(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部(376)と前記位置合わせ部(374)は、前記下側シェル(242)に形成された第3シェル開口(310)を通じてアクセス可能である、請求項1記載のミルヘッド。
前記下側シェル(274)は、前記第3シェル開口(310)を前記第2シェル開口(312)から隔離する壁構造(318)を備えている、請求項2記載のミルヘッド。
前記切削部材の前記連結部は、前記駆動スピンドルの構成要素にそれぞれ係合する隔離された複数の連結部(376)を備えている、請求項1〜4の何れか一項に記載のミルヘッド。
取り外し可能な受けトレイ(42)が、前記第2シェル開口から放出される前記骨粒を受けるように前記下側シェル(242)に取り付けられている、請求項1〜10の何れか一項に記載のミルヘッド。
前記下側シェル(242)の隆起面(350)が前記切削部材の少なくとも1つの前記切削部(378)の外側に位置するように、前記下側シェル(242)が形成されかつ前記切削部材(38)が配置されている、請求項13記載のミルヘッド。
前記上側シェル(240)は、下面と、前記下面から下向きに延出したリング(276)とを有し、前記リングは、前記切削部材の前記連結部の周囲に延在し、前記切削部材の前記連結部(376)と前記切削部材の少なくとも1つの切削部(378)との間に位置している、請求項1〜15の何れか一項に記載のミルヘッド。
前記表面に前記ミルヘッドの前記上下シェル(240,242)を着脱可能に保持する台座(50)に取り付けられた少なくとも1つの保持アーム(88)をさらに含む、請求項18または19に記載の基部ユニット。
前記ミルヘッドの前記下側シェルを受容すべく形成された前記表面(58)が、前記台座(50)の表面であり、前記台座を支持する脚部をさらに備え、前記モータが前記脚部内に配設されている、請求項18〜22の何れか一項に記載の基部ユニット。
【背景技術】
【0002】
ボーンミルは、その名前が示すように、骨片を破砕する医療器具である。小片(chip)の大きさであることが多い破砕骨は、外科手術において、骨の他の区域に隣接して配置される充填材として用いられている。例えば、脊椎融合手術において、互いに隣接している椎骨を整合した状態で保持するのに用いられるロッドの周囲に、破砕骨から形成されている複合物を配置するのは、周知の手法である。この複合物は、椎骨を生成する組織がこれらの椎骨間に骨結合部を形成するように成長する際の格子として役立つものである。この結合によってロッドに加えられる負荷が最小限に抑えられる。同様に、整形外科手術および顎顔面手術のような他の手術において、破砕骨は、充填材および/または成長形成格子として用いられている。
【0003】
破砕骨がこれらの手術において充填材/成長形成格子として用いられている理由は、該骨を形成している材料、すなわち、タンパク質が、隣接している生きた骨細胞の芽細胞が新しい骨を生成するのを促進させる補給材として機能するからである。従って、新しい骨の成長を助長することが望まれる外科手術では、補助材料が添加されることもある破砕骨が、骨成長が望まれる空間内に充填材として用いられている。
【0004】
破砕骨は、8cm
3以上の容積を占めることもある大きい塊の骨を採取し、該骨を骨粒に破砕することによって、形成されている。骨粒は、典型的には、0.008cm
3以下の容量を占めるものでる。
【0005】
ボーンミルは、大きい塊の骨を骨粒の大きさに破砕、すなわち、細分化するのに用いられる装置である。代表的なミルは、ハウジングを備えている。ブレードアセンブリまたはミルヘッドが、ハウジングに回転可能に取り付けられている。このブレードアセンブリ/ミルヘッドには、切削面が形成されている。これらの切削面は、該切削面に押し付けられた骨を削るかまたは破砕することを可能にするものである。また、ブレードアセンブリ/ミルヘッドを駆動するための一種の装置が設けられている。もしボーンミルが手動によって作動される場合、この駆動装置は、多くの場合、ブレードアセンブリ/ミルを回転させることができるハンドルである。動力式ボーンミルは、この機能を果たすモータを備えている。
【0006】
ボーンミルは、典型的には、骨粒を必要とする手術が行われる手術室内において用いられるように設計されていることも理解されるべきである。これは、多くの場合、骨粒を生成するのに用いられる骨が、患者の体の他の部分から採取されるからである。患者自身の骨組織を用いることによって、その骨組織に対する人体の拒絶反応の可能性を低減させることができる。従って、骨複合物を用いる手術の最初の段階は、多くの場合、患者の体の他の部分から小さい断片の骨を採取することを含んでいる。この骨が、複合物を形成する骨粒に破砕されることになる。患者自身から採取されるこの骨は自家移植骨と呼ばれている。患者以外から得られる骨は同種移植骨と呼ばれる。
【0007】
理想的には、体内への移植の前に複合物を形成する骨粒が受ける表面酸化は、可能な限り小さく抑えられるべきである。表面酸化によって、骨粒を形成している材料が新しい骨の成長を助長する格子または原料として機能する程度が、低下することがある。従って、同種移植片を破砕して骨粒を生成する場合でも、この破砕プロセスは、骨粒複合物が必要とされる時間にできる限り近い時間に行われることになる。
【0008】
周知のボーンミルは、完全ではないが満足のいく程度に良好である。にもかかわらず、これらの装置に付随するいくつの制約がある。例えば、いくつかのボーンミルは、再利用可能なブレード/ミルヘッドを備えている。この種のアセンブリの1つの欠点は、各使用の後、その部品を洗浄するために分解し、次いで、後の使用のために組み立てるのに、時間を掛けねばならないことにある。この種の装置のさらに他の欠点は、ブレード/ミルヘッドが、通常、密集している多数の表面を有しており、これらの表面のいくつかは、鋭利なエッジを有することにある。この装置の各使用の後、ブレードを注意深く殺菌することに注意を払わねばならない。このプロセスは、ブレードが適切に殺菌されることを確実にすると共に、この作業を行う人が鋭利なエッジによって指を切らないことを確実にするために、かなりの時間を必要としている。
【0009】
さらに、時間が経つと、再利用可能なミルのブレードは、不可避的に鈍化することになる。これによって、新しいブレードセットに取り換えるかまたは既存のブレードを再び研ぐことが必要になる。
【0010】
ボーンミルのブレードの殺菌に関連する問題を回避するために、一回使用のボーンミル、すなわち、取り換え可能なミルユニットが市販されている。この種の装置は、ミルユニットが取外し可能に取り付けられている基部を備えている。ミルユニットは、ブレードが回転可能に取付けられた本体を備えている。多くの場合、基部は、ブレードを駆動するためのモータを備えている。この種の装置は、一回使用の後、ミルユニットが廃棄されるように設計されている。この種の装置の利点は、医療関係者がブレード、すなわち、鋭利な金属対象物を殺菌しなくてもよい点にある。
【0011】
これらのシステムのいくつかは、骨が破砕された時点で、医療関係者が、器具または指を用いて、ブレード周辺から骨を取り出さねばならないように設計されている。この作業を行わねばならないことによって、骨を処理するのに必要な全体の時間が長くなる。いくつかの周知の使い捨てボーンミルは、骨粒にアクセスするために、医療関係者がブレードを取り外さねばならないように、設計されている。手順のこの段階によって、医療関係者は、鋭利な金属対象物によって指を切らないように気を配らねばならない。
【0012】
さらに、多くの周知のボーンミルは、ブレードが骨または骨粒の同一の面と繰り返し衝突するように構成されている。このような活動によって生じた摩擦熱によって、骨を形成している材料が損傷することがある。この損傷は、新しい骨のための成長材料として機能する骨粒の能力に悪影響を及ぼすことがある。
【0013】
いくつかの周知のボーンミルのさらに他の欠点は、破砕プロセス中に骨が破砕される回数が、単一破砕プロセス内においても一様でないことである。予定通りの破砕のみを受ける骨もある。この破砕によって形成された骨粒は、後に続く手術に用いられるには、余りにも大きすぎることがある。同一の破砕操作において、他の骨は、繰り返し破砕され、その結果として、極めて小さい、殆ど粉塵サイズの粒子にまで微粉化されることもある。これらの小さい寸法の骨粒は、手術に用いるための回収が困難である。
【0014】
さらに、いくつかのボーンミルによって破砕された骨のかなりの部分が、容易に回収できないこともある。これは、自家移植骨を用いて骨粒を生成する場合に特に当てはまる。この特有の骨は、湿っている傾向にある。その結果、これらの骨粒がブレードを実際に含んでいるボーンミルの表面に付着することが知られている。新たに採取した骨から生成した十分な量の骨粒を使用可能とすることを確実にするために、医療関係者は、一部が利用できないことを承知しているので、過剰な量の骨粒を生成しなければならないと感じることがある。あるいは、これらの医療関係者は、破砕プロセスが終了した時点で、ブレードの鋭利な切刃の周囲の表面を含むミルの表面から付着した骨を注意深く取り出さねばならないこともある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[I.概観]
図1を参照すれば分かるように、本発明のボーンミル30は、基部32を備えており、この基部32に、ミルヘッド34が取外し可能に取り付けられている。基部32の内部には、モータ36(
図2)が配置されている。略平面状の切削ディスク38(
図18)が、ミルヘッド34の内側に配置されている。プランジャー40が、ミルヘッド34の上端に取り付けられている。プランジャー40の下方かつ切削ディスク38の底面の下方に、取外し可能な受けトレイ42が配置されている。ボーンミル30は、使用時に、モータ36を作動させ、これによって、ディスク38を回転させるようになっている。プランジャー40は、回転しているディスク38に骨を押し付け、その結果として、骨粒を生じさせるために、用いられるものである。これらの骨粒は、受けトレイ42内に落下し、外科手術に用いられることになる。
【0023】
[II.基部]
