(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、部品実装装置としては、複数のヘッドが搭載されたヘッドユニットを、部品供給部と基板との間で移動させながら部品の実装を行う部品実装装置が普及している。
【0005】
この種の部品実装装置では、ヘッドユニットの移動速度を高めて実装作業の効率化を図る観点からヘッドユニットの小型軽量化が求められており、従って、特許文献1のように、複数のヘッドを単一のモータで駆動(昇降駆動)することが考えられている。
【0006】
しかし、ヘッドユニットに搭載される複数のヘッドは、部品供給部に並設される複数の部品フィーダーから同時に部品の取り出しを行えるように直線状に配置されるのが一般的であるため、特許文献1のようないわゆるカム機構を適用しようとすれば、隣接するヘッド間にカム筒体を介在させて当該カム筒体を回転させる必要がある。しかも、各ヘッドを円滑に昇降させるためには、カム筒体の径をある程度大きく確保する必要があるため、却って、ヘッドユニットの大型化(ヘッド配列方向への大型化)を助長することとなる。また、カム機構は、カム溝の形状によってヘッドの高さが決まるため、部品サイズ(高さ寸法)に応じてヘッドの昇降高さを自由に切り換えることも困難となる。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッドの昇降高さ制御の自由度を高度に確保しながら、単一の駆動源を用いたコンパクトな構成で複数のヘッドを昇降駆動することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一の局面に係る部品実装装置は、部品供給部と基板との間を移動する部品搬送用のヘッドユニットを備える部品実装装置であって、前記ヘッドユニットは、フレーム部材と、このフレーム部材に各々上下動可能に支持される部品保持用の第1ヘッド及び第2ヘッドと、単一の駆動源を含み、当該駆動源で生成される駆動力により前記各ヘッドを駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、歯面が互いに内側を向く状態で上下方向に互いに平行に延びかつ各々上下方向に変位可能となるように前記フレーム部材に支持される第1ラック部材及び第2ラック部材と、前記両ラック部材に噛合する状態で当該両ラック部材の間に介設されるピニオン部材とを含み、前記駆動力によ
り前記第1ラック部材を駆動することで前記両ラック部材を上下方向に変位させ、前記第1ヘッドは、前記第1ラック部材の上下変位に伴い当該変位方向と同方向に変位するように前記第1ラック部材の下方に配置され、前記第2ヘッドは、前記第2ラック部材の上下変位に伴い当該変位方向と同方向に変位するように前記第2ラック部材の下方に配置され
、前記駆動源はリニアモータであり、このリニアモータは、前記第1ラック部材に固定される可動子とこの可動子に対向するように前記フレーム部材に固定される固定子とを含み、これら可動子と固定子との間の磁力の相互作用により前記第1ラック部材を上下方向に移動させるものである。
【0009】
この部品実装装置では、駆動源からの駆動力を受け
て第1ラック部材が上下動することで第1ラック部材及び第2ラック部材が連動して上下方向に変位し、これらラック部材の変位に伴い第1ヘッド及び第2ヘッドが上下方向に変位する。この構成によれば、単一の駆動源で第1ヘッド及び第2ヘッドを昇降駆動することができる。しかも、駆動手段を構成するラック部材及びピニオン部材は比較的小型化が容易であるため、駆動手段の省スペース化を効果的に図ることができる。
特に、リニアモータにより第1ラック部材が直接駆動するため、駆動源と第1ラック部材等との間に当該駆動源の駆動力を第1ラック部材等に伝達する動力伝達機構を介設する必要がなく、従って、駆動手段の省スペースを図る上で有利となる。さらに、第1ラック部材の上下方向の変位
量を制御することで、各ヘッドの昇降高さを自由に変更することもできる。
