(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1波長帯の光と異なる第2波長帯の光が照射されたときに、明色の反射特性を示す明色モジュールと暗色の反射特性を示す暗色モジュールとがコード領域内に複数配列され、且つ所定の用紙に印刷され用いられる情報コードであって、
前記コード領域内には、所定の位置に規定された形状をなす特徴パターン領域が配置され、
前記コード領域のうち前記特徴パターン領域を除く領域であって遮光されることで当該情報コードが解読不能となる所定領域上には、前記第2波長帯の光が照射されたときに当該コード領域を構成する前記各モジュールからの反射光を透過させ、前記第1波長帯の光の透過を妨げる被覆部が一方向に長くなるように前記所定の用紙に印刷されていることを特徴とする情報コード。
前記位置情報は、前記裏面の境界をなす一方の縁部から対向する他方の縁部に至るまで連続する帯状の図形として印刷されることを特徴とする請求項5に記載の印刷媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、単に紙面等に印刷された情報コードは、コピー機などにより容易に複製することができる。そのため、金銭的価値を持たせた情報コードを印刷することで作成されるクーポンやチケット等の印刷媒体が不正な複製等により偽造されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複製等による偽造を防止し得る情報コードおよび印刷媒体ならびに発行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の情報コードは、第1波長帯の光と異なる第2波長帯の光が照射されたときに、明色の反射特性を示す明色モジュールと暗色の反射特性を示す暗色モジュールとがコード領域(30)内に複数配列され
、且つ所定の用紙に印刷され用いられる情報コード(20,20a〜20e)であって、前記コード領域内には、所定の位置に規定された形状をなす特徴パターン領域(32a〜32c)が配置され、前記コード領域のうち前記特徴パターン領域を除く領域であって遮光されることで当該情報コードが解読不能となる所定領域上には、前記第2波長帯の光が照射されたときに当該コード領域を構成する前記各モジュールからの反射光を透過させ、前記第1波長帯の光の透過を妨げる被覆部(21〜25)が一方向に長くなるように
前記所定の用紙に印刷されていることを特徴とする。
【0008】
また、特許請求の範囲に記載の請求項4の印刷媒体は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報コードが一面(11)に印刷される印刷媒体(10,10a)であって、前記被覆部は、前記一面の境界をなす一方の縁部(11a)から対向する他方の縁部(11b)に至るまで、連続して被覆するように配置されることを特徴とする。
【0009】
また、特許請求の範囲に記載の請求項4の発行方法は、請求項4〜7のいずれか一項に記載の印刷媒体を券として発行する発行方法であって、前記券を発行するための用紙(41)が一列に複数連結されて当該複数の用紙にわたって前記一方向が連結方向に一致するように前記被覆部が印刷されたロール紙(40)を用意する第1工程と、前記券を発行するために必要な券情報を取得する第2工程と、前記第2工程にて取得した前記券情報の少なくとも一部をコード化して前記コード領域を生成する第3工程と、前記第3工程にて生成された前記コード領域を含めた前記券情報を前記用紙に印刷する第4工程と、前記第1工程にて用意された前記ロール紙の先端側における前記用紙の連結部(41a)を切断して前記券の外形を形成する第5工程と、を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、コード領域内には、第2波長帯の光が照射されたときに、明色の反射特性を示す明色モジュールと暗色の反射特性を示す暗色モジュールとが複数配列され
、且つ所定の用紙に印刷され用いられている。このコード領域のうち特徴パターン領域を除く上記所定領域上には、第2波長帯の光が照射されたときに当該コード領域を構成する各モジュールからの反射光を透過させ、第1波長帯の光の透過を妨げる被覆部が一方向に長くなるように
上記所定の用紙に印刷されている。
【0011】
