(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一のチタンコンポーネントが、アルミニウム2.5〜3.5重量%、クロム2.5〜3.5%、スズ2.5〜3.5重量%、バナジウム14〜16重量%、任意で少量の水素、鉄、窒素、酸素または不純物、および残りはチタンを含有するチタン合金である、請求項2記載のクラブヘッド。
【背景技術】
【0002】
背景
ゴルフは、多種多様なプレーヤ ― 異なる性別ならびに劇的に異なる年齢および/または熟練度レベルのプレーヤによって楽しまれている。そのような多様なプレーヤの集まりがゴルフイベントで互いに直接競いながらいっしょにプレーし(たとえば、ハンデ付きのスコア、異なるティーボックスを使用して、チームフォーマットで、など)、なおもゴルフのラウンドまたは競技を楽しむことができるという点で、ゴルフはスポーツ界ではいくぶんユニークである。これらの要因が、テレビにおけるゴルフ番組(たとえばゴルフトーナメント、ゴルフニュース、ゴルフ史および/または他のゴルフ番組)の増加および著名なゴルフスーパースターの出現と相まって、少なくとも部分的に、近年、米国および世界中でのゴルフ人気を高めた。
【0003】
ゴルファーは、すべての熟練度レベルにおいて、パフォーマンスを改善し、ゴルフスコアを良くし、その次のパフォーマンス「レベル」に到達しようとする。すべてのタイプのゴルフ用具の製造者はこれらの要求に応え、近年、業界は、ゴルフ用具における劇的な変化および改良を目撃した。たとえば、今や、広い範囲の異なるゴルフボールモデルが利用可能であり、ボールは、特定のスイング速度および/または他のプレーヤ特性もしくは好みを補うように設計されており、たとえば、一部のボールは、より遠く、および/またはよりまっすぐに飛ぶように設計されており、一部のボールは、より高い、またはよりフラットな弾道を提供するように設計されており、一部のボールは、より多くのスピン、コントロールおよび/または感触(特にグリーン周りの)を提供するように設計されており、一部のボールは、より速い、またはより遅いスイング速度のために設計されている、などである。また、ゴルフのスコアを良くするのに役立つことを約束する数多くのスイング補助具および/または補助教具が市販されている。
【0004】
プレー中にゴルフボールを動かす唯一の道具であることから、ゴルフクラブもまた、近年、多大な技術的研究および進歩の対象であった。たとえば、市場は、近年、パター設計、ゴルフクラブヘッド設計、シャフトおよびグリップにおける劇的な変化および改良を見てきた。さらには、ゴルフクラブの様々な要素および/または特性ならびにゴルフボールの特性を特定のユーザのスイング特徴または特性により良く適合させようとして、他の技術的進歩が達成されてきた(たとえばクラブフィッティング技術、ボール打ち出し角計測技術、ボールスピン速度など)。
【0005】
最近の進歩により、ゴルファーに利用可能なゴルフクラブコンポーネントパーツは無数にある。たとえば、クラブヘッドは、多種多様な製造者によって多様な異なるモデルとして製造されている。そのうえ、個々のクラブヘッドモデルが多数の変形、たとえばロフト角、ライ角、オフセット特徴、ウェイト付け特徴などにおける変形(たとえば、ドローバイアスクラブヘッド、フェードバイアスクラブヘッド、ニュートラルにウェイト付けされたクラブヘッドなど)を含んでもよい。また、剛性、フレックス、キックポイント位置などのような異なる特性を有する多数の異なるシャフトが利用可能である。これらの特徴が、多くのゴルフクラブ特性および特性の組み合わせをゴルファーに提供し、それらの中から、自分のスイングおよび/またはプレースタイルにもっとも合うゴルフクラブ構造を選択することができる。
【0006】
パフォーマンスの改善を推進するために、クラブ設計者はまた、クラブヘッドの反発係数(「COR」)を高めることを研究した。用語「COR」はまた、業界において、ゴルフクラブフェースがゴルフボールと接触したときゴルフクラブフェースによって示される「トランポリン効果」の尺度を提供するものとして参照されている。一般に、COR値は、衝突時に第一の物体から第二の物体に伝達されるエネルギーの計測値を提供する。ゴルフにおいて、COR値は、衝突時にクラブからボールに伝達されるエネルギーの量を計測するために使用し得る。COR値は一般に0〜1の数値によって表され、ここで、0は、すべてのエネルギーが衝突において失われ、したがって、ゴルフクラブからボールに伝達されるエネルギーがないことを示す。対照的に、COR値が1の場合は、衝突時、エネルギーの100%がクラブからボールに伝達されることを示す。他の要因が、ストロークの結果としてゴルフボールが移動する総距離において役割を演じることもあるが、一般に、クラブフェースのCOR値が高ければ高いほど、ボールに伝達されるエネルギーの量が大きくなり(上記)、ひいてはボールの打ち出し速度が高くなり、これが結果的に、より大きな飛距離を生じさせ得る。ゴルフ規則は現在、ゴルフクラブの最大COR値を0.83に制限している。
【0007】
ゴルフクラブフェースの「COR」は、様々な要因、たとえば、ボールとの接触が起こるフェース上の位置に依存する。一般に、ゴルフクラブフェースのCORは、クラブヘッドフェースの中央部分において最高である。理由は、フェースのこの部分が、もっとも変形しやすく、ひいては最大の「トランポリン効果」を示す傾向にあるからである。クラブヘッドのCORは一般に、フェースの中央区域から離れるにつれ、たとえば、フェース構造、側壁および/またはクラブフェースの側面に位置する他の構造における屈曲によって提供されるさらなる剛性のせいで低下する。
【0008】
ゴルフクラブヘッドの反発係数を高めるために進歩が達成されてきたが、この技術分野におけるさらなる改善は、当技術分野において歓迎される進歩となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本発明の様々な例示的構造に関する以下の詳細な説明においては、その一部を形成し、本発明の様々な例示的ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ構造が実例として示されている添付図面を参照する。さらには、本発明の範囲を逸脱することなく、パーツおよび構造の他の具体的配設を利用することができ、構造的および機能的変更を加えることができることが理解されよう。また、本明細書においては、本発明の様々な例示的特徴および要素を説明するために「上」、「下」、「前」、「後」、「後方」、「側方」、「下面」、「頭上」などの語が使用されることがあるが、これらの語は、本明細書中、たとえば図に示す例示的方向および/または通常の使用における方向に基づいて便宜上使用される。本明細書におけるいかなる記載も、本発明の範囲に入るために構造の特定の三次元または空間的方向を要求するものと解釈されるべきではない。