図1,2に示されているように、基部30は、円形の足部46を備えている。円断面を有する脚部48が、足部46から上方に延在している。本発明の図示されている形態では、足部46の上端部は、内向きのテーパが付いた切頭円錐状の輪郭を有しており、脚部48は、足部のこの上端部の中心から上方に延在している。脚部48は、足部46の直径よりも小さい直径を有する。
【0024】
脚部48は、アルミニウムまたはステンレス鋼のような金属またはプラスチックから形成されている。本発明の図示されている形態では、
図3に最もよく示されているように、脚部48は、その全長に沿って円断面の輪郭を有するが、脚部の直径は、一定ではない。具体的には、脚部48の直径は、足部46の上端から脚部に沿った最初の25%の領域では、徐々に小さくなっている。この点を超えると、脚部48の直径は、脚部の残りの長さに沿って、徐々に大きくなっている。本発明の図示されている形態では、脚部48は、その上端では、底の直径よりもいくらか小さい直径を有する。孔47が、脚部48を軸方向に貫通している。この孔47は、互いに連続している多数の区域を有する。これらの区域の各々は、隣接する(1つまたは複数の)区域の直径と異なる直径を有する。脚部48は、その上端において、環状の内向きリップ49を有するように形成されている。リップ49は、孔47の上端開口を画成している。
【0025】
台座50が、脚部48の上端に配置されている。
図4,5に最もよく示されているように、台座50は、略円断面の輪郭を有する。本発明の図示されている形態では、台座50は、脚部48の上端から外向きにテーパが付された底面52を有する。円弧状の側壁54が、底面52の上端から上方に延在している。本発明の図示されている形態の基部32は、台座の側壁54が、足部46の最大径よりも小さくて脚部48の最大径部分の直径よりも大きい直径を有する円を画成するように形成されている。
【0026】
台座の側壁54の上部は、円弧状リップ56の一部をなしている。このリップ56は、台座50の周囲に沿って延在しており、包囲している台座の上面58から上方に突出している。従って、リップ56および上面58は、台座50の上端の上方に、凹部60を画成している。凹部60は、ミルヘッド34が基部32に取り付けられたときに着座する空所である。
【0027】
また、台座50は、台座の長軸を中心とする貫通開口64を画成するように形成されている。本発明の図示されている形態では、台座50と一体に、台座の底面から下方に延在している環状のスカート66が形成されている。スカート66の内面は、開口64を画成している。基部30が組み立てられると、台座のスカート66は、脚部48の隣接する内向き段付き面68(
図3)を覆って配置されることになる。台座のスカート66は、脚部のこの上端部に圧入されるようになっている。
【0028】
台座50は、ノッチ70を画成するようにさらに形成されている。ノッチ70は、開口64から台座50の外周に向かって外方に突出している。ノッチ70は、平行の本体内の2つの互いに平行の内側面72(1つの面72が、
図5に示されている)によって、部分的に画成されている。リップ56の内方において、各内側面72は、外側面74で終端している。外側面74は、関連する内側面72から外方に傾斜している。従って、これらの外側面74は、ノッチ70の外周を画成している。互いに向き合った外側面74が外方にラッパ状に広がっていることによって、ノッチ70は、台座50の外周に隣接する箇所において、内向きのテーパが付された形状を有する。外側面74の内方では、互いに平行の内側面72によって、ノッチ70は、矩形の形状を有する。
【0029】
台座50は、円弧に沿って互いに離間した多数の歯80を有するように、さらに形成されている。これらの歯80は、台座の上面58の外周に沿って配置されており、かつ該外周から上方に延在している。各歯80は、リップ56の内側円弧面に対して配置されている。本発明のいくつかの形態では、これらの歯80は、リップ56の内側円弧面と一体に形成されている。各歯80は、上端部、すなわち、クラウンを有するように、形成されている。クラウンは、上面82を有しており、この上面82から、2つの横面84が斜め下方に延在している。本発明の図示されている形態では、(部番が付されていない)半円溝が、リップ56の各歯80の両側に形成されている。これらの溝は、製造の目的から設けられたものであり、それ以外に本発明に関連するものではない。
【0030】
台座50に枢動可能に取り付けられている1対の保持アーム88が、ミルヘッド34を基部32に取外し可能に保持している。
図6に詳細に示されているように、各保持アーム88は、略多角形の形状を有する中実基部90を備えている。基部90のコーナは、概して角が付いているが、基部90の上端の内側コーナ面91、すなわち、台座の上端および中心に向けられることになるコーナは、丸められている。コーナ面91の内方において、アームの基部には、孔92が形成されている。棚部93が、アームの基部90の内側から内方に延在している。棚部93は、基部90の高さよりも低い高さを有する。アーム88は、棚部93の上面から下方に延在する孔114を有するように、さらに形成されている。レバー96が、アームの棚部93の底面から下方に延在している。各アーム88は、基部90の外側上面から上方に延在するフィンガー98を有するように、さらに形成されている。フィンガー98は、そのフィンガーの上端に、アーム88の基部90の上面からわずかな距離だけ延在する内向きのタブ102を有するように形成されたフックである。
【0031】
各保持アーム88は、台座50に画成されている切欠空間104内に作用するようになっている。各切欠空間104の一部は、(アームの基部90および棚部93が着座する互いに連続している個々の空所を画成する)台座の底面52および側壁54における切断部によって、形成されている。また、アームフィンガー98が着座する各切欠空間104の一部は、台座のリップ56の外周における切断部によって、さらに形成されている。フィンガータブ102が着座するリップ54の上端のノッチが、切欠空間104と一体になっている(ノッチには、部番が付されていない)。保持アームのタブ102は、台座の凹部60の上端内に突出するようになっている。
【0032】
ピボットピン108(
図2に1つ示されている)が、各保持アーム88を基部の台座50に回転可能に保持している。各ピン108は、関連するアーム基部90の内側の上部コーナの孔92を貫通している。ピン108の両端は、台座50に形成されている孔109内に配置されている。(ピン孔109の1つの開口が
図5に示されている)。各ピン孔109は、切欠空間104と交差していることを理解されたい。
【0033】
台座50に取り付けられたコイルバネ112(
図2)が、各保持アーム88を常時係止状態に保持している。各コイルバネ112は、台座50に形成された一端が閉鎖されて下向きに開いている孔115内に配置された第1の端を有する。各孔115は、関連するアーム88用の切欠空間104内に開いている。各バネ112の他端は、関連するアーム88に形成された孔114内に着座している。従って、各バネ112は、関連するアーム88に力を加え、これによって、タブ102が台座の凹部60の上端に常時着座するように、アーム88を位置付けしている。バネ112によるアームの付勢によって、各アームレバー96は、基部の脚部48と略真っ直ぐに並ぶように、常時下方に向けられていることをさらに理解されたい。
【0034】
ここで、
図2,4を参照して、基部のモータ36について説明する。このモータ36は、脚部の孔47内に配置されている。本発明の一形態では、モータ36は、本出願人の譲渡人によるES6外科用矢状鋸に用いられているモータである。このモータは、4極/3相モータである。この特別のモータは、少なくとも20,000RPMの無負荷最大軸速度を得ることができる。モータ36は、足部46の上方において脚部48内に懸垂されるようにして、脚部48内に配置されている。モータ36は、歯車ヘッド122が取り付けられている出力軸(図示せず)を有する。モータ36から下方に、柔軟回路123が延在している。柔軟回路123は、モータ巻線を選択的に接地および電圧源に繋いでいる導体を有する。また、柔軟回路123は、モータ内部のホールセンサからの信号を出力させる導体、および5VDをモータ(ホール)に供給すると共に接地接続を行う導体も有する。
【0035】
モータ36の外周は、脚部48の内側にネジ止めされたリング126上に配置されている。このリングは、脚部の孔47(
図3)の区域127内に螺入されている。リング126には、このリングの外周に位置する長孔128が形成されている。基部32が組み立てられると、モータ36から延在している柔軟回路123は、リング126内に配置されることになる。
【0036】
歯車列134が、モータ36の上方に位置するように、脚部48の中空部内に配置されている。
図7,8に最もよく示されているように、歯車列134は、一組の遊星歯車アセンブリを備えている。これらの遊星歯車アセンブリは、モータ36によって生じた回転運動を減速し、該回転運動のトルクを増大させるためのものである。具体的には、歯車列134は、
図7Aに最もよく示されている管状のハウジング136を備えている。ハウジング136は、個々の遊星歯車アセンブリのリング歯車として機能するものである。ハウジング136は、滑らかな外壁を有しており、脚部48の中空孔内に密にスリップ嵌合されるように、設計されている。歯車列のハウジング136は、下側の内周壁が円弧に沿って互いに離間した歯138を有するように、形成されている。歯138の上方では、ハウジング136は、ハウジングの歯付き部分によって形成されている空所の内径よりも大きい直径の内径を有するように、形成されている。ハウジング138の上端のすぐ下方において、ハウジングは、ハウジングの内壁に沿って周方向に延在する溝140を有するように、形成されている。歯車列のハウジング136は、ハウジングの上端から外面に沿って下方に延在する半円状の溝142を有するように、さらに形成されている。溝142は、ハウジングの全長の略5%の距離にわたって、ハウジングに沿って長手方向に延在している。
【0037】
