特許第5903102号(P5903102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903102
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】用量送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   A61M5/315 550P
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-529549(P2013-529549)
(86)(22)【出願日】2011年9月23日
(65)【公表番号】特表2013-537819(P2013-537819A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】DK2011000103
(87)【国際公開番号】WO2012037938
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】PA201000872
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・スミット・メラー
【審査官】 藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/039851(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/072229(WO,A1)
【文献】 特表2008−521534(JP,A)
【文献】 特表2008−529687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 − 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネジを有する第1のギア部材と、第2のネジを有するドライバと、前記第1および前記第2のネジとそれぞれ係合する2つのネジを有する第2のギア部材とを有するギア機構と
使用者との接触部分となるハウジングであって、その中に前記ギア機構が同軸に配置される、ハウジングと
用量設定の間、前記ギア機構と共に回転するよう前記ギア機構に接続される用量設定部材と
リードスクリューと、
ネジを介して前記リードスクリューと係合し、前記第2のギア部材に軸方向に接続されると共に、回転可能に前記第1のギア部材に接続される投薬ナットと
を備え、
前記第1および前記第2のネジは、反対向きであり
前記第1のギア部材および前記ドライバは軸方向の移動を可能にする軌道により回転可能に接続され、
用量が前記用量設定部材を回転させることにより設定される場合、前記ギア機構は前記ハウジングに対して回転することを特徴とする、用量送達装置。
【請求項2】
前記第1のギア部材と前記ドライバとの間の軌道が、これら第1のギア部材とドライバとの間の相対回転運動を可能にしないことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のギア部材と前記ドライバとの間の回転可能な接続が、螺旋軌道であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングと螺合するダイヤルが、用量が設定される場合、用量設定部材と共に回転し、用量が注射される場合、前記用量設定部材と共に回転しないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ダイヤルが、一方向のラチェットを介して前記用量設定部材に接続されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記リードスクリューが前記ハウジングに対して回転ロックされることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記用量設定部材は用量設定の間、前記ドライバに回転可能に接続されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用量設定部材を回転させ、それにより、プッシュボタンが、装置の一端から上昇することによって用量が設定され得、次で、上昇していない位置まで戻るようにプッシュボタンを押し、それにより、カートリッジ内のピストンと協働するリードスクリューを動かし、針を通してカートリッジの外部へ薬剤を放出することにより、設定用量が注射され得用量送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、ネジを有するリードスクリューと係合する管状注射ボタンを回転させ、それにより、注射装置の端部から注射ボタンを上昇させることによって、用量が設定される注射装置が知られている。