(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るミラーデバイスの平面図を、
図2は、
図1のII−II線における断面図を、
図3は、ストッパの斜視図を示す。
【0015】
ミラーデバイス1は、揺動可能なミラー21,21,…を有するミラー基板2と、ミラー21と対向する駆動電極31,31,…を有する電極基板3と、ミラー21の揺動範囲を制限するストッパ4とを備えている。ミラーデバイス1は、いわゆるMEMSミラーであって、半導体微細加工技術を応用したマイクロマシニング技術で製造されている。ミラーデバイス1は、ミラー21とそれに対応する複数の駆動電極31,31,…を1セットとして、そのセットが複数設けられたミラーアレイデバイスである。各セットの構成は同じなので、以下では、ミラー21とそれに対応する複数の駆動電極31,31,…で構成される1つのセットについて説明する。
【0016】
ミラー基板2は、ミラー21と、ジンバル22と、枠体23と、ミラー21とジンバル22とを連結する2つの第1ヒンジ24,24と、ジンバル22と枠体23とを連結する2つの第2ヒンジ25,25と、ミラー21の周縁から外方に突出する4つのタブ26,26,…とを有している。ミラー基板2は、シリコン基板と、酸化膜と、シリコン基板よりも薄いシリコン薄膜とが積層されたSOI(Silicon on insulator)基板で構成されている。ミラー21、ジンバル22、枠体23の後述する外周部23b、第1ヒンジ24,24、第2ヒンジ25,25及びタブ26,26,…は、シリコン薄膜で構成されている。枠体23は、ベース部の一例であり、第1及び第2ヒンジ24,25は、ヒンジの一例である。
【0017】
ミラー21は、略円形状の平板で構成されている。ミラー21は、電極基板3とは反対側の面が鏡面となっており、該ミラー21に入射する光を反射するように構成されている。ミラー21は、シリコン薄膜で形成されたミラー本体部21aと、ミラー本体部21aの両面に積層され、金で構成された金属膜21b,21bとを有している(
図11参照)。表面側(電極基板3とは反対側)の金属膜21bは、ミラー21の鏡面として機能する。裏面側(電極基板3側)の金属膜21bは、ミラー本体部21aの反りを防止するためのものである。金属膜21bは、薄膜の一例である。
【0018】
ジンバル22は、ミラー21の周縁を囲む略円環状の平板で構成されている。そして、2つの第1ヒンジ24,24は、ミラー21における、中心Cを挟んで相対向する位置に設けられている。すなわち、第1ヒンジ24,24は、ミラー21の中心Cを通る直線(以下、この直線をX軸という)上に配置されている。各第1ヒンジ24は、略半径方向に直線状に延びる複数の直線部と、隣接する直線部の端部同士を連結する折返し部とを有し、つづら折り形状に形成されている。また、詳しくは後述するが、第1ヒンジ24は、シリコン薄膜で形成されたヒンジ本体部24aと、ヒンジ本体部24aの両面に積層され、金で構成された金属膜24b,24bとを有している(
図11参照)。第1ヒンジ24の一端は、ミラー21に、第1ヒンジ24の他端は、ジンバル22に連結されている。こうして、ミラー21は、第1ヒンジ24,24を介してジンバル22に連結され、X軸回りに揺動可能となっている。
【0019】
枠体23は、略方形の枠を形成する縦壁23aと、縦壁23aの一端に積層されて前記ジンバル22及びミラー21を囲む板状の外周部23bとを有している。縦壁23aは、シリコン基板及び酸化膜で構成され、外周部23bは、シリコン薄膜で構成されている。外周部23bには、第2ヒンジ25,25を介してジンバル22が連結されている。第2ヒンジ25,25は、ミラー21の中心Cを通り且つX軸と直交する直線(以下、この直線をY軸という)上に配置されている。各第2ヒンジ25は、略半径方向に直線状に延びる複数の直線部と、隣接する直線部の端部同士を連結する折返し部とを有し、つづら折り形状に形成されている。また、詳しくは後述するが、第2ヒンジ25は、シリコン薄膜で形成されたヒンジ本体部25aと、ヒンジ本体部25aの両面に積層され、金で構成された金属膜25b,25bとを有している(
図11参照)。第2ヒンジ25の一端は、ジンバル22に、第2ヒンジ25の他端は、外周部23bに連結されている。こうして、ジンバル22は、第2ヒンジ25,25を介して、Y軸回りに揺動可能となっている。ジンバル22にはミラー21が連結されているため、ミラー21も、ジンバル22に合わせてY軸回りに揺動可能となっている。
【0020】
タブ26,26,…は、各第1ヒンジ24から時計回りに60°だけずれた位置と、反時計回りに60°だけずれた位置とに設けられている。すなわち、ミラー21の周縁には、第1ヒンジ24、タブ26、タブ26、第1ヒンジ24、タブ26、タブ26がこの順で周方向に60°の間隔を空けて並んでいる。タブ26は、ミラー21の半径方向に延びている。詳しくは後述するが、タブ26は、ミラー21が揺動したときに、ストッパ4と当接する部材である。
【0021】
ジンバル22のうち、前記第1ヒンジ24,24に相当する部分22a,22a及びタブ26,26,…に相当する部分22b,22b,…は、それらとの干渉を避けるために外方に膨らんでいる。尚、第1ヒンジ24及びジンバル22のうち第1ヒンジ24を囲む部分(以下、膨出部ともいう)22aは、後述するように、ストッパ4と当接して、タブ26と同様の機能を果たす。
