特許第5903151号(P5903151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5903151
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】安全帯及び安全帯用の掛止具
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   A62B35/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-239128(P2014-239128)
(22)【出願日】2014年11月26日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 善昭
(72)【発明者】
【氏名】安田 淳一
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭48−011038(JP,Y1)
【文献】 特開2012−055449(JP,A)
【文献】 特開2009−261799(JP,A)
【文献】 実公昭48−011037(JP,Y1)
【文献】 実開昭56−093246(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴綱を挿通して該胴綱の長さを調整する伸縮器が取り付けられるベルト体であって、作業者の腰に巻き付けられるベルト体と、伸縮器に挿通された胴綱を掛止可能な掛止部を有する掛止具とを備え
前記掛止具は、ベルト体の長手方向に対して交差する方向に延びる直状の延出部と、
該延出部の一端部に設けられる取付部であって、掛止具をベルト体に取り付けるための取付部と、
延出部の他端部から延出部の一端部の方へ向けて折り曲げられた折曲部とを有し、
延出部と折曲部との間には、胴綱を挿入可能な凹部であって、延出部の一端部の方へ向けて開口する凹部が形成されており、
折曲部は、凹部に挿入された胴綱を延出部との間で挟持することを特徴とする安全帯。
【請求項2】
前記折曲部は、延出部側に向かって突出した凸部を先端部に有することを特徴とする請求項に記載の安全帯。
【請求項3】
胴綱を挿通して該胴綱の長さを調整する伸縮器が取り付けられた安全帯のベルト体の長手方向に対して交差する方向に延びる直状の延出部と、
該延出部の一端部に設けられる取付部であって、掛止具をベルト体に取り付けるための取付部と、
延出部の他端部から延出部の一端部の方へ向けて折り曲げられた折曲部とを有し、
延出部と折曲部との間には、胴綱を挿入可能な凹部であって、延出部の一端部の方へ向けて開口する凹部が形成されており、
折曲部は、凹部に挿入された胴綱を延出部との間で挟持することを特徴とする安全帯用の掛止具。
【請求項4】
前記折曲部は、延出部側に向かって突出した凸部を先端部に有することを特徴とする請求項に記載の安全帯用の掛止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔や電柱などを昇降するときに使用する安全帯及び安全帯用の掛止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業者は、電柱や鉄塔等を昇降する時に安全帯を使用している。この安全帯は、例えば、図5に示す如く、作業者の腰に巻き付けられるベルト体101と、該ベルト体101の一端側に取り付けられた環体102と、ベルト体101の他端側に取り付けられた伸縮器103と、フック111が一端部に取り付けられた胴綱110であって、伸縮器103に挿通された胴綱110とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる構成の安全帯100によれば、ベルト体101が作業者の腰に巻き付けられて固定される。そして、前記胴綱110が、例えば鉄塔の支柱の外周に巻き付けられた上で、環体102にフック111を連結することで、安全帯100は、作業者の落下を防止する。
【0004】
そして、作業者が昇降動作をする時、電線などの障害物があって胴綱110の掛け替えが必要な場合は、環体102からフック111を取り外し、胴綱110を障害物の上側に通し、フック111を環体102に連結するとともに、伸縮器103に挿通された胴綱110の他端部側を引っ張って、胴綱110の長さを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−84667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記安全帯100は、伸縮器103に挿通された胴綱110の他端部側を引っ張って胴綱の長さを調整するように構成されているため、胴綱110の端末110aは、垂れ下がり揺れ動くような不安定な状態になる。そのため、胴綱110の端末110aは、例えば、電柱や鉄塔に架設される電線などの障害物に接近したり、接触したりすることがある。