【0019】
上記のように、本発明の局面は概して、多数のパーツまたはコンポーネントでできたゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関する。本発明の具体例を以下さらに詳細に説明する。読者は、これらの具体例が、本発明の例を示すために述べられるにすぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを理解すべきである。
【0020】
A. 具体的態様の例
1. 例示的クラブ構造
図1は概して、本発明の少なくともいくつかの態様の例示的ゴルフクラブ100を示す。例示的クラブ100は、クラブヘッド102、クラブヘッド102をシャフト部材106(特定の態様においては取り外し可能であってもよい)に接続する接続領域104、およびシャフト部材106と係合したグリップ部材108を含む。
図1には中空ドライバ/ウッドタイプゴルフクラブヘッド102が示されているが、本発明の局面は、たとえばフェアウェイウッドクラブヘッド、ウッドタイプハイブリッドゴルフクラブヘッドなどを含む任意のウッドタイプクラブヘッドにも適用し得る。本発明を逸脱することなく、当技術分野において従来から公知であり、かつ使用されている接続システムおよび機構を含む、セメント、接着剤、溶接、はんだ付け、ろう付け、機械的コネクタ(任意で、取り外し可能な機械的コネクタ)などを含む、ヘッド102とシャフト106との間の任意の所望の接続を使用してもよい。
【0021】
シャフト部材106には、当技術分野において公知であり、かつ使用されている適切な材料を含む任意の所望の材料、たとえば鋼、グラファイト、ポリマー、複合材料、これらの材料の組み合わせなどを使用し得る。グリップ部材108は、当技術分野において公知であり、かつ使用されている任意の適切なやり方を含む任意の所望のやり方で(たとえばセメントまたは接着剤を介して、機械的接続などを介して)シャフト部材106と係合させてもよい。グリップ部材108には、当技術分野において公知であり、かつ使用されている適切な材料を含む任意の所望の材料、たとえばゴム、ポリマー材料、コルク、コードまたは他の布要素がその中に埋め込まれたゴムまたはポリマー材料、クロスまたは布、テープなどを使用してもよい。任意で、所望により、グリップ部材108(または適切なハンドル部材)は、取り外し可能な接続を使用してシャフト部材106に取り外し可能に接続してもよい。以下、
図2A〜3Fに関連して本発明のいくつかの例のクラブヘッド102をさらに詳細に説明する。
【0022】
2. 例示的クラブヘッド
図2Aは、本発明の態様の例示的な中空ウッドタイプクラブヘッド200の斜視図を示す。例示的クラブヘッド200は、ゴルフボールとの接触時の打面であるように構成されたクラブフェース205を含む。
図2Aに見られるように、クラブフェース205は、前端(見る人に面し、
図2Aの右に傾いている)に配置され、概ねクラブ200のヒール区域210からトウ区域215まで延びている。この図において、クラブフェース205は均一であるように示されているが、当業者は、クラブフェース205が、一つまたは複数の軸に沿って成形され、または傾斜していてもよく(たとえばバルジおよび/またはロール特性を示す)、かつたとえば衝突時のボールスピンを増すために、表面の少なくとも一部分の上に溝またはスコアラインのような他の特徴をさらに含んでもよいことを容易に理解するであろう。クラブヘッドフェース205は、打球サーフェス205aおよび打球フェースのサーフェス205aの周囲から後方に延びる「リターン部分」205bを含む、「カップ形」フェース部材の形態であってもよい。リターン部分205bは、後方に任意の所望の距離、たとえば0.1〜2.5インチ、いくつかの例示的構造においては0.25〜1.5インチ延びてもよい。
【0023】
図2Bおよび2Cは、
図2Aの例示的クラブヘッド200のそれぞれ平面図および下面図を示す。クラブヘッド200は、クラブ200のヒール区域210およびトウ区域215それぞれにおいてクラブフェース205に近接して位置する第一のボディ部分220を含む。第一のボディ部分220は、一つまたは複数の独立したパーツまたは区域を構成してもよく、または所望により、一つの連続領域(たとえば、
図3A〜3Fに示し、以下さらに詳細に説明する)を構成してもよい。さらには、第一のボディ部分220は、フェース205から後方に、クラブフェース205からヒール区域210およびトウ区域215それぞれにおけるクラブヘッド200の最後方の縁225または最後方の位置までの距離(
図2Bにおける寸法「B」)の少なくとも約10%の距離(
図2Bにおける寸法「A」)に延びてもよい。いくつかの例示的構造において、第一のボディ部分220は、フェース205から後方に、クラブフェース205から後縁または位置までの距離の少なくとも20%または少なくとも25%、30%もしくは40%の距離に延びてもよい(しかし、少なくともいくつかの態様において、これらのボディ部分220はこの距離の60%を超えない)。本発明の他の態様において、前後方向における第一のボディ部分220の最大寸法(
図2Bにおける寸法「A」)は、クラブの最大全前後寸法(
図2Bにおける寸法「C」)の少なくとも10%または少なくとも20%、25%、30%もしくは40%を構成し得るが、少なくともいくつかの態様において、第一のボディ部分220の最大前後寸法は、クラブの最大全前後寸法(
図2Bにおける寸法「C」)の60%を超えない。これらの寸法は、クラブがその所期のボールアドレス位置に向けられた状態で決定することができる(たとえば
図2Bに示すように)。
【0024】
図2Bおよび2Cに見られるように、第一のボディ部分220が後縁225に向かって延びる距離は、第一のボディ部分220のヒール−トウ方向に沿って異なっていても良い。たとえば、
図2Bおよび2Cに示すように、第一のボディ部分220が後縁225に向かって延びる距離は、クラブフェース205の縦方向中心に近づくにつれ、減少してもよい(たとえば、
図2Bおよび2Cにおける部分220のカーブした縁222によって示されるように)。これらの図面に示される例示的態様を見ると、第一のボディ部分220が後縁225に向かって延びる距離は、末端ヒールおよびトウ区域210、215において最大であり、そして徐々に減少して、クラブヘッド200のトップ(
