特許第5903162号(P5903162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5903162糖尿病の治療に有用な新規1,2,3,4−テトラヒドロキノリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903162
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】糖尿病の治療に有用な新規1,2,3,4−テトラヒドロキノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 409/06 20060101AFI20160331BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160331BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   C07D409/06CSP
   A61P3/10
   A61K31/4709
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-526078(P2014-526078)
(86)(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-521744(P2014-521744A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012050051
(87)【国際公開番号】WO2013025424
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】61/524,462
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】チャフィク・ハムドウチ
【審査官】 石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−512277(JP,A)
【文献】 特表2007−525516(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/095338(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/087710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 409/06
A61K 31/4709
A61P 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤のうちの少なくとも1つを含む、医薬組成物。
【請求項3】
哺乳類の糖尿病の治療における使用のための請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物
【請求項4】
式II化合物
【化2】
(式中、Rは、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニルおよびC1−5アルキルフェニルから選択される)
またはその薬学的に許容される塩
【請求項5】
(3S)−3−[4−[[5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]−2−チエニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イン酸またはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、式IIの化合物
【化3】
(式中、Rは、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニルおよびC1−5アルキルフェニルから選択される)
またはその薬学的に許容される塩を脱エステル化して、式Iの化合物
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を得ることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病の治療に有用な新規1,2,3,4−テトラヒドロキノリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は発展途上世界が直面する深刻な医療問題である。糖尿病のための安全で効果的な経口治療を提供することが所望されるだろう。2型糖尿病(T2D)のためのいくつかの成功した市販で入手可能な経口治療は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)γ受容体の調整を介して作用すると考えられる。これらの医薬の投与は、低血糖症、肝臓障害、胃腸疾患、体重増加、またはPPARγ活性に関連し得る他の所望されない効果を時には含む、所望されない有害効果と関連していた。多くの患者における糖尿病を効果的に治療または防止するために、T2Dの管理のためのより所望される安全性プロフィールを提供する新しい治療選択肢が所望される。特に、PPARγ活性化と関連する効果を最小限にするかまたは回避することができる新規の作用機序に基づいた治療法が特に所望される。
【0003】
遊離脂肪酸受容体1(FFA1またはFFAR1)として公知のGタンパク質共役型受容体40(GPR−40)は、げっ歯類の膵臓β細胞、インスリノーマ細胞株およびヒト膵島において高いレベルで優勢に発現されることが報告されている。この受容体は中鎖脂肪酸および長鎖脂肪酸によって活性化される。グルコース依存性のインスリン分泌は活性化GPR−40の重要な特色であり、それにより、この受容体はT2Dの治療における使用に所望される安全性プロフィールを備えた有効な治療法の開発のための優れた標的になる。既存の治療法(インスリンおよびスルホニル尿素等)と比較して、有効性およびより所望される安全性プロフィールを提供する化合物が、特に所望され得る。
【0004】
2つの最近出版された特許出願である、特許文献1および特許文献2は、GPR−40活性を示すスピロ二環基を保持する化合物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20110092531号
