(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断手段は、前記モード換算航続可能距離の前記変動率を、今回算出した前記モード換算航続可能距離から前回算出した前記モード換算航続可能距離を差し引いた値をそれぞれの前記モード換算航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
前記判断手段は、前記蓄電装置内の残存電力量を前記モード電費値で除して前記電動車のモード換算航続可能距離を算出し、前記電動車の現在地点と前記目的地点との間の残存走行距離から前記モード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値以上である場合にも、前記電動車が前記目的地点まで走行できないと判断することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
前記判断手段は、前記蓄電装置内の残存電力量を前記モード電費値で除して前記電動車のモード換算航続可能距離を算出するとともに、前記蓄電装置内の残存電力量を前記電動車の過去の平均電費値で除して前記電動車の航続可能距離を算出し、前記モード換算航続可能距離から前記航続可能距離を差し引いた値が所定値以上であり、かつ単位走行距離あたりの航続可能距離の変動から推定される航続可能距離推定値が現在地から目的地までの距離値以下の場合にも、前記電動車が前記目的地点まで走行できないと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
前記判断手段は、前記蓄電装置内の残存電力量を前記モード電費値で除して前記電動車のモード換算航続可能距離を算出するとともに、前記蓄電装置内の残存電力量を前記電動車の過去の平均電費値で除して前記電動車の航続可能距離を算出し、前記モード換算航続可能距離の前記変動率から前記航続可能距離の前記変動率を差し引いた値が所定値以上であり、かつ単位走行距離あたりの航続可能距離の変動から推定される航続可能距離推定値が現在地から目的地までの距離値以下の場合にも、前記電動車が前記目的地点まで走行できないと判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
前記判断手段は、前記モード換算航続可能距離の前記変動率を、今回算出した前記モード換算航続可能距離から前回算出した前記モード換算航続可能距離を差し引いた値をそれぞれの前記モード換算航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出するとともに、前記航続可能距離の前記変動率を、今回算出した前記航続可能距離から前回算出した前記航続可能距離を差し引いた値をそれぞれの前記航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
航続可能距離は、車両負荷(たとえば、走行抵抗やエアコンの稼働状態など)によって変動するため、当初設定していた目的地点までに電力不足(電欠)になる可能性があり、充電施設へのリルートが必要になる場合がある。上述した従来技術では、対象車両の過去の平均電費値を利用して航続可能距離を算出し、対象車両が1km走行すると航続可能距離も1km減るという理想値(航続可能距離理想値)と現在の航続可能距離値とを比較して、はじめに設定した充電施設までの電欠有無を判断している。しかしながら、この方法では、航続可能距離理想値の始点の違い、すなわち目的地点設定時の航続可能距離値によって、航続可能距離理想値と現在の航続可能距離との比較結果が大きく異なり、適切な電欠有無の判断およびリルートがおこなえないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、蓄電装置に蓄電された電力を用いて走行する電動車において、目的地点までの電欠有無判断を精度よくおこない、電欠状態になることなく目的地点に到達させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる
ナビゲーション装置は、蓄電装置に蓄電された電力を用いて走行する電動車に搭載されたナビゲーション装置であって、目的地点までの経路を探索する探索手段と、前記探索手段によって探索された前記経路の案内中に、前記蓄電装置の残存電力量情報を取得する残存電力量情報取得手段と、前記残存電力量情報取得手段によって取得された前記残存電力量情報と、前記電動車のモード電費値とに基づいて、前記電動車が前記蓄電装置内の残存電力を用いて前記目的地点まで走行可能か否かを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段は、前記蓄電装置内の残存電力量を前記モード電費値で除して前記電動車のモード換算航続可能距離を算出し、前記電動車の現在地点と前記目的地点との間の残存走行距離から前記モード換算航続可能距離を差し引いた値が0以上であり、かつ前記モード換算航続可能距離の変動率が所定値以下となった場合に、前記電動車が前記目的地点まで走行できないと判断し、前記探索手段は、前記判断手段によって前記電動車が前記目的地点まで走行できないと判断された場合、前記残存電力を用いて走行可能な範囲に位置する充電施設を新たな目的地点とする経路を探索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動車の残存電力量情報とモード電費値とに基づいて、電動車が蓄電装置内の残存電力を用いて目的地点まで走行可能か否かを判断し、目的地点まで走行可能できないと判断された場合、残存電力を用いて走行可能な範囲に位置する充電施設を新たな目的地点とする経路を探索する。モード電費値は、電動車の過去の平均電費値と異なり常に一定の値なので、航続可能距離の算出タイミングに関わらず電欠判断を精度よくおこなうことができる。また、モード走行時と比較して著しく電費状態が悪いことを検知することができる。さらに、電欠と判断された場合、途中の充電施設に立ち寄るようにリルートをおこなうので、残存電力が不足して走行できなくなるのを防止することができる。