なお、上記部品実装装置においては、第1ヘッドと第1ラック部材、及び第2ヘッドと第2ラック部材とが各々一体的に連結されおり、ヘッドとラック部材とが一体的に上下方向に変位する構成であってもよいが、例えば、前記各ヘッドは、所定の上昇端位置と下降端位置とに亘って変位可能であり、前記駆動手段は、前記各ヘッドを各々前記上昇端位置に付勢する付勢部材を含み、前記第1ラック部材及び前記第2ラック部材は、第1ヘッド及び第2ヘッドのうち対応するヘッドに当接することにより前記付勢部材の付勢力に抗して当該ヘッドを前記下降端位置まで押し下げる位置と、前記上昇端位置に配置された当該ヘッドから上方に離間する位置とに亘って変位可能であり、かつ、当該第1ラック部材及び第2ラック部材のうち一方側のラック部材による当該ラック部材に対応するヘッドの押し下げ動作中に、他方側のラック部材が当該ラック部材に対応するヘッドから上方に離間するように、各々前記ピニオン部に噛合しているものであってもよい。
この構成によれば、第1ヘッドと第1ラック部材、及び第2ヘッドと第2ラック部材とが各々一体的に連結された構成のように、第1ヘッド及び第2ヘッドのうち一方側のヘッドが上下動する際に、他方側のヘッドが連動して上下動するといった無駄な動作が解消される。
一方、本発明の他の一の局面に係る部品実装装置は、部品供給部と基板との間を移動する部品搬送用のヘッドユニットを備える部品実装装置であって、前記ヘッドユニットは、フレーム部材と、このフレーム部材に各々上下動可能に支持される部品保持用の第1ヘッド及び第2ヘッドと、単一の駆動源を含み、当該駆動源で生成される駆動力により前記各ヘッドを駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、歯面が互いに内側を向く状態で上下方向に互いに平行に延びかつ各々上下方向に変位可能となるように前記フレーム部材に支持される第1ラック部材及び第2ラック部材と、前記両ラック部材に噛合する状態で当該両ラック部材の間に介設されるピニオン部材とを含み、前記駆動力により前記ピニオン部材又は前記第1ラック部材を駆動することで前記両ラック部材を上下方向に変位させ、前記第1ヘッドは、前記第1ラック部材の上下変位に伴い当該変位方向と同方向に変位するように前記第1ラック部材の下方に配置され、前記第2ヘッドは、前記第2ラック部材の上下変位に伴い当該変位方向と同方向に変位するように前記第2ラック部材の下方に配置され、前記各ヘッドは、所定の上昇端位置と下降端位置とに亘って変位可能であり、前記駆動手段は、前記各ヘッドを各々前記上昇端位置に付勢する付勢部材を含み、前記第1ラック部材及び前記第2ラック部材は、第1ヘッド及び第2ヘッドのうち対応するヘッドに当接することにより前記付勢部材の付勢力に抗して当該ヘッドを前記下降端位置まで押し下げる位置と、前記上昇端位置に配置された当該ヘッドから上方に離間する位置とに亘って変位可能であり、かつ、当該第1ラック部材及び第2ラック部材のうち一方側のラック部材による当該ラック部材に対応するヘッドの押し下げ動作中に、他方側のラック部材が当該ラック部材に対応するヘッドから上方に離間するように、各々前記ピニオン部に噛合しているものである。
この部品実装装置では、駆動源からの駆動力を受けてピニオン部材が回転する、又は第1ラック部材が上下動することで第1ラック部材及び第2ラック部材が連動して上下方向に変位し、これらラック部材の変位に伴い第1ヘッド及び第2ヘッドが上下方向に変位する。この構成によれば、単一の駆動源で第1ヘッド及び第2ヘッドを昇降駆動することができる。しかも、駆動手段を構成するラック部材及びピニオン部材は比較的小型化が容易であるため、駆動手段の省スペース化を効果的に図ることができる。さらに、第1ラック部材の上下方向の変位量、又はピニオン部材の回転量を制御することで、各ヘッドの昇降高さを自由に変更することもできる。
また、第1ヘッドと第1ラック部材、及び第2ヘッドと第2ラック部材とが各々一体的に連結された構成のように、第1ヘッド及び第2ヘッドのうち一方側のヘッドが上下動する際に、他方側のヘッドが連動して上下動するといった無駄な動作が解消される。
【0010】
上記部品実装装置において、前記ヘッドユニットは、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドを一組のヘッドペアとして、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとの並び方向と直交する方向に並ぶ複数組のヘッドペアを備えるとともに、ヘッドペア毎に前記駆動手段を備えるものであってもよい。
【0011】
