(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤90の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤90の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、左右方向(幅方向)とは
図1の左右方向を、上下方向とは
図1の上下方向をいうものとする。
【0018】
まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置92の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0019】
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0020】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0021】
このような遊技機1では、発射装置92を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0022】
本実施形態にかかる遊技機1には、遊技盤90の上側後方に演出装置1aが設けられている。本実施形態における演出装置1aは、表示装置91の前側で遊技盤90の開口901を通じて視認可能な環状の演出形態1rを構築する第一演出ユニット10、およびこの環状の演出形態1rと組み合わされた演出形態を構築する第二演出ユニット20(本発明における演出体に相当する)ものである。以下、かかる演出装置1aの構成について詳細に説明する。
【0023】
[第一演出ユニット10の構成]
図2〜
図5等を参照して第一演出ユニット10について説明する。本実施形態における第一演出ユニット10は、環状の演出形態1rを構築する複数の分割部として、左側第一分割部11L(一方側第一分割部)、左側第二分割部12L(一方第二分割部)、右側第一分割部11R(他方側第一分割部)、および右側第二分割部12R(他方側第二分割部)を有する(
図2、
図4等参照)。各分割部は、中心角が略45度の円弧形状を呈する。左側第一分割部11Lと右側第一分割部11R、左側第二分割部12Lと右側第二分割部12Rは左右対称形状であり、それを駆動する駆動機構も同じであるため、以下では特に明示した場合を除き、左側第一分割部11Lと左側第二分割部12Lの形状等を説明する(単に第一分割部11、第二分割部12と称する)。
【0024】
図3、
図5等に示すように、これら第一分割部11および第二分割部12を駆動するための駆動機構を構成する歯車はベース部材30に支持されている。ベース部材30は、遊技機1の本体側に固定されたレール部材31にラック部材32を介して支持されている。レール部材31は、上下方向に沿って配置された部材であり、上下方向に延びる誘導部311を有する。ラック部材32の一端に設けられた被誘導部321は、当該誘導部311に係合している。この誘導部311と被誘導部321に係合により、ラック部材32はレール部材31に誘導されることにより上下方向にスライドする。
【0025】
ベース部材30はラック部材32に対してスライド自在に係合している。具体的には、ラック部材32はベース部材30の幅方向中央で係合している。ラック部材32の幅方向両側にはラック部322が形成されている。このラック部322と、複合歯車である一番車33の一方の歯車部に噛み合っている。第一歯車の他方の歯車部には複合歯車である二番車34の一方の歯車部が噛み合っている。二番車34の他方の歯車部には複合歯車である第一駆動歯車35の一方の歯車部が噛み合っている。第一駆動歯車35の他方の歯車部には第二駆動歯車37が噛み合っている。これら一番車33、二番車34、第一駆動歯車35、第二駆動歯車37は全てベース部材30に回動自在に支持されている。
【0026】
第一分割部11の後面には第一レバー36の一端が接続されている。第一レバー36の他端は第一駆動歯車35に接続されている。つまり、第一分割部11は、第一レバー36を介して第一駆動歯車35に連結されている。第二分割部12の後面には第二レバー38の一端が接続されている。第二レバー38の他端は第二駆動歯車37に接続されている。つまり、第二分割部12は、第二レバー38を介して第二駆動歯車37に連結されている。