図2Bを参照)およびボトム(
図2Cを参照)の両方においてクラブヘッド200の中央に達する前に存在しなくなる。当業者は、第一のボディ部分220が後縁225に向かって延びる距離が減少する傾きまたは率(以後、「減少率」)が具体的な態様に依存して異なるということを容易に理解するであろう。さらには、さらなる態様は、クラブフェースのトップまたはボトムの一方のカーブした縁222が他方とは異なる減少率を有するように、クラブのトップおよび/またはボトムの場合に異なる減少率を利用し得る。よりなおさらなる態様において、減少率は、第一のボディ部分220が中央において後縁225に向かって延びる距離がトウおよびヒール区域210、215におけるよりも短いにもかかわらず、第一のボディ部分220がクラブフェース205のほぼ中央においてクラブフェース205と接触するように、
図2A〜2Cおよび2E〜2Fに示すよりも低くてもよい。傾斜率は、所与のクラブヘッド構造のヒール区域210およびトウ区域215において同じである必要はない(すなわち、ヒール区域210における第一のボディ部分220がトウ区域215における第一のボディ部分220とは異なる形状であってもよい)。縁222は、直線状、カーブしている、または任意の所望の形状であってもよい。また、所望により、ヒール区域210における第一のボディ部分220の材料は、トウ区域215における第一のボディ部分220の材料と異なってもよい(ただし、以下さらに詳細に記載するように、いずれも、第二のボディ部分230に比較して、より低い弾性率を有することができる)。
【0025】
第一のボディ部分220は、第一のボディ部分220がクラブフェース205とは異なる弾性率を有するように、クラブフェース205を構成する材料とは異なる少なくとも一つの材料を含む。一つの態様において、第一のボディ部分220は第一のチタンコンポーネントである。本明細書において使用されるように、用語「チタンコンポーネント」は、少なくともクラブヘッド200およびクラブヘッド300を含む、本明細書に開示されるクラブヘッドの構造内に含めるのに適した一つまたは複数のチタン金属および/または合金を包含する(以下さらに詳細に説明する)。チタンコンポーネントは、ゴルフクラブヘッド技術において従来から公知であり、かつ使用されているようなチタン金属およびチタン合金材料と同じであってもよい。第一のボディ部分220が第一のチタンコンポーネントである一つの態様において、第一のチタンコンポーネントはチタン15-3-3-3合金であってもよい(ATI Allvac(Monroe, N.C.)から市販されている)。本明細書において使用される「チタン15-3-3-3」は、以下の一般的化学配合を有するチタン合金を指す。
【0026】
チタン15-3-3-3は、約13.5lbs-in
2×10
6の弾性率(「E」)を有することができる。本明細書において使用される用語「少量」は、0.5重量%未満を意味する。
【0027】
さらに
図2Bおよび2Cに見られるように、ゴルフクラブヘッド200はさらに第二のボディ部分230を含む。この例示的構造200における第二のボディ部分230は、クラブフェースクラウンのほぼ縦方向(ヒール−トウ)中心においてクラブフェース205に近接して位置し、クラブフェース205からクラブヘッド200の後縁225に向かって延びている。この例示的構造200における第二のボディ部分230は、第二のボディ部分230が第一のボディ部分220の弾性率よりも高い弾性率を有することを可能にする材料を含む。第一のボディ部分220を構成する材料よりも高い弾性率を示す材料で第二のボディ部分230を構成することにより、第一のボディ部分220は、第二のボディ部分230に比較して、より変形を受けやすくなり、それによって、反発係数の増大を示すクラブヘッドフェース205の区域が増す。換言するならば、材料220によってクラブヘッドのトウ区域215およびヒール区域210をより変形しやすくすることは、ボール打点が中心を外してヒールまたはトウの近くに位置する場合にフェースによって示されるトランポリン効果を増大させる(クラブヘッド200の反発係数は以下さらに詳細に説明する)。より高い弾性率のコンポーネント230は、より良く変形に抵抗し、コンポーネント220およびそれらの変形を支持する固いベースを提供する。一つの態様において、第二のボディ部分230の弾性率は、第一のボディ部分220の弾性率よりも少なくとも約5%大きくてもよく、いくつかの例においては少なくとも約10%、少なくとも約20%大きくてもよく、さらに少なくとも約30%大きくてもよい。他の態様において、第一のボディ部分220と第二のボディ部分230との弾性率の差は、約5〜30%、7〜25%および8〜20%の範囲内であり得る(すなわち、第一のボディ部分220の弾性率は、第二のボディ部分230の弾性率よりも5〜30%低く、いくつかの例においては7〜25%低くまたは8〜20%低くなる)。
【0028】
一つの態様において、第二のボディ部分230は第二のチタンコンポーネントを含む。一つのそのような態様において、第二のボディ部分230は、チタンKS120(たとえば、神戸製鋼(東京)から市販されているαタイプチタン材料)を含む。第一のボディ部分220がチタンコンポーネントを含み、および第二のボディ部分230がさらに、第一のボディ部分220よりも高い弾性率を有するチタンコンポーネントを含む一つの例示的構造200において、第一のボディ部分220はチタン15-3-3-3を含んでもよく、および第二のボディ部分230はチタンKS120を含んでもよい。さらに別の態様において、第二のボディ部分230は鋼または他の材料を含む。第一のボディ部分220および第二のボディ部分230の具体的な組成にかかわらず、この例示的構造200の第二のボディ部分230は、第一のボディ部分220よりも高い弾性率を示す。第一のボディ部分220および第二のボディ部分230の正確な厚さは、様々な態様にしたがって使用される材料に依存して異なる。一つの態様において、第一のボディ部分220および第二のボディ部分230は、厚さ約0.4mm〜約2.0mmである。他の厚さ範囲は、約0.5mm〜約1.5mmおよび約0.5〜約1.2mmを含んでもよい。本開示を考察すると当業者によって理解されるように、他の寸法が請求の範囲に入り、上記寸法は、本発明の様々な態様を実証するための例にすぎない。さらには、クラブヘッド構造の他の部分が、クラウン、ヒール、トウおよびソールを含め、上記厚さ範囲内の厚さを有してもよい。
