特許第5903437号(P5903437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903437
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】シール
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/03 20060101AFI20160331BHJP
   B65D 75/34 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   A61J1/03 370
   B65D75/34
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-533268(P2013-533268)
(86)(22)【出願日】2011年9月26日
(65)【公表番号】特表2013-541379(P2013-541379A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】GB2011001389
(87)【国際公開番号】WO2012049446
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】1017333.4
(32)【優先日】2010年10月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513092925
【氏名又は名称】フューチャー テクノロジー (ユーケー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100179257
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 勝利
(72)【発明者】
【氏名】エリオット、ハワード
【審査官】 久郷 明義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0084746(US,A1)
【文献】 特開2010−075227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0210701(US,A1)
【文献】 特開2007−223625(JP,A)
【文献】 特表2007−516130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者向製品を受容する1つまたは2つ以上の個別のキャビティが形成されている略平らな上面を有するトレイを含んでいる、消費者向製品を貯蔵および分配するための容器に使用されるシールであって、
前記シールは、前記1つまたは2つ以上のキャビティをシールして前記消費者向製品を前記1つまたは2つ以上のキャビティ内に留めておくためにカバーフィルムを含んでおり、
前記カバーフィルムは、キャビティごとに回路を画定する導電性のトラックのパターンを有し、且つ、キャビティごとに除去可能な部分を画定するあらかじめ形成された分離の線を、前記除去可能な部分が該分離の線に沿って除去されるまで前記消費者向製品を前記キャビティ内に留めておくために有しており、
それぞれの除去可能な部分は、対応する前記あらかじめ形成された分離の線の切れ目により画定され、対応する前記回路に経路を与える壊すことが可能なブリッジ領域によって前記カバーフィルムの残りの部分に付けられており、
前記導電性のトラックの一部は前記壊すことが可能なブリッジ領域に形成されており、前記壊すことが可能なブリッジ領域を通る前記導電性のトラックの前記一部の幅は、前記壊すことが可能なブリッジ領域の幅よりも広い消費者向製品を貯蔵および分配するための容器に使用されるシール。
【請求項2】
前記導電性のトラックが、導電性のインクを用いて前記カバーフィルムの表面上に印刷される請求項1記載のシール。
【請求項3】
それぞれの回路が前記カバーフィルムの電極端で終わっている請求項1記載のシール。
【請求項4】
1つまたはそれぞれの除去可能な部分の外周が、前記カバーフィルム全体にわたって伸びているあらかじめ形成されたカットライン、あらかじめ切り込みを付けられるかもしくはあらかじめミシン目を入れられた引き裂き線、またはそれらのあらゆる組み合わせによって画定されている請求項1記載のシール。
【請求項5】
1つまたはそれぞれの除去可能な部分が、対応する前記分離の線の切れ目により画定される壊れにくいブリッジ領域によって前記カバーフィルムの残りの部分に付けられている請求項1記載のシール。
【請求項6】
前記カバーフィルムに固定されるバリアフィルムをさらに含み、該バリアフィルムが、使用時に対応するキャビティを覆うように成形され、且つ、サイズを調整された除去可能な部分ごとにバリアパッチの外周を画定するあらかじめ形成された分離の線を有する請求項1記載のシール。
【請求項7】
1つまたはそれぞれのバリアパッチの外周が、前記カバーフィルムの材料全体にわたって伸びているあらかじめ形成されたカットライン、あらかじめ切り込みを付けられるかもしくはあらかじめミシン目を入れられた引き裂き線、またはそれらのあらゆる組み合わせによって画定される請求項6記載のシール。
【請求項8】
1つまたはそれぞれのバリアパッチが、対応する前記キャビティの外周の周囲に伸びている前記トレイの略平らな上面の領域を使用時に覆うように、対応する前記除去可能な部分よりも大きい請求項6記載のシール。
【請求項9】
前記バリアフィルムが、金属箔、金属化ポリマーフィルムもしくは紙のシート、単層もしくは多層構造のプラスチックフィルム、またはそれらのあらゆる組み合わせである請求項6記載のシール。
【請求項10】
前記シールが、高い蒸気遮断性、高い遮光性、高い酸素遮断性、および高い静電気遮断性の1つまたは2つ以上を有する請求項1記載のシール。
【請求項11】
前記カバーフィルムが、除去可能な部分の配列を画定するあらかじめ形成された分離の線を有する請求項1記載のシール。
【請求項12】
前記カバーフィルムが、金属箔、金属化ポリマーフィルムもしくは紙のシート、単層もしくは多層構造のプラスチックフィルム、またはそれらのあらゆる組み合わせである請求項1記載のシール。
【請求項13】
それぞれの除去可能な部分が、対応する前記除去可能な部分の除去に先立って掴まれるように適合されるつまみ部分を含んでいる請求項1記載のシール。
【請求項14】
それぞれの除去可能な部分が、前記つまみ部分を画定している対応するあらかじめ形成された前記分離の線の一部における切れ目により画定されている壊すことが可能なブリッジ領域によって、前記カバーフィルムの残りの部分に付けられる請求項13記載のシール。