【0027】
ベース部材30は、その幅方向両側に設けられたベース部材駆動機構40によって上下方向にスライドする。ベース部材30を上下方向にスライドさせることができるものであれば、当該駆動機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0028】
[第一演出ユニット10の動作]
上記構成を有する第一演出ユニット10は、次のように動作する。ベース部材30が最も上方(原位置)に位置し、第一演出ユニット10が待機状態(演出に用いていない状態)にあるとき、第一分割部11と第二分割部12は互いに沿うようにして前後方向に重なった第一状態にある。つまり、第一分割部11の「円弧」と第二分割部12の「円弧」が一致するようにして重なった状態にある。ここで、「互いに沿うように重なった状態」とは、円弧の凸の方向が略一致するように、第一分割部11と第二分割部12の少なくとも一部が重なった状態をいうものとする。少なくとも一部が重なっていれば周方向(円弧の方向)にずれていてもよい。
【0029】
本実施形態では、左側第一分割部11Lと左側第二分割部12Lが左上において重なった状態にあり、右側第一分割部11Rと右側第二分割部12Rが右上において重なった状態にある。重なった状態にある第一分割部11と第二分割部12(前方に位置する分割部)は、その大部分が遊技盤90によって覆われた状態にある。このように、第一分割部11と第二分割部12はコンパクトにまとまった状態で待機する(
図2等参照)。
【0030】
環状の演出形態1rを構築する際には、ベース部材30を下方にスライドさせる。ベース部材30が下方にスライドすると、まずレール部材31の誘導部311内をラック部材32の被誘導部321が下方にスライドする。被誘導部321が誘導部311内の下端まで到達すると、被誘導部321がそれ以上誘導部311内をスライドすることができなくなるから、被誘導部321を有するラック部材32の下方への移動が阻止される。つまり、ラック部材32はその位置に留まったままベース部材30が下方に移動するから、ラック部材32とベース部材30の相対位置が変化する。そのため、ラック部材32のラック部322に噛み合っている一番車33、それに噛み合っている二番車34が回転する。
【0031】
二番車34が回転すると、それに噛み合っている第一駆動歯車35が回転する。第一駆動歯車35が回転するとその回転中心を中心として第一レバー36が回動する。これにより、第一レバー36に接続された第一分割部11が下方に向かって変位する。具体的には、第一駆動歯車35の回転中心を中心とした円弧(第一レバー36の長さを半径とする円弧)を描くように第一分割部11が下方に向かって変位する。
【0032】
また、第一駆動歯車35が回転すると、それに噛み合っている第二駆動歯車37も回転する。第二駆動歯車37が回転するとその回転中心を中心として第二レバー38が回動する。これにより、第二レバー38に接続された第二分割部12が上方に向かって変位する。具体的には、第二駆動歯車37の回転中心を中心とした円弧(第二レバー38の長さを半径とする円弧)を描くように第二分割部12が上方に向かって変位する。
【0033】
このように、ベース部材30が下方にスライドすると、ベース部材30とラック部材32の相対位置が変位することにより、ベース部材30が下方にスライドする動力の一部が第一分割部11および第二分割部12に伝わる。これにより、第一分割部11は下方に、第二分割部12は上方に変位する。つまり、第一分割部11と第二分割部12は、互いに離れる方向に変位する。最終的には、第一分割部11の上端(第二分割部12側端部)と第二分割部12の下端(第一分割部11側端部)の位置(平面方向における位置)が略一致した第二状態となる。
【0034】
第一分割部11と第二分割部12がかかる第二状態となることで環状の演出形態1rが構築される。具体的には、正面から見て、左側第一分割部11Lと左側第二分割部12Lが左半分の円弧を構築し、右側第一分割部11Rと右側第二分割部12Rが右半分の円弧を構築する。これらが組み合わされて環状の演出形態1rが構築される(
図4等参照)。
【0035】
