特許第5903375号(P5903375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5903375-通信装置、方法、及びプログラム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903375
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】通信装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20160331BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   G08B25/10 D
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-261540(P2012-261540)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-107831(P2014-107831A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保 行幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊則
(72)【発明者】
【氏名】沙魚川 久史
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−099732(JP,A)
【文献】 特開2006−004116(JP,A)
【文献】 特開2006−020295(JP,A)
【文献】 特開平11−339166(JP,A)
【文献】 特開2006−319575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00−31/00
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する通信装置であって、
通信回線と接続され、特定の通信装置から業務上の指示情報を受信する受信部と、
前記受信した指示情報を表示する表示部と、
前記撮像部による画像撮影が制限される制限モードと画像撮影の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部とを備え、
前記モード設定部は、前記制限モードが設定されているときに前記指示情報を受信すると前記解除モードに設定を変更することを特徴とした通信装置。
【請求項2】
ユーザ入力を行う操作部と、
前記操作部から対処終了のユーザ入力が行われると、前記特定の通信装置に対処終了信号を送信する送信部を備え、
前記モード設定部は、前記解除モードが設定されているときに前記対処終了信号を送信すると、前記解除モードから前記制限モードに設定を変更する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記モード設定部は、前記解除モードが設定されているときに前記特定の通信装置から対処終了信号を受信すると、前記解除モードから前記制限モードに設定を変更する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記解除モードが設定されているときに、現在の位置情報を前記特定の通信装置に送信する送信部を備える、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
現在の対処ステータス情報を入力するための操作が行われる操作部と、
前記入力された現在の対処ステータス情報を前記特定の通信装置に送信する送信部と、
を備える、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する通信装置における前記撮像部による画像撮影の制限を解除する方法であって、
前記通信装置は、
通信回線と接続され、特定の通信装置から業務上の指示情報を受信する受信部と、
前記受信した指示情報を表示する表示部と、
前記撮像部による画像撮影が制限された制限モードと画像撮影の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部とを備え、
前記方法は、
前記制限モードが設定されているときに前記指示情報を受信すると、前記制限モードから前記解除モードに設定を変更することを特徴とする方法。
【請求項7】
画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する通信装置に備えられるコンピュータで実行されるプログラムであって、
前記通信装置は、
通信回線と接続され、特定の通信装置から業務上の指示情報を受信する受信部と、
前記受信した指示情報を表示する表示部と、
前記撮像部による画像撮影が制限された制限モードと画像撮影の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部とを備え、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
前記制限モードが設定されているときに前記指示情報を受信すると、前記制限モードから前記解除モードに設定を変更する処理を実行させることを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する撮像機能を備えた通信装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する撮像機能など、様々な機能を備えた通信装置(携帯端末やスマートフォンなど)が普及し、様々なサービス分野で業務用として利用されるようになってきている。例えば、施設や邸宅などの監視対象における警備サービスの分野では、警備員に通信装置を所持させておき、監視対象に設置されている監視センサーや監視カメラから、監視センタへ異常発生の通報が行われると、監視センタから警備員(警備員の所持する通信装置)に対して「対処」の指示が送られる。警備員は、通信装置を用いて監視センタとの連絡や連携をとりながら、監視対象で発生した異常(不審者の侵入、火災の発生など)に対処する。
