(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、静止画像に含まれる被写体像の位置が一致しない等の理由により、HDR画像を作成できない場合がある。撮像素子が連続的に出力する画像からHDR画像を作成し、複数のHDR画像を連続的に結合して動画を作成する場合、HDR画像が作成できないと、動画もまた作成できない。天体観察などの分野では、長時間、例えば一晩にわたって静止画像を撮像し、これらを結合して動画を作成するニーズがある。これらの処理は、自動的に実行され、撮影開始前から撮影完了までユーザは撮像装置を放置しておくことが可能である。このような撮像装置にHDR画像を用いると、画角内に異物が急に侵入して撮像された場合などに、異物が障害となって被写体像の位置が一致しなくなり、HDR画像を作成できなくなる。HDR画像を作成できなければ、動画もまた作成できない。そのため、長時間に渡って撮影したにもかかわらず、動画が作成されないおそれが生じる。
【0005】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、所望の被写体を撮影したHDR画像から成る動画を作成する撮像装置、動画作成方法及び動画作成プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による撮像装置は、露出が異なる複数の静止画像を所定の時間間隔で撮像する撮像部と、静止画像を複数合成して合成静止画像を作成する合成静止画像作成部と、合成静止画像を複数結合して動画を作成する動画作成部とを備え、合成静止画像作成部が合成静止画像を作成できなかった場合、合成静止画像作成部は偽合成静止画像を作成し、動画作成部は偽合成静止画像を用いて動画を作成することを特徴とする。
【0007】
偽合成静止画像は、合成静止画像を作成するために用いられた静止画像のうちの1つが好適である。
【0008】
合成静止画像作成部は、合成静止画像を作成できなかった場合、合成静止画像を作成するために用いられた静止画像のうち、最も適正に露光された静止画像を用いて偽合成静止画像を作成することが好ましい。
【0009】
合成静止画像作成部は、合成静止画像を作成できなかった場合、合成静止画像を作成するために用いられた静止画像のうちの1つの静止画像の輝度分布を調整して得られた画像を用いて偽合成静止画像を作成してもよい。
【0010】
合成静止画像作成部は、合成静止画像を作成できなかった場合、合成静止画像を作成するために用いられた静止画像のうち、最も適正に露光された静止画像の輝度分布を調整して得られた画像を用いて偽合成静止画像を作成しても良い。
【0011】
撮像装置は、被写体に光学部材を合焦させる合焦部をさらに備え、合成静止画像作成部が合成静止画像を作成できず、かつ静止画像が含む被写体像にピントが合っていない場合、合焦部は被写体に光学部材を合焦させ、撮像部は、露出が異なる複数の静止画像を所定の時間間隔で再度撮像し、合成静止画像作成部は、再度撮像された静止画像を複数合成して合成静止画像を作成しても良い。
【0012】
合成静止画像を作成できなかった回数が所定回数に達するまで、合成静止画像作成部は合成静止画像を作成することが好ましい。
【0013】
合成静止画像を作成できなかった回数が所定回数に達した場合、動画作成部は動画の作成を中断しても良い。
【0014】
合成静止画像作成部は、静止画像に含まれる被写体像が所定数以上の静止画像において一致しない場合、合成静止画像を作成できなかったと判断することが好ましい。
【0015】
合成静止画像作成部は、ピントが合っていない被写体像を有する静止画像がある場合、合成静止画像を作成できなかったと判断しても良い。
【0016】
撮像装置を複数の撮影モードで動作させる制御部と、被写体に光学部材を合焦させる合焦部とをさらに備え、撮影モードは、シャッターレリーズが押し下げられたとき、被写体に光学部材が合焦していなくても撮像動作を行うシャッターレリーズ優先モードを有し、撮像装置がシャッターレリーズ優先モードにあるとき、合焦部が撮像時までに被写体に光学部材を合焦させていない場合、合成静止画像作成部は、被写体像にピントが合っていないと判断することが好ましい。