上述のように構成される情報コードは、上記第2波長帯の光が照射されることで、上記被覆部が取り除かれたコード領域を撮像可能となるので、上記第2波長帯の光を照明できる特定の読取装置によりコード領域から特定の情報を読み取ることができる。一方、一般的な読取装置では、被覆部により妨げられてコード領域を完全に撮像できないことから、当該情報コードが解読不能または解読困難となる。このため、上記特定の読取装置を使用する特定の使用者のみが上記特定の情報を読み取ることができ、当該情報コードのセキュリティ性を高めることができる。
【0012】
特に、コピー機や一般的なカメラ撮影などによって情報コード付近が複製されたとしても、被覆部のためにコード領域を解読可能な形で(即ち、明色モジュールと暗色モジュールとが分離された解読可能な形で)複製することができなくなる。したがって、情報コードの複製による偽造を効果的に防止することができる。また、被覆部は、コード領域のうち特徴パターン領域を除くように一方向に長く配置されるため、情報コードの有無を容易に視認することができるだけでなく、コード領域に対する被覆部の印刷を容易に実施することができる。
【0013】
さらに、上記第1波長帯の光および第2波長帯の光の双方を照明可能な特定の読取装置を用いることで、第1波長帯の光の照射時に読み取れずに第2波長帯の光照射時に読み取れる情報コードを、上記被覆部を有する特別な情報コードであると認識することができる。
【0014】
請求項2の発明では、コード領域は、外形が矩形状に構成されており、被覆部は、コード領域の境界をなす一方の縁部から対向する他方の縁部に至るまで、連続して被覆するように帯状に配置される。
【0015】
この構成では、可視光を含む第1波長帯の光が主となる通常環境下では、被覆部が、コード領域の外形をなす一方の縁部から対向する他の縁部に至るまで連続して認識されることになる。従って、可視光に基づいて読み取りを行う一般的な読取装置では、被覆部によるコード領域の分断により情報コードの解読が一層困難になる。特に、2つの縁部(辺)を突き抜けるように被覆部が構成されるため、誤り訂正を可能とする領域サイズを確実に超えるように被覆部を配置しやすく、ひいては一般的な読取装置に情報コードが解読されてしまうことをより確実に防止することができる。
【0016】
請求項3の発明では、被覆部は、形状、模様や色彩を変化させた図形から構成される。このような図形から被覆部が構成されても、被覆部のためにコード領域を解読可能な形で複製することができなくなるので、情報コードの複製による偽造を効果的に防止するとともにデザイン性を向上させた情報コードを実現することができる。
【0017】
請求項4の発明では、印刷媒体には、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報コードが一面に印刷され、上記被覆部は、上記一面の境界をなす一方の縁部から対向する他方の縁部に至るまで、連続して被覆するように配置される。
【0018】
これにより、ロール紙などを用いて複数の印刷媒体を連続して印刷する場合には、コード領域が予め印刷された各一面が連結しているため、この連結方向に長くなるように被覆部を連続して印刷することで、被覆部の印刷を単純化でき、被覆部を有する複数の印刷媒体を容易に大量印刷することができる。
【0019】
請求項5の発明では、上記一面の裏面には、情報コードが投影される領域に当該情報コードの位置を示すための位置情報が印刷される。このため、印刷媒体に印刷された情報コードを読取装置に読み取らせるために上記一面を読取装置の読取口に近づける場合でも、裏面側から情報コードの位置がわかるので、情報コードを容易に読取口に近づけることができる。
【0020】
請求項6の発明では、位置情報は、裏面の境界をなす一方の縁部から対向する他方の縁部に至るまで連続する帯状の図形として印刷されるため、当該位置情報の印刷が上記被覆部の印刷と同様に単純化でき、当該位置情報を有する複数の印刷媒体を容易に大量印刷することができる。
【0021】
請求項7の発明では、位置情報は、裏面に対して、情報コードと感触の異なるインクを用いて印刷されるため、上記一面とその裏面とを触るだけで容易に区別しやすくすることができる。
【0022】
請求項8の発明では、第1工程により、券を発行するための用紙が一列に複数連結されて当該複数の用紙にわたって上記一方向が連結方向に一致するように被覆部が印刷されたロール紙が用意される。また、第2工程により、券を発行するために必要な券情報が取得される。また、第3工程により、第2工程にて取得した券情報の少なくとも一部をコード化してコード領域が生成される。また、第4工程により、第3工程にて生成されたコード領域を含めた券情報が用紙に印刷される。また、第5工程により、第1工程にて用意されたロール紙の先端側における用紙の連結部を切断して券の外形が形成される。
