(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電話網と接続された複数の通話回線を収容する電話制御装置と、当該電話制御装置に対して無線通信網を介して接続される無線端末とからなり、当該電話制御装置が当該無線端末からの呼び出しに自動応答して前記通話回線のいずれかと中継接続する電話システムにおいて、前記無線端末のコンピュータで実行されるプログラムであって、
網I/F部が、前記無線通信網を介して前記電話制御装置との間でデータ通信回線と音声通信回線とをそれぞれ確立する無線通信ステップと、
回線制御部が、前記データ通信回線を用いて前記電話制御装置から通知された前記各通話回線の回線状態を画面表示する回線状態表示ステップと、
回線制御部が、これら通話回線のうちのいずれかを対象通話回線として指定した回線予約操作に応じて、当該データ通信回線を用いて当該電話制御装置へ当該対象通話回線を示す回線指定情報を含む回線予約要求を送信する回線予約要求ステップと、
回線制御部が、当該データ通信回線を用いて当該電話制御装置から通知された予約成功に応じて、通話制御部に対して前記音声通信回線を用いた当該電話制御装置への呼び出し指示する回線接続ステップとを備え、
前記回線予約要求ステップは、前記通話回線のうちのいずれかを対象通話回線として指定するとともに発信先電話番号を指定した発信操作に応じて、当該対象通話回線を示す回線指定情報と発信先電話番号とを含む発信要求からなる前記回線予約要求を、前記データ通信回線を用いて当該電話制御装置へ送信する
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置10について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる電話制御装置の構成を示すブロック図である。
この電話制御装置10は、ビジネスホンやPBXシステムなどの電話システム1において、主装置やPBXとして用いられる電話制御装置からなり、回線L1を介して電話網NW1と接続するとともに、回線L2を介して無線通信網NW2と接続し、内線回線21を介して収容した複数の内線端末20を、回線L1,L2に対して交換接続する機能を有している。
【0019】
電話網NW1は、PSTN(Public Switched Telephone Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、IP電話網などの一般的な電話網からなる。相手端末40は、電話網NW1に接続された一般的な端末である。
【0020】
無線通信網NW2は、3G(3rd Generation)などの携帯通信網、無線LANを用いたWi−Fi(Wireless Fidelity)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)などの一般的な無線通信網からなる。無線端末30は、無線通信網NW2に接続された、スマートフォンや携帯電話などの一般的な無線電話端末であり、無線通信網NW2を介して電話制御装置10との間で、データ通信回線と音声通信回線とをそれぞれ確立する。
【0021】
[電話制御装置]
電話制御装置10には、主な機能部として、網I/F部11、内線I/F部12、記憶部13、および制御部14が設けられている。
【0022】
網I/F部11は、通信用のインターフェース回路からなり、回線L1を介して電話網NW1との間で着信通知などの各種呼制御メッセージをやり取りする機能と、回線L1および電話網NW1を介して相手端末40と通話音声をやり取りする機能と、回線L2を介して無線通信網NW2との間で発信要求などの各種呼制御メッセージをやり取りする機能と、回線L2および無線通信網NW2を介して無線端末30との間でデータ通信回線を確立して、データ通信を行う機能と、回線L2および無線通信網NW2を介して無線端末30との間で音声通信回線を確立して通話音声をやり取りする機能とを有している。
【0023】
この際、回線L1には、1つ以上の通話回線が含まれているものとし、これら通話回線は、アナログ電話回線であってもよくIP回線やISDN回線などのデジタル回線であってもよい。
また、回線L2については、音声通信回線をアナログ通信により構成する場合、音声通信回線用のアナログ電話回線とデータ通信回線用のIP回線とから回線L2を構成すればよい。なお、音声通信回線をデジタル通信により構成すれば、データ通信回線と音声通信回線とをIP回線やISDN回線などのデジタル回線からなる1つの回線L2で構成することができる。また、網I/F部11に無線通信機能を設けて無線通信網NW2と直接接続する無線回線により回線L2を構成し、無線端末30と同様に、データ通信回線と音声通信回線とを回線L2で確立するようにしてもよい。
【0024】
内線I/F部12は、専用の通信回路からなり、内線回線21を介して内線端末20との間で、着信通知などの呼制御メッセージや通話音声などのデータをやり取りする機能を有している。
