(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
最近の半導体産業、ディスプレイ産業、情報電子産業、太陽光関連産業またはIT部品産業における真空蒸着を用いた表面処理やコーティングは、高品質の製品や特殊な用途の製品を生産するにあたり、一つの方法として用いられている。
【0003】
特に、このような真空蒸着は、金属、プラスチック、ガラスなど被塗体とは関係なく適用することができるが、大部分の蒸着工程が高真空の雰囲気において行われるため、長時間にわたる工程時間及び蒸着工程による蒸発物質の過多消耗のような問題があった。
【0004】
また、プラスチックフィルム(plastic film)や鋼板コイル(strip coil)の表面処理時に真空工程(蒸着)を行う場合、生産速度及び連続的な被塗体の特性上、断続的に行うことが困難であるために全体のプラスチックフィルムや鋼板コイルを真空チャンバ(chamber)に挿入して真空下において工程を行う真空対真空(vacuum−to−vacuum)の方式を用いるが、処理準備及び表面コーティング処理が完了した鋼板コイル(Strip Coil)の交替によって生産性が低下するため、真の意味の連続工程とは言えず、表面処理された製品の単価が高いという問題もあった。
【0005】
従って、通常、外部大気中で巻き取られた鋼板をシール(密封)機具を用いて連続的に真空雰囲気を維持するチャンバの内部に真空圧力が損なわれることなく通板させ、連続的な真空蒸着の後に大気中において再び巻き取る工程に対する研究が行われている。
【0006】
例えば、鋼板の連続通板を案内する通板装置でありながら、同時に真空チャンバの真空圧が損失されないように、鋼板をシール状態で連続通板させるのは、真空雰囲気において連続進行する鋼板の表面を処理する工程における重要な技術的部分である。
【0007】
また、このような大気圧において真空雰囲気(空間)で鋼板を連続(高速)通板しながら、真空維持を具現するシール装置や機具などの一部は知られている。
【0008】
しかしながら、既知の従来のシール装置や機具などの殆どは、シールロールやケーシング構造または多段にシールロールやケーシングを配列して鋼板をシールし、真空雰囲気を維持するようにしたもので、鋼板の厚さや幅変化に適正に対応できないため、多様な規格(幅)を有する連続進行する鋼板の表面処理に適用するには困難な問題があった。
【0009】
また、実際に鋼板のシール性も完全ではないことから、真空維持のためにはチャンバ内における真空ポンピングの能力を高めるか、少なくとも維持し続けなければならないため、装置や機具の稼動時に過度な費用が必要となり、非経済的となる場合が殆どである。
【0010】
なお、多分割構造にすることで、空気流れの抵抗力を次第に増進させる空気流れ抵抗(flow resist)方式のシール機具も知られているが、実際に大気圧と差圧空間との間で用いるにはシール効率が低いため、この場合も持続的な真空ポンピングを維持しなければならないという問題があった。
【0011】
さらに、従来の他の方式(形態)として、複数個のシールロールを多段にジグザグに配列(配置)することで、通板される鋼板のシール性を維持することもできるが、この場合、鋼板の幅変化に対して適切に対応することが困難であり、シール性を維持するため、シール機具間に非常に狭い隙間を具現するための装置や機具の精密構造の構築及び製作がかなり困難になることから、実際のラインに適用するには費用面における負担が高く、維持補修も難しい上に、シール性もわずかであった。
【0012】
従って、上記の通り、従来の多様なシール装置や機具などは、大部分において鋼板の厚さや幅変化に円滑に対応しにくい構造であり、特に、真空維持のために多くの真空ポンピングを維持しなければならないことから、非経済的なエネルギー消耗が相当であることはもちろん、実際ラインの構築時にその実効性が少ないという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0024】
まず、
図1は本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1と、鋼板マスキング型の鋼板通板装置100と、を含む鋼板表面処理装置300を示しており、
図2から
図5は上記本発明の鋼板シール型の鋼板通板装置1を示している。また、
