(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903203
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】服用感の優れたアミノ酸含有顆粒製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20160331BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20160331BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20160331BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
A61K31/198
A23L1/305
A61K9/16
A61P3/02
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2009-525448(P2009-525448)
(86)(22)【出願日】2008年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2008063763
(87)【国際公開番号】WO2009017193
(87)【国際公開日】20090205
【審査請求日】2011年2月17日
【審判番号】不服2014-2647(P2014-2647/J1)
【審判請求日】2014年2月12日
(31)【優先権主張番号】特願2007-199875(P2007-199875)
(32)【優先日】2007年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2007-279550(P2007-279550)
(32)【優先日】2007年10月26日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-155594(P2008-155594)
(32)【優先日】2008年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】井田 光泰
(72)【発明者】
【氏名】二宮 信豪
【合議体】
【審判長】
内田 淳子
【審判官】
穴吹 智子
【審判官】
村上 騎見高
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−212768(JP,A)
【文献】
特開2004−339062(JP,A)
【文献】
特開2004−75600(JP,A)
【文献】
特許第3233155(JP,B1)
【文献】
国際公開第2007/043363(WO,A1)
【文献】
特許第3259731(JP,B1)
【文献】
特表2003−519649(JP,A)
【文献】
特開平11−92403(JP,A)
【文献】
特開2007−169264(JP,A)
【文献】
特開2007−182411(JP,A)
【文献】
特開2008−162955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/198
A61K 9/16
A61P 3/02
A23L 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソロイシン、ロイシンおよびバリンを重量比1:1.5〜2.5:0.8〜1.7で含むアミノ酸を撹拌造粒して造粒物を得る工程、該造粒物を乾燥して顆粒を得る工程、および該顆粒を整粒する工程を含む、顆粒の最大粒径が710μm以下であり、かつ嵩密度が0.59g/mL以上、0.75g/mL以下であることを特徴とする顆粒製剤の製造方法。
【請求項2】
顆粒の最大粒径が355μm以上であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服用感の優れたアミノ酸含有顆粒製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアミノ酸含有顆粒製剤、特に分岐鎖アミノ酸含有顆粒製剤は一部顆粒が大きく口中で異物感を伴い服用感が悪い、または、1回摂取量あたりの容量が多く口中でかさばって服用しにくいなどの問題点がある。
容量と服用感とは相関が特に強いと言われている。服用時の異物感を減少させるために顆粒の粒度を小さくすると、容量が大きくなり、服用した際に口中でかさばって嚥下しにくくなる。攪拌造粒法による分岐鎖アミノ酸の低容量化技術(特許文献1)が開発され、特許化されているが、さらなる服用感の改善が望まれている。
容量を少なくするために造粒時に圧密化を行うと、造粒が進行するため一部顆粒が大きくなる。したがって、舌触りが悪化したり、服用時の異物感が大きくなったり、顆粒の崩壊性が悪化することにより吸収性が低下したりする可能性がある。また、服用感の悪化が、服用コンプライアンスの低下をまねくこともある。