【請求項15】
消費者向製品を貯蔵および分配するための容器であって、
前記消費者向製品を受容する1つまたは2つ以上の個別のキャビティが形成されている略平らな上面を有するトレイと、
前記1つまたは2つ以上のキャビティをシールして前記消費者向製品を前記1つまたは2つ以上のキャビティ内に留めておくために前記トレイの略平らな上面に接着されるカバーフィルムを含んでいるシール
とを含んでおり、
前記カバーフィルムが、キャビティごとに回路を画定する導電性のトラックのパターンを有し、且つ、キャビティごとに除去可能な部分を画定するあらかじめ形成された分離の線を、前記除去可能な部分が該分離の線に沿って除去されるまで前記消費者向製品を前記キャビティ内に留めておくために有し、
それぞれの除去可能な部分は、対応する前記あらかじめ形成された分離の線の切れ目により画定され、対応する前記回路に経路を与える壊すことが可能なブリッジ領域によって前記カバーフィルムの残りの部分に付けられており、
前記導電性のトラックの一部は前記壊すことが可能なブリッジ領域に形成されており、前記壊すことが可能なブリッジ領域を通る前記導電性のトラックの前記一部の幅は、前記壊すことが可能なブリッジ領域の幅よりも広い
消費者向製品を貯蔵および分配するための容器。
【請求項16】
1つまたはそれぞれの回路をモニタリングし、1つまたはそれぞれの除去可能な部分が前記カバーフィルムの残りの部分から解放または除去されたときに記録する電子モジュールをさらに含む請求項15記載の容器。
【請求項17】
前記電子モジュールが、1つまたはそれぞれの回路と電気的に接続して、前記トレイに分離可能に固定される請求項16記載の容器。
【請求項18】
前記カバーフィルムのそれぞれの除去可能な部分が、対応する前記除去可能な部分の除去に先立って掴まれるように適合されるつまみ部分を含んでいる請求項15記載の容器。
【請求項19】
それぞれの除去可能な部分が、前記つまみ部分を画定している対応するあらかじめ形成された前記分離の線の一部における切れ目により画定されている壊すことが可能なブリッジ領域によって、前記カバーフィルムの残りの部分に付けられる請求項18記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者向製品を貯蔵および分配するための容器と共に使用されることに適したシールに関する。消費者向製品という語は、以下の(すべてを網羅しているわけではない)リストに挙げられるような多種多様な製品を含むことが意図される。調理済みの食事を含む、即席の食品、予備調理された食品、調理済みの食品、またはオーブンで温めるだけの食品、菓子、機器およびDIY品目、化粧品、種子、動物および魚の餌、電子部品、医療器具および包帯、ならびに、丸薬、錠剤およびカプセルなどの医薬品および薬剤。
【0002】
この容器は、丸薬、錠剤およびカプセルを包装する従来のブリスター・パックの代わりに用いられてもよいし、所定の投薬計画に従った引き続く処方のために混合される薬剤を編成および貯蔵するために用いられてもよい。このような混合される薬剤の容器の本質は、1週間またはそれ以上の期間に及ぶ混合される薬剤の投薬計画を前もって編成でき、その後、患者または看護師が、投薬計画による各時点で投与されるべき1つまたは2つ以上の丸薬、錠剤および/またはカプセルを、その期間にわたって所定の回数で容器から取り出すことができるというものである。
【背景技術】
【0003】
ブリスター・パックは丸薬、錠剤およびカプセルの貯蔵および分配のためのものとして当然ながら公知であって、これらはマルチキャビティトレイ(multi-cavity tray)においてキャビティに個別に貯蔵されており、キャビティをカバーする破ることが可能なフィルムまたは箔を突き破ってそれぞれの丸薬、錠剤またはカプセルを押し出すことによって取り出される。フィルムまたは箔のカバーは、トレイのキャビティ内の薬剤を露出するために剥がされ、または引き離され得る紙またはプラスチックのフィルムであってもよいが、一般には、容易に破ることができ、かつ蒸気に不浸透性であるという2つの利点を有するアルミニウム箔である。このようなブリスター・パックは通常、各キャビティに同一の薬剤を一回分のみ保持する。
【0004】
混合された薬剤用のブリスター・パックが提案されており、これは薬剤師によって充填されるために、より大きなキャビティを有し、マルチキャビティトレイにおける各キャビティは、混合された薬剤を入れられ得る。典型的には、トレイは2×7、3×7、4×7、5×7列のキャビティを有していてもよく、これは、7日間にわたる1日に2、3、4または5回の所定の投薬回数、または2、3、4または5週間にわたって1日に1回として処方された投薬に対応している。例えば、4×7のトレイは、1週間にわたって毎日朝食時、昼食時、夕方、就寝直前に服用されるべき薬剤が入れられてもよく、その後、充填されたキャビティは、破ることが可能な、または順次破ることが可能なフィルムまたは箔のカバーを用いてシールされる。規定の投薬計画にしたがって内容物を投与するために、パック上に印刷された説明が、個別のキャビティを開けるための所期の順序を明らかにする。
【0005】
破ることが可能なカバーフィルムを用いる従来のブリスター・パックのデメリットは、カバーフィルムを通して薬剤を押し出す際に、患者によっては、特に高齢の患者は困難さを感じるという点、最初に充填した後にキャビティ全体にわたってアルミニウムのカバーフィルムをシールするために高額なラミネート装置が必要であるという点、および薬剤が下から箔を突き破って押し上げられる場合に、投与されるべき薬剤を含むキャビティを選択する際にユーザが困難さを感じるという点である。誤ったキャビティが間違って開封された場合、カバーフィルムが破られているので再びシールすることは不可能である。
【0006】
剥離可能なカバーフィルムを用いるブリスター・パックの主なデメリットは、あらかじめ選択された1つのキャビティの内容物のみを露出するために、カバーフィルムの選択された単一の部分を剥がしたり引き離したりする際にユーザが困難さを感じることである。これは、あらかじめ選択されたキャビティをシールするカバーフィルムのセグメントの角またはつまみ部分を指の爪でこすることによって為され得るが、セグメントを完全に剥がすために角をつかむことは、時として相当な手先の器用さ、および場合によっては良好な視力を必要とし、これは多くの高齢のユーザの能力を超えるものである。また、カバーフィルムをトレイに接着するために粘着性の剥離可能な接着剤が用いられる場合には、トレイの内容物が接着剤と接触することを防ぐことが望ましい。最後に、フィルムカバーのフィルムは蒸気の不浸透性が金属箔ほど高くない場合があり、多湿な周囲条件で貯蔵することによって薬剤が劣化することがあるので、充填日の前に、混合された薬剤用のブリスター・パックに7日を超える投与薬剤をあらかじめ入れておくことは、薬剤師側にとっては気が進まないことである。