【0007】
これに伴い、作業者は、胴綱110の端末110aを結ぶ等の処理をし、胴綱110の端末110aの垂れ下がりを防止している。しかし、高所作業を継続するにあたり、昇降位置を変更する度に胴綱110を掛け替えて胴綱110の長さを調整しているため、本胴綱110の端末110aを処理するのが煩雑である、という問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、煩雑な作業を伴うことなく、胴綱が障害物に接近又は接触することを回避できる状態にすることのできる安全帯及び安全帯用の掛止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る安全帯は、胴綱を挿通して該胴綱の長さを調整する伸縮器が取り付けられるベルト体であって、作業者の腰に巻き付けられるベルト体と、伸縮器に挿通された胴綱を掛止可能な掛止部を有する掛止具とを備え、前記掛止具は、ベルト体の長手方向に対して交差する方向に延びる直状の延出部と、該延出部の一端部に設けられる取付部であって、掛止具をベルト体に取り付けるための取付部と、延出部の他端部から延出部の一端部の方へ向けて折り曲げられた折曲部とを有し、延出部と折曲部との間には、胴綱を挿入可能な凹部であって、延出部の一端部の方へ向けて開口する凹部が形成されており、折曲部は、凹部に挿入された胴綱を延出部との間で挟持することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、伸縮器に挿通されて垂れ下がった胴綱の端末側を掛止具の掛止部に掛止させることができる。これにより、伸縮器に挿通されて胴綱がベルト体よりも下に無造作に垂れ下がることを防止できる。したがって、胴綱が電線などの障害物に接近したり、接触したりする状況を回避できる。
【0012】
また、延出部と折曲部との間に凹部が形成されることによって、凹部に胴綱を掛止させることができる。
【0013】
前記折曲部は、延出部側に向かって突出した凸部を先端部に有することが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、延出部側に向かって突出した凸部が折曲部の先端部に形成されることによって、延出部と折曲部の先端側との間隔が極所的に狭くなり、延出部と折曲部との間から胴綱が抜け出ないようにすることができる。
【0015】
本発明に係る安全帯用の掛止具は、胴綱を挿通して該胴綱の長さを調整する伸縮器が取り付けられた安全帯のベルト体の長手方向に対して交差する方向に延びる直状の延出部と、該延出部の一端部に設けられる取付部であって、掛止具をベルト体に取り付けるための取付部と、延出部の他端部から延出部の一端部の方へ向けて折り曲げられた折曲部とを有し、 延出部と折曲部との間には、胴綱を挿入可能な凹部であって、延出部の一端部の方へ向けて開口する凹部が形成されており、折曲部は、凹部に挿入された胴綱を延出部との間で挟持することを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、伸縮器に挿通されて垂れ下がった胴綱の端末側を掛止具の掛止部に掛止させることができる。これにより、伸縮器に挿通されて胴綱がベルト体よりも下に無造作に垂れ下がることを防止できる。したがって、胴綱が電線などの障害物に接近したり、接触したりする状況を回避できる。
【0018】
また、延出部と折曲部との間に凹部が形成されることによって、凹部に胴綱を掛止させることができる。
【0019】
前記折曲部は、延出部側に向かって突出した凸部を先端部に有することが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、延出部側に向かって突出した凸部が折曲部の先端部に形成されることによって、延出部と折曲部の先端側との間隔が極所的に狭くなり、延出部と折曲部との間から胴綱が抜け出ないようにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、煩雑な作業を伴うことなく、胴綱が障害物に接近又は接触することを回避できる状態にすることができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る安全帯を示す図である。