【0017】
撮像装置を複数の撮影モードで動作させる制御部と、被写体に光学部材を合焦させる合焦部とをさらに備え、撮影モードは、シャッターレリーズが押し下げられても、被写体に光学部材が合焦するまで撮像動作を行わないフォーカス優先モードを有し、撮像装置がフォーカス優先モードにあるとき、静止画像のコントラストが閾値未満である場合に、被写体像にピントが合っていないと判断しても良い。
【0018】
本願第2の発明による動画作成方法は、露出が異なる複数の静止画像を所定の時間間隔で撮像するステップと、静止画像を複数合成して合成静止画像を作成するステップと、合成静止画像を複数結合して動画を作成するステップと、合成静止画像を作成できなかった場合、合成静止画像を作成するために用いられた静止画像のうちの1つを用いて偽合成静止画像を作成し、合成静止画像の代わりに偽合成静止画像を用いて動画を作成するステップとを備えることを特徴とする。
【0019】
本願第3の発明による動作作成ソフトウェアは、露出が異なる複数の静止画像を所定の時間間隔で撮像部に撮像させるステップと、静止画像を複数合成して合成静止画像を合成静止画像作成部に作成させるステップと、合成静止画像を複数結合して動画を動画作成部に作成させるステップと、合成静止画像作成部が合成静止画像を作成できなかった場合、合成静止画像を作成するために用いられた静止画像のうちの1つを用いて偽合成静止画像を合成静止画像作成部に作成させ、偽合成静止画像を用いて動画を動画作成部に作成させステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、HDR画像を用いて所望の被写体を含む動画を作成する撮像装置、動画作成方法及び動画作成プログラムを得る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施形態による撮像装置について
図1から6を用いて説明する。
図1は、撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラ100を示す。
図1を用いてデジタルカメラ100の構成について説明する。
【0023】
デジタルカメラ100は、複数の静止画像を結合して動画を作成する機能を有し、光学部材である撮影レンズ101、撮像部102、メモリ103、HDR合成部104、再撮影判断部105、合焦部であるAF部106、追加フレーム判断部107、画像処理部108、動画作成部であるフレーム追加部109、及びメモリーカードから成る画像保存部110を主に備える。メモリ103、HDR合成部104、再撮影判断部105、追加フレーム判断部107、画像処理部108、及びフレーム追加部109が合成静止画像作成部を成す。
【0024】
撮影レンズ101は着脱自在となるようにデジタルカメラ100に取り付けられる。撮像部102はCCDを備える。撮影レンズ101がCCDに被写体像を結像させ、CCDは被写体像を連続的に撮像して複数の静止画像を出力する。
【0025】
HDR合成部104は、撮像部102から静止画像を受信して、合成静止画像、すなわちHDR画像を作成する。HDR画像(High Dinamic Range画像)とは、ダイナミックレンジを拡大した画像であって、露出が異なる複数の静止画像を合成することにより作成される。本実施形態では、露出が異なる3枚の静止画像を合成して1枚のHDR画像を得る。HDR合成部104は制御部を成し、デジタルカメラ100を複数の撮影モードで動作させる。撮影モードは、例えばフォーカス優先モード、シャッターレリーズ優先モードである。フォーカス優先モードで動作しているデジタルカメラ100は、シャッターレリーズが押し下げられたとき被写体に撮影レンズ101が合焦していない場合であっても、撮像動作を行う。シャッターレリーズ優先モードで動作しているデジタルカメラ100は、シャッターレリーズが押し下げられたときに撮影レンズ101が被写体に合焦していない場合、撮影レンズ101が被写体に合焦するまで撮像動作を行わず、撮影レンズ101が被写体に合焦してから撮像動作を行う。