【0007】
本願の出願人による特許文献1は、上記の問題またはデメリットの一部または全てを克服することを目的とした容器について記載している。この容器は、薬剤を貯蔵および分配するためのものであって、略平らな上面を有するトレイを含んでおり、この略平らな上面には薬剤を受容する1つまたは2つ以上の個別のキャビティが形成されている。カバーフィルムは、薬剤を1つまたは2つ以上のキャビティ内に留めておくために1つまたは2つ以上のキャビティをシールする剥離可能な接着剤の層によって、トレイの略平らな上面に接着される。カバーフィルムは、キャビティごとに剥ぎ取り部分を画定するあらかじめ形成された引き裂き線を有し、これは、その引き裂き線に沿って切り取ることによってそれが除去されるまで薬剤をキャビティ内に留めておくためである。実際は、1つまたはそれぞれの剥ぎ取り部分はカバーフィルムの材料全体にわたって伸びているカットラインによっても画定され得るということが容易に理解されるだろう。カバーフィルムの、1つまたはそれぞれの剥ぎ取り部分は、使用時に結合されているキャビティを覆う領域において低い蒸気透過性を有し、こうした低い蒸気透過性は、高い防湿性を備え、対応するキャビティを覆うように成形され、且つ、サイズを調整されたバリアパッチ(barrier patch)によって作り出されている。1つまたはそれぞれのバリアパッチは、カバーフィルムをトレイの上面に接着する剥離可能な接着剤の同一の層によって、カバーフィルムの下側に接着される。
【0008】
1つまたはそれぞれの剥ぎ取り部分の真下のバリアパッチは、以下のような一枚のバリアフィルム(barrier film)のシートから作り出され得る。一枚のバリアフィルムのシートは、剥離可能な接着剤によってカバーフィルムの下側に固定される。バリアフィルムは耐湿性の、1つまたはそれぞれのバリアパッチの外周を画定するあらかじめ形成された引き裂き線を有するので、カバーフィルムをトレイの略平らな上面に固定するために適用する直前に、カバーフィルムからバリアフィルムの大半を剥離することは、トレイへ接着するために必要な領域において剥離可能な接着剤を露出する一方で、カバーフィルムの、1つまたはそれぞれの剥ぎ取り部分の下側に接着されたバリアパッチはそのままにする。実際は、1つまたはそれぞれのバリアバッチは、バリアフィルムの材料全体にわたって伸びているカットラインによっても画定され得るということが容易に理解されるだろう。
【0009】
このバリアフィルムのシートは、取り除かれた時に剥離可能な接着剤の位置固定領域をカバーフィルムの下側に露出する剥ぎ取り細片を画定するために、その一端に近いさらなる所定の引き裂き線(またはカットライン)を有していてもよく、これはバリアフィルムの大半を剥離する前にトレイの端部にカバーフィルムの端部を接着し、これをキャビティ上に接着するためである。カバーフィルムをトレイの上面に接着する工程を補助するために、トレイは直立したカバーフィルム配置手段を有し得る。カバーフィルムは、カバーフィルムをトレイに接着する前に1つまたは2つ以上のキャビティと対応する剥ぎ取り部分とが一致するようなトレイ上のカバーフィルムの正確な位置付けのために協働する手段を有し得る。
【0010】
本願の出願人の特許文献2は代替的な容器を開示しており、ここでカバーフィルムの剥ぎ取り部分は、剥ぎ取り部分の剥ぎ取りに先立ってユーザによって把持されるための、使用時にはトレイに固定されない付属のつまみ部分を有する。トレイの略平らな上面は、また、カバーフィルムがトレイに固定される時に、カバーフィルムの残りの部分の面からつまみ部分を上方へ曲げるために、使用時に各つまみ部分の真下に位置するように配置される、上方へ伸びる突出部を有する。1つまたはそれぞれのつまみ部分は、フィルムが貼り付けられる時にカバーフィルムの残りの部分の面から上に曲げられるので、剥ぎ取り部分を取り除くためにユーザによって非常に容易に掴まれ得る。これは高齢のユーザや手先の器用さが限られているユーザにとって特に好適な容器である。
【0011】
特許文献1および特許文献2に記載される容器は、破ることが可能な、または剥離可能なカバーフィルムを有するブリスター・パックよりも使用しやすいと考えられているが、依然として、薬剤が容器から間違って投与されるおそれがあるという潜在的な問題がある。特定のキャビティの内容物が投与された時に通知を提供するために、破ることが可能なカバーフィルムに導電性のトラックを付加することが公知である。しかしながら、このようなシステムは、カバーが、剥ぎ取り、または除去可能な部分を有する容器には適用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2005/023670号
【特許文献2】欧州特許第1357050号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、特定のキャビティの内容物が分配されたときに記録するようにモニターされ得る分配容器のための「高性能の」シールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
詳細には、本発明は、消費者向製品を受容する1つまたは2つ以上の個別のキャビティが形成されている略平らな上面を有するトレイを含んでいる、消費者向製品を貯蔵および分配するための容器に使用するためのシールを提供する。このシールは1つまたは2つ以上のキャビティをシールして消費者向製品を1つまたは2つ以上のキャビティ内に留めておくためにカバーフィルムを含んでおり、このカバーフィルムは、キャビティごとに回路を画定する導電性のトラックのパターンおよび除去可能な部分がその分離の線に沿って除去されるまで消費者向製品をそのキャビティ内に留めておくようにキャビティごとに除去可能な部分を画定するあらかじめ形成された分離の線を有し、それぞれの除去可能な部分は、対応するあらかじめ形成された分離の線の切れ目により画定され、対応する回路に経路を与える壊すことが可能なブリッジ領域によってカバーフィルムの残りの部分に付けられている。
【0015】