図6は上記本発明による鋼板マスキング型の鋼板通板装置100を示している。
【0025】
図1に示されているように、本発明の鋼板表面処理装置300は、チャンバ(構造物、210、230、250)と、チャンバ内に含まれるガイドロール270、290と、を含む。従って、高速進行する鋼板は、領域A−>B−>C−>B−>Aの順にチャンバを通過しながら、少なくとも真空が安定的に維持される真空領域(「C」領域)において鋼板エッチング、蒸着コーティング及び冷却のうち少なくとも鋼板コーティングの表面処理が行われるようにする。
【0026】
このとき、
図1に示されているように、また、
図2から
図5において詳細に説明されているように、本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、それぞれ空気粒子の流れ圧力によって区分されるものと知られている粘性流域(viscous flow region)(
図1の「A」領域)に配置され、
図6において詳細に説明されている本発明による鋼板マスキング型の鋼板通板装置100は、分子遷移領域(molecular flow region、中間領域)(
図1の「B」領域)及び真空領域(
図1の「C」領域)のうち少なくとも分子遷移領域に配置されることができる。
【0027】
もちろん、上記それぞれの鋼板シール型及びマスキング型の鋼板通板装置1100は、
図1に示されているように、多段(例えば、3段)に設置されることがシール面においては有利である。
【0028】
また、1×10
3mbar〜1×10
0mbar領域を粘性流域(viscous flow region)とするが、このような粘性流域における空気の流速及び流量は全体的な質量流れ(mass flow)の影響を受けることから、安定的なシール(密封)をするためには、空気が通過できる体積(面積)を減らすことが重要である。
【0029】
従って、
図2から
図5を参照して詳細に説明する本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、鋼板を包囲して緊密なシールを維持するため、シール性が高くなければならない上記のような粘性流域(
図1の「A」領域)に配置することが好ましい。
【0030】
また、1×10
−3mbar以下の圧力においては、空気分子が非常に希薄になるため、上記した質量流れの空気流動ではなく、空気分子一つ一つが流動される分子類領域(molecular flow region)が形成され、この領域では空気流れを妨害する面積より圧力を分離させることができる長い距離を有するチャンネル構造のみでのシール(密封)が可能である。
【0031】
なお、1×10
0mbar〜1×10
−3mbarの領域は、粘性類と分子類の特性を同時に示す中間領域(遷移領域、intermediate flow region)で、この領域では空気分子の通過面積を減らす方法及び抵抗通路を長くする方法を同時に用いることが好ましい。
【0032】
従って、
図1に示されているように、本発明による鋼板マスキング型の鋼板通板装置100は、分子遷移(中間)領域Bに複数個を配置しながら間隔を長く延長する形態にチャンバ構造を形成させる。
【0033】
このような本発明による鋼板マスキング型の通板装置100は、
図1に示されているように、シールロールが備えられないため、その前側及び後側に鋼板のテンションを調整するガイドロール270を設置することが好ましい。
図1において、図面符号290は、鋼板の進行方向を調整するガイドロールより大きい「デフレクターロール」であることができる。
【0034】
もっとも好ましくは、
図1に示されているように、鋼板のシールを緊密に維持することができるように、大気下において鋼板の進入及び引出区間である粘性流域Aには、本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1を(多段に引き続き)配置し、上記分子遷移領域B及び鋼板の表面処理が具現される真空領域Cには、本発明による鋼板マスキング型の鋼板通板装置100を長いチャンネル構造に沿って(複数個)配列設置する。
【0035】
従って、
図1に示されているように、本発明による鋼板表面処理装置300は、外部大気圧と差圧雰囲気との間の粘性流域Aに配置される鋼板シール型の鋼板通板装置1と、差圧雰囲気と真空雰囲気との間の分子遷移領域Bまたは真空領域Cに配置される鋼板マスキング型の鋼板通板装置100と、真空雰囲気Cに配置される鋼板表面処理ユニット310と、を含んで構成されることができる。