【0003】
そして、このような対処の際には、監視対象の状況(例えばガラス破りの状況など)を監視センタに報告する必要が生じる場合がある。この場合に、通信装置の撮像機能を利用して、監視センタに監視対象の状況を画像撮影して送信すれば、監視センタでの正確な状況把握が可能となり、監視対象へのより適切な対処を行うことができる。また、監視対象において犯人を目撃した際も、画像撮影して犯人の姿を正確に記録しておくことで犯人逮捕に役立てることができる。
【0004】
通信装置の撮像機能は、このように業務に資する一方で、警備員が監視対象への対処を行っていない待機中など、業務の目的で使用する必要がない場合にも通常は使用することができる。そして、このようなときにも、撮像機能の使用を許容していると、撮像機能を私的に使用されるといった不正利用や、撮像した画像データなどの情報が外部に漏洩するといった問題が生じる場合があるため、通信装置の撮像機能を制限する必要がある。
ここで、通信装置の機能を制限する手法としては、例えば特許文献1の手法が知られている。特許文献1の通信装置では、暗証コードが入力されない限り、通信装置の機能が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−26730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手法では、暗証コードさえ通信装置の使用者が入力すれば、業務の目的で使用する必要がない場合でも、機能の制限を解除できてしまう。
これを防ぐために、例えば、暗証コードを、通信装置の使用者には知らせずに、業務に係る責任者だけが記憶しておくようにし、この責任者の判断に基づき暗証コードを入力する運用とすれば、業務の目的で使用する必要のある場合にだけ制限を解除することができる。しかし、このような運用では、業務で使用する必要が生じる都度、通信装置の使用者は責任者に暗証コードの入力をしてもらわなければならず、円滑な業務の遂行に支障を来してしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、円滑な業務遂行に支障を来さないように撮像機能を制限しつつ、業務の目的で使用する必要が生じたときに撮像機能の制限を解除できる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信装置は、画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する通信装置であって、通信回線と接続され、特定の通信装置から業務上の指示情報を受信する受信部と、前記受信した指示情報を表示する表示部と、前記撮像部による画像撮影が制限される制限モードと画像撮影の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部とを備え、前記モード設定部は、前記制限モードが設定されているときに前記対処指示情報を受信すると前記解除モードに設定を変更する。
【0009】
本発明によれば、通信装置(例えば、警備員などが所持している)で制限モードが設定されると、撮像部による画像撮影が制限される。そして、通信装置で制限モードが設定されているときに、特定の通信装置(例えば、監視センタなどに設置された通信装置や業務に係る責任者が所持する通信装置など)から業務上の指示情報を受信すると、制限モードから解除モードに設定が変更され、撮像部による画像撮影の制限が解除される。これにより、円滑な業務遂行に支障を来さないように撮像機能を制限しつつ、業務の目的で使用する必要が生じたときに撮像機能の制限を解除できる。
【0010】
また、本発明の通信装置は、ユーザ入力を行う操作部と、前記操作部から対処終了のユーザ入力が行われると、前記特定の通信装置に対処終了信号を送信する送信部を備え、前記モード設定部は、前記解除モードが設定されているときに前記対処終了信号を送信すると、前記解除モードから前記制限モードに設定を変更してもよい。
【0011】
例えば、警備員による対処が完了した場合などに、通信装置の操作部から対処終了のユーザ入力が行われると、特定の通信装置に対処終了信号が送信される。これにより、他の通信装置で、対処が完了したことを知ることができる。そして、通信装置では、適切なモード(制御モード)に設定が変更される。このため、業務上の指示に係る要件が終了した場合には撮像部による画像撮影を制限することができる。
【0012】
また、本発明の通信装置では、前記モード設定部は、前記解除モードが設定されているときに前記特定の通信装置から対処終了信号を受信すると、前記解除モードから前記制限モードに設定を変更してもよい。
【0013】
例えば、特定の通信装置が設置される監視センタで監視員が対処終了と判断した場合などには、特定の通信装置から通信端末に対処終了信号が送信される。通信装置では、その対処終了信号を受信すると、適切なモード(制御モード)に設定が変更される。このため、業務上の指示に係る要件が終了した場合には撮像部による画像撮影を制限することができる。
【0014】
また、本発明の通信装置端末は、前記解除モードが設定されているときに、現在の位置情報を前記特定の通信装置に送信する送信部を備えてもよい。
【0015】
解除モードが設定されているときには、通信装置の現在の位置情報が特定の通信装置に送信されるので、特定の通信装置(が設置される監視センタなど)で、通信端末(を所持する警備員)の現在位置を把握することができる。
【0016】
また、本発明の通信装置は、現在の対処ステータス情報を入力するための操作が行われる操作部と、前記入力された現在の対処ステータス情報を前記特定の通信装置に送信する送信部と、を備えてもよい。
【0017】
解除モードが設定されているときに、現在の対処ステータス情報を入力すると、その情報(現在の対処ステータス情報)が特定の通信装置に送信される。これにより、特定の通信装置(が設置される監視センタなど)で、通信装置(を所持する監視員)の現在の対処ステータスを把握することができる。