導電性のトラックのパターンは、あらゆる好適な技術を用いて、カバーフィルムに付加されてもよいし、組み込まれてもよい。しかしながら、1つの好適な選択は、導電性のインクを用いて導電性のトラックをカバーフィルムの表面上に印刷することである。導電性のトラックは、キャビティごとに除去可能な部分を画定するために、分離の線がカバーフィルムに形成される前または形成された後に、カバーフィルムに付加され、または組み込まれ得る。導電性のトラックは、カバーフィルムの一方の面(すなわち、使用時に、概してトレイの上面の方に向かう下側の面、または上側の面)に付加されるか、カバーフィルム自体の本体内に組み込まれてもよい。導電性のトラックは好適には、操作中またはトレイに接着されるときに、カバーフィルムの湾曲または屈曲により壊れないほど十分に柔軟である。個別の回路のレイアウトは、カバーフィルムの、1つまたはそれぞれの除去可能な部分のレイアウトに依存することが容易に理解されるだろう。好適な配置において、それぞれの回路は、容器をモニターするのに適した電子モジュールに電気的に接続されるか、または組み込まれるカバーフィルムの端部領域で開始および終了し、対応する除去可能な部分の壊すことが可能なブリッジ領域によって与えられる経路に部分的に沿って伸びるひと続きの電気回路を画定する。
【0016】
電子モジュールは、各回路が開かれたときに電子モジュールが記録できるように、使用時にそれぞれの回路の始点および終点と電気的に接続する1つまたは2つ以上のコンタクト領域を含んでいてもよい。
【0017】
壊すことが可能なブリッジ領域は、対応する除去可能な部分がその分離の線に沿ってカバーフィルムの残りの部分から解放または除去されるときに引き裂かれるように設計されている。壊すことが可能なブリッジ領域の引裂きは、壊すことが可能なブリッジ領域に沿って(すなわち、壊すことが可能なブリッジ領域によって画定される経路に沿って)伸びる対応する回路を開き、これは電子モジュールによって記録される。回路をモニターすることにより、電子モジュールは、カバーフィルムのどの除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分から解放または除去されたか、およびいつそれが起きたかを決定できる。除去可能な部分の除去に関する記録された情報は、電子モジュール内に記憶され得るか、またはコンピュータはモデムなどの遠隔の装置に送信またはダウンロードされ得る。例えば電子モジュールは、定期的にまたは回路が開いたときにあらゆる種類の適切な無線通信を用いて情報を送信することができ、あるいは、電子モジュールが容器から取り外され、遠隔の装置に物理的に接続されることもできる。容器が高価な消費財を貯蔵するために用いられる場合、電子モジュールはカバーフィルムの除去可能な部分の不正使用または権限のない除去や解放をチェックするために用いられてもよい。容器が薬剤を分配するために用いられる場合、電子モジュールは薬剤が処方された投薬計画にしたがって適切に投与されているかをチェックするために用いられてもよく、この投薬計画の詳細は電子モジュールに記憶されていてもよい。このようにして電子モジュールは、容器の内容物の分配について「リアルタイムの」モニタリングを提供し得る。薬剤が処方された投薬計画にしたがって投与されていない場合、患者または責任ある医療専門家は、例えば電子モジュールまたは遠隔の装置によって送信されるSMSメッセージにより自動的に警告され得る。電子モジュールは好適にはプログラム可能であって、各キャビティの内容物や、容器が薬剤を分配するために用いられる場合には、例えば詳細な連絡先などの患者の情報、関連する医療情報、各キャビティ内の薬剤に関する詳細および処方された投薬計画といった他の情報を含み得る。
【0018】
1つまたはそれぞれの除去可能な部分の外周は、カバーフィルムの材料全体に伸びるあらかじめ形成されたカットライン、あらかじめ切り込みを付けられるか、もしくはあらかじめミシン目を入れられた引き裂き線、またはそれらのあらゆる組み合わせによって画定され得る。あらかじめ切り込みを付けられた引き裂き線は、カバーフィルムの厚みを通って、しかし完全には貫通せずに、途中まで切断または切れ目を付けるためにカバーフィルムの表面上にナイフを押し付けることによって形成されてもよい。
【0019】
あらかじめ切り込みを付けられる引き裂き線の深さや、あらかじめミシン目を入れられた引き裂き線のミシン目の大きさおよび形状は、あらゆる所定の応用に対して適切な大きさの分離に対する抵抗を備えるように決定され得る。分離に対する抵抗を増やすことは、除去可能な部分が誤って除去される可能性や、例えば分配容器が互いに積み重ねられる場合に下層のトレイの個別のキャビティに押し込まれる可能性を軽減できる。あらかじめ切り込みを付けられた引き裂き線、あらかじめミシン目を入れられた引き裂き線およびカットラインは、ロータリーダイカッター(rotary die cutter)などを用いて形成され得る。
【0020】
1つまたはそれぞれの除去可能な部分を画定する分離の線は、切れ目を画定するために、対応するキャビティの外周の周囲全体には伸びていない。本願と同一の出願人によって提供されているいくつかの従来のシールアレンジでは、除去可能な部分が解放され、キャビティの内容物が分配された後も、除去可能な部分がカバーフィルムに付けられたままとなるように同様の切れ目が設けられていた。本発明のアレンジでは、対応する回路が開かれるように、壊すことが可能なブリッジ領域を画定する切れ目が引き裂かれるように設計されていることが容易に理解されるだろう。除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分に付けられたままになるように、それぞれの分離の線にさらなる切れ目が設けられてもよい。換言すれば、1つまたはそれぞれの除去可能な部分を画定する分離の線は、除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分から解放または除去されたときに引き裂かれるように設計されている壊すことが可能なブリッジ領域を画定する第1の切れ目と、除去可能な部分が壊れにくいブリッジ領域(例えば、過度な力が加えられない限り壊すことができないブリッジ領域)によりカバーフィルムの残りの部分に付けられたままになるように、引き裂かれるように設計されていない第2の切れ目とを含んでいてもよい。第1の切れ目は、対応する回路を形成する導電性のトラックの経路を画定するのに十分な幅であればよく、一方で第2の間隙は、除去可能な部分に過度な力が加えられない限りは引裂きを防ぐのに十分な幅であり得る。キャビティの内容物が分配される度に個別の除去可能な部分が廃棄されることがないことから、除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分に付けられたままになるアレンジの方が、より環境にやさしいと考えられる。
【0021】