【0029】
図2Dに示すように、クラブフェース205、第一のボディ部分220および第二のボディ部分230の間の構成、配置および相互作用が、第一のボディ部分220なしで作られた類似したクラブヘッド構造(たとえば、第一のボディ部分220の位置に高弾性率材料230を含む類似したクラブ構造)と比較して、トウ区域215およびヒール区域210に近い領域により高い反発係数を有するクラブフェース205を有するクラブヘッド200を提供する。
図2Dに見られるように、軸235が、ヒール−トウ方向におけるクラブフェース205のほぼ縦方向中心に配置されている。仮想の矢印240が、軸235から離れてクラブヘッド200のヒール区域210およびトウ区域215の両方に向かって軸245に沿って延びている。このクラブヘッドの最高の反発係数はフェース205の中央区域(たとえば、軸235および245の交点付近)にとどまらせることができるが、ヒール区域およびトウ区域における増大した変形性(低弾性率領域220による)が、より高い反発係数を示し得るクラブフェース205の区域を拡大させる(すなわち、ヒールおよびトウ区域の近くで示される反発係数は、材料220がより高い弾性率の材料、たとえば材料230で置き換えられている類似したクラブヘッドの反発係数に比較して、いくぶん高くなってもよい)。換言するならば、本発明のこの構造の局面は、少なくともヒール−トウ方向においてクラブヘッドの「スイートスポット」の区域を拡大する傾向を示す。また、様々な位置におけるフェース205の厚さの変更を使用して、クラブフェースCOR特性を局所的に変化させ、制御してもよい。本開示を考察すると、当業者は、様々なクラブコンポーネントの間の構成、配置および相互作用を変化させて、軸245の他にも一つまたは複数の軸に沿って反発係数の調節を可能にすることができることを容易に理解するであろう。たとえば、以下さらに詳細に説明する一つの態様においては、軸235に沿って反発係数を高めることができる。
【0030】
さらに別の態様において、一つまたは複数のコンポーネントの寸法、たとえばクラブフェース205のリターン部分205bは、異なる位置において異なっていてもよい。
図2Eおよび2Fは、本発明の態様の例示的クラブヘッド200の側方斜視図を示す。具体的には、
図2Eは、トウ区域を前景に示すクラブヘッド200の側面図である。
図2Fは、ヒール区域を前景に示す同じクラブヘッド200の側面図である。丸く囲んだ区域250に見られるように、クラブフェース205のリターン部分205bは均一ではない。たとえば、区域250に示す態様において、クラブフェース205のリターン部分205bは、ヒール区域210および/またはトウ区域215においてよりもクラブフェースの中央においてより大きな距離だけ後方に延びている。
【0031】
同じく
図2Eおよび2Fに示すように、この例示的クラブフェース205の側面に沿ったリターン部分205bは、部分220における相対的に低い弾性率の材料が打球フェース205aの前面の非常に近くまで前方に延びるようにカーブしている。この特徴は、実質的に、ヒールおよびトウの両区域において、打球フェース205のリターン部分205bの相対的に抗変形性の材料の部分を部分220の相対的に変形性の材料で置き換える。この特徴はさらに、ゴルフクラブフェース全体の変形性を高める(ひいては、上記のように、改善されたCOR応答を有する区域を増す)。
図2Cにさらに示すように、部分220は、下トウ領域および下ヒール領域の両方において打球サーフェス205a(領域220a)の非常に近くまで延びることができ、それがさらに、変形しやすさを高め、中央から離れたところでのクラブヘッドのCOR応答を高める効果を有する。
【0032】
当業者によって理解されるように、クラブヘッド200は、一つまたは複数の第一のボディ部分220および第二のボディ部分230(同じく一つまたは多数の独立したパーツまたはピースでできていてもよい)に加えて、第三のボディ部分、第四のボディ部分などのようなボディ部分を含んでもよい。たとえば、
図2A、2B、2Eおよび2Fに示す例示的クラブヘッド200は、クラブヘッド200のトップに沿って後縁225に沿いに位置する第三のボディ部分260を含む。特定の態様において、一つまたは複数のさらなるボディ部分、たとえば第三のボディ部分260は、第一のボディ部分220よりも高い弾性率を示す材料を含んでもよい。一つのそのような態様において、一つまたは複数のさらなるボディ部分は一つまたは複数のチタンコンポーネントを含む。第三のボディ部分260がチタンコンポーネントを含むそのような態様において、チタンコンポーネントは、第二のボディ部分230のチタンコンポーネントとは異なっていてもよい。所望により、第三のボディ部分260は、より高密度の材料でできていてもよく、またはさらなるウェイト付けがクラブヘッド構造の後方部分に(任意で、クラブヘッド200のヒールおよび/またはトウ側に向かって外側に)適用されるように一つまたは複数のウェイト部材(任意で、選択的に取り外し可能または調節可能なウェイト部材)を含むように形成されてもよい。この第三のボディ部分260は、所望により、クラブヘッドの最終的なウェイト付け特性を制御するために、たとえば、クラブをヒールウェイト付けまたはトウウェイト付けして、それによって、ドローバイアスクラブ、フェードバイアスクラブまたは他のクラブウェイト付け特徴を提供するために、クラブ設計者が使用し得る。
【0033】
図3Aは、本発明のさらなる態様の例示的な中空ウッドタイプクラブヘッド300の斜視図である。例示的クラブヘッド300は、いくつかの態様においてはクラブフェース205に類似しているクラブフェース305を含む。
図3Aに見られるように、クラブフェース305は前端(右を向き、見る人の方向にある)に配置され、ほぼクラブヘッド300のヒール区域310からトウ区域315まで延びている。クラブフェース305は均一であるように示されているが、当業者は、クラブフェース305が、一つまたは複数の方向に成形され、または傾斜していてもよく(たとえばロールまたはバルジ特性を示す)、かつさらに、たとえば衝突時のボールスピンを増すために、その表面の少なくともいくらかの部分の上に溝またはスコアラインのような他の特徴を含んでもよいことを容易に理解するであろう。フェース部材305は、打球サーフェス305aおよび打球サーフェス305aから後方に延びるリターン部分305bを含むカップ形フェース部材を構成してもよい。
【0034】
クラブヘッド300は、クラブフェース305からヒール区域310およびトウ区域315それぞれにおけるヘッドの後縁325までの距離(