図2図2(a),(b)は、同実施形態に係る安全帯の掛止具(第一掛止具)を示す図である。
図3図3(a),(b)は、同実施形態に係る安全帯の掛止具(第二掛止具)を示す図である。
図4図4は、同実施形態に係る安全帯の使用態様を示す図である。
図5図5は、従来の安全帯を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る安全帯について図1図4を参照しながら説明する。
本実施形態に係る安全帯は、図1に示す如く、胴綱2を挿通して該胴綱2の長さを調整する伸縮器3が取り付けられるベルト体1であって、作業者の腰に巻き付けられるベルト体1と、鉄塔等の構造物に巻き掛けられる胴綱2a,2bと、ベルト体1に取り付けられた伸縮器3a,3bであって、胴綱2a,2bの長さを調整可能な伸縮器3a,3bと、
胴綱2a,2bを掛止可能な掛止具4a,4bであって、ベルト体1に取り付けられた掛止具4a,4bとを備える。また、安全帯SBは、胴綱2a,2bの一端部に取り付けられたフック5a,5bと、ベルト体1に取り付けられた環体6a,6bとを備える。
【0024】
ベルト体1は、胴当てベルト10と、該胴当てベルト10に挿通された帯状の腰ベルト11とを有する。
【0025】
胴当てベルト10は、腰ベルト11を挿通可能な筒状の挿通部10a…を複数箇所に備える。複数の挿通部10aは、腰ベルト11の挿通方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0026】
腰ベルト11は、帯状をなすベルト本体11aと、ベルト本体11aの一端に取り付けられたバックル11bであって、ベルト本体11aの他端側を固定可能なバックル11bとを備える。ベルト本体11aは、胴当てベルト10よりも長尺であり、該胴当てベルト10の複数の挿通部10a…に挿通されている。
【0027】
これにより、ベルト体1は、腰ベルト11のベルト本体11aが作業者の胴周りに巻き付けられた上で、該ベルト本体11aの他端側がバックル11bに固定されることで、胴当てベルト10が作業者の腰付近に配置できるようになっている。
【0028】
本実施形態に係る安全帯SBは、胴綱2a,2bとして、本胴綱2aと、補助胴綱2bとを有する。
【0029】
これに伴い、安全帯SBは、伸縮器3a,3bとして、本胴綱2aの長さを調整するための第一伸縮器3aと、補助胴綱2bの長さを調整するための第二伸縮器3bとを有する。また、安全帯SBは、掛止具4a,4bとして、本胴綱2aを掛止可能な第一掛止具4aと、補助胴綱2bを掛止可能な第二掛止具4bとを備える。さらに、安全帯SBは、フック5a,5bとして、本胴綱2aに連結された第一フック5aと、補助胴綱2bに連結された第二フック5bを備えるとともに、環体6a,6bとして、第一フック5aを掛止させる第一環体6aと、第二フック5bを掛止させる第二環体6bとを備える。
【0030】
第一伸縮器3aは、本胴綱2aを長手方向で移動可能な状態で保持し、任意の位置で本胴綱2aを固定するように構成される。具体的には、第一伸縮器3aは、本胴綱2aを挿通可能に構成されるとともに、該本胴綱2aの挿通部位をロック可能に構成される。これに対し、第二伸縮器3bは、補助胴綱2bを長手方向で移動可能な状態で保持し、任意の位置で補助胴綱2bを固定するように構成される。具体的には、第二伸縮器3bは、補助胴綱2bを挿通可能に構成されるとともに、該補助胴綱2bの挿通部位をロック可能に構成される。
【0031】
上記構成の第一伸縮器3a及び第二伸縮器3bは、腰ベルト11の長手方向に所定の間隔をおいて取り付けられている。本実施形態において、第一伸縮器3a及び第二伸縮器3bは、ベルト本体11aの一端側(バックル11b側)に長手方向に所定の間隔をおいて取り付けられている。
【0032】
第一掛止具4aは、第一伸縮器3aに挿通された本胴綱2aの端末を処理するためのものである。すなわち、第一掛止具4aは、本胴綱2aの端末20aを掛止可能に形成される。
【0033】
本実施形態において、第一掛止具4aは、図2(a),(b)に示す如く、腰ベルト11に着脱可能な取付部40aと、該取付部40aに連設され、本胴綱2aを掛止可能な掛止部40bとを有する。
【0034】
第一掛止具4aの取付部40aは、腰ベルト11(ベルト本体11a)を挿通可能に形成される。すなわち、取付部40aは、環状に形成され、腰ベルト11を挿通する扁平状の孔を画定している。
【0035】
第一掛止具4aの掛止部40bは、腰ベルト11の長手方向に対して交差する方向に延びる延出部41aと、該延出部41aの端部から、延出部41aの延びる方向とは反対方向に円弧状に折り曲げられる折曲部41bとを有する。また、本実施形態において、第一掛止具4aの掛止部40bは、折曲部41bの端部から延出部41a側に向かって突出して形成される凸部41cを有する。