【特許文献2】国際公開第2011066183号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は糖尿病(特にT2D)の治療のための化合物を提供する。本発明の化合物はGPR−40の強力な活性化剤である。本発明は、市販で入手可能な治療と比較して、ユニークな薬理学的機構を介して作用する所望される新規の治療選択肢を提供し、PPARγと比較して、GPR−40を選択的に活性化する化合物をさらに提供する。本発明の化合物の薬理学的プロファイルは、選択的GPR−40活性化剤として、T2Dの治療における使用に特に所望され得る。加えて、選択的GPR−40調整は、PPARγ調整と関連する効果の回避によってT2Dの治療における使用に特に所望される安全性プロフィールを提供することができる。
【0007】
本発明は、以下の式Iの化合物
【化1】

またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明の化合物は、上の構造中の不斉炭素を星印(*)により同定することができる。好ましい化合物は、上で示された立体配置を有し、それは慣例によってS立体配置として公知である。
【0009】
本発明は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と共に、上記の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物も提供する。
【0010】
本発明は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および任意で1つまたは複数の治療剤と共に、上記の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物も提供する。
【0011】
本発明は哺乳類において糖尿病を治療する方法も提供する。方法は、式Iについての上記の化合物またはその薬学的に許容される塩を治療を必要とする哺乳類へ投与することを含む。より好ましくは、本発明は、式Iについての上記の化合物またはその薬学的に許容される塩を哺乳類へ投与することによって、治療を必要とする哺乳類において2型糖尿病を治療する方法を提供する。好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0012】
本発明は、式Iについての上記の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を治療を必要とする哺乳類へ投与することによって、哺乳類において糖尿病を治療する方法も提供する。より好ましくは、本発明は、式Iについての上記の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を哺乳類へ投与することによって、治療を必要とする哺乳類において2型糖尿病を治療する方法を提供する。好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0013】
本発明は、治療法における使用のために、上記の式Iによる化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
さらにもう一つの形態において、本発明は、式Iによる上記の化合物、その薬学的に許容される塩、またはその必要性のある哺乳類における糖尿病の治療における使用のための医薬組成物を提供する。好ましくは、使用は2型糖尿病の治療のためであり、哺乳類はヒトである。
【0015】
本発明は、糖尿病の治療のための医薬品の製造における、式Iによる化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。好ましくは、医薬品は2型糖尿病の治療のためのものであり、哺乳類(特にヒト)の治療のためのものである。
【0016】
さらにもう一つの形態において、本発明は、式IIの中間化合物
【化2】

(式中、Rは、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル、フェニルおよびC1−5アルキルフェニルから選択されて、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する)を提供する。好ましいR基は、C1−2アルキル、C1−2ハロアルキル、フェニルおよびC1−2アルキルフェニルを含む。特に好ましいR基は、メチル、エチル、フェニルおよびベンジルを含む。
【0017】
本発明は、式Iについて上記された(3S)−3−[4−[[5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]−2−チエニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イン酸を調製するプロセスも提供する。方法は、式IIによる中間化合物を脱保護または脱エステル化して、式1またはその薬学的に許容される塩の化合物を調製することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者は容易に理解し、不必要な実験なしに脱保護反応を実施することができるだろう。カルボン酸および保護されたカルボン酸に加えて、カルボン酸へ容易に転化することができる他の官能基を、カルボン酸または保護された酸の代わり使用できることは当業者によって認識されるだろう。かかる官能基、調製、およびカルボン酸へこれらの基の変換は、Larock.R.Cによる「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」、Wiley VCH、1999年、および「March’s Advanced Organic Chemistry, Reactions, Mechanisms and Structure」Smith,M.B.およびMarch,J.、Wiley−Interscience、第6版、2007年中で見出すことができる。
【0019】
本発明の化合物((3S)−3−[4−[[5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]−2−チエニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イン酸)は薬学的に許容される塩として提供することができる。「薬学的に許容される塩」は、臨床および/または獣医学分野の使用について許容可能であると判断される本発明の化合物の塩を指す。薬学的に許容される塩およびそれらの調製のための一般的な方法論は当該技術分野において周知である。例えば、P.Stahl,et al.、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use、(VCHA/Wiley−VCH、2002);S.M.Berge,et al.、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Sciences(66巻、1977年1月1日号を参照されたい。