【0009】
本発明によれば、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値以上である場合に、目的地点まで走行できないと判断する。残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値以上であるとは、残存走行距離を走行するだけの残存電力が明らかにない場合である。これにより、走行中に他の充電施設に立ち寄って充電をおこなうことができ、残存電力が不足して走行ができなくなるのを防止することができる。
【0010】
本発明によれば、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が0以上であり、かつモード換算航続可能距離の変動率が所定値以下となった場合に、電動車が目的地点まで走行できないと判断する。これにより、回生力による発電などによって航続可能距離が多少延びたとしても目的地点まで到達できない可能性が高い場合に、途中の充電施設に立ち寄って充電をおこなうことができ、残存電力が不足して走行ができなくなるのを防止することができる。
【0011】
本発明によれば、モード換算航続可能距離の変動率を、今回算出したモード換算航続可能距離から前回算出したモード換算航続可能距離を引いた値をそれぞれのモード換算航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出する。すなわち、変動率とは単位時間当たりのモード換算航続可能距離変動を指す。モード換算航続可能距離の変動率を算出することによって、たとえば車両重量の変化やエアコンの稼働状態の変化などによって急激に残存電力量が変動したことを検知することができる。
【0012】
本発明によれば、モード換算航続可能距離を算出するとともに、過去の平均電費値に基づく航続可能距離を算出し、モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値以上である場合に、電動車が前記目的地点まで走行できないと判断する。過去の平均電費値に基づく航続可能距離は、現在の道路状況や車両状態を反映しているので、より確実に電欠判断をおこなうことができる。
【0013】
本発明によれば、モード換算航続可能距離の変動率から航続可能距離の変動率を差し引いた値が所定値以上となった場合に、電動車が目的地点まで走行できないと判断する。これにより、モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値未満である場合でも、電欠の可能性がある場合にはリルートをおこなうことができる。
【0014】
本発明によれば、モード換算航続可能距離および航続可能距離の変動率を算出するので、残存電力量、電費の変動をより精確に検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるナビゲーション装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態)
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
図1は、実施の形態にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。実施の形態にかかるナビゲーション装置100は、蓄電装置(バッテリ)に蓄電された電力を用いて走行する電動車に搭載され、CPU101、ROM102、RAM103、記録メディアドライブ104、記録メディア105、音声I/F106、マイク107、スピーカ108、入力デバイス109、映像I/F110、ディスプレイ111、通信I/F112、GPSユニット113、車両情報I/F114よって構成される。各構成部101〜114は、バス120によって接続されている。
【0018】
CPU101は、ナビゲーション装置100の全体の制御を司る。ROM102は、ブートプログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、現在地点算出プログラム、電欠判断プログラムなどの各種プログラムを記録している。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0019】
記録メディアドライブ104は、CPU101の制御にしたがって記録メディア105に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。記録メディア105は、記録メディアドライブ104の制御の制御にしたがってデータが読み書きされる記録媒体である。記録メディア105には、経路誘導や経路探索に用いる地図データなどが記録されている。記録メディア105としては、たとえば、HD(ハードディスク)やDVD、メモリーカードなどを用いることができる。