固定された停止部と当接するまで注射ボタンを下方に押すことにより、リードスクリューが注射ボタンの動作に対応する距離を動く。リードスクリューはカートリッジ内のピストンと嵌合し、薬剤をカートリッジから放出する。この種の注射装置は射出力をカートリッジのピストンに直接伝えるが、ギアリングを設けておらず、すなわち、注射ボタンの線形動作がリードスクリューの線形動作に正確に対応する。
【0003】
直接伝えられる射出力により、小用量の薬剤は注射ボタン非常にわずかしか動作させないので、使用者に、今注射が進行しているか否かをより明確にできることは、注射ボタンとリードスクリューとの間のギア比についての利点である。指の強さが弱い使用者は、同時に、注射を行うのに弱い射出力を望むことができる。
【0004】
特許文献2は、ギアリングを備え、摩擦に起因するエネルギー損失がほとんど無く、それにより、低い射出力を有するペンを記載している。ナットが、リードスクリューに沿って回転する。ナットは、ナットの軸に垂直な軸を有する垂直歯車を備え、その片側でハウジングと係合し、他の側で注射ボタンを上昇させる。注射ボタンが押される場合、ナットおよびリードスクリューは、注射ボタンとリードスクリューとの間の2:1のギア比で動く。この機構は互いに対して摺動する非常に少しの表面を提供し、従って、摩擦に起因する力の損失を非常に制限する。しかしながら、この機構はかなり複雑であり、簡単な使い捨ての用量送達装置に適していない。
【0005】
特許文献3は、同じ方向に回転される第1および第2のネジならびにギア機構の直接的な部分ではないリードスクリュー上の第3のネジに基づいたギア機構を有するペンを記載している。リードスクリューはナットに接続される。非回転ドライバは第1のネジを介してダイヤルと係合し、ダイヤルは第2のネジを介してハウジングと係合する。第2のネジのピッチは第1のネジのピッチより大きく、それらの間の差はリードスクリューのピッチと等しい。ドライバはまた、ナットと軸方向に接続される。用量セレクタが用量を設定するために回転される場合、ナットおよびダイヤルの両方が回転され、ダイヤルはより長い距離を上昇するが、ナットおよびドライバは注射される薬剤の量に対応する距離を上昇する。設定用量が注射される場合、ナットはドライバに対して回転ロックされる。ダイヤルが装置内に押されると、ダイヤルの回転により、非回転ドライバはダイヤル内に後退し、その結果生じるドライバの移動は設定用量と等しくなる。ここで、ナットはリードスクリューと共にゼロ位置に戻るように押され、インスリンの放出を引き起こす。
【0006】
特許文献4に記載されている装置において、両方非常に大きいピッチを有する、ハウジングと係合する第1のネジおよびドライバと係合する第2のネジを有するギアリングナットを含むギアリングに起因して投薬力は非常に低い。ドライバはハウジングに対して回転ロックされる。2つのネジは反対向きである。ギア比は、2つのピッチの比+1、((ピッチ1/ピッチ2)+1)として計算される。ギアリングナットは、非回転のリードスクリューに螺合される投薬ナットと軸方向に接続される。用量が設定される場合、投薬ナットは用量セレクタを介して回転され、上昇するが、ギアリングに起因して、用量セレクタは、さらにドライバによっても上昇する。用量セレクタはまた、プッシュボタンとしても作用する。プッシュボタンが押され、設定用量が注射される場合、ドライバは下方に押され、それにより、ギアリングナットはドライバとハウジングとの間で回転する。これにより、ギアリングナットは軸方向に移動するが、ドライバより短い距離である。注射の間、投薬ナットは回転が防がれ、ギアリングナットはここで投薬ナットおよびリードスクリューを押し、それにより、薬剤を放出する。用量が設定される場合、ダイヤルは用量セレクタに接続される。用量が注射される場合、ダイヤルは切断され、ダイヤルはドライバにより下方に押され、それにより、ハウジングと係合するネジに起因してダイヤルを回転させる。
【0007】
上記の発明は非常に低い投薬力を有する簡便な装置を提供するが、製造するのがかなり複雑であり、ドライバとダイヤルとの間の摺動面のための直径はかなり大きく、摩擦に対して敏感になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0327910号
