【実施例】
【0058】
以下、図面に沿って、本実施形態の装置における実施例を説明する。
【0059】
<実施例1>
実施例1では、光コヒーレンストモグラフィー装置として、
図1に示されるOCT装置1が用いられ、被検物は、眼の眼底である。実施例1の装置は、干渉信号における互いに直交する偏光成分を異なる検出器にて検出可能な構成を有する。
【0060】
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)装置1は、波長掃引式OCT(SS−OCTHwepTHource-OCT)を基本的構成とし、波長可変光源102、干渉光学系(OCT光学系)100、演算制御器(演算制御部)70と、を含む。その他、OCT装置1には、メモリ72、モニタ75、図示無き正面像観察系及び固視標投影系が設けられる。演算制御器(以下、制御器(制御部))70は、波長可変光源102、干渉光学系100、メモリ72、モニタ75に接続されている。
【0061】
OCT光学系100には、SS−OCT方式が用いられ、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長可変光源(波長走査型光源)が用いられる。光源102は、例えば、レーザ媒体、共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたフィルタが挙げられる。
【0062】
本実施例では、瞬間輝線幅が短く、共振器長が短い光源としてAXSUN社のTUNABLE LASER が用いられる(例えば、λc=1060nm、Δλ=110nm、δλ=0.055nm、共振器長~14mm)。このような波長可変光源は、例えば、米国公開2009/0059971号に記載されている。
【0063】
カップラー(スプリッタ)104は、光分割器として用いられ、光源102から出射された光を測定光(測定光)と参照光に分割する。サーキュレータ103はカップラー104からの光を光ファイバー105に導光し、光ファイバー105からの光を光ファイバー119に導光する。なお、サーキュレータ103は、カップラーであってもよい。
【0064】
OCT光学系100は、測定光学系106によって測定光を眼Eの眼底Efに導く。OCT光学系100は、参照光学系110に参照光を導く。OCT光学系100は、眼底Efによって反射された測定光と参照光との干渉、によって取得される干渉信号光を検出器(受光素子)120に受光させる。
【0065】
測定光学系106には、光遅延路300、光ファイバー105、光スキャナ108、及び対物レンズ系が順次設けられている。
【0066】
光遅延路300は、基準光路300aと迂回光路300bを有し、互いに光路長差を持つ少なくとも2つの光を生成させるために設けられている。例えば、測定光路に光遅延路300が配置された場合、測定光は、光遅延路300に形成された基準光路300aと迂回光路300bによって、互いに光路長差を持つ少なくとも2つの測定光として形成される。迂回光路300bは、基準光路300aより光路長が長いので、迂回光路300bを通過する測定光は、基準光路を通過する測定光に対し光学的遅延(光路長差)が生じる。このようにして、光路長差を持つ複数の測定光が被検物の同一位置に照射される。
【0067】
光遅延路300は、例えば、第1偏光ビームスプリッタ302、第1光反射部材304、第2光反射部材306、第2偏光ビームスプリッタ308を備え、測定光を2つの光路に分割し、一方の測定光に対して他方の測定光の光路長を遅延させる。第1偏光ビームスプリッタ302は、光源102からの測定光を基準光路300a(第1測定光路)と迂回光路300b(第2測定光路)に分割する。第2偏光ビームスプリッタ308は、基準光路300aと迂回光路300bを合成する(
図1参照)。
【0068】
第1光反射部材304、第2反射部材306として、例えば、全反射ミラー、プリズムなどの光学部材が用いられる。光遅延路300を形成する光学部材は、
図1のように互いに離れた光学配置であってもよいし、プリズム等により一体化された光学配置であってもよい。