【0025】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部14での制御処理に用いる処理データやプログラム13Pを記憶する機能を有している。
プログラム13Pは、制御部14のCPUに読み込まれて実行されることにより、各種処理部を実現するプログラムである。
【0026】
記憶部13で記憶する主な処理データとして、呼制御データ13Aと予約データ13Bがある。呼制御データ13Aは、回線L1,L2、内線端末20、さらには無線端末30について、各種動作状態を示すステータスデータや、各種設定内容を示す設定データなどからなる。
【0027】
図2は、通話回線の回線状態を示すステータスデータの構成例である。ここでは、電話制御装置10に収容されている各通話回線を識別するための回線IDごとに、当該通話回線に関する、着信、発信、通話、保留、空きなどの各種回線状態が登録されている。
図3は、無線端末に関する設定データの構成例である。ここでは、無線端末30を識別するための端末IDごとに、音声通信回線で用いる当該無線端末30の無線端末電話番号と、データ通信回線で用いる当該無線端末30のIPアドレスとが、組として登録されている。
【0028】
予約データ13Bは、無線端末30との接続に用いる通話回線の予約状況を管理するためのデータである。
図4は、予約データの構成例である。ここでは、回線予約の対象となる対象通話回線を示す回線IDごとに、回線予約を行った無線端末を示す端末ID、回線予約を行った予約時刻、対象通話回線に対して行う、発信、着信、保留、保留解除などの処理を示す処理内容、および発信の際の発信先となる発信先電話番号などからなる予約内容が組として登録されている。
【0029】
一般に、無線端末30が無線通信網NW2を介して電話制御装置10を呼び出して、電話制御装置10との間で音声通信回線を確立し、電話制御装置10の通話回線と接続可能な状態になるまで、ある程度のタイムラグが発生する。したがって、無線端末30が捕捉する回線を対象通話回線として指定したい場合、このタイムラグの間に、指定回線が他の無線端末30や内線端末20により使用される可能性がある。
本発明は、このような他の端末による対象通話回線の使用を禁止するため、電話制御装置10との間で音声通信回線を確立する前に、無線端末30からデータ通信回線を介して電話制御装置10に、対象通話回線の使用を予約するようにしたものである。
【0030】
制御部14は、CPUとその周辺回路を有するコンピュータからなり、記憶部13のプログラム13Pを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現して、電話制御装置10のほか、内線端末20や無線端末30の動作を制御する機能を有している。
制御部14で実現される主な処理部として、無線端末制御部14Aおよび呼制御部14Bがある。
【0031】
無線端末制御部14Aは、
図2に示した、記憶部13の呼制御データ13Aに登録されている通話回線の回線状態に基づいて、データ通信回線を用いて無線端末30へ通話回線の回線状態を通知する機能と、データ通信回線を用いて無線端末30から通知された回線予約要求に応じて、各通話回線のうち当該回線予約要求で指定された対象通話回線の回線状態および予約状態に基づいて予約可否を判定し、予約可の判定に応じて当該対象通話回線や予約元となる無線端末30の端末IDなどの予約内容を対応付けて、記憶部13の予約データ13Bへ登録することにより、回線予約を行う機能とを有している。
【0032】
本実施の形態では、無線端末30で使用可能な通話回線として、電話網NW1との間の通話回線を前提としており、無線端末30に通知される回線状態も、無線端末30で使用可能な通話回線、すなわち電話網NW1との間の通話回線に関する回線状態となる。但し、無線通信網NW2との間の通話回線についても、無線端末30で使用可能な回線とする場合には、これら無線通信網NW2との間の通話回線に関する回線状態についても、無線端末30へ通知すればよい。
【0033】
また、無線端末制御部14Aは、回線予約要求が対象通話回線を示す回線指定情報と発信先電話番号とを含む発信要求からなる場合、通話回線のうちから当該回線指定情報と対応する対象通話回線を選択して予約する機能を有している。
【0034】
また、無線端末制御部14Aは、予約の際、無線端末30からの回線予約要求で指定された対象通話回線の回線状態および予約状態に基づき予約可否を判定し、予約不可の場合にはデータ通信回線を用いて当該無線端末30へ、予約失敗を通知する機能を有している。この際、予約失敗とともに対象通話回線の新たな回線状態とを通知するようにしてもよい。
【0035】
また、無線端末制御部14Aに、データ通信回線を用いた無線端末30からの回線状態要求に応じて、通話回線の回線状態の変更有無を確認し、回線状態に変更があった場合にのみ、通話回線の回線状態をデータ通信回線を用いて当該無線端末30へ通知する機能を設けてもよい。この際、前回通知した回線状態を記憶部13に記憶しておき、新たな回線状態と比較することにより、変更有無を確認すればよい。また、回線状態に変更がなくても前回通知から一定時間経過していれば、回線状態を通知するようにしてもよい。