図3Bにおける寸法「C」)の少なくとも10%かつ60%未満(
図3Bにおける寸法「A」)に延びる、クラブフェース305に近接する、第一のボディ部分320を含む。クラブフェース305に近接し、クラブフェース305の中央およびクラウンにある第一のボディ部分320(
図3Bにおける寸法「B」)はさらに、クラブフェース305の中央における後縁までの距離(
図3Bにおける寸法「C」)の少なくとも40%に延びてもよい。所望により、クラブヘッドの中央ソール部分は、
図3Cに示すように、第一の部分320の材料の細長いフィンガを含んでもよい(たとえば、中央クラウン部分の延びたフィンガと同じまたは同様に見える)。いくつかの例において、寸法Aは、寸法Cの少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%または少なくとも40%を構成してもよく、および寸法Bは、寸法Cの少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%または100%を構成してもよい。寸法Bは概して、寸法Aよりも大きい。本発明の他の態様において、クラブヘッドのヒールおよびトウ区域における第一のボディ部分320の前後方向における最大寸法(
図3Bにおける寸法「A」)は、クラブの最大全前後寸法(
図3Bにおける寸法「D」)の少なくとも20%、またはさらに少なくとも25%、30%もしくは40%を構成し得るが、しかし少なくともいくつかの態様において、ヒールおよびトウ区域における第一のボディ部分の最大前後寸法(寸法「A」)は、クラブの最大全前後寸法(寸法「D」)の60%を超えない。いくつかの態様において、クラブヘッドの中央区域における前後方向における第一のボディ部分320の最大寸法(
図3Bにおける寸法「B」)は、クラブの最大全前後寸法(
図3Bにおける寸法「D」)の少なくとも60%、またはさらに少なくとも75%、85%もしくは95%を構成し得る。これらの寸法は、クラブがその所期のボールアドレス位置に向けられた状態(たとえば
図3Bに示す)で決定することができる。
【0035】
第一のボディ部分320は、クラブフェース305を構成する材料とは異なる少なくとも一つの材料を含む。以下に説明するように、第一のボディ部分320は、クラブの残り部分の少なくともいくつかに比較する場合、より変形を受けやすい材料で構成されており、それによって、増大した反発係数を示すクラブヘッドの区域が増す(クラブヘッド300の反発係数は、
図3Dに関連して以下さらに詳細に説明する)。一つの態様において、第一のボディ部分320は、第一のチタンコンポーネント、たとえば上記のようなチタン15-3-3-3である。
【0036】
図3Bおよび3Cにもっとも良く見られるように、クラブヘッド300はさらに、クラブヘッド300の後縁325および中央に向かって延びる、クラブヘッド300のトウ区域315において第一のボディ部分320に近接する第二のボディ部分330を含む。第二のボディ部分330の組成は第一のボディ部分320の組成よりも高い弾性率を有し、したがって、第二のボディ部分330を、第一のボディ部分320よりも一般に変形を受けにくくする。一つの態様において、第二のボディ部分330は、第二のチタンコンポーネント、たとえば上記のようなチタンKS120を含む。一つの態様において、第一のボディ部分320がチタンコンポーネントを含み、および第二のボディ部分330がさらにチタンコンポーネントを含む場合、第一のボディコンポーネント320はチタン15-3-3-3を含んでもよく、および第二のボディコンポーネント330はチタンKS120を含んでもよい。
【0037】
さらに
図3Bおよび3Cに示すように、クラブヘッド300はさらに、クラブヘッド300の後縁325および中央に向かって延びる、クラブヘッド300のヒール区域310において第一のボディ部分320に近接して位置する第三のボディ部分332を含む。この第三のボディ部分332もまた、第一のボディ部分320よりも高い弾性率を有する。一つの態様において、第二および第三のボディ部分330、332が同じ弾性率を有するよう、第三のボディ部分332は、第二のボディ部分330と実質的に同じ構造材料を含む。特定の態様において、第二および第三のボディコンポーネント330、332はいずれも、チタンコンポーネント、たとえば上記のようなチタンKS120を含む。第二または第三のボディ部分330、332の組成にかかわらず、本発明の少なくともいくつかの例示的構造において、第二および第三のボディ部分330、332はいずれも第一のボディ部分320よりも高い弾性率を示す。
【0038】
さらに、
図3Dに示すように、クラブフェース305、第一のボディ部分320、第二のボディ部分330および第三のボディ部分332の間の構成、配置および相互作用が、より高い弾性率を有する材料、たとえば部分330および/または332における材料で部分320が置き換えられている類似した構造のクラブヘッドの反発係数に比較して、クラブフェース305の縦方向中心に沿う、たとえば軸335に沿う領域により高い反発係数を有するクラブフェース305を有するクラブヘッド300を提供する。しかし、この例示的構造における軸345に沿うクラブフェース305の反発係数は、ヒールおよびトウ区域310、315におけるクラブフェース305への第一のボディ部分320の近接により、少なくとも、ヒールおよびトウ区域310、315に沿って第一のボディ部分320を有しないクラブヘッドよりも高い(たとえば、
図2A〜2Fの態様に関連して上記したように)。特に、この例示的構造において、低弾性率部分320は、フェース部材305の全周囲と係合する周囲部材を構成する(ただし、所望により、部分320は、フェース部材305の周囲を完全に包囲する必要はない)。
【0039】
図2Eおよび2Fに関連して説明したように、クラブヘッド構造の一つまたは複数のコンポーネントの寸法は、クラブヘッド構造上の異なる位置において異なっていてもよい。たとえば、所望により、クラブヘッドフェース305のリターン部分305bの前後方向における寸法は、クラブフェース305の周囲で異なっていてもよい。さらには、当業者によって理解されるように、クラブヘッド300は、上記の第一、第二および第三のボディ部分320、330、332に加えて、さらなるボディ部分を含んでもよい。たとえば、
