(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903445
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】油圧テンショナー用の可変流量チェックバルブ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/08 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
F16H7/08 B
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-556756(P2013-556756)
(86)(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公表番号】特表2014-506985(P2014-506985A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】US2012026688
(87)【国際公開番号】WO2012118723
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年8月8日
(31)【優先権主張番号】61/447,342
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ダブリュ・クランプ
【審査官】
塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−275974(JP,A)
【文献】
特開2005−325938(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0282335(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0029165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変流量チェックバルブ(30)であって、
複数のバルブシート(32)と連通する入口通路(38)と、各バルブシート(32)に隣接するボールガイド通路(40)とを画定するハウジング(36)と、
前記複数のバルブシート(32)に対応する数の複数のボール(42)と、
を備え、
前記各バルブシート(32)につき、前記複数のボール(42)のうち1つのボール(42)が設けられ、
各前記ボール(42)が、前記対応するバルブシート(32)に対する往復運動のために前記ハウジング(36)の前記ボールガイド通路(40)に収容されかつ前記対応するバルブシート(32)に向かって通常付勢され、前記複数のボール(42)の少なくとも2つが、異なるボールサイズと、異なる許容可能なボール移動距離と、異なるボール付勢力とを含む群から選択された少なくとも1つの異なる流体流れ特性を有する、
可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項2】
前記複数のバルブシート(32)を画定し、かつ打ち抜かれた板金材料から形成された少なくとも1つの予備成形物(34)をさらに備える、請求項1に記載の可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項3】
成形プラスチック材料から形成された前記ハウジング(36)をさらに備える、請求項1に記載の可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項4】
前記複数のボール(42)を前記対応するバルブシート(32)に向かって付勢する少なくとも1つの付勢部材(44)と、
リテーナ収容凹部(36a)を画定する前記ハウジング(36)と、
前記複数のボール(42)及び前記少なくとも1つの付勢ばね(44)を前記ハウジング(36)内に捕捉するために、前記ハウジング(36)の前記リテーナ収容凹部(36a)内にスナップ係合されたリテーナ(46)と、
をさらに備える、請求項1に記載の可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項5】
半径方向に延びる複数のフィンガーを有する周辺ハブを画定するために、打ち抜かれた板金材料から形成された少なくとも1つの付勢ばね(44)をさらに備え、各フィンガーがボール係合リードばねを画定する、請求項1に記載の可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項6】
打ち抜かれた板金材料から形成され、かつ前記複数のボール(42を前記ハウジング(36)内に捕捉するために前記ハウジング(36)と係合可能であるリテーナ(46)をさらに備える、請求項1に記載の可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項7】
前記複数のバルブシート(32)と前記ハウジング(36)の前記ボールガイド通路(40)とを通して前記入口通路(38)と流体連通する出口通路(48)を画定するリテーナ(46)をさらに備える、請求項1に記載の可変流量チェックバルブ(30)。
【請求項8】