歯車列のハウジング136の底には、直径方向において互いに向き合った2つのノッチ143が形成されている。これらのノッチ143は、脚部の孔47からの歯車列134の挿入/取出しを容易にするために用いられる工具を受け入れるために、設けられている。さらに、基部32が組み立てられると、モータと一体のタブ(図示せず)がノッチ143内に着座することになる。これらのタブと歯車列のハウジング136との係合によって、モータ36の回転が阻止されるようになっている。
【0038】
歯車列のハウジング136内に、3つの遊星歯車アセンブリが配置されている。第1の遊星歯車アセンブリは、キャリアディスク146を備えている。3つの歯車148(2つが
図7に示されている)が、側面をモータ36に向けて、キャリアディスク146の底面に回転可能に取り付けられている。歯車148は、互いに等角度で離間している。第2,第3の遊星歯車アセンブリの歯車154,182も同様であるが、歯車148は、その歯が歯車ハウジングの歯138と係合するように、キャリアディスク146に取り付けられている。基部32が取り付けられると、歯車148は、モータ36の歯車ヘッド122にも係合することになる。中心歯車150が、キャリアディスク146の上側に固定して取り付けられている。中心歯車150は、ディスク146と同軸になっている。
【0039】
第2のキャリアディスク、すなわち、ディスク152は、第2の遊星歯車アセンブリの一部を構成している。ディスク152の底面に、互いに等角度で離間している3つの歯車154が回転可能に取り付けられている。歯車154は、中心歯車150および歯車列ハウジングの歯138の両方と係合するように、寸法決めされ、かつ位置決めされている。管状のステム156が、キャリアディスク152の上面からディスク152と同軸になって上方に延在している。ステム156は、キャリアディスク152の表面の上方に位置する歯車158を画成するように形成されている。
【0040】
第3の遊星歯車アセンブリは、
図9を参照して詳細に説明する多区域駆動連結器162を備えている。駆動連結器162は、円筒状の基部164を有するように、形成されている。基部の底端において、小さい環状段166が、基部の周囲から半径方向外方に突出している。駆動連結器162は、基部164の上端からわずかな距離を隔てて配置された環状溝167を有するように、形成されている。溝167は、基部164の外面に沿って周方向に延在している。駆動連結器164は、基部164と一体に形成されて該基部164の上方に延在するステム168を有するように、形成されている。ステム168は、基部164と同心になっているが、基部の直径よりも小さい直径を有する。
【0041】
駆動連結器162は、互いに連続している3つの同軸孔を有するように、さらに形成されている。これらの孔は、それらの孔の端と端が繋がって、連結器の長軸を中心とする1つの貫通開口を形成している。
図9における第1の孔、すなわち、孔169は、連結器の底から、段166および該段の上方の基部164の区域によって画成された長手方向の薄い部分を通って延在している。孔169の開端のすぐ上方において、駆動連結器164は、孔169を画成している内壁に環状溝170を画成するように形成されている。駆動連結器162は、孔169に連続して該孔169の上方に位置する第2の孔、すなわち、孔172を画成するように形成されている。孔172は、孔169から連結器の基部164の上端の直下まで、上方に延在している。孔172は、孔169の直径よりもわずかに小さい直径を有する。孔169,172は、いずれも、第2の遊星歯車アセンブリと一体のステム156の直径よりも大きい直径を有する。孔172の上方において、駆動連結器162は、第3の孔、すなわち、孔176を有するように、形成されている。孔176は、孔172から、連結器基部の上端およびステム168の全体を通って延在している。従って、孔176の開端は、駆動連結器の上端開口を形成することになる。孔176は、孔172の直径よりも大きい直径を有する。
【0042】
駆動連結器162は、直径方向において互いに向き合った2つの楕円開口178を有するように、さらに形成されている。開口178は、ステム168における該ステムが基部から突出する箇所の上方の位置に形成されている。開口178は、駆動連結器162の長軸と平行の長軸を有する。従って、開口178は、孔176と連続していることになる。
【0043】
第3の遊星歯車アセンブリは、4つの遊星歯車182(3つが
図7に示されている)を有する。遊星歯車182は、駆動連結器の基部164の底面に取り付けられている。遊星歯車182は、第2の遊星歯車アセンブリの158およびハウジングの歯138に係合するように、寸法決めされ、かつ位置決めされている。
【0044】
歯車列134が組み立てられると、第2の遊星歯車アセンブリは、ステム156が駆動連結器の孔169,172に配置されるように、位置決めされることになる。軸受アセンブリ186は、ステム156と駆動連結器162との間に低摩擦連結をもたらすものである。軸受アセンブリ186の外輪は、駆動連結器の孔169の外周に着座するようになっている。駆動連結器の溝170内に配置された少なくとも1つのスナップリング185が、軸受アセンブリ186を孔169内に保持している。軸受アセンブリ186の内輪は、歯車158の上方において、ステム156の外面の周囲に配置されている。ステンレス鋼から形成されたスリーブ187が、ステム156の(軸受アセンブリ186の上方の)部分の外周に圧入されている。スリーブ187は、軸受アセンブリ186の内輪の露出した上側の部分に当接する(部番が付されていない)リップを有する。従って、スリーブ187は、駆動連結器162からのキャリアディスク152の離脱を阻止することになる。
【0045】
2つの軸受アセンブリ188,192が、駆動連結器162を歯車列のハウジング136に回転可能に保持している。軸受アセンブリ188,192のそれぞれの外輪は、歯車列のハウジング136の滑らかな内壁に配置されており、それぞれの内輪は、駆動連結器の基部164の外周壁に配置されている。軸受アセンブリの第1のもの、すなわち、アセンブリ188は、アセンブリの外輪がハウジングの歯138の上端によって画成されている段に着座するように、位置決めされている。軸受アセンブリ188の内輪は、駆動連結器の段166に着座している。
【0046】
リング状のスペーサ190が、軸受アセンブリ188,192を隔離している。スペーサ190は、歯車列のハウジングの滑らかな内壁に配置されている。スペーサは、軸受アセンブリ188,192のそれぞれの外輪間に挟み込まれている。
【0047】
保持リング196が、歯車列のハウジング134の溝140内にスナップ嵌合されている。この保持リング196は、軸受アセンブリ192の外輪の全体にわたって延在している。このようにして、保持リング196は、軸受アセンブリ192およびアセンブリ192の下方に配置された部品を、歯車列のハウジング134内に保持している。
【0048】
ここで、まず
図10を参照して、スピンドル202について説明する。このスピンドル202は、駆動連結器162から延在しており、モータ36によって生じたトルクをミルの切削ディスク38に伝達するようになっている。スピンドル202は、全体的に中実のポスト204を備えるように、形成されている。ポスト204は、該ポストが駆動連結器のステム168の孔176内にすべり嵌合することを可能にする直径を有する。ポスト204は、横方向貫通穴206を有するように、形成されている。
【0049】
ポスト204の上方において、スピンドル202は、円板状のヘッド208を有するように、形成されている。スピンドル202は、ヘッド208が駆動連結器の基部164の直径と略等しい直径を有するように、形成されている。多数の異なる部品が、スピンドルヘッド208の上面から上方に延在している。これらの部品の1つは、位置合わせピン210である。位置合わせピン210は、スピンドル202の長軸と同軸であり、ヘッドの中心から上方に延在している。ピン210は、その下側部分、すなわち、スピンドルヘッド208から上方に延在している部分が円筒形状を有するように、形成されている。位置合わせピンの上部は、平坦な先端を有する円錐の形状を有する。(位置合わせピン210の個々の部分には部番が付されていない)。
【0050】
また、互いに等角度で離間した4つの駆動歯212が、スピンドルヘッド208の上面から上方に延在している。これらの歯212は、スピンドルヘッド208の外周に沿って配置されている。歯212の円弧状の外面は、スピンドルヘッド208の外面と同一の平面をなしている。各歯は、内向きのテーパが付いた1対の側面および円弧状の内面を有する(これらの面には部番が付されていない)。各歯212の内面の曲率半径は、外面の曲率半径よりも小さくなっている。歯212は、位置合わせピン210ほど、スピンドルヘッド208の上方に大きく延在していない。
【0051】
スピンドル202は、ポスト204が駆動連結器のステム孔176内に摺動可能に取り付けられるように、位置決めされている。ピン214が、スピンドル孔206を貫通している。ピン214の両端は、駆動連結器のステム168に形成された楕円状の開口178内に着座している。従って、ピン214は、スピンドル202を駆動連結器162に保持しており、これによって、スピンドルは、駆動連結器と一緒に回転すると共に、駆動連結器に対して長手方向に移動することができる。
【0052】
バネ216が、駆動連結器162内において、スピンドル202の下方に配置されている。バネ216は、波形バネである。バネ216の一端は、駆動連結器内の孔172,176間の環状段上に着座している。バネ216の他端は、スピンドルポスト204の底端に配置されている。バネ216は、上向きの付勢力をスピンドルポスト204に加えるように、選択されている。従って、手動力を加えることによって克服され得る力が、常時、スピンドルヘッド208を駆動連結器162から離れる方に付勢していることになる。
【0053】
歯車列134が脚部48内に取り付けられると、回転防止ピン218が歯車列のハウジング136に形成された溝142内に着座するようになっている。ピン218の露出部分は、脚部48の(歯車列が着座する孔47の区域を画成している)内壁に形成された相補的な溝(図示せず)内に着座することになる。従って、回転防止ピン218は、歯車列のハウジング136の回転運動を阻止することになる。