【0069】
第1偏光ビームスプリッタ302は、光源102からの光を垂直偏光成分と水平偏光成分に分割し、一方の偏光成分の光を透過させ、他方の偏光成分の光を反射する特性を持つ。第1光反射部材304、第2反射部材306は、第1偏光ビームスプリッタ302によって分割された光の一方を反射し、光結合部材308に戻す。第2偏光ビームスプリッタ308は、垂直偏光と水平偏光に分割された光を結合させる特性を持つ。第2偏光ビームスプリッタ308によって結合された後、結果的に、偏光成分が互いに直交する2つの測定光がそれぞれ被検眼に照射される(光ファイバー105等の影響により両者の偏光成分は、変更されるかもしれないが、偏光成分が互いに直交するという関係は変わらない)。
【0070】
上記のようにして光遅延路300は、偏光成分が互いに直交すると共に光路長差を持つ2つの測定光を生成する。2つの測定光は、サーキュレータ103、光ファイバー105を介して光スキャナ108に向かう。2つの測定光は、光スキャナ108によって反射方向が変えられる。光スキャナ108によって偏向された光は、対物レンズ系によって平行ビームとなって眼Eに入射し、眼底Ef上に入射される。2つの測定光は、眼底Ef上の同一位置に照射される。
【0071】
光スキャナ108は、眼底Ef上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構によって任意に調整される。
【0072】
光源102から出射された光束は、その反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。光スキャナ108としては、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0073】
制御器70は、光スキャナ108の駆動を制御することにより、眼底Efの深さ方向に対して垂直な方向(横断方向)に測定光を走査させる。各測定光の眼底Efからの後方散乱光(反射光)は、対物レンズ系、光スキャナ108、光ファイバー105、サーキュレータ103、光ファイバー119を経て、ビームスプリッタ350に達する。そして、後方散乱光は、ビームスプリッタ350にて参照光と合波されて干渉する。
【0074】
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導いてもよい。
【0075】
本装置は、測定光と参照光との光路長差を調整するためにOCT光学系100に配置された光学部材の少なくとも一部を光軸方向に移動させる。例えば、参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を調整する構成を有する。光路長差を変更するための構成は、測定光路中に配置されてもよい。測定光路中に配置された光学部材(例えば、光ファイバーの端部)が光軸方向に移動される。
【0076】
ビームスプリッタ350は、干渉信号光を2つに分割する。ビームスプリッタ350によって分割された光路の一方には、偏光ビームスプリッタ360が配置され、他方には、偏光ビームスプリッタ365が配置されている。偏光ビームスプリッタ360、365は、入射された干渉信号光を、互いに直交する偏光成分(垂直偏光成分、水平偏光成分)に分割する。
【0077】
検出器120は、垂直偏光検出器120Vと水平偏光検出器120Hを持ち、スペクトル信号における垂直偏光成分と水平偏光成分を別々に検出可能な構成を持つ。
【0078】
垂直偏光検出器120Vと水平偏光検出器120Hは、それぞれ、第1受光素子(120Va、120Ha)と第2受光素子(120Vb、120Hb)からなる平衡検出器(Balanced Detector)にて構成されるのが有利である。検出器120(平衡検出器)は、第1受光素子からの干渉信号と第2受光素子からの干渉信号との差分を得て、干渉信号に含まれる不要なノイズを削減する。各受光素子は、受光部が一つのみからなるポイントセンサであって、例えば、アバランシェ・フォト・ダイオードが用いられる。
【0079】