【0026】
再撮影判断部105は、HDR合成部104がHDR画像を作成できなかったとき、撮像部102に再度静止画像を撮影させるか否かを判断し、再度撮影させると判断したときには、その旨の命令を撮像部102に送信する。HDR合成部104がHDR画像を作成できないときとは、例えば静止画像内の被写体像の位置が静止画像によって大きく異なる場合、照明光によりフリッカが入っている場合等がある。
【0027】
AF部106は、撮影レンズ101の焦点を被写体に合致させる回路である。撮像部102が撮像した静止画像を参照して、撮影レンズ101の焦点を被写体に合わせる。また、再撮影判断部105が再度静止画像を撮像部102に撮影させると判断したとき、AF部106は撮影レンズ101の焦点をもう一度被写体に合わせ直す処理を行う。
【0028】
追加フレーム判断部107は、HDR画像を動画に結合するか否かを判断する。この判断では、HDR合成部104がHDR画像を作成できたときには、HDR画像を動画に結合すると判断して、フレーム追加部109がHDR画像を動画に結合する。HDR画像を作成できないときには、HDR画像を動画に結合しないと判断して、後述するように、偽合成静止画像である偽HDR画像を動画に結合、動画作成を中止、あるいは再度撮影を行ってHDR画像を再度作成する、等の処理を行う。
【0029】
画像処理部108は、偽HDR画像を作成する。偽HDR画像は、HDR合成部104がHDR画像を作成できないときに、1枚の静止画像を用いて作成される画像である。
【0030】
フレーム追加部109は、HDR画像又は偽HDR画像を動画に追加する。そして、画像保存部110が動画を保存する。
【0031】
メモリ103は、撮像部102、HDR合成部104、及び画像処理部108が出力した画像を一時的に記憶する。
【0032】
次に、デジタルカメラ100の機能について説明する。まず、デジタルカメラ100の機能を概略的に説明すると、デジタルカメラ100は、露出が異なる複数の静止画像を撮影し、複数の静止画像を結合してHDR画像を作成する。そして、複数のHDR画像を時系列に並べて結合することにより動画を作成する。これにより、ユーザはHDR画像から成る動画を得ることができる。
【0033】
静止画像の撮影からHDR画像を作成するまでの工程について
図2を用いて説明する。撮像部102は、アンダー露出、適正露出、そしてオーバー露出のように各々露出が異なる3枚の複数の静止画像を順次撮影する。より詳しく説明すると、次の撮影が可能になり次第、次の異なる露出の静止画像を撮影する。そして、これを5秒ごとに繰り返す。つまり、撮像部102は5秒ごとに3枚の静止画像を撮影する。HDR合成部104は、これらの3枚の静止画像を合成して、1枚のHDR画像を作成する。そして、フレーム追加部109が複数のHDR画像を撮影順に並べて結合し、動画を作成する。動画は、例えば30fpsのフレームレートを有する。つまり、1800枚のHDR画像を使用して1分の動画が作成される。
【0034】
HDR合成部104がHDR画像を作成できないとき、画像処理部108が偽HDR画像を作成する。偽HDR画像は、適正露出で撮影された静止画像の輝度分布であるヒストグラムを操作することにより作成される。静止画像のヒストグラムが左側、つまり低輝度側に偏っている場合、ヒストグラム全体を右側、つまり高輝度側に移動させると共に、低輝度側に引き延ばす。言い換えると、静止画像を構成する各ピクセルの輝度を所定値だけ増やした後に、1以下の所定値を各ピクセルの輝度に乗じて、輝度を下げる。あるいは、静止画像のヒストグラムが右側、つまり高輝度側に偏っている場合、ヒストグラム全体を左側、つまり低輝度側に移動させると共に、高輝度側に引き延ばす。