特許第5903712号(P5903712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903712
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-41196(P2014-41196)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2015-165854(P2015-165854A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
【審査官】 渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−312515(JP,A)
【文献】 特開2009−261813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示装置と、
前記複数の表示装置の表示を制御する表示制御手段および前記複数の表示装置の少なくともいずれか一つを移動させる駆動制御手段を含む演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、所定の演出実行時に、
前記表示制御手段によって、一の表示装置に所定の図形が他の表示装置に向かって移動する際に前記一の表示装置に前記所定の図形が徐々に拡大または縮小するように表示し、前記所定の図形が所定位置まで移動したときに、前記一の表示装置に表示される当該所定の図形を消す一方、前記他の表示装置に当該所定の図形を表示し、
前記他の表示装置に前記所定の図形を表示する際に、前記一の表示装置において消された時点での前記所定の図形よりも拡大または縮小して当該他の表示装置に表示するように制御し、
前記駆動制御手段によって、前記一の表示装置および前記他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させ、両表示装置を互いに近づけるまたは遠ざけるように制御することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記所定の演出実行時に、前記演出制御手段は、
前記所定の図形が所定位置まで移動したときに、前記一の表示装置に表示される当該所定の図形を消すタイミングと、
前記他の表示装置に前記所定の図形を表示するタイミングと、
前記一の表示装置および前記他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させるタイミングと、
が同じとなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記所定の演出実行時に、前記演出制御手段は、
前記所定の図形が所定位置まで移動したときに、前記一の表示装置に表示される当該所定の図形を消すことと、
前記他の表示装置に前記所定の図形を表示することと、
前記一の表示装置および前記他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させることが、
所定の順で実行されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、
前記一の表示装置側から前記他の表示装置側の方向に、複数の表示装置のうちのいずれかの表示装置を移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記一の表示装置に表示される前記所定の図形は、複数段階で徐々に拡大または縮小することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記一の表示装置と前記他の表示装置は、前後方向位置が異なり、
前記一の表示装置に表示される前記所定の図形を消し、当該一の表示装置において消された段階よりも拡大または縮小して前記他の表示装置に前記所定の図形を表示する際に、前記一の表示装置と前記他の表示装置の前後方向における位置の差に基づき前記所定の図形の大きさを調整することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、
前記一の表示装置と前記他の表示装置の一方が、他方の一部を覆うように制御することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項8】
前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、
前記一の表示装置と前記他の表示装置の少なくともいずれか一方が移動することで、前記一の表示装置の前記所定の図形が消される側の一部が、前記他の表示装置の一部で覆われるように制御することを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【請求項9】
前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、
前記一の表示装置と前記他の表示装置の少なくともいずれか一方が移動する前の状態において、前記他の表示装置の前記所定の図形が表示される側の一部が、前記一の表示装置の一部で覆われるように制御することを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【請求項10】
前記図形は、当否判定結果を報知するための識別図柄を含むことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項11】