【0022】
電極基板3は、シリコン基板で構成されている。電極基板3は、ミラー21と対向する3つの駆動電極31,31,…と、駆動電極31,31,…を囲む枠体32とを有している。
【0023】
3つの駆動電極31,31,…は、1つの円柱を、略扇形の横断面を有する柱状体に3等分した形状をしている。すなわち、各駆動電極31の扇形の中心角は、略120°となっている。ミラー21の中心Cから半径方向に延びて一方の第2ヒンジ25を通る半直線と、該半直線を時計回りに120°、反時計回りに120°ずらした2つの半直線とでミラー21を3等分したときの各領域に、各駆動電極31が配置されている。また、駆動電極31,31,…の先端は、3つの駆動電極31,31,…で形成される円柱の軸心部が最も高くなり、周縁部が最も低くなるような段差形状になっている。
【0024】
3つの駆動電極31,31,…のそれぞれ、及び3つの駆動電極31,31,…と枠体32とは、絶縁部33を介して絶縁されている。絶縁部33は、電極基板3の表面側(ミラー基板2側)から彫り込まれた絶縁溝34と、電極基板3の裏面側から埋め込まれた絶縁部材35とで構成されている。絶縁部材35は酸化シリコン(SiO
2)である。絶縁部材35の一端は、絶縁溝34の底面から絶縁溝34内へ突出している。
【0025】
各駆動電極31は、電極基板3の厚み方向に導通するようになっている。また、各駆動電極31の裏面には、電極パッド(図示省略)が設けられている。電極パッドを介して駆動電極31に電圧を印加することによって、ミラー21が静電力により揺動する。
【0026】
枠体32は、ミラー基板2の枠体23(具体的には、外周部23b)と概ね同様の枠状に形成されている。
【0027】
このように構成された電極基板3は、例えば、シリコン基板をエッチングすることによって製造される。例えば、シリコン基板の表面側からマスキングとエッチングを繰り返しながら、絶縁溝34及び駆動電極31の段差を削り込んでいく。本実施形態では、枠体32の先端面と駆動電極31,31,…の先端面とは、加工前のシリコン基板の表面が維持されている。すなわち、枠体32の先端面と駆動電極31,31,…の先端面とは、同じ高さになっている。
【0028】
ストッパ4は、枠状のスペーサ部41と、スペーサ部41に設けられた当接部42,42,…とを有している。ストッパ4は、ミラー基板2と電極基板3との間に介設される。ストッパ4は、ミラー21と当接することによって該ミラー21の揺動を所定の揺動範囲に制限する。ストッパ4は、シリコン基板で構成されている。
【0029】
スペーサ部41は、ミラー基板2の枠体23(具体的には、外周部23b)及び電極基板3の枠体32と概ね同様の枠状に形成されている。スペーサ部41は、ミラー基板2の枠体23と電極基板3の枠体32とに挟持されている。スペーサ部41は、所定の厚みを有している。スペーサ部41は、ミラー基板2と電極基板3との間隔を確保するための部材である。スペーサ部41の厚みを変更することによって、ミラー基板2と電極基板3との間隔を調整することもできる。
【0030】
スペーサ部41の内周面からは、スペーサ部41よりも薄い平板43がスペーサ部41の内方へ向かって突出している。この平板43は、全体として環状に形成されている。平板43の内径は、ミラー21(タブ26,26を除く)の外径よりも大きくなっている。平板43のうち、ミラー21の4つのタブ26,26,…と対向する4箇所に当接部42a,42a,…が設けられ、第1ヒンジ24,24と対向する2箇所には、当接部42b,42bが設けられている。ミラー21が揺動した際に、当接部42a,42a,…にはタブ26,26,…が当接し、当接部42b,42bには、第1ヒンジ24及びジンバル22の膨出部22aが当接する。
【0031】
このように構成されたミラーデバイス1の駆動について説明する。
【0032】
電極基板3においては、枠体32がグランドに接続される一方、駆動電極31,31,…に駆動電圧が印加される。このとき、ミラー基板2及びストッパ4もグランドに接続されることになる。駆動電極31に駆動電圧が印加されると、駆動電極31とミラー21との間に静電力が生じ、ミラー21が駆動電極31の方へ引き寄せられる。その結果、ミラー21は、X軸及びY軸回りに揺動する。3つの駆動電極31,31,…に印加する電圧を調整することによって、ミラー21をその法線方向が所望の方向を向くように揺動させることができる。
【0033】
ここで、ミラー21がある程度、揺動すると、タブ26又は第1ヒンジ24及び膨出部22aがストッパ4の当接部42a又は当接部42bに当接する。これにより、ミラー21の揺動が制限される。
【0034】
また、場合によっては、ミラー21は、揺動するだけでなく、駆動電極31の方へ全体的に沈み込む可能性もある。例えば、3つの駆動電極31,31,…に同じ大きさの駆動電圧を印加した場合等である。このような場合、タブ26,26,…並びに第1ヒンジ24,24及び膨出部22a,22aがストッパ4の当接部42a,…,42b,…に当接して、ミラー21の沈み込みを制限する。このように、ストッパ4がミラー21の揺動や沈み込みを制限することによって、ミラー21の駆動電極31への衝突が防止される。
【0035】
このように構成されたミラーデバイス1の製造方法の一例について説明する。
【0036】