【0018】
本発明の方法は、画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する通信装置における前記撮像部による画像撮影の制限を解除する方法であって、前記通信装置は、通信回線と接続され、特定の通信装置から業務上の指示情報を受信する受信部と、前記受信した指示情報を表示する表示部と、前記撮像部による画像撮影が制限された制限モードと画像撮影の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部とを備え、前記方法は、前記制限モードが設定されているときに前記指示情報を受信すると、前記制限モードから前記解除モードに設定を変更する。
【0019】
また、本発明のプログラムは、画像撮影可能な撮像部を備えて取得した画像データを記憶する通信装置に備えられるコンピュータで実行されるプログラムであって、前記通信装置は、通信回線と接続され、特定の通信装置から業務上の指示情報を受信する受信部と、前記受信した指示情報を表示する表示部と、前記撮像部による画像撮影が制限された制限モードと画像撮影の制限が解除される解除モードを設定するモード設定部とを備え、前記プログラムは、前記コンピュータに、前記制限モードが設定されているときに前記指示情報を受信すると、前記制限モードから前記解除モードに設定を変更する処理を実行させる。
【0020】
これらの方法やプログラムによっても、上記の通信装置と同様に、通信装置(例えば、警備員などが所持している)で制限モードが設定されると、撮像部による画像撮影が制限される。そして、通信装置で制限モードが設定されているときに、特定の通信装置(例えば、監視センタなどに設置された通信装置や業務に係る責任者が所持する通信装置など)から業務上の指示情報を受信すると、制限モードから解除モードに設定が変更され、撮像部による画像撮影が解除される。これにより、通信装置の不正利用や情報漏洩を防止しながらも、円滑な業務遂行に支障を来さないようにしつつ、業務の目的で使用する必要が生じたときに撮像機能の制限を解除できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、円滑な業務遂行に支障を来さないようにしつつ、業務の目的で使用する必要が生じたときに通信装置の撮像機能の制限を解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における警備システムの説明図
図2】本発明の実施の形態における通信装置のブロック図
図3】本発明の実施の形態における通信装置の動作説明のためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の通信装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、監視対象としての施設や建物の警備を行う警備システム等に用いられる通信装置の場合を例示する。以下に説明するように、本実施の形態の通信装置は種々の機能を備えている。これらの機能は、通信装置の記憶部に格納されたプログラムによって実現することができる。
【0024】
まず、本発明の実施の形態の通信装置が適用される警備システムについて、図面を参照しながら説明しておく。図1は、本実施の形態の警備システムの説明図である。図1に示すように、本実施の形態の警備システムでは、警備員Pが、通信装置1(携帯端末やスマートフォンなど)のユーザとして当該装置を所持している。通信装置1は、インターネット網や移動体通信網などの通信回線NWに接続されており、監視センタCに設置されているセンタ装置(特定の通信装置)や、他の警備員Pが所持している他の通信装置1と通信可能である。
【0025】
そして、監視対象には通信回線NWに接続可能な警備装置Sが設置されており、この警備装置Sには監視対象の各所に設置された監視センサー、監視カメラ、非常ボタン(図示せず)などが接続されている。監視センサーは、例えば、窓の開閉を検知するマグネットセンサー、室内の移動物体を検知する赤外線センサー、室内が高温となったことを検知する熱感知センサー、室内に煙が充満したことを検知する煙感知センサーなどがある。警備装置Sは、監視対象が無人であることを示す警備セットモードが利用者によって設定されているときにマグネットセンサーや赤外線センサーが検知すると不審者の侵入と判定する。警備装置Sは、上述の警備セットモードが設定されているか否かにかかわらず、熱感知センサーや煙感知センサーが検知すると火災の発生と判定する。非常ボタンは、利用者が身の危険を感じたり体調に異変が発生したりするなどの非常事態の際に利用者によって操作される。警備装置Sは、この非常ボタンが操作されると非常事態の発生と判定する。警備装置Sは、上述の不審者の侵入、火災の発生、または非常事態の発生などの異常を判定すると、通信回線NWを介して監視センタC(センタ装置)へ異常発生の通報を行う。この異常発生の通報には警備装置Sに設定された識別情報及び異常内容(不審者の侵入、火災の発生、非常事態の発生など)の情報が含まれる。
【0026】
監視センタCのセンタ装置には、各監視対象に設置されている警備装置Sの識別情報と、警備員Pが監視対象に発生した異常に対処するために必要な対処情報(例えば、監視対象の住所の情報など)とが対応付けて警備装置情報として記憶されている。センタ装置は、警備装置Sから異常発生の通報を受信すると、受信した警備装置Sの識別情報と警備装置情報とから異常が発生した警備装置Sを特定し、この警備装置Sの対処情報を異常内容とともに表示し、異常発生を報知する。監視センタCでは監視員がセンタ装置を監視しており、監視員はこの表示を確認すると、最も適切な警備員Pを指定して、異常に対処するように指示を行う。この指示はセンタ装置に対する監視員の操作によって入力される。センタ装置は、各警備員Pごとに所持する通信装置1の識別情報を対応付けて警備員情報として記憶しており、監視員による指示の入力があると、指定された警備員Pが所持する通信装置1の識別情報を警備員情報から特定し、警備員Pの所持する通信装置1に対して「対処」の指示を業務上の指示情報として送る。この指示情報には、上述した対処情報及び異常内容の情報などが含まれる。警備員Pは、通信装置1を用いて受信した対処情報を参照したり監視員や他の警備員Pとの連絡や連携をとったりしながら、監視対象に向い発生した異常に対処する。