【0020】
音声I/F106は、マイク107およびスピーカ108に接続され、音声の入出力を制御する。マイク107は、ユーザが発話した音声を集音して音声データに変換する。スピーカ108は、経路誘導用音声や楽曲などの音声コンテンツを出力する。入力デバイス109は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、タッチパネル、操作ボタンなどである。また、入力デバイス109として、ユーザの操作指示音声を集音するマイク107を用いてもよい。
【0021】
映像I/F110は、ディスプレイ111と接続され、ディスプレイ111における画像表示を制御する。ディスプレイ111には、車両周辺の地図データの他、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ111に表示された地図データには、ナビゲーション装置100を搭載した車両の現在地点をあらわすマークなどを重ねて表示することができる。
【0022】
通信I/F112は、無線を介してネットワークに接続され、ネットワークとCPU101とのインターフェースとして機能する。GPSユニット113は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在地点を示す情報を出力する。GPSユニット113からの出力情報は、後述する車両情報I/F114からの出力情報とともに、CPU101による車両の現在地点の算出に際して利用される。
【0023】
車両情報I/F114は、車両本体から車両の状態を示す車両情報が入力される。車両情報とは、たとえば、バッテリの残存電力量情報や車速情報、加速度情報などである。車両情報I/F114から得られた情報は、ナビゲーション装置100における電欠判断処理や経路探索処理などに用いられる。
【0024】
(ナビゲーション装置100による電欠判断処理の概要)
ナビゲーション装置100は、ユーザから設定された目的地点への経路を探索してその経路を提示するとともに、車両の走行中にそれぞれの地点における誘導情報(たとえば、「300m先右折です」など)を出力して、車両が目的地点まで到達できるようにする。ここで、ナビゲーション装置100が搭載された車両は電力を動力源とする電動車であり、目的地点までの必要電力を確保しながら走行する必要がある。具体的には、たとえば、目的地点が設定された際に車両の残存電力量情報を取得して、目的地点まで到達できるだけの電力があるか否かを判断し、目的地点まで到達できるだけの電力がない場合は、経路途中にある充電施設を立ち寄り地点として設定して、充電をおこなわせる方法がある。
【0025】
しかしながら、電動車の航続可能距離は、車両負荷(たとえば、走行抵抗やエアコンの稼働状態など)によって変動するため、当初設定していた目的地点までに電力不足(電欠)になる可能性がある。このため、ナビゲーション装置100は、車両の走行中に随時バッテリ内の残存電力を用いて目的地点まで走行可能か否か、すなわち電欠状態になるか否かを判断し、電欠状態になると判断した場合、残存電力を用いて走行可能な範囲に位置する充電施設を新たな目的地点とする経路を探索する(リルート)。
【0026】
ここで、従来技術では、車両の過去の平均電費値と残存電力量とから航続可能距離の理想値を用いて電欠判断をおこなっている。以下の説明において、過去の平均電費値を用いて算出した航続可能距離を「航続可能距離」という。
【0027】
図2は、従来技術にかかる電欠判断方法を模式的に示す説明図である。
図2のグラフにおいて、縦軸は航続可能距離であり、横軸は実走行距離である。また、
図2のグラフにおいて、実線は実際の航続可能距離値、破線は地点Aにおける航続可能距離理想値、二点破線は地点Bにおける航続可能距離理想値である。ここで、理想値とは、車両1km走行するごとに平均電費値の1km分の電力が減少する状態を示したものである。
【0028】
車両が距離Xにある目的地点まで走行を開始すると、実線で示す航続可能距離値は減少していく。地点Aにおいて航続可能距離(過去の平均電費値×残存電力量)を算出し、その理想値をグラフ上に示すと破線のようになる。その後走行を継続し、地点Bにおいて航続可能距離を算出し、その理想値をグラフ上に示すと二点破線のようになる。このように、従来技術にかかる方法で算出した航続可能距離は、その算出地点によって異なる値となる。
【0029】
ここで、実際の航続可能距離が航続可能理想値から所定値下回った場合に電欠状態になると判断する場合、いずれの地点で算出した航続可能距離理想値を用いるかによって、電欠状態になると判断されるタイミングが異なる。たとえば、実際の航続可能距離が航続可能理想値から矢印Y以上下回った場合に電欠状態になると判断する場合、地点Bにおける航続可能距離値を用いると地点B’で電欠状態になると判断されるのに対して、地点Aにおける航続可能距離理想値を用いると地点A’で電欠状態になると判断される。地点A’のように目的地点直前で、しかも実際の航続可能距離がかなり少なくなった状態で電欠状態と判断された場合、電欠回避のための措置が取りにくくなってしまう。
【0030】