前記図形は、信頼度を示唆する図形を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示装置を用いた演出を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数の表示装置を備えた遊技機が記載されている。このような複数の表示装置を備えた遊技機では、ある一の表示装置から、他の表示装置に移動するように種々の図形を表示する演出が実行されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−180940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、単に一の表示装置から他の表示装置に移動するように図形を表示するだけでは、表示装置間の隙間や境界の存在により、違和感のある表示になってしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、一の表示装置から他の表示装置に移動する何らかの図形が表示される演出において、遊技者の違和感を低減することが可能な遊技球を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、複数の表示装置と、前記複数の表示装置の表示を制御する表示制御手段および前記複数の表示装置の少なくともいずれか一つを移動させる駆動制御手段を含む演出制御手段と、を備え、前記演出制御手段は、所定の演出実行時に、前記表示制御手段によって、一の表示装置に所定の図形が他の表示装置に向かって移動する際に前記一の表示装置に前記所定の図形が徐々に拡大または縮小するように表示し、前記所定の図形が所定位置まで移動したときに、前記一の表示装置に表示される当該所定の図形を消す一方、前記他の表示装置に当該所定の図形を表示し、前記他の表示装置に前記所定の図形を表示する際に、前記一の表示装置において消された時点での前記所定の図形よりも拡大または縮小して当該他の表示装置に表示するように制御し、前記駆動制御手段によって、前記一の表示装置および前記他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させ、両表示装置を互いに近づけるまたは遠ざけるように制御することを特徴とする。
なお、「種々の図形」には、図柄や文字等、表示装置に画像として表示されうるあらゆる態様のものが含まれる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記所定の演出実行時に、前記演出制御手段は、前記所定の図形が所定位置まで移動したときに、前記一の表示装置に表示される当該所定の図形を消すタイミングと、前記他の表示装置に前記所定の図形を表示するタイミングと、前記一の表示装置および前記他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させるタイミングと、が同じとなるように制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記所定の演出実行時に、前記演出制御手段は、前記所定の図形が所定位置まで移動したときに、前記一の表示装置に表示される当該所定の図形を消すことと、前記他の表示装置に前記所定の図形を表示することと、前記一の表示装置および前記他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させることが、所定の順で実行されるように制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機において、前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、前記一の表示装置側から前記他の表示装置側の方向に、複数の表示装置のうちのいずれかの表示装置を移動させることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遊技機において、前記一の表示装置に表示される前記所定の図形は、複数段階で徐々に拡大または縮小することを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機において、前記一の表示装置と前記他の表示装置は、前後方向位置が異なり、前記一の表示装置に表示される前記所定の図形を消し、当該一の表示装置において消された段階よりも拡大または縮小して前記他の表示装置に前記所定の図形を表示する際に、前記一の表示装置と前記他の表示装置の前後方向における位置の差に基づき前記所定の図形の大きさを調整することを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の遊技機において、前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、前記一の表示装置と前記他の表示装置の一方が、他方の一部を覆うように制御することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の遊技機において、前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、前記一の表示装置と前記他の表示装置の少なくともいずれか一方が移動することで、前記一の表示装置の前記所定の図形が消される側の一部が、前記他の表示装置の一部で覆われるように制御することを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の遊技機において、前記所定の演出実行時に、前記駆動制御手段は、前記一の表示装置と前記他の表示装置の少なくともいずれか一方が移動する前の状態において、前記他の表示装置の前記所定の図形が表示される側の一部が、前記一の表示装置の一部で覆われるように制御することを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の遊技機において、前記図形は、当否判定結果を報知するための識別図柄を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の遊技機において、前記図形は、信頼度を示唆する図形を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明にかかる遊技機では、一の表示装置に表示される所定の図形を消し、他の表示装置に所定の図形を表示する際、一の表示装置および他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させ、両表示装置を互いに近づけるまたは遠ざけるように制御する。つまり、表示装置間を跨ぐように移動する所定の図形に合わせて、両表示装置が近づくまたは離れるものであるため、所定の図形が表示装置間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感を低減することが可能である
