【実施例】
【0071】
[特性の評価方法]
(1)ガラス転移点温度TgA(TgB)、融点TmA(TmB)、結晶化温度TccA
JIS K7122(1987)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用い、樹脂(A
1)及び樹脂(B)のガラス転移点温度TgA(TgB)、融点TmA(TmB)、結晶化温度TccAを測定した。測定は、樹脂(A
1)あるいは樹脂(B)をサンプルパンに5mg秤量し、20℃/分の昇温速度で樹脂を25℃から350℃まで加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下まで急冷し、再度25℃から20℃/分の昇温速度で350℃まで加熱(2ndRUN)を行い得られた示差走査熱量測定チャートの2ndRunのガラス転移点における変曲点での接線とベースラインの交点の温度をガラス転移点温度TgA(TgB)、結晶化ピークにおけるピークトップの温度を結晶化温度TccA、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を融点TmA(TmB)とした。
【0072】
(2)電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察
試料を必要に応じて染色した後、ミクロトームを用いて、シート断面を厚み方向に潰すことなく、薄膜切片状の観察サンプルを作製した。次に、得られた断面薄膜切片を、電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”)を用いて拡大観察を行った。
【0073】
(3)部分放電電圧
菊水電子(株)製部分放電電圧試験装置“KPD2050”を用いて、下記の条件で50mm×50mmの大きさに切り出した、シートの部分放電電圧試験をn=5で行った。尚、前記試験で求められた消滅電圧(V)を部分放電電圧(V)とした。
最大電圧:1.6KV
周波数:50Hz
試験時間:22.0s
テストパターン:Ramp(昇圧10.0s、最大電圧保持2.0s、降圧10.0s)
パルス検出方法・レベル:+50%
消滅電圧測定電荷:50pC
得られた部分放電電圧について以下のように判定を行った。
部分放電電圧が900V以上の場合:S
部分放電電圧が850V以上900V未満の場合:A
部分放電電圧が800V以上850V未満の場合:B
部分放電電圧が750V以上800V未満の場合:C
部分放電電圧が700V以上750V未満の場合:D
部分放電電圧が700V未満の場合:E
電気絶縁性はS〜Dが良好であり、その中でSが最も優れている。
【0074】
(4)耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)
(4−1)紫外線照射前の破断伸度
ASTM−D882(1999)に基づいて、シートを1cm×20cmの大きさに切り出し、チャック間1cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、サンプル数はn=5とし、また、フィルムの縦方向、横方向のそれぞれについて測定した後、それらの平均値として求めた。
(4−2)紫外線照射後の破断伸度
シートを岩崎電気(株)製アイスーパー紫外線テスターS−W131にて、温度60℃、相対湿度60%、照度100mW/cm
2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm)の条件下で96時間照射し、その後前記(4)項に従って破断伸度を測定した。なお、測定はn=5とし、フィルムの縦方向、横方向のそれぞれについて測定した後、その平均値を紫外線照射後の破断伸度とした。
(4−3)耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)の判定
得られた結果について以下のように判定を行った。
紫外線照射後の破断伸度が照射前の150%以上の場合:A
紫外線照射後の破断伸度が照射前の100%以上150%未満の場合:B
紫外線照射後の破断伸度が照射前の50%以上100%未満の場合:C
紫外線照射後の破断伸度が照射前の10%以上50%未満の場合:D
紫外線照射後の破断伸度が照射前の10%未満の場合:E
耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)はA〜Dが良好であり、その中で最もAが優れている。
【0075】
(5)耐紫外線性(色調変化の抑制性)
(5−1)紫外線照射前の色調(b値)
JIS−Z−8722(2000)に基づき、分光式色差計(日本電色工業製SE−2000、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて反射法によりシートの色調(b値)をn=3で測定した。
(5−2)紫外線照射後の色調変化(Δb)
シートを岩崎電気(株)製アイスーパー紫外線テスターS−W131にて、温度60℃、相対湿度60%、照度100mW/cm
2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm)の条件下で96時間照射した前後の色調(b値)を前記(5−1)項に従い測定し、次の(α)式より紫外線照射後の色調変化(Δb)を算出した。
紫外線照射後の色調変化(Δb)=b1−b0 (α)式
b0:紫外線照射前の色調(b値)
b1:紫外線照射後の色調(b値)
(5−3)耐紫外線性(色調変化の抑制性)の判定
得られた紫外線照射後の色調変化(Δb)について、以下のように判定を行った。
紫外線照射後の色調変化(Δb)が0.5未満の場合:A
紫外線照射後の色調変化(Δb)が0.5以上1未満の場合:B
紫外線照射後の色調変化(Δb)が1以上5未満の場合:C
紫外線照射後の色調変化(Δb)が5以上の場合:E
耐紫外線性(色調変化の抑制性)はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
【0076】
(6)熱収縮率
JIS−C2318(1966)に規定された方法に従って、幅10mm、標線間隙約100mmに切り出したシートを、温度150℃、荷重0.5gで30分間熱処理した。その熱処理前後の標線間隙をn=3で測定し、次の(β)式より熱収縮率の絶対値を算出した。
熱収縮率の絶対値(%)=|(L0―L1)/L0×100| (β)式
L0:加熱処理前の標線間隙
L1:加熱処理後の標線間隙
得られた熱収縮率について、長手方向、幅方向の平均値を算出し以下のように判定を行った。
熱収縮率の絶対値が0.5%未満の場合:A
熱収縮率の絶対値が0.5%以上0.8%未満の場合:B
熱収縮率の絶対値が0.8%以上1.0%未満の場合:C
熱収縮率の絶対値が1.0%以上1.5%未満の場合:D
熱収縮率の絶対値1.5%以上の場合:E
熱寸法安定性はA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
【0077】
(7)難燃性試験
UL94HB試験に基づいて、シートを0.5インチ×6インチ(12.7mm×152.4mm)の大きさに切り出し、水平に保持して燃焼試験をn=3で行った時の4インチ(101.6mm)の標線間での燃焼速度で以下のように判定を行った。
燃焼速度が75mm/分未満の場合:A
燃焼速度が75mm/分以上100mm/分未満の場合:B
燃焼速度が100mm/分以上150mm/分未満の場合:C
燃焼速度が150mm/分以上200mm/分未満の場合:D
燃焼速度が200mm/分以上の場合:E