【0023】
このように、ロール紙の状態で被覆部が予め印刷されているため、コード領域を含めた券情報を印刷するためのインクと被覆部を印刷するためのインクとが異なる券であっても、券情報を取得してからの印刷工程(第4工程)が簡素化されて、券を容易に発行することができる。このため、当該発行方法が適用される発券機等では、印刷工程に関しコード領域を含めた券情報を印刷するためのインクを用意すればよく、発券機等の構成を簡素化することができる。
【0024】
請求項9の発明では、第4工程により、コード領域は、用紙の外縁のうち上記連結方向に平行な縁を基準に印刷されるため、上記連結方向に直交する方向に関しては、コード領域が被覆部に対してずれて印刷されることもない。また、被覆部は、コード領域のうち特徴パターン領域を除くように一方向に長く配置されるため、コード領域が被覆部に対して一方向、すなわち、上記連結方向に位置ずれしても、特徴パターン領域が被覆部上に印刷されることもない。したがって、コード領域の印刷時にその特徴パターン領域が被覆部上に印刷されることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コードおよび印刷媒体を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る情報コード20の一例を説明する説明図であり、
図1(A)は、コード領域30が被覆部21により被覆された状態を示し、
図1(B)は、
図1(A)の情報コード20から被覆部21を取り除いた状態を示す。
【0027】
本実施形態に係る情報コード20は、複製等による偽造を防止するため、
図1(A)に示すように、複数の明色モジュールおよび暗色モジュールからなるコード領域30と、このコード領域30のうちの一部を被覆する被覆部21とから構成される。
【0028】
図1(B)に示すように、コード領域30は、QRコードと同様に、正方形領域として構成される複数の明色モジュールおよび暗色モジュールがマトリックス状に配置されることで、当該コード領域30の全体が矩形領域として構成されている。
【0029】
具体的には、コード領域30は、QRコードと同様に、要求される必要な情報が含まれるように構成されるデータ領域31、3つの位置検出パターン32a〜32cなどから構成されている。このため、コード領域30のうちデータ領域31の大部分が隠されると、当該コード領域30が解読不能となる。また、各位置検出パターン32a〜32cは、撮像された画像データにおいて当該コード領域30の位置を特定するためのパターンであって、コード領域30の4つの頂点のうちの3つの頂点に対して予め決められた所定の形状で配置されている。なお、各位置検出パターン32a〜32cは、特許請求の範囲に記載の「特徴パターン領域」の一例に相当し得る。
【0030】
このように構成されるコード領域30を構成する各モジュールのうち各明色モジュールは、可視光領域の第1波長帯の光またはこの第1波長帯と異なる第2波長帯の光が照射されたときに、明色の反射特性を示すように構成されている。また、各暗色モジュールは、第1波長帯の光または第2波長帯の光が照射されたときに、暗色の反射特性を示すように構成されている。具体的には、コード領域30を構成する各モジュールは、一般的に使用される通常のインクを塗布して構成されている。
【0031】
また、被覆部21は、コード領域30のうち各位置検出パターン32a〜32cを除く領域であって遮光されることで当該コード領域30が解読不能となる所定領域、具体的には、データ領域31の大部分を被覆するように、一方向(
図1の左右方向)に長い状態で配置されている。より具体的に説明すると、被覆部21は、
図1(A)に示すように、コード領域30の境界をなす一方の縁部30aから対向する他方の縁部30bに至るまで、連続して被覆するように帯状に配置されている。
【0032】
この被覆部21は、上記第2波長帯の光が照射されたときにコード領域30を構成する各モジュールからの反射光を透過させ、上記第1波長帯の光の透過を妨げるようなインク、例えば、赤外線透過インク等を塗布して構成されている。このため、可視光が支配的である通常状態では、
