特許第5903345号(P5903345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903345
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】鋸刃各歯の最適配置方法及び鋸刃
(51)【国際特許分類】
   B23D 61/12 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   B23D61/12 B
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-158410(P2012-158410)
(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公開番号】特開2014-18898(P2014-18898A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(73)【特許権者】
【識別番号】504279326
【氏名又は名称】株式会社アマダマシンツール
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】辻本 晋
(72)【発明者】
【氏名】上山 剛史
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−195609(JP,A)
【文献】 特開2005−305639(JP,A)
【文献】 特開2006−150486(JP,A)
【文献】 特表2010−528892(JP,A)
【文献】 米国特許第5803678(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 61/00−61/18
B27B 33/00−33/20
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する奇数個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する偶数個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された奇数個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された偶数個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列することを特徴とする鋸刃各歯の最適配置方法。
【請求項2】
前記A1群またはB1群が偶数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が奇数個のアサリ歯からなるとを特徴とする請求項1に記載の鋸刃各歯の最適配置方法。
【請求項3】
前記A群の切り歯の配列と、前記B群の切り歯の配列が鋸刃進行方向からみて、(1)A群が「S1、Lw1、Rw1、Ln1、S2、Rn1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Lw3、Rn2、S4、Ln2、Rw3」または、(2)A群が「S1、Lw1、Rn1、Ln1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Ln2、Rn2、S4、Lw3、Rw3」または、(3)A群が「S1、Ln1、Rn1、Lw1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rn2、Ln2、Rw2、S4、Lw3、Rw3」または、(4)A群が「S1、Rn1、Lw1、Rw1、S2、Lw2、Rn2」、B群が「S3、Ln1、Rw2、Lw3、S4、Rw3、Ln2、」なる配列の繰り返しで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋸刃各歯の最適配置方法。
【請求項4】
直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する奇数個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する偶数個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて前記直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された奇数個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された偶数個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列したことを特徴とする鋸刃。
【請求項5】
前記A1群またはB1群が偶数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が奇数個のアサリ歯からなることを特徴とする請求項4に記載の鋸刃。
【請求項6】