【0054】
本発明のいくつかの形態では、モータ36および歯車列134は、スピンドル202、従って、切削ディスク38が150〜500RPMの速度で回転することができるように、連携して設けられている。本発明のいくつかの形態では、基部32内の部品は、ディスクが250〜350RPMの速度で回転可能となるように、選択されている。これらの速度は、骨片が切削ディスク38に対して押し付けられたときの該ディスク38の負荷速度であることを理解されたい。
【0055】
図2を参照すると、バネ付勢された常開式押しボタンスイッチ220が、基部の足部46の外側上面に取り付けられていることが分かるだろう。スイッチ220は、プレート222に取り付けられている。プレート222は、足部220の外面の凹部224内に配置されている。ソケット226が、足部46の外周壁の開口内に配置されている。ソケット226は、ボーンミル30を作動させる(以下に述べる)制御コンソールに基部を接続するための以下に述べるものを、受け入れるものである。モータの柔軟回路122およびスイッチ220からソケット226内のピンまでを導体接続している、基部32内の回路基板および導体は、図示されていない。
【0056】
図2,4に、基部の足部46の開底端の全体にわたって配置されている基部プレート228が示されている。プレート228を足部46に保持している留め具は、図示されていない。
【0057】
[III.ミルヘッド]
図11に示されているように、ミルヘッド34は、上側シェル240および底側シェル242を備えている。一緒に組み立てられると、これらのシェル240,242は、ミルヘッド34のハウジングを形成することになる。切削ディスク38が、これらのシェル間に配置されている。上側シェル240に、突当プレート244が取り付けられている。プランジャー40は、その底面を切削ディスク38の方に向けて、上側シェル240に摺動可能に取り付けられている。受けトレイ42は、底側シェル242と一体の2つの平行レール358,360(
図15)に取り付けられている。受けトレイ42は、プランジャー40の下方に位置するように、ミルヘッド34に取り付けられている。受けトレイをレールに取り付けることによって、トレイをミルヘッド34の残りから半径方向に離れるように摺動させ、取り外すことが可能になる。
【0058】
図12,13,14を参照すれば、ミルヘッドの上側シェル240は、単一のプラスチック片から形成されていることが分かるだろう。上側シェルの最適なプラスチックの一例として、Leverkusen(ドイツ)のBayer Material Science AGから市販されているポリカーボネートプラスチックMAKROLON RX2530が挙げられる。ミルヘッドの上側シェル240および上側シェルを構成している他の部品を形成する材料は、十分にガンマ殺菌され得る材料であることを理解されたい。
【0059】
上側シェル240は、全体的に円板状の円形ヘッド250を有するように、形成されている。ヘッド250の底面251は、概して平面状に図示されている。上側シェル240は、ヘッドの周囲のすぐ内側のヘッドの上面、すなわち、表面252が底面251と平行となるように、さらに形成されている。この周面252の内側において、上側シェルのヘッド250には、中心面254が形成されている。この中心面254は、その頂部の中心が外周面252の上方に位置するように、いくらか隆起している。上側シェルのヘッド250は、対称的に配置された凹み256を有するように、さらに形成されている。凹み256の各々は、周面252と交差している。凹み256は、直径方向において互いに向き合っている。上側シェルのヘッド250は、各凹み256が基部の保持アーム88の幅よりもいくらか大きい側面間距離を有するように、さらに形成されている。
【0060】
円弧状の外側リップ255が、上側シェルのヘッド250の底面から下方に延在している。リップ255は、上側シェルのヘッド250の底面251と平行になっている小さい段257が該リップの内側に形成されるように、L字状に形成されている。ヘッド250は、外側リップ255から内方に離間してかつ該外側リップ255と同心になっている内側リップ260を有するように、さらに形成されている。内側リップ260は、矩形断面の輪郭を有する。具体的には、内側リップ260は、そのリップ260の底面が外側リップ255と一体の段257と共平面をなすように下方に延在している。外側リップ254と内側リップ260との間に、ヘッド250は、環状溝258を画成している。溝258は、底面251に対して凹んでいる基部を有する。
【0061】
内側リップ260の内方において、上側シェルのヘッド250は、円形の外側閉じ込めリング264を有するように、形成されている。閉じ込めリング264は、ヘッド250から下方に突出しており、矩形断面の輪郭を有する。内側リップ260と外側閉じ込めリング264との間に、環状溝262が位置している。溝262の基部は、取り囲んでいる溝258の平面と同一の平面になっている。
【0062】
リップ255,260は湾曲しているが連続した円ではない。凹み252が形成されている外周面の区域の下方において、上側シェル240は、直径方向において互いに向き合った2つの矩形のブロック268が溝258,262および内側リップ260と交差するように、成形されている。上側シェル240は、互いに等角度で離間した4つの間隙272が外側リップ255を4つの区域に分割するように、さらに形成されている。各間隙272と半径方向において一直線に並んでいるのは、長孔274である。各長孔274は、内側リップ260の区域を分割しており、長孔274と交差している溝258,262の区域の基部よりも深くシェルヘッド250内にさらに延在している基部を有する。各長孔274は、該長孔に隣接してかつ連続している外側リップの間隙272によって画成されている円弧よりも大きい円弧を画成している。
【0063】
上側シェルのヘッド250は、ヘッドの中心の外方に位置する円形の内側閉じ込めリング276を有するように、さらに形成されている。内側閉じ込めリング276は、矩形断面の輪郭を有する。
図14から、外側閉じ込めリング264および内側閉じ込めリング276は、それぞれ、ヘッドの底面251の外周および内周を画成していることが分かるだろう。ヘッド250は、閉じ込めリング264,276が底面251から同一距離だけ下方に延在するように、さらに形成されている。また、内側閉じ込めリング276内におけるヘッド250の面は、リング276の露出面を基準として、底面251よりも深くに位置している。また、上側シェルのヘッド250は、ヘッドと同心のドーム状の空所275を画成するように形成されている。
【0064】
上側シェル240は、ヘッド250に開口278を有するように、さらに形成されている。開口278は、内側閉じ込めリング276のすぐ外側のヘッドの円弧縁から、外側閉じ込めリング264のすぐ内側のヘッドの円弧縁まで、延在している。これらの円弧縁は、ヘッド250の中心軸と同心である。開口278は、ヘッド250内の互いに平行になっている2つの側縁によって、さらに画成されている。これらの側縁の各々は、関連する円弧状の内側縁および外側縁の互いに向き合った終端間に延在している。
【0065】
上側シェルのヘッド250は、開口278に隣接する底面251から内方に延在している空所280を画成するようにさらに形成されている。空所280は、ヘッド250を形成している材料に設けられた内側段によって形成されている(段には部番が付されていない)。空所280は、開口278の片側と連続するように、位置決めされている。さらに具体的には、空所は、ボーンミル30が作動したとき、切削ディスク38が回転する方向に対応する開口278の側に隣接している。上側シェルは、ヘッドから空所280内に延在する2つの取付けポスト282を画成するようにさらに形成されている。もし
図4を上側ディスクの実際の方位に対して反転させた場合、ポスト282は、空所280の上端を画成している表面から該空所内に向かって下方に突出することになる。
【0066】
上側シェルのヘッド250は、互いに等角度で離間した3つの補強リブ284,286,288も備えている。リブ284〜286の各々は、内側閉じ込めリング276から外側閉じ込めリング264に向かって半径方向に延在している。また、各リブ284〜286は、ヘッドの下面251から、閉じ込めリング264,276が下方に延在している距離よりも短い距離にわたって、下方に突出している。これらのリブの2つ、すなわち、リブ284,286は、長手方向において、ヘッド250の中心から突出している半径線を中心としている。第3のリブ、すなわち、リブ288は、多くの異なる区域を有する。内側区域は、空所280の内縁の周囲の内周リング276から突出している。中央区域は、空所の前縁、すなわち、開口278から離れた側の縁の周囲に延在している。リブ288の第3の区域は、中央区域から外側閉じ込めリング264に向かって延在している。この第3の区域は、ヘッド250の中心から突出している半径線を中心としている。リブ284、リブ286、およびリブ288の外側区域、すなわち、第3の区域が中心としているそれぞれの半径線は、互いに等角度で離間している。
【0067】
上側シェル240の一部である中空の供給スリーブ292が、ヘッド250の上方に延在しており、開口278の周囲に配置されている。本発明の図示されている形態では、スリーブ292は、4つの壁を有する構造体である。ヘッド250の中心に隣接しているのは、内壁294である。内壁294は、3つの区域を有する。内側に湾曲している中心区域および2つの共平面になっている外側区域である(個々の区域には部番が付されていない)。外壁298は、円弧状の輪郭を有する。スリーブ292は、2つの互いに平行の側壁296を有する。各側壁296は、内壁294の外側区域の1つの外縁と外壁298の隣接する外縁との間に延在している。壁294〜298によって画成されているスリーブ292内の中空部には、部番が付されていない。この中空部は、ヘッドの開口278内に開いている。さらに具体的には、上側シェルのヘッド250は、開口278がスリーブ292の中空部によって画成されているのと同じ断面輪郭を有するように、形成されている。