【0020】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤」という用語は、担体、希釈剤および賦形剤が組成物の他の成分と薬学的に適合性があることを意味する。
【0021】
特定の置換基は明瞭性のために以下のスキーム中で消去されており、いかなる方法でもスキームの教示を限定することは意図しない。さらに、個々の異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーは、キラルクロマトグラフィー等の方法によって式Iの化合物の合成における任意の好都合な時点で分離することができる。加えて、以下のスキームおよび調製中に記載される中間体は、多数の窒素、ヒドロキシおよび酸保護基(エステル等)を含有する。可変的な保護基は、実行される特定の反応条件および特定の変換に応じて、各事例において同じかまたは異なり得る。保護および脱保護の条件は当業者に周知であり、文献中で記載される。例えば、Greene and Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis(T.Greene and P.Wuts編、第2版、1991年)を参照されたい。
【0022】
本明細書において使用される略称は、Aldrichimica Acta,Vol.17,No.1,1984に従って定義される。他の略称は以下のように定義される。「ADDP」は1−(アゾジカルボニル)ジピペリジンを指し;「BSA」はウシ血清アルブミンを指し;「DIBAL−H」は水素化ジイソブチルアルミニウムを指し;「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを指し;「DMEM」はDulbecco改変Eagle培地を指し;「DTT」はジチオスレイトールを指し;「ESI」はエレクトロスプレーイオン化を指し、「EtOAc」は酢酸エチルを指し;「EtOH」はエチルアルコールまたはエタノールを指し;「F12」はハムF12培地を指し;「FBS」はウシ胎仔血清を指し;「HEK」はヒト胚腎臓を指し;「IC50」は、その薬剤に可能な最大の抑制性応答の50%を産生する薬剤の濃度を指し;「MeOH」はメチルアルコールまたはメタノールを指し;「NBS」はN−ブロモスクシンイミドを指し;「PPAR」はペルオキシソーム増殖剤応答性受容体を指し;「PPRE」はペルオキシソーム増殖剤応答エレメントを指し;「RFU」は相対的蛍光単位を指し;「RPMI」はRoswell Park Memorial Instituteを指し;「RT」は周囲室温を指し;「THF」はテトラヒドロフランを指し;「TK」はチミジンキナーゼを指す。
【0023】
本明細書において使用される時アルキルという用語は、直鎖アルキル(エチルまたはn−プロピル等)、または分岐鎖アルキル(イソプロピルまたはtert−ブチル等)である。C1−4ハロアルキルという用語は、アルキル鎖の炭素に1、2、3またはそれ以上のハロ基が付加したアルキル基を指す。2つ以上のハロゲンがあるならば、同じ炭素にハロゲンを付加する必要はない。この用語は、アルキル基の水素原子がすべてハロゲンと置き換えられるパーハロアルキルも含む。
【0024】
以下のスキームにおいて、特別の指示の無い限り、すべての置換基はあらかじめ定義される。試薬および出発物質は、当業者には一般的に容易に入手可能である。他のものは、有機化学および複素環化学の標準的な技法(それは公知の構造的に類似の化合物の合成に相似する)、ならびに任意の新規の手順を含む調製例および実施例中に記載される以下の手順によって作製することができる。
【化3】

【化4】
【実施例】
【0025】
調製例および実施例
以下の調製例および実施例は本発明をさらに例証し、式(I)の化合物の典型的な合成を代表する。化合物はIUPACNAME ACDLABSまたはSymyx Draw 3.2によって命名される。
【0026】
調製例1
8−メトキシキノリン
THF(10L)中の水酸化カリウム(435g、7.76mol)を、8−ヒドロキシキノリン(250g、1.724mol)の溶液へ周囲温度で添加し、撹拌した。ヨウ化メチル(435g、2.58mol)を1滴ずつ添加し、一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、THF(2L)により固形物を洗浄した。溶液を濃縮乾固し;水を添加し;ジクロロメタン(2×3L)により抽出し;有機層を合わせ;ブラインにより洗浄した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムの上で乾燥した。固形物を濾過によって除去した。濾液を回収し、減圧下で濃縮して、経時的に凝固する赤色油を生じ、表題化合物(281g、102%)を得て、これはさらに精製せずに使用することができた。ESI(m/z)160(M+H).
【0027】
調製例2
8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
EtOH(1L)中のシアノ水素化ホウ素ナトリウム(505g、8.11mol)を、EtOH(9L)中の8−メトキシキノリン(425g、2.673mol)の溶液へ添加し、撹拌した。反応混合物を0℃の内部温度まで冷却し、内部温度が20℃を超えて上昇しないように、HCl(35%、1.12L、10.962mol)を60分にわたって添加した。反応混合物を放置して周囲温度まで暖め、次いで2.5時間加熱還流した。周囲温度まで冷却し、一晩撹拌した。水酸化アンモニウム(25%、1L)を添加し;水(15L)で希釈し;ジクロロメタン(3×10L)により混合物を抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムの上で乾燥した。濾過によって固形物を除去した。濾液を回収し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、酢酸エチル:ヘキサン(1:10)により溶出して、表題化合物(357g、82%)を得た。ESI(m/z)164(M+H).