難燃性はA〜Dが良好であり、その中でAが最も優れている。
【0078】
(8)分光反射率
分光光度計U−3410(日立製作所(株)製)を用いて、波長450〜700nmの範囲の分光反射率を10nm間隔で測定し、その平均値を平均分光反射率とした。サンプル数はn=5とし、それぞれの平均分光反射率を測定して、その平均値を算出した。測定ユニットはφ60mmの積分球(型番130−0632)を使用し、10°傾斜スペーサーを取り付けた。また、標準白色板には酸化アルミニウム(型番210−0740)を使用した。
【0079】
得られた平均分光反射率について、以下のように判定した。
平均分光反射率が90%以上の場合:A
平均分光反射率が80%以上90%未満の場合:B
平均分光反射率が80%未満の場合:E
反射性はA、Bが良好であり、その中でもAが最も優れている。
【0080】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)
樹脂(A
1)としてナイロン6樹脂“アミラン”(登録商標)CM1041−LO(東レ(株)製、TmA225℃)、樹脂(B)としてポリフェニレンエーテル樹脂“ノリル”(登録商標)PPO640(SABICイノベーティブプラスチック製、TgB215℃)を用いて、前記樹脂(A
1)100質量部と前記樹脂(B)100質量部を減圧した280℃のベント式二軸押出機内で溶融混練し、溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして混合原料A(ナイロン6/ポリフェニレンエーテル=50/50(質量比))を作製した。
【0082】
次いで、P1層形成用組成物として、得られた混合原料Aを90℃で5時間減圧乾燥し、100質量部を280℃の押出機1で、P2層形成用樹脂組成物として前記樹脂(A
1)を260℃の押出機2でそれぞれ溶融混練し、溶融共押出法にてP2層/P1層/P2層なる積層構造を有し、厚み比が1/6/1となるように押出機1及び2の吐出量を調整した溶融シートをTダイから押し出し、25℃に保った冷却ドラムに静電印加密着してキャストし、厚み300μmの積層シートを得た。
得られた積層シートについて、電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0083】
また、得られた積層シートについて、部分放電電圧試験、紫外線照射後の破断伸度、難燃性試験の各評価を行った。その結果、表1に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0084】
また、得られた積層シートについて熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0085】
(実施例2)
P2層の主たる成分の樹脂(A
2)としてナイロン610樹脂“アミラン”(登録商標)CM2021(東レ(株)製、TmA220℃)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0086】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0087】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0088】
(実施例3〜6)
P1層形成用組成物として、実施例1で用いた混合原料Aを樹脂(A
1)と樹脂(B)の質量比W
A1:W
Bが表1の通りとなるように、樹脂(A
1)で希釈して用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0089】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0090】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す通り、樹脂(B)の質量比が大きくなるほど、非常に優れた電気絶縁性を有すること、実施例4、5は実施例3、6に比べ非常に優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。また、最も樹脂(B)の質量比が小さい実施例3は実施例4〜6に比べて電気絶縁性(部分放電電圧)に劣るが問題ない範囲であり、良好な難燃性を有するがことがわかった。
【0091】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、樹脂(B)の質量比が大きくなるほど、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0092】
(実施例7)
樹脂(A
1)100質量部と樹脂(B)122質量部を減圧した280℃のベント式二軸押出機内で溶融混練し、溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして混合原料B(N6/ポリフェニレンエーテル樹脂=45/55(質量比))を作製した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0093】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0094】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、難燃性を有することがわかった。
【0095】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0096】
(実施例8〜10)
表1の通り、押出機1の温度(℃)を変更した以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
【0097】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0098】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す通り、押出機1の温度(℃)をそれぞれ275℃、265℃とした実施例8、9は実施例1に比べて非常に優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。
【0099】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、押出機1の温度(℃)を変更しても、実施例1と同等の非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0100】
【表1】
【0101】
(実施例11)
P1層に成分(C)として、ポリプロピレン樹脂“プライムポリプロ”(登録商標)F−300SP((株)プライムポリマー製)をP1層の総質量に対して5質量%含む樹脂層とした以外は実施例1と同様に積層シートを得た。尚、P1層に含まれる樹脂(B)の含有量M
Bと成分(C)の含有量M
Cは下記式(X)を満たす関係である。
M
C≦−0.14M
B+30.5 ・・・(X)
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0102】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0103】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0104】
(実施例12〜14)
P1層に含まれる成分(C)の含有量を表1の通りとなるように調整した以外は、実施例11と同様に積層シートを得た。尚、実施例12、13については、P1層に含まれる樹脂(B)の含有量M
