(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5903721
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】ねじ山修正器
(51)【国際特許分類】
B21H 3/06 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
B21H3/06 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-44038(P2015-44038)
(22)【出願日】2015年2月17日
【審査請求日】2015年7月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303060491
【氏名又は名称】浜口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】浜口 隆志
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−027223(JP,U)
【文献】
特開2012−101278(JP,A)
【文献】
実開昭59−132725(JP,U)
【文献】
特公昭40−008020(JP,B1)
【文献】
国際公開第2006/126299(WO,A1)
【文献】
特許第5678396(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 3/06
B21K 1/56
B23G 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破損したねじのねじ山を修正するねじ山修正器であって、
被修正ねじのねじ溝に噛み合う修正刃を有するねじ山修正刃と、
被修正ねじを当接させ、前記ねじ山修正刃との間で被修正ねじを挟み込む当接手段とを備えており、
前記ねじ山修正刃又は前記当接手段は、被修正ねじを挟み込む方向に移動する回動可能の移動支持片に固定されており、前記回動可能の移動支持片は被修正ねじの中心軸と直角に交わる軸を中心に回動可能であり、
前記被修正ねじ又は前記ねじ山修正器を回転させることによって、破損したねじ山を修正する事が出来ることを特徴とするねじ山修正器。
【請求項2】
前記ねじ山修正刃は、同一直線上の二点が前記被修正ねじのねじ溝に噛み合う前記修正刃を有する前記ねじ山修正刃であり、前記ねじ山修正器に対して着脱可能である請求項1記載のねじ山修正器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破損したねじのねじ山を元通りのねじ山に近づけて修正するねじ山修正器に関する。
【背景技術】
【0002】
部材同士をねじで固定している構造体においては、ねじ単体を取り外して交換可能な構造のものもあるが、ねじが構造体と一体となっており、ねじ単体を交換できない構造のものもある。ねじ単体を交換できない構造では、ねじ山が破損した場合、破損部分はねじ単体のみであるにもかかわらず、構造体全体を交換せざるを得ない事態が生じることになる。
【0003】
このため、簡単な作業で、破損したねじ山を修正可能なねじ山修正器が望まれていた。例えば下記特許文献1に記載のねじ山修正器は、ねじ単体が構造体と一体になった状態でねじ山修正が可能であり、被修正ねじのねじピッチに合わせた複数刃を有するねじ山修正刃とガイドローラーとの間に被修正ねじを挟み、被修正ねじ又はねじ山修正器を回転させながら破損したねじ山を修正するというものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−101278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実機確認を行ったところ、特許文献1のねじ山修正器は、ピッチが小さくねじ山の大きさが小さい被修正ねじを修正する場合には高い修正能力が有るが、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじを修正する場合は、強く挟むと回転困難になる。
このため、特許文献1のねじ山修正器でピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじを修正する場合には、ねじ山の破損状態に合わせて被修正ねじを挟む圧力を調整しながら、少しずつ破損したねじ山を削り取って修正する必要があるために、特許文献1のねじ山修正器でピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじを修正するには技術的な熟練を要するので、誰でも簡単にねじ修正ができるというものではなかった。
【0006】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじを修正する時にも、ねじ山の修正能力が高く、技術的な熟練を要することなく容易にねじ山修正を行うことができるねじ山修正器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1のねじ山修正器では、ねじ山修正刃を被修正ねじの中心線と平行にねじ山修正刃を当接させ、複数の修正刃の刃先をねじの回転による進行方向に直交させることにより被修正ねじのねじ山の谷間のリード角を修正刃の切り込み角として破損部分の切削に利用していたが、被修正ねじのピッチが大きくリード角が大きいと修正刃の切り込み角が深くなり過ぎる為と、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山の破損部分を複数の修正刃で複数個所同時に押し切って修正するのが困難になるために回転困難になると考えられる。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のねじ山修正器は、同一直線上の二点が被修正ねじのねじ溝に噛み合う修正刃を有するねじ山修正刃と、