【0028】
調製例3
メチル−5−メチルチオフェン−2−カルボキシレート
MeOH(1L)中の塩化チオニル(153ml、2.1mol)を、5−メチルチオフェン−2−カルボン酸(100g、0.703mol)の溶液へ1滴ずつ0℃で20分間にわたって添加し、撹拌した。添加が完了した後、反応混合物を3.5時間加熱還流した。冷却し、真空で濃縮して、濃厚な油を得た。EtOAc(500ml)により油を希釈し、水(300ml)次いでブライン(300ml)により連続して洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムの上で乾燥した。濾過によって固形物を除去した。濾液を回収し、減圧下で濃縮して、表題化合物(106g、97%)を得て、これはさらに精製せずに使用することができた。ESI(m/z)156(M+H).
【0029】
調製例4
メチル5−(ブロモメチル)チオフェン−2−カルボキシレート
クロロホルム(2.6L)中の新たに再結晶させたNBS(323.8g、1.81mol)を、メチル−5−メチルチオフェン−2−カルボキシレート(258g、1.65mol)の溶液へ室温で添加し、撹拌した。過酸化ベンゾイル(3.99g、0.016mol)を添加し、反応混合物を7時間加熱還流した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、珪藻土を通して濾過した。クロロホルム(250ml)により濾過ケーキを洗浄した。有機層を回収し、溶媒を除去して、表題化合物(388g、100%)を得て、これをさらに精製せずに使用した。ESI(m/z)236(M+H).
【0030】
調製例5
メチル−5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]チオフェン−2−カルボキシレート
EtOH(500ml)中のメチル−5−(ブロモエチル)チオフェン−2−カルボキシレート(432.5g、1.84mol)を、EtOH(1L)中の8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(300g 1.84mol)の溶液へ添加し、撹拌した。DIPEA(641ml、3.67mol)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応の完了後に、EtOHを真空で除去し、水(5L)を添加した。EtOAc(3×3L)により水層を抽出し;有機層を合わせ;硫酸ナトリウムの上で乾燥した。溶液を濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、酢酸エチル:ヘキサン(6:94)により溶出して、表題化合物(325g、56%)を得た。ESI(m/z)318(M+H).
【0031】
調製例6
[5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]−2−チエニル]メタノール
THF(4L)中のDIBAL−H(トルエン2.7L中で1M、2.66mol)を、メチル−5−(8−メトキシ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチル)チオフェン−2−カルボキシレート(281g、0.886mol)の撹拌した溶液へ、−70℃で1.5時間の期間にわたってカニューレを介して徐々に添加した。薄層クロマトグラフィー(TLC)によって反応の完了についてモニタリングした。反応の完了後に、反応混合物を放置して20℃まで暖め、塩化アンモニウムの飽和溶液を添加した。酒石酸カリウムナトリウム(5Lの水中で1.3kg)の溶液を添加し、一晩撹拌した。有機層を分離し;EtOAc(2×5L)により水相を抽出し;次いで有機層を合わせ;合わせた有機層を硫酸ナトリウムの上で乾燥した。濾過によって固形物を除去した。濾液から溶媒を減圧下で除去して、白色固形物(252g、98%)として表題化合物を得た。ESI(m/z)290(M+H).
【0032】
調製例7
エチル(3S)−3−[4−[[5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]−2−チエニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イオネート
THF(3L)中のトリブチルホスフィン(EtOAc中の50%溶液、543ml、1.34mol)を、ADDP(282.5g、1.5当量)の溶液へ添加し、0℃の内部温度まで混合物を冷却し、次いで15分間撹拌した。THF(3L)中の(S)−エチル3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イオネート(173.5g、0.747mol)を15分間にわたって滴下により添加し;次いでTHF(5L)中の5−((8−メトキシ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチル)チオフェン−2−イル)メタノール(216g、0747mol)を添加した。反応混合物を放置して周囲温度まで暖め、一晩撹拌した。反応混合物を珪藻土を通して濾過し、酢酸エチル(2L)により濾過ケーキを洗浄した。有機濾液を濃縮乾固した。水(4L)を添加し;酢酸エチル(3×5L)により抽出し;有機層を合わせ;合わせた有機層を硫酸ナトリウムの上で乾燥した。固形物を濾過によって除去し、減圧下で濃縮して、油を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、酢酸エチル:ヘキサン(6:94)により溶出して、表題化合物(167g、44%)を得た。ESI(m/z)504(M+H).
