特許第5903397号(P5903397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノリタケカンパニーリミテドの特許一覧 ▶ 株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブの特許一覧

<>
  • 特許5903397-注液式ベルトサンダー 図000002
  • 特許5903397-注液式ベルトサンダー 図000003
  • 特許5903397-注液式ベルトサンダー 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903397
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】注液式ベルトサンダー
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/06 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   B24B23/06
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-60387(P2013-60387)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-184510(P2014-184510A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(73)【特許権者】
【識別番号】390017318
【氏名又は名称】株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】園田 朗
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−003364(JP,U)
【文献】 米国特許第04102084(US,A)
【文献】 特開平10−192740(JP,A)
【文献】 特開2005−177868(JP,A)
【文献】 特開平10−202493(JP,A)
【文献】 実開昭55−179268(JP,U)
【文献】 特開2005−335005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B23/00−23/08
B25F5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラとアイドルローラとに捲き掛けられた無端環状のベルト研磨工具と、圧縮エヤーが供給されることにより前記駆動ローラを回転駆動するエヤーモータと、該エヤーモータに圧縮エヤーを供給しない位置と供給する位置との間で操作可能な操作レバーを有するエヤースイッチ弁と、該ベルト研磨工具の研磨面へ研磨液を供給する注液ノズルとを備える注液式ベルトサンダーであって、
前記注液ノズルへ研磨液を供給しない位置と供給する位置との間で移動可能な開閉操作部材を有する注液開閉弁を含み、
該注液開閉弁の開閉操作部材は、前記エヤースイッチ弁の操作レバーに機械的に連結され、該エヤースイッチ弁の操作レバーがベルト研磨工具の駆動側へ操作されると前記注液ノズルへ研磨液を供給する側の位置へ位置させられるものであり、
前記エヤーモータは、板状の本体フレームに一方の端部が固定された短円柱状のモータ本体部と該モータ本体部の外周面から一方向に突き出す把持部とを備えるものであり、
前記注液開閉弁は、前記モータ本体部に対して前記把持部とは反対側の位置で前記本体フレームに固定され、
前記エヤースイッチ弁の操作レバーは、前記把持部の突き出し方向に長手状を成し、該把持部に沿った操作部、該把持部のモータ本体部側に位置する中央部、および前記注液開閉弁側に位置する先端部を有し、該中央部が回動可能に該把持部に支持され、前記先端部が前記注液開閉弁の開閉操作部材に相対回動可能に連結されている
ことを特徴とする注液式ベルトサンダー。
【請求項2】
前記エヤースイッチ弁の操作レバーは、その操作部が前記把持部側へ操作されることで前記注液開閉弁の開閉操作部材を該注液開閉弁から引き抜く方向へ移動させることを特徴とする請求項の注液式ベルトサンダー。
【請求項3】
前記駆動ローラは、前記エヤーモータの軸心と平行な回転軸心まわりに回転可能に前記本体フレームに中央部が支持された駆動軸の一端に固定されており、
該駆動軸の他端は前記エヤーモータと伝動ベルトを介して連結されており、
前記アイドルローラは、前記駆動ローラから前記把持部の長手方向に離隔した位置で前記本体フレームから前記駆動ローラ側へ立設されたアイドルローラ支持軸まわりに回転可能に支持されており、
前記本体フレームには、前記駆動ローラおよびアイドルローラの間であって前記エヤーモータ側の位置において該駆動ローラおよびアイドルローラの回転軸心を結ぶ直線に交差する方向に移動可能に本体フレームから該駆動ローラ側へ立設されたアイドルローラ支持軸まわりに回転可能に支持されたテンションローラが設けられており、
前記ベルト研磨工具は、該駆動ローラ、アイドルローラおよびテンションローラに捲き掛けられていることを特徴とする請求項またはの注液式ベルトサンダー。