可変流量チェックバルブ(30)を製造する方法であって、
ハウジング(36)を形成して、複数のバルブシート(32)と連通する入口通路(38)と、各バルブシート(32)に隣接するボールガイド通路(40)とを画定するステップと、
複数のボール(42)を前記ハウジング(36)に挿入するステップであって、前記各バルブシート(32)につき、前記複数のボール(42)のうち1つのボール(42)を配設し、各ボール(42)が、前記対応するバルブシート(32)に対する往復運動のために前記ボールガイド通路(40)内に収容され、前記複数のボール(42)の各々が前記対応するバルブシート(32)に向かって通常付勢されるステップと、
異なるボールサイズと、異なる許容可能なボール移動距離と、異なるボール付勢力とを含む群から選択された少なくとも1つの異なる流体流れ特性を、前記複数のボール(42)の少なくとも2つに設けるステップと、
を含む方法。
【請求項9】
板金材料を設けるステップと、
前記板金材料から前記複数のバルブシート(32)を有する少なくとも1つの予備成形物(34)を打ち抜くステップと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハウジング(36)を形成するステップが、前記複数のバルブシート(32)を画定する少なくとも1つの予備成形物(34)を支持するよう、プラスチック材料の前記ハウジング(36)を成形するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
リテーナ収容凹部(36a)を前記ハウジング(36)に形成するステップと、
前記リテーナ(46)を前記ハウジング(36)の前記リテーナ収容凹部(36a)内にスナップ係合して、前記複数のボール(42)を前記ハウジング(36)内に捕捉するステップと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
板金材料を設けるステップと、
前記板金材料を打ち抜いて、半径方向に延びる複数のフィンガー(44b)を有する周辺ハブ(44a)を画定するステップであって、各フィンガー(44b)がボール係合リードばねを画定するステップと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
板金材料を設けるステップと、
前記板金材料からリテーナ(46)を打ち抜くステップと、
前記リテーナ(46)を前記ハウジング(36)に取り付けて、前記複数のボール(42)を前記ハウジング(36)内に捕捉するステップと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のバルブシート(32)と前記ハウジング(36)の前記ボールガイド通路(40)とを通して前記入口通路(38)と流体連通するために、前記リテーナ(46)に出口通路(48)を形成するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
自動車の内燃機関用の無端状の可撓性動力伝達部材(12)用の油圧テンショナー(10)であって、可変流量チェックバルブ(30)の改良形態が、
複数のバルブシート(32)と連通する入口通路(38)と、各バルブシート(32)に隣接するボールガイド通路(40)とを画定するハウジング(36)と、
前記複数のバルブシート(32)に対応する数の複数のボール(42)と、
を備え、
前記各バルブシート(32)につき、前記複数のボール(42)のうち1つのボール(42)が設けられ、
各前記ボール(42)が、前記バルブシート(32)に対する往復運動のために前記ハウジング(36)の前記ボールガイド通路(40)内に収容され、かつ前記バルブシート(32)に向かって通常付勢され、前記複数のボール(42)の少なくとも2つが、各ボールのサイズと、各ボールのための許容可能なボール移動距離と、各ボールに加えられる付勢力の大きさとを含む群から選択された少なくとも1つの異なる流体流れ特性を有する、
油圧テンショナー(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェックバルブ装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、自動車の内燃機関用に使用されるような駆動スプロケット及び少なくとも1つの被駆動スプロケットを取り囲むタイミングベルト又はタイミングチェーン等の無端状の可撓性動力伝達部材に固有の張力を加えるための油圧テンショナーに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのチェーンテンショナーは、チェーンが複数のスプロケットの周りに移動するときに動力伝達チェーンを制御するために使用される。エンジンの温度が上昇するとき及びチェーンが摩耗するときに、チェーンの弛みが変化する。チェーンが摩耗した場合、チェーンは伸長し、チェーンの弛みが増加する。弛みの増加は、チェーンとスプロケット歯との間のノイズ、スリップ、又は歯飛びを引き起こす可能性がある。チェーンの弛みの増加が、例えばチェーン被駆動カムシャフトを有するエンジンのテンショナーによって除去されない場合、スリップ又は歯飛びによりカムシャフトのタイミングが数度ずれるので、エンジンが損傷する可能性がある。