【0036】
なお、無線端末制御部14Aが、通話回線の回線状態を無線端末30へ通知する方法としては、前述したように、無線端末30からの回線状態要求ごとに、回線状態の変更有無にかかわらず回線状態を通知する方法(方法A)のほか、無線端末30からの回線状態要求があった以降は、回線状態の変更に応じて逐次通知する方法(方法B)がある。これにより、無線端末30に回線状態を通知した後、利用者による発信操作が行われるまでの間に、回線状態が変更された場合でも、直ちに新たな回線状態を無線端末30に通知することができる。
【0037】
また、無線端末30からの回線状態要求があった場合、最初の回線状態要求については回線状態をすぐに通知し、次回以降の回線状態要求については、回線状態が変更されるまで通知せず、回線状態の変更に応じて通知する方法(方法C)もある。この際、無線端末30の回線制御部34Aは、電話制御装置10からの回線状態の通知を受けた場合、すぐに新たな回線状態要求を電話制御装置10へ通知する。これにより、前述と同様に、無線端末30に回線状態を通知した後、利用者による発信操作が行われるまでの間に、回線状態が変更された場合でも、直ちに新たな回線状態を無線端末30に通知することができる。
【0038】
なお、方法Bでは、1回の回線状態要求で電話制御装置10から複数回の回線状態を受け取るため、無線端末30は外部からのアクセスを許可する状態で待機することになるが、方法Aや方法Cでは、無線端末30において1回の回線状態要求で1つの回線状態を受け取るため、回線状態要求と回線状態通知とを対応付けることができる。このため、無線端末30は、外部からのアクセスを許可する状態で待機する必要がなくなり、高いセキュリティ性が得られる。
【0039】
また、電話制御装置10から無線端末30へ通知する回線状態の内容については、毎回、すべての通話回線の回線状態を通知してもよく、最初にすべての通話回線の回線状態を通知した後、次回から回線状態が変更された通話回線に関する回線状態、すなわち前回通知分との差分のみを通知するようにしてもよい。この際、前回通知した回線状態を記憶部13に記憶しておき、新たな回線状態と比較することにより、差分を確認すればよい。また、回線状態に変更がなくても前回通知から一定時間経過していれば、回線状態を通知するようにしてもよい。
【0040】
なお、無線端末30で、電話制御装置10の通話回線を使用するための機能を起動した場合、例えば回線制御部34Aを実現する追加アプリケーションを起動した場合、この起動に応じて、無線端末30から電話制御装置10へデータ通信回線を用いて回線状態要求を自動送信するようにしてもよい。
【0041】
呼制御部14Bは、電話制御装置10に収容されている通話回線を用いた内線端末20による発信、着信、保留、転送などの各種動作を呼制御する機能と、これら呼制御により通話回線の状態が変更された場合、
図2に示した、記憶部13の呼制御データ13Aに登録されている通話回線の回線状態を更新する機能と、予約を行った無線端末から音声通信回線を用いて呼び出しがあった場合には、当該予約の有効時間と当該対象通話回線の回線状態とに基づいて、当該対象通話回線との中継接続可否を判定する機能と、中継接続可の判定に応じて当該呼び出しに自動応答し、当該無線端末30の当該音声通信回線と対象通話回線とを中継接続する機能とを有している。
【0042】
また、呼制御部14Bは、発信要求を示す予約を行った無線端末30から音声通信回線を用いて呼び出しがあった場合には、当該予約の有効時間が経過しておらず、かつ、当該対象通話回線の回線状態が空き状態である場合に、中継接続可と判定し、発信先電話番号に対して対象通話回線から呼び出しを行う機能を有している。
【0043】
[無線端末]
次に、
図5を参照して、本実施の形態にかかる無線端末30について説明する。
図5は、第1の実施の形態にかかる無線端末の構成を示すブロック図である。
この無線端末30は、全体としてスマートフォンや携帯電話などの一般的な無線電話端末からなり、主な機能部として、無線I/F部31、音声処理部32、記憶部33、制御部34、操作入力部35、および画面表示部36が設けられている。
【0044】
無線I/F部31は、無線通信用のインターフェース回路からなり、無線通信網NW2を介して電話制御装置10との間でデータ通信回線と音声通信回線とをそれぞれ確立する機能を有している。
音声処理部32は、スピーカおよびマイクを含み、無線I/F部31により音声通信回線から受信した音声データを音声信号に復号してスピーカから出力する機能と、マイクから入力された音声信号を音声データに符号化して無線I/F部31から音声通信回線へ出力する機能とを有している。
【0045】