【0036】
このとき、本発明の鋼板表面処理装置300における上記鋼板表面処理ユニット310は、
図1に示されているように、鋼板表面の(蒸着)コーティングが安定的に行われるようにするため、事前に鋼板の表面をプラズマでエッチングする鋼板エッチング部310aと、真空蒸着(PVD、CVD)によって鋼板の表面をコーティングする鋼板コーティング部310bと、表面がコーティングされた鋼板を冷却してコーティング部を安定化する鋼板冷却部310cと、を含むことができるが、鋼板コーティング部310bのみを含むことも可能である。
【0037】
このとき、
図1に示される鋼板表面処理装置300において、少なくとも分子遷移領域B及び真空領域Cには、真空ポンピングを通じて真空を維持させる真空ポンプがチャンバごとに配置され、装置制御部Cと連動されるポンピングユニット(PP)と連結されて制御作動されることができる。
【0038】
また、
図1においては、プラズマなどを用いた鋼板エッチング部310aや蒸着を通じた鋼板コーティング部310bなどが知られている。例えば、鋼板エッチング部は、プラズマのイオン衝突エネルギーを用いて鋼板表面の酸化膜を除去して活性化させたり、予熱器を用いて鋼板を予熱して蒸着コーティング性を向上させる。
【0039】
以下では、本発明による鋼板シール型及びマスキング型の鋼板通板装置1、100について詳細に説明する。
【0040】
まず、
図2から
図5は、本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1を示している。
【0041】
図2から
図4に示されているように、本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、基本的に、進行する鋼板Sの厚さ変化に対応しながら鋼板を通板させる上下部シールロール10、20と、上記鋼板Sの幅変化に対応しながら上記シールロールと協働してチャンバ210の壁を通過する鋼板を包囲しながらシールするように提供される鋼板シールユニット50と、を含んで提供されることができる。
【0042】
このような本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、上記上下部シールロール10、20の間を鋼板が通過して連続通板(進行)を具現し、上記鋼板シールユニット50は、上記上下部シールロールと協働して四方から鋼板を包囲しながら緊密なシールを具現する。
【0043】
従って、本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、好ましくは、外部大気圧に近接した大気圧と差圧空間との間の粘性流域である「A」領域に配置される。
【0044】
また、本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、鋼板の連続通板、特に、高速通板を可能とする。同時に、
図3及び
図4のように、上下部シールロール10、20による鋼板の厚さ変化に対応し、鋼板シールユニット50を通じた鋼板の幅変化にリアルタイムで対応しながら、鋼板の通板においてシールを維持する。これにより、従来のシールはある程度可能であったが、鋼板の厚さや幅変化に対応して安定的なシールを維持することが困難であったという問題を解消することができる。
【0045】
このとき、
図2及び
図3に示されているように、本発明装置による上記上下部シールロール10、20は、エッチングや蒸着コーティングなどの表面処理が具現される鋼板の進行経路P上に回転可能に配置されるロールハウジング30にそれぞれ回転駆動されるように設置され、これにより、鋼板は連続的にロールの間に挟み込まれながら連続通板されることができる。
【0046】
好ましくは、上記上下部シールロール10、20のうち少なくとも上部シールロール10を上記回転されるロールハウジング30に昇降可能に設置すると、上記ロールハウジング30の回転及び上部シールロール10の昇降が組み合わされるようになる。
【0047】
従って、
図3に示されているように、鋼板の厚さが「t1」から「t2」に増加すると、上記上部シールロール10は、上部シールロールの昇降によってロール軸を中心に「d」の分だけ上昇し、ロールハウジングの回転によって「θ」の分だけ回転されることで、上記鋼板の厚さ変化に対応して移動する。