【0068】
また、上側シェル240には、スリーブ292に隣接している補強部材が形成されている。具体的には、ウエブ304が、各側壁と共平面をなして張り出している。各ウエブ304は、スリーブ292が突出している側と反対の側において、ヘッドの中心面254の全体にわたって延在している。
【0069】
図15〜17に示されているように、ミルヘッドのハウジングの底側シェル242は、略円形状の本体308を有するように、形成されている。底側シェル242は、上側シェル240を形成している材料と同じ材料から形成されていてもよい。略円板の形状を有するが、シェル本体308は、貫通穴310を有するように、さらに形成されている。孔310は、本体308の長軸と同心である。
【0070】
シェル本体308は、孔310から離れた開口312を画成するようにさらに形成されている。開口312は、本体308の外周の内側に位置する本体の円弧縁から本体の内方に延在している。開口312は、円弧状外縁から内方に延在している2つの互いに平行の内壁によって、さらに画成されている。側壁の1つ、すなわち、
図15の壁314は、開口312の上端からシェル本体308の露出した底面に向かって斜め外方に延在するように、外方に傾斜している。また、壁314は、シェル本体308の上側内面から短い距離にわたって上方に延在している。壁314と向き合った側壁、すなわち、壁316(
図16)は、シェル本体308の平坦な上面と直交して延在している。シェル本体308は、壁314,316が孔310を画成している本体の部分の両側に延在するように、形成されている。内壁318が側壁314,316間に延在しており、開口312の内周を画成している。内壁318は、(部番が付されていない)多数の区域を有する。各側壁314,316に隣接して、この内壁は、隣接している側壁314または316から直交して内方に延在している外側区域を有する。側壁、例えば、側壁314と当接している内壁318の外側区域は、内向きのテーパが付されている。これらの外側区域間において、内壁318は、内方に湾曲した中間区域を有する。内壁318の中間区域を画成しているシェル本体308の部分は、孔310の隣接する円弧区域も画成している。
【0071】
多区域リップ320が、シェル本体308の外周から上方に延在している。リップ320は、第1の外側段322および第2の外側段324を画成するように形成されている。第1の外側段322は、シェルの中心から最も遠くに位置する段である。第2の外側段324は、第1の外側段322のすぐ内側に位置している。段324は、外側段322の上方に位置している。リップ320は、第2の外側段324の内側に位置して該段324の上方に延在するクラウン326を画成するようにさらに形成されている。クラウン326は、ピーク330を画成するためにピラミッド状の断面輪郭を有するように、形成されている。クラウン326は、ピーク330の両側に位置する互いに平行の外側面328および内側面332も有する。従って、側面328,332は、外側段324の平面と直交して上方に突出している。また、シェルリップ320は、内側段334を有するように、形成されている。内側段334は、第2の外側段324と共平面になっている。
【0072】
上側シェル240および底側シェル242は、組み立てられたときに底側シェルのクラウン326が上側シェルの溝258内に密嵌合するように、さらに形成されている。また、底側シェルの第1の外側段322は、上側シェルの外側リップ255の底の最外円弧面の全体にわたって延在するようになっており、該円弧面と略等しい外径を有する。さらに、シェル240,242は、一緒に組み立てられたとき、底側シェルの開口312が上側シェルの開口278および隣接する空所280によって画成される領域を画成するように、互いに形成されている。
【0073】
互いに等角度で離間した4つのノッチ340が、底側シェル242に形成されている。底側シェル242は、各ノッチ242のすぐ内側に上方に延在しているフィンガー342を有するように、さらに形成されている。各フィンガー342は、(部番が付されていない)湾曲した内外面を有するように、形成されている。各フィンガー342の側面間幅は、フィンガーが上側シェルの長孔274の1つに着座することができるような大きさになっている。各フィンガー342は、フィンガーが底側シェルの円弧区域を画成することを可能とする内面/外面間深さを有する(なお、底側シェルのそれ以外の円弧区域は、リップの内側段334の区域およびシェル本体308の隣接する内面によって画成されることになる)。補強タブ344が、各フィンガー342と一体に形成されており、フィンガーの内面の全体にわたって延在している。関連するフィンガー342と同様、各タブ344は、シェル本体の隣接する上面から上方に延在している。
【0074】
リップ320の区域の2つに、直径方向において互いに向き合った断続部348が形成されている。各断続部348は、本質的に、関連するリップ区域のクラウン326を2つの区域に分割している。各断続部348は、ミルヘッド34が組み立てられたとき、上側シェルのブロック268が断続部内に着座するように寸法決めされた円弧状の空所を画成している。
【0075】
底側シェル242は、補強タブ344によって画成された円から内方に離れた位置に、円形の外側閉じ込めリング350を画成するように、形成されている。閉じ込めリング350は、シェル本体の内面から上方に延在しており、矩形断面の輪郭を有する。底側シェル242は、内側閉じ込めリング352を有するように、さらに形成されている。内側閉じ込めリング352は、シェル本体308の内面から上方に延在しており、中心孔310の直径よりもいくらか大きい直径を有する。外側閉じ込めリング350と同じように、内側閉じ込めリングは、矩形断面の輪郭を有する。内側閉じ込めリング352は、孔310および開口312を分離しているシェル本体308の円弧区域の全体にわたって延在していることを理解されたい。内側閉じ込めリング352の外径は、開口312の中央区域を画成している円弧、すなわち、内壁318を画成している円弧よりもいくらか小さくなっている。本発明の図示されている形態では、製造の目的で、閉じ込めリングおよび側壁318が交差する箇所に隣接して、リング352は、円形になっていない。
【0076】
シェル240,242は、互いに組み込まれてミルヘッドのハウジングを形成したとき、上側シェルの閉じ込めリング264,276が、それぞれ、底側シェルの閉じ込めリング350,352に重なるように、さらに構成されている。ミルヘッド34が組み立てられたとき、シェル240,242は、互いに超音波溶接されるようになっている。
【0077】
図16に最もよく示されているように、補強リブ354が、底側シェル242の内側閉じ込めリング352から離れる方向に突出している。リブ354は、シェルの基部308の内面上に延在している。リブ354は、リング352から、側壁314に隣接する内壁318の区域を画成している本体308の部分の全体にわたって延在している。リブ354は、矩形断面の輪郭354を有するので、内壁318の隣接する区域と事実上同一平面をなしている。内壁318の端において、リブは、直角に曲げられ、側壁314の上縁に隣接するシェル本体の表面上に延在している。リブ354は、シェルの基部の外周に向かって延在しているが、外側閉じ込めリング350からいくらか内側に入った点で終端している。
【0078】
2つの互いに平行になっているレール358,360がシェルの基部308の底面から下方に突出している。レール358,360は、ミルヘッドハウジングと一体の構造部材であり、受けトレイ42をミル34の残りに摺動可能に保持するものである。レール358,360は、いずれも、側壁314,316を画成している開口312と平行になっている。レール358は、ハウジング本体の底面の側壁314の近くの(開口312から離間している)位置から下方に延在している。レール358は、開口312に向かって斜めに延在している矩形構造体の形態にある。レール360は、シェル本体308の底面の側壁316の近くの(開口312から離間している)位置から延在している。レール360は、概して、開口312に向かって斜めに延在する矩形構造体の形態にある。これらのレールは、レール360がレール358よりも長いという点において、異なっている。また、(部番が付されていない)歯がレール360の本体から延在している。これらの歯は、製造の目的で形成されており、それ以外に本発明に関連するものではない。同様の歯がシェル本体の側壁316から突出していてもよい。これらの歯も、製造の目的で設けられるものである。
【0079】
また、1対のタブ364が、シェル本体308の底面から下方に突出している。タブ364は、底側シェル242の外周とレール358,360との間に位置している。タブ364の第1のものは、レール358に隣接しており、レール358の中心となる長軸から離れる方向、すなわち、開口312から離れる方向に延在するように、配向されている。第2のタブ364は、レール360に隣接しており、開口312に対して外方に延在するように、配向されている。タブ364は、概して、矩形状のブロックの形態にある。従って、タブ364は、受けトレイ42をレール358,360間に芯出しするのを容易にする位置合わせ部材として機能することになる。
【0080】
ここで、まず
図18を参照して、切削ディスク38について説明する。切削ディスク38は、以下の材料、すなわち、適切に成形されることが可能であり、以下に説明する骨の切削に用いられたときに疲労を生じることがなく、かつ殺菌プロセスを受けることが可能である材料から形成されている。本発明のいくつかの形態では、切削ディスク38は、ステンレス鋼、例えば、304ステンレス鋼から形成されている。一般的に、ディスク38は、互いに向き合った上平面370および底平面372を有する円形形状になっている。切削ディスク38の直径は、ミルヘッドのハウジングと一体の外側閉じ込めリング264,350の外径よりも略0.10cm大きくなっている。しかし、ディスク38は、このディスクに隣接している底側シェルの補強タブ344との間に隙間が生じるように、さらに形成されている。この隙間によって、ディスク38は、シェル240,242によって画成されているミルハウジング内において横方向に移動することが可能になっている。