Bと成分(C)の含有量M
Cは下記式(X)を満たす関係である。
M
C≦−0.14M
B+30.5 ・・・(X)
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0105】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り、実施例11に比べて、更に優れた電気絶縁性を有することがわかった。また、実施例13、14は実施例12に比べて耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)に劣るが問題ない範囲であった。
【0106】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0107】
(実施例15)
P1層に用いた樹脂(A
1)樹脂100質量部と、平均粒子径200nmのルチル型二酸化チタン粒子43質量部を、減圧した260℃のベント式二軸押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(MB−TiO
2(30質量%))を作製し、P2層形成用樹脂組成物として該酸化チタン原料(MB−TiO
2(30質量%))100質量部と前記樹脂(A
1)114質量部を用いて、表2の通り、P2層に二酸化チタン粒子をP2層の総質量に対して14質量%含む樹脂層とした以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
【0108】
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0109】
また、得られた積層シートについて紫外線照射前後の色調変化、熱収縮率、分光反射率の各評価を行ったところ、非常に優れた耐紫外線性(色調変化の抑制性)、熱寸法安定性(熱収縮率)、反射性(分光反射率)を有することがわかった。
【0110】
(実施例16)
P2層/P1層/P2層の厚み比を1/12/1とした以外は実施例15と同様に積層シート得た。
【0111】
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。また、実施例15に比べて難燃性が劣るが問題ない範囲であった。
【0112】
また、得られた積層シートについて実施例15と同様の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性(熱収縮率)、優れた耐紫外線性(色調変化の抑制性)、反射性(分光反射率)を有することがわかった。
【0113】
(実施例17)
積層構成をP1層/P2層とした以外は実施例15と同様に積層シートを得た。
【0114】
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。また、実施例15に比べて難燃性が劣るが問題ない範囲であった。
【0115】
また、得られた積層シートについて実施例15と同様の評価を行ったところ、非常に優れた耐紫外線性(色調変化の抑制性)、熱寸法安定性(熱収縮率)、反射性(分光反射率)を有することがわかった。
【0116】
(実施例18)
P2層に含まれる二酸化チタン粒子濃度をP2層に対して4質量%とした以外は実施例15と同様に積層シートを得た。
【0117】
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0118】
また、得られた積層シートについて実施例15と同様の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性(熱収縮率)、優れた反射性(分光反射率)、良好な耐紫外線性(色調変化の抑制性)を有することがわかった。
【0119】
(実施例19)
P2層に含まれる粒子として硫酸バリウム粒子を用いた以外は実施例15と同様に積層シートを得た。
【0120】
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0121】
また、得られた積層シートについて実施例15と同様の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性(熱収縮率)、反射性(分光反射率)、優れた耐紫外線性(色調変化の抑制性)を有することがわかった。
【0122】
(実施例20)
P1層に用いた樹脂(A
1)樹脂100質量部と、カーボンブラック粒子25質量部を、減圧した260℃のベント式二軸押出機内で溶融混練し、カーボンブラック原料(MB−CB(20質量%))を作製し、P2層形成用樹脂組成物として該カーボンブラック原料(MB−CB(20質量%))100質量部と前記樹脂(A
1)900質量部を用いて、表2の通り、P2層にカーボンブラック粒子をP2層の総質量に対して2質量%含む樹脂層とした以外は実施例15と同様に積層シートを得た。
【0123】
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0124】
また、得られた積層シートについて実施例15と同様の評価を行ったところ、非常に優れた耐紫外線性(色調変化の抑制性)、熱寸法安定性(熱収縮率)を有することがわかった。
【0125】
(実施例21)
表2の通り、実施例11と同様にP1層に成分(C)として、ポリプロピレン樹脂をP1層の総質量に対して15質量%含む樹脂層とし、押出機1の温度を270℃に変更した以外は、実施例15と同様に積層シートを得た。尚、P1層に含まれる樹脂(B)の含有量M
Bと成分(C)の含有量M
Cは下記式(X)を満たす関係である。
M
C≦−0.14M
B+30.5 ・・・(X)
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0126】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表2に示す通り、更に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、非常に優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0127】
また、得られた積層シートについて実施例15と同様の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性(熱収縮率)、耐紫外線性(色調変化の抑制性)、反射性(分光反射率)を有することがわかった。
【0128】
【表2-1】
【0129】
【表2-2】
【0130】
(実施例22)
表3の通り、樹脂(A
1)としてナイロン66樹脂“アミラン”(登録商標)CM3001(東レ(株)製、TmA255℃)を用い、P1層形成用組成物を300℃の押出機1で、P2層形成用樹脂組成物として前記樹脂(A
1)を280℃の押出機2でそれぞれ溶融混練して製造した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0131】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0132】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、良好な難燃性を有することがわかった。
【0133】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0134】
(実施例23)