【特許文献2】欧州特許第1568389号
【特許文献3】国際公開第2005/018721号
【特許文献4】国際公開第2009039851号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、摩擦に対して敏感ではなく、自動化組み立てに好適である、非常に低い射出力を有するギアリングを備える用量送達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、ハウジングと、ダイヤルおよび用量設定部材をさらに備える用量設定システムと、プッシュボタン、前記ハウジングに対して回転がロックされるリードスクリュー、およびギア機構をさらに備える用量注射システムとを備える用量送達装置により達成され得る。ギア機構はさらに、第1のギア部材、軸方向の動作を可能にするトラックにおいて該第1のギア部材に接続されたドライバ、およびドライバと第1のギア部材との間に提供される第2のギア部材(これはさらに後で説明される)を備える。
【0011】
用量設定システムは、ダイヤルが、ネジを介してハウジングと係合し、用量が設定される場合、用量設定部材に回転可能に接続され(つまり、共に回転するように接続され)、設定用量が注射される場合、回転可能な接続が解除される、種類のものである。ダイヤル、ドライバおよび用量設定部材は、用量が設定される場合、同じ距離まで動く。ダイヤルを運んでいく(引き連れていく)用量設定部材を回転させることにより、用量は設定される。注射の間、ダイヤルは、用量設定部材から外され(つまり切り離され)、下方に押され、ハウジングとのネジ係合に起因して回転する。用量設定部材およびダイヤルにおける摺動面は装置の上部にあり、従ってそれらは非常に小さな直径を有し、それにより、エネルギーの損失をほとんど生じない。
【0012】
ダイヤルと用量設定部材との間の回転可能な結合は、一方向または二方向のいずれであってもよいラチェットである。ラチェットにおける抵抗に起因する部品の間のトルクは、ダイヤルとハウジングとの間の摩擦に起因するトルクより大きくなければならない。なぜならば、これにより、用量設定部材はダイヤルを運んでいくことになるからである。注射の間、用量設定部材は回転しないか、またはそれはダイヤルより少なく回転するので、ダイヤルは、ハウジングとのそのネジ係合において強制的に回転し、それにより、用量設定部材とダイヤルとの間のラチェットはカチっという音を生じる。
【0013】
別の実施形態において、ダイヤルと用量設定部材との間の接続は、係合または外すことができる各部品上の歯を含む、より剛性な接続である。
【0014】
非回転リードスクリューはカートリッジ内のピストンと協働する。リードスクリューは、ダイヤルとハウジングとの間のネジより小さなピッチを有するネジにより投薬ナットと係合する。投薬ナットは、以下にさらに記載するギア機構に対して回転ロックされる。用量を設定するために、用量設定部材およびギア機構は回転し、それにより、投薬ナットはリードスクリューと共に上昇するが、ダイヤルおよび用量設定部材の上昇より小さい。用量が注射される場合、プッシュボタンに付与される力は、注射の間に回転しないギア機構を介して投薬ナットに移されるつまり伝達される。投薬ナットがギア機構に対して回転ロックされ、その結果、注射の間に回転しないので、また、リードスクリューが回転をロックされるのでリードスクリューは投薬ナットにより前方に動き、カートリッジ内のピストンが薬剤を放出する。
【0015】
ギア機構は、第1(外側)および第2(内側)のギア部材を備え、投薬ナットは、第1のギア部材に回転可能に接続され、第2のギア部材に軸方向に接続される。第2のギア部材は反対向きである2つのネジを備える。すなわち、1つが通常の右回りのネジであり、他方が左回りのネジである。右回りのネジ(または左回りのネジ)は第1のギア部材と接続され、他方のネジは用量設定部材に対して回転がロックされるドライバと接続される。ドライバおよび第1のギア部材は互いに対して回転がロックされる。用量が設定される場合、投薬ナットは第2のギア部材を投薬ナットと共に強制的に上昇させ、これにより、第2のギア部材は、第1ギア部材とのネジ係合に起因して第1のギア部材に対して回転する。これにより、ドライバ(およびそれにより、用量設定部材およびプッシュボタン)はさらにもっと上昇する。なぜならば、第2のギア部材の上昇により直接的に、また、第2のギア部材とドライバとの間の相対運動により、これら両方で影響を及ぼされるからであり、この第2のギア部材とドライバとの間の相対運動により、ドライバは上昇する。なぜならば、そのネジは第2のギア部材と第1のギア部材との間のネジと反対向きであるからである。