図1(A)に示すように、データ領域31の大部分が被覆部21により隠されるように視認されることとなる。なお、被覆部21は、一般的に適用される誤り訂正処理がなされる場合でも解読できない程度に、例えば、データ領域31が占める領域の30%程度を被覆するように配置される。
【0033】
次に、上述のように構成される情報コード20が印刷される印刷媒体10について、図面を参照して説明する。
図2は、情報コード20が印刷された印刷媒体10を示す説明図であり、
図2(A)は表面の印刷状態を示し、
図2(B)は裏面の印刷状態を示す。
図3は、各印刷媒体10が連結された状態を示す説明図である。
【0034】
本実施形態では、上述のように構成される情報コード20は、チケット等の所定の印刷媒体10の表面11に対して所定の位置に印刷されている。具体的には、情報コード20は、
図2(A)に例示するように、その被覆部21が表面11の境界をなす一方の縁部11aから対向する他方の縁部11bに至るまで、連続して被覆するように配置されている。なお、表面11は、特許請求の範囲に記載の「一面」の一例に相当し得る。
【0035】
そして、印刷媒体10の裏面12には、
図2(B)に例示するように、情報コード20が投影される領域に当該情報コード20の位置を示すための位置情報13として、「ここにQRコードがあります」等の文字情報が印刷されている。特に、位置情報13は、裏面12に対して、情報コード20と感触の異なるインクを用いて印刷されている。
【0036】
上述のように構成される印刷媒体10は、ロール紙などを用いて他の複数の印刷媒体10ともに連続して印刷されて生成される。具体的には、
図3からわかるように、コード領域30等が予め印刷された各表面11が連結された状態で、この連結方向に長くなるように被覆部21を連続して印刷することで、各印刷媒体10が連結して生成される。そして、各印刷媒体10を連結箇所にて切り離すことで、
図2(A),(B)に示す印刷媒体10の生成が完了する。
【0037】
次に、上述のように印刷媒体10に印刷された情報コード20を所定の情報コード読取装置を用いて光学的に読み取る読取作業の具体例について説明する。なお、情報コード読取装置は、上述した第1波長帯の光または第2波長帯の光の双方を選択的に照明可能な特定の読取装置として構成されている。
【0038】
まず、情報コード読取装置が読取可能状態となり、第1波長帯の光を情報コード20に照射した状態で、この情報コード20を撮像すると、被覆部21により妨げられてコード領域30を完全に撮像できないために、当該情報コード20の解読が不能と判断される。その後、第2波長帯の光を情報コード20に照射した状態で、この情報コード20を撮像すると、この第2波長帯の光は被覆部21を透過するため、被覆部21を除いたコード領域30が撮像されることとなる。
【0039】
このように被覆部21を除くように撮像されたコード領域30は、一般的なQRコードの構成と同じであるため、このコード領域30に対して公知のデコード処理を実施することで、当該コード領域30、すなわち、情報コード20を解読して特定の情報を取得することができる。
【0040】
一方、一般の読取装置を用いて情報コード20を撮像すると、上記所定領域が被覆部21により被覆されたコード領域30が撮像されることとなる。このため、コード領域30を解読することができず、一般的な読取装置による当該情報コード20の読み取りを困難にすることができ、当該情報コード20のセキュリティ性を高めることができる。
【0041】
特に、上記第1波長帯の光および第2波長帯の光の双方を照明可能な特定の読取装置を用いることで、第1波長帯の光の照射時に読み取れずに第2波長帯の光照射時に読み取れる情報コードを、被覆部21を有する特別な情報コード20であると認識することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード20では、コード領域30内には、第2波長帯の光が照射されたときに、明色の反射特性を示す明色モジュールと暗色の反射特性を示す暗色モジュールとが複数配列されている。このコード領域30のうち各位置検出パターン32a〜32cを除く上記所定領域上には、第2波長帯の光が照射されたときに当該コード領域30を構成する各モジュールからの反射光を透過させ、第1波長帯の光の透過を妨げる被覆部21が一方向に長くなるように設けられている。
【0043】