垂直偏光検出器120Vは、偏光ビームスプリッタ360、365によって分割された垂直偏光成分を,第1受光素子120Va、第2受光素子120Vbにより平衡検出を行う。水平偏光検出器120Hは、偏光ビームスプリッタ360、365によって分割された水平偏光成分を,第1受光素子120Ha、第2受光素子120Hbにより平衡検出を行う。
【0080】
垂直偏光検出器120Vと水平偏光検出器120Hによって受光される干渉信号光は、それぞれ、偏光成分が互いに直交すると共に光路長差を持つ2つの測定光に対応する干渉信号光を含んでいる。
【0081】
光源102により出射波長が変化されると、これに対応する干渉信号光が検出器120に受光され、結果的に、スペクトル信号として検出器120によって検出される。制御器70は、光源102からのトリガ信号を得て、取得するスペクトル信号と光スキャナ108を制御する。
【0082】
垂直偏光検出器120Vと水平偏光検出器120Hによって検出される各スペクトル信号は、被検物に照射された2つの測定光のうち、垂直偏光成分を持つ測定光に基づいて形成された第1スペクトル信号と、水平偏光成分を持つ測定光に基づいて形成された第2スペクトル信号と、を含む。第1スペクトル信号と第2スペクトル信号は、光路長差を持つため、スペクトルによって形成される干渉縞の粗密が異なる。
【0083】
制御器70は、偏光成分が異なる2つのスペクトル信号を処理して、互いに直交する偏光成分に関する深さ情報DV、DHを得る。
【0084】
制御器70は、垂直偏光検出器120Vによって検出された垂直偏光成分を持つスペクトル信号を処理して垂直深さ情報DVを得る。垂直深さ情報DVは、第1スペクトル信号に対応する第1垂直深さ情報DV1と、第2スペクトル信号に対応する第2垂直深さ情報DV2を含む。第1垂直深さ情報DV1は、互いに偏光成分が直交する測定光における一方の測定光に基づいて形成された深さ情報であり、第2垂直深さ情報DV2は、互いに偏光成分が直交する測定光における他方の測定光に基づいて形成された深さ情報である。
【0085】
制御器70は、水平偏光検出器120Hによって検出された水平偏光成分を持つスペクトル信号を処理して水平深さ情報DHを得る。水平深さ情報DHは、第1スペクトル信号に対応する第1水平深さ情報DH1と、第2スペクトル信号に対応する第2水平深さ情報DH2を含む。第1水平深さ情報DH1は、互いに偏光成分が直交する測定光における一方の測定光に基づいて形成された深さ情報であり、第2水平深さ情報DH2は、互いに偏光成分が直交する測定光における他方の測定光に基づいて形成された深さ情報である。
【0086】
<断層画像の取得>
制御器70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底Ef上で測定光を横断方向に走査させる。制御器70は、各走査位置での深さ情報を順次並べることにより眼底断層画像を形成させる。
【0087】
図2A、
図2Bは、多重スペクトル信号に基づいて取得された断層画像データを示す例であり、
図2Aは、垂直偏光成分に関する断層画像データであり、
図2Bは、水平偏光成分に関する断層画像データである。なお、フーリエ解析によって取得された断層画像データには、実像とミラーイメージ(虚像)が含まれるが、
図2A、
図2Bは、実像のみを抽出した画像である。
【0088】
制御器70は、互いに直交する偏光成分に関する深さ情報DV、DHに関してそれぞれ、走査方向に関して並べることにより互いに直交する偏光成分に関する断層画像データTV、THを得る。断層画像データTV、THは、深さ方向に分離された眼底Efの複数の断層像を含む。なお、断層画像データは、各深さ情報における実虚成分の絶対値を求めることにより形成される。各断層像は、眼底Ef上の同一の走査位置に関して取得された断層像である。
【0089】
断層画像データTVは、第1垂直深さ情報DV1に基づく第1垂直断層像TV1、第2垂直深さ情報DV2に基づく第2垂直断層像TV2を含む。断層画像データTHは、第1水平深さ情報DH1に基づく第1水平断層像TH1、第2水平深さ情報DH2に基づく第2水平断層像TH2を含む。