【0016】
従って、第1のギア部材およびドライバが互いに対して長手方向に移動するとき、第2のギア部材は、回転し、長手方向にも動くが、プッシュボタンにより動く距離より短い距離である。設定用量が注射される場合、プッシュボタンに付与される力は、ドライバを介して、第2のギア部材ならびにさらに投薬ナットおよびリードスクリューに移る。ギア比を規定するのは、ピッチ間の比のみであるので、第2のギア部材におけるピッチは、ネジが自動ロックしない限り任意の値に設定されてもよい。このことは、摩擦に起因するピストン上の力の損失が非常に低くなり得ることを意味する。
【0017】
用量が設定される場合、カチっという音が生じる。第1のギア部材が回転する場合、第1のギア部材におけるラチェットアームは、ハウジングにおける溝の中および外へ半径方向に移動する。
【0018】
用量が、カートリッジ内に残っている含有量より高く設定されることを防止するために、リードスクリューの一端(上側端部)にはネジが形成されておらず、リードスクリューのネジの端部に到達したとき投薬ナットしたがってドライバおよび用量設定部材はさらなる回転をブロックされる
【0019】
用量送達装置が、使い捨てまたは再充填可能のいずれかで、さらに1つ、2つまたは複数のカートリッジを同時に含むように設計されてもよいことは留意されるべきである。用量送達装置が再充填可能に設計される場合、リードスクリューは、カートリッジホルダが外されたとき、装置内に後方に移動できなければならない。
【0020】
別の実施形態において、第1のギア部材およびドライバは、第2のギア部材上のネジより大きいピッチを有する螺旋軌道を介して回転可能に接続される。これにより、ドライバが注射の間にわずかに回転するので、ダイヤルとドライバとの間の少ない相対的回転が生じ得、それにより、ドライバが注射の間にダイヤルを下方に押す場合、エネルギーの損失が少なくなる。非常に大きなギアリングが望まれる場合、このことはまた、螺旋軌道およびドライバと第2のギア要素との間のネジのピッチが同じ方向である場合、ネジのピッチが、第2のギア要素の軸方向の位置が不正確になるほど高くなることを回避できるという利点を有する。
【0021】
投薬ナットは、第1のギア部材またはドライバのいずれかに回転可能に接続されてもよい。
【0022】
なおさらなる実施形態において、投薬ナットは存在せず、2つの反対側に回るネジを有する第2のギア部材はまた、第3のネジを介してリードスクリューと係合する。これは、第2のギア部材が全ギア機構と共に、および用量が設定される場合、第1のギア部材に対して回転するが、用量が注射される場合、第1のギア部材に対してのみ回転するので、可能である。従って、第2のギア部材は、用量が設定される場合、および用量が注射される場合、ハウジングに対して同じ回転数で回転しない。第2のギア部材とリードスクリューとの間のネジ係合は、用量が設定される場合、リードスクリューが軸方向に動かないことを確実にするサイズのピッチを有するべきである。リードスクリューおよび第2のギア部材が注射の間に一緒に回転することを確実にするために、リードスクリューとハウジングとの間の非回転接続は、第1と第2のギア部材との間と同じピッチを有するネジと交換されてもよい。このように、カートリッジ内に残っている流体よりも多い用量が設定できないことが確保される。
【0023】
以下において、本発明を図面を参照してさらに詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、ダイヤルと用量設定要素との間にラチェット接続部を備える本発明に係る装置の実施形態の斜視図を示す。
図2図2は、ダイヤルと用量設定要素との間にラチェット接続部を備える本発明に係る装置の実施形態の拡大図を示す。
図3図3は、ダイヤルと用量設定要素との間にラチェット接続部を備え、用量を設定する準備ができている、本発明に係る装置の実施形態の垂直断面図を概略的に示す。
図4図4は、ダイヤルと用量設定要素との間にラチェット接続部を備え、用量が設定されている、本発明に係る装置の実施形態の垂直断面図を概略的に示す。
図5図5は、ダイヤルと用量設定要素との間にラチェット接続部を備え、設定用量が注射されている、本発明に係る装置の実施形態の垂直断面図を概略的に示す。
図6図6は、ダイヤルと用量設定要素との間に歯接続部を備える本発明に係る装置の実施形態の拡大図を示す。