記憶部33は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部34での制御処理に用いる処理データやプログラム33Pを記憶する機能を有している。
プログラム33Pは、制御部34のCPUに読み込まれて実行されることにより、各種処理部を実現するプログラムである。
【0046】
記憶部33で記憶する主な処理データとして、呼制御データ33Aがある。呼制御データ33Aは、回線L1,L2や内線端末20の動作状態を示すステータスデータや設定内容を示す設定データなどからなる。ステータスデータとしては、前述の
図2に示したような、電話制御装置10に収容されている各通話回線の回線状態を示すデータがある。このデータは、データ通信回線を用いて電話制御装置10から通知されて記憶部33に保存される。
【0047】
制御部34は、CPUからなり、記憶部33のプログラム33Pを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現して、無線端末30の動作を制御する機能を有している。
制御部34で実現される主な処理部として、回線制御部34Aおよび通話制御部34Bがある。このうち、通話制御部34Bは、一般的な無線端末30に標準装備されている基本機能であるが、回線制御部34Aは基本機能ではない。このため、回線制御部34Aを無線端末30に追加する追加アプリケーションで実現して、利用者にそのプログラムを提供するようにしてもよい。
【0048】
回線制御部34Aは、データ通信回線を用いて電話制御装置10から通知された各通話回線の回線状態を画面表示する機能と、これら通話回線のうちのいずれかを対象通話回線として指定した回線予約操作に応じて、データ通信回線を用いて電話制御装置10へ当該対象通話回線を示す回線指定情報を含む回線予約要求を送信する機能と、データ通信回線を用いて電話制御装置10から通知された予約成功に応じて、通話制御部34Bに対して音声通信回線を用いた電話制御装置10への呼び出しを指示する機能とを有している。
【0049】
また、回線制御部34Aは、通話回線のうちのいずれかを対象通話回線として指定するとともに発信先電話番号を指定した発信操作に応じて、当該対象通話回線を示す回線指定情報と発信先電話番号とを含む発信要求からなる回線予約要求を、データ通信回線を用いて電話制御装置10へ送信する機能を有している。
【0050】
通話制御部34Bは、音声通信回線を介して電話制御装置10と通話路を確立して、電話制御装置10により中継接続された相手端末30や内線端末20との間で音声通話を実現する機能を有している。
【0051】
操作入力部35は、画面表示部36の表示画面上に設けられたタッチパネルや、各種の操作スイッチなどの操作入力装置からなり、利用者の操作を検出して制御部34へ出力する機能を有している。
画面表示部36は、制御部34から出力された回線状態画面などの各種画面を表示する機能を有している。
【0052】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図6を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10および無線端末30の動作について説明する。
図6は、第1の実施の形態にかかる電話制御装置および無線端末の発信動作を示すシーケンス図であり、図中細線はデータ通信回線を用いた通信を示し、図中太線は音声通信回線を用いた通信を示している。
ここでは、電話制御装置10のうち特定の通話回線を対象通話回線として指定した無線端末30での発信操作に応じて、電話制御装置10の対象通話回線から相手端末40を呼び出す発信動作について説明する。
【0053】
まず、無線端末30の操作入力部35において、利用者による回線状態要求操作を検出した場合(ステップ100)、制御部34の回線制御部34Aは、電話制御装置10に収容されている各通話回線に関する回線状態を要求する回線状態要求を、無線I/F部31からデータ通信回線を介して電話制御装置10へ通知する(ステップ101)。
【0054】
電話制御装置10の無線端末制御部14Aは、無線端末30からの回線状態要求をデータ通信回線を介して網I/F部11で受信した場合、記憶部13の呼制御データ13Aから、各通話回線に関する回線状態を取得し、網I/F部11からデータ通信回線を用いて無線端末30へ回線状態を通知する(ステップ102)。
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの回線状態を、これら通話回線を選択するための操作ボタンとともに、画面表示部36で画面表示する(ステップ103)。
【0055】
図7は、回線状態の画面表示例である。ここでは、通話回線が4つ存在する場合を例として、それぞれの通話回線に対応して外線ボタン51が表示されており、これら外線ボタン51の色・模様・図柄を用いて、それぞれの通話回線の回線状態が表示されている。