被修正ねじに当接させ、ねじ山修正刃との間で被修正ねじを挟み込む当接手段とを備えており、
ねじ山修正刃又は当接手段は、被修正ねじの中心軸と直交する軸を中心に回動可能であり、
被修正ねじ又はねじ山修正器を回転させることによって、破損したねじ山を修正する事が出来ることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山を修正する時にも、同一直線上の二点が被修正ねじのねじ溝に噛み合う修正刃を有するねじ山修正刃により、被修正ねじのねじ山の破損部分を一か所ずつ修正する事が出来るので、
ねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山の破損部分を複数の修正刃で複数か所を同時に押し切って修正する場合よりも被修正ねじを強く挟んでも、被修正ねじを無理なく回すことができるので技術的な熟練を要することなく容易にねじ修正を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、修正刃を被修正ねじのリード各にあわせた角度で被修正ねじのねじ溝に噛み合う様にねじ山修正刃の角度を調整できるので、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山修正が円滑になるとともに、
同一直線上の二点が被修正ねじのねじ溝に噛み合う修正刃を有するねじ山修正刃のねじ溝に噛み合った修正刃の側面により、ねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山の破損部分を一か所ずつ元の位置に押し戻し、塑性変形により修正する事が出来るので、ねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山の破損部分を複数の修正刃で複数枚同時に押し切って修正するよりも修正能力が高まる。
このことにより、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山を修正する時も被修正ねじを強く挟んでも、被修正ねじを無理なく回すことができるので、技術的な熟練を要することなく容易にねじ修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るねじ山修正器の斜視図。
【
図2】
図1に示したねじ山修正器に被修正ねじを装着した状態を示す斜視図。
【
図5】
図2に示したねじ山修正器を用いたねじ山修正時の要部を示す側面概略図。
【
図6】
図2に示したねじ山修正器を用いたねじ山修正時の要部を示す正面概略図。
【
図7】本発明の一実施形態で当接手段側を回動自在に配置したねじ山修正器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るねじ山修正器について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るねじ山修正器は、被修正ねじ(ねじ山の一部が破損したねじ)を装着し、被修正ねじ15又はねじ山修正器1を回転させながら、破損したねじのねじ山を元通りのねじ山に近づけて修正する器具である。
図1は、本発明の一実施形態に係るねじ山修正器1の斜視図、
図2は、本発明のねじ山修正器1に、修正対象である被修正ねじ15を装着した状態を示す斜視図、
図3は、本発明のねじ山修正器1の側面図、
図4は、本発明のねじ山修正器1の平面図、
図5は、本発明のねじ山修正器1を用いたねじ山修正時の要部を示す側面概略図、
図6は、本発明のねじ山修正器1を用いたねじ山修正時の要部を示す正面概略図、
図7は、本発明の一実施形態で当接手段側を回動自在に配置したねじ山修正器の斜視図である。
【0013】
図1に示したように、本体2には被修正ねじへの当接手段であるガイドローラー3が軸4を介して回転可能に取り付けられている。本体2に内蔵された圧力調整ねじ5は本体2及び回動可能の移動支持片6に螺合している。
内蔵された圧力調整ねじ5は圧力調整ノブ7と一体になっており、回動可能の移動支持片6にはねじ山修正刃8が固定されている。本実施形態では、取り付けねじ14で回動可能の移動支持片6に締め付けて、ねじ山修正刃8を回動可能の移動支持片6に固定しているのでねじ山修正器1に対して着脱可能である。
図1の圧力調整ノブ7を回転させることにより、これと一体の内蔵された圧力調整ねじ5が回転する。この回転方向に応じて、回動可能の移動支持片6はスライドしながら前進又は後退し、回動可能の移動支持片6と一体のねじ山修正刃8も前後に直線移動する。
このことにより、ねじ山修正刃8とガイドローラー3との間の間隔調整が可能になる
【0014】
図2には、ねじ山修正器1に、修正対象である被修正ねじ15を装着した状態を示す斜視図である。
あらかじめ、ねじ山修正刃8とガイドローラー3との間隔を被修正ねじ15の直径より大きくした状態で、ねじ山修正刃8とガイドローラー3との間に被修正ねじ15を配置し、圧力調整ノブ7を回転させることにより、被修正ねじ15はねじ山修正刃8とガイドローラー3とで押圧された状態で保持され回転固定ねじ13を締めることで、回動可能の移動支持片6と一体のねじ山修正刃8の被修正ねじ15のねじ溝に噛み合う角度が固定できる。
本体2に螺合している回転固定ねじ13は被修正ねじ15の修正操作時に回動可能の移動支持片6を固定し、ねじ修正が安定して行えるようにする。