図7図7は、ダイヤルと用量設定要素との間に歯接続部を備え、用量を設定する準備ができている、本発明に係る装置の実施形態の垂直断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下において、「上方」という用語は用量設定部材102の方向を指し、「下方」という用語は針端部の方向を指す。
【0026】
図1は斜位像において本発明に係る装置を示す。設定用量の量を表示できる窓16を備えるハウジング1、用量を設定する用量設定部材2、設定用量を注射するプッシュボタン4、および両頭針を取り付けるためのネジを備えるカートリッジホルダ3が示される。カートリッジホルダ3は薬剤充填カートリッジ12を含む(図2を参照のこと)。カートリッジ12は、針を通して外側へカートリッジ12から設定用量の薬剤を放出するため注射システムのリードスクリュー10と協働するピストン(図3を参照のこと)を備える。装置の異なる要素間の協働を以下に記載する。
【0027】
図3に示すように、投薬ナット9は、ネジ接続34/35を介してリードスクリュー10と係合する(図2においてリードスクリュー上にネジ34が見られる)。リードスクリュー10は、キー/溝接続13/36を介してハウジング1に対する回転をロックされる。投薬ナット9は、ドライバ8および用量設定部材2に対する回転をロックされる第1のギア部材6(キー/溝接続31/32、図2を参照のこと)に対する回転をロックされ、ドライバ8は用量設定部材2に固定されるので、それらは一つの部分として作用する。第1のギア部材6は、ハウジング1における溝14と協働する複数の突起部29(図2を参照のこと)を底部に有し、それにより、用量設定部材2が回転する場合、第1のギア部材6は、回転周囲の等間隔の特定の位置を示し、同時に用量が設定される場合、カチッという音がする。
【0028】
ギア機構は、第1のギア部材6、第2のギア部材7およびドライバ8を含み、用量設定部材2が用量を設定するために回転する場合、投薬ナット9が同様に回転するように、ギア機構は投薬ナット9と用量設定部材2との間に配置され、これにより、リードスクリュー10とのネジ係合34/35に起因して投薬ナット9が上昇するが、ドライバ8および用量設定部材2は、ギア機構に起因して、より長い距離、上昇する。ギア機構は、設定用量をより容易に注射するため、プッシュボタンが注射の間に動くことを使用者がよく見えるようにするため、およびダイヤル5に書かれた数字のための十分な空間を提供するために提供される。
【0029】
第2のギア部材7は投薬ナット9に軸方向に接続されるが、投薬ナット9に対して回転できる。これは図3に見られ得る。第2のギア部材7の外面に2つのネジが存在する。これらは、反対向き、すなわち、一方が通常の右回りのネジおよび他方が左回りのネジである。右回りのネジは第1のギア部材6と係合し、左回りのネジはドライバ8と係合する。用量が設定される場合、投薬ナット9は、軸方向の接続に起因して第2のギア部材7を投薬ナット9と共に強制的に上昇させ、これにより、第1のギア部材とのネジ係合27/39に起因して第2のギア部材7が回転する(図3を参照のこと)。これにより、ドライバ8は第2のギア部材7より多く上昇するなぜならば、ドライバ8は、2通りに影響を受けるからである。即ち、第2のギア部材7により軸方向に上昇し、2つの要素の間ネジ係合24/26において回転するネジは、第2のギア部材7と第1のギア部材6との間のネジ接続26/39と反対向きなので、これにより、ドライバ8はさらに上昇する。
【0030】
このことは、キー/溝23/33により相対回転ロックされる(つまり、相対回転できない)第1のギア部材6およびドライバ8が、互いに対して軸方向に移動する場合、第2のギア部材7が、回転し、ドライバ8動く軸方向の距離より短い距離を軸方向に動くことを意味する。用量が注射される場合、プッシュボタン4に付与される力は、用量設定部材4、ドライバ8および第2のギア部材7を介して投薬ナット9に移される。ドライバ8が投薬ナット9およびリードスクリュー10より長い距離を動くので、距離のギアリングが達成され、摩擦に起因する力の損失がギアリングに起因する過剰な力より低いので、力のギアリングが達成される。
【0031】
第2のギア部材7におけるネジのピッチは、ネジが自動ロックしない限り、任意の値に設定されてもよく、それにより、それらは非常に大きく設定されてもよい。これは摩擦に起因する投薬力の損失が非常に低くなり得ることを意味するので、非常に有益である。
【0032】
二重ナットにおける2つのネジの方向は交換可能であってもよいので、右回りのネジは左回りになり、逆も同様である。重要なことは、それらが反対方向に向いていることである。