【0090】
制御器70は、上記のように取得された断層画像データTV、THから第1垂直断層像TV1、第2垂直断層像TV2、第1水平断層像TH1、第2水平断層像TH2のいずれかを抽出し、モニタ75の画面上に断層像を表示する。制御器70は、断層画像データTV、THを連続的に取得し、動画の断層像を表示するようにしてもよい。
【0091】
<加算平均画像の取得>
制御器70は、断層画像データTV、THに含まれる少なくとも2つの断層像を用いて加算平均画像を取得する。例えば、制御器70は、断層画像データTVから、深さ方向に関して形成位置が異なる第1垂直断層像TV1と第2垂直断層像TV2を抽出する。制御器70は、これらを画像処理により位置合わせし、加算平均画像を取得できる。もちろん、制御器70は、断層画像データTHにおける2つの断層像に基づいて加算平均画像を得ることもできる。また、制御器70は、断層画像データTVでの断層像と断層画像データTHでの断層像を用いて加算平均画像を取得しても良い。
【0092】
このようにすれば、スペックルノイズが中和された加算平均画像を短時間で取得できる。なお、制御器70は、断層画像データTV、THを連続的に取得し、複数の断層画像データTV、THに含まれる複数の断層像を処理して加算平均画像を得てもよい。これにより、さらに良好な画像を短時間で取得できる。
【0093】
加算平均画像を得る場合、前述のように、制御器70は、各断層像の基礎となるZ空間での実虚成分を利用して加算平均画像を取得するようにしてもよい。
【0094】
<偏光検出>
制御器70は、垂直深さ情報DVと水平深さ情報DHを用いて眼底Efの複屈折特性を求める。スペクトル信号をフーリエ解析した後の各深さ情報における実部と虚部の情報が用いられる。
【0095】
制御器70は、垂直深さ情報DVから第1垂直深さ情報DV1を得ると共に、水平深さ情報DHから第1水平深さ情報DH1を得る。制御器70は、偏光成分が互いに直交する第1垂直深さ情報DV1と第1水平深さ情報DH1に基づいて第1の偏光状態を得る。
【0096】
制御器70は、垂直深さ情報DVから第2垂直深さ情報DV2を得ると共に、水平深さ情報DHから第2水平深さ情報DH2を得る。制御器70は、偏光成分が互いに直交する第2垂直深さ情報DV2と第2水平深さ情報DH2に基づいて第2の偏光状態を得る。
【0097】
制御器70は、第1の偏光状態と第2の偏光状態に基づいて、眼底表面を基準として眼底Efのある位置における複屈折特性を得る。制御部70は、複屈折特性を深さ方向に関して求めることにより、深さ方向に関する眼底Efの複屈折特性分布を示す偏光深さ情報を得る。
【0098】
制御器70は、各位置での偏光深さ情報を走査方向に関して並べることにより、ある切断面での眼底Efの複屈折分布(例えば、偏光深さ情報画像)を求める。制御部70は、求められた複屈折分布をモニタ75上に表示する。
【0099】
なお、制御器70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底Ef上で測定光を二次元的に走査することにより3次元データを得てもよい。制御部70は、各位置における偏光深さ情報を得ることにより、眼底Ef上の二次元的な複屈折分布を示すマップを得る。制御部70は、得られたマップをモニタ75上に表示する。
【0100】
<実施例2>
実施例2は、光コヒーレンストモグラフィー装置として、
図3に示されるOCT装置1が用いられ、被検物は、眼の眼底である。実施例2の装置は、分散性光学遅延線(Dispersive Optical delay line)を有し、干渉信号における互いに直交する偏光成分を同一の検出器にて検出可能な構成を有する。なお、
図1と同一の番号を付した構成については、特段の説明が無い限り、同一の構成・機能を有する構成であり、詳しい説明を省略する。
【0101】
