【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる環境試験装置は、外部電源から電力が供給され、試験室に配置された試料の雰囲気状態を所定条件に変化させて試験を行う試験部と、外部電源から電力が供給され、前記試験部を制御する制御部と、前記制御部と通信可能に接続されていると共に、外部電源からの電力供給が遮断された際に前記外部電源に代わって前記試験部及び前記制御部に電力を供給するバッテリーとを備えた環境試験装置である。前記制御部は、前記バッテリーの供給可能電力の残量を取得する電力残量取得手段と、前記試験部の運転モードを、前記試料の雰囲気状態を前記所定条件とする通常モードから、前記通常モードよりも消費電力を少なくしつつ前記所定条件で試験を行う省電力モード又は前記試料の雰囲気状態を前記所定条件から変更する条件変更モードに切り替えるモード切替手段と、前記電力残量取得手段によって取得された前記バッテリーの供給可能電力の残量に基づいて、前記モード切替手段による運転モードの切り替えの要否を判断する判断手段とを備えている。
【0008】
この環境試験装置は、運転モードを省電力モードに切り替えることで、試験を長く継続させて試験が中断され難くすることができる。また、条件変更モードに切り替えることで、バッテリーからの電力供給が終了するのに備えて試料の雰囲気状態を試験を行う際の所定条件から変化させ、電力供給終了による試料の損傷を抑制することができる。
【0009】
第2の発明にかかる環境試験装置は、第1の発明にかかる環境試験装置において、前記制御部は、前記電力残量取得手段によって取得された前記バッテリーの供給可能電力の残量から、運転可能な残り時間を算出する運転可能時間算出手段をさらに備えており、前記判断手段は、前記運転可能時間算出手段により算出された前記残り時間が第1所定時間以下である場合に、前記モード切替手段による運転モードの切り替えが必要であると判断してもよい。
【0010】
この環境試験装置では、バッテリーの供給可能電力の残量が少なくなるのに伴って運転可能な残り時間も次第に短くなり、残り時間が第1所定時間以下となった場合に運転モードを通常モードから省電力モードまたは条件変更モードに切り替えることができる。したがって、バッテリーからの電力供給が終了する前に確実に省電力モードまたは条件変更モードに切り替えることができる。
【0011】
本発明の環境試験装置は、第1の発明にかかる環境試験装置において、前記電力残量取得手段によって取得された前記バッテリーの供給可能電力の残量が所定量以下である場合に、警報を発する警報手段をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
本発明の環境試験装置は、第2の発明にかかる環境試験装置において、前記運転可能時間算出手段により算出された前記残り時間が、前記第1所定時間よりも長い第2所定時間以下である場合に、警報を発する警報手段をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
これらの環境試験装置では、モード切替手段によって運転モードの切り替えが行われる前にその旨をユーザに知らせることができる。
【0014】
本発明の環境試験装置は、第1又は第2の発明にかかる環境試験装置において、前記モード切替手段による運転モードの切り替えが可能な状態と不可能な状態とのいずれかを設定する指示がユーザにより入力される切替可否設定部をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
この環境試験装置では、ユーザの意思により、モード切替手段により運転モードの切り替えが行われる状態と行われない状態とのいずれかを選択できる。
【0016】
第3の発明にかかる環境試験装置は、第1又は第2の発明にかかる環境試験装置において、前記試験部は、前記試験室の温湿度を調整する空調機器をさらに備えており、前記モード切替手段によって運転モードの切り替えが行われた際に、前記空調機器の制御が切り替えられてもよい。
【0017】
この環境試験装置では、空調機器の運転状態を変更して運転モードを切り替えることができる。
【0018】
第4の発明にかかる環境試験装置は、第3の発明にかかる環境試験装置において、前記空調機器は、前記試験室を加熱する加熱装置及び冷却する冷却手装置を含んでおり、前記モード切替手段は、前記判断手段により運転モードの切り替えが必要であると判断された場合に、前記加熱装置又は前記冷却装置の少なくとも一方の消費電力を少なくするような前記省電力モードに切り替えてもよい。
【0019】
この環境試験装置では、加熱装置又は冷却装置の少なくとも一方の消費電力を少なくすることで、試験を長く継続させて試験が中断され難くすることができる。
【0020】
本発明にかかる環境試験装置は、第1〜第4のいずれかの発明にかかる環境試験装置において、ユーザに対して前記試験部の運転状況を知らせる報知手段をさらに備えており、前記モード切替手段は、前記判断手段により運転モードの切り替えが必要であると判断された場合に、前記報知手段の消費電力が少なくなるような前記省電力モードに切り替えてもよい。
【0021】
この環境試験装置では、報知手段の消費電力を少なくすることで、試験を長く継続させて試験が中断され難くすることができる。
【0022】
第5の発明にかかる環境試験装置は、第3の発明にかかる環境試験装置において、前記モード切替手段は、前記判断手段により運転モードの切り替えが必要であると判断された場合に、前記試料に結露が生じないように湿度を調整しつつ前記試験室の温度が常温になるように前記空調機器が制御される前記条件変更モードに切り替えてもよい。