SOI基板をエッチングすることによりミラー基板2を形成する。シリコン基板をエッチングすることによりストッパ4を形成する。さらに、シリコン基板をエッチングすることにより電極基板3を形成する。その後、ミラー基板2とストッパ4とを接合する。また、ストッパ4と電極基板3とを接合する。こうして、ミラーデバイス1が製造される。
【0037】
続いて、ミラー基板2の製造方法、特に、ミラー基板2のスパッタリングについて、より詳細に説明する。
図4は、スパッタリング用モジュール5の分解斜視図であり、
図5は、スパッタリング用モジュール5の断面図であり、
図6は、スパッタリング用モジュール5の部分的な平面図であり、
図7は、スパッタリング用モジュール5の部分的な下面図である。
【0038】
スパッタリング用モジュール5は、SOI基板50と、該SOI基板50が設置される枠体51と、SOI基板50及び枠体51を挟み込む第1マスク6及び第2マスク7とを備えている。SOI基板50は、半導体素子の一例である。
【0039】
SOI基板50に、エッチング等を施すことによって、前記ミラー21、ジンバル22、枠体23、第1ヒンジ24,24、第2ヒンジ25,25及びタブ26,26,…を形成する。尚、この段階では、ミラー21のうちミラー本体部21aだけが形成されており、金属膜21bは成膜されていない。同様に、第1及び第2ヒンジ24,25のうちヒンジ本体部24a,25aだけが形成されており、金属膜24b,25bは成膜されていない。これらミラー本体部21a、ジンバル22、枠体23、ヒンジ本体部24a,25a及びタブ26を1つのミラーユニット20として、1枚のSOI基板50に複数のミラーユニット20,20,…を形成する。
図4の例では、1枚のSOI基板50に6個のミラーユニット20,20,…が形成されている。SOI基板50は、長方形状である。ミラーユニット20,20,…は、2×3の行列状に配列されている。
【0040】
次に、スパッタリング用モジュール5を組み立てる。まず、SOI基板50を枠体51に組み込む。
【0041】
枠体51は、長方形状の枠体であり、その中央に長方形状の開口部52を有する。枠体51の開口部52には、段差53が設けられている。すなわち、開口部52は、相対的に大きな第1開口部54と、相対的に小さな第2開口部55とを有している。第1開口部54は、SOI基板50の外周形状よりも若干大きい。第2開口部55は、SOI基板50の外周形状よりも小さい。第1開口部54の深さは、SOI基板50の厚みと略同一である。また、第2開口部55の深さは、SOI基板50のうちシリコン基板及び酸化膜の厚みと略同一である。SOI基板50は、第1開口部54内に組み込まれ、段差53上に設置される。このとき、ミラー本体部21a等が形成されたシリコン薄膜が段差53と対向する一方、縦壁23aが第1開口部54から外方へ露出するようにして、SOI基板50が枠体51に組み込まれる。このとき、枠体51の第1開口部54側の表面とSOI基板50の縦壁23aとは、面一になっている。また、ミラー本体部21a、ジンバル22、枠体23、ヒンジ本体部24a,25a及びタブ26は、第2開口部55を介して、該第2開口部55側に露出している。
【0042】
続いて、第1及び第2マスク6,7を枠体51に配置する。第1マスク6は、第1開口部54側から、第2マスク7は、第2開口部55側から枠体51に配置される。
【0043】
第1マスク6は、ミラーユニット20の個数に対応した複数の開口部61,61,…を有している。各開口部61は、
図5に示すように、径の比較的大きな円形の大径部61aと、大径部61aより径が小さい円形の小径部61bとを有し、段差状に形成されている。大径部61a及び小径部61bは、同心円状に形成されている。小径部61bは、ミラー本体部21aの外周形状よりも小さい。第1マスク6は、小径部61bがSOI基板50と近接する状態で、即ち、大径部61aが外側を向くようにして枠体51に配置される。
【0044】
第2マスク7は、第1マスク6と同様の構成となっている。すなわち、第2マスク7は、ミラーユニット20の個数に対応した複数の開口部71,71,…を有している。各開口部71は、
図5に示すように、径の比較的大きな円形の大径部71aと、大径部71aより径が小さい円形の小径部71bとを有し、段差状に形成されている。大径部71a及び小径部71bは、同心円状に形成されている。小径部71bは、ミラー本体部21aの外周形状よりも小さい。第2マスク7は、小径部71bがSOI基板50と近接する状態で、即ち、大径部71aが外側を向くようにして枠体51に配置される。
【0045】
尚、第1及び第2マスク6,7は、金属プレートをエッチングすることによって形成されている。例えば、大径部をエッチングにより形成した金属プレートと小径部をエッチングにより形成した金属プレートとを溶接等により接合することによって第1及び第2マスク6,7を作成することができる。
【0046】
ここで、第1及び第2マスク6,7は、第1マスク6の開口部61及び第2マスク7の開口部71がそれぞれミラー本体部21aと同軸上に配置されるように、SOI基板50に対して位置決めされる。例えば、第1及び第2マスク6,7にはそれぞれ、位置決め用の貫通孔が形成されている。一方、SOI基板50の両面における前記貫通孔と対応する位置には、位置決め用パターン(目印)が設けられている。そして、第1マスク6を枠体51に配置する際には、顕微鏡等を使って、第1マスク6の貫通孔を介してSOI基板50の位置決め用パターンが視認できる位置に第1マスク6を配置する。同様に、第2マスク7を枠体51に配置する際には、顕微鏡等を使って、第2マスク7の貫通孔を介してSOI基板50の位置決め用パターンが視認できる位置に第2マスク7を配置する。