図3A、3B、3Eおよび3Fに示す例示的クラブヘッド300は、クラブヘッド300のトップに沿って後縁325沿いに位置する第四のボディ部分360を含む。特定の態様において、一つまたは複数のさらなるボディ部分、たとえば第四のボディ部分360は、第一のボディ部分320よりも高い弾性率を示す材料を含み得る。一つのそのような態様において、一つまたは複数のさらなるボディ部分は一つまたは複数のチタンコンポーネントを含む。さらに、第四のボディ部分360がチタンコンポーネントを含むさらなる態様において、そのチタンコンポーネントは、第二および第三のボディ部分330、332のチタンコンポーネントとは異なっていても良い。特定の態様において、第四のボディ部分360は工業的に高純度のチタンを含む。
図2Aにおけるコンポーネント260に関連して上述したように、部分360はまた、ウェイトまたはウェイト担持部材、たとえばクラブ設計者がクラブのウェイト付け特性を変更し、かつ制御することを可能にする部材を構成し得る。
【0040】
3. 例示的方法
本発明の別の局面は、本発明の例の(たとえば上記タイプの)ゴルフクラブヘッドを製造する方法に関する。そのような方法は、たとえば、ゴルフクラブヘッドの複数の構造コンポーネントを接合してクラブヘッドを形成する方法を含んでもよい。一つの態様において、方法は、クラブヘッドの第一のボディ部分220、320を、ヒール区域からトウ区域まで延びるクラブフェース205、305の少なくとも一部分に、たとえばそれぞれ
図2Aおよび3Aに示すカップタイプクラブフェース205、305のリターン部分205b、305bに取り付けることを含む。方法はさらに、第二のボディ部分、たとえば
図2Bおよび3Bの要素230、330および/または332を第一のボディ部分220、320に取り付けることを含んでもよい。この第二のボディ部分は、第一のボディ部分および/またはクラブフェースと係合し、クラブフェース205、305から離れてクラブヘッド200、300の後縁または点225、325に向かって延びるように配設してもよい。この第二のボディ部分230、330、332は、第一のボディ部分220、320よりも高い弾性率を有する。本発明を逸脱することなく、様々なクラブヘッドコンポーネントを接合する任意の所望の方法を使用し得るが、少なくともいくつかの例において、コンポーネントパーツは、セメント、接着剤、溶接、はんだ付け、ろう付け、機械的コネクタ(任意で、取り外し可能な機械的コネクタ)などによって接合される。様々なコンポーネントパーツは、当技術分野において一般的であり、公知であるやり方で接合してもよい。
【0041】
一つの例示的方法において、第一のボディ部分は、たとえば
図2A〜2Cの要素220に類似する多数のパーツを構成することができ、したがって、ヒール区域210およびトウ区域215それぞれにおいてクラブフェース205に近接して取り付けることができる。これらの要素220は、クラブヘッド205のクラブフェース205から後縁225までの距離の少なくとも約10%に延びてもよい。第二のボディ部分230は、クラブフェース205のほぼ縦方向中心においてクラブフェース205に近接して位置するように取り付けてもよく、クラブヘッド200のクラブフェース205から離れて後縁225に向かって延びてもよい。
【0042】
さらに別の方法において、第一のボディ部分は、たとえば
図3A〜3Cの要素320に類似する一つのパーツを構成し得る。このパーツ320は、クラブフェース305に近接し、トウ区域315およびヒール区域310それぞれにおいてクラブヘッド300の後縁325までの距離の60%未満、さらには、クラブフェース305の中央における後縁325までの距離の少なくとも60%に延びる材料の周囲を形成する。
【0043】
この開示を考察すると、当業者は、本発明の範囲に入るゴルフクラブヘッドを製造するために使用し得る材料およびアタッチメントの量、タイプ、形状および/または組み合わせを調節することなど、明らかな変更を上記方法に取り入れることができることを理解するであろう。
【0044】
4. COR計測
図4は、本発明の少なくともいくつかの例のクラブヘッドフェース400上のCORの改善を説明するのに役立つ図解である。上記のように、概して、少なくとも、均一な厚さを有するフェースの場合、ゴルフクラブフェース400上の最高CORは、クラブヘッドフェース400の幾何学的中心またはその近く(たとえば、この図示される例においては、中心点402またはその近く)である傾向がある。CORは、中心点402から離れてクラブヘッドフェース400の縁に向かうにつれ、低下する傾向を示す(たとえば、クラブヘッドの側面構造によって提供されるさらなる支持、クラブフェースに提供された屈曲(たとえば、カップタイプクラブフェースの打球フェースのサーフェスからリターン部分までの屈曲など)の結果として提供される補剛特性などによるせいで)。フェースのCORプロフィールおよびCOR値はまた、打球フェースの厚さを変更することによって影響を受け得る。
図2A〜2Fに示す例示的クラブヘッド構造200にしたがって、トウ区域215およびヒール区域210の末端側方部分は、フェース205の材料および/またはボディ部分(たとえば部分230)の大部分の材料に比較して、より低い弾性率を有する材料(材料220)でできている。このより低い弾性率の部分220は、特に所定のクラブヘッド/ゴルフボール衝突速度を超えると(たとえば90mphを超えると)、より変形を受けやすい。ゴルフボールとの接触が、フェースの幾何学的中心402から離れ、クラブヘッドフェースのヒールまたはトウ区域に近づく方向に位置するとき(たとえば、
図4において、接触点がフェースの中心402から水平方向に離れるとき)、この変形がゴルフクラブヘッドフェースのCOR応答を増大させる。実質的に、より低い弾性率の部分は、クラブフェースの「スイートスポット」をヒールおよびトウ方向に拡大し、かつオフセンターヒット時に改善されたCOR応答を提供する効果を有する。
【0045】
図3A〜3Fに示す例示的クラブヘッド構造300にしたがって、クラブヘッドフェース305の全周囲は、フェース305の材料および/またはクラブヘッドボディの大部分(たとえば部分330および/または332)の材料に比較して、より低い弾性率を有する材料(材料320)でできている。このより低い弾性率の部分320は、特に所定のクラブヘッド/ゴルフボール衝突速度を超えると(たとえば90mphを超えると)、より変形を受けやすい。
図2A〜2Fの構造に関して上述したように、ゴルフボールとの接触が、フェースの幾何学的中心402から離れ、クラブヘッドフェースのヒールまたはトウ区域に近づく方向に位置するとき(たとえば、