【0003】
油圧テンショナーの性能はチェックバルブの2つの主な機能に基づいている。第1に、ピストンが延びてチェーンの弛みを除去したときに、オイルはチェックバルブを通ってテンショナーの高圧室に流入しなければならない。チェックバルブの流量制限が大きすぎる場合、ピストンは、その延びた長さを支持するのに十分なオイル容量を有しないであろう。第2に、チェーンがピストンをテンショナー内に押し戻し始めるときに、オイルはチェックバルブから戻るように流れようとする。この時点で、チェックバルブボールはオイル通路を閉鎖するように移動して戻らなければならない。応答時間が余りに遅い場合、ピストンを支持するために必要な圧力を構築するのに時間がかかり、チェーン制御が問題となる。
【0004】
油圧テンショナーのチェックバルブは、米国特許第7,404,776号、米国特許第7,427,249号及び米国特許出願公開第2008/0261737号に既に開示されている。現在の単一のチェックバルブボール技術は、可変流量を提供する能力が制限される。この技術は、流量を増加させる2つの方法を有する。第1の選択肢は、ボールの直径を増加させて、シートとボールとの間の円錐状の流れ面積を増加させることである。ボール直径を増加させると、ボール質量も増加するという悪影響がある。ボールの質量が増加するにつれ、ボールの方向を逆にして入口アパーチャをシールするための応答時間も増加する。流量を増加させる第2の方法はボールの移動を増加させることである。ボールがシートからさらに移動することを可能にすることにより、円錐状の流れ面積が増加するが、それは応答時間も増加することを意味する。これらの方法のいずれも可変流量を提供しない。
【0005】
ボールチェックバルブは、米国特許第1,613,145号、米国特許第2,308,876号、米国特許第4,018,247号、及び米国特許第4,253,524号に既に開示されている。これらの非相似の特許は、油井のケーシングストリング、高速ガスコンプレッサ、及び高圧往復油井ポンプに関する。これらの特許の最も初期の特許は1927年に交付されたが、公知の油圧テンショナーは、タイミングチェーン又はタイミングベルトアセンブリ用の可変流量ボールチェックバルブを含んでいなかった。この適合の欠如は、複数のボールを小さいコンパクトな軽量構造に収容しかつ制御するための費用効果的なパッケージの設計の難しさによるもの考えられる。
【0006】
現在の油圧テンショナーは、単一のチェックバルブボールを有するチェックバルブを使用して、テンショナーの高圧室内へのオイルの一方向の流れを制御する。あるテンショナー用途では、ピストンの剛性を変更することが有益であり得る。本発明による油圧テンショナー用のチェックバルブは、これらの制限を克服し、かつ油圧テンショナーの性能を向上させる可変流量を可能にするために、複数のチェックバルブボールを含む。現在の技術の制限を克服するために、本発明の複数のボールチェックバルブは、ピストン剛性を変更する手段として、異なる入口流体圧力における可変流量を達成するために、特異なサイズパターン、許容可能なボール移動、及びばね付勢力による複数のチェックバルブボールの使用を取り入れる。より小さくかつより軽い複数のチェックバルブボールを使用することにより、1つの大きなチェックバルブボールと同じ又はそれよりも大きな流量を達成することができる。さらに、固有の数のチェックバルブボールが選択された場合、ボールの移動を低減することができる。各ボールの質量ならびに移動距離が大幅に低減されるので、流体入口をシールするための応答時間が改善される。複数のボールチェックバルブは、複数のボールを小さいコンパクトな軽量構造に収容しかつ制御するための費用効果的な設計を提供する。
【0007】
可変流量チェックバルブは、複数のバルブシートと連通する入口通路、及び各バルブシートに隣接するボールガイド通路を画定するハウジングを含むことができる。複数のボールの数は、各バルブシートにつき1つのボールを有する複数のバルブシートに対応する。対応するバルブシートに対する往復運動のために、各ボールをハウジングの対応するボールガイド通路に収容することができる。通常、各ボールを対応するバルブシートに向かって付勢することができる。複数のボールの少なくとも2つは、異なるボールサイズと、異なる許容可能なボール移動距離と、異なるボール付勢力とを含む群から選択される少なくとも1つの異なる流体流れ特性を有することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による可変流量チェックバルブを製造する方法は、複数のバルブシートを少なくとも1つの予備成形物に形成するステップを含むことができる。ハウジングは、複数のバルブシートと連通する入口通路と、各バルブシートに隣接するボールガイド通路とを画定するように形成することができる。各バルブシートにつき1つのボールに、複数のボールをハウジングに挿入することができる。対応するバルブシートに対する往復運動のために、各ボールを対応するボールガイド通路に収容することができる。通常、複数のボールを対応するバルブシートに向かって付勢することができる。複数のボールの少なくとも2つは、異なるボールサイズと、異なる許容可能なボール移動距離と、異なるボール付勢力とを含む群から選択される少なくとも1つの異なる流体流れ特性を有することができる。