【請求項4】
前記本体フレームには、前記駆動ローラ、アイドルローラおよびテンションローラに捲き掛けられているベルト研磨工具の外周面に向かって研磨液を放射する注液ノズルが設けられていることを特徴とする請求項の注液式ベルトサンダー。
【請求項5】
前記エヤースイッチ弁の操作レバーの操作部には、該操作部が前記把持部へ接近することを阻止する安全側位置に常時位置させられている安全レバーが、回動可能に設けられていることを特徴とする請求項の注液式ベルトサンダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注液しつつ、回転駆動されるベルト研磨工具を被削材に押し当ててその被削材を研磨する注液式ベルトサンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、無端環状のベルト研磨工具をエヤーモータを用いて高速回転駆動し、その回転駆動されるベルト研磨工具をたとえば被削材の角に押し当ててその被削材を研磨するベルトサンダーが知られている。たとえば、特許文献1に記載されたものがそれである。また、このようなベルトサンダーの一種に、回転駆動されるベルト研磨工具の研磨面に研磨液たとえば水を注液する注液ノズルとその注液ノズルへの研磨液の供給を行なう注液弁を備えた注液式ベルトサンダーが、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−056639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記注液式ベルトサンダーでは、エヤーモータへ圧縮空気を供給するための自動復帰型のエヤースイッチ弁が備えられているため、ベルト研磨工具による研磨加工の開始時には、エヤーモータへ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁の操作と上記注液弁の開閉操作との2つの弁の開操作の維持が必要とされる。このため、研磨作業の開始に際しては、ベルト研磨工具の駆動のためのエヤースイッチ弁の操作が必要であるのに加えて、ベルト研磨工具による研磨に適した注液量とするための手動注液弁を開くとともにその注液量が適切となるまで回転操作して注液量の調節するという面倒な弁操作作業が必要であるため、作業能率が損なわれるとともに、無駄な注液が行なわれるという問題があった。特に、被削材が石材である場合は、その研磨の粗加工から仕上げ加工までの砥粒の粒度が異なる7乃至8種類のベルト研磨工具を交換する必要があり、そのベルト研磨工具の交換作業毎に、上記の面倒な弁操作作業が必要とされるため、上記問題が顕著となっていた。
【0005】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、ベルト研磨工具の駆動および注液のための弁操作作業が簡単で、無駄な注液のない注液式ベルトサンダーを提供することにある。
【0006】
本発明者等は、上記事情を背景として種々試作を重ねた結果、エヤーモータへ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁の操作に連動して開閉する注液開閉弁を設けると、エヤーモータへ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁を操作するだけで注液開閉弁が開かれるとともに注液量の調節操作が不要となるので、好適に、作業能率が得られるとともに無駄な注液が防止されることを見いだした。本発明はこの知見に基づいて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨とするところは、(a)駆動ローラとアイドルローラとに捲き掛けられた無端環状のベルト研磨工具と、圧縮エヤーが供給されることにより前記駆動ローラを回転駆動するエヤーモータと、該エヤーモータに圧縮エヤーを供給しない位置と供給する位置との間で操作可能な操作レバーを有するエヤースイッチ弁と、該ベルト研磨工具の研磨面へ研磨液を供給する注液ノズルとを備える注液式ベルトサンダーであって、(b)前記注液ノズルへ研磨液を供給しない位置と供給する位置との間で移動可能な開閉操作部材を有する注液開閉弁を含み、(c)該注液開閉弁の開閉操作部材は、前記エヤースイッチ弁の操作レバーに機械的に連結され、該エヤースイッチ弁の操作レバーがベルト研磨工具の駆動側へ操作されると前記注液ノズルへ研磨液を供給する側の位置へ位置させられるものであり、(d)前記エヤーモータは、板状の本体フレームに一方の端部が固定された短円柱状のモータ本体部と該モータ本体部の外周面から一方向に突き出す把持部とを備えるものであり、(e)前記注液開閉弁は、前記モータ本体部に対して前記把持部とは反対側の位置で前記本体フレームに固定され、(f)前記エヤースイッチ弁の操作レバーは、前記把持部の突き出し方向に長手状を成し、該把持部に沿った操作部、該把持部のモータ本体部側に位置する中央部、および前記注液開閉弁側に位置する先端部を有し、該中央部が回動可能に該把持部に支持され、先端