第1光遅延路300は、干渉光学系100に形成された測定光路に配置され、偏光成分が互いに直交すると共に互いに光路長差Δd1を持つ2つの測定光を生成する。第2光遅延路350は、干渉光学系100に形成された参照光路に配置され、偏光成分が互いに直交すると共に互いに光路長差Δd2を持つ2つの参照光を生成する。なお、第1光遅延路300と第2光遅延路370は、配置位置、光路長差が異なる点を除いては、基本的には、同一の部材によって構成されることができる。
【0102】
光路長差Δd1と光路長差Δd2の関係について、一方が他方の約2倍の光路長となるように設定されており、
図3では、Δd1>Δd2であって、Δd1の約半分がΔd2となるように設定されている。もちろん、Δd1<Δd2であって、Δd2の約半分がΔd1となるように設定された構成であってもよい。
【0103】
分散性光学遅延線500(Dispersive Optical delay line)は、波長依存の位相遅れ及び一定の群遅れ(constant group delay)を生成する。分散性光学遅延線500は、OCT光学系100における効果的な撮像領域を2倍にするために用いられる。位相変調は、波数領域において直接的に働くので、レーザの掃引速度は作用されない。分散性光学遅延線500の詳しい構成・動作方法については、"complete complex conjugate resolveDVeterodyne swepTHource optical coherence tomography using a dispersive optical delay line, BIOMEDICAL OPTICS EXPRESS ,1 May 2011/Vol.5,No.5,Joseph A . Izatt ")を参考にされたい。
【0104】
検出器120は、スペクトル信号における垂直偏光成分と水平偏光成分の両方を検出する。スペクトル信号は、垂直偏光成分を持つ垂直スペクトル信号と水平偏光成分を持つ水平スペクトル信号を含む。垂直スペクトル信号と水平スペクトル信号は、光路長差Δd1を持つ。さらに、垂直スペクトル信号と水平スペクトル信号の各信号は、互いに偏光成分が直交する測定光における一方の測定光に基づいて形成された第1スペクトル信号と、互いに偏光成分が直交する測定光における他方の測定光に基づいて形成された第2スペクトル信号と、を含む。第1スペクトル信号と第2スペクトル信号は、光路長差Δd2を持つ。なお、検出器120(平衡検出器)は、第1受光素子からの干渉信号と第2受光素子からの干渉信号との差分を得て、干渉信号に含まれる不要なノイズを削減する。
【0105】
制御器70は、互いに直交する偏光成分を含むスペクトル信号を処理して深さ情報を得る。得られた深さ情報Dは、垂直深さ情報DV、水平深さ情報DHを含む。垂直深さ情報DV、水平深さ情報DHは、光路長差Δd1の分、分離された状態で取得される。
【0106】
垂直深さ情報DVは、第1スペクトル信号に対応する第1垂直深さ情報DV1と、第2スペクトル信号に対応する第2垂直深さ情報DV2を含む。第1垂直深さ情報DV1は、互いに偏光成分が直交する測定光における一方の測定光に基づいて形成された深さ情報であり、第2垂直深さ情報DV2は、互いに偏光成分が直交する測定光における他方の測定光に基づいて形成された深さ情報である。第1垂直深さ情報DV1と第2垂直深さ情報DV2は、光路長差Δd2の分、分離された状態で取得される。
【0107】
水平深さ情報DHは、第1スペクトル信号に対応する第1水平深さ情報DH1と、第2スペクトル信号に対応する第2水平深さ情報DH2を含む。第1水平深さ情報DH1は、互いに偏光成分が直交する測定光における一方の測定光に基づいて形成された深さ情報であり、第2水平深さ情報DH2は、互いに偏光成分が直交する測定光における他方の測定光に基づいて形成された深さ情報である。第1水平深さ情報DH1と第2水平深さ情報DH2は、光路長差Δd2の分、分離された状態で取得される。
【0108】
<断層画像の取得>
制御器70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底Ef上で測定光を横断方向に走査させる。制御器70は、各走査位置での深さ情報を順次並べることにより眼底断層画像を形成させる。