【0009】
本発明の他の用途は、本発明を実施するために考慮された最善の様式の以下の説明を添付図面と関連して読み取られるとき、当業者に明らかになるであろう。
【0010】
本明細書の説明は、複数の図全体を通して、同様の参照番号が同様の部分を指す添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による油圧テンショナー用の高流量かつ迅速応答のチェックバルブの断面図である。
【
図2】
図1の高流量かつ迅速応答のチェックバルブの詳細断面図である。
【
図3】
図1及び
図2の高流量かつ迅速応答のチェックバルブの分解図である。
【
図4】
図1〜
図3の高流量及び迅速な応答のチェックバルブの詳細断面図である。
【
図5】本発明による複数のボールを有する高流量かつ迅速応答のチェックバルブを含む、内燃機関用のタイミングチェーン又はタイミングベルト等の無端状ループの可撓性動力伝達部材用の油圧テンショナーの簡略化した概略図である。
【
図6】単一のボールチェックバルブに対応する曲線と、高流量の複数のボールチェックバルブに対応する曲線と、複数の可変流量のボールチェックバルブに対応する曲線とを有する流量(cc/sec)対圧力(psi)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において互換可能に使用されるような「ベルト」又は「チェーン」という用語は、部材がプーリ又はスプロケット駆動面の曲率半径に従うことを可能にするように無端状ループを形成しかつ可撓性材料又は剛性関節リンクから構成され、及び使用時に、無端状経路で駆動され、プーリ又はスプロケット駆動面との接触によって、動力をプーリ又はスプロケットに伝達するか又はそこから動力を抽出するように意図された任意の動力伝達部材である。本明細書において互換可能に使用されるような「プーリ」又は「スプロケット」という用語は、ベルト又はチェーンを無端状経路で駆動するためあるいはベルト又はチェーンから動力を抽出して出力負荷装置を駆動するためベルト又はチェーンとの意図する動力伝達係合のために、軸線を中心に回転可能であり、かつ回転軸線から半径方向に離間した駆動面を有する装置である。本明細書で使用されるような「ガイドロール」という用語は、意図する移動経路に沿ってベルト又はチェーンを方向付けるのを助けるためベルト又はチェーンとの意図する係合のために、軸線を中心に回転可能であり、かつ回転軸線から半径方向に離間したベルト又はチェーン接触面を有する装置である。プーリ又はスプロケットとは区別されるようなガイドロールは、駆動力をベルト又はチェーンに提供するか、又はそこから動力を抽出するようには意図されない。本明細書で使用されるような「テンショニングアーム」という用語は、ベルト又はチェーンと係合可能なプーリ又はスプロケット以外の部材であり、この部材は、ベルト又はチェーンとプーリ又はスプロケット駆動面との間の望ましい駆動牽引を維持するために、ベルト又はチェーンの引張応力の増加又は減少あるいは任意の望ましくないベルト又はチェーンの弛みの除去を生じさせる方向に、ベルト又はチェーンに対して調整可能又は相対移動可能である。ガイドロールとは区別されるようなテンショニングアームは、ベルト又はチェーンに接触するための回転不能な面部分を有し、これによって、ベルト又はチェーンはテンショニングアームの面部分にわたって摺動する。本明細書で使用されるような「油圧テンショナー」又は「張力駆動機構」という用語は、テンショニング装置を作動させるための力を加え、流体に力を及ぼすことを介して導出されるか又は伝達される。
【0013】
次に、
図5を簡単に参照すると、自動車の内燃機関用の無端状ループの可撓性動力伝達部材12用の油圧テンショナー10が概略的に示されている。動力伝達部材12は、エンジンのクランクシャフト等の駆動シャフトによって駆動される駆動スプロケット14と、エンジンのカムシャフト等の被駆動シャフトから支持された少なくとも1つの被駆動スプロケット16とを取り囲む。所望であれば、ガイドロールも設けることができる。動力伝達部材12は、矢印18で示したような回転駆動時に、緊張したストランド12a及び弛んだストランド12bを画定するために、駆動スプロケット14及び被駆動スプロケット16を通過する。動力伝達部材12の緊張したストランド12a及び弛んだストランド12bの少なくとも一方の外側において、少なくとも1つのテンショニングアーム20が、動力伝達部材12との摺動係合のためのシューを含む面アセンブリによって位置決めされる。テンショニングアーム20は、張力駆動機構又は油圧テンショナー10によって加えられた力に応答してピボット22を中心に回転することができる。ピボット22を中心とするテンショニングアーム20の回転は、動力伝達部材12に張力を加えて、過度の弛みを取り除く。本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、テンショニングアームの他の代替構造に、以下に開示する油圧テンショナー10を使用できること、及び例示した構造が一例であるに過ぎず、本発明を限定するものとみなすべきでないことを認識されたい。