この状態で被修正ねじ15又はねじ山修正器1を回転させることにより、被修正ねじ15のねじの破損部分18がねじ山修正刃8により修正される。
【0015】
図3は、本発明のねじ山修正器1の側面図、
図4は、本発明のねじ山修正器1の平面図である。
図5は、同一直線上で修正刃9の刃先10の二点が被修正ねじ15のねじ溝に噛み合うねじ山修正刃8とガイドローラー3で被修正ねじ15を押圧した状態の側面概略図を示している。
被修正ねじ15は、ねじ山修正器1に配置された二個のガイドローラー3とねじ山修正刃8によって押圧される事で、被修正ねじ15又はねじ山修正器1を回転させても常に安定してねじ山修正器1に対して直角方向に維持された状態になっており、回動可能の移動支持片6と一体のねじ山修正刃8は被修正ねじ15のねじ溝に接する角度が任意に回転固定ねじ13によって固定できるので、ねじ修正刃8の刃先10を被修正ねじ15のねじ山間のねじ溝のリード角に合わせて、回転固定ねじ13によって固定して被修正ねじ15のねじ山間の谷間に噛み合わせた状態を示している。
被修正ねじ15は、ねじ山修正器1に配置された二個のガイドローラー3とねじ山修正刃8によって押圧される事で、被修正ねじ15又はねじ山修正器1を回転させても被修正ねじ15は常に安定してねじ山修正器1に対して直角方向に維持された状態になっており、ねじ修正刃8の刃先10は被修正ねじ15のねじ山間のねじ溝に二点で噛み合う形状に形成されているので、刃先10のどちらか一方の刃先10が被修正ねじ15のねじ山の破損部分18に接しても、二点で噛み合っている他方の被修正ねじ15のねじ溝に噛み合った刃先10がガイドになるので、被修正ねじ15のねじ山の破損部分18に接した側の刃先10も元通りの正確なねじ溝のリード角に合わせた角度を維持できるので、破損して変形した被修正ねじ15のねじ山の破損部分18は、ねじ修正刃8の修正刃9の側面12によって、元の状態に向けて押し戻されるようになり、被修正ねじ15のねじ山の破損部分を塑性変形により元通りの位置に修正する事ができる。
【0016】
図6は、同一直線上に形成された修正刃9の刃先10の二点が被修正ねじ15のねじ溝に噛み合うねじ山修正刃8とガイドローラー3で被修正ねじ15を押圧した状態の正面概略図を示している。
被修正ねじ15は、ねじ山修正器1に配置された二個のガイドローラー3とねじ山修正刃8によって押圧される事で、被修正ねじ15を回転させても常に安定してねじ山修正器1に対して直角方向に維持された状態になっており、回動可能の移動支持片6と一体のねじ山修正刃8は被修正ねじ15のねじ溝に接する角度が任意に回転固定ねじ13によって固定できるので、ねじ修正刃9の刃先10を被修正ねじ15のねじ山間のねじ溝のリード角に合わせて固定して被修正ねじ15のねじ山間の谷間に噛み合わせた状態を示している。
回動可能の移動支持片6と一体のねじ山修正刃8は、ピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじ15のねじ山を修正する時も、被修正ねじ15のねじ溝に噛み合う修正刃9の側面12により、破損部分18が複数のねじ山に形成された被修正ねじ15のねじ山の破損部分を一か所ずつ塑性変形により元通りの位置に押し戻して修正する事が出来るので、ねじ山の大きさが大きい被修正ねじ15のねじ山の破損部分を複数の修正刃で複数枚同時に押し切って修正する場合よりも被修正ねじ15を無理なく回すことができるのでピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじのねじ山修正がより円滑になるとともに、修正能力も高まる。
【0017】
図7は、本発明の一実施形態で当接手段である二個のガイドローラー3を回動可能の移動支持片6に配置したねじ山修正器の斜視図であり、本体2に固定されたねじ山修正刃8に対して二個のガイドローラー3は回動可能の移動支持片6と一体になっており、回動可能の移動支持片6はスライドしながら前進又は後退し、回動可能の移動支持片6と一体の二個のガイドローラー3も前後に直線移動する。このことにより、ねじ山修正刃8とガイドローラー3との間の間隔調整が可能になる。
【0018】
以上実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成、形状、配置、素材等において本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更実施できる。
【符号の説明】
【0019】
1 ねじ山修正器
2 本体
3 ガイドローラー(当接手段)
4 軸
5 圧力調整ねじ
6 移動支持片
7 圧力調整ノブ
8 ねじ山修正刃
9 修正刃
10 刃先
11 取り付けねじ
12 修正刃の側面
13 回転固定ねじ
14 取り付けねじ
15 被修正ねじ
16 被修正ねじのねじ山の谷底
17 被修正ねじのねじ山の頂き(外周)
18 被修正ねじの破損部分
19 被修正ねじの中心線
【要約】
【課題】ねじ山の修正能力が高く、かつ技術的な熟練を要することなくピッチが大きくねじ山の大きさが大きい被修正ねじを修正する時でも、容易にねじ山修正を行うことができるねじ山修正器を提供する。
【解決手段】被修正ねじのねじ山間と同じ形状で、同一直線上に形成された修正刃9の刃先10の二点が被修正ねじのねじ溝に噛み合うねじ山修正刃8と、被修正ねじに当接させ、ねじ山修正刃8との間で被修正ねじを挟み込む当接手段3とを備えており、ねじ山修正刃8又は当接手段3を被修正ねじの中心軸と直交する軸を中心に回動可能に配置することで、ねじ山修正刃8が被修正ねじのねじ溝に噛み合う角度を被修正ねじのリード角に合わせて調整することが可能であり、被修正ねじ又はねじ山修正器1を回転させることによって、破損したねじ山を修正する事が出来ることを特徴とするねじ山修正器。
【選択図】
図1