【0109】
図4は、多重スペクトル信号に基づいて取得された断層画像データを示す例であり、制御器70は、深さ情報Dを走査方向に関して並べることにより互いに直交する偏光成分に関する断層画像データTを得る。断層画像データTは、深さ方向に分離された眼底Efの複数の断層像を含む。なお、断層画像データは、各深さ情報における実虚成分の絶対値を求めることにより形成される。各断層像は、眼底Ef上の同一の走査位置に関して取得された断層像である。
【0110】
断層画像データTは、第1垂直深さ情報DV1に基づく第1垂直断層像TV1、第2垂直深さ情報DV2に基づく第2垂直断層像TV2、第1水平深さ情報DH1に基づく第1水平断層像TH1、第2水平深さ情報DH2に基づく第2水平断層像TH2を含む。
【0111】
制御器70は、上記のように取得された断層画像データTから第1垂直断層像TV1、第2垂直断層像TV2、第1水平断層像TH1、第2水平断層像TH2のいずれかを抽出し、モニタ75の画面上に断層像を表示する。制御器70は、断層画像データTV、THを連続的に取得し、動画の断層像を表示するようにしてもよい。
【0112】
<加算平均画像の取得>
制御器70は、断層画像データTに含まれる少なくとも2つの断層像を用いて加算平均画像を取得する。例えば、制御器70は、断層画像データTから、深さ方向に関して形成位置が異なる第1垂直断層像TV1と第2垂直断層像TV2を抽出する。制御器70は、これらを画像処理により位置合わせし、加算平均画像を取得できる。もちろん、制御器70は、いずれか2つ以上の断層像に基づいて加算平均画像を得ることもできる。
【0113】
このようにすれば、スペックルノイズが中和された加算平均画像を短時間で取得できる。なお、制御器70は、断層画像データTを連続的に取得し、複数の断層画像データTに含まれる複数の断層像を処理して加算平均画像を得てもよい。これにより、さらに良好な画像を短時間で取得できる。
【0114】
加算平均画像を得る場合、前述のように、制御器70は、各断層像の基礎となるZ空間での実虚成分を利用して加算平均画像を取得するようにしてもよい。
【0115】
<偏光検出>
制御器70は、深さ情報Dに含まれる垂直深さ情報DVと水平深さ情報DHを用いて眼底Efの複屈折特性を求める。スペクトル信号をフーリエ解析した後の各深さ情報における実部と虚部の情報が用いられる。
【0116】
制御器70は、垂直深さ情報DVから第1垂直深さ情報DV1を得ると共に、水平深さ情報DHから第1水平深さ情報DH1を得る。制御器70は、偏光成分が互いに直交する第1垂直深さ情報DV1と第1水平深さ情報DH1に基づいて第1の偏光状態を得る。
【0117】
制御器70は、垂直深さ情報DVから第2垂直深さ情報DV2を得ると共に、水平深さ情報DHから第2水平深さ情報DH2を得る。制御器70は、偏光成分が互いに直交する第2垂直深さ情報DV2と第2水平深さ情報DH2に基づいて第2の偏光状態を得る。
【0118】
制御器70は、第1の偏光状態と第2の偏光状態に基づいて、例えば、眼底Efの表面を基準としてある位置における複屈折特性を得る。制御部70は、複屈折特性を深さ方向に関して求めることにより、深さ方向に関する眼底Efの複屈折特性分布を示す偏光深さ情報を得る。
【0119】
制御器70は、各位置での偏光深さ情報を走査方向に関して並べることにより、ある切断面での眼底Efの複屈折分布(例えば、偏光深さ情報画像)を求める。制御部70は、求められた複屈折分布をモニタ75上に表示する。
【0120】
なお、制御器70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底Ef上で測定光を二次元的に走査することにより3次元データを得てもよい。制御部70は、各位置における偏光深さ情報を得ることにより、眼底Ef上の二次元的な複屈折分布を示すマップを得る。制御部70は、得られたマップをモニタ75上に表示する。
【0121】