いくつかの場合、1つまたはそれぞれの除去可能な部分を画定する分離の線は、それぞれが壊すことが可能なブリッジ領域を画定し、また対応するキャビティの内容物が分配されるべきときに、除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分から解放または除去されると引き裂かれるように設計されている2つまたは3つ以上の切れ目を含んでいてもよい。壊すことが可能なブリッジ領域の数および位置は、導電性のトラックのパターンに依存し、対応する除去可能な部分が完全にまたは部分的に解放または除去されることを決定するために、必要に応じて設けられ得る。それぞれの分離の線が、壊すことが可能なブリッジ領域を画定する2つまたは3つ以上の切れ目を有するアレンジにおいては、第1の切れ目が導電性のトラックをカバーフィルムの周辺領域から除去可能な部分へと通らせる第1の経路を提供し、第2の切れ目が導電性のトラックを除去可能な部分からカバーフィルムの周辺領域へと通らせる第2の経路を提供してもよい。通常は、壊すことが可能なブリッジ領域が引き裂かれずにキャビティから消費者向製品を取り出すことは不可能である。2つ以上の壊すことが可能なブリッジ領域が設けられる場合、回路は、1つまたは2つ以上の領域が引き裂かれたとき、または導電性のトラックのレイアウトおよび電子モジュールの構成によっては、すべての領域が引き裂かれたときに開かれ得る。全てではないがいくつかの壊すことが可能なブリッジ領域が引き裂かれると、電子モジュールは、例えば対応する除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分から部分的にのみ解放または除去されたことを記録してもよい。
【0022】
1つまたは2つ以上のキャビティをシールするために用いられるカバーフィルムは、適切な接着剤(例えば、コールドシールプロセス)によりトレイの略平らな上面に接着されてもよいし、シールは直接トレイにヒートシールされてもよい。
【0023】
カバーフィルムは、金属箔、金属化ポリマーフィルムまたは紙のシート、単層または多層構造のプラスチックフィルム、またはそれらのあらゆる組み合わせであってもよく、好適には(あらかじめ形成された引き裂き線の周りを除いて)破れにくいので、それを通して薬剤が誤って、または故意に押され得ない。
【0024】
カバーフィルムの、1つまたはそれぞれの除去可能な部分は、対応するキャビティを覆うように成形され、且つ、サイズを調整されたバリアパッチを含んでいてもよい。対応する各バリアパッチは、(例えば、剥離可能な接着剤の層または固定的な接合によって)カバーフィルムに接着されるバリアフィルムで形成され得る。換言すれば、バリアフィルムはカバーフィルムに固定されてもよく、このバリアフィルムは、使用時に対応するキャビティを覆うように成形され、且つ、サイズを調整された除去可能な部分ごとにバリアパッチの外周を画定するあらかじめ形成された分離の線を有する。バリアフィルムは、金属箔、金属化ポリマーフィルムもしくは紙のシート、単層もしくは多層構造のプラスチックフィルム、またはそれらのあらゆる組み合わせであり得る。
【0025】
1つまたはそれぞれの除去可能な部分の外周があらかじめ形成されたカットラインにより画定される場合、バリアフィルムに形成される対応するバリアパッチは、除去可能な部分よりも大きくなるように成形され、且つ、サイズを調整される。カバーフィルムおよびバリアフィルムは、その上を覆っている除去可能な部分が解放されるときに、1つまたはそれぞれのバリアパッチが、除去可能な部分の外周を画定する分離の線のすぐ外側のカバーフィルムの狭い境界から必ず剥離されるように、剥離可能な接着剤の層、または固定的な接合によって互いに接着され得る。
【0026】
1つまたはそれぞれのバリアパッチの外周は、カバーフィルムの材料全体にわたって伸びているカットライン、あらかじめ切り込みを付けられた、もしくは、あらかじめミシン目を入れられた引き裂き線、またはそれらの組み合わせによって画定され得る。あらかじめ切り込みを付けられた引き裂き線、あらかじめミシン目を入れられた引き裂き線およびカットラインは、ロータリーダイカッターなどを用いて形成され得る。
【0027】
本発明の好適なアレンジにおいて、1つまたはそれぞれのバリアパッチの外周を画定するあらかじめ定められた分離の線は、バリアパッチが、対応する除去可能な部分よりも大きくなるように、その上を覆っている除去可能な部分の外周を画定するあらかじめ形成された分離の線の外側に位置する。この場合バリアパッチは、使用時に対応するキャビティの外周の周り全体に伸びているトレイの略平らな上面の狭い境界または領域を覆うことができる。バリアパッチもまた、その上を覆っている除去可能な部分が解放されると、除去可能な部分を画定する分離の線のすぐ外側のカバーフィルムの狭い境界から剥離されなければならない。1つまたはそれぞれの除去可能な部分の外周を画定するあらかじめ形成された分離の線が、除去可能な部分の外周全体を実質的に囲むカバーフィルムの材料を貫通して伸びるカットラインである場合には、個々の除去可能な部分と、壊すことが可能なブリッジ領域分から離れたカバーフィルムの残りの部分との間の物理的接続はない。したがって、個別の除去可能な部分は、通常は、カバーフィルムの残りの部分が接着される、対応するより大きなバリアパッチによって、カバーフィルムの残りの部分の面の中の位置で保持される。1つまたはそれぞれのバリアパッチは、トレイの上面には固定されず、カバーフィルムのみに固定されるということを理解することが重要である。疑義を生じないために、除去可能な部分の外周がカットラインによって画定されない他のアレンジにおいては、1つまたはそれぞれのバリアパッチは対応する除去可能な部分より大きくても、同じ大きさでも、または小さくてもよく、またトレイの対応するキャビティよりも大きく、同じ大きさに、または小さく成形され、且つ、サイズを調整されてもよいということが気付かれるべきである。
【0028】
カバーフィルムの除去可能な部分は一度解放されると簡単には対応するキャビティの上に再び取り付けられ得ないことから、好適なアレンジは不正な開封の跡がわかる特性を組み込んでもよい。これは、バリアパッチが、使用時に、対応するキャビティの外周を完全に囲んで広がるトレイの略平らな上面の領域を覆うように、その上を覆っている除去可能な部分よりも大きいためである。除去可能な部分および取り付けられているバリアパッチが解放されるとすぐに、除去可能な部分の外周を画定する分離の線のすぐ外側のカバーフィルムの狭い境界が現れる。この狭い境界は、除去可能な部分の解放よりも前にバリアパッチの外周に固定されているということが容易に理解されるだろう。実際には、カバーフィルムの下面が剥離可能な接着剤で被覆されている場合には、狭い境界はトレイの略平らな上面に付着しやすい。これは、解放された除去可能な部分を、対応するキャビティの上に再び取り付ける目的でバリアパッチの裏面をカバーフィルムとトレイの上面との間でスライドさせることを非常に困難にする。不正な開封の跡がわかる特性は、容器が、食品、ならびに、丸薬、錠剤およびカプセルなどの薬剤を貯蔵および分配するために用いられる場合に特に重要である。他の、不正な開封の跡がわかる特性は、当然のことながら、壊すことが可能なブリッジ領域の引裂きにより提供される。