なお、構築される環状の演出形態1rは、大まかに見て環状であればよく、一部の分割部同士の間に隙間が生じるような構成であってもよい。後述するように、本実施形態では、環状の演出形態1rの内側に第二演出ユニット20(演出体)が位置することになるが、見た目上、当該演出体が通過できないような大きさの隙間は存在していてもよい。これに対し、分割部同士が一部重なった状態で環状の演出形態1rが構築されるものであってもよい。つまり、第一分割部11と第二分割部12が第一状態にあるときよりも第二状態にあるときの方が互いに重なる領域が小さくなる(全く重ならなくてもよい)ように構成されていればよい。
【0036】
また、一部の分割部の幅が他の分割部と異なっており、周方向において幅が一定でない環状の演出形態1rが構築されるものであってもよい。
【0037】
環状の演出形態1rが構築された状態でベース部材30を上方にスライドさせれば、各部材が上記とは逆方向に変位し、各分割部が第一状態(待機状態)に戻る。
【0038】
このように、演出装置1aが備える第一演出ユニット10は、待機状態にあるとき、すなわち環状の演出形態1rが構築されていないとき、第一分割部11と第二分割部12が互いに沿うようにして重なった第一状態にあるから、装置をコンパクトなものとすることが可能である。また、第一分割部11と第二分割部12の両方を駆動させる駆動機構を簡易なものとすることが可能である。
【0039】
特に、本実施形態における第一演出ユニット10のように、環状の演出形態1rが構築されていないときに、一組の分割部(左側第一分割部11Lと左側第二分割部12L)がある箇所にまとまって位置し、もう一組の分割部(右側第一分割部11Rと右側第二分割部12R)が別の箇所にまとまって位置するように構成することが可能である。つまり、環状の演出形態1rを構築する四つの分割部を四方に待機させておく、といった構成ではないから、装置をコンパクトなものとすることが可能である。
【0040】
また、第一分割部11に連結された第一駆動歯車35とそれに噛み合う第二分割部12に連結された第二駆動歯車37を用いることにより、両分割部が互いに離れる方向に変位する構造(駆動機構)を容易に構築することが可能である。
【0041】
[第二演出ユニット20の構成]
図2〜
図8等を参照して第二演出ユニット20について説明する。第二演出ユニット20は、上記ベース部材30に支持されている。本実施形態における第二演出ユニット20は、その全体の形態を変化させることができるものである。第二演出ユニット20は、複数の演出部材21と、それと同数の複数の中継部材22を備える。本実施形態における第二演出ユニット20は、三つの演出部材21および三つの中継部材22を備える(
図2等参照)。
【0042】
演出部材21は、細長い板状の部材であって、中継部材22(演出部材21よりは短い)を介して環状に並ぶように配置されている。具体的には、一の中継部材22には、一の演出部材21の一方側に設けられる一方側接続部211が回動自在に接続されるとともに、一の演出部材21に隣接する他の演出部材21の他方側に設けられる他方側接続部212が回動自在に接続される。演出部材21基準でみれば、一の演出部材21の一方側接続部211がある中継部材22に回動自在に接続され、他方側接続部212が別の中継部材22に回動自在に接続される。つまり、演出部材21同士が中継部材22を介して互いに連結されている(
図6〜
図8等参照)。本実施形態における各演出部材21は、内側の側縁が直線状である。したがって、複数の演出部材21が環状に並べられると、その内側には多角形状の領域が形成される。演出部材21の数がNであれば、N角形の領域が形成される。本実施形態では、第二演出ユニット20は、三つの演出部材21が三角形を構築するように環状に並べられる。
【0043】
各中継部材22における一の演出部材21の一方側接続部211が回動自在に接続された箇所と、他の演出部材21の他方側接続部212が回動自在に接続された箇所は異なる。つまり、一の演出部材21の一方側接続部211の中継部材22に対する回動中心の位置と、他の演出部材21の他方側接続部212の中継部材22に対する回動中心の位置は異なる(
図6〜
図8等参照)。
【0044】
また、一の演出部材21の一方側接続部211は、中継部材22の前側に接続されている。一方、他の演出部材21の他方側接続部212は、中継部材22の後側に接続されている。したがって、各演出部材21は、それぞれの一方側端部が隣接する演出部材21の他方側端部よりも前方に位置するようにして環状に並ぶ(