【0081】
切削ディスク38は、中心に位置する孔374を有するように、さらに形成されている。孔374は、基部のスピンドル202と一体の位置合わせピン210を受け入れるように、寸法決めされている。切削ディスク38は、孔374の周囲に互いに等角度で離間した4つの開口376を有するように、形成されている。各開口376は、スピンドル202と一体の歯212の個々のものを受け入れるように、形成されている。従って、開口376は、円弧状に形成されている。これらの開口376の外周によって画成されている円は、ミルヘッドのハウジングと一体の内側閉じ込めリング276,352の内径よりも小さくなっている。
【0082】
切削ディスク38は、多数の切削スカラップ(scallop)378を有するように、さらに形成されている。切削ディスク38は、各切削スカラップ378と一体で、かつ長手方向において該スカラップ378と軸方向に真っ直ぐに並んでいる貫通開口380を有する。
図19に示されているように、各スカラップ378は、開口380に隣接しているディスクの上面370および底面372が上方に湾曲して、それぞれ、スカラップ上面382およびスカラップ底面386をなすように、切削ディスク38を成形することによって、形成されている。スカラップ上面382は、上面382および底面386がエッジ384において交差するように、平削りされている。このエッジ384が、スカラップ378の切刃である。
【0083】
エッジ384は、関連する開口380の周囲を画成するスカラップの縁でもある。各開口380は、その開口と一体のスカラップ378から前方に延在している長辺を有する略矩形状になっている。各開口380は、エッジ384によって画成されている側辺を含む開口の側辺が外方に湾曲しているので、正確には、矩形状ではない。さらに、開口380の側辺が交差しているコーナが、丸められている。
【0084】
切削ディスク38は、スカラップ378/開口380の対が、ディスクの周りに円弧に沿ってかつ半径方向において互いに離間するように、形成されている。ディスクの中心に最近接して位置しているスカラップ378/開口380は、内側閉じ込めリング276,352の外径と等しい直径を有するディスク上の円の外側に位置するように、中心から半径方向に離間している。最外に位置しているスカラップ378/開口380の対は、外側閉じ込めリング264,350の内径と等しい直径を有するディスク上の円の内側に配置されている。スカラップ378/開口380の対は、2つのスカラップエッジ384がディスク38の中心から突出している同一の半径線上に存在しないように、さらに配置されている。
【0085】
ミルヘッド34が組み立てられると、切削ディスクは、下向きの上側閉じ込めリング264,276と上向きの下側閉じ込めリング350,352との間に挟み込まれることになる。これらの部品の相対的な寸法決めによって、切削ディスク38の上面370と底面372との間の厚みは、配列された閉じ込めリング対264−350,276−352間の間隙よりも略0.009インチ(0.23mm)小さくなっている。その結果、切削ディスク38は、ミルヘッドのハウジング内において、3つの自由度で、すなわち、垂直方向および横方向において、いくらか移動することができ、かつ浮遊することができる。
【0086】
図20,21に示されている突当プレート244は、殺菌可能であると共に骨が押しつけられたときに破損しない材料から形成されている。本発明のいくつかの形態では、突当プレートは、ステンレス鋼、例えば、304ステンレス鋼から形成されている。突当プレート244は、概して、互いに向き合った上面388および底面389を有するブロックの形態にある。プレートは、上側シェル240内に画成された空所280に着座するように、寸法決めされている。加えて、突当プレートの側壁の1つは、湾曲している(湾曲した側面には部番が付されていない)。突当プレートは、前面391を有する。この前面391は、長さに関して、プレートの前面および後面の長い方である。(
図20において、前面391の縁には、部番が付されていない)。突当プレート244は、プレートの上面388の周りに下方に延在する斜面392を有するように、さらに形成されている。
【0087】
2つの孔394が、突当プレートを上面から底面に貫通している。各孔394は、実際には、プレートの底面389から上方に延在しているより大きい直径の皿孔395から開いている。
【0088】
ミルヘッド34が組み立てられるとき、突当プレート244は、上側シェルの空所280内に着座するようになっている。突当プレートは、前面391が開口278の前部を画成する表面として機能するように、配置されている。プレートの上面388は、空所の屋根を画成しているシェル240の内部と当接することになる。突当プレートがこのように位置決めされると、各ポスト282が、孔394/皿孔395の各対内に着座されることになる。突当プレートは、ポスト282の先端を熱変形させることによって、上側シェル240に固定されるようになっている。溶融したプラスチックが、皿孔395内にリベットを形成することになる。
【0089】
図22,23は、プランジャー40を示している。プランジャー40は、上側シェル240を形成しているのと同一の材料から形成することができる。プランジャー40は、ロッド404が延在しているヘッド402を有するように、形成されている。ロッド404は、2つの互いに平行の側パネル406およびこれらの側パネル間に延在している前パネル408を有するように、形成されている。底パネル410が、側パネルと前パネルとの間に延在しており、ロッド404の基部または底をなしている。ロッド404は、側パネル406、前パネル408、および底パネル410がハウジングの供給スリーブ250内に摺動可能に嵌合するように、寸法決めされている。従って、底パネル410は、内方に湾曲した区域412を有する露出縁を有する。縁区域の湾曲は、供給スリーブの内壁294の湾曲に適合しており、該内壁の湾曲よりもいくらか大きくなっている。
【0090】
プランジャーロッド404は、上プレート414も備えている。プランジャー40は、上プレート414が、側パネル406および前パネル408の全体にわたって拡がっており、かつそれらの上方に突出するように、形成されている。さらに具体的には、上プレート414は、ハウジングの供給スリーブ292の中心空所の断面積よりも大きい領域を画成するように、寸法決めされている。従って、上プレート414は、プランジャーロッド404がスリーブおよびスリーブの直下の開口278内に押し込まれる程度を制限することになる。本発明のいくつかの形態では、ミルヘッド34の部品は、プランジャー40がスリーブ292内に完全に配置されたとき、底プレート412が切削ディスク38から少なくとも0.05cm上方に位置するように、寸法決めされている。
【0091】
プランジャー40は、ヘッド402がロッド404の外周から斜め上方に延在するように、さらに形成されている。多数のウエブ416が、上プレートの上面とヘッド402との間に延在している。ウエブ416は、上プレート414に対するヘッド402の曲げを防止するために、強度を補強するものである。
【0092】
図24〜26に示されているように、受けトレイ42は、側パネル424を間に挟んで互いに向き合っている前パネル420および後パネル422を有するように、形成されている。底パネル426は、トレイ42の基部をなす底において、上記のパネル間に延在している。本発明の図示されている形態では、前パネル420は、円弧状の輪郭を有する。美学的な理由から、前パネルの上端では、この輪郭は、上側シェル240の直径と等しい曲率半径を有する。
【0093】
トレイの後パネル422は、多数の異なる区域を有する。底区域430は、トレイの底プレート426から上方に延在している。さらに具体的には、底区域は、パネル426から斜め上方に延在している。パネルの底区域430は、実質的に平面である。後パネル422は、底区域から連続して該底区域の上方に位置している上区域432を有する。底区域と同様、上区域は、底プレート425から離れる方向に斜めに延在している。底区域430の直上の上区域432の部分には、底区域から離れる方向に外向きのテーパが付されている。上区域のこの部分の上方では、後パネルの上区域は、略垂直である。さらに、受けトレイ42は、円形の凹み436を有するように、さらに形成されている。凹み436は、孔310を開口312から隔離している底側シェル本体308の円弧区域の外周の曲率よりもいくらか大きい曲率を有する。
【0094】
リップ438が、トレイの後パネルの上区域432から上方に延在している。リップ438は、トレイの側パネル424の上方に延在していることがさらに分かるだろう。リップ438は、凹み436と同一の曲率を有する。従って、トレイ42がミルヘッドのハウジングに取り付けられると、リップの外面は、開口312の内周を画成している底側シェルの基部308の円弧区域に当接することになる。
【0095】
側パネル424は、互いに平行になっている平面構造体である。受けトレイ42の各側において、個々の側パネルは、前パネル420および後パネル424の互いに向き合った側縁間に延在している。フランジ440が、各側パネル424の上縁から斜め外方に延在している。フランジ440は、底側シェルのレール358,360の内面に着座するように、寸法決めされている。
【0096】
[IV.操作]
本発明のボーンミルアセンブリ30は、まずミルヘッド34を基部32に取り付けることによって、使用の準備が整えられる。これは、底側シェル242が台座の凹部60内に着座するように、基部を配置することによって果されることになる。この作業の最初の段階として、受けトレイ42が台座のノッチ70内に位置決めされるように、ミルヘッドの位置合わせを行う。部品のこのように配置の結果として、ミルヘッド34の長軸が基部32の長軸と略一直線に並ぶことになる。ミルヘッドの底側シェル242が台座の凹部60内に着座すると、スピンドルの位置合わせピン210がシェル孔310を貫通することになる。さらに具体的には、位置合わせピン210は、底側シェルの孔310を貫通して、切削ディスクの中心孔374内に進入することになる。