また、徐々に拡大または縮小する所定の図形が、表示装置間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感を低減することが可能である。
【0019】
請求項2に記載の発明のように、一の表示装置に表示される当該所定の図形を消すタイミングと、他の表示装置に所定の図形を表示するタイミングと、一の表示装置および他の表示装置の少なくともいずれか一方を移動させるタイミングと、を同じにすれば、所定の図形が一の表示装置から他の表示装置に移ったことをより違和感なく表示することが可能となる。ただし、請求項3に記載の発明のように、各動作を所定の順で行う(各タイミングをずらす)ことにより、請求項2に記載の発明とは異なる演出効果が発現されるようにしてもよい。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、所定の図形の移動方向に合わせていずれかの表示装置が移動するから、所定の図形が表示装置間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感をさらに低減することが可能である。
【0021】
求項に記載の発明のように、所定の図形の拡大または縮小は、段階的になされるものとすることが可能である。
【0022】
請求項に記載の発明のように、一の表示装置と他の表示装置の前後方向における位置が異なる場合、一の表示装置と他の表示装置の前後方向における位置の差分、他の表示装置に表示される所定の図形の大きさを調整することで、所定の図形が一の表示装置から他の表示装置に移ったときの遊技者の違和感を低減することが可能である。
【0023】
請求項に記載の発明のように、一の表示装置と他の表示装置の一方が、他方の一部を覆うように制御することで、両表示装置間の隙間がなくなり、所定の図形が表示装置間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感をさらに低減することが可能である。その態様としては、請求項に記載の発明のように、一の表示装置の所定の図形が消される側の一部が、他の表示装置の一部で覆われるように制御する態様や、請求項に記載の発明のように、一の表示装置と他の表示装置の少なくともいずれか一方が移動する前の状態において、他の表示装置の所定の図形が表示される側の一部が、一の表示装置の一部で覆われるように制御する態様が考えられる。
【0024】
両表示装置を跨ぐように表示される所定の図形を、請求項10に記載の発明のように識別図柄としたり、請求項11に記載の発明のように信頼度を示唆する図形を含むものとしたりすることが可能である。識別図柄や信頼度を示唆する図形は遊技者が着目する図形となるため、その図形を見た遊技者の違和感を低減させることができ、遊技者は安心して演出を見守ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である(発射装置等の公知の部材は省略)。
図2】第一演出例を説明するための図である。
図3】第一演出例の制御フロー図である。
図4】第二演出例を説明するための図である。
図5】第三演出例を説明するための図である。
図6】第四演出例を説明するための図である。
図7】第五演出例を説明するための図である。
図8】第六演出例を説明するための図である。
図9】第七演出例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤90の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤90の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、左右・上下方向とは、遊技盤90を正面から見たときにおける方向をいうものとする。
【0027】
まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0028】
遊技領域902には、主表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。主表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられる。かかる主表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0029】
遊技盤90は、その後方に設けられるベース部材(図示せず)に支持されている。ベース部材には、副表示装置10(第一副表示装置11および第二副表示装置12。本発明における表示装置に相当する)が支持されている。副表示装置10としては液晶表示装置が用いられる。かかる副表示装置10やそれを制御する手段(演出制御手段)の構成およびそれを用いた演出については後述する。
【0030】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0031】
このような遊技機1では、図示されない発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や以下で説明する演出以外の演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0032】