言い換えると、静止画像を構成する各ピクセルの輝度を所定値だけ減らした後に、1以上の所定値を各ピクセルの輝度に乗じて、輝度を上げる。静止画像のヒストグラムが左右に偏らず、かつ中央に集中している場合、ヒストグラム全体を高輝度側及び低輝度側に引き延ばす。言い換えると、平均値よりも大きい輝度に対して1以上の所定値を乗じて輝度を上げ、平均値よりも小さい輝度に対して1以下の所定値を乗じて輝度を下げる。これらの処理を行った後に、コントラストが高くなるようにヒストグラムを調整し、彩度を調整して、偽HDR画像を作成する。そして、フレーム追加部109が、HDR画像の代わりに偽HDR画像を動画に追加して、動画を作成する。
【0035】
次に、
図3を用いて第1の動画作成処理について説明する。第1の動画作成処理は、デジタルカメラ100が動画を開始したときに実行される。
【0036】
まず、ステップS301では、撮像部102が、アンダー露出、適正露出、そしてオーバー露出の静止画像を1枚ずつ撮影する。そして、HDR合成部104が、これらの3枚の静止画像を合成して、1枚のHDR画像を作成する。
【0037】
次のステップS302では、後述する合成成功判断処理を実行する。合成成功判断処理は、HDR画像の作成が成功したか否かを判断する処理である。HDR画像の作成が成功したときとは、静止画像に含まれる被写体像がずれることなく3枚の静止画像を合成できたときである。HDR画像の作成が失敗したときとは、静止画像に含まれる被写体像が所定値以上ずれているために、3枚の静止画像を合成できなかったときである。
【0038】
次のステップS303では、後述するHDR再撮影判断処理を実行する。HDR再撮影判断処理は、HDR画像の作成を失敗したときに、再度撮影を行うか否かを判断する処理である。所定の条件に合致したときに、再度撮影を行い、HDR画像を作成する。
【0039】
次のステップS304では、ステップS302又はHDR再撮影判断処理においてHDR画像の作成に失敗したと判断したか否かを判断する。成功したと判断していた場合、処理はステップS305に進み、ステップS301又はHDR再撮影判断処理において作成されていたHDR画像を動画に追加する。HDR画像の作成に失敗したと判断していた場合、処理はステップS306に進む。
【0040】
ステップS306では、HDR画像の代わりに適正露出の静止画像を動画に追加するか否かを判断する。追加するか否かは、ユーザが予めデジタルカメラ100に設定しておくことが可能である。適正露出の静止画像を動画に追加する場合、処理はステップS307に進み、追加しない場合、処理はステップS308に進む。
【0041】
ステップS307では、HDR画像の代わりに適正露出の静止画像を動画に追加する。そして、ステップS310に進む。
【0042】
ステップS308では、後述する第1の偽HDR画像作成処理を実行する。第1の偽HDR画像作成処理は、適正露出で撮影された静止画像を画像処理して偽HDR画像を作成する処理である。偽HDR画像を作成した後に、処理はステップS309に進む。
【0043】
ステップS309では、HDR画像の代わりに偽HDR画像を動画に追加する。そして、ステップS310に進む。
【0044】
ステップS310では、HDR画像の作成において失敗を許容できる回数が予めユーザにより設定されているか否かを判断する。この回数は失敗回数といい、HDR画像作成の失敗を連続して何回まで許容できるか定めた数である。失敗回数が設定されている場合、処理はステップS311に進み、設定されていない場合、処理はステップS313に進む。
【0045】
ステップS311では、失敗回数以上、連続してHDR画像の作成を失敗したか否かを判断する。失敗回数以上に失敗している場合、処理はステップS312に進み、動画の作成を終了する。失敗していない場合、処理はステップS313に進む。
【0046】
ステップS313では、動画の作成を継続する。
【0047】
次に、