図2、
図4等参照)。
【0045】
また、本実施形態における第二演出ユニット20は、装飾部材23を備える。装飾部材23は、演出部材21と中継部材22によって構成される部組の後方に設けられる。後述するように、第二演出ユニット20は、環状に並んだ複数の演出部材21によって囲まれる領域の大きさを変化させることが可能であるところ、装飾部材23は当該複数の演出部材21によって囲まれる領域を通じて少なくとも一部が視認可能となるように配置される(
図2、
図4、
図6等参照)。装飾部材23の構成(装飾態様)はどのようなものであってもよい。本実施形態における装飾部材23は、光が乱反射するように凹凸が施された部分を有する。
【0046】
この演出部材21の後方にはリング歯車24が設けられている。リング歯車24の中心は、上記第一演出ユニット10が構築する環状の演出形態1rの中心と略一致する。リング歯車24にはその周方向に沿う三つの長孔241が形成されており、当該長孔241のそれぞれには装飾部材23に形成された係合突起231が係合している。各係合突起231は各長孔241内をスライド自在である。リング歯車24の外側に形成された歯車部には、三つの伝達部材25のそれぞれが有する伝達歯車251が噛み合っている。三つの伝達歯車251は、リング歯車24の周方向において等間隔に位置する。リング歯車24はベース部材30に固定された駆動モータ26によって回転させられる(モータの出力軸に固定された歯車(図示略)が、リング歯車24に噛み合っている)(
図6等参照)。
【0047】
各伝達部材25は、装飾部材23を貫き、各中継部材22に対して回動自在に接続されている。具体的には、各伝達部材25における伝達歯車251が形成された側の反対側の端部が、各中継部材22に接続されている。ここで、伝達部材25と中継部材22の接続箇所は、中継部材22における一の演出部材21の一方側接続部211が接続された箇所と、他の演出部材21の他方側接続部212が接続された箇所と異なる。本実施形態では、伝達部材25と中継部材22の接続箇所(回動中心C)は、中継部材22における一の演出部材21の一方側接続部211が接続された箇所と、他の演出部材21の他方側接続部212が接続された箇所の間に位置する(
図6〜
図8参照)。したがって、中継部材22が回動すると、その回動中心Cを中心として、一の演出部材21の一方側接続部211が接続された箇所と、他の演出部材21の他方側接続部212が接続された箇所が変位することとなる。
【0048】
[第二演出ユニット20の動作]
上記構成を有する第二演出ユニット20は、次のように動作する。初期状態の第二演出ユニット20は、環状に並んだ複数の演出部材21によって囲まれる領域(本実施形態では略三角形の領域)が最も小さい状態にある(
図2等参照)。かかる初期状態から、当該領域を大きくする際には、駆動モータ26を駆動させる(正転させる)。
【0049】
駆動モータ26を駆動させる(正転させる)ことにより、リング歯車24が回転する。リング歯車24が回転するとそれに噛み合っている各伝達歯車251が回転する。つまり、伝達歯車251を有する各伝達部材25が、伝達歯車251の中心を回動中心Cとして回動する。各伝達部材25は中継部材22に接続されているため、伝達歯車251の中心を回動中心Cとして中継部材22が回動する。伝達部材25と中継部材22の接続箇所でもある中継部材22の回動中心Cは、上述したように、中継部材22における一の演出部材21の一方側接続部211が接続された箇所と、他の演出部材21の他方側接続部212が接続された箇所の間に位置する。したがって、中継部材22が回動することにより、一の演出部材21の一方側接続部211が接続された箇所と、他の演出部材21の他方側接続部212が接続された箇所が変位することとなる。
【0050】
具体的には、初期状態にあるときには、一の演出部材21の一方側接続部211と他方側接続部212を結んだ直線Lが、それに隣接する他の演出部材21の一方側接続部211と他方側接続部212を結んだ直線Lと交差する(
図7等参照)。つまり、各演出部材21が中央側(リング歯車24の中心側)に集まった状態にあるため、複数の演出部材21によって囲まれる領域(三角形状)が小さくなる(