【0027】
つぎに、本発明の実施の形態の通信装置1の構成を、図面を参照して説明する。図2は、本実施の形態の通信装置1のブロック図である。図2に示すように、通信装置1は、撮像部16、報知部12、測位部13、送話部14、受話部15、通信部2、タッチパネル4、記憶部11、制御部3を備えている。
【0028】
撮像部16は、制御部3の制御に基づいて被写体を撮像するCCDやCMOS等を利用した撮像素子などからなるカメラモジュールである。撮像部16は、被写体を撮像して、静止画または動画などの画像データを取得すると、その画像データを制御部3へ出力する。
【0029】
報知部12は、制御部3の制御に基づいて通話の着信やメールの着信などを光、音、振動などで警備員Pに報知する手段であって、LED、スピーカ、振動モータなどを用いて構成される。
【0030】
測位部13は、制御部3の制御に基づいてGPS衛星の電波や携帯電話網の基地局の電波などを受信し、これらから通信装置1の現在の位置情報を算出する手段である。測位部13は、現在の位置情報を算出すると当該位置情報を制御部3へ出力する。
【0031】
送話部14は、周囲の音声を電気信号として取り込む手段であって、マイクロホンなどを用いて構成される。送話部14は、取り込んだ音声情報としての電気信号を制御部3に出力する。受話部15は、制御部3から入力された電気信号から音声を再生する手段であり、スピーカなどを用いて構成される。送話部14及び受話部15は、警備員Pが通話をする際に使用される。
【0032】
通信部2は、アンテナなどを備え、通信回線NWの通信プロトコルに従って外部の装置と情報を送受信可能な通信モジュールであり、送信部5と受信部6とから構成される。送信部5は、制御部3からの制御に従って情報を通信回線NWを介して外部の装置に送信し、受信部6は、通信回線NWを介して外部の装置から受信した情報(例えば、上述の指示情報など)を制御部3へ出力する。なお、通信回線NWの通信プロトコルについては、公知の技術を用いればよいので説明を省略する。
【0033】
タッチパネル4は、警備員Pに対して情報を表示し、また警備員Pが所定の情報を入力するためのインターフェースであり、表示部9と操作部10で構成されている。表示部9は、警備員Pに情報を表示するためにタッチパネル上に形成される表示領域である。この表示領域には、例えば、上述の指示情報などが表示される。また、操作部10は、警備員Pが入力を行うためにタッチパネル上に形成されたキーボードやボタンなどの操作領域である。
【0034】
記憶部11は、通信装置1の動作を制御するための各種アプリケーション、オペレーティングシステム、警備員登録データなどを記憶するROM・RAM等からなる。記憶部11は、制御部3によって情報の読み出し又は書き込みがなされる。特に、記憶部11は、モード記憶部111、設定記憶部112、画像記憶部113などを備える。
【0035】
モード記憶部111は、当該通信装置1の動作の制限有無を記憶する手段であり、つまり制限モード及び解除モードのうちいずれか一つを記憶する。
ここで、制限モードとは、警備員Pの操作に基づく撮像部16による画像撮影が制限されるモードであり、当該警備員Pが監視対象に対処をしていないときに設定されるモードである。一方、解除モードとは、警備員Pの操作に基づく撮像部16による画像撮影の制限が解除されるモードであり、当該警備員Pが監視対象に対処をしているときに設定される。
【0036】
画像記憶部113は、制御部3の制御により撮像部16において取得した画像データを記憶する手段である。
【0037】
設定記憶部112は、通信装置1の設定情報を記憶している。制御部3は、この設定情報に基づいて通信装置1の制御を行う。本実施の形態では、設定情報は、上述の制限モードが記憶されているときには、撮像部16による画像撮影を制限する設定となり、上述の解除モードが記憶されているときには、撮像部16による画像撮影を制限しない設定となる。このような設定の具体例としては、制限モードでは画像記憶部113への画像データの記憶を禁止し解除モードでは画像記憶部113への画像データの記憶を許可する設定とする、または制限モードでは撮像部16に対して制御のためのアクセスを行うアプリケーションの起動を禁止し解除モードでは撮像部16に対して制御のためのアクセスを行うアプリケーションの起動を許可する設定とする、などといった設定を行えばよい。
【0038】
制御部3は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、上述した通信装置1の各部を制御する。制御部3は、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、通信部2を用いて外部との情報の送受信を行う通信制御部31と、一般的な携帯電話やスマートフォンなどに搭載されている通話機能を実現するアプリケーションとしての通話管理部32と、一般的な携帯電話やスマートフォンなどに搭載されている電子メールクライアント機能を実現するアプリケーションとしてのメール管理部33と、一般的な携帯電話やスマートフォンなどに搭載されているカメラ機能を実現するアプリケーションとしての撮像管理部35と、制限モードまたは解除モードの設定の変更などを行う制限部34を備えている。
【0039】
通信制御部31は、通信部2を制御することで外部の装置への情報送信を管理する。また、通信制御部31は、通信部2から出力された情報を制御部3内の各部に伝達する。
具体的には、通話の処理に関して、通信制御部31は、通話管理部32から、発信先を指定した通話の発信を要求する信号である通話発信要求を受けると、その発信先への発信処理を通信部2に実行させる。