このほか、この画面には、タッチキーを利用して、発信先電話番号を入力するためのダイヤルキー52や、入力された発信先電話番号が表示される入力確認欄53、および発信・電話帳・訂正などの各種機能キー54が画面表示されている。
【0056】
したがって、利用者は、外線ボタン51のうち、空き状態にある通話回線と対応する外線ボタンを選択して押下することにより、対象通話回線を指定し、ダイヤルキー52を押下することにより、発信先電話番号を入力し、発信キーを押下することにより、発信操作を完了する(ステップ110)。
回線制御部34Aは、操作入力部35で検出された上記発信操作に応じて、この発信操作で指定された対象通話回線を示す回線指定情報、発信先電話番号、および発信処理を示す処理内容を含む発信要求からなる回線予約要求を、無線I/F部31からデータ通信回線を用いて電話制御装置10へ通知する(ステップ111)。
【0057】
電話制御装置10の無線端末制御部14Aは、網I/F部11を介して無線端末30からの回線予約要求を受信し、この回線予約要求に応じて記憶部13の呼制御データ13Aおよび予約データ13Bを参照して、各通話回線のうち当該回線予約要求で指定された対象通話回線への予約可否を判定する(ステップ112)。
【0058】
ここで、対象通話回線が空き状態でない場合、あるいは他の無線端末30が対象通話回線に対して予約している場合、無線端末制御部14Aは予約不可と判定し(ステップ112:NO)、網I/F部11からデータ通信回線を介して無線端末30へ、予約失敗と新たな回線状態とを通知する(ステップ113)。
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの予約失敗に応じて、発信失敗を画面表示部36で画面表示するとともに(ステップ114)、新たな回線状態を画面表示部36で画面表示し(ステップ115)、一連の発信動作を終了する。
【0059】
一方、ステップ112において、対象通話回線が空き状態であり、かつ、他の無線端末30が対象通話回線について予約していない場合、無線端末制御部14Aは、予約可能と判定する(ステップ112:YES)。
これに応じて、無線端末制御部14Aは、対象通話回線の回線IDを当該無線端末30の端末IDと対応付けて、記憶部13の予約データ13Bに予約登録し(ステップ116)、網I/F部11からデータ通信回線を介して無線端末30へ予約成功を通知する(ステップ117)。この場合、予約データ13Bには、予約時刻のほか、処理内容として発信要求を登録するとともに、当該回線予約要求で指定された発信先電話番号も登録する。
【0060】
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの予約成功に応じて、通話制御部34Bに対して音声通信回線を用いた電話制御装置10への呼び出しを指示する(ステップ118)。
通話制御部34Bは、回線制御部34Aからの呼び出し指示に応じて、無線I/F部31から音声通信回線を用いて電話制御装置10の呼び出しを行う(ステップ120)。
【0061】
電話制御装置10の呼制御部14Bは、網I/F部11を介して無線端末30からの呼び出しがあった場合、記憶部13の呼制御データ13Aを参照して、この呼び出しで通知された発信者電話番号と対応する端末IDを取得し、記憶部13の予約データ13Bを参照して、当該端末IDに関する予約の有無を確認する。この際、予約がない場合には、無線端末30からの通常の着信として呼制御する。
【0062】
一方、当該端末IDに関する発信要求を示す予約が存在した場合、呼制御部14Bは、当該予約の予約時間と当該呼び出しの通知時刻とを比較するとともに、対象通話回線の回線状態を確認することにより、中継接続の可否を判定する(ステップ121)。
【0063】
ここで、予約の有効時間が経過していた場合、あるいは対象通話回線が着信状態などに移行して空き状態でなくなり、発信できない場合、呼制御部14Bは、中継接続不可であると判定して(ステップ121:NO)、網I/F部11から音声通信回線を用いて無線端末30へ切断を通知するとともに(ステップ122)、網I/F部11からデータ通信回線を用いて無線端末30へ発信失敗と新たな回線状態とを通知する(ステップ123)。
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの発信失敗に応じて、ステップ114と同様にして発信失敗を画面表示部36で画面表示するとともに、ステップ115と同様にして新たな回線状態を画面表示部36で画面表示し、一連の発信動作を終了する。
【0064】
一方、ステップ121において、当該予約の有効時間が経過しておらず、対象通話回線が空き状態である場合、呼制御部14Bは、中継接続可であると判定して(ステップ121:YES)、当該無線端末30からの呼び出しに自動応答する(ステップ124)。これにより、無線端末30との間で音声通信回線を用いた通話路が形成される。
【0065】
また、中継接続可と判定した場合、呼制御部14Bは、当該予約で指定された対象通話回線を捕捉して(ステップ125)、当該予約で指定された発信先電話番号を用いて相手端末40の呼び出しを行う(ステップ126)。