前記A群の切り歯の配列と、前記B群の切り歯の配列が鋸刃進行方向からみて、(1)A群が「S1、Lw1、Rw1、Ln1、S2、Rn1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Lw3、Rn2、S4、Ln2、Rw3」または、(2)A群が「S1、Lw1、Rn1、Ln1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Ln2、Rn2、S4、Lw3、Rw3」または、(3)A群が「S1、Ln1、Rn1、Lw1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rn2、Ln2、Rw2、S4、Lw3、Rw3」または、(4)A群が「S1、Rn1、Lw1、Rw1、S2、Lw2、Rn2」、B群が「S3、Ln1、Rw2、Lw3、S4、Rw3、Ln2、」なる配列の繰り返しで構成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の鋸刃。
【請求項7】
直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する4個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する3個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された4個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された3個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、前記アサリ歯のアサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列することを特徴とする鋸刃各歯の最適配置方法。
【請求項8】
前記A1群またはB1群が奇数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が偶数個のアサリ歯からなるとを特徴とする請求項7に記載の鋸刃各歯の最適配置方法。
【請求項9】
直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する4個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する3個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて前記直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された4個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された3個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、前記アサリ歯のアサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列することを特徴とする鋸刃。
【請求項10】
前記A1群またはB1群が奇数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が偶数個のアサリ歯からなるとを特徴とする請求項9に記載の鋸刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋸刃各歯の最適配置方法及び鋸刃に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属製の被加工材の切断には帯鋸盤が広く使用されており、この帯鋸盤の切削工具として、靱性の高いバネ鋼からなる胴部に高速度鋼や超硬合金からなる歯先を接合した、いわゆるバイメタル鋸刃が広く使用されている。
【0003】
また、形状的には歯先のピッチを複数設けて、切削騒音の低減をはかったバリアブルピッチ(不等ピッチ)鋸刃がある。更に、形状的な側面では、アサリ幅を複数設定し、歯高(基準位置から歯先までの距離)が小さい歯ほどアサリ幅を大きく設定して、切り屑の細分化をはかり、切削抵抗の低減をはかった切り溝分散歯形鋸刃が実用化されている。
【0004】
帯鋸盤では、H形鋼やI形鋼などの形鋼の切断も行われているが、特に大型のH形鋼やI形鋼を切断する場合には、切断の途中で切断溝が狭まる、いわゆる狭窄現象が発生し、鋸刃が被加工材に挟まれて切断不能になる場合がある。
【0005】
狭窄を防止する手段としては、切断溝を広げることを目的として左右のアサリ歯の振出量を大きくした鋸刃が実用化されている。また、アサリの振出量が大きくなるほど切断面が粗くなり、振出量が鋸刃の帯厚の1/2付近になると、著しく切断面が粗くなる場合があるので、これを改善する方法として、大小2種類のアサリ振出量を設けた鋸刃もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4301806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の如き切り溝分散歯形鋸刃として、例えば、本願出願人の発明である特許第4301806号の鋸刃がある。
【0008】