【0029】
バリアフィルムは、除去された時に剥離可能な接着剤の位置固定領域をカバーフィルムの下側に露出する除去可能な細片を画定するために、その一端に近いさらなる所定のカットラインまたは引き裂き線を有することもでき、これはバリアフィルムの大半を剥離し、カバーフィルムをキャビティ上に接着する前に、トレイの端部にカバーフィルムの端部を接着するためである。カバーフィルムをトレイの上面に接着する工程を補助するために、トレイは直立したカバーフィルム配置手段を有し得る。カバーフィルムは、カバーフィルムをトレイに接着する前に1つまたは2つ以上のキャビティと対応する除去可能な部分とが一致するようなトレイ上のカバーフィルムの正確な位置付けのために協働する手段を有し得る。バリアフィルムがトレイの上面に固定される場合、トレイは直立したシール配置手段を有し得る。カバーフィルムは、バリアフィルムをトレイに接着する前に1つまたは2つ以上のキャビティと対応する除去可能な部分とが一致するようなトレイ上のカバーフィルムの正確な位置付けのために協働する手段を有し得る。
【0030】
容器のためのシールは、任意にはカバーフィルムおよび/またはバリアフィルムについて適切な材料や厚さを選択することによって、好適には高い防湿性を有する。1つまたは2つ以上のキャビティを覆う領域において低い蒸気透過性を提供することは、一時的にキャビティ内に入れられるあらゆる薬剤が、容器内での薬剤の保管中の周囲の湿度の変動から保護され得ることを意味する。低い蒸気透過性はまた、容器が、あまりに多くの湿度がシールを通して個別のキャビティに入ってくる場合に劣化したり損傷したりするおそれのある食品または電子部品といった消費者向製品を貯蔵および分配するために用いられる場合に、特に重要である。しかしながらシールは、光や、例えば酸素などの大気ガスの透過を軽減または防止するために、高遮光性または高い気体遮断性といった他の選択された遮断性を備えられてもよいということが認識されるだろう。またシールは、高い静電気遮断性を備えられてもよい。
【0031】
容器は、所定の投薬計画にしたがって薬剤を保管および分配するために、多数の区画を有する容器であってもよく、ここで個別のキャビティの配列はトレイの略平らな上面に形成されており、カバーフィルムは除去可能な部分の配列を画定するあらかじめ形成された分離の線を有する。シールは、ユーザが個々の除去可能な部分の開放の正しい順序を決定し、それらを解放できるように、投薬計画の順序の詳細と共に印刷され得る。
【0032】
それぞれの除去可能な部分は、対応する除去可能な部分の除去に先立って掴まれ得る、特許文献2に記載されるようなつまみ部分を含み得る。このアレンジにおいてそれぞれの除去可能な部分は、つまみ部分を画定する、対応するあらかじめ形成された分離の線の一部において切れ目により画定されている壊すことが可能なブリッジ領域によって、カバーフィルムの残りの部分に付けられ得る。
【0033】
本発明はさらに、消費者向製品を受容する1つまたは2つ以上の個別のキャビティが形成されている略平らな上面を有するトレイと、1つまたは2つ以上のキャビティをシールして消費者向製品を1つまたは2つ以上のキャビティ内に留めておくために、トレイの略平らな上面に接着されたカバーフィルムを含んでいるシールとを含んでいる、消費者向製品を貯蔵および分配するための容器を提供する。このカバーフィルムは、キャビティごとに回路を画定する導電性のトラックのパターンおよび除去可能な部分がその分離の線に沿って除去されるまで消費者向製品をそのキャビティ内に留めておくようにキャビティごとに除去可能な部分を画定するあらかじめ形成された分離の線を有し、それぞれの除去可能な部分は、対応するあらかじめ形成された分離の線の切れ目により画定され、対応する回路に経路を与える、壊すことが可能なブリッジ領域によってカバーフィルムの残りの部分に付けられている。
【0034】
この容器はさらに、1つまたはそれぞれの回路をモニタリングし、1つまたはそれぞれの除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分から解放または除去されたとき、すなわち、対応する壊すことが可能なブリッジ領域が引き裂かれたときに記録する電子モジュールを含み得る。電子モジュールは、1つまたはそれぞれの回路と電気的に接続して、永続的にまたは分離可能にトレイに固定され得る。例えば、それぞれの回路は、使用時に電子モジュールの適切な部品(例えば、接点またはピン)と電気的に接続する電極端を有していてもよい。
【0035】
電子モジュールは、容器のあらゆる場所に配置され得るが、1つの配置ではトレイのガイド部品の間にスライド可能に受容され、カバーフィルムの端部の領域は、適切に受容されると電子モジュールに設けられた挿入口の内部に受容されるトレイの突出するタブによって支持されてもよい。この場合、電極端は好適にはカバーフィルムの端部の領域に形成されている。
【0036】
分配容器のシールのさらなる特徴は、上述したとおりである。
【0037】
キャビティの内容物を分配するためには、消費者は単に人差し指で対応する除去可能な部分を押し下げる。除去可能な部分が特許文献2に記載されているようなつまみ部分を有する場合、特定のキャビティを覆う除去可能な部分はそのつまみ部分を掴むことにより除去され得る。対応する回路の経路を画定する壊すことが可能なブリッジ領域は、つまみ部分を画定している部分を含めて、分離の線のあらゆる場所で形成され得る。消費者は、引き裂き線に沿って引き裂くことによって、カバーフィルムの残りの部分から除去可能な部分を解放しなければならない場合がある。その下にあるキャビティに達するために除去可能な部分が解放または除去されると、壊すことが可能なブリッジ領域は引き裂かれ、その結果対応する回路が開かれる。バリアフィルムが備えられ、その下にあるバリアパッチが、対応する除去可能な部分よりも大きいアレンジでは、これは、重なっているカバーフィルムの領域から剥離されなければならない。除去可能な部分を解放するのに必要な力は、好適には破ることが可能なカバーフィルムを突き破って消費者向製品を押し出すのに必要な力よりも少ない。壊すことが可能なブリッジ領域の引裂きは、特定の除去可能な部分の回路を開き、これは容器に関連付けられる電子モジュールによって記録される。電子モジュールは、それぞれの除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分から解放または除去されたとき、つまり対応するキャビティの内容物が分配されたと思われるときの、正確な記録を提供する。