この構成によれば、複数の実装用ヘッドが、2列に振り分けられた状態で搭載されるヘッドユニットをコンパクトに構成する事が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の部品実装装置によれば、ヘッドの昇降高さ制御の自由度を高度に確保しながら、単一の駆動源を用いたコンパクな構成で複数のヘッドを昇降駆動することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1及び
図2は、本発明に係る部品実装装置を概略的に示しており、
図1は平面図で、
図2は正面図で、それぞれ部品実装装置を示している。なお、
図1、
図2及び後に説明する図面には、各図の方向関係を明確にするためにXYZ直角座標軸が示されている。
【0020】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置されてプリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板3をX方向に搬送する基板搬送機構2と、部品供給部4、5と、部品搬送用のヘッドユニット6と、このヘッドユニット6を駆動するヘッドユニット駆動機構と、部品認識のための撮像ユニット7等とを備える。
【0021】
前記基板搬送機構2は、基台1上において基板3を搬送する一対のコンベア2a、2aを含む。これらコンベア2a、2aは、同図の右側から基板3を受け入れて所定の実装作業位置(同図に示す位置)に搬送し、図略の保持装置により当該基板3を保持する。そして、実装作業後、この基板3を同図の左側に搬出する。
【0022】
前記部品供給部4、5は、前記基板搬送機構2の両側(Y方向両側)に配置されている。これら部品供給部4、5のうち一方側の部品供給部4には、基板搬送機構2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ4aが配置されている。これらテープフィーダ4aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながら基板搬送機構2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。一方、他方側の部品供給部5には、X方向に所定の間隔を隔ててトレイ5a、5bがセットされている。各トレイ5a、5bには、後記ヘッドユニット6による取出しが可能となるように、各々、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品が整列して載置されている。
【0023】
前記ヘッドユニット6は、部品供給部4、5から部品を取り出して基板3上に実装するものであり、基板搬送機構2および部品供給部4,5等の上方に配置されている。
【0024】
前記ヘッドユニット6は、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向およびY方向に移動可能とされている。このヘッドユニット駆動機構は、基台1上に設けられる一対の高架フレームにそれぞれ固定され、Y方向に互いに平行に延びる一対の固定レール8と、これら固定レール8に支持されてX方向に延びるユニット支持部材11と、このユニット支持部材11に螺合挿入されてY軸サーボモータ10により駆動されるボールねじ軸9とを含む。また、ユニット支持部材11に固定され、ヘッドユニット6をX方向に移動可能に支持する固定レール13と、ヘッドユニット6に螺合挿入されてX軸サーボモータ15を駆動源として駆動されるボールねじ軸14とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、X軸サーボモータ15の駆動によりボールねじ軸14を介してヘッドユニット6をX方向に移動させる共に、Y軸サーボモータ10の駆動によりボールねじ軸9を介してユニット支持部材11をY方向に移動させ、その結果、ヘッドユニット6を一定の領域内でX方向およびY方向に移動させる。
【0025】
前記ヘッドユニット6は、先端にそれぞれ部品吸着用のノズル17を備える軸状の複数の実装用ヘッド16(本発明のヘッドに相当する)と、これら実装用ヘッド16をヘッドユニット6に対して上下動(Z方向の移動)およびノズル中心軸回りに回転(