図5は特許文献1に記載の鋸刃29における第3実施例を示したものであり、鋸刃29の進行方向(図5において右方向)から見て、直歯S1に後続する3個(奇数個)のアサリ歯からなる第2切断歯群33(A1群)と、直歯S2に後続する2個(偶数個)のアサリ歯からなる第1切断歯群31(A2群)とがあり、A2群はA1群に後続し、A1群とA2群を合わせて切断歯群セット35(A群)とするとき、この切断歯群セット35(A群)に後続する切断歯群33(B1群)と、切断歯群31(B2群)を合わせた切断歯群セット35(B群)とすると、この切断歯群セット35(B群)のアサリ歯の振り出し方向が前記切断歯群セット35(A群)とは反対方向になるように構成されており、切断歯群セット35(A群)と切断歯群セット35(B群)とが交互に多数繰り返されるように配置したアサリ歯の配列パターンを有するものである。
【0009】
また、全てのA2群31におけるアサリ歯R,Lの歯高、並びに全てのA1群33におけるアサリ歯R,Lの歯高がそれぞれ略同じであって、そして、A2群31におけるアサリ歯R,Lの歯高とA1群33におけるアサリ歯R,Lの歯高が異なっている。なお、図5(b)において、Hiは歯高が高いことを示し、Loは歯高が低いことを示す。
【0010】
また、図5における鋸刃29において、LwまたはRwは大アサリ歯、LnまたはRnは小アサリ歯であり、大小2種類のアサリ振り出し量を有する。ここで、例えば、Rw1、Rw2、Rw3は同じ方向、同じ大きさのアサリ振り出し量であり、同じ切削溝に切削作用を行うので同一機能歯といえる。
【0011】
ところで、Rw1とRw2の間には1個の歯があり、Rw2とRw3の間には5個の歯があり、Rw3とRw1の間には同じく5個の他の歯がある。換言すれば、 Rw1とRw2は2ピッチ分離れており、Rw2とRw3及びRw3とRw1は6ピッチ分離れていることになる。
【0012】
つまり、Rw1及びRw3はRw2に較べて、およそ3倍も切込み量が大きくなることを意味している。ここで、およそと表現したのは各ピッチが不等ピッチの場合があり、その場合には正確に3倍にはならないからである。
【0013】
同一機能歯であるが切込み量に3倍の違いがあるということは、切削負荷が3倍異なるということであり、Rw1及びRw3はRw2に較べて大きく摩耗するという問題がある。多少の摩耗差が生じることは致し方ないが切削負荷が3倍も異なるというのは大き過ぎる。同一機能歯であるLw1、Lw2、Lw3についても同様である。
【0014】
本発明は上述の如き問題を解決するために為されたものであり、本発明の課題は、同一機能歯間のピッチ数に着目し、後述する種々のアサリ歯の配列パターンの鋸刃についての切削実験により、同一機能歯の歯間ピッチの最適値を求めて切削騒音及びアサリ歯の摩耗量をある程度均一化する鋸刃各歯の最適配置方法及び鋸刃鋸刃を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決する手段として請求項1に記載の鋸刃各歯の最適配置方法は、直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する奇数個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する偶数個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された奇数個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された偶数個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列することを特徴とするものである。
【0016】
請求項2に記載の鋸刃各歯の最適配置方法は、請求項1に記載の鋸刃各歯の最適配置方法において、前記A1群またはB1群が偶数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が奇数個のアサリ歯からなるとを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の鋸刃各歯の最適配置方法は、請求項1または請求項2に記載の鋸刃各歯の最適配置方法において、前記A群の切り歯の配列と、前記B群の切り歯の配列が鋸刃進行方向からみて、(1)A群が「S1、Lw1、Rw1、Ln1、S2、Rn1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Lw3、Rn2、S4、Ln2、Rw3」または、(2)A群が「S1、Lw1、Rn1、Ln1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Ln2、Rn2、S4、Lw3、Rw3」または、(3)A群が「S1、Ln1、Rn1、Lw1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rn2、Ln2、Rw2、S4、Lw3、Rw3」または、(4)A群が「S1、Rn1、Lw1、Rw1、S2、Lw2、Rn2」、B群が「S3、Ln1、Rw2、Lw3、S4、Rw3、Ln2、」なる配列の繰り返しで構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載の鋸刃は、直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する奇数個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する偶数個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて前記直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された奇数個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された偶数個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列したことを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に記載の鋸刃は、請求項4に記載の鋸刃において、前記A1群またはB1群が偶数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が奇数個のアサリ歯からなることを特徴とするものである。