この呼び出しに対する相手端末40での応答操作に応じて(ステップ127)、相手端末40との間で対象通話回線を用いた通話路が形成された場合、呼制御部14Bは、無線端末30の音声通信回線と対象通話回線とを中継接続する。これにより、相手端末40の通話路と無線端末30の通話路とが接続されて、相手端末40と無線端末30との通話が開始され(ステップ128)、一連の発信動作が終了する。
【0066】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、無線端末制御部14Aで、データ通信回線を用いて無線端末30へ通話回線の回線状態を通知し、データ通信回線を用いて無線端末30から通知された回線予約要求に応じて、各通話回線のうち当該回線予約要求で指定された対象通話回線の回線状態および予約状態に基づいて予約可否を判定し、予約可の判定に応じて当該対象通話回線と当該無線端末30とを対応付けて予約し、呼制御部14Bで、予約を行った無線端末30から音声通信回線を用いて呼び出しがあった場合には、当該予約の有効時間と当該対象通話回線の回線状態とに基づいて、当該対象通話回線との中継接続可否を判定し、中継接続可の判定に応じて当該呼び出しに自動応答して、当該無線端末30の当該音声通信回線と対象通話回線とを中継接続するようにしたものである。
【0067】
より具体的には、無線端末制御部14Aで、回線予約要求が対象通話回線を示す回線指定情報と発信先電話番号とを含む発信要求からなる場合、通話回線のうちから当該回線指定情報と対応する当該対象通話回線を選択して予約し、呼制御部14Bで、発信要求を示す予約を行った無線端末30から音声通信回線を用いて呼び出しがあった場合には、当該予約の有効時間が経過しておらず、かつ、当該対象通話回線の回線状態が空き状態である場合に、中継接続可と判定し、発信先電話番号に対して対象通話回線から呼び出しを行うようにしたものである。
【0068】
これにより、電話制御装置10の各通話回線の回線状態が無線端末30に通知されて画面表示され、無線端末30での対象通話回線を指定した発信操作に応じて、対象通話回線が予約されて、その後の当該無線端末30からの呼び出しに応じて、電話制御装置10で対象通話回線から相手端末40が呼び出され、この対象通話回線と無線端末との音声通信回線とが中継接続される。
【0069】
したがって、スマートフォンや携帯電話など、一般的な単独電話機と同様に、1つの通話回線を制御対象とする、いわゆるシングルライン対応である無線端末30であっても、電話制御装置10に収容されている複数の通話回線のうちから任意の通話回線を選択して使用(発信)することができる。
また、本実施の形態では、無線端末30から音声通話回線を用いて電話制御装置10を呼び出すようにしたので、前述したコールバック方式にかかる問題点を回避することができる。
【0070】
また、電話制御装置10との間で音声通信回線を確立する前に、無線端末30からデータ通信回線を介して電話制御装置10に、対象通話回線の使用を予約するようにしたので、無線端末30が無線通信網NW2を介して電話制御装置10を呼び出して、電話制御装置10との間で音声通信回線を確立するまでのタイムラグがあっても、このタイムラグの間に、対象通話回線が他の無線端末30や内線端末20により使用される可能性がなくなるため、無線端末30に対して安定した接続サービスを提供することができる。
【0071】
また、本実施の形態において、無線端末制御部14Aが、予約の際、無線端末からの回線予約要求で指定された対象通話回線の回線状態および予約状態に基づき予約可否を判定し、予約不可の場合にはデータ通信回線を用いて当該無線端末へ、予約失敗と対象通話回線の新たな回線状態とを通知するようにしてもよい。
これにより、利用者は、新たな回線状態に基づいて予約不可となった理由を認識することができるとともに、他の通話回線を指定した回線予約要求を再度行うことができる。
【0072】
また、本実施の形態において、無線端末制御部14Aが、データ通信回線を用いた無線端末30からの回線状態要求に応じて、通話回線の回線状態の変更有無を確認し、当該回線状態に変更があった場合にのみ、通話回線の回線状態をデータ通信回線を用いて当該無線端末30へ通知するようにしてもよい。
これにより、回線状態に変更がない場合には、回線状態の通知を停止することができ、データ通信回線の不必要な使用を回避できるとともに、高いセキュリティ性を得ることができる。
【0073】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる電話制御装置10について説明する。
第1の実施の形態では、無線端末30での発信操作に応じて、電話制御装置10の通話回線を予約して相手端末40を呼び出す場合を例として説明した。本実施の形態では、無線端末30での応答操作に応じて、電話制御装置10の通話回線を予約して相手端末40からの着信に応答する場合について説明する。