【0048】
また、
図3に示されているように、上記ロールハウジング30は、ベース32上に曲面構造として安着される。例えば、ロールハウジング30の下段に形成された第1曲面31aとベースの上部に形成された第2曲面31bが接し、ロールハウジングの一側(好ましくは、ロール軸の中心線を中心に)にはベース32に連結される第1駆動源34、即ち、垂直駆動シリンダーが連結される。
【0049】
従って、上記垂直駆動シリンダーにおける第1駆動源34の前進または下降作動により、上記ロールハウジングがベースにおいて回転される。このとき、回転角度を十分に調整することができる。
【0050】
また、上記上部シールロール10のロール軸が組立てられるベアリングブロックのロール軸首部12は、ロールハウジングの両側においてガイド13で支持され、ロールハウジングに提供された第2駆動源36と連結される。
【0051】
従って、上記第2駆動源36の作動により、上記上部シールロール10は、鋼板の厚さ変換に対応して下部シールロール20と協働して鋼板の通板を可能とする。
【0052】
このとき、好ましくは、上記第2駆動源36は、
図3に示されているように、ロールハウジングの上側に配置された駆動モータ36aと連結されるギアボックス36bを垂直貫通するスクリューバー36cがロール軸首部12に連結されることで、上記駆動モータの稼動により、ロール軸首部と共に上部シールロール10はロールハウジングにおいて上昇または下降する。
【0053】
また、上記第2駆動源36としては、別に図示されてはいないが、垂直駆動シリンダーや電気アクチュエーターなどを用いてもよい。
【0054】
このとき、上記駆動モータまたはシリンダーは、
図3に示されているように、本発明による装置に備えられる装置制御部C及び上記装置制御部に連携された油空圧供給ユニット(PP)と連携されることで、鋼板の厚さに対応して事実上自動的に上部シールロールの移動を制御することができる。
【0055】
または、好ましくは、本発明による装置に隣接して鋼板の厚さを感知する感知センサーを配置し、これを本発明による装置の装置制御部Cに連携して上部シールロールの移動制御を具現することもできる。
【0056】
図2から
図5は、本発明による装置において実質的に鋼板のシールを安定的に具現するように提供される本発明の装置による鋼板シールユニット50を示している。
【0057】
上記本発明による鋼板シールユニット50は、基本的に上記した上下部シールロール10、20の間で通板される鋼板Sを四方から包囲するが、上記上下部シールロール10、20との密着が維持される鋼板上下側の第1、2シール板52、54と、一対に組立てられる鋼板の両側上下部の第3、4シール板56、58と、を含んで構成されることができる。
【0058】
従って、本発明において上記第1から第4シール板は、上下部シールロールとの密着が維持され、鋼板の厚さ及び幅が変化しても鋼板を四方から包囲して安定的なシールを形成させる。
【0059】
このとき、上記第3、4シール板56、58は、高速通板される鋼板のエッジと接触せず、5〜20mm程度の適当な間隔を維持することが好ましい。これは、高速通板される鋼板のエッジと直接接触すると、通板中の鋼板の微細な左右の動きによってシール板が急速に部分摩耗または破損してシールの特性が破壊される可能性があるためである。しかしながら、シール板及びシールロールは一定の圧力によってガイドロールの円周と(湾曲な)面接触をするため、密着を維持させても急速摩耗の問題はなく、長時間シール性を維持することができる。
【0060】
以下では、上記第1から第4シール板52、54、56、58について説明する。
【0061】
まず、
図2から
図5に示されているように、上記第1シール板52は、鋼板の厚さが変化すると、これに対応して移動する上部シールロール10との密着が維持されるようにチャンバ210上に提供された第3駆動源60を媒介にガイド53によって支持され、ガイドロールの中心軸に対して一定の角度を維持しながら前後移動する。また、上記第2シール板54は、チャンバ210に下部シールロール20との密着を維持するようにチャンバ210に水平に固定設置される。
【0062】
このとき、図面には、第1シール板が殆ど水平移動するように示されているが、