【0020】
請求項6に記載の鋸刃は、請求項4または請求項5に記載の鋸刃において、前記A群の切り歯の配列と、前記B群の切り歯の配列が鋸刃進行方向からみて、(1)A群が「S1、Lw1、Rw1、Ln1、S2、Rn1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Lw3、Rn2、S4、Ln2、Rw3」または、(2)A群が「S1、Lw1、Rn1、Ln1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rw2、Ln2、Rn2、S4、Lw3、Rw3」または、(3)A群が「S1、Ln1、Rn1、Lw1、S2、Rw1、Lw2」、B群が「S3、Rn2、Ln2、Rw2、S4、Lw3、Rw3」または、(4)A群が「S1、Rn1、Lw1、Rw1、S2、Lw2、Rn2」、B群が「S3、Ln1、Rw2、Lw3、S4、Rw3、Ln2、」なる配列の繰り返しで構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項7に記載の鋸刃各歯の最適配置方法は、直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する4個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する3個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された4個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された3個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、前記アサリ歯のアサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列することを特徴とするものである。
【0022】
請求項8に記載の鋸刃各歯の最適配置方法は、請求項7に記載の鋸刃各歯の最適配置方法において、前記A1群またはB1群が奇数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が偶数個のアサリ歯からなるとを特徴とするものである。
【0023】
請求項9に記載の鋸刃は、直歯と大小の左右アサリ歯とを備えてなる鋸刃において、鋸刃進行方向からみて直歯に後続する4個のアサリ歯からなるA1群と、該A1群に後続し、かつ直歯に後続する3個のアサリ歯からなるA2群とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群とするとき、鋸刃進行方向からみて直歯に後続し、前記A1群と反対方向にアサリが振り出された4個のアサリ歯からなるB1群と、該B1群に後続し、かつ直歯に後続する前記A2群と反対方向にアサリが振り出された3個のアサリ歯からなるB2群とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群とするとき、前記A群とB群とが交互に多数繰り返されるように配置され、前記アサリ歯のアサリの振り出し方向と振り出し量が同一の小アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を1.8以下に、かつ前記アサリの振り出し方向と振り出し量が同一の大アサリ歯同士の間に存在するピッチ数の最大値と最小値との比を2.7以下になるように前記大小のアサリ歯を配列することを特徴とするものである。
【0024】
請求項10に記載の鋸刃は、請求項9に記載の鋸刃において、前記A1群またはB1群が奇数個のアサリ歯からなる場合は、前記A2群またはB2群が偶数個のアサリ歯からなるとを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本願発明の鋸刃によれば、アサリ歯における同一機能歯の歯間ピッチ数に着目し、同一機能歯の切削負荷がほぼ均一になる最適なアサリ歯の配列パターンを有する鋸刃であるので、従来の鋸刃に比べて切削騒音の低減をはかると共に、アサリ歯の摩耗量をある程度均一化することで、鋸刃寿命の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願発明に係る鋸刃の切削実験用に選定した(14歯で1群を構成した)10種類(No.1〜No.10)の鋸刃の図で、図1(a)は鋸刃の一部分を歯先側から見た図であって、図1(b)は、鋸刃の一部分の右側面図である。
図2】10種類(No.1〜No.10)の鋸刃を用いた切削実験による切削騒音を比較したグラフ。