また、通信制御部31は、通信部2を介して、外部の装置から通話を要求する旨の通話着信信号を受けると、外部の装置からの着信がある旨の通話着信通知を通話管理部32に行う。そして、通信制御部31は、通話管理部32から、この通話着信通知に対して応答を指示する応答信号を受けると、通信部2に着信信号に対する応答処理を実行させ、外部の装置との通話状態を確立させる。
さらに、通信制御部31は、通話管理部32から、通話状態を終了する旨の終話要求を受けると、通信部2に通話状態を終了させるための終話処理を実行させる。
【0040】
電子メールの送受信の処理に関して、通信制御部31は、メール管理部33から、送信先のメールアドレスを指定した電子メールの送信を要求する信号であるメール送信要求を受けると、その送信先への送信処理を通信部2に実行させる。
また、通信制御部31は、通信部2を介して、外部の装置から自装置宛の電子メールが新たに入った旨のメール受信信号を受けると、外部の装置からのメールがある旨のメール受信通知をメール管理部33に行う。
【0041】
通話管理部32は、通話機能に係る表示を表示部9や操作部10に行わせる。警備員Pは、この通話管理部32が表示する操作部10を操作して通話の発信を行うことができ、これによって監視センタCの監視員や他の警備員Pに対して連絡や報告などを行うことができる。通話管理部32は、警備員Pから操作部10を介して、発信先を指定した通話の発信を要求する通話発信情報を受けると、通信制御部31に通話発信要求を行う。
【0042】
また、警備員Pは、通話管理部32が表示する画面を用いて、通話の着信に係る操作を行うことができる。具体的には、通話管理部32は、通信制御部31から、通話着信通知を受けると、表示部9に発信元の情報とともに通話の着信がある旨を表示し、操作部10に応答ボタンを表示する。また、通話管理部32は、操作部10の応答ボタンが警備員Pにより操作されると、通信制御部31に応答信号を送る。さらに、通話管理部32は、通話状態が確立している間は操作部10に終話ボタンを表示し、この終話ボタンが警備員Pにより操作されると、終話要求を送る。
【0043】
メール管理部33は、電子メールのクライアント機能に係る表示を表示部9や操作部10に行わせる。警備員Pは、このメール管理部33が表示する操作部10を操作して電子メールの送信を行うことができる。例えば、警備員Pが操作部10を操作して、画像記憶部113に記憶されている画像データを電子メール本文に添付することを指定し、監視センタCや他の警備員Pのメールアドレスを指定して電子メールを送信すれば、監視センタCや他の警備員Pに対して画像データ付きの連絡や報告などを行うことができる。メール管理部33は、警備員Pから操作部10を介して、又は、制限部34から、メールアドレスを指定した電子メールの送信を要求するメール送信情報を受けると、通信制御部31にメール送信要求を行う。
【0044】
また、警備員Pは、操作部10を操作してメール管理部33による画面を表示部9に表示させて外部の装置から受信した電子メールの内容を見ることができる。具体的には、メール管理部33は、通信制御部31から、メール受信通知を受けると、表示部9に送信元の情報とともにメールの受信がある旨を表示するとともに、通信制御部31及び通信部2を介して適宜のメールサーバから電子メールを受信する。メール管理部33は、警備員Pによる操作部10の操作に応じて、受信した電子メールを管理するための管理画面や電子メールの内容を表示する。
本実施の形態では、業務上の指示情報として電子メールを用いており、この業務上の指示情報としての電子メールの本文には、監視対象の住所を含む対処情報、異常内容、そして、制限モードから解除モードに変更するためのハイパーリンクが含まれている。さらに、このハイパーリンクには、制限部34を起動するためのコマンド及び制限部34に渡す情報であるコードが含まれている。このため、警備員Pがこのハイパーリンクを操作すると、制限部34が起動するとともにコードが制限部34に入力されて、制限モードから解除モードへ変更するための処理が行われる。すなわち、本実施の形態では、指示情報には、警備員Pの入力により実行可能なコマンドが付加されており、このコマンドの実行により、センタ装置から受信した情報が指示情報であるか否かを判断する仕組みとなっている。
【0045】
撮像管理部35は、カメラ機能に係る表示を表示部9や操作部10に行わせる。本実施の形態では、上述した設定記憶部112における設定に基づいて、撮像管理部35が撮像部16を用いて画像撮影を行うことが禁止または許可されるように動作する。
例えば、画像撮影を行うことを禁止または許可する設定情報として、撮像部16へアクセスするアプリケーションの起動を禁止または許可する設定としている場合は、撮像管理部35は、警備員Pによって撮像部16による画像撮影を行う機能を起動する起動操作がされると、設定記憶部112を参照し、画像撮影を制限する設定(制限モード)が記憶されているとその起動操作を受け付けず、現在画像撮影が制限されている旨を表示部9に表示する。
他方、撮像管理部35は、起動操作がされたときに設定記憶部112を参照して、画像撮影を制限しない設定(解除モード)が記憶されていると、その起動操作を受け付け、画像撮影のために必要な撮影画面をタッチパネル4に表示させる。警備員Pは、この撮影画面において撮像部16が現在撮像している画像を参照したり、シャッターボタンを操作することで画像を撮影したりすることができる。撮像管理部35は、シャッターボタンが操作されると撮像部16に画像データを取得させ、この画像データを画像記憶部113に記憶させる。
また、撮像管理部35は、警備員Pによる操作部10の操作に基づき画像記憶部113に記憶された画像データを表示部9に表示する。
【0046】
制限部34は、モード設定部341、対処管理部342を備える。