【0097】
切削ディスク38がミルヘッドのハウジング内において浮遊しているので、ミル34を基部にさらに深く着座させると、切削ディスク38は、駆動スピンドルの位置合わせピン210を中心として位置決めされることになる。ミルヘッド34が基部32に対してさらに一層深く着座すると、スピンドルの歯212が、場合によっては、ディスク36に形成されている相補的な開口376と一直線に並んで、該相補的開口376内に着座することもあるが、相補的な開口376と一直線に並ばず、従って、該相補的開口376内に着座しない場合もある。いずれの場合も、スピンドル202に対する切削ディスク36の移動によって、スピンドルを上方に付勢しているバネ216の力を上回る力が加えられている。従って、基部の凹部60内へのミルヘッド34の着座によって、スピンドル202は、基部の足部46の方に少なくともいくらか後退している。スピンドルの歯212がディスクの開口376内に着座していない場合、スピンドル202は、最も大きく後退していることになる。
【0098】
ミルヘッド34を台座に装着させる作業の一部として、台座の歯80を底側シェルのノッチ340内に着座させる。ミルヘッドの受けトレイ42が台座のノッチ70内に嵌合している結果として、台座の歯80は、必然的に、底側シェルの相補的なノッチ340と一直線に並ぶことになる。さらに、ミルヘッド34が台座の凹部60内に着座している結果として、ミルヘッドの上側シェルの各凹み256が、個々の保持アーム88に隣接して配置されることになる。
【0099】
次いで、保持アーム88を上方に枢動させることによって、ミルヘッド34を基部に固定させる。保持アームのこの移動によって、アームフィンガー98の頂部が、該頂部に隣接しているミルヘッドの上側シェル240の凹み256内に着座することになる。バネ112によって、アーム88は、この位置に保持されるようになっている。
【0100】
ボーンミルを使用する準備を整えるプロセスの一部として、モータ36に通電する信号をもたらす相補的なコンソールに、基部32を接続させる。このような1つのコンソールが、米国ミシガン州カラマズーのStryker社によって、CORE(登録商標)コンソールとして市販されている。電動モータ36に使用可能なこのコンソール内の回路は、米国特許出願公開第2006/0074405A1号明細書に記載されている。この開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。ケーブル(図示せず)が、基部のソケット226から関連するコンソールと一体の相補的なソケットに延在している。このケーブルの導体は、オン/オフ信号をコンソールにもたらし、モータ内の巻線に通電信号を選択的に加え、モータ内のセンサからの信号を制御コンソールに戻すものである。前述のCOREコンソールは、本発明のボーンミル30以外の外科用機器を作動させることができる。本発明の他の態様では、モータ36に通電するように特別に設計されたコンソールが設けられてもよい。従って、モータ36に通電信号を供給するのに用いられるコンソールの厳密な構造は、本発明に関連するものではない。
【0101】
実際には自家移植片または同種移植片のいずれかである骨片をミルヘッドの供給スリーブ292内に装填する。骨片がこのように装填された時点で、プランジャー40が、供給スリーブ内に配置される。
【0102】
プランジャー40を押し下げて骨を切削ディスク38に押し付けるのと同時に、このディスクを作動させることによって、骨粒が生成されることになる。切削ディスク38は、スイッチ220を押し、基部のモータ36を作動させることによって、始動するようになっている。モータの作動によって、スピンドル202の回転が生じることになる。
【0103】
前述したように、ミルヘッドが基部に装着されたとき、スピンドルの歯212は、すでにディスクの開口376に係合していることもある。この場合、スピンドル202の回転によって、切削ディスクの同様の回転が即座に生じることになる。しかし、切削ディスク38およびスピンドル202が、最初、そのように互いに一直線に並んでいない可能性もある。この場合、スピンドルの最初の回転によって、スピンドルの歯212は、ディスクの底面372に対して円弧状の移動経路を取ることになる。歯212は、これらの歯がディスクの開口376と位置整合するまで、ディスクに対してこのように移動する。この位置整合が生じると、スピンドル202に上向きの力を加えているバネ216が、スピンドルを上方に押し上げ、これによって、歯212がディスクの開口376内に着座する。この着座が生じた時点で、切削ディスク38は、スピンドル202と一緒に回転することになる。ディスク38は、ミルハウジングの上側開口278と下側開口312との間の空間を横切って回転することを理解されたい。
【0104】
切削ディスク38の回転は、ディスクのスカラップ378が突当プレート244に向かって回転していることを意味している。さらに具体的には、ミルヘッド34の組立によって、スカラップ378が上側シェルの開口278の下方を通過し、スカラップエッジ384が突当プレート244に向かって回転するようになっている。前述したように、切削ディスク38の回転と同時に、プランジャー40が骨片を開口278を通して切削ディスク38に押し付けるようになっている。ディスクが回転すると、骨片の下側部分は、スラップエッジ384と突当プレート244の前面391との間にくさび状に押し込められることになる。切削ディスクの回転が続くと、ディスクエッジ384が、ディスクのスカラップと突当プレートの前面391との間にくさび状に押し込められている骨をせん断することになる。せん断された骨粒は、骨片を骨粒にせん断したディスクエッジによって画成されている切削ディスクの開口380に入ることになる。ディスクの開口380から、骨粒は、底側シェルの開口312を通って、受けトレイ42内に落下するようになっている。
【0105】
骨粒生成プロセス中、一部の骨粒が最初ディスクの底面に付着する可能性がある。これらの骨粒は、底側シェルの壁314と当接するようになっている。従って、壁314は、骨粒がディスク38と一緒に回転するのを阻止するワイパとして機能することになる。骨粒は、もしそれらが付着しているなら、底側シェルの開口312の上方の領域に残っている。ここで、骨粒生成プロセス中、底側シェル242と一体の内側閉じ込めリング352は、骨粒が開口310を通って排出されるのを阻止するバリアとして機能している。上側シェル240と一体の内側閉じ込めリング276は、骨片と一体の遊離材料が、切削ディスクの中心(この中心では、遊離材料が、開口374,376を通して排出される可能性がある)に向かって移動するのを阻止するバリアとして機能している。
【0106】
本発明のここに記載されている形態では、歯車列134によるモータ軸の回転運動の減速によって、駆動スピンドル202から利用可能なストールトルクを著しく高めることができる。具体的に、本発明のいくつかの形態では、歯車列は、スピンドルの速度を250〜300RPMに減速するようになっている。この速度範囲において、前述のモータを用いることによって、スピンドルは、少なくとも75インチ/ポンド(8.5Nm)のトルク、通常、100インチ/ポンド(11.3Nm)以上のトルクを出力することができる。スピンドルがこのような比較的高いトルクをもたらすことができるので、骨片が切削ディスクに押し付けられたときにモータが停止する可能性が、実質的に排除されることになる。
【0107】
ミルヘッド34の部品の相対的な寸法決めによって、プランジャーの上プレート414は、プランジャーロッド404の底が切削ディスク38を押圧するのを防ぐストッパとして機能することになる。
【0108】
十分な量の骨粒が形成された時点で、モータ36が停止される。骨粒を収容している受けトレイ42が、ミルヘッド34から取り外される。受けトレイ42をミルヘッドのハウジングから離れる方向に摺動させる作業の結果として、トレイのリップ438が、底側シェルの開口312の直上に位置しているディスク底面372の区域の下方を掃引することになる。リップ438は、切削ディスク38の底を向いている面および壁314の下面に付着している可能性がある骨粒を捕捉するものである。骨粒は、受けトレイ42から取り出され、使用されることになる。
【0109】
本発明のミルヘッド34は、平面状の切削ディスク38を備えている。この幾何学的形状を有することによって、ディスク38は、円筒状ブレードまたは屈曲ブレードのような他の切削ブレードを設けるよりも経済的である。この部品と関連するコストの最小化は、ミルヘッド34を予殺菌した一回使い捨て部品として提供することを可能とするのに役立つことになる。従って、医療関係者は、ボーンミル30を使用する間に、鋭利なエッジ384を有する切削ディスク38を殺菌しなくてもよいことになる。
【0110】
前述したように、本発明のボーンミル30は、基部32へのミルヘッド34の着座によって、浮遊している切削ディスク38を駆動スピンドル202に位置合わせすることができるように、さらに構成されている。従って、切削ディスクを固定位置に正確に保持し、該ディスクをこの位置を中心として回転させる手段を設ける必要性が、排除されることになる。このサブアセンブリを設けることに関連するコストの排除は、ミルヘッド34を一回使い捨て部品として提供することを可能とする上での経済的側面にさらに寄与することになる。
【0111】
さらに、ミル30が稼働中、切削ディスクを支持している唯一のミルハウジング面は、上側シェル240と一体の保持リング264,276である。これによって、ディスクの金属対プラスチック運動がシェルの一部を研磨し、その研磨片を骨粒に混入させる可能性が本質的に排除されることになる。
【0112】
孔376が切削ディスク38を駆動留め具に連結する特徴部として機能する事実によって、さらなるコストの最小化が達成されることになる。また、この機能を果たすために追加的な留め具を設ける必要性も排除されることになる。
【0113】