図3】10種類(No.1〜No.10)の鋸刃を用いた切削実験による小アサリ歯の歯先摩耗量(左右アサリ歯の平均値)を比較したグラフ。
図4】10種類(No.1〜No.10)の鋸刃を用いた切削実験による大アサリ歯の歯先摩耗量(左右アサリ歯の平均値)を比較したグラフ。
図5】特許文献1(特許第4301806号)に記載の鋸刃29における第3実施例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0028】
図1は、本願発明に係る鋸刃の切削実験用に選定した10種類の鋸刃(No.1〜No.10)を示したものである。
【0029】
この10種類のそれぞれの鋸刃(No.1〜No.10)は、直歯S1〜S4と、左大アサリ歯Lw、右大アサリ歯Rw、左小アサリ歯Ln、右小アサリ歯Rnとを備えてなる鋸刃であって、鋸刃進行方向からみて直歯S1に後続する3個のアサリ歯からなるA1群(4歯)と、このA1群に後続し、かつ直歯S2に後続する2個のアサリ歯からなるA2群(3歯)とを有し、前記A1群とA2群とを合わせた切り歯の配列をA群(7歯)とするとき、鋸刃進行方向からみて直歯S3に後続し、A1群と反対方向にアサリが振り出された3個のアサリ歯からなるB1群(4歯)と、直歯S4に後続しA2群と反対方向にアサリが振り出された2個のアサリ歯からなるB2群(3歯)とを有し、前記B1群とB2群とを合わせた切り歯の配列をB群(7歯)とするとき、A群(7歯)とB群(7歯)とが交互に多数繰り返されるように配置された鋸刃である。
【0030】
前記10種類の切削実験用の鋸刃(No.1〜No.10)は、同一機能歯の配置に関して最適な配置を決定すべく、後述の鋸刃の配列パターン条件に基づいて選定したものである。
【0031】
前記鋸刃(No.1〜No.10)を選定するに当たって、先ず大小アサリ歯の配置を検討する。アサリ歯の左右のバランスを考えると、アサリの振り出し方向と振り出し量が同一のアサリ歯は左右で同数でなければならないことは大前提であるが、大アサリ歯と小アサリ歯の数の比については選択可能である。
【0032】
B群は、A群とは反対方向にアサリが振り出されたA群と同数の歯があるので、A群にだけ着目してアサリ歯の左右のバランスを検討しても左右のバランスは取れることになる。
【0033】
A群は7個の歯があり、直歯2個とアサリ歯が5個である。ここで、アサリ歯5個における大小アサリ歯の個数の比は次の4通りが考えられる。
1.大アサリ歯、小アサリ歯、小アサリ歯、小アサリ歯、小アサリ歯
2.大アサリ歯、大アサリ歯、小アサリ歯、小アサリ歯、小アサリ歯
3.大アサリ歯、大アサリ歯、大アサリ歯、小アサリ歯、小アサリ歯
4.大アサリ歯、大アサリ歯、大アサリ歯、大アサリ歯、小アサリ歯
【0034】
大アサリ歯は切断面を形成する歯であり、個数が多いほど切断面がきれいになるが、その反面、小アサリ歯が少なくなり、小アサリ歯の切削負荷が増加して鋸刃の寿命が短縮する。よって、各歯の切削負荷ができるだけ均等になるような組合わせが良いことになる。
【0035】
直歯は小アサリ歯と切断溝が重複している割合が多く、それぞれ類似の切削負荷が生じるものと考えられ、大アサリ歯×3個と、小アサリ歯×2個の組合わせを採用すれば、直歯×2個が小アサリ歯の負荷を軽減することになり、切削負荷の均衡が最も取れていることがわかる。よって、大小アサリ歯の個数の比は、大アサリ歯×3個と小アサリ歯×2個に決定する。
【0036】
上述の大小アサリ歯の個数の比は、大アサリ歯×3個と小アサリ歯×2個に決定したが、さらに左右アサリ歯の配列について検討する。
【0037】
先ず最初に左小アサリ歯Ln×1、右小アサリ歯Rn×1個、右大アサリ歯Rw×1個、左大アサリ歯Lw×2個の配列(順列)について検討する。なお、A群とB群があるが、各々反対方向のアサリ歯になるように構成した鋸刃であるので、左小アサリ歯Ln×1、右小アサリ歯Rn×1個、右大アサリ歯Rw×1個、左大アサリ歯Lw×2個の配列(順列)について検討したことは、これとは反対の右小アサリ歯Rn×1個、左小アサリ歯Ln×1個、左大アサリ歯Lw×1個、右大アサリ歯Rw×2個の配列(順列)について検討したことと同じである。
【0038】
「表1」は、A群における機能歯の数が、Ln=1個、Rn=1個、Rw=1個、Lw=2個の4種類を重複を許して並べる配列(順列)を全て書き出したものでその配列(順列)は全部で60通りとなる。これら大小のアサリ歯の順列の中で、同一方向のアサリ歯が連続したり、直歯を挟んで連続する場合は、切削負荷の均衡が取れていないということであり、このパターンは避けるべきである。
【0039】
そこで、アサリ歯の配列(順列)の良好なパターンを、同一方向のアサリ歯が連続せず、かつ、アサリ歯が直歯を挟んで連続しない配列(順列)を判定基準として抽出する。「表1」において、抽出パターン判定の欄に「G」と記してあるのが上述の条件を満たすアサリ歯の配列(順列)である。すなわち、「表1」では、No.7、12、13、18、56及び59の6通りである。
【0040】
次に、A群における機能歯の数が、Rn=2個、Rw=1個、Lw=2個の3種類を重複を許して並べる配列(順列)について検討する。「表2」はこの配列(順列)を全て書き出したもので全部で30通りである。同様に前記条件を満たすアサリ歯の配列(順列)を抽出すると、「表2」のNo.14、21及び23の3通りとなる。
【0041】