図2、
図7等参照)。
【0051】
駆動モータ26を駆動させ、各中継部材22が回動すると、各演出部材21が外側に離れていく。具体的には、一の演出部材21の一方側接続部211と他方側接続部212を結んだ直線Lが、それに隣接する他の演出部材21の一方側接続部211と他方側接続部212を結んだ直線Lと交差しない状態となる(
図8等参照)。つまり、複数の演出部材21によって囲まれる領域(三角形状)が大きくなる。したがって、当該領域から視認される装飾部材23の大きさ(面積)が大きくなる(
図4、
図8等参照)。
【0052】
本実施形態では、内側が直線状である複数の演出部材21を用い、演出部材21によって囲まれる領域が多角形状となるようにしている。装飾部材23は、演出部材21によって囲まれる領域が最大となったとき、当該領域の全部に重なるように設けられる。つまり、装飾部材23は、当該最大となった領域よりも大きい。このような構成とするだけで、(実際には装飾部材23自体の大きさは変化しないにも拘わらず)あたかも多角形状の装飾部材23の大きさが変化したしたかのような演出態様とすることが可能である。
【0053】
また、リング歯車24が回転すると、その長孔241に係合する装飾部材23の係合突起231が長孔241内における位置を変化させていく。具体的には、係合突起231は、長孔241の一方側端部から移動し、最終的には他方側端部に到達する。係合突起231が長孔241の一方側端部から他方側端部に到達するまでは、リング歯車24の回転は直接装飾部材23に伝わらない。つまり、リング歯車24が回転しても装飾部材23は回転(変位)しない。係合突起231が長孔241の他方側端部に到達する(
図6に示した位置に到達する)と、係合突起231が長孔241の他方側端部の内壁面を押すことにより、リング歯車24の回転が装飾部材23に伝わる。つまり、リング歯車24と装飾部材23が一体的に回転しようとする。装飾部材23には各伝達部材25(伝達歯車251)が支持されているため、リング歯車24および装飾部材23とともに各伝達部材25全体も変位(リング歯車24の回動中心周りに変位)する。リング歯車24とともに各伝達部材25が変位するため、伝達歯車251の回転は停止する(伝達部材25全体は変位するが伝達部材25の回動は停止する)。すなわち、中継部材22および演出部材21の変位は停止する。演出部材21の変位が停止するということは、それ以上複数の演出部材21によって囲まれる領域が大きくならないということである。つまり、当該領域の大きさは、係合突起231が長孔241の他方側端部に到達した時点で最大となる(当該領域が最大となった状態を演出状態と称する)。
【0054】
したがって、係合突起231が長孔241の他方側端部に到達した後は、リング歯車24が回転することにより、演出部材21、中継部材22および装飾部材23が、そのままの態様を維持しつつ回転する。つまり、複数の演出部材21によって囲まれる領域が最大となった演出状態(
図4に示した態様)のまま、演出部材21、中継部材22および装飾部材23が回転する。
【0055】
駆動モータ26を反対方向に駆動させれば(逆転させれば)、各部材が上記とは逆方向に変位し、複数の演出部材21によって囲まれる領域が小さくなっていく。
【0056】
このように、本実施形態における第二演出ユニット20は、各中継部材22における一の演出部材21の一方側接続部211が接続される箇所と、他の演出部材の他方側接続部212が接続される箇所が異なっているから、中継部材22を回動(変位)させると、一の演出部材21の一方側接続部211と他の演出部材21の他方側接続部212の相対位置が変位する。このように各演出部材21の接続部同士の相対位置が変位するということは、各演出部材21同士の相対位置が変位するということである。つまり、中継部材22を変位させるだけで、環状に並べられた複数の演出部材21によって構成される演出形態が変化する、簡易な構造のユニットとすることが可能である。
【0057】
また、第二演出ユニット20は、一の演出部材21の一方側接続部211は中継部材22の前側に接続されており、一の演出部材21の他方側接続部212は中継部材22の後側に接続されているから、各演出部材21の一方側接続部211が隣接する演出部材21の他方側接続部212よりも前方に位置するような演出形態を構築する。つまり、複数の演出部材21によって構築される演出形態を立体的なものとすることが可能である。