本発明のボーンミル30は、殆どの骨粒が、切除されるやいなや、骨を切除したスカラップ378に付随している開口380を通して排出されるようになっている。開口380から、骨粒は、通常、受けトレイ42内に落下することになる。従って、ミルヘッド34内に形成された骨粒の実質的に全てが、一回だけ切除されている、すなわち、切削ディスク38または突当プレート244のいずれかを一回だけ通過していることになる。骨粒がこれらの部品を一回しか通過しないので、このような接触の結果として骨粒が受ける摩擦熱量も同様に最小限に維持されることになる。この骨粒の摩擦熱の低減によって、このような熱が骨粒を形成している材料を損傷する程度を同様に最小限に抑えることができる。
【0114】
各骨粒が切削ディスク38または突当ブロック244に対して一回しか押圧されないという設計特徴によって得られる他の利得は、骨粒が所望の大きさ未満に切除されないことである。さらに、切除されたとき、ディスクの底面372に付着する骨粒が殆どない。実質的に全ての骨粒が、生成された直後に、受けトレイ42内に押し出されるようになっている。従って、ミル30によって生成された骨粒は、略同じ大きさである。
【0115】
本発明のアセンブリ30の基部32およびミルヘッド34は、台座の歯80がミルの凹み340内に着座している結果として、これらの歯は、ミル34の残りに対する切削ディスク38の回転運動の伝達を阻止することになる。これらの歯80が回転を阻止する効果は、保持アーム88がこの機能を同様に果たす程度を最小限に抑えることができる点にある。この歯の回転停止効果は、保持アームのサイズおよび/または数を最小限に抑えるのに役立つことになる。従って、本発明の殆どの形態において、ミルヘッド34を基部32に離脱可能に保持するために、最大でも、2つの保持アームまたは他の拘束部材しか必要とされない。
【0116】
本発明のミルヘッドが使用された後すぐに、受けトレイ42が、ミルヘッドハウジングから取り外される。ミルヘッド34は、保持アーム88をミルの上側シェル240から離れる方に枢動させることによって、基部32から切り離される。バネ216の付勢力が、ミルを基部の台座50から上方にいくらか変位させている。従って、バネ216によって、基部32からのミルヘッド34の分離が容易になる。さらに、使用後、切削ディスク38を露出させているミルハウジングの開口278,312は、それぞれ、プランジャー40および受けトレイ42によって覆われている。これによって、使用後にミル34を扱う人が、ハウジング内の生物学的材料および鋭利なディスクエッジ384に不注意によって接触する可能性が低減することになる。また、プランジャーおよび受けトレイが取り外された場合であっても、開口278および比較的小形の開口312の上方にスリーブ296が存在していれば、指がディスク38に接触しにくいことになる。
【0117】
本発明のボーンミル30のさらに他の特徴は、ミルヘッド34を取り換えることによって種々の大きさの骨粒をもたらすように、ミルを用いることができることにある。さらに具体的には、個々のミルヘッドは、種々の大きさの開口を有する切削ディスク38を備えることができる。ここで、開口の「大きさ(size)」は、切削エッジ384の下方の開口を横切る幅によって定義されている。本発明の一形態では、この幅は、両端間で8mmであるとよい。この大きさのディスク開口を有するミルヘッドを用いて、大骨粒および粗骨粒を形成することができる。両端間で5mmの幅の開口380を有するディスク38を有するミルヘッド34を用いて、中骨粒を形成することができる。代替的に、両端間で3mmの幅の開口を有する切削ディスク38を有するミルヘッド34を用いることもできる。この特定種類のミルヘッドを用いて、微細骨粒を形成することができる。
【0118】
[V.代替的実施形態]
以上の説明は、本発明のボーンミルの特定の一態様に制限してなされたものである。代替的な形態も可能である。例えば、本発明の全ての形態が、前述の特徴の各々を備えている必要がない。
【0119】
前述した特徴の代替的形態も可能である。従って、本発明の全ての形態において、切削部材は、前述した円形状のディスクである必要がない。本発明のいくつかの形態では、切削部材は、ブレード状の部材であってもよく、このような部材は、中心ハブから外方に突出している多数のブレード状アームを備えていてもよい。
【0120】
また、本発明のミルヘッドの前述の実施形態は、一回使い捨てのミルヘッド34を有するが、より殺菌可能でかつより再使用可能な部品を有する他の形態が、設計されてもよい。従って、本発明の1つの代替的形態では、ミルヘッドは、基部と一体の底区域を有する。また、ミルヘッドは、取外し可能な上部を備えている。本発明のこの形態では、使用後、ミルの上部が取り外されることになる。これによって、殺菌または取換えのために、切削部材にアクセスすることができる。ミルの2つの区域を分離することによって、クリーニングを行うために、ミルの内部にアクセスすることもできる。
【0121】
本発明のいくつかの形態では、切削部材を回転させる駆動スピンドルに対する切削部材の位置合わせを容易にする相補的な幾何学的特徴部は、前述したものと異なっていてもよい。すなわち、本発明のいくつかの形態では、位置合わせピンは、切削部材から突出するようになっていてもよい。本発明のこれらの態様では、駆動スピンドルが、このピンを受け入れるように配置された孔を有する。この孔は、ピンが孔に入ると、ピンおよび切削部材の全体が駆動スピンドルに対して芯出しされるように、円錐状の輪郭を有するとよい。
【0122】
同様に、切削部材および切削部材にトルクを伝達する駆動スピンドルの相補的な連結部の構成は、記載されているものと異なっていてもよい。本発明のいくつかの形態では、歯が切削部材から突出するようになっていてもよい。これらの歯は、駆動スピンドルに付随している相補的な長孔または開口と係合するようになっている。
【0123】
同様に、本発明のいくつかの形態では、切削部材の単一特徴部が、ディスクを位置決めするための位置合わせ部およびトルクを受ける連結部の両方として機能するようになっていてもよい。このような特徴部の一例として、非円形状を有する中心配置孔が挙げられる。本発明のこれらの形態では、ミルユニットは、第1に、切削ディスク38を芯出しする第1の狭幅部分を有するテーパ付きスピンドルを有するとよい。この駆動スピンドルは、トルクをディスクに伝達するために切削ディスクと係合する表面を有する第2の広幅部分も有することになるだろう。従って、本発明のこの形態では、基部40の単一部品が、切削ディスクを位置合わせすると共に、切削ディスクにトルクを伝達する特徴部を有することになる。
【0124】
基部32の回転を阻止するために、基部32および取外し可能なミル34に固定されている特徴部の構造は、開示されているものに制限されるものではない。例えば、小さなフィンガーは、ミルから突出するようになっていてもよい。本発明のこれらの形態では、基部32が、フィンガーを受け入れるための長孔を備えている。本発明のいくつかの形態では、歯車列のハウジング136の回転を阻止する回転阻止ピンは、ハウジング内に半径方向に延びている孔内に延在するピンであってもよい。本発明のいくつかの形態では、プランジャー40および受けトレイ42の片方または両方が、ミルヘッド34の残りから意図しない離脱を阻止する構造的特徴部を有する。これらの特徴部は、戻り止めまたは戻り止めを受け入れるノッチであるとよい。もし特徴部が戻り止めの場合、この部材は、ヘッド34に形成された長孔内に着座することになる。もし特徴部が戻り止めを受け入れるためのノッチの場合、戻り止めは、ヘッドの他の相補的位置に配置された静止部品である。
【0125】
同様に、ミルヘッド34を基部32に離脱可能に固定するための代替的なアセンブリが、設けられてもよい。このような1つのアセンブリは、ミルヘッドに係合し、かつミルヘッドから離脱するように、水平面内で移動する一組の保持アームを備えているとよい。本発明のいくつかの態様では、これらの離脱アームは、ミルヘッドに取り付けられている。
【0126】
同様に、本発明のいくつかの形態は、ミルヘッド34を基部32に離脱可能に保持し、ミルの回転を阻止するための種々のアセンブリを有していてもよい。例えば、本発明の1つの代替的形態では、基部またはミルの一方が、L字状のタブを備えている。ミルまたは基部の他方は、タブを受け入れるためのキー孔式長孔を備えている。ミルが着座して回転した時点で、長孔内へのタブの係合によって、ミルの離脱が阻止されることになる。本発明のこれらの形態では、基部と一体の引込み式の歯が、拡張して、ミルに形成された長孔内に着座するようになっていてもよい。これらの歯が、ミルの回転を阻止することになる。
【0127】
切削ディスクの代替的構造も可能である。一般的には有用ではないが、ディスクは、単一開口を画成する切削刃のみを有することもできる。骨粒を生成する特定の低速精密プロセスに対して、1つまたはごくわずかの開口を有するディスクが望ましいことがある。さらに、本発明のいくつかの形態では、ディスクは、骨と衝突して骨片を分断する(開口を画成している)エッジがディスクの上面の上方に位置しないように、形成されていてもよい。
【0128】
同様に、本発明のいくつかの形態では、骨片をせん断する突当面を形成する部品は、独立した突当プレートでなくてもよい。本発明のいくつかの形態では、ハウジングの表面がこの機能を果たすようになっていてもよい。ハウジングのこの区域は、ハウジングの周囲の区域を形成しているプラスチックから形成されていてもよい。代替的に、ハウジングのこの区域は、硬化プラスチックの断片区域から形成されていてもよい。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態では、手回しクランクが、ミルヘッドに取り付けられている。この手回しクランクは、切削部材に接続されており、切削部材を回転させるようになっている。本発明のこの形態の利点は、モータを設ける必要性をなくすことにある。本発明のこの実施形態のいくつかの形態では、歯車アセンブリが手回しクランクをモータに接続している。この構成によって、ユーザは、片手でプランジャーを下方に押し、骨を切削部材に押し付ける一方、他方の手を用いて、クランクを回転させることができる。
【0130】
従って、添付の特許請求の範囲が意図していることは、本発明の真の精神および範囲内に含まれるこのような修正および変更の全てを包含することにある。