部が前記注液開閉弁の開閉操作部材に相対回動可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の注液式ベルトサンダーによれば、前記注液ノズルへ研磨液を供給しない位置と供給する位置との間で移動可能な開閉操作部材を有する注液開閉弁を含み、その注液開閉弁の開閉操作部材は、前記エヤースイッチ弁の操作レバーに機械的に連結され、該エヤースイッチ弁の操作レバーがベルト研磨工具の駆動側へ操作されると前記注液ノズルへ研磨液を供給する側の位置へ位置させられることから、エヤーモータへ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁を操作するだけで注液開閉弁が開かれるとともに注液量の調節操作が不要となるので、好適に作業能率が得られるとともに無駄な注液が防止される。また、エヤースイッチ弁の操作レバーは、所謂シーソー型で構成されているので、簡単に構成されるとともに、エヤーモータへ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁を操作するだけで注液開閉弁が開かれるとともに注液量の調節操作が不要となる利点がある。
【0010】
また、好適には、(g) 前記エヤースイッチ弁の操作レバーは、その操作部が前記把持部側へ操作されることで前記注液開閉弁の開閉操作部材を該注液開閉弁から引き抜く方向へ移動させる。このため、把持部を握るように操作することで、エヤースイッチ弁の操作レバーの操作部が把持部側へ操作されるので、高い作業性が得られる。
【0011】
また、好適には、(h) 前記駆動ローラは、前記エヤーモータの軸心と平行な回転軸心まわりに回転可能に前記本体フレームに中央部が支持された駆動軸の一端に固定されており、(i) その駆動軸の他端は前記エヤーモータと伝動ベルトを介して連結されており、(j)前記アイドルローラは、前記駆動ローラから前記把持部の長手方向に離隔した位置で前記本体フレームから前記駆動ローラ側へ立設されたアイドルローラ支持軸まわりに回転可能に支持されており、(k)前記本体フレームには、前記駆動ローラおよびアイドルローラの間であって前記エヤーモータ側の位置において駆動ローラおよびアイドルローラの軸心を結ぶ直線に交差する方向に移動可能に本体フレームから該駆動ローラ側へ立設されたテンションローラ支持軸まわりに回転可能に支持されたテンションローラが設けられており、(l) 前記ベルト研磨工具は、該駆動ローラ、アイドルローラおよびテンションローラに捲き掛けられている。このため、無端環状のベルト研磨工具のうち駆動ローラおよびアイドルローラの間を被削材に押し当てることで、その被削材を研磨することができる。テンションローラの位置を変更することで、無端環状のベルト研磨工具の張力を調節できる。
【0012】
また、好適には、(m) 前記本体フレームには、前記駆動ローラ、アイドルローラおよびテンションローラに捲き掛けられているベルト研磨工具の外周面に向かって研磨液を放射或いは噴射する注液ノズルが設けられている。このように、ベルト研磨工具の外周面に向かって研磨液が放射或いは噴射されることで、ベルト研磨工具の研磨面に水が供給されるだけでなく、ベルト研磨工具の研磨面の目詰まりが防止される。
【0013】
また、好適には、(n) 前記エヤースイッチ弁の操作レバーの操作部には、該操作部が前記把持部へ接近することを阻止する安全側位置に常時位置させられている安全レバーが、回動可能に設けられている。この安全レバーにより、前記エヤースイッチ弁の操作レバーの意に反した操作が防止されるので、注液式ベルトサンダーの安全性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例の注液式ベルトサンダーの構成の要部を説明する正面図である。
図2図1の実施例の注液式ベルトサンダーの構成の要部を説明する裏面図である。
図3図1および図2の実施例の注液式ベルトサンダーに備えられて注水開閉弁の構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1および図2において、注液式ベルトサンダー10は、金属製たとえば軽合金から成る板状の本体フレーム12を備えている。この本体フレーム12の一端部には、駆動ローラ支持軸14がその長手方向の中央部が本体フレーム12により回転可能に支持されており、その駆動ローラ支持軸14の一端部には駆動ローラ16が固定されている。上記駆動ローラ支持軸14の本体フレーム12を貫通した他端部は、本体フレーム12の一端部に設けられたエヤーモータ20の出力軸と図示しないと伝動ベルトを介して連結されており、駆動ローラ16がエヤーモータ20によって回転駆動されるようになっている。図2のベルトカバー22内には、図示されないが、上記駆動ローラ支持軸14の本体フレーム12を貫通した他端部、エヤーモータ20の出力軸、伝動ベルトが収容されている。
【0017】