図4において、接触点がフェースの中心402から水平方向に離れるとき)、この変形がゴルフクラブヘッドフェースのCOR応答を増大させる。さらには、クラブヘッドフェース305の最上部分および最下部分に隣接する相対的に低い弾性率の材料320の存在により、ゴルフボールとの接触が、フェースの幾何学的中心402から離れ、クラブヘッドフェースのクラウンまたはソール区域に近づく方向に位置するとき(たとえば、
図4において、接触点がフェースの中心402から垂直方向に離れるとき)、この変形がゴルフクラブフェースのCOR応答を増大させる。実質的に、本発明の局面は、低弾性率材料がより高い弾性率の材料(たとえば、クラブヘッドフェースの材料および/またはクラブヘッドの他のボディ部分、たとえば上記230、330および/または332のいくつかの材料)で置き換えられている類似した構造のゴルフラブヘッドのCOR応答と比較して、オフセンターヒット時のゴルフクラブフェースのCOR応答を増大させる。図示される両態様において、COR応答の改善はまた、クラブフェースの中心から離れ、この中心位置から延びる水平および垂直方向の間の区域(たとえば、
図4に示すクラブフェースのいくつかの四分円404(a)〜404(d))においても実現される。本発明のCOR応答は、COR規格準拠に関してゴルフクラブヘッドを試験するための、United States Golf Association(米国ゴルフ協会)によって規定された条件の下で計測し得る。
【0046】
上記のように、本発明にしたがって、ゴルフクラブヘッドのCOR応答は、計測され、そして同じ構造を有するが、ヒールおよびトウ区域におけるクラブヘッドボディ部分(たとえば部分220)の低弾性率材料および/またはクラブフェース周囲部分(たとえば部分320)の低弾性率材料がより高い弾性率の材料(たとえば、クラブヘッドフェースの材料、他のボディ部分(たとえば部分230、330および/または332)の材料など)で置き換えられているゴルフクラブヘッドのCOR応答に対して比較される。
【0047】
本発明の少なくともいくつかの例にしたがって、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から0.5インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッド(上記)に比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも5%改善されたCOR値を有する。さらなる例として、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から0.5インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも10%改善されたCOR値、またはさらに少なくとも15%改善されたCOR値を有する。本発明の少なくともいくつかのさらなる例にしたがって、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から1インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも5%改善されたCOR値を有し、そしてさらなる例として、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から1インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも10%改善されたCOR値、またはさらに少なくとも15%改善されたCOR値を有する。本発明の少なくともいくつかのさらなる例にしたがって、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から1.5インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも5%改善されたCOR値を有し、さらなる例として、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から1.5インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも10%改善されたCOR値、またはさらに少なくとも15%もしくは少なくとも20%改善されたCOR値を有する。本発明のなおいくつかのさらなる例にしたがって、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から2インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも5%改善されたCOR値を有し、さらなる例として、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から2インチだけクラブヘッドのヒールまたはトウ寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から水平線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも10%改善されたCOR値、またはさらに少なくとも15%もしくは少なくとも20%改善されたCOR値を有する。
【0048】
本発明の少なくともいくつかのなおさらなる例にしたがって、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から0.5インチだけクラブヘッドのクラウンまたはソール寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から垂直線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも5%改善されたCOR値を有する。さらなる例として、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から0.5インチだけクラブヘッドのクラウンまたはソール寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から垂直線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも10%改善されたCOR値、またはさらに少なくとも15%改善されたCOR値を有する。本発明の少なくともいくつかのさらなる例にしたがって、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から1インチだけクラブヘッドのクラウンまたはソール寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から垂直線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも5%改善されたCOR値を有し、さらなる例として、クラブヘッドフェースの幾何学的中心から1インチだけクラブヘッドのクラウンまたはソール寄りに位置する(たとえば幾何学的中心から垂直線に沿って)点は、比較クラブヘッドに比較して、本発明のクラブヘッドの場合で少なくとも10%改善されたCOR値、またはさらに少なくとも15%改善されたCOR値を有する。