【0033】
設定用量の量を表示できるようにするために、番号が付けられたダイヤル5は装置の一部である。これは図3に最も明確に見られ得る。ダイヤル5はネジ接続15/17によりハウジング1と係合する。ダイヤル5は、用量設定部材2の内側円筒面における歯20と相互作用する2つのラチェットアーム18を有する。用量設定部材2が用量を設定するように回転する場合、ラチェットアーム18に起因する用量設定部材2とダイヤル5との間の抵抗が、摩擦に起因するダイヤル5とハウジング1との間のネジにおける抵抗より高いので、ラチェットアーム18はダイヤル5と一緒に回転する。設定用量が訂正される場合、用量設定部材2は1つのラチェットアーム18のロック方向において回転し、ダイヤル5は一緒に回転する。
【0034】
用量が注射される場合、ダイヤル5と用量設定部材2との間のエネルギーの損失をさらに減少させるために、ドライバ8と第1のギア部材6との間の接続23/33が、第2のギア部材7のピッチより大きいピッチを有する螺旋軌道として形成され得る。これにより、設定用量が注射される場合、用量設定部材2はゆっくりと回転し、回転方向がダイヤル5と同じ方向に構成される場合、ダイヤル5と用量設定部材2との間の相対運動はより小さくなり、エネルギーの損失はそれに応じて減少する。第2のギア部材7におけるネジ26のピッチおよびハウジング1と第1のギア部材6との間の増分の数は、この実施形態を機能させるために、適切に修正されなければならない。部品の他の修正も必要とされる。
【0035】
図3は用量を設定する準備ができている装置を示す。用量を設定するために、用量設定部材2が回転し、それにより、装置は、ハウジング1における溝14と協働する第1のギア部材6におけるクリック突起部29に起因して各増分についてカチッという音を生じ、各クリックは、例えばカートリッジ内の薬剤の単位に対応する。さらに、このインターフェースは用量設定部材の複数の好ましい位置を提供する。用量設定部材2はドライバ8および第1のギア部材6を回転させ、これによりここで、ゼロ位置から投薬ナット9(キー溝接続31/32を介して第1のギア要素6に対して回転ロックされている)を上昇させる。ドライバ8も同様に上昇するが、ギア機構のために、それは投薬ナット9より多く上昇する。ダイヤル5は、そのダイヤル5におけるラチェットアーム18との係合に起因して用量設定部材2と共に回転し、ドライバ8の上昇に対応する距離を上昇する。
【0036】
図4において、用量が設定され、装置は注射する準備ができている。用量設定部材2、ドライバ8および第1のギア部材6は回転し、ダイヤル5、ドライバ8、用量設定部材2およびプッシュボタン4がある距離を移動し、第2のギア部材7および投薬ナット9がそれより短い距離を移動することを明確に見ることができる。
【0037】
図5において、設定用量が注射されてしまっている。プッシュボタン4が押され、それにより、ドライバ8が下方に押され、第2のギア部材7が回転し、下方に移動している。しかしながら、第2のギア部材7、投薬ナット9およびリードスクリュー10は、プッシュボタン4、ドライバ8および用量設定部材2より短い距離を下方に動いている。ダイヤル5は、下方に押され、回転してゼロ位置に戻っており、用量セレクタ2内の歯20とダイヤル5におけるラチェットアーム18との間の相互作用に起因してカチッという音が生じてしまっている。押す力は用量設定部材2における摺動面37を介して与えられる。この接続は装置のプッシュボタン端部およびドライバの上方であるので、それは非常に小さな直径に配置されることができ、結果として非常にわずかなエネルギーの損失となる。これは非常に有益である。用量が設定されたとき、リードスクリュー10が投薬ナット9の動きに対応する距離を移動したことが見られ得る。結果として、また、ピストンワッシャ11およびカートリッジ内のピストンも動き、薬剤が放出される。
【0038】