本体フレーム12の一端部からは、アイドルローラ支持軸24およびテンションローラ支持軸26が駆動ローラ支持軸14と平行に駆動ローラ16側へ立設されており、アイドルローラ28およびテンションローラ30がアイドルローラ支持軸24およびテンションローラ支持軸26によりその軸心まわりに回転可能に支持されている。そして、それら3つの駆動ローラ16、アイドルローラ28およびテンションローラ30には、無端環状のベルト研磨工具32が捲き掛けられている。上記テンションローラ支持軸26は、本体フレーム12に形成された図示しない長穴に締結部材34によって締着されており、駆動ローラ16およびアイドルローラ28の間であってエヤーモータ20側の位置において駆動ローラ16およびアイドルローラ28の軸心を結ぶ直線に交差する方向に移動可能とされている。これにより、そのテンションローラ30の位置が変更されることで、ベルト研磨工具32の張力が調節されるようになっている。
【0018】
また、本体フレーム12には、3つの駆動ローラ16、アイドルローラ28およびテンションローラ30に捲き掛けられた無端環状のベルト研磨工具32のエヤーモータ20側を覆うカバー36が取付けられるとともに、そのカバー36とベルト研磨工具16との間に位置して、ベルト研磨工具16の外周面である研磨面へ研磨液としての水を放射或いは噴射する注水ノズル38とが、固定されている。なお、本体フレーム12には、作業時に把持されるハンドル37が突設されている。
【0019】
エヤーモータ20は、本体フレーム12の他端部に軸心方向の一端が固定された短円柱状のモータ本体部20aとそのモータ本体部20aの外周面から一方向に突き出す把持部20bとを備えている。この把持部20b内に収容されているエヤースイッチ弁40は、コンプレッサなどの圧縮エヤー源42から供給される圧縮エヤーをモータ本体部20aに供給することにより、エヤーモータ20内のタービンを回転作動させる。エヤースイッチ弁40は、把持部20bから常時突き出し、押し込み位置に応じてモータ本体部20aに供給するエヤー量を零から最大値まで変化させる作動突起44と、この作動突起44の押し込み量を操作するための操作レバー46とを備えている自動復帰型の開閉弁である。エヤースイッチ弁40は、操作レバー46により、モータ本体部20aに圧縮エヤーを供給しない作動突起44の突き出し位置と、モータ本体部20aに圧縮エヤーを供給する作動突起44の押し込み位置との間で操作される。
【0020】
操作レバー46は、把持部20bの突き出し方向に長手状を成す所謂シーソー型の部材であって、その把持部20bに沿った操作部46a、その把持部20bのモータ本体部20a側に位置する中央部46b、および、注水開閉弁48の開閉操作部材50に相対回動可能に作動的に連結される先端部46cとを有し、その中央部46bがピン46dまわりに回動可能に把持部20bに設けられており、操作部46aが把持部20bから離隔する方向に作動突起44の先端部により付勢されている。
【0021】
注水開閉弁48は、モータ本体部20aに対して把持部20bとは反対側の位置で本体フレーム12に固定され、水槽などの給水源52と注水ノズル38との間の吸水管54に介挿されている。この注水開閉弁48は、図3に示されるように、給水源52に吸水管54を介して接続された入力ポートP1と、38に接続された出力ポートP2とを有する弁箱48aと、入力ポートP1および出力ポートP2とに両端部が連通し、且つ両端部間に弁座48bが形成された弁室48cと、その弁座48bに着座可能な弁子48dを一端に有するとともに大径頭部50aを他端部(先端部)に有してその弁室48c内から摺動可能に突き出す開閉操作部材50と、その開閉操作部材50を着座方向に付勢するスプリング48eとを、備えている。開閉操作部材50は、スプリング48eの付勢力によって着座させられているので入力ポートP1と出力ポートP2との間を閉じて注水ノズル38へ水を供給しない閉弁位置に常時位置させられているが、操作レバー46によりスプリング48eの付勢力に抗して弁箱48aから引き抜く方向へ移動させられると、弁座48bと弁子48dとの間が開かれて注水ノズル38へ水を供給する開弁位置に位置させられる。注水開閉弁48は、自動復帰型の開閉弁である。
【0022】
操作レバー46の先端部46cには、開閉操作部材50を貫通させるがその大径頭部50aを通過させない径の係合穴46eが形成されており、操作レバー46の先端部46cと開閉操作部材50の先端部とが相対回動可能に連結されている。また、操作レバー46の操作部46aには安全レバー46fがピン46gまわりに回動可能に設けられるとともに、スプリング46hによりその安全レバー46fが図3に示すストッパ46iに当接する安全側位置に向かって常時付勢されている。このため、この安全レバー46fがストッパ46iに当接している状態では、安全レバー46fが把持部20bに対して略垂直な状態となっているので、把持部20bおよび操作レバー46を握る操作を行なっても操作レバー46を把持部20bに近づける操作が阻止されるが、安全レバー46fをスプリング46hの付勢力に抗して倒しつつ把持部20bおよび操作レバー46を握る操作を行なうことにより、エヤーモータによる回転駆動と注水ノズルからの注水が開始される。
【0023】