以下、副表示装置10およびそれを制御する演出制御手段の構成について説明する。副表示装置10は、主表示装置91の前側に設けられる。本実施形態では二つの副表示装置10(第一副表示装置11および第二副表示装置12)が設けられる。両副表示装置10は、幅方向に並ぶように(幅方向右側に第一副表示装置11が、幅方向左側に第二副表示装置12が位置する)、かつそれぞれが幅方向にスライド自在に設けられている。第一副表示装置11と第二副表示装置12は、その前後方向における位置が異なる。そのため、第一副表示装置11と第二副表示装置12は、互いに干渉することなく、前後方向において少なくとも一部が互いに重なる状態となることが可能である。かかる各副表示装置10の駆動機構は、どのようなものであってもよいため詳細な説明を省略する。各副表示装置10が、前後方向に異なる位置に位置する幅方向に延びるレールに支持され、モータ等の駆動源の動力が各副表示装置10に伝達されることで、当該レールに沿って移動する構成が駆動機構の一例として挙げられる。
【0033】
両副表示装置10は、演出制御手段によって制御される。演出制御手段は、駆動制御手段および表示制御手段を含む。駆動制御手段および表示制御手段は、一つの基板に構築されていてもよいし、別々の基板に構築されていてもよい。駆動制御手段は、第一副表示装置11および第二副表示装置12を移動させる(所定の位置で停止させる)ことができる手段である。つまり、駆動制御手段は、上述した駆動機構の駆動源(モータ等)を制御することで、両副表示装置10を移動させることができる。本実施形態における駆動制御手段は、第一副表示装置11と第二副表示装置12のそれぞれを独立して動作させることができる。表示制御手段は、各副表示装置10に表示される画像を制御する手段である。本実施形態における表示制御手段は、第一副表示装置11と第二副表示装置12のそれぞれに表示される画像を制御することができる。
【0034】
以下、副表示装置10およびそれを制御する演出制御手段を用いた副表示演出(本発明における所定の演出に相当する)について説明する。なお、以下の説明では、両副表示装置10の表示の態様や、両表示装置の変位についてのみ説明するが、「表示」については演出制御手段の一部である上記表示制御手段が、「変位」については演出制御手段の別の一部である上記駆動制御手段が制御しているものとする。
【0035】
まず、図1および図2を参照して第一演出例について説明する。第一演出例は、いわゆるリーチ演出の一つである。数字等を模した識別図柄(本発明における所定の図形に相当する)が全て同じになったときに大当たりとなり、それ以外の組み合わせの場合にははずれとなる遊技において、一部の識別図柄が同じ図柄で停止したときに、残りの識別図柄が停止した図柄と同じになるかどうかを、遊技者に期待感をもたせて報知する演出である。
【0036】
第一演出例では、まず、第一副表示装置11に、左識別図柄と右識別図柄が同じ図柄である「3」で停止し、中の識別図柄が変動中であるリーチ状態が表示される。この場合、中の識別図柄が「3」となれば大当たりとなる。これを踏まえ、本演出は、当該「3」の図柄が第一副表示装置11から第二副表示装置12に移動したら「大当たり」、移動しなかったら「はずれ」となる演出としている。
【0037】
以下では、「3」の図柄が第一副表示装置11から第二副表示装置12に移動する「大当たり」時の演出について説明する。リーチ状態の表示(S1)(図2(a)参照)後、第一副表示装置11に「3」の図柄が表示される。当該「3」の図柄は、第一副表示装置11の右側から左側(第二副表示装置12側)に向かって移動していく。また、移動しながらその大きさが徐々に大きくなっていく(S2)(図2(b)参照)。本例では、移動とともに当該図柄が連続的に大きくなっていく。
【0038】
第一副表示装置11における第二副表示装置12側の所定位置まで図柄が移動したとき(S3「Yes」)、当該演出が大当たりを報知するものである場合(S4「Yes」)には、第一副表示装置11から当該図柄を消す(消去動作)。また、第二副表示装置12に当該図柄を表示する(表示動作)。本例は図柄が徐々に大きくなる態様の演出であるため、第二副表示装置12に表示した時点での図柄の大きさは、第一副表示装置11から消した時点での図柄の大きさよりも大きくする。また、第一副表示装置11を第二副表示装置12に近づけるように移動させ、その左側の一部を、第二副表示装置12の右側の一部に重ねる(移動動作)(以上S5)(図2(c)参照)。なお、本例では、第一副表示装置11は、第二副表示装置12よりも後方に位置するから、第一副表示装置11の左側の一部は、第二副表示装置12の右側の一部に覆われる。
【0039】
本例では、演出制御手段は、上記消去動作のタイミングと、表示動作のタイミングと、移動動作のタイミングが同じになるように制御する。つまり、消去動作と表示動作のタイミングを同じであるから、図柄が両副表示装置10間を跨いで移動したかのような演出効果が発現される。また、この動作とともに、第一副表示装置11の左側の一部は、第二副表示装置12の右側の一部に覆われる。つまり、第一副表示装置11に表示されていた図柄が、第二副表示装置12によって消されたかのような演出効果が発現される。上記削除動作、表示動作、および移動動作を行った後、第一副表示装置11を元の位置に戻して(S6)、本演出が終了する。
【0040】
このように、本例では、両表示装置間を跨ぐように移動する図柄に合わせるようにして両表示装置が近づき、第一副表示装置11の左側の一部(第二副表示装置12側の一部)が第二副表示装置12の右側の一部(第一副表示装置11側の一部)に覆われるものであるため、所定の図形が表示装置間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感を低減することが可能である。さらに本例では、第一副表示装置11に表示される図柄の移動方向と同じ方向に、第一副表示装置11が移動するものであるから、当該図柄が両副表示装置10間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感をさらに低減することが可能である。