【0049】
5. さらなる潜在的特徴
特定の例に関して本発明を説明したが、当業者は、本発明を逸脱することなく、本明細書に記載された構造および方法に対して数多くの変形を加えることができることを理解するであろう。たとえば、所望により、フェース部材(たとえば部材205および305)は、変化するフェース厚さを有する、たとえば、フェースの剛性または可撓性をさらに制御しやすくする(および、フェースのCOR応答を制御しやすくする)ために、盛り上がった、または肉厚化された後面をたとえばフェースの中央部分に含んでもよい。別の例として、所望により、低弾性率領域は、クラブヘッドのトウ部分だけに、またはクラブヘッドのヒール部分だけに提供してもよい。また、図示されるクラブヘッドは概して、四角い形状またはフットプリントを有するが、当業者は、当技術分野において使用されているいずれか公知のまたは従来の形状を含む任意の所望の形状を有するウッドタイプクラブ構造で本発明の局面を実施し得ることを理解するであろう。
【0050】
特定の寸法、特性および/または寸法および特性の範囲のいずれか(たとえば、2005年10月27日に公開された米国特許出願公開公報第2005/02395776A1号に記載されている範囲)を所与のクラブヘッド構造に使用することができるが、当業者は、これらの寸法および範囲が、本発明の少なくともいくつかの例示的クラブヘッド構造において使用することができる単なる例であることを理解するであろう。本発明を逸脱することなく、たとえばクラブのタイプ、ユーザの好み、ユーザスイング特性などに依存して、範囲ならびに具体的な寸法および特性における多くの変更を使用してもよく、これらの特徴は、フェース部材に取り付けられたボディ部材の特性に依存して制御し得る。たとえばゴルフクラブヘッドがドライバ、2番ウッド、3番ウッド、4番ウッド、5番ウッド、7番ウッド、9番ウッド、ウッドタイプハイブリッドクラブなどであるかに依存して、たとえば、様々な寸法および/または特性(たとえば様々なロフト角、フェース角、ヘッド重量、ライ角、重心角、インセット距離、長さ、幅、高さ、フェース厚さ、クラウン厚さ、ソール厚さ、ボディ部材壁厚さ、ホーゼル直径、体積、バルジ半径、ロール半径、ボディ密度など)を使用し得る。また、ユーザの好みおよび/またはスイング特性に合わせるため、所望の打ち出し角、キャリー距離および/またはクラブの他の特性を提供するためなどに、様々な寸法および/または特性を提供し得る。さらには、様々な異なるシャフト特性(たとえば剛性、フレックスポイント、キックポイントなど)を使用して、クラブのおよびクラブヘッドの感触および特性の変更および制御をさらに可能にし得る。
【0051】
本発明の例のゴルフクラブヘッドは、他の所望のクラブヘッド特性を生じさせるためのクラブヘッド設計および/またはジオメトリを使用し得る。たとえば、本発明のいくつかのクラブヘッド構造において、クラブヘッドのボディは、クラブヘッドが、クラブヘッドの深さまたは幅(たとえば
図2Bにおける前後寸法「B」)に対してより大きなヘッドおよび/またはフェース長(たとえば
図2Bにおけるヒール−トウ寸法「L」)ならびに「四角い」構造を有し、その結果、よりねじれ安定性(すなわち、より耐ねじれ性)であるクラブヘッドを生じさせ、それによって、より一貫した確実および/またはまっすぐなゴルフボールの飛びを生じさせるように設計される。本発明のこれらの例示的局面の少なくともいくつかのゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブは、少なくとも4.5インチ、少なくとも4.6インチ、少なくとも4.7インチ、少なくとも4.8インチまたはさらに少なくとも4.9インチのクラブヘッド全長寸法L、および0.9またはそれ以上かつ1またはそれ未満の、クラブヘッド全長寸法に対するクラブヘッド全幅寸法の比(B/L)を有するクラブヘッドボディを提供するためのサイズを有する、ボディ部材を含んでもよい。本発明の少なくともいくつかの例のクラブヘッドは、少なくとも0.94、少なくとも0.95、少なくとも0.96、少なくとも0.97、またはさらに少なくとも0.98の、クラブヘッド長に対するクラブヘッド幅の比を有してもよい。本発明の少なくともいくつかの例のクラブヘッドはまた、参照により全体として本明細書に組み入れられる、2006年6月22日にJohn Thomas Stitesらの名で出願された米国特許出願公開公報第2007/0298903号に記載されている特徴のいくつかまたはすべてを有してもよい。
【0052】
本発明の少なくともいくつかの例のゴルフクラブヘッドにおいて、ボディ部材は、クラブヘッド全幅寸法Bが少なくとも4.2インチ、少なくとも4.3インチ、少なくとも4.4インチ、少なくとも4.5インチ、少なくとも4.6インチ、少なくとも4.7インチ、少なくとも4.8インチ、またはさらに少なくとも4.9インチになるようなサイズを有してもよい。上記の例と同じく、本発明のこの局面の少なくともいくつかの例のクラブヘッドボディは、クラブヘッド全長寸法Lが少なくとも4.7インチ、少なくとも4.8インチ、またはさらに少なくとも4.9インチになる、および/またはクラブヘッドボディ全体サイズが500cm
3またはそれ未満、470cm
3またはそれ未満、またはさらに460cm
3またはそれ未満になるような寸法を有してもよい。いくつかの例において、交換可能なボディ部材は、クラブヘッドボディ全体サイズまたは体積が少なくとも350cc、少なくとも400cc、少なくとも420cc、またはさらに少なくとも450ccになるようなサイズおよび形状を有する。
【0053】
結び
本発明を実施する、目下好ましい形態を含む具体例に関して本発明を詳細に説明したが、当業者は、上記システムおよび方法の数多くの変形および置換があることを理解するであろう。したがって、本発明の真意および範囲は、添付の特許請求の範囲に述べられるように広義に解釈されるべきである。