転
リードスクリューはカートリッジ内のピストンと協働する。
リードスクリューは、ダイヤルとハウジングとの間のネジより小さなピッチを有するネジにより投薬ナットと係合する。投薬ナットは、以下にさらに記載するギア機構に
対して回転
がロックされる。用量を設定するために、用量設定部材およびギア機構は回転し、それにより、投薬ナットは
リードスクリューと共に上昇するが、ダイヤルおよび用量設定部材の上昇より小さい。用量が注射される場合、プッシュボタンに付与される力は、注射の間に回転しないギア機構を介して投薬ナットに移される
つまり伝達される。投薬ナットがギア機構に
対して回転
がロックされ、その結果、注射の間に回転しない
ので、また、
リードスクリューが回転をロック
されるので、
リードスクリューは投薬ナットにより前方に動き、カートリッジ内のピストンが薬剤を放出する。
【0015】
ギア機構は、第1(外側)および第2(内側)のギア部材を備え、投薬ナットは、第1のギア部材に回転可能に接続され、第2のギア部材に軸方向に接続される。第2のギア部材は反対
向きである2つのネジを備える。すなわち、1つが通常の右回りのネジであり、他方が左回りのネジである。右回りのネジ(または左回りのネジ)は第1のギア部材と接続され、他方のネジは用量設定部材
に対して回転がロックされるドライバと接続される。ドライバおよび第1のギア部材は互い
に対して回転がロックされる。用量が設定される場合、投薬ナットは第2のギア部材を投薬ナットと共に強制的に上昇させ、これにより、第2のギア部材は、
第1ギア部材とのネジ係合に起因して第1のギア部材に対して回転する。これにより、ドライバ(およびそれにより、用量設定部材およびプッシュボタン)はさらにもっと上昇する
。なぜならば、第2のギア部材の上昇により直接的に、また、第2のギア部材とドライバとの間の相対運動により、
これら両方で影響を
及ぼされるからであり、この
第2のギア部材とドライバとの間の相対運動により、ドライバは上昇する
。なぜならば、そのネジは第2のギア部材と第1のギア部材との間のネジと反対
向きであるからである。
【0016】
従って、第1のギア部材およびドライバが互いに対して長手方
向に移動する
とき、第2のギア部材は
、回転し、長手方向
にも動くが、プッシュボタンにより動く距離より短い距離である。設定用量が注射される場合、プッシュボタンに付与される力は、ドライバを介して、第2のギア部材ならびにさらに投薬ナットおよび
リードスクリューに移る。
ギア比を規定するのは、ピッチ間の比のみであるので、第2のギア部材におけるピッチは
、ネジが自動ロックしない限り任意の値に設定されてもよい。このことは、摩擦に起因するピストン上の力の損失が非常に低くなり得ることを意味する。
【0017】
用量が設定される場合、カチっという音が生じる。第1のギア部材が回転する場合、第1のギア部材におけるラチェットアームは、ハウジングにおける溝の中および外へ半径方向に移動する。
【0018】
用量が、カートリッジ内に残っている含有量より高く設定されることを防止するために、
リードスクリューの一端
(上側端部)にはネジが形成されておらず、リードスクリューのネジの端部に到達
したとき、
投薬ナットしたがってドライバおよび用量設定部材は
さらなる回転をブロック
される。
【0019】
用量送達装置が、使い捨てまたは再充填可能のいずれかで、さらに1つ、2つまたは複数のカートリッジを同時に含むように設計されてもよいことは留意されるべきである。用量送達装置が再充填可能に設計される場合、
リードスクリューは、カートリッジホルダが外され
たとき、装置内に後方に移動できなければならない。
【0020】
別の実施形態において、第1のギア部材およびドライバは、第2のギア部材上のネジより大きいピッチを有する螺旋軌道を介して回転可能に接続される。これにより、ドライバが注射の間にわずかに回転するので、ダイヤルとドライバとの間の少ない相対的回転が生じ得、それにより、ドライバが注射の間にダイヤルを下方に押す場合、エネルギーの損失が少なくなる。非常に大きなギアリングが望まれる場合、このことはまた、螺旋軌道およびドライバと第2のギア要素との間のネジのピッチが同じ方向
である場合、ネジのピッチが、第2のギア要素の軸方向の位置が不正確になるほど高くなることを回避できるという利点を有する。
【0021】
投薬ナットは、第1のギア部材またはドライバのいずれかに回転可能に接続されてもよい。
【0022】
なおさらなる実施形態において、投薬ナットは存在せず、2つの反対側に回るネジを有する第2のギア部材はまた、第3のネジを介して
リードスクリューと係合する。これは、第2のギア部材が全ギア機構と共に、および用量が設定される場合、第1のギア部材に対して回転するが、用量が注射される場合、第1のギア部材に対してのみ回転するので、可能である。従って、第2のギア部材は、用量が設定される場合、および用量が注射される場合、ハウジングに対して同じ
回転数で回転しない。第2のギア部材と
リードスクリューとの間のネジ係合は、用量が設定される場合、
リードスクリューが軸方向に動かないことを確実にするサイズのピッチを有するべきである。
リードスクリューおよび第2のギア部材が注射の間に一緒に回転することを確実にするために、
リードスクリューとハウジングとの間の非回転接続は、第1と第2のギア部材との間と同じピッチを有するネジと交換されてもよい。このように、カートリッジ内に残っている流体よりも多い用量が設定できないことが確保される。
【0023】
以下において、本発明を図面を参照してさらに詳細に記載する。