図2中のR方向の回転)させるためのサーボモータを駆動源とするヘッド駆動機構とを備える。図示の例では、ヘッドユニット6には、8本の実装用ヘッド16がX方向に所定間隔で一列に配列された状態で搭載されている。
【0026】
各実装用ヘッド16のノズル17は、それぞれ電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置および大気の何れかに連通可能とされている。つまり、前記ノズル17に負圧が供給されることで当該ノズル17による部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0027】
前記撮像ユニット7は、ヘッドユニット6(実装用ヘッド16)による部品の保持状態を画像認識するために、部品供給部4、5から取り出された部品を実装に先立ち撮像するものであり、前記基台1上であって前記トレイ5a、5bの間の位置に配置されている。
【0028】
図3は、前記ヘッドユニット6を示す正面図である。同図に示すように、ヘッドユニット6はフレーム部材6aを備えており、前記実装用ヘッド16は、このフレーム部材6aに上下動及び回転(R方向の回転)自在に支持されている。なお、以下の説明において、特に実装用ヘッド16を区別する必要がある場合には、各実装用ヘッド16を、
図3中の左側から順番に第1ヘッド16a、第2ヘッド16b……第8ヘッド16hと称す。
【0029】
当該ヘッドユニット6には、上記ヘッド駆動機構として、実装用ヘッド16の昇降駆動機構及び回転駆動機構が搭載されている。
【0030】
昇降駆動機構は、各実装用ヘッド16の上方に位置し、各々当該実装用ヘッド16の上端部に連結されるラック部材22と、隣接する一組のラック部材22の間に配置されるピニオン部材24と、当該ピニオン部材24を回転駆動するZ軸サーボモータ26とを含み、当該Z軸サーボモータ26の駆動により隣接する一対の実装用ヘッド16を駆動する。
【0031】
詳しく説明すると、各実装用ヘッド16に連結されるラック部材22は、上下方向に互いに平行に延びている。各ラック部材22のうち、奇数番目の実装用ヘッド16(第1ヘッド16a、第3ヘッド16c…)に連結されるラック部材22は右側に歯面を有し、偶数番目の実装用ヘッド16(第1ヘッド16b、第3ヘッド16d…)に連結されるラック部材22は左側に歯面を有している。従って、各実装用ヘッド16に連結されるラック部材22は、奇数番目の各実装用ヘッド16とその右隣に隣接する偶数番目の各実装用ヘッド16とを各々一組として、これら各組の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22同士の歯面が互いに内側を向いている。各ラック部材22は、例えばリニアガイド等のガイド手段を介してフレーム部材6aに上下動可能に支持されており、各実装用ヘッド16は、各々前記ラック部材22の下端部に回転(R方向に回転)可能に連結されている。
【0032】
前記ラック部材22のうち、歯面が互いに向かい合う一組のラック部材22の間には、当該両ラック部材22に噛合する状態で前記ピニオン部材24が介設されている。
【0033】
各ピニオン部材24は、前記フレーム部材6aに回転自在に支持されており、各ピニオン部材24に近接するように前記フレーム部材6aの裏側に固定されたZ軸サーボモータ26の出力軸に各々連結されている。つまり、上記昇降駆動機構は、Z軸サーボモータ26でピニオン部材24を回転駆動することにより、当該ピニオン部材24に噛合する一対のラック部材22を上下方向に連動して移動させ、これらラック部材22の上下動に伴い、当該ラック部材22に各々連結された実装用ヘッド16を上下動させる構成となっている。従って、この昇降駆動機構は、8本の実装用ヘッド16を、4つのZ軸サーボモータ26により昇降駆動する。
【0034】
前記回転駆動機構については詳細図示を省略するが、この回転駆動機構は、各実装用ヘッド16に装着されるプーリと、R軸サーボモータと、このR軸サーボモータの出力軸に固定されるプーリと前記各実装用ヘッド16のプーリとに亘って掛け渡される伝動ベルト等とを含み、単一のR軸サーボモータにより当該伝動ベルトを介して各実装用ヘッド16を同期して回転させるように構成されている。
【0035】