【0041】
また、本例のように、消去動作のタイミングと、表示動作のタイミングと、移動動作のタイミングが同じになるようにすれば、遊技者の違和感を低減する効果をさらに高めることが可能である。さらに本例では、演出開始後、第一副表示装置11に表示される図柄は、第二表示装置側に移動するにつれて徐々に大きくなっていくが、第二副表示装置12に表示した時点での図柄の大きさは、第一副表示装置11から消した時点での図柄の大きさよりも大きい。つまり、第一副表示装置11において徐々に大きくなっていくように表示されていた流れをそのまま受け継ぐように、第二副表示装置12において図柄が表示されるから、遊技者の違和感を低減する効果をさらに高めることが可能である。
【0042】
なお、本例では、移動する図柄が徐々に大きくなっていくことを説明したが、徐々に小さくなる構成であってもよい。この場合、第二副表示装置12に表示した時点での図柄の大きさが、第一副表示装置11から消した時点での図柄の大きさよりも小さくなるようにするとよい。
【0043】
図3に示すように、大当たりとならない演出とする場合(S4「No」)には、第二副表示装置12に図柄が移行しない。つまり、上記表示動作を行わずに、削除動作と移動動作のみ行う(S7)。その後、第一副表示装置11を元の位置に戻して(S6)、本演出が終了する。
【0044】
以下、第二演出例および第三演出例について上記第一演出例と異なる点を中心に説明する。図4に示す第二演出例は、上述した消去動作および表示動作と同じタイミングで実行する移動動作の態様が異なる。具体的には、第二副表示装置12を第一副表示装置11に近づけるように移動させ、その右側の一部を、第一副表示装置11の左側の一部に重ねる(移動動作)(図4(c)参照)。本例においても、第一副表示装置11は、第二副表示装置12よりも後方に位置するから、第一副表示装置11の左側の一部は、第二副表示装置12の右側の一部に覆われる。
【0045】
このように、移動動作は、第二副表示装置12の方を移動させてもよい。このようにしても、第一副表示装置11の左側の一部が第二副表示装置12の右側の一部に覆われることによる、遊技者の違和感低減効果が発現される。
【0046】
また、第三演出例として図5に示すように、移動動作は、第一副表示装置11と第二副表示装置12の両方を互いに近づけるように移動させてもよい(図5(c)参照)。つまり、移動動作は、第一副表示装置11と第二副表示装置12の少なくともいずれか一方を移動させるものであればよい。
【0047】
第四演出例について上記第一演出例と異なる点を中心に説明する。図6に示す第四演出例は、演出開始時点において第一副表示装置11の一部と第二副表示装置12の一部が重なっている(図6(a)参照)。本例では、第一副表示装置11の方が第二副表示装置12よりも前方に位置しており、第一副表示装置11の左側(第二副表示装置12側)の一部が、第二副表示装置12の右側(第一表示装置側)の一部を覆っている。
【0048】
演出が開始すると、第一副表示装置11には第二副表示装置12に向かって移動するにつれて徐々に大きく(徐々に小さく)なる図柄が表示される(図6(b)参照)。第一副表示装置11における第二副表示装置12側の所定位置まで図柄が移動したとき、第一副表示装置11から当該図柄を消す(消去動作)。また、第二副表示装置12に当該図柄を表示する(表示動作)。図柄が徐々に大きくなる態様の演出である場合には、第二副表示装置12に表示した時点での図柄の大きさは、第一副表示装置11から消した時点での図柄の大きさよりも大きくする。また、第二副表示装置12を第一副表示装置11から遠ざけるように(離れる方向に)移動させる(移動動作)。したがって、第二副表示装置12における第一副表示装置11に覆われる領域の大きさは、第二副表示装置12の移動によって徐々に小さくなる(図6(c)(d)参照)。
【0049】
本例における上記表示動作では、第二副表示装置12における第一副表示装置11に覆われている部分の少なくとも一部を利用して図柄を表示する。したがって、当該表示動作と同時に行われる移動動作により、第一副表示装置11に覆われていた図柄が徐々に露出していく(視認できる範囲が大きくなる)こととなる。図柄が第二副表示装置12に移動したら「大当たり」となる演出に用いる場合、当該第二副表示装置12に表示されているかもしれない図柄の少なくとも一部が、移動動作の前の時点においては第一副表示装置11に隠されているかのような演出態様となる。つまり、図柄が両副表示装置10間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感を低減することが可能となるだけでなく、遊技者に期待感をもたせる演出とすることが可能である。
【0050】
なお、図6に示した例は、演出開始時点において第一副表示装置11の一部と第二副表示装置12の一部が重なっているものであるが、消去動作や表示動作を実行する直前に、第一副表示装置11と第二副表示装置12の少なくともいずれか一方を他方に近づける方向に移動させ、第一副表示装置11の一部と第二副表示装置12の一部が重なっている状態をつくり出してもよい。
【0051】
本例のように、消去動作や表示動作とともに実行される移動動作は、第一副表示装置11と第二副表示装置12の一方を他方から遠ざける方向に移動させるものであってもよい。また、第一副表示装置11と第二副表示装置12の両方を互いに遠ざける方向に移動させるものであってもよい。つまり、第一副表示装置11と第二副表示装置12の少なくともいずれか一方を、他方から遠ざける方向に移動させるものであってもよい。
【0052】