上述のように、本実施例の注液式ベルトサンダー10によれば、注水ノズル(注液ノズル)38へ水(研磨液)を供給しない位置と供給する位置との間で移動可能な開閉操作部材50を有する注水開閉弁(注液開閉弁)48を含み、その注水開閉弁48の開閉操作部材50は、エヤースイッチ弁40の操作レバー46に機械的に連結され、そのエヤースイッチ弁40の操作レバー46がベルト研磨工具32を駆動する側へ操作されると注水ノズルへ38へ水を供給する側の位置へ位置させられることから、エヤーモータ20へ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁40を操作するだけで注水開閉弁48が開かれるとともに注水量の調節操作が不要となるので、好適に作業能率が得られるとともに無駄な注水が防止される。
【0024】
また、本実施例によれば、エヤーモータ20は、板状の本体フレーム12に回転軸方向の一端部が固定された短円柱状のモータ本体部20aとそのモータ本体部20aの外周面から一方向に突き出す把持部20bとを備えるものであり、注水開閉弁(注液開閉弁)48は、モータ本体部20aに対して把持部20bとは反対側の位置で本体フレーム12に固定され、エヤースイッチ弁40の操作レバー46は、把持部20bの突き出し方向に長手状を成し、その把持部20bに沿った操作部46a、その把持部46aのモータ本体部20a側に位置する中央部46b,および注水開閉弁48側に位置する先端部46cを有し、その中央部46bが回動可能にその把持部20bに支持され、先端部が注水開閉弁48の開閉操作部材50に相対回動可能に連結されている。このように、エヤースイッチ弁40の操作レバー46は、所謂シーソー型で構成されているので簡単に構成されるとともに、エヤーモータ20へ圧縮空気を供給するためのエヤースイッチ弁40を操作するだけで注水開閉弁48が開かれるとともに注水量の調節操作が不要となる利点がある。
【0025】
また、本実施例によれば、エヤースイッチ弁40の操作レバー46は、その操作部46aが把持部20b側へ操作されることで注水開閉弁48の開閉操作部材50をその注水開閉弁48から引き抜く方向へ移動させる。このため、把持部20bを握るように操作することで、エヤースイッチ弁40の操作レバー46の操作部46aが把持部20b側へ操作されるので、高い作業性が得られる。
【0026】
また、本実施例によれば駆動ローラ16は、エヤーモータ20の軸心と平行な回転軸心まわりに回転可能に本体フレーム12に中央部が支持された駆動軸14の一端に固定されており、その駆動軸14の他端はエヤーモータ20と伝動ベルトを介して連結されており、アイドルローラ28は、駆動ローラ16から把持部20bの長手方向に離隔した位置で本体フレーム12から駆動ローラ16側へ立設されたアイドルローラ支持軸24まわりに回転可能に支持されており、本体フレーム12には、駆動ローラ16およびアイドルローラ28の間であってエヤーモータ20側の位置において駆動ローラ16およびアイドルローラ28の軸心を結ぶ直線に交差する方向に移動可能に本体フレーム12から駆動ローラ16側へ立設されたテンションローラ支持軸26まわりに回転可能に支持されたテンションローラ30が設けられており、ベルト研磨工具32は、その駆動ローラ16、アイドルローラ28およびテンションローラ30に捲き掛けられている。このため、無端環状のベルト研磨工具32のうち駆動ローラ16およびアイドルローラ28の間を被削材に押し当てることで、その被削材を研磨することができる。また、テンションローラ30の位置を変更することで、無端環状のベルト研磨工具32の張力を調節できる。
【0027】
また、本実施例によれば、本体フレーム12には、駆動ローラ16、アイドルローラ28およびテンションローラ30に捲き掛けられているベルト研磨工具32の外周面に向かって水を放射或いは噴射する注液ノズル38が設けられているので、ベルト研磨工具32の外周面に向かって注液ノズル38から水が放射或いは噴射されることで、ベルト研磨工具32の研磨面に水が供給されるだけでなく、ベルト研磨工具32の研磨面の目詰まりが防止される。
【0028】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0029】
たとえば、前述の実施例では、ベルト研磨工具32は、3つの駆動ローラ16、アイドルローラ28、テンションローラ30に捲き掛けられていたが、2つ或いは4つのローラに捲き掛けられてもよい。
【0030】
また、前述の実施例では、エヤースイッチ弁40の操作レバー46は、把持部20bに対してベルト研磨工具32の反対側に設けられていたが、ベルト研磨工具32と同じ側に設けられてもよい。
【0031】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
10:注液式ベルトサンダー
12:本体フレーム
14:駆動ローラ支持軸
16:駆動ローラ
20:エヤーモータ
20a:モータ本体部
20b:把持部
28:アイドルローラ
30:テンションローラ
32:ベルト研磨工具
38:注水ノズル(注液ノズル)
40:エヤースイッチ弁
44:作動突起
46:操作レバー
48:注水開閉弁(注液開閉弁)
50:開閉操作部材
図1
図2
図3