図4を用いて合成成功判断処理について説明する。合成成功判断処理は、第1の動画作成処理のステップS302においてHDR合成部104により実行される。
【0048】
始めのステップS41では、アンダー露出、適正露出、そしてオーバー露出の静止画像から被写体像の輪郭を各々抽出し、被写体像の輪郭のみから成る輪郭画像を静止画像ごとに作成する。つまり、輪郭画像が3枚作成される。
【0049】
次のステップS42では、3枚の輪郭画像を比較して、被写体像の輪郭のズレが許容範囲内か否かを判断する。許容範囲内である場合、処理はステップS43に進み、許容範囲内でない場合、処理はステップS46に進む。
【0050】
次のステップS43では、3枚の輪郭画像を比較して、被写体像の輪郭を構成するピクセルの数が略同じか否かを判断する。略等しい場合、処理はステップS44に進み、そうでない場合、処理はステップS46に進む。
【0051】
次のステップS44では、3枚の輪郭画像の露光が正しいか否かを判断する。この判断は、各静止画像を構成するピクセルのうち、輝度値が所定範囲内にあるピクセルの割合が所定範囲内にあるときに露光が正しいと判断する。すなわち、適正露出の静止画像が適正露出で撮影されており、アンダー露出の静止画像がアンダー露出で撮影されており、オーバー露出の静止画像がオーバー露出で撮影されているときに露光が正しいと判断する。露光が正しい場合、処理はステップS45に進み、正しくない場合、処理はステップS46に進む。
【0052】
ステップS45では、HDR画像の作成が成功したと判断して、成功フラグを立てる。一方、ステップS46では、HDR画像の作成が失敗したと判断して、失敗フラグを立てる。そして、処理が終了する。
【0053】
すなわち、各輪郭画像における被写体像の輪郭のズレが許容範囲内であり、各輪郭画像において被写体像の輪郭を構成するピクセルの数が略同じであり、かつ各輪郭画像の露光が正しい場合に、HDR画像の作成が成功する。他方、これらの条件のいずれか1つでも満たさないときには、HDR画像の作成は失敗している。
【0054】
次に、
図5を用いてHDR再撮影判断処理について説明する。HDR再撮影判断処理は、第1の動画作成処理のステップS303において再撮影判断部105により実行される。
【0055】
始めのステップS51では、HDR画像の作成が成功したか否かを判断する。つまり、成功フラグ又は失敗フラグのいずれが立っているかを判断する。成功している場合、処理はステップS52に進み、失敗している場合、処理は終了する。
【0056】
ステップS52では、HDR画像の作成を失敗回数だけ繰り返し実行したか、つまりHDR画像の作成に連続的に失敗した数が失敗回数を超えたか否かを判断する。超えている場合、処理は終了し、超えていない場合、処理はステップS53に進む。
【0057】
ステップS53では、静止画像を再度撮影するか否かを判断する。再度撮影するか否かについては、ユーザがデジタルカメラ100に予め設定済みである。
【0058】
ステップS54では、適正露出、アンダー露出、及びオーバー露出の静止画像に対して、後述するピント判断処理を実行する。ピント判断処理は、HDR画像の作成に失敗した理由が静止画像のピントにあるか否かを判断する処理であり、静止画像のコントラストが閾値未満である場合に、被写体像にピントが合っていないと判断する。ピントがずれていると、被写体像の輪郭がぼけるため、合成成功判断処理のステップS42及びS43において輪郭のズレや輪郭を構成するピクセルの数が静止画像どうしで合わなくなる。そのため、ピント判断処理を実行して、HDR画像の作成に失敗した原因がピントにあるかどうかを判断し、ピントに原因があるときには、再度被写体に撮影レンズ101を合焦させて撮影を行う。
【0059】
ステップS55では、HDR画像の作成に失敗した理由が静止画像のピントにあるとき、処理をステップS56進め、ピントにないとき処理をステップS57に進める。
【0060】
ステップS56では、AF部106が撮影レンズ101を制御して、再度被写体に撮影レンズ101を合焦させる。そして、処理がステップS57に進む。