【0047】
別の例としては、第1及び第2マスク6,7にはそれぞれ、位置決め用の貫通孔が形成されている。この貫通孔の位置は、SOI基板50のヒンジ本体部24aに対応する位置となっている。そして、第1マスク6を枠体51に配置する際には、顕微鏡等を使って、第1マスク6の貫通孔を介してSOI基板50のヒンジ本体部24aが視認できる位置に第1マスク6を配置する。同様に、第2マスク7を枠体51に配置する際には、顕微鏡等を使って、第2マスク7の貫通孔を介してSOI基板50のヒンジ本体部24aが視認できる位置に第2マスク7を配置する。
【0048】
その後、第1及び第2マスク6,7は、枠体51に対して接着剤、接着テープ又は金属フック等で固定される。こうして、第1及び第2マスク6,7は、SOI基板50と対向した状態で配置される。
【0049】
ここで、第1マスク6が前述の如く位置決めされた結果、
図6に示すように、第1マスク6は、ジンバル22、枠体23、ヒンジ本体部24a,25a及びタブ26を覆う一方、開口部61を介してミラー本体部21aの裏面を露出させている。ただし、小径部61bは、ミラー本体部21aの外周形状よりも小さいので、開口縁部61cは、
図5に示すように、ミラー本体部21aの外周縁よりも半径方向内側へ張り出している。そのため、ミラー本体部21aの周縁部は、開口縁部61cで覆われている。また、第1マスク6は、SOI基板50のうち縦壁23aに当接しているので、SOI基板50のシリコン薄膜には当接していない。そのため、開口縁部61cと、ミラー本体部21a及びヒンジ本体部24a,25aとの間には間隔Aが設けられている。開口縁部61cの、ミラー本体部21aの外周縁からの張り出し量Bは、開口縁部61cとミラー本体部21a等との間の間隔Aと同じに設定されている。ミラー本体部21aは、第1領域の一例であり、ヒンジ本体部24a,25aは、第2領域の一例である。
【0050】
また、第2マスク7が前述の如く位置決めされた結果、
図7に示すように、第2マスク7は、ジンバル22、枠体23、ヒンジ本体部24a,25a及びタブ26を覆う一方、開口部71を介してミラー本体部21aの表面を露出させている。ただし、小径部71bは、ミラー本体部21aの外周形状よりも小さいので、開口縁部71cは、ミラー本体部21aの外周縁よりも半径方向内側へ張り出している。そのため、ミラー本体部21aの周縁部は、第2マスク7の開口縁部71cで覆われている。また、第2マスク7は、枠体51のうち第2開口部55側の表面に当接しているので、SOI基板50のシリコン薄膜には当接していない。そのため、
図5に示すように、開口縁部71cと、ミラー本体部21a、ヒンジ本体部24a,25aとの間には間隔Aが設けられている。開口縁部71cの、ミラー本体部21aの外周縁からの張り出し量Bは、第2マスク7とミラー本体部21a等との間の間隔Aと同じに設定されている。第2マスク7の間隔A及び張り出し量Bは、第1マスク6の間隔A及び張り出し量Bと同じである。
【0051】
次に、こうして組み立てられたスパッタリング用モジュール5をスパッタ装置(図示省略)に投入し、スパッタリングを行う。尚、スパッタリング用モジュール5を1つずつスパッタリングしてもよいし、複数のスパッタリング用モジュール5,5,…をキャリアプレート等に設置し、まとめてスパッタリングしてもよい。
【0052】
スパッタ装置においては、チャンバ内に金属ターゲットとしての金が配置されている。チャンバ内にはスパッタガスが供給されており、チャンバ内を所定の圧力に調整すると共に所定の電圧をかけることによりスパッタリングが行われる。スパッタリング用モジュール5は、SOI基板50の法線方向(即ち、厚み方向)が金属ターゲットの法線方向(即ち、金属ターゲットにイオンが入射する方向)と一致する状態でチャンバ内に設置される。スパッタリング用モジュール5は、第1マスク6側と第2マスク7側とからスパッタリングされる。第1マスク6側からのスパッタリングと第2マスク7側からのスパッタリングとは同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。
【0053】
このとき、金属ターゲットから飛散するスパッタ粒子の角度分布は、以下の式(1)により表される。
【0055】
ここで、S(E,θ)は、エネルギEを有する粒子が金属ターゲットに対して垂直に入射したときに、金属ターゲットの法線方向に対してθの角度で飛散するスパッタ粒子のfluxであり、α(M
1/M
2)は、ターゲットに入射する粒子の質量M
1とスパッタ粒子の質量M
2との比の関数であって、エネルギEとは独立しており、U
Sは、金属ターゲットにおける表面結合エネルギであり、E
thは、スパッタのしきい値エネルギであり、γ(θ)は、スパッタ粒子の飛散角度θの関数であって、エネルギEとは独立している。式(1)をグラフで表すと、
図8に示すようになる。
【0056】
入射する粒子のエネルギEは、放電電圧に比例している。放電電圧が或る程度大きくなると、粒子が金属ターゲットに対して垂直に入射するので、上記式(1)が成り立つ。