【0038】
解放された除去可能な部分はその後、消費者向製品の上でキャビティ内に押し込まれ、これを人差し指と親指でしっかりとつかめるようになるまでキャビティの側面においてスライドさせて持ち上げることにより、カバーフィルム内に新しく作られた開口部から除去され得る。あるいは、1つまたは2つ以上のキャビティが圧縮できるようにトレイが適切な(好適には、プラスチック)材料で形成されている場合には、キャビティの内容物は、後方から、消費者向製品をカバーフィルムを突き破って押すことによって分配され得る。
【0039】
除去可能な部分の外周を画定する分離の線にさらなる切れ目が設けられる場合には、除去可能な部分は壊れにくいブリッジ領域によってカバーフィルムの残りの部分に付けられたままにでき、且つ、キャビティの内容物は上述のように分配され得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1の実施形態によるカバーフィルムの平面図である。
図2】本発明の第2の実施形態によりカバーフィルムの平面図である。
図3】導電性トラックがカバーフィルム上に印刷される前の、カバーフィルムの除去可能な部分を示す詳細図である。
図4】対応する回路を画定にするために導電性トラックがカバーフィルム上に印刷された後の、図3のカバーフィルムの除去可能な部分を示す詳細図である。
図5】電子モジュールがどのように分離可能に容器に固定されるかを示す平面図である。
図6図5の線A−Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の分配容器は広範囲の消費者向製品の貯蔵および分配に適しているが、本明細書の残りの部分では、主に、所定の投薬計画にしたがった引き続く処方のために混合された薬剤を編成および貯蔵する、多数の区画を有する容器としての用途に焦点を当てる。
【0042】
図1〜4を参照すると、多数の区画を有する容器を形成するように成型されたトレイに接着されるように設計されたシールが示されている。このトレイは熱可塑性材料のシートから形成され、例えばプレス成型や真空成型によって形成されてもよい。トレイは略平らな上面を有し、その中には4×7列の個別のキャビティが形成されている。要求される特定の投薬計画に応じて、個別のキャビティの他の配列も可能であることは容易に理解されるだろう。
【0043】
シールは、典型的には積層構造からなるが、図1および2では最上層またはカバーフィルム1のみが示されている。カバーフィルム1は滑らかで弾力があり、好適には透明なプラスチックフィルムのシートであって、その外形はカバーフィルムと共に使用されるトレイの外形と概して一致している。カバーフィルム1に適した材料はポリプロピレンである。
【0044】
カバーフィルム1は、それぞれがカットライン4により画定される、4×7列の除去可能な部分2を含んでいる。カットライン4は分離の線を画定しており、それに沿って除去可能な部分2がカバーフィルム1の残りの部分から分離され得る。除去可能な部分は、シールがトレイの上面に接着されると、下にある成型されたトレイのキャビティの外周の周囲ほぼ全体に広がる主要部分6と、除去可能な部分の除去に先立って掴まれ得るつまみ部分8とを含んでいる。つまみ部分8は、トレイの略平らな上面に形成された突出部を上方へ伸ばすことによって、カバーフィルムの残りの部分から持ち上げられ得る。
【0045】
図3に示すように、カットライン4はそれぞれの除去可能な部分2の主要部分6の外周の周り全体に伸びているが、2つの別々の壊すことが可能なブリッジ領域10、12が、対応するつまみ部分8を画定するカットラインに備えられている。実際には、あらゆる数の壊すことが可能なブリッジ領域が、主要部分6の外周を画定する部分を含むそれぞれの除去可能な部分のカットラインのあらゆる場所に備えられ得る。
【0046】
カバーフィルム1の下面全体は、剥離可能な接着剤の層で被覆されており、バリアフィルム(図示せず)に接着されている。バリアフィルムは滑らかで弾力があり、好適には透明なプラスチックフィルムであって、その外形はバリアフィルムと共に使用されるカバーフィルムの外形と概して一致している。バリアフィルムに適した材料はポリプロピレンである。
【0047】
バリアフィルム(図示せず)におけるカットラインは、4×7列の蒸気に不浸透性であるバリアパッチの外周を画定し、バリアパッチは使用時には除去可能な部分それぞれの下面に接着され、成型されたトレイのキャビティそれぞれの上に直接置かれる。バリアパッチは、使用時に、各キャビティの外周の周囲全体に広がるトレイの略平らな上面の領域を覆うように、除去可能な部分よりもわずかに大きくされ得る。しかしながら、バリアパッチは除去可能な部分2と同じ大きさでもよいし、それより小さくてもよい。バリアパッチはつまみ部分8の下まで伸びていてもよい。
【0048】
カバーフィルム1のカットラインは、ミシン目または切れ込み線に置き換えられ得るということが容易に理解されるだろう。同様に、バリアフィルム(図示せず)のカットラインも、ミシン目または切れ込み線に置き換えられ得る。カットラインまたは引き裂き線は通常、カバーフィルム1およびバリアフィルム(図示せず)が互いに固定されて積層シールが形成された後に、ダイカッターを用いて形成される。1組の回転ダイカッターを用いることができ、ここで一方のダイカッターはシールの片面からカバーフィルム1にカットラインまたは引き裂き線を形成し、もう一方のダイカッターはシールのもう一方の面からバリアフィルム(図示せず)にカットラインまたは引き裂き線を形成する。カットラインまたはミシン目線の場合、シールの全体的な物理的一体性が確実に維持されるように注意されなければならない。例えば、実際には、カバーフィルムに形成されたカットラインまたはミシン目が、剥離可能な接着剤の層内までわずかに伸びることはよくあることだが、それぞれの回転ダイカッターは好適には、カットラインまたはミシン目線がバリアフィルム(図示せず)内まで感知できるほどに伸びないように設定される。
【0049】