【0061】
ステップS57では、第1の動画作成処理のステップS31と同様の処理を行う。つまり、露出が異なる3枚の静止画像を撮像部102が撮影し、HDR合成部104が3枚の静止画像を合成してHDR画像を作成する。
【0062】
ステップS58では、合成成功判断処理を実行して、HDR画像の作成が成功したか否かを判断する。その後、再度S51から処理を実行する。
【0063】
HDR再撮影判断処理を実行することにより、ピントのずれによりHDR画像の作成に失敗したとき、再度被写体に撮影レンズ101を合焦させてHDR画像の作成を再度失敗することを防止することができる。
【0064】
次に、
図6を用いてピント判断処理について説明する。ピント判断処理は、デジタルカメラ100がフォーカス優先モードにあるとき、静止画像のコントラストが閾値未満である場合に、被写体像にピントが合っていないと判断する処理であり、HDR再撮影判断処理のステップS54において再撮影判断部105により実行される。
【0065】
始めのステップS61では、撮影レンズ101を被写体に自動で合焦させるフォーカス優先モードでHDR合成部104がデジタルカメラ100を動作させているか否かを判断する。デジタルカメラ100がフォーカス優先モードにあるとき、シャッターレリーズが押し下げられても、被写体に撮影レンズ101が合焦するまでデジタルカメラ100は撮像動作を行わない。フォーカス優先モードになっている場合、処理はステップS62に進む。フォーカス優先モードになっていない場合、ユーザがピントを決定しているため、処理は終了する。
【0066】
ステップS62では、適正露出、アンダー露出、及びオーバー露出の静止画像全体に含まれる輪郭を各々抽出し、被写体像の輪郭のみから成る輪郭画像を静止画像ごとに作成する。つまり、輪郭画像が3枚作成される。
【0067】
次のステップS63では、被写体像の輪郭を構成するピクセルの数が、静止画像全体の輪郭を構成するピクセルに占める割合を求める。
【0068】
次のステップS64では、ステップS63において求めた割合が閾値以上であるか否かを判断する。静止画像全体に含まれる輪郭を構成するピクセルの数に対し、被写体像の輪郭を構成するピクセルの数が多ければ、被写体にピントが合っていると判断できるため、ステップS63において求めた割合が閾値以上である場合、処理がステップS65に進み、そうでない場合、処理はステップS66に進む。
【0069】
ステップS65では、HDR画像の作成に失敗した原因が静止画像のピントにないと決定して、処理を終了する。
【0070】
ステップS66では、HDR画像の作成に失敗した原因が静止画像のピントであると決定して、処理を終了する。
【0071】
次に、
図7を用いて第1の偽HDR画像作成処理について説明する。第1の偽HDR画像作成処理は、第1の動画作成処理のステップS30において画像処理部108により実行される。
【0072】
始めのステップS71では、適正露出で撮影された静止画像のヒストグラムを作成する。
【0073】
次のステップS72では、ヒストグラムの形状がどのような形状であるか判断する。ヒストグラムが左側、つまり低輝度側に偏っている場合、処理をステップS73に進める。ヒストグラムが右側、つまり高輝度側に偏っている場合、処理をステップS74に進める。ヒストグラムが左右に偏らず、かつ中央に集中している場合、処理をステップS75に進める。
【0074】
ステップS73では、ヒストグラム全体を右側、つまり高輝度側に移動させると共に、低輝度側に引き延ばす。言い換えると、静止画像を構成する各ピクセルの輝度を所定値だけ増やした後に、1以下の所定値を各ピクセルの輝度に乗じて、輝度を下げる。
【0075】
ステップS74では、ヒストグラム全体を左側、つまり低輝度側に移動させると共に、高輝度側に引き延ばす。言い換えると、静止画像を構成する各ピクセルの輝度を所定値だけ減らした後に、1以上の所定値を各ピクセルの輝度に乗じて、輝度を上げる。