【0014】
次に、
図1〜
図4を参照すると、油圧テンショナー10用の可変流量チェックバルブ30の改良形態が示されている。可変流量チェックバルブ30は、少なくとも1つの予備成形物34に画定された複数のバルブシート32を含むことができる。各バルブシート32と連通する入口通路38と、各バルブシート32に隣接するボールガイド通路40とを画定するために、ハウジング36を少なくとも1つの予備成形物34にわたって形成することができる。各バルブシート32につき1つのボール42を有する複数のバルブシート32に対応する数のボール42が設けられる。各ボール42は、関連のバルブシート32に向かうかつそこからの往復運動のために、ハウジング36の対応するボールガイド通路40内に収容することができる。少なくとも1つの付勢部材又はばね44は、通常、バルブシート32に対して着座位置(
図4の実線に図示)に向かって、及び非着座又は開口位置(
図4の仮想線に図示)に移動可能に複数のボール42を付勢するために設けることができる。リテーナ46は、複数のボール42及び少なくとも1つの付勢ばね44をハウジング36内に捕捉するために、ハウジング36と係合可能であり得る。
【0015】
少なくとも1つの予備成形物34は、打ち抜かれた板金材料から形成することができる。ハウジング36は、射出成形されたプラスチックから形成することができる。ハウジング36はまた、リテーナ収容凹部36aを画定することができる。複数のボール42及び少なくとも1つの付勢ばね44をハウジング36内に捕捉するために、リテーナ46をハウジング36のリテーナ収容凹部36a内にスナップ係合することができる。リテーナ46は、打ち抜かれた板金材料から形成することができる。リテーナ46は、少なくとも1つの予備成形物34の複数のバルブシート32とハウジング36のボールガイド通路40とを通して入口通路38と流体連通する出口通路48を画定することができる。
【0016】
少なくとも1つの付勢部材又はばね44は、少なくとも1つの圧縮コイルばね又は少なくとも1つの打ち抜かれたリードばねを含むことができる。少なくとも1つの付勢部材又はばね44は、半径方向に延びる複数のフィンガー44bを有する周辺ハブ44aを画定するために、打ち抜かれた板金材料から形成することができ、ここで、各フィンガー44bはボール係合リードばねを画定する。リードばねの厚さ及び形状を調整することによって、打ち抜かれたリードばねを「調整する」ことができる(すなわち、チェックバルブの所望の動作を決定及び達成することができる)。打ち抜かれたリードばねの構造は、単一又は複数の圧縮ばねと比較して、より簡単なパッケージを提供することができる。
【0017】
可変流量チェックバルブ30を製造する方法は、複数のバルブシート32を少なくともの1つの予備成形物34に形成するステップを含むことができる。少なくとも1つの予備成形物34にわたって成形して、各バルブシート32と連通する入口通路38と、各バルブシート32に隣接するボールガイド通路40とを画定することによって、ハウジング36を形成することができる。複数のボール42をハウジングに、各バルブシート32につき1つのボール42を挿入することができる。関連のバルブシート32に向かうかつそこからの往復運動のために、各ボール42を対応するボールガイド通路40内に収容することができる。複数のボール42は、少なくとも1つの付勢ばね44を有する関連のバルブシート32に対して着座位置に向かって付勢することができる。少なくとも1つの付勢ばね44及び複数のボール42を、リテーナ46でハウジング36内に保持することができる。
【0018】
本方法はまた、板金材料を設けるステップと、板金材料から複数のバルブシート32及び少なくとも1つの予備成形物34を打ち抜くステップとを含むことができる。ハウジング36は、少なくとも1つの予備成形物34にわたって形成されたプラスチック材料から成形することができる。リテーナ収容凹部36aをハウジング36に形成することができる。リテーナ46をハウジング36のリテーナ収容凹部36a内にスナップ係合して、複数のボール42及び少なくとも1つの付勢ばね44をハウジング36内に捕捉することができる。リテーナ46を板金材料から打ち抜くことができる。リテーナ46の出口通路48は、少なくとも1つの予備成形物34の複数のバルブシート32とハウジング36のボールガイド通路40とを通して入口通路38と流体連通するためにある。
【0019】
本方法は、さらに、少なくとも1つの圧縮コイルばねとして形成された少なくとも1つの付勢部材又はばね44、又は板金材料から打ち抜かれた少なくとも1つのリードばねを含むことができる。少なくとも1つの付勢部材又はばね44は、半径方向に延びる複数のフィンガー44bを有する周辺ハブ44aを画定するために、打ち抜かれた板金材料から形成することができ、ここで、各フィンガー44bはボール係合リードばねを画定する。リードばねの厚さ及び形状を調整することによって、打ち抜かれたリードばねを「調整する」ことができる(すなわち、チェックバルブの所望の動作を決定及び達成することができる)。打ち抜かれたリードばねをハウジング36内で組み立てて、リテーナ46によって所定位置に保持することができる。