図8からわかるように、エネルギEが小さい場合は、金属ターゲットの法線方向に対して約45°又は約−45°(以下、飛散角度については、正負を考慮せず、絶対値で説明する。)で飛散するスパッタ粒子が略最大となる。そして、エネルギEが大きくなるにつれて、金属ターゲットの法線方向に飛散するスパッタ粒子の割合が増加していく。前記ミラーデバイス1においては、シリコン表面に金を成膜させて、鏡面を形成する。この場合、粒子のエネルギが大きすぎると、金がシリコン内に拡散してしまい、適切な鏡面を形成することができない。そのため、ミラーデバイス1のスパッタリングにおいては、粒子のエネルギを比較的小さくする必要がある。そうすると、前述の如く、金属ターゲットの法線方向に対して約45°で飛散するスパッタ粒子の量が多くなる。
【0057】
前記スパッタ装置においてはSOI基板50の法線方向と金属ターゲットの法線方向とを一致させているため、飛散角度が約45°のスパッタ粒子が多くなると、ミラー本体部21aにおける、第1及び第2マスク6,7の開口部61,71から露出する部分(以下、単に「露出部分」という)のうち、開口縁近傍の部分には、十分な膜厚の金属膜21bを形成できない。このことについて、第2マスク7を参照しながら説明する。すなわち、露出部分のうち開口部71の中央に対応する部分(以下、単に「中央部分」という)には、様々な角度から飛散するスパッタ粒子が到達して成膜される。それに対して、露出部分のうち開口部71の開口縁に対応する部分(以下、単に「周縁部分」という)には、ミラー本体部21aの法線方向に対して傾斜して飛散するスパッタ粒子のうち、半径方向外側から飛散してくるものが、第2マスク7にブロックされて到達しない。つまり、露出部分のうち周縁部分には、ミラー本体部21aの法線方向に飛散するスパッタ粒子及びミラー本体部21aの法線方向に対して傾斜して半径方向内側から飛散するスパッタ粒子が主に付着する。その結果、露出部分の周縁部分における金属膜21bの膜厚は、中央部分に比べて、薄くなる。この金属膜21bは、ミラー21の鏡面を形成する部分である。そのため、膜厚が均一である部分は鏡面として適切に機能するが、膜厚が薄くなっている部分は、金属膜21b表面がミラー本体部21aの表面とは平行ではなく、鏡面としては不適切である。このように、ミラー本体部21aに形成される金属膜21bのうち鏡面として有効に機能する部分の面積(以下、単に「有効面積」という)は、開口部71の開口面積よりも小さくなる。
【0058】
それに対して、第2マスク7の開口部71を段差形状にすることによって、開口部71の開口面積が内側(SOI基板50に近い側)に比べて外側(SOI基板50から遠い側)の方が大きくなっている。これにより、SOI基板50の法線方向に対して傾斜して、半径方向外側から飛散するスパッタ粒子を、SOI基板50の露出部分において、できる限り半径方向外側の部分に到達させることができる。これにより、金属膜21bの有効面積を拡大することができる。例えば、SOI基板50の法線方向に対して45°の角度で傾斜して、半径方向外側から飛散するスパッタ粒子について考える。
図9に示すように、内周径が一定の円筒状の開口部71’が第2マスク7に形成されているとすると、45°の角度で傾斜して飛散するスパッタ粒子のうち、第2マスク7の外表面(SOI基板50から遠い側の表面)における開口部71’の開口縁よりも半径方向内側へ飛散するスパッタ粒子P1が、ミラー本体部21aの露出部分に到達する。それに対し、
図10に示すように、開口部71を第2マスク7の外側ほど大きくなるように形成することによって、45°の角度で傾斜して飛散してくるスパッタ粒子のうち、
図9の例よりも半径方向外側から飛散してくるスパッタ粒子P2を、ミラー本体部21aの露出部分に到達させることができる。その結果、金属膜21bの有効面積を拡大することができる。
【0059】
また、SOI基板50の法線方向に対して45°の角度で飛散するスパッタ粒子が多い場合には、第2マスク7がミラー本体部21a上に載置されていると、第2マスク7の開口縁部71cとミラー本体部21aとで形成される隅部にスパッタ粒子が堆積してしまう。その結果、第2マスク7とミラー本体部21aとが結合されてしまい、第2マスク7をミラー本体部21aから引き剥がす必要がある。ミラー本体部21aの周縁部には第1及び第2ヒンジ24,25等の微細な構造が存在しており、第2マスク7をミラー本体部21aから引き剥がす際に第1及び第2ヒンジ24,25等を破損させる虞がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、第2マスク7の開口縁部71cとミラー本体部21aとの間に間隔Aを設けている。こうすることによって、開口縁部71cとミラー本体部21aとが金属膜21bにより結合されることを防止することができる。
【0061】
ところが、第2マスク7の開口縁部71cとミラー本体部21aとの間に間隔Aを設けると、ミラー本体部21aの法線方向に対して45°の角度で半径方向内側から飛散してくるスパッタ粒子P3が開口縁部71cとミラー本体部21aとの間に入り込むようになる。その結果、第1及び第2ヒンジ24,25のヒンジ本体部24a,25aにも金属膜24b,25bが形成されることになる。ヒンジ本体部24a,25aに金属膜24b,25bが形成されると、第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性が増大してしまう。第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性はミラー21の揺動の応答性に影響を与えるため、ねじり剛性の増大は好ましくない。そのため、ねじり剛性の観点からは、ヒンジ本体部24a,25aに形成される金属膜24b,25bは薄い方が好ましく、ヒンジ本体部24a,25aに金属膜24b,25bが形成されていないことがより好ましい。