【0076】
ステップS75では、ヒストグラム全体を高輝度側及び低輝度側に引き延ばす。言い換えると、平均値よりも大きい輝度に対して1以上の所定値を乗じて輝度を上げ、平均値よりも小さい輝度に対して1以下の所定値を乗じて輝度を下げる。
【0077】
ステップS73からS75の処理を実行することにより、ある部分に偏っていたヒストグラムが、輝度の全体に渡って分布するようになり、静止画像全体の明度をHDR画像の明度に近似させることができる。つまり、静止画像に含まれていた黒つぶれの部分を明るく、白飛びの部分を暗くして、画像全体の明度をHDR画像の明度に近似させる。
【0078】
ステップS76では、静止画像のコントラストが高くなるようにヒストグラムを調整する。
【0079】
ステップS77では、静止画像の彩度を調整して、偽HDR画像を完成し、処理を終了する。
【0080】
従来の技術では、HDR画像の作成に失敗してHDR画像を作成できなかったときの処理が考慮されていなかったため、HDR画像を作成できなかったときには、動画にHDR画像を追加できないことになり、動画の作成をも失敗することになる。しかしながら、本実施形態によれば、デジタルカメラ100はHDR画像の作成に失敗したときであっても動画を作成することができる。
【0081】
また、画像処理を施した適正画像を動画に追加することにより、動画を構成するHDR画像との明度等の差を減少して、動画を見る者の違和感を減じることができる。
【0082】
また、HDR画像の作成を複数回連続して失敗したときに動画の作成を終了することにより、HDR画像でない静止画像を多く含む動画を記録せずにすむ。
【0083】
また、失敗回数をユーザが設定できるため、動画の作成の継続又は中止をユーザが撮影状況に応じて決定できる。
【0084】
次に、第2の実施形態について
図8を用いて説明する。第2の実施形態による撮像装置は、第1の動画作成処理の代わりに第2の動画作成処理を実行する。よって、以下に第2の動画作成処理について
図8を用いて説明する。第2の動画作成処理は、HDR画像の作成に失敗しても偽HDR画像を作成せず、全ての静止画像を撮影し終えた後に偽HDR画像を作成し、その後に動画を作成する処理であり、デジタルカメラ100が静止画像の撮影を開始したときに実行される。
【0085】
始めのステップS81では、静止画像の撮影を継続するか否かを判断する。所定の期間を経過したときや、ユーザが撮影の中止をデジタルカメラ100に入力したとき、ステップS87に処理が進み、撮影を中断する。所定の期間を未だ経過していないときや、ユーザが撮影の中止を入力していないとき、撮影を継続するためステップS82に処理が進む。
【0086】
ステップS82では、撮像部102が、アンダー露出、適正露出、そしてオーバー露出の静止画像を1枚ずつ撮影する。そして、HDR合成部104が、これらの3枚の静止画像を合成して、1枚のHDR画像を作成する。
【0087】
次のステップS83では、合成成功判断処理を実行して、ステップS82において、HDR画像の作成が成功したか否かを判断する。
【0088】
次のステップS84では、ステップS83においてHDR画像の作成に失敗したと判断したか否かを判断する。成功したと判断していた場合、処理はステップS85に進む。HDR画像の作成に失敗したと判断していた場合、処理はステップS86に進む。
【0089】
ステップS85では、ステップS82において作成されていたHDR画像をメモリ103に保存する。そしてステップS81に処理が戻る。
【0090】
ステップS86では、失敗したHDR画像の作成に用いられた静止画像と、失敗したHDR画像を追加しなければならなかった動画内位置とをメモリ103に記憶する。この動画内位置を結合失敗位置と呼ぶ。そしてステップS81に処理が戻る。すなわち、ステップS81からS86では、HDR画像の作成に失敗しても偽HDR画像を作成せず、予め決められた期間だけ静止画像を撮影し、メモリ103に記憶する。そして、撮影を終了した後に、次のステップS87に進む。