図3に示されているように、実際は、上記上部シールロールが昇降及び回転するため、上記第1シール板は上部シールロールに先端部が傾斜して密着されるようにすることがさらに好ましい。
【0063】
また、実際は、鋼板の厚さ変化時に上部シールロール10のみが回転及び昇降するため、上記下部シールロール20と密着される下側の第2シール板54は固定配置されてもよい。
【0064】
このとき、本実施例において、上記第3駆動源60は、チャンバ210側に配置される水平駆動シリンダーとして図示かつ説明されているが、必ずこれに限定されるとは限らず、実際の鋼板厚さの変化幅が殆ど大きくないため、シリンダーの代りにモータとして駆動されるスクリューバーや電気アクチュエーターなどを用いる形態であることができる。
【0065】
次に、
図2から
図5に示されているように、鋼板両側に左右一対に組み合わされる上部の第3シール板56及び下部の第4シール板58は、密着されているが分離されている構造であり、特に、鋼板の幅に対応して通板される鋼板の中心を基点に離れたり近づいたりしながら、通板される鋼板のエッジとは最小間隔、例えば、5〜20mm程度の間隔を維持するように提供される。
【0066】
また、上記第3、4シール板56、58は、外側に組立てられるシール板ハウジング62と連携され、第4駆動源64を媒介に鋼板の幅変化に対応して左右移動するように提供される。
【0067】
このとき、上記第3シール板56は、上記の通り、第3駆動源に傾斜して前後移動ができるように提供された上記第1シール板52の下部にガイドユニット66を媒介に左右及び前後移動が可能なように連携されることが好ましい。
【0068】
例えば、
図3から
図5に示されているように、上記ガイドユニット66は、上部の第1シール板52の底面に沿って延長固定された(段差をつけた)ガイド66aと、上記第3シール板に形成されたガイドレール溝66bと、を含むことができる。
【0069】
従って、上記第1シール板52が第3駆動源60を媒介に上部シールロールの上昇及び回転時に前後進すると、共に上記第3シール板56もガイドユニット66によって前後進するようになる。
【0070】
また、上記ガイドユニット66のガイド66a及びガイドレール溝66bは、図面に示されているものとは異なって、第3シール板56及び第1シール板52にそれぞれ提供されることもできる。
【0071】
この場合、第3シール板の左右移動時に第3シール板のガイドが第1シール板のガイドレール溝に沿って移動することができる。また、ガイドは第3シール板の上段に突出部の形態で提供されることができる。
【0072】
このとき、
図2及び
図5に示されているように、上記第3シール板56は、シール板ハウジング62に前後移動を補償しながら締結されるが、シール板ハウジング62を貫通した締結ボルト67bは第3シール板56に形成された長溝67aを通過してナット67cによって締結される。
【0073】
従って、第4駆動源64に左右移動するシール板ハウジング62と共に鋼板両側の第3シール板56も左右移動する。このとき、ガイドユニット66のガイドレール溝66bがガイド66aに沿って移動し、上記第1シール板の前後進時には上記ガイドユニット66を媒介に第3シール板56が共に前後進するようになる。
【0074】
このとき、
図5に示されているように、シール板ハウジング62を通じて第3シール板56の長溝67aを通過してナット67cによって締結される締結ボルト67bは、シール板ハウジングと共に第3シール板56の左右移動を可能とする。また、上記の通り、第3シール板56の前後移動は、ガイドユニット66を媒介に可能となる。なお、制御の容易性及びシールの効率性を再考するため、上部第1シール板と連動されて前後進する形態のほかに、駆動部を設置して第1シール板とは別途に前後進が可能な構造に形成することもできる。
【0075】
このとき、
図3及び
図5に示されているように、上記第3シール板56には、上記ガイドユニット66のガイド66aが通過する面取り部分(切開部分、62a)が形成されることが好ましいが、上記面取り部分62aはシール板ハウジング62の上段からガイドユニットが通過する部分までのみ形成される。
【0076】
即ち、第3シール板56が第1シール板52及びガイドユニット66を媒介に共に前進する場合、第3シール板56とチャンバ壁210との間に隙間が形成されるのをシール板ハウジング62の上段部分が防ぐことで、シールが維持されるようにする。
【0077】
また、