【0062】
一方、ミラーデバイス1を駆動する際には、枠体32をグランドに接続することで、第1ヒンジ24,第2ヒンジ25及びジンバル22を介してミラー21もグランドに接続され、ミラー21と駆動電極31とに駆動電圧を印加される。そのため、第1及び第2ヒンジ24,25の電気抵抗は、小さい方が好ましい。その観点からは、ヒンジ本体部24a,25aに金属膜24b,25bが形成されることは好ましい。つまり、ねじり剛性の増大の防止と電気抵抗の低減とを両立させる場合には、ヒンジ本体部24a,25aに金属膜24b,25bを薄く形成することが好ましい。
【0063】
そこで、本実施形態では、第2マスク7の開口縁部71cを、ミラー本体部21aの外周縁よりも半径方向内側へ張り出させている。こうすることによって、ヒンジ本体部24a,25aに到達するスパッタ粒子を低減することができる。
【0064】
さらに、ミラー本体部21aの外周縁から半径方向内側への開口縁部71cの張り出し量Bは、開口縁部71cとミラー本体部21aとの間隔Aと同じになっている。こうすることによって、少なくともミラー本体部21aの法線方向に対する飛散角度が45°以下のスパッタ粒子がヒンジ本体部24a,25aまで到達することを阻止することができる。前述の如く、シリコン基板に金属を成膜させる場合には飛散角度が約45°のスパッタ粒子が略最大となるので、スパッタ粒子の大部分をヒンジ本体部24a,25aに到達しないようにブロックすることができる。
【0065】
一方、飛散角度が45°より大きいスパッタ粒子は、ヒンジ本体部24a,25aに到達する。しかし、飛散してくるスパッタ粒子の量は比較的少なく、また、該スパッタ粒子はヒンジ本体部24a,25aの表面に対して大きな角度で入射するため、ヒンジ本体部24a,25aに形成される金属膜24b,25bは、
図11に示すように、ミラー本体部21aに形成される金属膜21bに比べて薄くなる。
【0066】
また、開口縁部71cは、周方向に延びているので、ヒンジ本体部24a,25aの周方向両側の部分も覆っている。そのため、ヒンジ本体部24a,25aに対して周方向から飛散してくるスパッタ粒子も、開口縁部71cによりブロックすることができる。つまり、ヒンジ本体部24a,25aへ飛散してくるスパッタ粒子のほとんどは、半径方向内側から飛散してくるものである。そのため、ヒンジ本体部24aのうち、略半径方向に直線状に延びる直線部には、
図12に示すように、表面と裏面に金属膜24b,24bが形成される一方、側面には金属膜が形成され難い。直線部の全面に金属膜が形成される構成に比べて、直線部の表面及び裏面だけに金属膜24b,24bが形成される構成の方がねじり剛性が小さい。第1ヒンジ24の大部分は直線部で構成されているため、直線部に形成される金属膜24b,24bを低減することによって、第1ヒンジ24のねじり剛性の増大を抑制することができる。第2ヒンジ25についても、同様に、直線部に形成される金属膜25b,25bを低減され、それによって、第2ヒンジ25のねじり剛性の増大が抑制される。
【0067】
尚、開口縁部71cの張り出し量Bを増加させれば、ヒンジ本体部24a,25aに金属膜24b,25bが形成されないようにすることもできる。ただし、ミラー本体部61aに形成された金属膜21bの有効面積が小さくなってしまう。したがって、金属膜21bの有効面積よりもヒンジ本体部24a,25aに成膜しないことを優先する場合には、開口縁部71cの張り出し量Bを増加させればよい。
【0068】
以上の説明は、第1マスク6においても同様である。第1マスク6の開口部61から露出するのは、ミラー本体部21aの裏面であって鏡面として機能する必要はない。ただし、ミラー本体部21aの反りを防止するためには、ミラー本体部21aの裏面にも表面と同様の金属膜21bを形成する必要がある。
【0069】
したがって、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、ミラー本体部21aとミラー本体部21aに隣接するヒンジ本体部24a,25aとを有するSOI基板50の表面にスパッタリングにより金属膜21bを成膜させるものであり、開口部61を有する第1マスク6をSOI基板50に対向させて配置する工程と、前記開口部61を介して前記SOI基板50の表面に成膜するスパッタリング工程とを含み、前記第1マスク6は、前記ヒンジ本体部24a,25aを覆う一方、前記開口部61からミラー本体部21aを露出させており、前記開口部61は、前記SOI基板50から離れるほど大きくなっており、前記開口部61のうち前記SOI基板50の開口縁部61cは、前記ヒンジ本体部24a,25aとの間に間隔Aを有している。また、前記半導体素子の製造方法は、開口部71を有する第2マスク7をSOI基板50に対向させて配置する工程と、前記開口部71を介して前記SOI基板50の表面に成膜するスパッタリング工程とを含み、前記第2マスク7は、前記ヒンジ本体部24a,25aを覆う一方、前記開口部71からミラー本体部21aを露出させており、前記開口部71は、前記SOI基板50から離れるほど大きくなっており、前記開口部71のうち前記SOI基板50の開口縁部71cは、前記ヒンジ本体部24a,25aとの間に間隔Aを有している。