【0074】
本実施の形態において、電話制御装置10の無線端末制御部14Aは、回線予約要求が対象通話回線を示す回線指定情報を含む応答要求からなる場合、通話回線のうちから当該回線指定情報と対応する対象通話回線を選択して予約する機能とを有している。
また、電話制御装置10の呼制御部14Bは、応答要求を示す予約を行った無線端末30から音声通信回線を用いて呼び出しがあった場合には、当該予約の有効時間が経過しておらず、かつ、当該対象通話回線の回線状態が着信状態である場合に、中継接続可と判定し、対象通話回線に対する呼び出しに自動応答する機能を有している。
【0075】
無線端末30の回線制御部34Aは、通話回線のうちのいずれかの通話回線を対象通話回線として指定した応答操作に応じて、当該対象通話回線を示す回線指定情報を含む応答要求からなる回線予約要求を、データ通信回線を用いて電話制御装置10へ送信する機能を有している。
本実施の形態にかかる電話制御装置10および無線端末30にかかるその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0076】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図8を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10および無線端末30の動作について説明する。
図8は、第2の実施の形態にかかる電話制御装置および無線端末の応答動作を示すシーケンス図であり、図中細線はデータ通信回線を用いた通信を示し、図中太線は音声通信回線を用いた通信を示している。
ここでは、電話制御装置10のうち特定の通話回線を対象通話回線として指定した無線端末30での応答操作に応じて、電話制御装置10の対象通話回線に対する相手端末40からの呼び出に応答する応答動作について説明する。
【0077】
まず、相手端末40での発信操作に応じて(ステップ200)、相手端末40から電話網NW1および回線L1の通話回線を介して電話制御装置10へ呼び出しが通知される(ステップ201)。
電話制御装置10の呼制御部14Bは、網I/F部11での呼び出しの検出に応じて、記憶部13の呼制御データ13Aのうち、呼び出しを検出した通話回線の回線状態を着信状態に変更する。無線端末制御部14Aは、この回線状態の変更を示す回線状態変更通知を、データ通信回線を用いて無線端末30へ通知する(ステップ202)。
【0078】
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの回線状態変更通知に応じて、電話制御装置10に収容されている各通話回線に関する回線状態を要求する回線状態要求を、無線I/F部31からデータ通信回線を介して電話制御装置10へ通知する(ステップ203)。
電話制御装置10の無線端末制御部14Aは、無線端末30からの回線状態要求をデータ通信回線を介して網I/F部11で受信した場合、記憶部13の呼制御データ13Aから、各通話回線に関する回線状態を取得し、網I/F部11からデータ通信回線を用いて無線端末30へ回線状態を通知する(ステップ204)。
【0079】
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの回線状態を、これら通話回線を選択するための操作ボタンとともに、画面表示部36で画面表示する(ステップ205)。
回線制御部34Aは、操作入力部35で検出された、着信状態を示す通話回線に対する応答操作に応じて(ステップ210)、この応答操作で指定された対象通話回線を示す回線指定情報、および応答処理を示す処理内容を含む応答要求からなる回線予約要求を、無線I/F部31からデータ通信回線を用いて電話制御装置10へ通知する(ステップ211)。
【0080】
電話制御装置10の無線端末制御部14Aは、網I/F部11を介して無線端末30からの回線予約要求を受信し、この回線予約要求に応じて記憶部13の呼制御データ13Aおよび予約データ13Bを参照して、各通話回線のうち当該回線予約要求で指定された対象通話回線への予約可否を判定する(ステップ212)。
【0081】
ここで、対象通話回線が着信状態でない場合、あるいは他の無線端末30が対象通話回線に対して予約している場合、無線端末制御部14Aは予約不可と判定し(ステップ212:NO)、網I/F部11からデータ通信回線を介して無線端末30へ、予約失敗と新たな回線状態とを通知する(ステップ213)。
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの予約失敗に応じて、応答失敗を画面表示部36で画面表示するとともに(ステップ214)、新たな回線状態を画面表示部36で画面表示し(ステップ215)、一連の応答動作を終了する。
【0082】
一方、ステップ212において、対象通話回線が着信状態であり、かつ、他の無線端末30が対象通話回線について予約していない場合、無線端末制御部14Aは、予約可能と判定する(ステップ212:YES)。