【0033】
実施例1
(3S)−3−[4−[[5−[(8−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)メチル]−2−チエニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イン酸
【化5】

水(372ml)中の水酸化カリウム(49.76g、0.88mol)の溶液を、EtOH(1.49L)中の(S)−エチル−3−(4−((5−8−メトキシ−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチル)チオフェン−2−イル)メトキシフェニル)ヘキサ−4−イオネート(149g、0.296mol)の溶液へ室温で添加し、一晩撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、水(1.3L)を添加した。生じた溶液をEtOAc(2×300ml)により抽出し、分離した。水層のpHを2N HClによりpH=6へ合わせた。生じた固形物を回収した。熱MeOH(298ml、2体積)から固形物を再結晶させて、表題化合物(91g、65%)を得た。ESI(m/z)476(M+H).
【0034】
GPR40:情報
Nagasumiによって最近報告されたインスリンIIプロモーターの制御下でヒトGPR40遺伝子を過剰発現するトランスジェニックマウスを使用する研究の結果は、特にインスリン抵抗性のげっ歯類モデルにおける、in vivoのGDISおよび血漿グルコースレベルの調節においてGPR40が重要な役割を果たすということをさらに支持する。Nagasumi K,et.al.,Overexpression of GPR40 in pancreatic β−cells augments glucose−stimulated insulin secretion and improves glucose tolerance in normal and diabetic mice,Diabetes 58:1067−1076,2009.Briscoe CP et al.,The orphan G protein−coupled receptor GPR40 is activated by medium and long chain fatty acids,Journal Biological Chemistry 278:11303−11311,2003.も参照されたい。これらの所見は、新しいGPR40調整物質化合物の開発がT2Dの治療における使用のために特に所望され得ることをさらに支持する。
【0035】
Calcium Flux Primaryアッセイ
実施例1の化合物は以下に記載するように本質的に試験され、Calcium Flux Primaryアッセイについて1μM未満のEC50値を示す。
【0036】
リガンドがGPR40を結合し活性化する時に生じる細胞内カルシウム濃度の増加の測定によって化合物をスクリーニングし、したがってGPR40アゴニストの効能および有効性を実証することに、このアッセイは使用される。10%FBSおよび800μg/mlジェネティシンを補足した3:1比率のDulbecco改変Eagle培地+F12培地中で37℃および5%のCOで維持した、ヒトGPR40 cDNAを過剰発現するHEK293細胞を研究に用いる。アゴニストアッセイは、アッセイバッファー(1×HBSS(Hanks平衡塩類溶液)および20mM HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸))中で、0.1%脂肪酸不含有BSAの存在下において、Calcium 4 Dyeアッセイキット(Molecular Devices)を使用して実行する。受容体活性化は蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)を使用して、細胞内カルシウムの増加として測定される。ベースラインを超える蛍光の最大変化を使用して、アゴニスト反応を決定する。化合物のEC50(最大反応の2分の1での有効濃度)値は、濃度対相対的蛍光単位(RFU)のプロットによってExcel Fitソフトウェア(バージョン4;IDBS)を使用して計算する。パーセント有効性は、天然リガンド(リノール酸)と比較して、化合物によって示された最大反応に基づいて計算される。このアッセイで検査した時に、実施例1の試験化合物は84±24%の有効性で152±52nMのEC50を有する。これらの結果は、GPR40アゴニストとしてのこの化合物の所望される効能および有効性をさらに実証する。
【0037】
グルコース依存性インスリン分泌(GDIS)アッセイ