モード設定部341は、二つのモード(制限モードと解除モード)を設定する。具体的には、モード設定部341は、上述のハイパーリンクが警備員Pにより操作されたときに入力されるコードが以前に既に入力されたコードか否かを判定する。そして、モード設定部341は、以前に入力されたコードでないと判定した場合、モード記憶部111に解除モードを記憶させる。また、モード設定部341は、この解除モードへの変更の際に併せて設定記憶部113における設定情報を撮像部16による画像撮影を許可する設定(解除モード)にする。なお、記憶部11には、モード設定部341に入力されたコードが順次記憶されており、モード設定部341は、記憶部11に記憶したコードを参照することで、今回入力されたコードが以前に既に入力されたコードか否かを判定している。また、モード設定部341は、以前に入力されたコードであると判定した場合は、上述のハイパーリンクによる解除モードへの設定の変更を行わない。これにより、警備員Pが同一のハイパーリンクから解除モードに変更することは所定回数(上述の例では1回)しかできないように制限している。
【0047】
また、モード設定部341は、対処管理部342から、対処が終了した旨の対処終了通知を受けると、モード記憶部111に制限モードを記憶させる。また、モード設定部341は、この制限モードへの変更の際に併せて設定記憶部113における設定情報を撮像部16による画像撮影を禁止する設定(制限モード)にする。
【0048】
対処管理部342は、警備員Pが現在の対処ステータス情報を入力するための入力ウィンドウをタッチパネル4を用いて表示する。対処ステータスには、「対処開始」「対処中」「対処終了」「待機中」などが含まれる。「対処開始」は、警備員Pが、指示情報を確認し、異常の発生した監視対象へ出発した状態を示すステータスである。「対処中」は、警備員Pが、異常の発生した監視対象に到着し、監視対象の異常への対処を開始した状態を示すステータスである。「対処終了」は、警備員Pが、監視対象の異常への対処が終了し、監視対象から所定の待機所へ向けて帰還を開始した状態を示すステータスである。「待機中」は、警備員Pが所定の待機所で待機している状態を示すステータスである。
【0049】
対処管理部342は、入力された現在の対処ステータス情報を監視センタCに送信する処理を行う。具体的には、監視センタCのメールアドレスを指定し、かつ電子メール本文に対処ステータス情報を含むように指定するメール送信情報をメール管理部33に送る。監視センタCのセンタ装置は、対処ステータス情報を受信すると監視員に対してこの旨を報知する。従って、監視センタCの監視員は、警備員Pの対処の状況を把握することができる。
【0050】
また、対処管理部342は、警備員Pが操作部10から「対処終了」の入力を行った場合には、モード設定部341に対処終了通知を行う。これにより、モード設定部341は、監視センタCに対処終了信号の送信がなされるときに、解除モードから制限モードに設定を変更することになる。従って、警備員Pが業務上行う必要となるこの対処終了の報告に併せて、通信装置1では適切なモード(制限モード)に設定を変更することができる。
【0051】
さらに、対処管理部342は、モード記憶部111を参照して解除モードが記憶されていると、現在の位置情報を測位部13に取得させ、取得した現在の位置情報を監視センタCに送信する。この送信の処理は、監視センタCのメールアドレスを指定し、かつ電子メール本文に算出した位置情報を含むように指定するメール送信情報をメール管理部33に送る。これにより、警備員Pの現在位置が監視センタCに送信されることになる。監視センタCのセンタ装置は、位置情報を受信すると監視員に対してこの旨を報知する。従って、監視センタCの監視員は、警備員Pの現在位置を把握することができる。なお、現在の位置情報の取得及び送信は、定期的に(例えば、1分毎に)行われてもよい。
【0052】
以上のように構成された通信装置1について、図3のフロー図を参照してその主な動作を説明する。なお、本フローは、上述した制御部3が各部を用いて所定時間ごと(例えば1分毎に)に実行されるものである。
【0053】
図3に示すように、本実施の形態の通信装置1では、初期設定(デフォルト設定)として、モード記憶部111に制限モードを記憶しており、警備員Pの入力に基づく撮像部16による画像撮影が制限されている(S1)。そして、監視センタCから業務上の指示情報を受信部6が受信すると(S2)、受信した指示情報をメール管理部33が表示部9に表示させる(S3)。これにより、警備員Pに対処指示の内容が伝達され、警備員Pは指示された監視対象に急行することとなる。ここで、表示された指示情報において警備員Pによりハイパーリンクが操作されると、モード設定部341が制限モードから解除モードに設定を変更し、これにより、警備員Pの入力に基づく撮像部16による画像撮影の制限が解除される(S4)。
【0054】
解除モードに設定されると、対処管理部342は、通信装置1の現在の位置情報を監視センタCへ送信し(S5)、表示部9に、現在の対処ステータス情報を入力するための入力ウィンドウを表示させる(S6)。操作部10から現在の対処ステータス情報が入力されると(S7)、対処管理部342は、入力された現在の対処ステータス情報を監視センタCに送信する(S8)。警備員Pは、指示された対処の進展に合わせて「対処開始」「対処中」と対処ステータスを入力する。そうして制御部3は、「対処終了」の入力があるまでステップS5−S9の処理を繰り返す。
【0055】
現在の対処ステータスとして「対処終了」が警備員Pにより入力されると(S9)、対処管理部342は、送信部5を介して対処終了信号を監視センタCに送信する(S10)。そして、モード設定部341は、解除モードから制限モードに設定を変更し、警備員Pの入力に基づく撮像部16による画像撮影が制限される(S11)。
【0056】
このような本実施の形態の通信装置1によれば、円滑な業務遂行に支障を来さないようにしつつ、業務の目的で使用する必要が生じたときに通信装置1の撮像機能の制限を解除できる。
【0057】
すなわち、本実施の形態では、通信装置1(例えば、警備員Pなどが所持している)で制限モードが設定されると、警備員Pの入力に基づく画像撮影が制限される。そして、通信装置1で制限モードが設定されているときに、センタ装置から業務上の指示情報を受信すると、制限モードから解除モードに設定が変更され、画像撮影の制限が解除される。これにより、円滑な業務遂行に支障を来さないようにしつつ、業務の目的で使用する必要が生じたときに通信装置1の撮像機能の制限を解除できる。