これにより、コピー機や一般的なカメラ撮影などによって情報コード20付近が複製されたとしても、被覆部21のためにコード領域30を解読可能な形で(即ち、明色モジュールと暗色モジュールとが分離された解読可能な形で)複製することができなくなる。したがって、情報コード20の複製による偽造を効果的に防止することができる。また、被覆部21は、コード領域30のうち各位置検出パターン32a〜32cを除くように一方向に長く配置されるため、情報コード20の有無を容易に視認することができるだけでなく、コード領域30に対する被覆部21の印刷を容易に実施することができる。
【0044】
また、コード領域30は、外形が矩形状に構成されており、被覆部21は、コード領域30の境界をなす一方の縁部30aから対向する他方の縁部30bに至るまで、連続して被覆するように帯状に配置されている。
【0045】
この構成では、可視光を含む第1波長帯の光が主となる通常環境下では、被覆部21が、コード領域30の外形をなす一方の縁部30aから他の縁部30bに至るまで連続して認識されることになる。従って、可視光に基づいて読み取りを行う一般的な読取装置では、被覆部21によるコード領域30の分断により情報コード20の解読が一層困難になる。特に、2つの縁部(辺)30a,30bを突き抜けるように被覆部21が構成されるため、誤り訂正を可能とする領域サイズを確実に超えるように被覆部21を配置しやすく、ひいては一般的な読取装置に情報コード20が解読されてしまうことをより確実に防止することができる。
【0046】
そして、印刷媒体10には、上述した情報コード20が表面11に印刷され、上記被覆部21は、表面11の境界をなす一方の縁部11aから対向する他方の縁部11bに至るまで、連続して被覆するように配置される。
【0047】
これにより、ロール紙などを用いて複数の印刷媒体10を連続して印刷する場合には(
図3参照)、コード領域30が予め印刷された各表面11が連結しているため、この連結方向に長くなるように被覆部21を連続して印刷することで、被覆部21の印刷を単純化でき、被覆部21を有する複数の印刷媒体10を容易に大量印刷することができる。
【0048】
さらに、印刷媒体10の裏面12には、情報コード20が投影される領域に当該情報コード20の位置を示すための位置情報13が印刷されている。このため、印刷媒体10に印刷された情報コード20を読取装置に読み取らせるために表面11を読取装置の読取口に近づける場合でも、裏面12側から情報コード20の位置がわかるので、情報コード20を容易に読取口に近づけることができる。
【0049】
特に、位置情報13は、裏面12に対して、情報コード20と感触の異なるインクを用いて印刷されるため、表面11とその裏面12とを触るだけで容易に区別しやすくすることができる。
【0050】
図4は、情報コード20が印刷された印刷媒体の変形例を示す説明図であり、
図4(A)は表面11の印刷状態を示し、
図4(B)は裏面12の印刷状態を示す。
上述した印刷媒体10の変形例として、裏面12には、位置情報13に限らず、情報コード20が投影される領域に当該情報コード20の位置を示すための情報が表示されてもよい。
【0051】
具体的には、例えば、
図4(A),(B)に例示するように、裏面12に印刷される位置情報13aは、裏面12の境界をなす一方の縁部12aから対向する他方の縁部12bに至るまで連続する帯状の図形として印刷することができる。これにより、当該位置情報13aの印刷が上記被覆部21の印刷と同様に単純化でき、当該位置情報13aを有する複数の印刷媒体10aを容易に大量印刷することができる。
【0052】
図5は、情報コードの第1変形例を示す説明図である。
図6(A)は、情報コードの第2変形例を示す説明図であり、
図6(B)は、情報コードの第3変形例を示す説明図である。
図7(A),(B)は、情報コードの第4変形例を示す説明図である。
【0053】
上述した情報コード20の第1変形例として、コード領域30を覆う被覆部21は、形状、模様や色彩を変化させた図形から構成されてもよい。具体的には、例えば、
図5に例示する情報コード20aのように、暗色系の円が一方向(
図5の左右方向)に長くなるように複数連結して形成される被覆部22を採用することができる。このようにしても、被覆部22のためにコード領域30を解読可能な形で複製することができなくなり、情報コード20aの複製による偽造を効果的に防止するとともにデザイン性を向上させた情報コード20aを実現することができる。