このため、本実施の形態にかかるナビゲーション装置100では、航続可能距離理想値に代えて、車両のモード走行時の電費値(モード電費値)から算出したモード換算航続可能距離を用いて電欠状態になるか否かの判断をおこなう。車両のモード電費値は一意の値のため、航続可能距離の算出タイミングに関わらずに比較することができ、また、モード走行時と比較して著しく電費状態が悪いことを検知することができ、電欠判断をより精度よくおこなうことができる。以下の説明において、車両のモード電費値を用いて算出した航続可能距離を「モード換算航続可能距離」という。
【0031】
図3は、ナビゲーション装置100における電欠判断方法の一例を模式的に示す説明図である。
図3のグラフにおいて、縦軸は航続可能距離であり、横軸は実走行距離である。また、
図3のグラフにおいて、実線は実際の航続可能距離値、一点破線はモード換算航続可能距離値である。ナビゲーション装置100では、車両の走行中に随時残存電力量情報を取得して、下記式(1)によってモード換算航続可能距離を算出する。
モード換算航続可能距離(km)=残存電力量(kWh)÷モード電費値(kWh/km)・・・(1)
【0032】
また、ナビゲーション装置100は、走行開始から現在までの航続可能距離の変動に基づいて、下記式(2)に示す航続可能距離推定値を算出する。航続可能距離推定値は、今後の走行における航続可能距離の変動を推定する値である。なお、下記式(2)において単位距離は1kmとする。すなわち、1kmごとに航続可能距離をサンプリングして航続可能距離推定値の算出に用いる。
航続可能距離推定値(km)=航続可能距離(km)/単位距離あたりの航続可能距離の変動値
単位距離あたりの航続可能距離の変動値=航続可能距離前回値(km)−航続可能距離今回値(km)・・・(2)
【0033】
そして、実際の航続可能距離がモード換算航続可能距離から矢印Y以上下回り、かつ航続可能距離推定値が現在地から目的地までの距離よりも小さい場合には、残存電力量のみでは目的地点まで到達できない可能性が高いため、電欠状態になると判断する。すなわち、
図3の例では、目的地がX1の地点にある場合は、航続可能距離推定値が現在地から目的地までの距離よりも大きいので電欠状態になるとは判断しない。一方、目的地がX2の地点にある場合は、航続可能距離推定値が現在地から目的地までの距離よりも小さいので電欠状態になると判断する。
【0034】
図4は、ナビゲーション装置100における電欠判断方法の他の例を模式的に示す説明図である。
図4のグラフにおいても、
図3と同様に、縦軸は航続可能距離、横軸は実走行距離、実線は実際の航続可能距離値、一点破線はモード換算航続可能距離値である。
図4に示すように、実際の航続可能距離値とモード換算航続可能距離値とがほぼ同じ動きをしている場合、
図3に示すような方法では、明らかに目的地点まで到達できない場合であっても電欠状態となることが判断できなくなってしまう。
【0035】
このため、ナビゲーション装置100は、以下のような場合にも、電欠状態となり目的地点まで走行できないと判断し、リルートをおこなう。なお、以下の説明における「所定値」とは、それぞれ異なる値であり、たとえば車両の電費特性やエアコンの稼動状態などの車両負荷によって設定する。また、たとえば経路周囲の充電設備数などによって所定値を設定してもよい。
【0036】
1.車両の現在地点と目的地点との間の残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値(>0)以上である場合(残存電力量のみでは明らかに目的地点まで到達できない場合)
2.残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が0以上であり、かつモード換算航続可能距離の変動率が所定値以下となった場合(残存電力量の減少率が大きい場合)
3.モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値以上であり、かつ航続可能距離推定値から残存走行距離を差し引いた値が0以下となった場合(モード走行時と実際の走行状態が著しく乖離している場合)
4.モード換算航続可能距離の変動率から航続可能距離の変動率を差し引いた値が所定値以上であり、かつ航続可能距離推定値から残存走行距離を差し引いた値が0以下となった場合(電費が著しく悪くなった場合)
【0037】
なお、モード換算航続可能距離の変動率は、今回算出したモード換算航続可能距離から前回算出したモード換算航続可能距離を差し引いた値を、それぞれのモード換算航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出する。また、航続可能距離の変動率は、今回算出したモード換算航続可能距離から前回算出したモード換算航続可能距離を引いた値をそれぞれの航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出する。
【0038】
また、上述したモード電費値とは、車両の走行性能を評価するために測定された単位走行距離あたりの必要電力量であり、ガソリン自動車における「モード燃費」と同義である。一般的な自動車(乗用車)のモード電費は、
図5に示す10・15モードまたはJC08モードで測定した電費によってあらわされる。また、モードとは10・15モードJC08モードに限定されるものではなく、電費を測定する走行モードとする。