【0036】
第一掛止具4aの延出部41aは、折曲部41bの長さよりも長くなっており、折曲部41bとの間に凹部が形成される。
【0037】
第一掛止具4aの折曲部41bは、円弧状に折り曲げられることで弾性変形可能となっており、延出部41aと折曲部41bとの間隔は、本胴綱20の直径よりも少し小さくなっている。
【0038】
これにより、第一掛止具4aにおいて、延出部41aに本胴綱2aを当てがいつつ、延出部41aと折曲部41bとの間(凹部)に本胴綱2aの端末20aを挿入することで、延出部41aと折曲部41bとの接続部分で本胴綱2aを掛止できるようになっている。
すなわち、第一掛止具4aにおいて、凹部内に挿入された本胴綱20に対して折曲部41bが圧接した状態で本胴綱2aが掛止される。また、第一掛止具4aにおいて、凸部41cが延出部41a側に向かって突出して形成されているため、延出部41aとの間隔が極所的に狭くなっており、掛止させた本胴綱2aの端末20aが延出部41aと折曲部41bとの間から抜け出ないようにもなっている。
【0039】
本実施形態において、第二掛止具4bは、図3(a),(b)に示す如く、腰ベルト11に着脱可能な取付部43aと、該取付部43aに連設され、補助胴綱2bを掛止可能な掛止部43aとを有する。
【0040】
第二掛止具4bの取付部43aは、腰ベルト11(ベルト本体11a)を挿通可能に形成される。すなわち、取付部43aは、環状に形成され、腰ベルト11を挿通する扁平状の孔を画定している。
【0041】
第二掛止具4bの掛止部43bは、腰ベルト11の長手方向に対して交差する方向に延びる延出部44aと、該延出部44aの端部から、延出部44aの延びる方向とは反対方向に円弧状に折り曲げられる折曲部44bとを有する。また、本実施形態において、第二掛止具4bの掛止部43bは、折曲部44bの端部から延出部44a側に向かって突出して形成される凸部44cを有する。
【0042】
第二掛止具4bの延出部44aは、折曲部44bの長さよりも長くなっており、折曲部44bとの間に凹部が形成される。
【0043】
第二掛止具4bの折曲部44bは、円弧状に折り曲げられることで弾性変形可能となっており、延出部44aと折曲部44bとの間隔は、補助胴綱2bの直径よりも少し小さくなっている。
【0044】
これにより、第二掛止具4bにおいて、延出部44aに補助胴綱2bを当てがいつつ、延出部44aと折曲部44bとの間(凹部)に補助胴綱2bの端末20bを挿入することで、延出部44aと折曲部44bとの接続部分で補助胴綱2bを掛止できるようになっている。
【0045】
すなわち、第二掛止具4bにおいて、凹部内に挿入された補助胴綱2bに対して折曲部44bが圧接した状態で補助胴綱2bが掛止される。また、第二掛止具4bにおいて、凸部44cが延出部44a側に向かって突出して形成されているため、延出部44aとの間隔が極所的に狭くなっており、掛止させた補助胴綱2bの端末20bが延出部44aと折曲部44bとの間から抜け出ないようにもなっている。
【0046】
上記構成の第一掛止具4a及び第二掛止具4bは、取付部40a,43aに腰ベルト11(ベルト本体11a)が挿通され、腰ベルト11の長手方向に間隔をあけて取り付けられる。第一掛止具4aは、本胴綱2aの端末20aを処理するためのもの(掛止するためのもの)であり、第二掛止具4bは、補助胴綱2bの端末20bを処理するためのもの(掛止するためのもの)であるため、第一掛止具4a及び第二掛止具4bは、腰ベルト11一端側(ベルト本体11aのバックル11b側)に配置される。すなわち、第一掛止具4aは第一伸縮器3aに近い位置に配置され、第二掛止具4bは、第二伸縮器3bに近い位置に配置される。
【0047】
第一フック5aは、環状に形成され、一部が開閉可能に構成される。これにより、第一フック5aは、本胴綱2aや第一環体6aに係脱可能に構成される。第二フック5bは、環状に形成され、一部が開閉可能に構成される。これにより、第二フック5bは、補助胴綱2bや第二環体6bに係脱可能に構成される。
【0048】
第一環体6a及び第二環体6bのそれぞれは、剛性を有する環状の部品であり、腰ベルト11の一端部側に所定の間隔をおいて配置されている。
【0049】
つぎに本実施形態に係る安全帯SBの使用態様について説明する。まず、胴当てベルト10を作業者Aの腰にあてがって、腰ベルト11を作業者Aの腰に巻き付けて、作業者Aの腰周りに合わせてバックル11bで固定し、作業者Aの腰に安全帯SBを装着する。
【0050】