【0091】
ステップS87では、結合失敗位置がメモリ103に記憶されているか否かを判断する。記憶されている場合、処理はステップS88に進み、記憶されていない場合、処理はステップS91に進み、動画が正常に完成していると判断して、動画を画像保存部110に記憶して処理を終了する。
【0092】
ステップS88では、結合失敗位置の前後の静止画像の明度、彩度、及び色彩を取得する。
【0093】
次のステップS89では、第2の偽HDR画像作成処理を実行して、偽HDR画像を作成する。第2の偽HDR画像作成処理は、統合失敗位置にある静止画像の明度、彩度、及び色彩を、結合失敗位置の前後の静止画像の明度、彩度、及び色彩に近づける処理である。これにより、結合失敗位置の前後の静止画像と結合失敗位置の静止画像との見た目の差が無くなり、動画を見るユーザが感じる違和感を低減できる。
【0094】
次のステップS90では、ステップS86において記憶した位置に偽HDR画像を追加する。その後、再度ステップS87に戻ってステップS87からS90までの処理を繰り返し、メモリ103に記憶されている結合失敗位置全てに対して偽HDR画像を作成し、動画に追加する。
【0095】
ステップS87からS90を繰り返すことにより、全ての統合失敗位置に関して偽HDR画像を作成し、この偽HDR画像を用いて動画を完成できる。そして、全ての統合失敗位置に関してステップS87からS90を実行した後に、ステップS91において、動画を画像保存部110に記憶する。そして、処理を終了する。
【0096】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得る。さらに、動画を静止画像撮影後に作成できるため、撮影中のデジタルカメラ100の処理負荷を低減できる。また、結合失敗位置の静止画像の明度、彩度、及び色彩が、結合失敗位置の前後の静止画像の明度、彩度、及び色彩に近似させることができるため、動画を見るユーザが感じる違和感を低減できる。
【0097】
なお、撮影レンズ101は、デジタルカメラ100に対して着脱自在でなく、着脱できないように固定されてもよい。
【0098】
また、撮像部102は、CCDでなく、CMOS等の固体撮像素子を備えてもよい。
【0099】
HDR画像を作成するときに用いる静止画像の数は、3枚に限定されない。複数の静止画像を使用すればよい。
【0100】
複数の静止画像の撮影間隔は5秒に限定されず、動画のフレームレートは30fpsに限定されない。これらは、撮影条件によって適宜選択可能である。
【0101】
前述のピント判断処理の代わりに、被写体に撮影レンズ101が合焦していなくてもシャッターレリーズが押し下げられたときに撮像動作を行うシャッターレリーズ優先モードでHDR合成部104がデジタルカメラ100を動作させ、撮像の瞬間までに被写体に撮影レンズ101が合焦していない場合に、再撮影判断部105が被写体像にピントが合っていないと判断する処理を用いても良い。
【0102】
偽HDR画像を作成するとき、ヒストグラムを操作する手段は、前述の方法に限定されない。例えば、1以下の所定値を各ピクセルの輝度に乗じて輝度を下げる、すなわち線形に輝度を下げる手段ではなく、非線形に輝度を下げてもよい。輝度を上げるときも同様に、非線形に輝度を上げても良い。
【0103】
偽HDR画像作成処理において、適正露出で撮影された静止画像を用いて偽HDR画像を作成しなくてもよい。アンダー露出又はオーバー露出で撮影された静止画像を用いて偽HDR画像を作成してもよい。
【0104】
失敗回数はユーザが定めなくても良く、デジタルカメラ100に既定値として設定されていても良い。
【0105】
HDR再撮影判断処理のステップS53において、再度撮影するか否かをユーザが予め設定していなくても良く、ステップS53に達する度にデジタルカメラ100がユーザに問い合わせし、あるいは、再度撮影する旨又は撮影しない旨を予めデジタルカメラ100に既定値として設定しておいても良い。