【0003】
したがって、容量が小さく、かつ舌触りや異物感を感じることなく速やかに崩壊するアミノ酸含有顆粒製剤の開発が望まれている。
【特許文献1】特許第3368898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のアミノ酸含有顆粒製剤より服用感が改善され、速やかに崩壊するアミノ酸(特に、分岐鎖アミノ酸)含有顆粒製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行った結果、製剤中の顆粒の最大粒径が1000μm以下であり、かつ、嵩密度が0.57g/mL以上であるアミノ酸(特に、分岐鎖アミノ酸)含有顆粒製剤が、従来のアミノ酸含有顆粒製剤と比し、崩壊性を損なうことなく服用感を著しく改善することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は次の通りである。
〔1〕 アミノ酸を含有し、顆粒の最大粒径が実質的に1000μm以下であり、かつ嵩密度が0.57g/mL以上であることを特徴とする顆粒製剤。
〔2〕 該アミノ酸が、イソロイシン、ロイシンおよびバリンから選ばれる少なくとも一種である、〔1〕記載の顆粒製剤。
〔3〕 該アミノ酸が、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを含むものである、〔1〕記載の顆粒製剤。
〔4〕 イソロイシン、ロイシンおよびバリンの重量比が、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7であることを特徴とする、〔3〕記載の顆粒製剤。
〔5〕 嵩密度が0.59g/mL以上であることを特徴とする、〔1〕記載の顆粒製剤。
〔6〕 〔1〕記載の顆粒製剤を1回摂取量当たり1〜10g充填する、医薬品または食品。
【発明の効果】
【0006】
本発明のアミノ酸含有顆粒製剤は、製剤中の顆粒の最大粒径が実質的に1000μm以下であり、かつ、嵩密度が0.57g/mL以上であるから、容量を減らすことができる。したがって、本発明のアミノ酸含有顆粒製剤は、違和感、異物感なく服用できるので、服用コンプライアンスを高めることができる。なお、本発明のアミノ酸含有顆粒製剤は、容量を減らすため圧密化を行っているが、速やかに崩壊する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、アミノ酸(特に、分岐鎖アミノ酸)含有顆粒製剤に関する(以下、単に「本発明の顆粒製剤」と称する)。
【0008】
本発明において「顆粒製剤」とは、第15改正日本薬局方(以下、単に「日本薬局方」と称する)における顆粒剤である。
【0009】
本発明の有効成分である「アミノ酸」は、タンパク質を構成するアミノ酸およびタンパク質を構成しないアミノ酸を含む。タンパク質を構成するアミノ酸としては、脂肪族アミノ酸(グリシン、アラニン)、分岐鎖アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、バリン)、ヒドロキシアミノ酸(セリン、トレオニン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、アミド型アミノ酸(アスパラギン、グルタミン)、塩基性アミノ酸(リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン)、含硫アミノ酸(システイン、シスチン、メチオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン)、複素環式アミノ酸(トリプトファン、ヒスチジン)、イミノ酸(プロリン、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。タンパク質を構成しないアミノ酸としては、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、ホモシステイン、オルニチン、5−ヒドロキシトリプトファン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、トリヨードチロニン、チロキシンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明の顆粒製剤に含有される分岐鎖アミノ酸としては、通常医薬品や食品などに用いられるイソロイシン、ロイシン、バリンが挙げられる。
【0011】
アミノ酸は、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用可能であるが、好ましくは、L−体、DL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。