図5は、電費測定モードの概要を示す説明図である。
図5のグラフにおいて、縦軸は車速、横軸は時間を示している。また、
図5(a)は10・15モード、(b)はJC08モードを示している。モード電費値は、
図5で示すような走行条件で走行をおこなって算出された単位電力量あたりの走行可能距離である。ナビゲーション装置100は、車両の発売元から提供される当該車両のモード電費値を記憶しておき、電欠判断処理に用いる。
【0039】
(ナビゲーション装置100によるナビゲーション処理)
つづいて、ナビゲーション装置100による電欠判断処理を含む一連のナビゲーション処理の手順を示す。
図6は、ナビゲーション装置100によるナビゲーション処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図6の処理は、
図1に示したROM102、RAM103、記録メディア105などに記録された各種データを用いて、CPU101が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置100における各部を制御することによって実行される。また、
図6においては、表記の便宜上、「モード換算航続可能距離」を「モード航続距離」としている。
【0040】
図6のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置100は、まず、ユーザによって目的地点が設定されるまで待機する(ステップS601:Noのループ)。目的地点が設定されると(ステップS601:Yes)、ナビゲーション装置100は、目的地点までの経路を探索し(ステップS602)、探索した経路をユーザに提示する(ステップS603)。ユーザは提示された経路を確認して、車両の走行を開始させる。この時点で、目的地点まで到達できるだけの電力が明らかに不足している場合は、途中にある充電施設を立ち寄り地点として設定して、充電をおこなわせるようにしてもよい。
【0041】
ナビゲーション装置100は、ステップS602で探索した経路に沿った誘導情報を出力するとともに、車両情報I/F114を介して、バッテリ内の残存電力量情報を取得する(ステップS604)。つぎに、ナビゲーション装置100は、車両の過去の平均電費値と残存電力量とから、航続可能距離を算出する(ステップS605)。また、ナビゲーション装置100は、車両のモード電費値と残存電力量とから、モード換算航続可能距離を算出する(ステップS606)。さらに、ナビゲーション装置100は、車両の現在地点と目的地点との間の距離である残存走行距離を算出とともに(ステップS607)、ステップS605で算出した航続可能距離と、単位距離あたりの航続可能距離の変動値とを用いて、航続可能距離推定値を算出する(ステップS608)。
【0042】
つづいて、ナビゲーション装置100は、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引き、その値が所定値(>0)以上であるか否かを判断する(ステップS609)。残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値以上の場合(ステップS609:Yes)、残存電力量のみでは明らかに目的地点まで到達できず、電欠となる可能性が高いものとして、ステップS616に移行する。
【0043】
一方、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値未満の場合(ステップS609:No)、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が0以上であるか否かを判断する(ステップS610)。残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が0未満である場合は(ステップS610:No)、ステップS612に移行する。
【0044】
一方、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が0以上である場合(ステップS610:Yes)、モード換算航続可能距離の変動率が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS611)。モード換算航続可能距離の変動率が所定値以下である場合(ステップS611:Yes)、残存電力量の減少率が大きく電欠となる可能性が高いものとして、ステップS616に移行する。
【0045】
一方、モード換算航続可能距離の変動率が所定値より大きい場合(ステップS611:No)、ステップS608で算出した航続可能距離推定値から残存走行距離を差し引いた値が0以下であるか否かを判断する(ステップS612)。航続可能距離推定値から残存走行距離を差し引いた値が0より大きい場合は(ステップS612:No)、ステップS615に移行する。
【0046】
一方、航続可能距離推定値から残存走行距離を差し引いた値が0以下の場合は(ステップS612:Yes)、モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS613)。モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値以上である場合は(ステップS613:Yes)、モード走行時と実際の走行状態が著しく乖離しており、電欠となる可能性が高いものとして、ステップS616に移行する。