つぎに、腰ベルト11の第一伸縮器3aに本胴綱2aの端末20a側を挿通するとともに、第二伸縮器31に補助胴綱2bの端末20b側を挿通する。
【0051】
つぎに、図4に示す如く、本胴綱2aを鉄塔の支柱Bの外周に巻き掛け、本胴綱2aの第一フック5aを第一環体6aに連結する。
【0052】
つぎに、第一伸縮器3aに挿通された本胴綱2aの端末20a側を引っ張って、本胴綱2aの長さを第一伸縮器3aで調整して、本胴綱2aの端末20aを第一掛止具4aに掛止する(図2(a),(b)参照)。具体的には、延出部41aと折曲部41bとの間に本胴綱2aの端末20aが上側から押し込まれると、延出部41aと折曲部41bとが押し広げられて、折曲部41bは弾性変形して延出部41aとの間隔が本胴綱2aの直径よりも少し大きくなる。さらに押し込まれると、本胴綱2aの端末20aは凸部41cを超えて折曲部41b内に入り込み、折曲部41b内面に当接する。本胴綱2aの端末20aを挿入した後、折曲部41bは弾性復帰することで、延出部41aと折曲部41bとの間隔は、本胴綱2aの直径よりも小さくなり、凸部41cが本胴綱2aに圧接して掛止される。これにより、延出部41aと折曲部41bとの間から本胴綱2aの端末20aが抜け出ることを防止している。
【0053】
したがって、本胴綱2aの端末20a及び補助胴綱2bの端末20bは揺れ動くことがなく、例えば、鉄塔に架設されている電線等の障害物に対して接近したり、接触したりする状況を回避できる。
【0054】
そして、支柱Bの上部へ昇る時、障害物が本胴綱2aの引き上げに支障をきたし、本胴綱2aの掛け替えが必要な場合は、障害物の上側に補助胴綱2bを通し、第二フック5bを第二環体6bに連結するとともに、第二伸縮器3bに挿通された補助胴綱2bの端末20b側を引っ張って、補助胴綱2bの長さを第二伸縮器3bで調整して、補助胴綱2bの端末20bを第二掛止具4bに掛止する(図3(a),(b)参照)。そして、補助胴綱2bと本胴綱2aとでつり状態を確保する。
【0055】
この状態で、本胴綱2aの第一フック5aを第一環体6aから外して、本胴綱2aの第一フック5aを障害物の上から第一環体6aに再度連結した後、前記と同様に、本胴綱2aの長さを第一伸縮器3aで調整し、本胴綱2aの端末20aを第一掛止具4aに掛止する。そして、補助胴綱2bと本胴綱2aとでつり状態を確保する。
【0056】
このように、本実施形態に係る安全帯によれば、本胴綱2aの端末20aを第一掛止具4aに掛止させるとともに、補助胴綱2bの端末20bを第二掛止具4bに掛止させているため、煩雑な作業を伴うことなく、本胴綱2aの端末20a及び補助胴綱2bの端末20bが障害物に接近又は接触することを回避できる状態にできる。
【0057】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論のことである。
【0058】
例えば、前記実施形態の場合、ベルト体1を、胴当てベルト10と、腰ベルト11との二つとしたが、腰ベルト11のみであってもよい。
【0059】
また、前記実施形態の場合、胴綱2を、本胴綱2aと補助胴綱2bとの二つとしたが、本胴綱2aのみとしてもよい。これに伴って、伸縮器3a,3b、掛止具4a,4b,フック5a,5b、環体6a,6bを一つずつとしてもよい。
【0060】
また、前記実施形態の場合、掛止具4a,4bは、安全帯SBのベルト体1に取り付けられたものとしたが、安全帯SBに着脱可能な金具として単独で流通させてもよい。
【符号の説明】
【0061】
SB…安全帯、1…ベルト体、10…胴当てベルト、11…腰ベルト、2a…本胴綱、20a…本胴綱の端末、2b…補助胴綱、20b…補助胴綱の端末、3a…第一伸縮器、3b…第二伸縮器、4a…第一掛止具、4b…第二掛止具、40a,43a…取付部、40b,43b…掛止部、41a,44a…延出部、41b,44b…折曲部、41c,44c…凸部、5a…第一フック、5b…第二フック、6a…第一環体、6b…第二環体、A…作業者、B…鉄塔の支柱
【要約】
【課題】煩雑な作業を伴うことなく、胴綱が障害物に接近又は接触することを回避できる状態にする。
【解決手段】胴綱2a,2bを挿通して該胴綱2a,2bの長さを調整する伸縮器3a,3bが取り付けられたベルト体1であって、作業者Aの腰に巻き付けられるベルト体1と、該ベルト体1に取り付けられた取付部40a,43a、及び該取付部40a,43bと連設され、伸縮器3a,3bに挿通された胴綱2a,2bを掛止可能な掛止部40b,43bを有する掛止具4a,4bとを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5