【0054】
また、上述した情報コード20の第2変形例として、
図6(A)に示す情報コード20bのように、コード領域30の境界をなす上方の縁部30cから対向する下方の縁部30dに至るまで、一方向(
図6の上下方向)に長い状態で連続して被覆するように帯状に配置される被覆部23を採用することができる。このようにしても、被覆部23のためにコード領域30を解読可能な形で複製することができなくなり、情報コード20bの複製による偽造を効果的に防止することができる。
【0055】
また、上述した情報コード20の第3変形例として、
図6(B)に示す情報コード20cように、上述した被覆部21および被覆部23の双方にてコード領域30を被覆してもよい。すなわち、一方向に長い被覆部とは、左右方向に長い被覆部や上下方向に長い被覆部だけでなく、左右方向および上下方向の双方に長い十字状の被覆部も含むものとする。このようにしても、被覆部23や被覆部21のためにコード領域30を解読可能な形で複製することができなくなり、情報コード20cの複製による偽造を効果的に防止することができる。
【0056】
また、上述した情報コード20の第4変形例として、コード領域30を覆う被覆部21は、一方向に長く断続的に隙間が設けられるように配置されてもよい。具体的には、例えば、
図7(A)に例示する情報コード20dや
図7(B)に例示する情報コード20eのように、同一の図形が複数隙間を介して連結されることで一方向(
図7の左右方向)に長くなるように形成される被覆部24や被覆部25を採用することができる。このようにしても、被覆部24,25のためにコード領域30を解読可能な形で複製することができなくなり、情報コード20d,20eの複製による偽造を効果的に防止するとともにデザイン性を向上させた情報コード20d,20eを実現することができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態として、上述のように構成される印刷媒体10を券として発行する発行方法について図を参照して説明する。
図8は、第2実施形態における第1工程を説明する説明図である。
図9は、第2実施形態における第4工程を説明する説明図である。
【0058】
本第2実施形態に係る券の発行方法は、例えば、上述した印刷媒体10を乗車券として発行する発券機にて実施される券の発行処理に適用されるものである。以下、券の発行処理について、
図8および
図9を用いて詳細に説明する。
まず、第1工程として、
図8に示すように、乗車券を発行するための用紙41が一列に複数連結されるロール紙40を用意する。このロール紙40には、被覆部21が、複数の用紙41にわたってその連結方向に当該被覆部21の長手方向(一方向)が一致するように印刷されている。特に、被覆部21は、用紙41に印刷されるコード領域30のうち位置検出パターン32a,32cの印刷予定位置と位置検出パターン32bの印刷予定位置との間に位置するように、上述した赤外線透過インク等を用いて印刷されている。なお、
図8では、用紙41と用紙41との間の連結部を、二点鎖線を用いて符号41aにて仮想的に示している。
【0059】
次に、第2工程として、乗車券を発行するために必要な券情報を取得する。ここで、券情報とは、例えば、購入した駅の情報や購入金額情報、購入日時情報等であり、購入者が発券機を操作することで取得される情報である。
【0060】
続いて、第3工程として、上記第2工程にて取得した券情報をコード化することで、コード領域30を生成する。なお、コード領域30は、取得した券情報の全てがコード化されることに限らず、券情報の一部がコード化されてもよい。
【0061】
次に、第4工程として、
図9に示すように、上記第3工程にて生成されたコード領域30を含めた券情報を、上記赤外線透過インク等と異なる通常のインクを用いてロール紙40の先端側に位置する用紙41にのみ印刷する。このとき、コード領域30は、用紙41の外縁のうち連結方向に平行な縁、具体的には、例えば、ロール紙40の上縁42を基準にして、その上方の縁部30cが上縁42に平行であって、位置検出パターン32a,32cと位置検出パターン32bとの間に被覆部21が位置するように、印刷される。また、券情報の一部である購入駅情報(
図9の「大阪」参照)や購入日時情報(
図9の「2012−5−10 12:00」参照)等は、コード領域30の上方に印刷され、券情報の一部である購入金額情報(
図9の「500円」参照)等は、コード領域30の下方に印刷される。