更に、A群における機能歯の数が、Ln=2個、Rw=1個、Lw=2個のアサリ歯の配列(順列)について検討する。「表3」はこの配列(順列)を全て書き出したもので全部で30通りとなる。この場合も同様に前記条件を満たすアサリ歯の配列(順列)を抽出しようとしたが、該当するものは無かった。
【0042】
続けて、A群における機能歯の数が、Rn=1個、Ln=1個、Lw=3個の3種類を重複を許して並べる配列(順列)について検討する。表4は配列(順列)を全て書き出したもので、全部で20通りとなる。この場合にも該当するものは無かった。
【0043】
更に続けて、A群における機能歯の数が、Rn=2個、Lw=3個の配列(順列)について検討する。「表5」はこの配列(順列)を全て書き出したもので、全部で10通りとなる。「表5」において、前記条件を満たすアサリ歯の配列(順列)は、「表5」のNo.5の1通りである。
【0044】
上述の「表1」から「表5」において抽出した前記条件を満たすアサリ歯の配列(順列)を「表6−1」及び「表6−2」に一覧表として示す。なお、この「表6−1」及び「表6−2」において、先の「表1」で抽出された、「No.7、12、13、18、56、59」と、「表2」で抽出された、「No.14、21、23」及び「表5」で抽出された「No.5」の合計10種類のアサリ歯の配列(順列)に新たに、「No.1〜No.10」の番号を振り直してある。
【0045】
前記「表6−1」及び「表6−2」に示した10種類のアサリ歯の配列(順列)の中でどれが最適な配置なのかを確かめるべく、切削騒音とアサリ歯の歯先の摩耗量について比較する切削実験を実施した。なお、切削実験用に使用した図1に示す鋸刃の番号は、「表6−1」及び「表6−2」の新しく付与した鋸刃番号No.1〜No.10と同じにしてある。
【0046】
切削実験の条件は次の通りである。
切断機:株式会社アマダ製の横型帯鋸盤 HA−400型
被削材:SKD61(JIS)、φ250
鋸刃:帯幅41mm、帯厚1.3mm、帯長4570mm、鋸刃ピッチ2/3
切削条件:鋸刃回転速度30m/min 切断時間24.5分(切削率20cm/min)
【0047】
切削実験の評価方法は、上述の切削条件において被削材を30回切断して、30回目の被削材中心部付近を切断中の切削騒音として測定し、30回切断後の鋸刃の各アサリ歯の摩耗量を測定した。
【0048】
摩耗量は、各歯の均一度合いを評価するために、A群(7歯)とB群(7歯)の14歯の中で、大アサリ歯と小アサリ歯に分けて、それぞれ、最大負荷と最小負荷となる歯の摩耗量を測定した。なお、摩耗量は左右アサリ歯で同じ負荷となる歯の平均値を用いた。「表7」に切削実験用に使用した各鋸刃(No.1〜No.10)毎に具体的にどの歯の平均値を用いたかが示してある。
【0049】
上述の切削実験の結果、鋸刃番号No.1〜No.10における切削騒音の測定結果を図2の折れ線グラフに示す。このグラフから、鋸刃No.2、4、6、8の切削騒音が他に比較して顕著に減少していることが判る。
【0050】
次に、図3に小アサリ歯の歯先摩耗量(左右アサリ歯の平均値)の測定結果を折れ線グラフにて示す。このグラフから、鋸刃No.1、2、4、6、8の鋸刃が、最大負荷歯と最小負荷歯の差が小さく、他に比較して摩耗量が均一で良好であることが判る。
【0051】
また、図4に大アサリ歯の歯先摩耗量(左右アサリ歯の平均値)の測定結果を折れ線グラフにて示す。この測定結果より、No.2、4、5、6、7、8、9の鋸刃が、最大負荷歯と最小負荷歯の差が小さく、他に比較して摩耗量が均一で良好であることが判る。
【0052】
以上から、切削騒音が小さく、歯先の摩耗量が比較的均一で良好であるのは、No.2、4、6、8であり、これらの鋸刃においては、アサリ歯の最適配置がされている結果であると結論づけることができる。
【0053】
ここで、上述のNo.2、4、6、8の鋸刃が良好なのかについて考察する。
【0054】
前述の「表6−2」には、鋸刃番号No.1〜No.10における同一機能歯間のピッチ数が記載してある。例えば、鋸刃No.1のRw1〜Rw2は、「表6−1」或いは図1を参照するに、Rw1に後続してLw2、S2、Rn1、Ln1、S3の後にRw2の配置であり、Rw1とRw2の間に5個の歯が存在し、Rw1とRw2の歯間のピッチ数としては、5+1=6となる。
【0055】
また、同じく、鋸刃No.1のRw2〜Rw3は、Rw2に後続して、Lw3そしてその後にRw3の配置であり、Rw2〜Rw3の間に1個の他の歯が存在し、歯間のピッチ数としては、1+1=2となる。
【0056】
上述の歯間のピッチ数6、2という数字は、それぞれRw2及びRw3に生じる切削負荷数を表しており、数字が大きいほど負荷が大きいことを表すものである。
【0057】
「表6−2」には、左アサリ歯と右アサリ歯の場合における歯間のピッチ数を記載してあるが、本発明の性質上はどちらでも同じになるので、どちらか一方に注目すればよい。よって、ここでは、右アサリ歯に注目することにする。
【0058】
鋸刃番号No.1の機能歯である、右アサリ歯かつ大アサリ歯(Rw)は3個あり、それぞれのピッチ数(切削負荷数)をまとめると、Rw2=6、Rw3=2、Rw1=6で、ピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比は、6/2=3.0となる。
【0059】