なお、上記実施例1及び実施例2においては、偏光ビームスプリッタにより互いに直交する偏光成分を生成する構成としてが、これに限定されない。
【0122】
例えば、光路を分割するハーフミラーと、ハーフミラーにより分割された各光路に偏光フィルタを設けた構成であってもよい。各光路に配置される偏光フィルタによって選択的に透過される光の偏光特性は、分割された光路間で偏光成分が直交関係となるように設定される。
【0123】
例えば、偏波保持ファイバー(polarization maintaining fiber)を設けた構成であってもよい。偏波保持ファイバーとしては、例えば、パンダファイバーが用いられる。偏波保持ファイバーの場合、偏光成分に応じて屈折率が異なるため、互いに直交する偏光成分の光に関して、一方の偏光成分の光が、他方の変更成分の光に対して光路差が生じる。そこで、所定の光路長差(例えば、Δd1、Δd2)が生じるような長さに設定された偏波保持ファイバーを測定光路中に設けることにより、所定の光路長差を持つ2つの光が生成される。このような偏波保持ファイバーは、カップラー等を介して通常のシングルモードファイバーに連結される。また、サーキュレータと眼との間に配置されるファイバーとして偏波保持ファイバーが設けられてもよい。
【0124】
本実施形態の光コヒーレンストモグラフィー装置を以下の装置として表現することも可能である。
【0125】
すなわち、第1の光コヒーレンストモグラフィー装置は、光源、干渉計、光検出器を有し、検出器からのスペクトル信号を処理して被検物の深さ情報を取得する光コヒーレンストモグラフィー装置であって、互いに光路長差を持つ複数の光を生成させるための第1の構成と、各波長での干渉信号成分を含むスペクトル信号であって、前記第1の構成によって生成された第1スペクトル信号と第2スペクトル信号が多重化された多重スペクトル信号を取得するための第2の構成とを有し、深さ方向に関して互いに分離された複数の深さ情報が多重化された深さ情報を得る。
【0126】
第2の光コヒーレンストモグラフィー装置は、光学的遅れ(optical delay)差を生じさせるユニットが測定光路(サンプルアーム)と参照光路(レファレンスアーム)の少なくともいずれかにあり、深さ軸に複数のOCT像を多重化させる構成を有する。
【0127】
第3の光コヒーレンストモグラフィー装置は、1度の測定で得られる多重化したOCT像を複数回測定し、位置あわせをして加算平均する、または実部、虚部ごとに加算平均をしておいて、その絶対値であるOCT画像を得る。
【0128】
第4の光コヒーレンストモグラフィー装置は、optical delay差は、互いに垂直な偏光成分に対して与えられ、測定光(サンプル光)と参照光を合波して干渉させた後、2つの受光素子で互いに垂直な変更成分毎に、2つの多重化したOCT像を得て、被検物の偏光解析を行う。
【0129】
第5の光コヒーレンストモグラフィー装置は、互いに垂直な偏光成分に対してoptical delay差を生じさせるユニットが測定光路と参照光路の両方にあり、4つの多重化したOCT像を1つの受光素子で得て、被検物の偏光解析を行う。
【0130】
第6の光コヒーレンストモグラフィー装置は、Full range化ユニットを有し、多重化を容易にした第1〜第5のいずれかの光コヒーレンストモグラフィー装置。なお、Full range化ユニットとしては、上記DODLの他、位相シフトユニット(例えば、測定光路又は参照光路に配置されたミラー、光ファイバー等の光学部材をピエゾ素子によって微動させるための構成)、光変調ユニット(例えば、測定光又は参照光をEO変調器等により変調させる)等が考えられる。位相シフト、光変調などを行う場合、制御器は、ある走査位置(一点)において位相シフト、光変調を行ってからBスキャンでの走査位置を変更してもよい。制御器は、Bスキャンでの走査位置を変更しながら、位相シフト、光変調を行うようにしてもよい。
【0131】
第7の光コヒーレンストモグラフィー装置は、4つの異なる偏光状態のOCT像毎を平均(例えば、実部虚部毎に平均)した後で偏光解析を行う第4〜第6のいずれかの光コヒーレンストモグラフィー装置。