図3に示されているように、第3シール板56の前進幅は事実上大きくないため、上記シール板ハウジング62の上段中央から左側に一部分を切開してガイドユニット66が通過する面取り部分62aを形成すればよい。
【0078】
続いて、
図2、
図4及び
図5に示されているように、上記第4駆動源64には、鋼板の両側下部に一対の第4シール板58及びその外部側に密着配置されるシール板ハウジング62にスクリューが形成された締結ブロック70が備えられ、チャンバ(壁、210)に固定されたモータ72と連結されて中央を基点に反対方向のスクリューが形成される2段スクリューバー64a、64bとして提供されることができる。
【0079】
このとき、
図4に示されているように、上記第4駆動源64であるモータ駆動される2段スクリューバーの中央(鋼板中央に対応)には、異なる方向にスクリューが形成された部分を連結するカップリング65が連結されている。
【0080】
従って、駆動モータ72が作動する方向に沿って上記第4シール板58、シール板ハウジング62及びシール板ハウジングに対してボルトと長溝構造で締結された第3シール板56は、共に鋼板の幅変化に対応して近づいたり離れたりする移動が可能となる。
【0081】
このような第3、4シール板及びシール板ハウジングの鋼板の幅に対応する左右移動のとき、上側の第1シール板52に固定されたガイドユニット66のガイド66aは、上記の通り、第3シール板のガイドレール溝66b及びシール板ハウジング62の面取り部分62aを通過するが、第1シール板は移動せず、第3シール板及びシール板ハウジングの左右移動のみが可能である。
【0082】
また、上記第4駆動源として、図示したスクリューバーの代りにシール板ハウジングと連結され、チャンバ210に水平装着される水平駆動シリンダーを用いることもできるが、第3、4シール板の左右移動が反対の方向に同じ長さだけ移動する必要があるため、2段スクリューバーを用いることがもっとも好ましい。但し、水平駆動シリンダーの場合、上記第4シール板64は、シール板ハウジング62と連結固定される必要がある。
【0083】
特に、上記シール板ハウジングは、
図3に示されているように、第3シール板56の前進時に少なくともチャンバ間の隙間を密閉させるように第1シール板及びチャンバに密着されるサイズで調整される必要がある。また、シール板ハウジングの先端部は上下部シールロールと直接密着されないサイズで調整することができる。
【0084】
続いて、
図4及び
図5に示されているように、上記シール板ハウジング62には一端が連結され、チャンバ210には他端が連結されることで、チャンバ210に形成された鋼板通過口212を鋼板の幅変化に対応しながら、シールするようにする多段のシールカバー、例えば、テレスコープシールユニット68を備えることが好ましい。
【0085】
即ち、
図4のように、鋼板の幅がL1(鋼板の最小幅)からL2(鋼板の最大幅)に変更されると、これによってチャンバ210の鋼板通過口212のサイズが調整されるため、第3、4シール板が鋼板の幅に対応して狭くなるように移動すると、上記チャンバの鋼板通過口212は第3、4シール板の外側に隙間を形成する。このとき、多数個のシール板が折り畳まれる構造のテレスコープシールユニット68は、膨脹及び重畳しながら、鋼板の幅変化によるチャンバの鋼板通過口を密閉させてシールを維持させる。
【0086】
また、
図5に示されているように、上記第1から第4シール板52、54、56、58において上下部シールロールと接触する部分には、耐摩耗性及び潤滑性を備えるロール密着端52a、54a、56a、58aを別途に提供するか、または、別途に図面として示されてはいないが、上記シール板のロールとの接触部分にスプリングなどを媒介に弾性密着される密着端を設置することがさらに好ましい。
【0087】
即ち、上記シール板のロール密着端は、鋼板の通板時にシールロールと密着された状態を維持し続けるため、少なくとも耐摩耗性を有する材質で形成したり、さらに好ましくは、潤滑性を同時に有する材質で形成させる。
【0088】
例えば、上記第1から第4シール板のロール密着端52a、54a、56a、58aは、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)、MCナイロン(nylone)、PTFE(teflon、polytetrafluoroethylene)などの有機高分子物質にグラファイト(graphite)を添加することで、耐摩耗性を提供すると共に、潤滑性を強化させた材質で形成させることができる。