つまり、Rw1及びRw2は、Rw3に較べておよそ3倍も切込み量が大きくなることを意味している。ここで、およそと表現したのは、各ピッチが不等間隔の場合があるからであり、その場合には正確に3倍にはならないからである。
【0060】
「表6−2」を参照するに、同様に右アサリ歯かつ小アサリ歯(Rn)は2個あり、それぞれのピッチ数(切削負荷数)は、Rn1=8、Rn2=6で、ピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比は、8/6=1.3となる。なお、Rn2のピッチ数6は、Rn2に後続するRn1との間のピッチ数である。
【0061】
また、「表6−2」には、小アサリ歯と大アサリ歯に分けて、各鋸刃(No.1〜No.10)のピッチ数(切削負荷数)を示すと共に、小アサリ歯と大アサリ歯それぞれのピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比を示してある。
【0062】
「表6−2」で、前述の如く、小アサリ歯の歯先摩耗が他に較べて均一で良好であった鋸刃は、No.1、2、4、6、8であるが、これらに共通して言えるのは、小アサリ歯のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比が1.8以下であることである。
【0063】
また、前述の如く、大アサリ歯の歯先摩耗が他に較べて均一で良好であった鋸刃は、No.2、4、5,6、7、8、9であるが、これらに共通して言えるのは、大アサリ歯のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比が2.7以下であることである。
【0064】
更に、前述の切削騒音が他に較べて良好であった鋸刃はNo.2、4、6、8であるが、これらに共通しているのは小アサリ歯のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比が1.8以下であり、かつ、大アサリ歯のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値との比が2.7以下であることである。
【0065】
結論として、前述の切削実験により前記鋸刃No.2、4、6、8に示す如く、同一機能歯のピッチ数(切削負荷数)ができるだけ偏りが出ないように配置することにより、切削騒音低減効果を維持したまま各歯の摩耗を均一にできる鋸刃各歯の最適配置方法が判明した。
【0066】
次に、直歯に後続する4個(または偶数個)のアサリ歯からなるA1群と、直歯に後続する3個(または奇数個)のアサリ歯からなるA2群で、A2群はA1群に後続し、A1群とA2群を合わせてA群とすると、このA群とは反対方向にアサリが振り出されたB群とが交互に多数繰り返されるものを「表8−1」、「表8−2」に示してある。
【0067】
つまり、アサリ歯の配列パターンとしては、A1群に5個と、A2群に4個でA群は9個の歯があり、B群は、A群とは反対方向にアサリが振り出されたA群と同数の歯があるので、A群9個+B群9個の計18個の歯で構成されている。また、大小2種類のアサリ歯で構成されている。
【0068】
「表8−1」、「表8−2」には、同方向のアサリ歯が連続せず、かつアサリ歯が直歯を挟んで連続しない配列(順列)を抽出してある。なお、全ての配列(順列)の記載は省略した。この「表8−1」、「表8−2」におけるNo.5とNo.8とNo.22の鋸刃が本発明に係る鋸刃であり、実験結果は省略してあるが、切削騒音及び歯先の摩耗の均等度合いが他の配列(順列)の鋸刃に比較して良好なものである。
【0069】
「表8−3」に示す鋸刃No.5を参照するに、同一方向の小アサリ歯同士の間のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値の比は1.6であり、1.8以下である。また、同一方向の大アサリ歯同士の間のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値の比は1.7であり、2.7以下である。
【0070】
同様に、「表8−3」に示す鋸刃No.8を参照するに、同一方向の小アサリ歯同士の間のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値の比は1.4であり、1.8以下である。また、同一方向の大アサリ歯同士の間のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値の比は1.7であり、2.7以下である。
【0071】
また、「表8−3」に示す鋸刃No22を参照するに、同一方向の小アサリ歯同士の間のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値の比は1.6であり、1.8以下である。また、同一方向の大アサリ歯同士の間のピッチ数(切削負荷数)の最大値と最小値の比は、1.7であり、2.7以下である。
【符号の説明】
【0072】
Ln 左小アサリ歯
Rn 右小アサリ歯
Lw 左大アサリ歯
Rw 右大アサリ歯
S 直歯
P ピッチ
【0073】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【表7】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
図1
図2
図3
図4
図5