GPR40の活性化はインスリン分泌(それは高グルコース濃度に依存する)をもたらすことが公知であるので、2つの分離したアッセイシステム(インスリノーマ細胞株および初代げっ歯類膵島)を開発して、上で論じられたGPR40プライマリーアッセイにおいて細胞内カルシウムを増加させることが分かった化合物をさらに特徴づける。
【0038】
GDISアッセイはマウスインスリノーマ細胞株Min6を使用して実行する。Min6細胞は、非必須アミノ酸、10%FBS、50mM 2−メルカプトエタノールならびに1%ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するDulbecco改変Eagle培地(DMEM)中で37℃+5%COで維持される。実験の日に、細胞をグルコース不含有のあらかじめ温めた200μlのKrebs−ringerバッファーにより2回洗浄する。2.5mMグルコースを含有するあらかじめ温めた200μLのKrebs−ringerバッファーの添加を使用して細胞を飢餓状態にし、続いて高濃度のグルコース(25mM)の存在下において化合物を添加する。プレートを37℃で2時間インキュベーションする。2時間インキュベーションの終了時で、上清をMilliporeフィルタープレートの中に穏やかに移し、200g(重力)で3分間遠心する。インスリンはMercodiaインスリン推定キットを使用してアッセイする。0.01、0.1、1.0および10.0μMの実施例1+25mMグルコースのMin6細胞への添加は、インスリン分泌における用量依存的増加をもたらし、1.0μM用量で統計的に有意な(P<0.01)増加(25mMグルコースにより達成されたものを2.68倍上回る)であった。
【0039】
初代げっ歯類膵臓のランゲルハンス島を使用するGDISアッセイも使用して実施例の化合物を特徴づける。コラゲナーゼ消化およびHistopaque密度勾配分離によってオスSD(Sprague Dawley)ラットから膵島を単離する。膵島を、単離プロセスからの回復を促進するGlutaMAXn(L−グルタミンの安定化されたジペプチド形態(Invitrogenカタログ番号61870−010))含有RPMI−1640培地中で一晩培養する。インスリン分泌は、48ウェルプレートにおけるEBSS(Earle平衡塩類溶液)バッファー中での90分間のインキュベーションによって決定される。簡潔には、膵島を2.8mMグルコース含有EBSS中で最初に30分間プレインキュベーションし、次いで150μlの2.8mMグルコースを含有する48ウェルプレートへ移し(4膵島/ウェル)、試験化合物の存在または非存在下において2.8または11.2mMグルコースを含有する150μlのEBSSにより90分間インキュベーションする。インキュベーションの終了時にウェルからバッファーを除去し、ラットインスリンELISAキット(Mercodia)を使用してインスリンレベルをアッセイする。このアッセイシステムにおいて、ラット膵島との1、3および10μMでの実施例1のインキュベーションおよび11.2mMグルコースは、11.2mMグルコースにより達成されたものに比較して、3.0μMで統計的に有意な(P<0.05)インスリンの増加(2.1倍)をもたらす。したがって、実施例1の化合物はこのアッセイの条件下でインスリン産生を誘導する。
【0040】
選択性アッセイ:
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)α、δおよびγの結合および機能アッセイ:
GPR40はPPARγに対するリガンドによって活性化されることが公知であるので、実施例の化合物をPPARα、PPARδ、およびPPARγの結合および機能アッセイにおいて検査して、GPR40についての実施例1の化合物の選択性を決定する。実施例1の化合物をPPAR結合について以下で記載されるように本質的に試験し、それは10μM濃度の試験化合物により1000nMを超える結合値を示し、したがってPPAR活性については陰性であると判断される。
【0041】
PPARα、δおよびγ受容体についての化合物の結合親和性はシンチレーション近接アッセイ(SPA)技術を使用して査定する。ビオチン化オリゴヌクレオチド直接反復2(DR2)は、ケイ酸イットリウムストレプトアビジンコートSPAビーズへの受容体の結合のために使用される。PPARα、δ、γ、レチノイドX受容体(RXR)αをHEK293細胞において過剰発現させ、特異的な受容体を含有する細胞溶解物を個々のアッセイにおいて使用する。DR2は、10mM HEPES(pH7.8)、80mM KCl、0.5mM MgCl、1mM DTT、0.5% 3[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−プロパンスルホン酸(CHAPS)および4.4%ウシ血清を含有する、結合バッファー中で30分の期間にわたってSPAビーズへ接着される。