また、アミノ酸は、遊離体のみならず、塩の形態でも使用することができ、本発明において、アミノ酸は遊離体、塩の両者を包含する概念である。
塩の例としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、アミノ酸の医薬として許容され得る塩を選択することが好ましい。
アミノ酸に付加して医薬として許容され得る塩を形成する酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチル硫酸等の有機酸が挙げられる。
アミノ酸の医薬として許容され得る塩を形成する塩基の例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の金属の水酸化物または炭酸化物、あるいはアンモニア等の無機塩基;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。
【0012】
一実施態様において、本発明の顆粒製剤は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンから選ばれる少なくとも一種の分岐鎖アミノ酸を含有し、好ましくはイソロイシン、ロイシンおよびバリンをともに含有する。本発明の顆粒製剤が、イソロイシン、ロイシンおよびバリンをともに含有する場合、かかる3種の分岐鎖アミノ酸の配合比は、それぞれ重量比で、例えば、1:1.5〜2.5:0.8〜3の範囲であり、より好ましくは1:1.5〜2.5:0.8〜1.7の範囲であり、特に好ましくは1:1.9〜2.2:1.1〜1.3の範囲である。
【0013】
本発明の顆粒製剤は、製剤中の顆粒が、0.57g/mL以上、好ましくは0.59g/mL以上、より好ましくは0.62g/mL以上であり、好ましくは0.75g/mL以下の嵩密度であることを特徴とする。
嵩密度は、日本工業規格のプラスチック−塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー(PVC)−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方(規格番号JISK6720−2)の附属書(規定)塩化ビニル樹脂試験方法に記載されている嵩比重の方法(以下、JISに記載の方法という)により測定できる。
また測定顆粒を上部約15cmから軽く振りながら落下させ、容量が100mLの容器に充填された顆粒質量を量り、その顆粒質量から算出する方法(以下、簡便な方法という)により測定できる。なお嵩密度はJISに記載の方法で得た値と簡便な方法で得た値は、ほぼ同じ値である。たとえ相違があったとしても、いずれかの方法により測定した嵩密度が上記の範囲内であれば、本発明の顆粒製剤に含まれる。
【0014】
また、本発明の顆粒製剤は、製剤中の顆粒の最大粒径が、実質的に1000μm以下、好ましくは実質的に850μm以下、より好ましくは実質的に710μm以下であり、好ましくは355μm以上であることを特徴とする。
本願において「実質的」とは、服用時に違和感、異物感を感じない程度に1000μm(好ましくは850μm、より好ましくは710μm)を超える粒径の顆粒を含み得ることを示す。服用時に違和感、異物感を感じない程度とは、例えば、1000μmより大きく1400μm以下の顆粒が1%以下(最大粒径が実質的に1000μmのとき)、850μmより大きく1000μm以下の顆粒が1%以下(最大粒径が実質的に850μmのとき)、710μmより大きく850μm以下の顆粒が1%以下(最大粒径が実質的に710μmのとき)の場合などである。
また、日本薬局方顆粒剤粒度規格を満たすためには、355μm以下の顆粒は15%以下である。
【0015】
最大粒径の測定方法について、以下に記載する。
直径20cm、目開き1400、1000、850、710、600、500、400、355μmのステンレス製篩および受け器を用いる。受け器は一番下とし、目開きが細かい篩から順に下から重ねる。測定顆粒約50gを一番上の1400μm篩上にのせ、ロータップ式篩振とう機で5分間振とうする。振とう後、各篩上顆粒質量を量り、篩上質量換算粒度分布(%)を算出する。上述の服用時に違和感、異物感を感じない程度の顆粒の篩上質量換算粒度分布を除いた篩上質量換算粒度分布が0%であった目開きを最大粒径とする。篩の目開きは適宜変更して試験を行うことができる。
【0016】
本発明の顆粒製剤は、公知の造粒法(例えば、撹拌造粒法、押出造粒法、流動層造粒法、圧扁造粒法など)で造粒することができる。また、造粒された顆粒に対し公知の整粒法(例えば、衝撃式整粒法、架砕式整粒法、押付式整粒法、篩分け法など)を単独で使用または併用することにより、整粒することができる。前記の方法のうち、圧密化を行うという観点と粒度分布の範囲を制御するという観点とから、撹拌造粒法または押出造粒法、ならびに架砕式整粒法および篩分け法を併用することが好ましい。