【0047】
一方、モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値未満である場合(ステップS613:No)、モード換算航続可能距離の変動率から航続可能距離の変動率を差し引いた値が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS614)。モード換算航続可能距離の変動率から航続可能距離の変動率を差し引いた値が所定値以上である場合(ステップS614:Yes)、電費が著しく悪くなっており、電欠となる可能性が高いものとして、ステップS616に移行する。
【0048】
一方、モード換算航続可能距離の変動率から航続可能距離の変動率を差し引いた値が所定値未満の場合(ステップS614:No)、現時点では電欠となる可能性は低いものとして、ステップS605〜S608で算出した各算出値を記録する(ステップS615)。
【0049】
また、ステップS609,S611,S613,S614において、電欠となる可能性が高いと判断した場合、ナビゲーション装置100は、ディスプレイ111などに電欠となる可能性が高い旨を表示するとともに、近隣(またはステップS602で探索した経路周辺)の充電施設を立ち寄り地点として経路を再探索する(ステップS616)。ナビゲーション装置100は、再探索したルートを提示して、ユーザにリルートを承認するか否かを確認する(ステップS615)。リルートが承認された場合は(ステップS617:Yes)、リルート後の経路に沿って経路誘導をおこなう(ステップS618)。一方、リルートが承認されなかった場合は(ステップS617:No)、ステップS619に移行する。
【0050】
ナビゲーション装置100は、車両が目的地点に到達するまでは(ステップS619:No)、ステップS604に戻り、以降の処理をくり返す。そして、車両が目的地点に到達すると(ステップS619:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0051】
以上説明したように、実施の形態にかかるナビゲーション装置100は、車両の残存電力量情報とモード電費値とに基づいて、車両のバッテリ内の残存電力を用いて目的地点まで走行可能か否かを判断し、目的地点まで走行可能できないと判断された場合、残存電力を用いて走行可能な範囲に位置する充電施設を新たな目的地点とする経路を探索する。モード電費値は、過去の平均電費値と異なり常に一定の値なので、航続可能距離の算出タイミングに関わらず電欠判断を精度よくおこなうことができる。また、モード走行時と比較して著しく電費状態が悪いことを検知することができる。さらに、電欠と判断された場合、途中の充電施設に立ち寄るようにリルートをおこなうので、残存電力が不足して走行できなくなるのを防止することができる。
【0052】
また、ナビゲーション装置100は、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が所定値以上である場合に、目的地点まで走行できないと判断するので、残存走行距離を走行するだけの残存電力が明らかにない場合に、他の充電施設に立ち寄って充電をおこなうことができ、残存電力が不足して走行ができなくなるのを防止することができる。
【0053】
また、ナビゲーション装置100は、残存走行距離からモード換算航続可能距離を差し引いた値が0以上であり、かつモード換算航続可能距離の変動率が所定値以下となった場合に、目的地点まで走行できないと判断する。これにより、回生力による発電などによって航続可能距離が多少延びたとしても目的地点まで到達できない可能性が高い場合に、途中の充電施設に立ち寄って充電をおこなうことができ、残存電力が不足して走行ができなくなるのを防止することができる。また、ナビゲーション装置100は、モード換算航続可能距離の変動率を、今回算出したモード換算航続可能距離から前回算出したモード換算航続可能距離を差し引いた値をそれぞれのモード換算航続可能距離を算出タイミングの時間間隔で除して算出する。モード換算航続可能距離の変動率を算出することによって、たとえば車両重量の変化やエアコンの稼働状態の変化などによって急激に残存電力量が変動したことを検知することができる。
【0054】
また、ナビゲーション装置100は、モード換算航続可能距離を算出するとともに、過去の平均電費値に基づく航続可能距離を算出し、モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値以上である場合に、目的地点まで走行できないと判断する。過去の平均電費値に基づく航続可能距離は、現在の道路状況や車両状態を反映しているので、より確実に電欠判断をおこなうことができる。
【0055】
また、ナビゲーション装置100は、モード換算航続可能距離の変動率から航続可能距離の変動率を差し引いた値が所定値以上となった場合に、目的地点まで走行できないと判断する。これにより、モード換算航続可能距離から航続可能距離を差し引いた値が所定値未満である場合でも、電欠の可能性がある場合にはリルートをおこなうことができる。また、ナビゲーション装置100は、モード換算航続可能距離および航続可能距離の変動率を算出するので、残存電力量、電費の変動を精確に検知することができる。