【0020】
動作時、可変流量チェックバルブ30は油圧テンショナー10の高圧室10a内への油圧油の一方向の流れを制御する。チェックバルブ30の複数のボール42は、油圧テンショナー10の性能を向上させるために可変流量を提供することができる。一例としてかつ限定なしに、次に
図6の曲線100を参照すると、圧力がチェックバルブ30のボールの少なくとも1つの付勢力を超えて増加するとき、ピストン10bが延びて動力伝達部材12の弛みを除去するので、油圧油はチェックバルブ30の少なくとも1つのボールを通してテンショナー10の高圧室10aに流入する。圧力がチェックバルブ30の他のボールのボール付勢力を超えて増加し続けるとき、ピストン10bが延びて動力伝達部材12の弛みを除去するので、油圧油はチェックバルブ30の少なくとも2つのボールを通してテンショナー10の高圧室10aに流入する。圧力がチェックバルブ30の第3のボールのボール付勢力をなおさらに超えて増加し続けるとき、ピストン10bが延びて動力伝達部材12の弛みを除去するので、油圧油はチェックバルブ30の3つのボールを通してテンショナー10の高圧室10aに流入する。動力伝達部材12がピストン10bを油圧テンショナー10内に押し戻し始めるとき、オイルはチェックバルブ30から流れて戻ろうとする。この時点で、チェックバルブ30の複数のボール42は、少なくとも1つの予備成形物34に形成された対応するバルブシート32に対して逆の順序で着座位置に移動して戻り、オイル入口通路38をシールする。複数のチェックバルブボール42を使用して可変流量を提供することにより、単一のボールチェックバルブ構造の欠陥が克服される。より小さくてより軽い複数のチェックバルブボール42を使用することにより、一つの大きなチェックバルブボールと同じか又はそれよりも大きな流量を達成することができる。さらに、ボール42の移動距離を低減することができる。各ボール42の質量、ならびに移動距離が大幅に低減されるので、オイル入口をシールするための応答時間が改善される。したがって、本発明は、複数のボール42を小さいコンパクトな軽量構造のチェックバルブ30に収容しかつ制御するための費用効果的な設計を提供することができる。
【0021】
異なるボールサイズと、異なる許容可能なボール移動距離と、異なるボール付勢力とを含む群から選択された少なくとも1つの異なる流体流れ特性を、複数のボール42の少なくとも2つに設けることによって、可変流量を達成することができる。これらの特性は、単一で又はそれらの特性の任意の許容可能な組み合わせで様々であることができる。一例としてかつ限定なしに、少なくとも1つの異なる流体流れ特性は、以下のもの、すなわち、異なるサイズ又は直径を有する複数のボール42の少なくとも2つ、又は異なる許容可能なボール移動距離を有する複数のボール42の少なくとも2つ、又は異なるボール付勢力が加えられる複数のボール42の少なくとも2つ、又は異なるサイズ及び異なる許容可能なボール移動距離を有する複数のボール42の少なくとも2つの組み合わせ、又は異なるサイズを有しかつ異なるボール付勢力が加えられる複数のボール42の少なくとも2つの組み合わせ、又は異なる許容可能なボール移動距離を有しかつ異なるボール付勢力が加えられる複数のボール42の少なくとも2つの組み合わせ、又は異なるサイズと、異なる許容可能なボール移動距離とを有しかつ異なるボール付勢力が加えられる複数のボール42の少なくとも2つの組み合わせを含むことができる。個別にかつ任意の許容可能な組み合わせにより、これらの特性又はパラメータを変更することによって、圧力特性に対して異なる流量を有する無数の曲線を作成して、任意の特定用途の設計要件を満たすことができる。
【0022】
再び
図6を参照すると、一例としてかつ限定なしに、グラフは、曲線102の単一のボールチェックバルブ、曲線104の高流量/迅速応答の複数のボールチェックバルブ(均一なボールサイズ、均一なボール移動距離、及び加えられる均一な付勢力の3つのボールを有する)、及び開示した本発明による曲線100の複数の可変流量ボールチェックバルブ(均一でないサイズ、及び/又は均一でないボール移動距離、及び/又は加えられる均一でない付勢力の少なくとも2つのボール42を有する)について流量(cc/sec)対圧力(psi)を比較している。図示した流量対圧力のグラフ曲線が、選択したボール42の数、各ボール42のために選択したボールサイズ、各ボール42のために選択した許容可能なボール移動距離、及び各ボール42のために選択した加えられるべき付勢力に応じて図示したものとは異なってもよいことを認識されたい。一例としてかつ限定なしに、
図6の曲線100に示したように、各ボール42は、特異な流れ特性を有する異なる圧力で浮き上がるように調整される。
【0023】
最も実用的かつ好ましい実施形態と現在考えられるものに関連して、本発明について説明してきたが、本発明が、開示した実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び等価構成を網羅するように意図され、前記範囲には、法の下で許容されるようなこのようなすべての修正及び等価構造を包含するように最も広範な解釈に準じるべきであることを理解すべきである。