【0017】
前記造粒法により、前記嵩密度の顆粒を得ることができる。造粒の好ましい条件は、例えば特許3368898号公報に記載されており、酸を添加することによって、嵩密度の大きい顆粒を得ることができる。酸は、好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、炭酸、リン酸、塩酸などであり、0.1〜5質量%の範囲で適宜添加される。これらの酸は、水溶液として単独で添加しても良いし、結合剤のような他の添加物と一緒に添加しても良い。造粒時の条件は当業者であれば適宜調整して行うことができ、装置の選定、条件設定次第では前記嵩密度および最大粒径を有する顆粒を得ることも可能である。
【0018】
また、顆粒の粒径は整粒条件によっても決定されることができ、当業者であれば前記整粒法を用いた整粒の条件は適宜調整することができる。篩分け法についての条件を以下に例示する。篩過機の目開きの設定は、355μmおよび1000μm、好ましくは400μmおよび850μm、より好ましくは400μmおよび710μmである。また、篩過機を通す回数に制限はない。なお、当業者であれば篩過機の目開きの数値の設定、篩過機を通す回数、篩過機の篩過機構の変更などを適宜調節することにより、目的とする粒径の顆粒を得ることが出来る。
【0019】
本発明の顆粒製剤は、造粒工程または整粒工程のみ、すなわち造粒機のみまたは整粒機のみを用いて得られた顆粒であっても、製剤中の顆粒の最大粒径および嵩密度が上記の範囲であれば、それを最終顆粒製剤として使用しても良い。この際、好ましい造粒機は、撹拌造粒機(例えば、FS−GS−65JED(深江パウテック社製))、押出造粒機(例えば、ペレッターダブルEXD−100(不二パウダル社製))、圧扁造粒機(例えば、ローラーコンパクターMP90×30(ターボ工業社製))、流動層造粒機(例えば、FLO−15(フロイント産業社製))であり、好ましい整粒機は、架砕式整粒機(例えば、ロールグラニュレーターGRN−T54S(日本グラニュレーター社製))、押付式整粒機(例えば、コーミルQC−197S(パウレック社製))、衝撃型整粒機(例えば、ニュースピードミルND−30(岡田精工社製))である。
ハイスピードミキサーFS−GS−65−JEDであれば、アジテータ:50〜200rpm(好ましくは90〜150rpm)、チョッパー:1000〜3600rpm(好ましくは3000〜3600rpm)、造粒時間:10〜50分(好ましくは22〜42分)で造粒を行うことが好ましい。ハイフレックスグラルHF−GS−65−JEであれば、アジテータ:50〜250rpm(好ましくは90〜200rpm)、チョッパー:1000〜2500rpm(好ましくは1500〜2500rpm)、造粒時間:10〜50分(好ましくは15〜35分)で造粒を行うことが好ましい。攪拌造粒機の場合、好ましい造粒条件は機器によって異なるが、当業者であれば適宜条件を調節することができる。
【0020】
また本発明の顆粒製剤は、矯味、着香、着色などの目的でコーティングしたコート顆粒であっても、製剤中の顆粒の最大粒径および嵩密度が上記の範囲であれば、それを最終製剤として使用して良い。造粒工程または整粒工程で得られた顆粒を前記目的でコーティングしてもよい。つまり、粒度、嵩密度を整粒等により調整した後にコーティングを行っても、コーティングした後整粒等による調整を行っても良く、投与時の最大粒径および嵩密度が上記の範囲であれば良い。コーティングは、公知の方法で行うことができ、例えば、スプレーコーティング法、流動コーティング法、パンコーティング法、転動コーティング法などを用いることができる。上記方法のうち、顆粒製剤への適用のし易さや均一なコート膜を得る観点から、流動コーティング法や転動流動コーティング法を用いることが好ましい。コーティングは、例えば、流動層造粒機FLO-15(フロイント産業社製)や流動層造粒・コーティング機GPCG-60(パウレック社製)や微粒子コーティング機MP-25SFP(パウレック社製)や転動流動層造粒機SFC-5(フロイント産業社製)などを用いて行うことが可能である。
【0021】
本発明の顆粒製剤は、医薬品および食品などとして有用であるが、特に医療用として有用である。その投与対象としては、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)等が挙げられる。
【0022】
本発明の顆粒製剤が医薬品である場合、一般に、アミノ酸と担体とを含む。担体は、医薬として許容され得る担体であれば特に限定されないが、例えば後述の製剤用物質(賦形剤、溶剤等)が挙げられる。
【0023】