【0058】
また、警備員Pによる対処が完了した場合などに、通信装置1の操作部10から対処終了のユーザ入力が行われると、センタ装置に対処終了信号が送信される。これにより、監視員は、センタ装置(が設置される監視センタC)で対処が完了したことを知ることができる。そして、通信装置1では、適切なモード(制限モード)に設定が変更される。
【0059】
また、本実施の形態では、制限モードで、撮像部16による画像撮影が制限されるので、通信装置1の業務以外の不正利用を禁止することができ、情報漏洩などを防ぐことができる。
【0060】
また、本実施の形態では、解除モードが設定されているときには、通信装置1の現在の位置情報がセンタ装置に送信されるので、監視員は、センタ装置(が設置される監視センタC)で通信装置1(を所持する警備員P)の現在位置を把握することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、解除モードが設定されているときに、入力ウィンドウから現在の対処ステータス情報を入力すると、その情報(現在の対処ステータス情報)がセンタ装置に送信される。これにより、監視員は、センタ装置(が設置される監視センタC)で通信装置1(を所持する警備員P)の現在の対処ステータスを把握することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、センタ装置から送信する指示情報として電子メールを用い、この電子メールを携帯電話やスマートフォンに元々搭載されている電子メールクライアント(メール管理部33)を使用して受信し、電子メールに含まれるハイパーリンクを警備員Pが操作することでコマンドを実行することにより、通信装置1を解除モードに変更することを実現している。また、携帯電話やスマートフォンの設定情報を上述したように設定することで、携帯電話やスマートフォンにインストールされているカメラアプリケーション(例えば撮像管理部35など)における画像撮影を制限することを実現している。このため、本発明を実現するためには、制限部34の機能を実行可能なアプリケーションプログラムを適宜インストールすることで可能となり、既存のリソースを有効活用して容易に本発明を実施することができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。以下に上述の実施の形態の変形例について説明する。
【0064】
(変形例1)
上述の実施の形態においては、通信装置1を解除モードにするために、指示情報としての電子メールに含めたハイパーリンクを用いたが、その替わり又は追加の機能として、この電子メールのヘッダ部に基づいて通信装置1が指示情報か否かを判断し、解除モードを設定するようにしてもよい。
例えば、ヘッダ部にある送信元のアドレス情報がセンタ装置のメールアドレスか否かを判断することにより、解除モードを設定するようにすることができる。
【0065】
これを図2を用いて具体的に説明すると、記憶部11に特定アドレス記憶部を設け、ここにセンタ装置が指示情報を送信する際に送信元として使用する指示情報用のメールアドレスを予め記憶しておく。そして、メール管理部33は、通信制御部31から、メール受信通知を受けてメールサーバから電子メールを受信したときに、この電子メールの送信元のメールアドレスが、記憶部11の特定アドレス記憶部に記憶した指示情報用のメールアドレスと一致するか否かを判断する判断部としての機能を備えるようにする。この判断部が一致すると判断した場合には、メール管理部33は、制限部34に対して、制限部34を起動するためのコマンド及び解除モードの設定を指示する旨のコードを送る。このコマンドを受けて制限部34が起動すると、モード設定部342はコードの内容を受け付けてモード記憶部111に解除モードを記憶させる。他方、判断部が一致しないと判断した場合には、上述の処理を行わない。
【0066】
(変形例2)
また、電子メールのヘッダ部を用いる場合の他の手法としては、電子メールのヘッダ部にある件名(サブジェクト)に基づいて通信装置1が指示情報か否かを判断し、解除モードを設定するようにしてもよい。
これを図2を用いて具体的に説明すると、記憶部11に特定サブジェクト記憶部を設け、ここにセンタ装置が指示情報を送信する際に件名に含める指示情報用のコードを予め記憶しておく。そして、メール管理部33は、通信制御部31から、メール受信通知を受けてメールサーバから電子メールを受信したときに、この電子メールの件名(サブジェクト)が、記憶部11の特定サブジェクト記憶部に記憶した指示情報用のコードと一致するか否かを判断する判断部としての機能を備えるようにする。この判断部が一致すると判断した場合には、メール管理部33は、制限部34に対して、制限部34を起動するためのコマンド及び解除モードの設定を指示する旨のコードを送る。このコマンドを受けて制限部34が起動すると、モード設定部342はコードの内容を受け付けてモード記憶部111に解除モードを記憶させる。他方、判断部が一致しないと判断した場合には、上述の処理を行わない。
変形例1及び変形例2によれば、特定の通信装置(センタ装置)から受信した情報が指示情報であるか否かを、指示情報に付加されているヘッダ情報(送信元のメールアドレスや件名(サブジェクト)など)に基づいて、適切に判断することができる。
【0067】
(変形例3)
また、上述の実施の形態、変形例1、変形例2においては、指示情報として電子メールを用いていたが、電子メールに限らず他の手法を用いてもよい。
これを図2を用いて具体的に説明すると、センタ装置からの自装置宛の指示情報を、移動体通信網を介したSMS又はIP網を介したパケット情報として受け付ける指示受部を
制御部3に設ける。この指示受部は、通信部2及び通信制御部31を介して、警備システム上で予め体系付けられた指示情報を受け付けることができ、受け付けた指示情報に含まれる対処情報や異常内容などを、警備員Pによる操作部10の操作に応じて表示部9に表示する。また、指示受部は、この指示情報を受け付けると、制限部34に対して、制限部34を起動するためのコマンド及び解除モードの設定を指示する旨のコードを送る。コマンドを受けて制限部34が起動すると、モード設定部342はコードの内容を受け付けてモード記憶部111に解除モードを記憶させる。