【0062】
そして、第5工程として、ロール紙40の先端側における用紙41の連結部41aを切断して乗車券の外形を形成する。このようにコード領域30や被覆部21を有する情報コード20が印刷された乗車券(印刷媒体10)が発券機の排出口から排出されることで、券の発行処理が終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る券の発行方法では、第1工程により、乗車券を発行するための用紙41が一列に複数連結されて当該複数の用紙41にわたって上記一方向が連結方向に一致するように被覆部21が印刷されたロール紙40が用意される。また、第2工程により、乗車券を発行するために必要な券情報が取得される。また、第3工程により、第2工程にて取得した券情報の少なくとも一部をコード化してコード領域30が生成される。また、第4工程により、第3工程にて生成されたコード領域30を含めた券情報が用紙41に印刷される。また、第5工程により、第1工程にて用意されたロール紙40の先端側における用紙41の連結部41aを切断して乗車券の外形が形成される。
【0064】
このように、ロール紙40の状態で被覆部21が予め印刷されているため、コード領域30を含めた券情報を印刷するためのインクと被覆部21を印刷するためのインクとが異なる乗車券であっても、券情報を取得してからの印刷工程(第4工程)が簡素化されて、乗車券を容易に発行することができる。このため、当該発行方法が適用される発券機等では、印刷工程に関しコード領域30を含めた券情報を印刷するためのインクを用意すればよく、発券機等の構成を簡素化することができる。
【0065】
また、第4工程により、コード領域30は、用紙41の外縁のうち上記連結方向に平行な上縁42を基準に印刷されるため、上記連結方向に直交する方向(
図9の上下方向)に関しては、コード領域30が被覆部21に対してずれて印刷されることもない。また、被覆部21は、コード領域30のうち各位置検出パターン32a〜32cを除くように一方向に長く配置されるため、コード領域30が被覆部21に対して一方向、すなわち、上記連結方向(
図9の左右方向)に位置ずれしても、各位置検出パターン32a〜32cが被覆部21上に印刷されることもない。したがって、コード領域30の印刷時に各位置検出パターン32a〜32cが被覆部21上に印刷されることを防止することができる。
【0066】
なお、上記第5工程は、上記第4工程が実施された後に実施されることに限らず、上記第3工程が実施された後であって上記第4工程が実施される前に実施されてもよい。具体的には、コード領域30の生成後に、ロール紙40の先端側における用紙41の連結部41aを切断して乗車券の外形を形成し、この切り離された用紙41に対してコード領域30を含めた券情報を印刷することで、乗車券を発行することができる。
【0067】
また、上記第1実施形態にて述べた被覆部22〜25等を、予めロール紙40の状態で印刷することで、上記情報コード20a〜20eが印刷された印刷媒体10を券として発行してもよい。
【0068】
なお、本発明は上記各実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)第2波長帯の光として波長750nm以上の波長帯の赤外光を採用することに限らず、例えば、第2波長帯の光として波長380nm以下の波長帯の紫外光を採用してもよい。この場合、各被覆部21〜16は、上記紫外光が照射されたときにコード領域30を構成する各モジュールからの反射光を透過させるように構成することができる。
また、第1波長帯の光として波長380nm〜750nmの可視光を採用することに限らず、第2波長帯の光と異なる波長帯の光であって各被覆部21〜16を透過不能な波長帯の光を採用してもよい。
【0069】
(2)コード領域30は、QRコードと同様に明色モジュールおよび暗色モジュールとが二次元的に複数配列されて構成されることに限らず、データマトリックスコード、マキシコードなどの他のコード種別の二次元コードと同様に構成されてもよい。この場合、被覆部21は、その二次元コードにおいて所定の位置に規定された形状をなす特徴パターン領域を除き一方向に長くなるように配置することで、上記効果を奏する。
【0070】
(3)上記第2実施形態では、上記券の発行方法を用いることで、上記印刷媒体10を、乗車券として発行することに限らず、切符やチケットなど他の形態の券として発行してもよい。