これらの医薬品は、製剤上の必要に応じて、薬理学的に許容し得る各種の医薬品または食品の製剤用物質(補助剤等)を配合することができる。製剤用物質は例えば、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤、溶剤等が挙げられる。更に、製剤用物質を具体的に例示すると、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよびその他の糖類、タルク、牛乳蛋白、ゼラチン、澱粉、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、ポリエチレングリコール、および溶剤、例えば滅菌水および一価または多価アルコール、例えばグリセロール等を挙げることができる。
【0024】
また、コーティングに使用するコート剤も、薬理学的に許容し得る各種の製剤用物質を配合することができる。製剤用物質は、例えば、結合剤、甘味剤、酸味剤、着香剤・香料、着色剤が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、l−メントール、グレープフルーツエッセンス、三二酸化鉄、食用青色1号、食用赤色3号などが挙げられる。コート剤の形状は、液状のコート液であっても良く、固形状のシートであっても良い。
【0025】
また、本発明の顆粒製剤を厚生労働省の規定する保健機能食品などの飲食品として提供することも可能であり、この保健機能食品には、特定の用途に用いるものであるという表示を付した食品、特に特定保健用食品、栄養機能食品なども含まれる。
さらに、本発明の顆粒製剤を食品補助剤として利用することも可能である。本発明における食品補助剤とは、食品として摂取されるもの以外に栄養を補助する目的で摂取されるものをいい、栄養補助剤、サプリメント(特にダイエタリーサプリメント)などもこれに含まれる。
【0026】
本発明の一実施態様は、上記顆粒製剤を1回摂取量当たり好ましくは1〜10g、より好ましくは3〜5g充填した医薬品または食品である。このような態様にすることにより本発明の顆粒製剤の有用性は更に明確となる。すなわち該容量の医薬品または食品を一度に摂取する場合、服用感は非常に重要であり服用コンプライアンス等に直接影響を与える要因となる。大きな粒径の顆粒が減り、顆粒の大きさもそろっている本発明の顆粒製剤を使用することによって、既存の顆粒製剤の包装品と同容量・同体積であるにもかかわらず、服用感がより良い医薬品または食品の包装品が得られることになり、該容量における服用コンプライアンスの向上が期待できる。
【0027】
顆粒製剤の包装としては、通常医薬品、食品の包装に使用される包材・包装方法が使用できる。例えば、分包包装、スティック包装などが使用できる。包材としては、例えば、アルミシート(例えば、ポリエチレンテレフタレート+アルミニウム+ポリエチレン)、あるいは、特開平10−305518号公報、特開平10−305868号公報、特開平11−70607号公報記載の包材などを用いることができる。またスティック包装時の充填には、通常使用されるスティック充填包装機を用いることができる。
【0028】
以下に実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
(製造例1)
3種の分岐鎖アミノ酸(重量比でイソロイシン:ロイシン:バリン=1:2:1.2)13.92kgを撹拌造粒機(FS−GS−65JED、深江パウテック社製)に入れ、アジテータ100rpm、チョッパー2600rpmの条件で表1の結合液を用いて30分間、造粒を行った。得られた造粒物は、流動層造粒機(FLO−15、フロイント産業社製)により給気温度80℃で乾燥させ、嵩密度0.60g/mLの顆粒を得た。この顆粒を目開き1000μmの篩過機を通し、目開き1000μm篩上顆粒は整粒機(ND−02S、岡田精工社製)により整粒を行う。目開き1000μm篩下顆粒と整粒後顆粒とを、目開き355μmの篩過機を通し、最終顆粒を得た。この最終顆粒の、簡便な方法による嵩密度は0.59g/mL、最大粒径は1000μm未満であった。本製剤の処方を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(製造例2)
3種の分岐鎖アミノ酸(重量比でイソロイシン:ロイシン:バリン=1:2:1.2)13.92kgを撹拌造粒機(HF−GS−65JE、深江パウテック社製)に入れ、アジテータ127rpm、チョッパー2000rpmの条件で表1の結合液を用いて21分間造粒を行う。得られた造粒物は、流動層造粒機(FLO−15、フロイント産業社製)により給気温度80℃で乾燥させ、顆粒を得る。この顆粒を目開き850μmの篩過機を通し、目開き850μm篩上顆粒は整粒機(GRN−T54S、日本グラニュレーター社製、ロールピッチ4mm、2mm、1mm、0.6mm)により整粒を行う。目開き850μm篩下顆粒と整粒後顆粒とを、目開き355μmの篩過機を通し、最終顆粒を得る。この最終顆粒の、簡便な方法による嵩密度は約0.60g/mL、最大粒径は850μm未満である。