第五演出例について上記第一演出例と異なる点を中心に説明する。図7に示す第五演出例は、上記消去動作、表示動作、および移動動作を実行する前の態様が上記第一演出例と異なるものである。上記第一演出例では、リーチ状態の表示(図7(a)参照)後、第一副表示装置11に表示される図柄が、第二副表示装置12に向かって移動するとともにその大きさが連続的に大きくなっていくことを説明したが、本例では図柄が「段階的に」大きくなっていく(図7(b)参照)。
【0053】
つまり、最初に表示されていた図柄の大きさを「1」とすると、所定距離第二副表示装置12側に近づいたとき「2」となり、さらに所定距離第二副表示装置12側に近づいたときに「3」となり・・・というように、図柄が段階的に大きくなっていくものである。そして、消去動作および表示動作において、第二副表示装置12に表示した時点での図柄の大きさは、第一副表示装置11から消した時点での図柄の大きさよりも大きくする(図7(c)参照)。
【0054】
このように、図柄が段階的に大きくなっていく演出態様としても、上記第一演出例と同様の作用効果が奏される。なお、図柄を段階的に小さくしていく態様としてもよい。
【0055】
第六演出例について上記第一演出例と異なる点を中心に説明する。図8に示す第六演出例では、第一副表示装置11と第二副表示装置12の少なくともいずれか一方が、その前後方向位置を変化させることができるものである。したがって、前後方向における第一副表示装置11と第二副表示装置12の距離が第一演出例と異なるものとなりうる。第一副表示装置11と第二副表示装置12の距離が、大きくなればなるほど、遊技者には、第一副表示装置11と第二副表示装置12の前後方向における位置のギャップにより、第一副表示装置11に表示される図形は小さく見え、第二副表示装置12に表示される図形は大きく見える。
【0056】
本例では、表示動作において、上記ギャップに基づく表示の調整を実行する。つまり、前後方向における第一副表示装置11と第二副表示装置12の距離が大きければ大きいほど、第二副表示装置12に表示される図柄が視覚的に大きくなるから、本例では、表示動作時に第二副表示装置12に表示される図形の大きさ(絶対的な大きさ)を(第一演出例のときよりも)小さくする(図8(c)参照)。つまり、前後方向における第一副表示装置11と第二副表示装置12の距離に応じて、表示動作時に第二副表示装置12に表示される図形の大きさ(絶対的な大きさ)を調整することにより、一気に図柄が大きくなったかのような印象を遊技者に与えないようにする。このように、両副表示装置10の前後方向における距離が大きい場合(両副表示装置10が前後関係に奥行きを持たせて配置された場合)には、その距離に基づく図柄の大きさの調整を行うことで、図柄が両副表示装置10間を跨ぐように表示されるときの遊技者の違和感を低減することが可能となる。
【0057】
なお、本例において、第一副表示装置11に表示される図柄は視覚的に小さくなるから、第一表示装置に表示される図柄の大きさ(絶対的な大きさ)を、第一演出例のときよりも大きくしてもよい。また、副表示装置10の一方が回動可能に設けられている場合に、その位置に合わせて図形の大きさを調整する構成としてもよい。
【0058】
第七演出例について上記第一演出例と異なる点を中心に説明する。第一演出例は、両副表示装置10に表示される所定の図形として、識別図柄を例として説明したが、当該図形は信頼度を示唆する図形であってもよい。なお、信頼度とは、「大当たり」等、所定の遊技状態や所定の演出に移行する確率を、数値や文言等によって示すものである。
【0059】
図9にその一例を示す。第一副表示装置11には、「好機」という文字が付された図形が表示される(図9(a)参照)。この図形が第一副表示装置11から第二副表示装置12に移動したときの方が、移動しなかった場合よりも「大当たり」となる確率(蓋然性)が高いものとする。第一副表示装置11に「好機」となるのではないかという画像が表示された後、「好機」という文字が付された図形が第二副表示装置12側に向かって徐々に大きくなりながら移動していく(図9(b)参照)。当該図形が第二副表示装置12に表示されることが決定している場合には、当該図形に対し、上記消去動作および表示動作を行うとともに、移動動作を行う(図9(c)参照)。
【0060】
このように、第一副表示装置11や第二副表示装置12に表示される所定の図形としては、識別図柄の他に、信頼度を示唆する図形等が例示できる。
【0061】
以上説明した第一演出例〜第七演出例は、それぞれの特徴部分を組み合わせて用いることができる。例えば、第四演出例を用いて、信頼度を示唆する(第七演出例)演出態様としてもよい。
【0062】
また、上記各例では、消去動作のタイミングと、表示動作のタイミングと、移動動作のタイミングが同じであることを説明したが、各動作を所定の順で行ってもよい。つまり、各動作のタイミングを異ならせてもよい。これにより、全ての動作を同時に行った場合とは異なる演出効果が発現される。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、第一副表示装置11と第二副表示装置12の前後方向における位置が異なることを説明したが、少なくとも一方の副表示装置10が傾斜することにより、その一部が他方の副表示装置10に重なることが可能となるように構成されていてもよい。つまり、両副表示装置10は、前後方向においてその一部が他方の副表示装置10に重なることとなるが、その重ねるための構造は、特定の構造に限定されるものではない。また、副表示装置10は三つ以上設けられていてもよく、その少なくとも一つの副表示装置10が移動することで、他の少なくとも一つの副表示装置10に重なる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 遊技機
10 副表示装置
(11 第一副表示装置)
(12 第二副表示装置)
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9