導電性のトラック14のパターンは、カバーフィルム1に、上面に例えば導電性のインクを用いてパターンを印刷することによって付加される。このパターンは、カバーフィルムのそれぞれの除去可能な部分2のための回路を含んでおり、あらゆる適切なレイアウトを有し得る。より詳細には、図1および2に示されるパターンは、除去可能な部分の1列目と2列目の間を走る第1の共通回線16と、除去可能な部分の3列目と4列目の間を走る第2の共通回線18とを含んでいる。第1および第2の共通回線はどちらも、カバーフィルム1の端またはタブ領域20で終わる。
【0050】
除去可能な部分21のための第1の個別の回路221を例にとると、これはタブ領域20の、第1の共通回線16の電極端で開始(または終了)する。除去可能な部分21の近くで、第1の個別の回路221は第1の共通回線16から分岐し、第1の個別の回路221が終了(または開始)するカバーフィルムのタブ領域20に戻る前に除去可能な部分21のつまみ部分8を横切る。除去可能な部分21のための回路はゆえに、カバーフィルムのタブ領域の電極端Tで開始および終了する。除去可能な部分22のための第2の個別の回路222を例にとると、これはタブ領域の、第2の共通回線16の電極端で開始(または終了)する。除去可能な部分22の近くで、第2の個別の回路222は第1の共通回線16から分岐し、第2の個別の回路222が終了(または開始)するカバーフィルムのタブ領域20に戻る前に除去可能な部分22のつまみ部分を横切る。他の除去可能な部分23…228のための個別の回路も同様の方法で設けられ、ここで他の除去可能な部分215…228は第2の共通回線18から分岐する。
【0051】
壊すことが可能なブリッジ領域10、12は、図3および4に、より詳細に示されており、それぞれの除去可能な部分1のつまみ部分8の周りに伸びるカットライン4における切れ目によって画定されている。壊すことが可能なブリッジ領域10、12は、対応する回路のための導電性のトラックによって横切られ得るそれぞれのつまみ部分8全体を横切って伸びる連続的な経路を画定する。これは、導電性のトラック14が先行工程としてカバーフィルムの上面に印刷される場合に、カットラインがその後カバーフィルム1に形成されてもそれらが壊されないということを意味する。同様に、導電性のトラック14がカバーフィルムの上面に印刷される前にカットライン4がカバーフィルムに設けられる場合には、壊すことが可能なブリッジ領域10、12が、導電性のトラックがカットライン(または引き裂き線)を横切らなくてもいいように、導電性のトラックに連続的な経路を与える。図4は、どのように各導電性のトラック14の部分24がつまみ部分8を横切って伸びているかを示す。導電性のトラックの部分24は壊すことが可能なブリッジ領域よりも幅が広く、これは製造および印刷中の、シールの除去可能な部分に対するトラックのあらゆるずれを考慮するためである。
【0052】
電子モジュール26はカバーフィルムの端部またはタブ領域で、成型されたトレイに分離可能に固定されることができ、また適切に装着されると、様々な回路の電極端Tと電気的に接続する接点を含んでいる。電子モジュール26は、電源(例えば、バッテリ)、個々の回路を制御するためのマイクロプロセッサまたは他の電子制御装置、情報を記録および記憶するためのメモリおよび記憶された情報をダウンロードさせるか、または遠隔の装置に送信させる通信装置を含んでいてもよい。図5および6を参照すると、カバーフィルムの端部またはタブ領域20は、支持される成型されたトレイ30の突出するタブ28を覆っていてもよい。ガイド32、34は、突出するタブ28の両側に設けられ、電子モジュール26は、電子モジュールが突出するタブに向かってスライドできるように、ガイドの対向するエッジ38が位置付けられる溝36を含んでいる。ゆえに突出するタブ28およびカバーフィルム1のタブ領域20は、電子モジュール26の接面に形成された挿入口に受容され得る。使用時に電子モジュール26が適切に配置されると、その接点はカバーフィルム1の上面に印刷された電極端Tのそれぞれと電気的に接触するので、個別の回路はマイクロプロセッサまたは他の電子制御装置によってモニターされ得る。
【0053】
使用時に、薬剤師あるいは介護者、または患者自身は、7日間または28日間の投薬計画にしたがって、トレイの上面に形成された28個の個別のキャビティの間で丸薬、錠剤および/またはカプセル状の薬剤を分配する。例えば、7行のキャビティは、一週間という日数を表し、4つの列は28日間の投薬サイクルの4つの連続する週、または治療の各日の4回の異なる投薬時間を表す。後者の場合、1列目は朝食時を、2列目は昼食時を、3列目は夕方をおよび4列目は就寝時を表し得る。28個の個別のキャビティを通して同一の薬剤が分配されてもよいし、異なる薬剤の混合物が各キャビティに位置づけられてもよい。
【0054】
キャビティが適切に充填されると、シールがトレイの上面に固定される。
【0055】
電子モジュール26は、患者の詳細、関連する医療情報および所定の投薬計画によりプログラムされてもよい。プログラミングは無線通信によって行われてもよいし、電子モジュール26が遠隔の装置に物理的に接続されている場合には電子モジュール26にダウンロードされてもよい。
【0056】
個別のキャビティの1つに貯蔵されている薬剤を分配するために、ユーザは単に、覆っている除去可能な部分2を押し下げるか、または持ち上げられたつまみ部分8をつかんで除去可能な部分を引っ張る。除去可能な部分2はカットラインに沿ってカバーフィルムの残りの部分から分離し、壊すことが可能なブリッジ領域分10、12に沿って引き裂かれる。この場合除去可能な部分はカバーフィルムから完全に取り出されるが、代替的なアレンジにおいては、解放されて対応するキャビティの内容物が分配された時点で、除去可能な部分がカバーフィルムの残りの部分に付けられたままであるように、壊れにくいブリッジ領域を画定するさらなる切れ目がカットラインに設けられ得る。この代替的なアレンジにおいても、壊すことが可能なブリッジ領域10、12が引き裂かれるということは容易に理解されるだろう。
【0057】
壊すことが可能なブリッジ領域10、12の引裂きは対応する回路を開く。例えば、除去可能な部分21がユーザによって除去されると、壊すことが可能なブリッジ領域が経路を横切って引き裂かれるので回路221が開かれる。回路221の開放は、電子モジュール26によって記録される。電子モジュール26はどの回路が開いたかを記録するので、どの除去可能な部分が解放または除去されたかを記録し、任意にはいつそれが壊れたかを記録する。
【0058】
電子モジュール26の記録された情報は、それが成型されたトレイから取り外されて遠隔の装置にダウンロードされるか、または、遠隔の装置に定期的に、もしくは回路が開いたときに送信されるまで、電子モジュールに記憶されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6