変形例1〜変形例3によれば、上述の実施の形態における警備員Pの操作(ハイパーリンクの操作)を介することなく自動的に制限モードから解除モードに設定を変更することができる。
【0068】
(変形例4)
上述の実施の形態では、通信装置1において「対処終了」の警備員Pの入力が行われると、通信装置1を制限モードに設定するようにしていたが、この替わり又はこれに加えて、センタ装置から対処終了信号を受信すると、通信装置1を制限モードに設定するようにしてもよい。また、通信装置1では、センタ装置から対処終了信号を受信するとその内容が表示部9に表示され警備員Pに伝達される。以下、これを実現するための方法を、上述の実施の形態、各変形例の場合に分けてそれぞれ説明する。
【0069】
上述の実施の形態の場合、メール管理部33は、指示情報としての電子メールと同様に、対処終了信号としての電子メールを、通信制御部31を介して受け付ける。この電子メールの本文には、解除モードから制限モードに変更するためのハイパーリンクが含まれている。さらに、このハイパーリンクには、制限部34を起動するためのコマンド及び制限部34に渡す情報であるコードが含まれている。警備員Pがこのハイパーリンクを操作すると、制限部34が起動するとともにコードが制限部34に入力される。変形例4を実現する場合、このコードには、指示情報か対処終了信号かを識別するための識別情報も含まれており、これらの識別情報は予め記憶部11が記憶している。モード設定部341は、上述のハイパーリンクが警備員Pにより操作されたときに入力されるコードが記憶部11を参照して指示情報であるのか対処終了信号であるのかを判断し、かつ、上述の実施の形態で説明したように、今回入力されたコードが以前に既に入力されたコードか否かを判定する。そして、モード設定部341は、指示情報であって既に入力されたコードでない場合には、モード記憶部111に解除モードを記憶させる。また、モード設定部341は、対処終了信号であって既に入力されたコードでない場合には、モード記憶部111に制限モードを記憶させる。さらに、モード設定部341は、以前に入力されたコードであると判定した場合は、上述のハイパーリンクによる解除モードや制限モードへの設定の変更を行わない。
【0070】
変形例1の場合、記憶部11の特定アドレス記憶部において記憶している指示情報用のメールアドレスに加えて、センタ装置が対処終了信号を送信する際に送信元として使用する対処終了信号用のメールアドレスをさらに予め記憶しておく。そして、メール管理部33の判断部が、電子メールを受信したときに、メール管理部33の判断部が特定アドレス記憶部を参照して対処終了信号用のメールアドレスと一致するか否かも判断する。判断部が一致すると判断した場合には、メール管理部33は、制限部34に対して、制限部34を起動するためのコマンド及び制限モードの設定を指示する旨のコードを送る。コマンドを受けて制限部34が起動すると、モード設定部342はコードの内容を受け付けてモード記憶部111に制限モードを記憶させる。他方、判断部が一致しないと判断した場合には、上述の処理を行わない。
【0071】
変形例2の場合、記憶部11の特定サブジェクト記憶部において記憶している指示情報用のコードに加えて、センタ装置が対処終了信号を送信する際に件名に含める対処終了信号用のコードを予め記憶しておく。そして、メール管理部33が電子メールを受信したときに、メール管理部33の判断部が特定サブジェクト記憶部を参照して対処終了信号用のコードと一致するか否かも判定する。判断部が一致すると判断した場合には、メール管理部33は、制限部34に対して、制限部34を起動するためのコマンド及び制限モードの設定を指示する旨のコードを送る。コマンドを受けて制限部34が起動すると、モード設定部342はコードの内容を受け付けてモード記憶部111に制限モードを記憶させる。他方、判断部が一致しないと判断した場合には、上述の処理を行わない。
【0072】
変形例3の場合、指示受部が、指示情報の他、警備システム上で予め体系付けられた対処終了信号を受け付けることができ、この対処終了信号を受け付けると、制限部34に対して、制限部34を起動するためのコマンド及び制限モードの設定を指示する旨のコードを送る。コマンドを受けて制限部34が起動すると、モード設定部342はコードの内容を受け付けてモード記憶部111に制限モードを記憶させる。
【0073】
変形例4によれば、センタ装置において受信した通信装置1の現在の位置情報や対処ステータスを監視センタCの監視員が監視していて、監視員が、通信装置1の現在の位置情報が監視対象から離れている、「待機中」のステータスである、などといった状態になっており、制限モードにすべき状態と判断した場合には、センタ装置から遠隔で、通信装置1を解除モードから制限モードに変更することができる。
【0074】
上記に説明した実施の形態、各変形例では、警備システムを例にして説明したが、本発明に係る通信システムは、警察、自衛隊、自治体等で用いられるシステムにも適用することができる。また、これらのシステムに適用した場合のユーザは、それぞれ警察官、隊員、職員などとなる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる通信装置は、業務以外の不正利用を禁止することができ、また、情報漏洩を防ぐことができるという効果を有し、施設や建物の警備システム等に利用され、有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 通信装置
2 通信部
5 送信部
6 受信部
3 制御部
31 通信制御部
32 通話管理部
33 メール管理部
35 撮像管理部
34 制限部
341 モード設定部
342 対処管理部
4 タッチパネル
9 表示部
10 操作部
11 記憶部
16 撮像部
図1
図2
図3