上述した部品実装装置では、次のようにして基板3上に部品が実装される。まず、ヘッドユニット6が部品供給部4、5上に移動し、各実装用ヘッド16により部品が吸着保持される。この際、
図3に示すように、Z軸サーボモータ26の駆動により実装用ヘッド16が昇降駆動されることで、前記ノズル17により部品の吸着が行われる。
【0036】
部品吸着後、ヘッドユニット6が撮像ユニット7上を通過することで、各実装用ヘッド16にそれぞれ保持されている部品が撮像ユニット7により撮像され、当該画像に基づき各実装用ヘッド16に保持された部品の吸着状態が認識される。そして、各実装用ヘッド16に保持された部品のなかに不良部品等がある場合には、当該部品が廃棄対象として登録された上で、ヘッドユニット6が基板3上に移動し、前記廃棄対象以外の部品が順次基板3上に実装される。この際、上記部品認識結果に応じてヘッドユニット6の位置および実装用ヘッド16の回転角度(R方向の回転角度)等が制御され、その後、Z軸サーボモータ26の駆動により各実装用ヘッド16が昇降駆動されることで、基板3上の各搭載位置に部品が適切に実装される。
【0037】
こうして基板3上に部品が実装されると、ヘッドユニット6が図外の部品廃棄ボックス上へ移動し、上記廃棄対象の部品を廃棄する。これにより実装動作の一サイクルが終了し、必要に応じてこの動作が繰り返されることで所要部品が基板3上に実装される。
【0038】
以上のように、この部品実装装置は、ヘッドユニット6に8本の実装用ヘッド16を備えるが、上述したように、単一のZ軸サーボモータ26で2つ一組の実装用ヘッド16を昇降駆動するように昇降駆動機構が構成されている。その結果、実装用ヘッド16の数(8本)よりも少ない数(4つ)のZ軸サーボモータ26で実装用ヘッド16を昇降駆動することができる。また、昇降駆動機構は、ラック部材22及びピニオン部材24を主な構成要素とするため比較的小型化が容易であり、昇降駆動機構の省スペース化を効果的に図ることができる。従って、合理的な構成でヘッドユニット6をコンパクト化することができる。しかも、この昇降駆動機構によれば、ピニオン部材の回転量(Z軸サーボモータ26の回転量)を制御することで実装用ヘッド16の昇降高さを、部品のサイズ(高さ寸法)に応じて自由に変更することもできる。従って、上記部品実装装置によれば、各実装用ヘッド16の昇降高さ制御の自由度を確保しながら合理的にヘッドユニット6をコンパクト化することができる。
【0039】
なお、上述した第1実施形態では、奇数番目の各実装用ヘッド16とその右隣に隣接する偶数番目の各実装用ヘッド16とが各々、本発明の第1ヘッド又は第2ヘッドに相当し、当該各ヘッドに各々連結されるラック部材22が各々、本発明の第1ラック部材及び第2ラック部材に相当し、当該ラック部材、これらに噛合するピニオン部材24及び当該ピニオン部材24を駆動するZ軸サーボモータ26が本発明の駆動手段に相当する。
【0040】
以上、本発明に係る第1実施形態の部品実装装置について説明したが、以下に、本発明の第2〜第4実施形態の部品実装装置について説明する。なお、第2〜第4実施形態の部品実装装置の基本的な構成は第1実施形態のものと共通するため、以下の第2〜第4実施形態の説明においては、第1実施形態と共通する構成要素については同一符号を付して詳細説明を省略し、相違点についてのみ詳細に説明することにする。
【0041】
(第2実施形態)
図3に示した例では、前記昇降駆動機構は、回転式モータ(Z軸サーボモータ26)を駆動源として各実装用ヘッド16を昇降駆動する構成であるが、回転式モータ(Z軸サーボモータ26)に代えてリニアモータを適用することもできる。
【0042】
図4は、前記昇降駆動機構として、リニアモータを駆動源としたものを備えるヘッドユニット6を示す正面図である。
【0043】
同図に示すヘッドユニット6は、ピニオン部材24を回転駆動する代わりに、リニアモータ30によりラック部材22を直接上下動させることで、実装用ヘッド16を上下動させる構成となっている。従って、
図3のようなZ軸サーボモータ26は備えられていない。
【0044】