【0070】
前記の構成によれば、開口縁部61c,71cとSOI基板50との間に間隔Aを設けることによって、SOI基板50と第1及び第2マスク6,7のそれぞれとが金属膜を介して結合することを防止することができる。その結果、第1及び第2マスク6,7をSOI基板50から引き剥がす必要がなく、第1及び第2ヒンジ24,25を破損させてしまうことを防止することができる。
【0071】
また、開口部61,71を介してSOI基板50をスパッタリングする構成では、開口部61,71から露出する、SOI基板50の露出部分のうち、開口部61,71の開口縁近傍の部分には、十分な膜厚の金属膜21bを形成できない。すなわち、SOI基板50の法線方向に対して傾斜して、半径方向外側から飛散するスパッタ粒子を第1及び第2マスク6,7がブロックするため、露出部分の周縁部分の金属膜21bの膜厚が薄くなってしまう。そして、スパッタ粒子のうち、飛散方向がSOI基板50の法線方向に対して傾斜する成分が多くなるほど、膜厚が十分でない領域が拡大する。さらに、前述のように、開口縁部61c,71cとSOI基板50とを離間させる構成においては、半径方向外方から飛散してくるスパッタ粒子がより多くブロックされるため、膜厚が十分でない領域がさらに拡大する。それに対して、前記の構成によれば、開口部61,71は、第1及び第2マスク6,7の外表面に近づくほど大きくなるように形成されている。これにより、SOI基板50の法線方向に対して傾斜して、半径方向外側から飛散するスパッタ粒子を露出部分のより半径方向外側まで到達させることができる。これにより、ミラー本体部21aに形成される金属膜21bの有効面積を拡大することができる。
【0072】
よって、第1及び第2マスク6,7とSOI基板50との結合の防止と金属膜21bの有効面積の拡大とを両立させることができる。
【0073】
さらに、開口縁部61c,71cは、少なくともヒンジ本体部24a,25aを覆っているため、ヒンジ本体部24a,25aまで到達するスパッタ粒子を低減することができる。それにより、第1及び第2ヒンジ24,25の金属膜24b,25bを薄くできる。その結果、第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性の増大を防止することができる。また、ヒンジ本体部24a,25aに金属膜24b,25bが形成されるとしても、該金属膜24b,25bをミラー本体部21aに形成される金属膜21bよりも薄くすることができる。ミラー21を静電力で駆動する場合には、第1及び第2ヒンジ24,25の電気抵抗が小さいことが好ましい。つまり、比較的薄い金属膜24b,25bをヒンジ本体部24a,25aに形成することによって、第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性の増大を抑制しつつ、第1及び第2ヒンジ24,25の電気抵抗を低減することができる。
【0074】
さらに、開口縁部61c,71cをヒンジ本体部24a,25aよりもミラー本体部21a側に張り出させている。これにより、ヒンジ本体部24a,25aまで到達するスパッタ粒子をより低減することができる。その結果、第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性の増大をより一層防止することができる。ここで、ミラー本体部21aの外周縁から半径方向内側への開口縁部61c,71cの張り出し量Bを、開口縁部61c,71cとミラー本体部21aとの間の間隔A以下としている。これにより、開口縁部61c,71cの張り出し量Bが大きすぎて、金属膜21bの有効面積を減少させることを防止することができる。
【0075】
また、第1及び第2ヒンジ24,25の大部分を半径方向に延びる直線部で構成することによって、ヒンジ本体部24a,25aの側面に形成される金属膜24b,25bを低減することができる。これにより、第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性の増大をより一層抑制することができる。
【0076】
さらに、SOI基板50と第1及び第2マスク6,7をモジュール化することによって、SOI基板50と第1及び第2マスクとの位置精度を向上させることができると共に、スパッタリングの作業性を向上させることができる。すなわち、前記製造方法においては、SOI基板50のミラー本体部21a、第1ヒンジ24及び第2ヒンジ25と、第1及び第2マスク6,7の開口部61,71との位置合わせが重要となる。SOI基板50と第1及び第2マスク6,7をスパッタリング用モジュール5としてモジュール化することによって、SOI基板50と第1及び第2マスク6,7とを一度位置決めしておけば、その後に両者の位置関係がずれることを防止することができる。例えば、スパッタリング用モジュール5をスパッタ装置に設置する際に、SOI基板50と第1及び第2マスク6,7との位置関係を厳しく管理する必要がなくなる。そのため、スパッタリングの作業性を向上させることができる。
【0077】