【0058】
また、各中継部材22を変位させることで、複数の演出部材21によって囲まれる領域の大きさが変化する趣向性の高い演出ユニットとすることが可能である。そして、当該領域を通じて視認可能となる装飾部材23が設けられており、上記領域の大きさが変化することによって視認可能となる装飾部材23の大きさ(面積)が変化することとなるから、演出の趣向性をさらに向上させることが可能である。本実施形態では、複数の演出部材21によって囲まれる領域が多角形状となるから、あたかも多角形状の装飾部材23の大きさが変化したしたかのような演出態様とすることが可能である。
【0059】
[第一演出ユニット10と第二演出ユニット20が組み合わされた演出]
以下、上記第一演出ユニット10と第二演出ユニット20の両方を用いた演出について説明する。上述したように、ベース部材30が下方にスライドすることで、第一演出ユニット10により環状の演出形態1rが構築される。また、ベース部材30は、第二演出ユニット20が支持されている。左上において互いに沿うように左側第一分割部11Lと左側第二分割部12Lが重なった第一状態にあり、右上において互いに沿うように右側第一分割部11Rと右側第二分割部12Rが重なった第一状態にあるとき、原位置に位置するベース部材30に支持された第二演出ユニット20は、左側の分割部組と右側の分割部組の間に位置する(
図2参照)。
【0060】
ベース部材30が下方にスライドしていくと、第一分割部11と第二分割部12が互いに離れる方向、すなわち環状の演出形態1rを構築する方向に変位していく。ベース部材30が下方にスライドしているため、それに支持されている第二演出ユニット20全体も下方に移動する。ベース部材30が所定位置までスライドして、第一分割部11と第二分割部12が第二状態となって環状の演出形態1rが構築されたときには、当該ベース部材30に支持された第二演出ユニット20は、環状の演出形態1rの内側に入り込んだ状態となる。つまり、第一演出ユニット10によって構築された環状の演出形態1rと、第二演出ユニット20が組み合わされた演出形態が構築される。なお、本実施形態では、ベース部材30に支持されながら第二演出ユニット20が下方に移動していくときに、駆動モータ26が駆動されることにより、第二演出ユニット20は、初期状態から複数の演出部材21によって囲まれる領域が最大となった演出状態となる(
図4参照)。
【0061】
このように、本実施形態では、ベース部材30の移動により第一演出ユニット10(第一分割部11および第二分割部12)が環状の演出形態1rを構築するとともに、ベース部材30に支持された第二演出ユニット20が構築された環状の演出形態1rの内側に入り込む。通常、このような環状の役物とその内側に位置する役物が組み合わされた演出形態を構築する場合、まず内側に位置する役物を所定位置に位置させた後、環状の役物を構築する必要がある。このような流れで駆動させると、所定の演出形態を構築するまでに時間がかかってしまう。この種の演出形態が構築されるまでの時間が長いと、遊技者が興醒めしてしまう、リーチ演出等における限られた時間内に演出形態を構築することができない(所定のリーチ演出に利用することができない)、といった問題を招く。
【0062】
これに対し本実施形態では、ベース部材30が、第一演出ユニット10によって環状の演出形態1rを構築するための駆動機構の一部としての役割を果たすとともに、第二演出ユニット20を環状の演出形態1rの内側まで移動させる役割を果たすから、所定の演出形態を素早く構築することが可能である。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、四つの分割部(左側第一分割部11L、左側第二分割部12L、右側第一分割部11R、右側第二分割部12R)が組み合わされて環状の演出形態1rが構築されることを説明したが、分割部の数は変更可能である。また、例えば、