図4の例では、昇降駆動機構は、奇数番目の各実装用ヘッド16とその右隣に隣接する偶数番目の各実装用ヘッド16とを各々一組として、各組の実装用ヘッド16のうち偶数番目の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22をリニアモータ30により上下動させるように構成される。詳しくは、リニアモータ30は、櫛型のコアにコイルが巻装されてなる固定子31と、磁極が交互に異なるように複数の永久磁石が上下方向に配列された可動子32とを含む。前記可動子32は、前記一組の実装用ヘッド16のうち偶数番目の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22の側面(歯面とは反対側の面)に固定され、固定子31は、所定隙間を隔てて可動子32に対向する位置に配置された上で前記フレーム部材6aに固定されている。この構成により、前記固定子31が通電制御を受けると、これら固定子31と可動子32との間の磁力の相互作用により、前記一組の実装用ヘッド16のうち偶数番目の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22が上下動し、これに連動して奇数番目の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22が上下動する。
【0045】
このような構成によれば、リニアモータ30によりラック部材22を直接駆動する構成であるため、昇降駆動機構の省スペースを図る上で有利となる。すなわち、
図3に示すようにZ軸サーボモータ26(回転式モータ)を用いる構成では、必ず減速機構が必要となるが、リニアモータ30によりラック部材22を直接駆動する上記の構成によれば、当該減速機構が不要なため昇降駆動機構の省スペース化を図る上で有利となる。
【0046】
(第3実施形態)
図3及び
図4に示す昇降駆動機構では、実装用ヘッド16がラック部材22の下端部に連結され、ラック部材22と実装用ヘッド16とが一体的に上下動するが、ラック部材22と実装用ヘッド16とが分離された構成であってもよい。
【0047】
図5は、その一例を示している。同図の例では、実装用ヘッド16はラック部材22に連結されておらず、実装用ヘッド16は、単独で所定の上昇端位置P2と下降端位置P1とに亘って変位可能となるようにフレーム部材6aに支持されている。また、実装用ヘッド16には、圧縮コイルバネ等のリターンスプリング34(本発明の付勢部材に相当する)が挿着されている。これにより、実装用ヘッド16は、当該リターンスプリング34の弾発力(付勢力)により上昇端位置P2に付勢される。
【0048】
一方、互いに隣接する前記一組の実装用ヘッド16に連結される各ラック部材22は、実装用ヘッド16の上端部に当接することにより、リターンスプリング34の弾発力に抗して実装用ヘッド16を下降端位置P1まで押し下げる位置(
図5中の左側のラック部材22の位置)と、前記上昇端位置P2に配置される実装用ヘッド16から上方に離間する位置(
図5中の右側のラック部材22の位置)とに亘って変位するように構成されている。また、これらラック部材22のうち一方側のラック部材22による実装用ヘッド16の押し下げ動作中には、他方側のラック部材22が実装用ヘッド16から上方に離間するように各々ラック部材22がピニオン部材24に噛合している。
【0049】
このような
図5に示す昇降駆動機構の構成によれば、
図3に示す構成のように、一組の実装用ヘッド16のうち一方側の実装用ヘッド16が上下動する際に、他方側の実装用ヘッド16が連動して上下動するといった無駄な動作が解消される。すなわち、
図3に示す構成では、実装用ヘッド16とラック部材22とが連結されているため、各実装用ヘッド16は常に連動して上下動する。具体的には、
図3中に符号P0で示す中間位置を中心として、一方側の実装用ヘッド16がこの中間位置P0から下降端位置P1に向かって移動すると、他方側の実装用ヘッド16は中間位置P0から上昇端位置P2に向かって移動することとなる。これに対して、
図5に示す構成では、上述した構成により、一方側の実装用ヘッド16が上下動しているときには、他方側の実装用ヘッド16は常に上昇端位置P2に保持されており、前記一方側の実装用ヘッド16に連動することがない。従って、一方側の実装用ヘッド16が上下動する際に、他方側の実装用ヘッド16がこれに連動して上下動するといった無駄な動作が解消される。そして、このように実装用ヘッド16の無駄な動作が解消される