これに応じて、無線端末制御部14Aは、対象通話回線の回線IDを当該無線端末30の端末IDと対応付けて、記憶部13の予約データ13Bに予約登録し(ステップ216)、網I/F部11からデータ通信回線を介して無線端末30へ予約成功を通知する(ステップ217)。この場合、予約データ13Bには、予約時刻のほか、処理内容として応答要求を登録する。
【0083】
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの予約成功に応じて、通話制御部34Bに対して音声通信回線を用いた電話制御装置10への呼び出しを指示する(ステップ218)。
通話制御部34Bは、回線制御部34Aからの呼び出し指示に応じて、無線I/F部31から音声通信回線を用いて電話制御装置10の呼び出しを行う(ステップ220)。
【0084】
電話制御装置10の呼制御部14Bは、網I/F部11を介して無線端末30からの呼び出しがあった場合、記憶部13の呼制御データ13Aを参照して、この呼び出しで通知された発信者電話番号と対応する端末IDを取得し、記憶部13の予約データ13Bを参照して、当該端末IDに関する予約の有無を確認する。この際、予約がない場合には、無線端末30からの通常の着信として呼制御する。
【0085】
一方、当該端末IDに関する応答要求を示す予約が存在した場合、呼制御部14Bは、当該予約の予約時間と当該呼び出しの通知時刻とを比較するとともに、対象通話回線の回線状態を確認することにより、中継接続の可否を判定する(ステップ221)。
【0086】
ここで、予約の有効時間が経過していた場合、あるいは対象通話回線への呼び出しが相手端末40により切断されて着信状態でなくなり、応答できない場合、呼制御部14Bは、中継接続不可であると判定して(ステップ221:NO)、網I/F部11から音声通信回線を用いて無線端末30へ切断を通知するとともに(ステップ222)、網I/F部11からデータ通信回線を用いて無線端末30へ応答失敗と新たな回線状態とを通知する(ステップ223)。
無線端末30の回線制御部34Aは、無線I/F部31を介して受信した電話制御装置10からの応答失敗に応じて、ステップ214と同様にして応答失敗を画面表示部36で画面表示するとともに、ステップ215と同様にして新たな回線状態を画面表示部36で画面表示し、一連の応答動作を終了する。
【0087】
一方、ステップ221において、当該予約の有効時間が経過しておらず、対象通話回線が着信状態である場合、呼制御部14Bは、中継接続可であると判定して(ステップ221:YES)、当該無線端末30からの呼び出しに自動応答する(ステップ224)。これにより、無線端末30との間で音声通信回線を用いた通話路が形成される。
【0088】
また、中継接続可と判定した場合、呼制御部14Bは、当該予約で指定された対象通話回線を捕捉して(ステップ225)、相手端末40からの呼び出しに応答する(ステップ226)。
これにより、相手端末40との間で対象通話回線を用いた通話路が形成され、呼制御部14Bは、無線端末30の音声通信回線と対象通話回線とを中継接続する。これにより、相手端末40の通話路と無線端末30の通話路とが接続されて、相手端末40と無線端末30との通話が開始され(ステップ227)、一連の応答動作が終了する。
【0089】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、無線端末制御部14Aで、回線予約要求が対象通話回線を示す回線指定情報を含む応答要求からなる場合、通話回線のうちから当該回線指定情報と対応する対象通話回線を選択して予約し、呼制御部14Bで、応答要求を示す予約を行った無線端末30から音声通信回線を用いて呼び出しがあった場合には、当該予約の有効時間が経過しておらず、かつ、当該対象通話回線の回線状態が着信状態である場合に、中継接続可と判定し、対象通話回線に対する呼び出しに自動応答するようにしたものである。
【0090】
これにより、電話制御装置10の各通話回線の回線状態が無線端末30に通知されて画面表示され、無線端末30での対象通話回線を指定した応答操作に応じて、対象通話回線が予約されて、その後の当該無線端末30からの呼び出しに応じて、電話制御装置10で対象通話回線に対する相手端末40からの呼び出しに応答し、この対象通話回線と無線端末との音声通信回線とが中継接続される。
したがって、スマートフォンや携帯電話など、一般的な単独電話機と同様に、1つの通話回線を制御対象とする、いわゆるシングルライン対応である無線端末30であっても、電話制御装置10に収容されている複数の通話回線のうちから任意の通話回線を選択して応答することができる。これにより、複数の着信が同時に発生した場合でも、利用者の意図に応じていずれかの着信を選択して応答することが可能となる。
【0091】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。