【0023】
この環境試験装置では、バッテリーからの電力供給が終了しても結露により試料が損傷するのを抑制できる。
【0024】
第6の発明にかかる環境試験装置は、第3の発明にかかる環境試験装置において、前記試料は電子機器であり、前記試験部は、前記電子機器に通電する通電手段をさらに備えており、前記空調機器は、前記試験室を加熱する加熱装置、前記試験室を加湿する加湿ヒータ、及び前記試験室を冷却する冷却装置とを含んでおり、前記モード切替手段は、前記判断手段により運転モードの切り替えが必要であると判断された場合に、前記電子機器、前記加熱装置、及び前記加湿ヒータよりも前記冷却装置への通電が優先されるような前記条件変更モードに切り替えてもよい。
【0025】
この環境試験装置では、バッテリーからの電力供給が終了しても試料が燃えて損傷するのを抑制できる。
【0026】
第7の発明にかかる環境試験装置は、第3の発明にかかる環境試験装置において、前記モード切替手段は、前記判断手段により運転モードの切り替えが必要であると判断された場合に、前記空調機器による前記試験室の湿度の制御を中止し、前記試験室の温度のみを調整する、前記条件変更モードに切り替えてもよい。
【0027】
この環境試験装置では、温度の急激な変化による結露によって試料が損傷するのを抑制することができる。
【0028】
本発明にかかる環境試験装置は、第5〜第7の発明にかかる環境試験装置において、ユーザに対して前記試験部の運転状況を知らせる報知手段をさらに備えており、前記制御部は、前記モード切替手段により運転モードが前記条件変更モードに切り替えられた際に、前記報知手段の消費電力が少なくなるように制御してもよい。
【0029】
この環境試験装置では、報知手段の消費電力を少なくすることで試料の損傷を抑制するための制御に残りの電力を使用することができる。よって、確実に試料の損傷を抑制することができる。
【0030】
本発明にかかる環境試験装置は、第1〜第7のいずれかの発明にかかる環境試験装置において、前記モード切替手段により通常モードから切り替えられる運転モードを、前記省電力モードと前記条件変更モードとのいずれかに設定する指示がユーザにより入力される運転モード設定部をさらに備えていることが好ましい。
【0031】
この環境試験装置では、ユーザの意思により、モード切替手段により通常モードから切り替えられる運転モードを省電力モードとするか条件変更モードとするかを選択できる。
【0032】
第8の発明にかかる環境試験装置は、第1〜第7のいずれかの発明にかかる環境試験装置において、前記制御部は、前記試験部の状態に関する情報を記憶する状態記憶手段をさらに備えており、前記状態記憶手段は、前記モード切替手段により前記通常モードから前記条件変更モードに切り替えられたときも、引き続き前記試験部の状態に関する情報を記憶する。
【0033】
この環境試験装置では、条件変更モードに切り替えられて試料の雰囲気状態が試験が行われる所定条件から変更された場合であっても、状態記憶手段に記憶された試験部の状態に関する情報により、再試験の必要性の判断等を行うことができる。
【0034】
第9の発明にかかる環境試験装置の制御方法は、外部電源から電力が供給され、試験室に配置された試料の雰囲気状態を所定条件に変化させて試験を行う試験部と、外部電源から電力が供給され、前記試験部を制御する制御部と、前記制御部と通信可能に接続されていると共に、外部電源からの電力供給が遮断された際に前記外部電源に代わって前記試験部及び前記制御部に電力を供給するバッテリーとを備えた環境試験装置の制御方法である。そして、前記バッテリーの供給可能電力の残量を取得する電力残量取得ステップと、前記試験部の運転モードを、前記試料の雰囲気状態を前記所定条件とする通常モードから、前記通常モードよりも消費電力を少なくしつつ前記所定条件で試験を行う省電力モード又は前記試料の雰囲気状態を前記所定条件から変更する条件変更モードに切り替えるモード切替ステップと、前記電力残量取得ステップにおいて取得された前記バッテリーの供給可能電力の残量に基づいて、前記モード切替ステップにおける運転モードの切り替えの要否を判断する判断ステップとを備えている。
【0035】
この制御方法によると、運転モードを省電力モードに切り替えることで、試験を長く継続させて試験が中断され難くすることができる。また、条件変更モードに切り替えることで、バッテリーからの電力供給が終了するのに備えて試料の雰囲気状態を試験を行う際の所定条件から変化させ、電力供給終了による試料の損傷を抑制することができる。
【0036】
第10の発明にかかる環境試験装置の制御方法は、第9の発明にかかる制御方法において、前記電力残量取得ステップにおいて取得された前記バッテリーの供給可能電力の残量から、運転可能な残り時間を算出する運転可能時間算出ステップをさらに備えており、前記判断ステップにおいては、前記運転可能時間算出ステップにより算出された前記残り時間が第1所定時間以下である場合に、前記モード切替ステップにおける運転モードの切り替えが必要であると判断してもよい。
【0037】
この制御方法では、バッテリーの供給可能電力の残量が少なくなるのに伴って運転可能な残り時間も次第に短くなり、残り時間が第1所定時間以下となった場合に運転モードを通常モードから省電力モードまたは条件変更モードに切り替えることができる。したがって、バッテリーからの電力供給が終了する前に確実に省電力モードまたは条件変更モードに切り替えることができる。