図9に示すように、第一状態において互いに沿うように重なる一組の第一分割部11および第二分割部12と、これとは別の分割部(図示するように待機位置からそのままスライドしてくるようなものであってもよいし、所定の位置に固定されていてもよいし、)が組み合わされることにより、環状の演出形態1r’が構築されるようにしてもよい。つまり、第一状態において互いに沿うように重なる分割部組(ある一組の第一分割部11と第二分割部12)は、環状の演出形態1rの少なくとも一部を構築するものであればよい
。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
手段1の発明にかかる遊技機は、円弧状の複数の分割部が組み合わされた環状の演出形態を構築することが可能な演出装置を備えた遊技機であって、前記演出装置は、前記複数の分割部の少なくとも一部である第一分割部と第二分割部が、互いに沿うようにして重なった第一状態から、互いに離れる方向に変位して第二状態となることで前記環状の演出形態の少なくとも一部を構築するように構成されていることを特徴とする。
手段2の発明は、手段1に記載の遊技機において、前記複数の分割部は、前記第一状態において互いに沿うように重なる一方側第一分割部と一方側第二分割部、および前記第一状態において互いに沿うように重なる他方側第一分割部と他方側第二分割部を含み、前記第二状態となった前記一方側第一分割部と一方側第二分割部、および前記他方側第一分割部と他方側第二分割部により、前記環状の演出形態が構築されることを特徴とする。
手段3の発明は、手段2に記載の遊技機において、前記演出装置は演出体を備え、前記演出体は、前記一方側第一分割部と一方側第二分割部、および前記他方側第一分割部と他方側第二分割部が前記第一状態にあるとき、当該一方側第一分割部と一方側第二分割部を含む一方側分割部組と、当該他方側第一分割部と他方側第二分割部を含む他方側分割部組の間に位置し、前記一方側第一分割部と一方側第二分割部、および前記他方側第一分割部と他方側第二分割部が前記第二状態となって前記環状の演出形態が構築されたとき、当該環状の演出形態の内側に位置することを特徴とする。
手段4の発明は、手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機において、前記第一分割部に連結された第一駆動歯車、および当該第一駆動歯車に噛み合う前記第二分割部に連結された第二駆動歯車を備え、前記第一駆動歯車が回転することによって前記第一分割部が一方側に変位するとともに前記第一駆動歯車に噛み合う前記第二駆動歯車が回転し、当該第二駆動歯車の回転により前記第二分割部が他方側に変位し、前記環状の演出形態が構築されるように構成されていることを特徴とする。
手段5の発明は、手段3を引用する手段4に記載の遊技機において、前記演出体が支持されるベース部材を備え、前記ベース部材が移動することにより、前記第一駆動歯車および当該第一駆動歯車に噛み合う第二駆動歯車が回転して前記環状の演出形態が構築されるとともに、前記ベース部材に支持された前記演出体が前記環状の演出形態の内側に移動することを特徴とする。
手段1の発明によれば、環状の演出形態が構築されていないとき、第一分割部と第二分割部が互いに沿うようにして重なった第一状態にあるから、装置をコンパクトなものとすることが可能である。また、第一分割部と第二分割部の両方を駆動させる駆動機構を容易に構築すること(装置を簡易な構成とすること)が可能である。
手段2の発明のように、環状の演出形態が構築されていないときに、一組の分割部がある箇所にまとまって位置し、もう一組の分割部が別の箇所にまとまって位置するように構成することが可能である。つまり、四つの分割部が待機する位置を四方に設定する必要がなく、装置をコンパクトなものとすることが可能である。
手段3の発明のように、環状の演出形態の内側に演出体が位置するような演出形態を構築することも可能である。
手段4の発明のように、第一分割部に連結された第一駆動歯車とそれに噛み合う第二分割部に連結された第二駆動歯車を用いることにより、両分割部が互いに離れる方向に変位する構造(駆動機構)を容易に構築することが可能である。
手段5の発明のように、演出体が支持されるベース部材の移動によって第一駆動歯車および第二駆動歯車が回転する構造とすることで、演出体が環状の演出形態が構築されたときにその内側となる位置に移動しつつ、環状の演出形態が構築されていく(各分割部が移動していく)構造となるから、環状の演出形態の内側に演出体が位置する演出形態を素早く構築することが可能である。