図6および7は、第1のギア部材106とドライバ108との間の螺旋軌道を有し、ダイヤル105と用量設定部材102との間に解放可能な歯接続を有し、プッシュボタンとしても作用する用量設定部材102を有する、本発明に係る別の実施形態を示す。図7に見られ得るように、投薬ナット109は、ネジ接続134/135を介してリードスクリュー110と係合し第2のギア部材107と軸方向には接続するが、回転可能に接続せず、投薬ナット109における歯131および第1のギア部材106の内側の溝132を介して、第1のギア部材106と回転可能に接続するが、軸方向に接続していない。リードスクリュー110は、ハウジング101に固定されるロック部分147によりハウジングに対する回転ロックされリードスクリュー110は回転せずに下方に摺動できる。第2のギア部材107におけるネジ127は、第1のギア部材106におけるネジ部分139と係合し、第2のギア部材107におけるネジ126はドライバ108におけるネジ部分124と係合する。第1のギア部材106およびドライバ108はさらに、ドライバ108における螺旋軌道123および第1のギア部材106における軌道部分133を介して接続される(それぞれのネジおよび軌道は図6に最適に見られ得る)。第1のギア部材106は、ハウジング101に対して回転でき、ハウジング101に固定されるクリックブッシング146における歯114と協働するクリック突起部109によりカチッという音を生じる(図6に最適に見られる)。コネクタ142は、用量設定部材102に軸方向に接続され、コネクタ142におけるキーを介してドライバ108に回転可能に接続される。用量設定部材102およびコネクタ142は、嵌め込みにより合体され、短い距離の軸方向の動き可能であり、その動きにより、用量設定部材102における歯143は、番号が付けられたダイヤル105における歯149を外し(つまり係合解除し)、コネクタ142における歯144は、番号を付けられたダイヤル105における歯150を外す。バネ140およびバネブッシング141が、ダイヤル105を押し戻して用量設定部材102およびコネクタ142と係合させるように、バネ140、バネブッシング141および用量設定部材102は、ダイヤル105およびコネクタ142と接続される。2つの部品(ドライバ108及びダイヤル105)間の回転運動のみが可能になり、ダイヤル105が注射に対してさらに押され得ないように、ドライバ108におけるフランジ152はダイヤル105内に留まる。ダイヤル105は、ネジ要素145と係合するネジ接続115/117を介してハウジング101に固定される。
【0039】
用量設定部材102が用量を設定するために回転される場合、部品(用量設定部材102及びダイヤル105)の間の歯係合143/149に起因してダイヤル105も同様に回転される。ダイヤル105とコネクタ142との間の歯係合144/150は、コネクタ142も同様に回転し、それによりまた、ドライバ108および第1のギア部材106も回転するが、第1のギア部材106は、2つの部品(ドライバ108及び第1のギア部材106)の間の螺旋経路接続123/133およびそれらの間の相対的な軸方向の動きに起因してドライバ108より少なく回転することを確実にする。第1のギア部材106は、用量設定の間にカチッという音を生じ、クリックブッシング146内の歯114と協働する第1のギア部材106における突起部129に起因する薬物の特定の量に対応する特定の位置において用量設定を示す。投薬ナット109および第2のギア部材107は、投薬ナット109とリードスクリュー110との間のネジ係合に起因して押し上げられ、これにより、第1のギア部材106とのネジ係合127/133に起因して第2のギア部材107が回転する。ドライバ108はここで、押し上げられると共に、ネジ接続124/126に起因して第2のギア部材107により回転して上昇し、その結果、投薬ナット109および第2のギア部材107より大きく動く。ダイヤル105はハウジング101に固定されるネジ要素145とのネジ接続115/117に起因してドライバ108と同じ距離を動く。
【0040】
用量設定部材102が押されて、設定用量が注射される場合、用量設定部材102およびコネクタ142はダイヤル105から外される。コネクタ142が、ドライバ108とのキー/溝接続の端部に到達した後、ドライバ108は押し下げられる。第1のギア部材106は注射の間、回転せず、ドライバ108およびコネクタ142はわずかに回転する。第2のギア部材107はドライバ108により押し下げられるが、第1のギア部材106におけるネジ部分133およびドライバ108におけるネジ部分124と係合する第2のギア部材107における2つの反対向きのネジ126/127に起因して、短い距離を動く。第1のギア部材106および投薬ナット109は、注射の間、回転しないので、投薬ナット109が押し下げられると、それが非回転リードスクリュー110も押し下げ、これにより、足部111およびカートリッジ112におけるピストンを押し下げ、薬剤が針を通して放出される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7