【0032】
(製造例3)
3種の分岐鎖アミノ酸(重量比でイソロイシン:ロイシン:バリン=1:2:1.2)13.92kgを撹拌造粒機(HF−GS−65JE、深江パウテック社製)に入れ、アジテータ127rpm、チョッパー2000rpmの条件で表1の結合液を用いて21分間造粒を行う。得られた造粒物は、流動層造粒機(FLO−15、フロイント産業社製)により給気温度80℃で乾燥させ、顆粒を得る。この顆粒を目開き850μmの篩過機を通し、目開き850μm篩上顆粒は整粒機(ND−02S、岡田精工社製)により整粒を行う。目開き850μm篩下顆粒と整粒後顆粒とを、流動層造粒機(FLO−15、フロイント産業社製)に投入し、表2のコート液2.843kgを噴霧してコーティングを行う。この顆粒を目開き850μmの篩過機を通し、目開き850μm篩上顆粒は整粒機(GRN−T54S、日本グラニュレーター社製、ロールピッチ4mm、2mm、1mm、0.6mm)により整粒を行う。目開き850μm篩下顆粒と整粒後顆粒とを、目開き355μmの篩過機を通し、最終顆粒を得る。この最終顆粒の、簡便な方法による嵩密度は約0.60g/mL、最大粒径は850μm未満である。
【0033】
【表2】
【0034】
(試験例1)
篩分け法によって粒度分布の範囲を調整した顆粒を調製し、一定の粒径以上の顆粒をゼロとし、日本薬局方顆粒剤の粒度規格に適合する模擬顆粒を調製し、パネラーを用いて服用させ、評価を行った。嵩密度は簡便な方法で測定した。
官能評価例
試験者:30〜40歳代 4名
評価方法:試験顆粒をコップ半分(約100mL)の水で服用した。服用後、量、飲み込みやすさ、異物感について、評価を行った。服用感として良好である“量が少ない”、“飲み込みやすい”、“異物感が少ない”を5点とし、服用感が悪くなる“量が多い”、“飲みこみにくい”、“異物感が多い”を1点とし、5段階で評価を行った。各項目での平均を求め、1.0点≦平均点<2.0点で×、2.0点≦平均点<3.0点で△、3.0点≦平均点<4.0点で○、4.0点≦平均点≦5.0点で◎の評価とした。
また、崩壊試験を実施した。崩壊時間が15分以内を◎、15分<崩壊時間≦30分を○、30分<崩壊時間≦60分を△、60分より遅い場合を×の評価とした。
結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
(試験例2)
篩分け法によって粒度分布の範囲を調整した顆粒を調製し、一定の粒径以上の顆粒をゼロとし、日本薬局方顆粒剤の粒度規格に適合する模擬顆粒を調製し、パネラーを用いて服用させ、評価を行った。嵩密度はJISに記載の方法で測定した。
官能評価例
試験者:40歳代 2名
評価方法:試験顆粒をコップ半分(約100mL)の水で服用した。服用後、量、飲み込みやすさ、異物感について、評価を行った。服用感として良好である“量が少ない”、“飲み込みやすい”、“異物感が少ない”を5点とし、服用感が悪くなる“量が多い”、“飲みこみにくい”、“異物感が多い”を1点とし、5段階で評価を行った。各項目での平均を求め、1.0点≦平均点<2.0点で×、2.0点≦平均点<3.0点で△、3.0点≦平均点<4.0点で○、4.0点≦平均点≦5.0点で◎の評価とした。
また、崩壊試験を実施した。崩壊時間が15分以内を◎、15分<崩壊時間≦30分を○、30分<崩壊時間≦60分を△、60分より遅い場合を×の評価とした。
結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
以上より、嵩密度が0.57g/mL以上、中でも0.59g/mL以上、特に0.62g/mL以上の顆粒が好ましく、かつ、製剤中の顆粒の最大粒径が1000μm以下、特に710μm以下の粒度分布の顆粒が好ましいことが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のアミノ酸含有顆粒製剤は、製剤中の顆粒の最大粒径が実質的に1000μm以下であり、かつ、嵩密度が0.57g/mL以上であるから、容量を減らすことができる。したがって、本発明のアミノ酸含有顆粒製剤は、異物感なく服用できるので、服用コンプライアンスを高めることができる。なお、本発明のアミノ酸含有顆粒製剤は、容量を減らすため圧密化を行っているが、速やかに崩壊する。
本出願は、日本で出願された特願2007−199875(出願日:2007年7月31日)、特願2007−279550(出願日:2007年10月26日)および特願2008−155594(出願日:2008年6月13日)を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含される。