また、ミラーデバイス1は、ミラー21と、枠体23と、該ミラー21と該枠体23とを連結する第1及び第2ヒンジ24,25と、該ミラー21と対向して配置され、該ミラー21を駆動する駆動電極31とを有し、前記ミラー21の表面には、金属膜21bが設けられており、前記第1及び第2ヒンジ24,25の表面には、前記ミラー21の金属膜21bよりも薄い金属膜24b,25bが設けられている。
【0078】
この構成によれば、第1及び第2ヒンジ24,25のねじり剛性を低減しつつ、第1及び第2ヒンジ24,25の電気抵抗を低減することができる。
【0079】
《その他の実施形態》
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0080】
例えば、ミラー基板2は、前記の構成に限られるものではない。例えば、ミラー21は、ジンバル22が設けられておらず、一組のヒンジを介して枠体23に支持される構造であってもよい。この場合、ミラー21は、一組のヒンジを通る軸回りに揺動することになる。さらに、ミラー21は、1つのヒンジを介して枠体23に支持される構造であってもよい。この場合、ミラー21は、1つのヒンジを基点として揺動することになる。ミラー21の形状は、前記実施形態に限られるものではない。ミラー21は、四角形や六角形等の多角形であってもよい。
【0081】
また、ミラーデバイス1の構成は、前記実施形態に限られるものではない。電極基板3は、前記の構成に限られるものではない。例えば、1つのミラー21に対して、3つの駆動電極31,31,…が設けられているが、これに限られるものではない。駆動電極31は、ミラー21に対して1つであっても、2つであっても、4つ以上であってもよい。さらに、絶縁部33は、前記の構成に限られるものではない。また、ストッパ4は、設けなくてもよい。
【0082】
第1及び第2マスク6,7の開口部61,71は、円形であるが、これに限られるものではない。開口部61,71は、ヒンジ本体部24a,25aを覆い且つ、ミラー本体部21aを少なくとも部分的に露出させることができる限りは、任意の形状とすることができる。
【0083】
また、開口部61,71は、段差状に形成されているが、これに限られるものではない。開口部61,71は、半導体素子から離れるほど開口が大きくなる形状であれば、任意の形状を採用することができる。例えば、開口部61,71は、外表面に向かって漸次拡径するすり鉢状に形成されていてもよい。
【0084】
前記実施形態では、SOI基板50と枠体51とが面一に組み込まれるので、第1マスク6は、SOI基板50及び枠体51と接触する状態で配置されているが、これに限られるものではない。SOI基板50が枠体51よりも突出してれば、第1マスク6は、SOI基板50と接触し且つ、枠体51と接触しない状態で配置されてもよい。また、SOI基板50が枠体51よりも凹んだ状態であれば、第1マスク6は、枠体51と接触し且つ、SOI基板50と接触しない状態で配置されてもよい。ただし、第1マスク6とミラー本体部21aとの距離と、第2マスク7とミラー本体部21aとの距離が同じになることが好ましい。
【0085】
また、前記実施形態では、ミラー本体部21aの外周縁から半径方向内側への開口縁部61c,71cの張り出し量Bを、開口縁部61c,71cとミラー本体部21aとの間の間隔Aと同じになっているが、これに限られるものではない。例えば、張り出し量Bを間隔A以下としてもよい。これにより、第1及び第2ヒンジ24,25の金属膜24b,25bを薄くしつつ、金属膜21bの有効面積の減少を防止することができる。あるいは、張り出し量Bを間隔Aよりも大きくしてもよい。これにより、第1及び第2ヒンジ24,25の金属膜24b,25bを可及的に薄くすることができ、場合によっては、第1及び第2ヒンジ24,25に金属膜を形成しないようにすることもできる。すなわち、前記実施形態では、第1及び第2ヒンジ24,25の表面に金属膜24b,25bが形成されているが、第1及び第2ヒンジ24,25の表面に金属膜が形成されていなくてもよい。
【0086】
前記実施形態では、SOI基板50と、枠体51と、第1及び第2マスク6,7とでスパッタリング用モジュール5を構成しているが、これに限られるものではない。半導体素子と1つのマスクとを対向させて組み込んだモジュールであれば、任意の構成を採用することができる。例えば、SOI基板50と第1マスク6とをテープ又は接着剤で結合させて、スパッタリング用モジュールを構成してもよい。
【0087】
前記実施形態では、金で構成された金属膜を成膜しているが、これに限られるものではない。例えば、Al、Ti、Cr、Fe、Ni、Co、Nb、Ta、Pt等をターゲットに用い、これらの薄膜を形成する構成であってもよい。
【0088】
さらに、前記実施形態ではミラーデバイス1を対象に説明したが、前記製造方法及び構成は、ミラーデバイス1に限定されるものではない。成膜させる領域と成膜させない領域とが隣接して設けられた半導体素子にスパッタリングを行う構成であれば、SOI基板50に限定されず、任意の半導体素子に前記製造方法及び構成を適用することができる。例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、圧力センサ、光学フィルタに前記製造方法及び構成を適用してもよい。
【0089】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。