図5の構成によれば、例えば、部品吸着のために一方側の実装用ヘッド16が上下動する際に、先に部品吸着を終えた他方側の実装用ヘッド16が連動して部品の吸着ずれ等を招くといった不都合を未然に防止することができる。従って、その分より高精度に部品を実装することが可能となる。
【0050】
なお、
図5の例では、Z軸サーボモータ26によりピニオン部材24を回転駆動することによりラック部材22を上下動させているが、
図4の例のように、リニアモータ30を用いてラック部材22を直接上下動させるように構成してもよい。
【0051】
(第4実施形態)
図6に示す部品実装装置は、ヘッドユニット6に、複数本の実装用ヘッド16が、複数本ずつ前後(Y方向に)2列に振り分けられ、それぞれ(列毎に)X方向に一列に配列された状態でヘッドユニット6に搭載された例である。同図の例では、16本の実装用ヘッド16が、8本ずつ前後2列に振り分けられている。なお、前列(同図中の下側の列)の各実装用ヘッド16と後列(同図中の上側の列)の各実装用ヘッド16とはX方向についてそれぞれ同じ位置に配置されている。
【0052】
この部品実装装置では、
図7に示すように、これら16本の実装用ヘッド16のうち前後(Y方向)に並ぶ2本一組の実装用ヘッド16(本発明のヘッドペアに相当する)が、
図4に示したものと同等の昇降駆動機構により昇降駆動される構成となっている。
【0053】
具体的には、各実装用ヘッド16の上方には各々ラック部材22が配置され、各実装用ヘッド16は各々実装用ヘッド16の下端部に連結されている。前後に対応する一組の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22は、互いに歯面が向かい合わせとなるように配置され、これらラック部材22の間に、当該両ラック部材22に噛合する状態でピニオン部材24が介設されている。当該ピニオン部材24は、フレーム部材6aに回転自在に支持されている。前記一組の実装用ヘッド16のうち後側(
図7では右側)の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22の側面(歯面とは反対側の面)には、前記リニアモータ30の可動子32が固定され、所定隙間を隔てて当該可動子32に対向する位置に、前記リニアモータ30の固定子31が配置された上で前記フレーム部材6aに固定されている。この構成により、前記固定子31が通電制御を受けると、当該固定子31と可動子32との間の磁力の相互作用により、前記一組の実装用ヘッド16のうち後側の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22が上下動し、これに連動して前側の実装用ヘッド16に連結されるラック部材22が上下動し、その結果、当該一組の実装用ヘッド16が連動して上下動するようになっている。つまり、
図6に示す例では、実装用ヘッド16の昇降駆動機構は、前後二列に配列された合計16本の実装用ヘッド16を、8個のリニアモータ30で昇降駆動する。
【0054】
このような
図6及び
図7に示す部品実装装置についても、ラック部材22及びピニオン部材24を主な構成要素として単一のリニアモータ30で2つの実装用ヘッド16を昇降駆動するように昇降駆動機構が構成されているため、
図3等に示した部品実装装置と同様に、各実装用ヘッド16の昇降高さ制御の自由度を高度に確保しながら合理的にヘッドユニット6をコンパクト化することができる。
【0055】
なお、
図7に示す例では、昇降駆動機構は、実装用ヘッド16がラック部材22の下端部に連結され、ラック部材22と実装用ヘッド16とが一体的に上下動する構成であるが、当該昇降駆動機構についても、ラック部材22と実装用ヘッド16とが分離された、
図5に示すような構成を適用することもできる。
【0056】
また、
図7の例では、リニアモータ30を用いてラック部材22を直接上下動させているが、
図4の例のように、Z軸サーボモータ26によりピニオン部材24を回転駆動することによりラック部材22を上下動させるように構成してもよい。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明に係る部品実装装置の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。