【0089】
また、本発明において上記第1から第4シール板の先端部、即ち、密着端が密着される上下部シールロール10、20の材質及び表面照度も密着(シール)効果を提供するために調整されることができるが、例えば、上記シールロールはスチール材質で表面の平均照度を5ミクロン以下にすることが好ましい。
【0090】
しかしながら、シールロールの表面照度を1ミクロン以下に管理し、表面硬度をHV700〜1000以上に維持することがもっとも好ましい。このため、シールロールには製作時に熱処理及び硬質クロムめっきが適用されることが好ましい。即ち、シールロールの表面照度及び硬度はその間に密着されて通板される鋼板の通板性またはシール板の密着維持性に影響を及ぼすため、上記範囲で形成することが好ましい。
【0091】
上記の通り、
図1から
図5に示された本発明による鋼板シール型の鋼板通板装置1は、大気圧−差圧空間の間で鋼板を四方から完全に包囲し、特に、鋼板の厚さ及び幅変化に同時に対応して稼動されるため、鋼板シール性(大気との遮断)に非常に優れ、一つの装置として鋼板の厚さ及び幅変化を全て収容することができる。
【0092】
さらに、
図6は、
図1に説明されているように、分子遷移領域(「B」領域)及び真空領域(「C」領域)のうち少なくとも分子遷移領域に設置される本発明による鋼板マスキング型の鋼板通板装置100を示している。
【0093】
また、このような本発明による鋼板マスキング型の鋼板通板装置100は、基本的に鋼板Sが内部を通過し、チャンバを貫通して設置されたシールケーシング110と、上記シールケーシング110の少なくとも一側に鋼板の幅変化に対応しながら、鋼板とケーシングとの隙間をシールするように提供される鋼板マスキングユニット130と、を含んで構成されることができる。
【0094】
このとき、本発明の上記シールケーシング110には、内側に最大厚さの鋼板が通過する鋼板との間隔が0.5〜1mm程度の鋼板通過口112が形成され、差圧空間と真空空間との間、即ち、分子遷移側チャンバ230を貫通して固定され、長く伸張されたボックス構造体として提供されることができる。
【0095】
また、上記鋼板マスキングユニット130は、上記シールケーシングの鋼板通過口112の内側に第5駆動源132を媒介に鋼板の幅変化に対応しながら、回動可能に設置された(長く伸張された)マスキングプレートで提供されることができる。
【0096】
好ましくは、上記マスキングプレートの鋼板マスキングユニット130は、チャンバ230に貫通設置されたシールケーシング110の内側に前後及び左右側に鋼板の引入と出口に向けて4個が配置され、鋼板の前側及び後側において鋼板とケーシングとの間をシールする。
【0097】
このとき、鋼板のエッジと鋼板マスキングユニット130であるマスキングプレートとの間隔は、3〜20mm程度を維持させることが好ましい。即ち、高速進行する鋼板のエッジがマスキングプレート(の端部)と直接接触すると、マスキングプレートの摩耗が激しいため、最小の間隔を維持させる。
【0098】
また、上記第5駆動源132は、シールケーシングの外側上部に垂直設置されたモータ134と、上記モータ134と連結され、シールケーシングの上部面を貫通して挿入される回動軸136と、を含み、上記鋼板マスキングユニット130であるマスキングプレートは、上記回動軸136の下段部に連結されて鋼板の幅変化によって所定の角度で回動する。
【0099】
このとき、
図6に示されているように、上記マスキングプレートの鋼板マスキングユニット130は、その端部に上記回動軸136の下段が挿入される固定リング138aが一部切開され、ケーシングの内側底面に組立てられる支持口138bの内部に安着されてマスキングプレートは一定に回動することができる。
【0100】
また、図面には概略的に示されているが、上記シールケーシング110には上記回動軸、固定リング及び支持口の組立てのためのカバーが備えられたり、フランジ組み立ての形態で分割組立される構造で提供されることができる。
【0101】
以上で本発明の特定の実施例に関連して図示かつ説明したが、以下の特許請求の範囲によって用意される本発明の精神や分野を外れない限度内で本発明が多様に改造及び変化できるということは当業界で通常の知識を有する者には明らかである。