細胞溶解物は、αおよびδ受容体アッセイのために放射性標識した(〜0.033.8μCiH)PPARα/δ二重アゴニスト対照化合物(ブタン酸、2−[4−[2−[[[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル]ヘプチルアミノ]エチル]フェノキシ]−2−メチル、Burris T.P.et al.,Molecular Pharmacology 2005,67,(3)948−954を参照)、γ受容体アッセイのために放射性標識した(〜0.037.3μCiH)PPARγアゴニスト対照化合物、(プロパン酸、2−メチル−2−[4−[3−[プロピル[[5−(2−ピリジニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]プロピル]フェノキシ]、Burris T.P.et al.,Molecular Pharmacology 2005,67,(3)948−954を参照)、110.3μgのイットリウムSPAストレプトアビジンコートビーズ、0.126nM HDオリゴDR2、ならびに上記の結合バッファー+14%グリセロールおよび5μgの剪断サケ精子DNA中での、0.5μg RXRαと0.3μg PPARα□、0.5μg RXRαと0.5μg PPARδ、または3.03μg RXRαと1.25μg PPARγのいずれかの存在下において、化合物の11の濃度のうちの1つと共に各ウェル中でインキュベーションする。非特異的結合は、αおよびδ受容体アッセイのために未標識のPPARα/δ二重アゴニスト対照化合物およびγ受容体アッセイのためにPPARγアゴニスト対照化合物の10000nMの存在下において決定される。結合反応物(96ウェル[Costar 3632]プレート中で1ウェルあたり100μl)を10時間インキュベーションし、Wallac Microbeta上で壊変毎分(dpm)をカウントする。化合物に対する受容体結合親和性(IC50)は、4パラメータロジスティック方程式と11点の濃度反応曲線をフィッティングさせることによって決定される。Kは、Cheng−Prussoff方程式および飽和結合によって決定されたKdを使用してIC50から決定される。実施例1の化合物について、結合は、10μMまでの濃度による3つのPPAR結合アッセイのいずれかにおいても検出されない。したがって、本明細書において説明されたアッセイは、実施例1の化合物は、所望されないPPAR活性を回避するがGPR40を選択的に活性化することを支持する。30μMまでで試験された場合の実施例の化合物についての相対的IC50は、PPARアイソフォームについて10μMを超え、実施例の化合物は所望されるGPR40活性化を提供するがPPAR活性を回避することを支持する。
【0042】
Gal4 PPARα、Gal4 PPARδおよびPPARγレポーター機能アッセイも使用して、実施例の化合物の選択性をモニタリングする。CV1細胞(アフリカミドリザルの腎組織に由来する)を、様々な受容体およびレポータープラスミドによりFugeneを使用してトランスフェクションする。Gal4 PPARαおよびPPARδアッセイについて、酵母転写タンパク質Gal4応答エレメントの5つのタンデムコピーを含有する、アデノウイルスの主要後期プロモーターによって駆動されるホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にクローン化されたレポータープラスミドは、Gal4 DNA結合ドメイン(DBD)、およびPPARαまたはPPARδリガンド結合のいずれかを含有するハイブリッドタンパク質を構成的に発現する、シミアンウイルス40(SV40)駆動プラスミドと共にトランスフェクションされる。PPARγアッセイについて、PPARγおよびRXRα(両者ともサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによって駆動される)をコードするプラスミドは、TKプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターcDNAおよび受容体応答エレメント(2×PPRE)を含有するプラスミドと共にトランスフェクションされる。5%活性炭で除去操作したFBSを含有するDMEM培地中でT225cm細胞培養フラスコにおいて細胞をトランスフェクションする。一晩のインキュベーション後に、トランスフェクションした細胞をトリプシン処理し;5%活性炭で除去操作したFBSを含有するDMEM培地中で不透明な96ウェルディッシュ(15000細胞/ウェル)においてプレーティングし、4時間インキュベーションし;半対数希釈で0.17ηM〜10μMの試験化合物または対照化合物へ曝露する。化合物による24時間のインキュベーション後に、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を受容体活性化の測定値として発光によって決定する。データーを4パラメータフィットロジスティックモデルへフィッティングして、EC50値を決定する。最大パーセント刺激は、10μMの適切なPPARアゴニスト対照化合物により得られた最大刺激に対して決定される。上記の特異的なPPARコトランスフェクション(CTF)/機能アッセイにおいて10μMまで検査した場合、PPARα、PPARδまたはPPARγの機能的活性化は実施例1の化合物により検出されない。したがって、アッセイは、実施例の化合物は所望されるようにPPARアゴニスト活性を回避することを支持する。
【0043】
in vivo有効性:腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)
実施例の化合物がGPR40をin vivoで活性化し、抗糖尿病性の有効性(すなわち血漿グルコースレベルの減少)をもたらす能力を検討するために、4日間の腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)研究を完了させ、以下で試験した化合物についてのデーターを示す。
【0044】
オスBalb/c(アルビノマウス)マウス(8〜9週齢)を単独収容し、通常のげっ歯類用食餌および水を自由に飲食させる。動物を体重測定し;体重によって無作為化し;体重を毎日記録する。メチルセルロースおよびツイーン−80を保有する処方を使用して、1日あたり1回3日間経口的に動物に投薬する。4日目の前夜に、動物を一晩絶食させる。4日目の朝に、グルコース負荷試験(グルコース2g/kg、腹腔内)の60分前に、化合物またはベヒクル単独を動物に経口的に投薬する。血糖レベルは、グルコースチャレンジ後0、3、7、15、30および60分で採取した尾部出血から決定する。t=0〜t=60分の血中グルコース変動幅プロファイルを使用して、各処理について濃度曲線下面積(AUC)を積分する。グルコースのパーセント低下は、ベヒクル群のAUCに対する化合物のAUCデーターから計算される。試験化合物を0.3、1.0、3.0、10または30mg/kgで経口投与し、陽性対照(3−[4−(2−メチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキサ−4−イン酸、WO2005086661を参照)を10mg/kgで投与する。グルコースレベルは、実施例1の3、10および30mg/kg用量で15分のタイムポイント、ならびに1.0、3.0、10および30mg/kg用量で30および60分のタイムポイントで、ベヒクル対照により達成されたものに比較して有意に低下する。陽性対照については、グルコースレベルは15、30および60分のタイムポイントで低下する。グルコース低下のAUCに基づいたこの化合物のED50は1.0mg/kgである。この研究からの結果は、実施例1によるGPR40の活性化がin vivoで抗糖尿病性有効性をもたらすことを実証する。
【0045】
本発明の実施例の化合物は、当該技術分野における公知の慣例(Remington’s「Pharmaceutical Sciences」、Gennaro編、Mack Publishing Co.Easton Pa.1990年中に見出されるもの等)に従って、医薬組成物(錠剤、固形カプセルもしくはゲル充填カプセル、粉末、懸濁物または溶液等)の中に容易に処方することができる。組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤および希釈剤も含むことができる。かかる処方に好適な薬学的に許容される担体、賦形剤および希釈の非限定例は、デンプン、糖、マンニトールおよびシリカ誘導体;結合剤(カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチンおよびポリビニルピロリドン等);保湿剤(グリセロール等);崩壊剤(炭酸カルシウムおよび重炭酸ナトリウム等);溶解遅延剤(パラフィン等);再吸収促進剤(第四級アンモニウム化合物等);界面活性剤(セチルアルコール、グリセロールモノステアレート等);吸着性担体(カオリンおよびベントナイト等);および潤滑剤(タルク、カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムならびに固体ポリエチルグリコール等)を含む。
【0046】
好ましい医薬組成物は経口投与のための錠剤またはカプセルとして処方されたものを含む。錠剤またはカプセルは、糖尿病(特に2型糖尿病)を治療するのに効果的な量で本発明の化合物を含むことができる。
【0047】
医薬組成物は、糖尿病(より詳細には2型糖尿病)を治療するのに効果的な量で患者へ投与される。適切な量または患者を治療するのに効果的な用量は、医療従事者によって決定することができる。