表3の通り、樹脂(A
1)としてナイロン610樹脂“アミラン”(登録商標)CM2021(東レ(株)製、TmA220℃)を用い、P1層形成用組成物を270℃の押出機1で、P2層形成用樹脂組成物として前記樹脂(A
1)を260℃の押出機2でそれぞれ溶融混練した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0135】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0136】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、難燃性を有することがわかった。
【0137】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0138】
(実施例24)
樹脂(A
1)としてナイロン11樹脂“リルサン”(登録商標)PA11(アルケマ製、TmA187℃)、樹脂(B)として変性ポリフェニレンエーテル樹脂“ノリル”(登録商標)PPO SA120(SABICイノベーティブプラスチック製、TgB165℃)を用いて、前記樹脂(A
1)100質量部と前記樹脂(B)100質量部を減圧した235℃のベント式二軸押出機内で溶融混練し、溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして混合原料C(ナイロン11/変性ポリフェニレンエーテル=50/50(質量比))を作製した。
【0139】
次いで、P1層形成用組成物として、得られた混合原料Cを90℃で5時間減圧乾燥し、100質量部を235℃の押出機1で、P2層形成用樹脂組成物として前記樹脂(A
1)を230℃の押出機2でそれぞれ溶融混練した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0140】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0141】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例1に比べ、更に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)を有し、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、難燃性を有することがわかった。
【0142】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0143】
(実施例25、26)
P1層形成用組成物として、実施例24で用いた混合原料Cを樹脂(A
1)と樹脂(B)の質量比が表3の通りとなるように、樹脂(A
1)で希釈して用いた以外は、実施例19と同様に積層シートを得た。
【0144】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0145】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、樹脂(B)の質量比が最も小さい実施例20は、実施例24に比べて優れた難燃性を有することがわかった。また、実施例25、26は実施例24に比べて耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)に劣るが問題ない範囲であった。
【0146】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、樹脂(B)の質量比が大きくなるほど、優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0147】
(実施例27)
樹脂(A
1)としてナイロン12樹脂“UBESTA”(登録商標)3030XA(宇部興産(株)製、TmA176℃)を用い、P1層形成用組成物を230℃の押出機1で、P2層形成用樹脂組成物として前記樹脂(A
1)を220℃の押出機2でそれぞれ溶融混練した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0148】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0149】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例1に比べ、更に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)を有し、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、難燃性を有することがわかった。
【0150】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0151】
(実施例28)
樹脂(B)として変性ポリフェニレンエーテル樹脂“ノリル”(登録商標)PPO SA120(SABICイノベーティブプラスチック製、TgB165℃)を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0152】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0153】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様に部分放電電圧試験、紫外線照射後の破断伸度、難燃性試験の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)有することがわかった。また、実施例1に比べて、難燃性は劣るが問題ない範囲であった。
【0154】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0155】
(実施例29)
樹脂(B)としてポリエーテルイミド樹脂“ウルテム”(登録商標)1000(SABICイノベーティブプラスチック製、TgB217℃)を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0156】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0157】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、難燃性、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。
【0158】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0159】
(実施例30)
樹脂(B)としてポリアリレート樹脂“Uポリマー”(登録商標)U−100(ユニチカ(株)製、TgB193℃)を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0160】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0161】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、難燃性、優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。
【0162】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0163】
(実施例31)
樹脂(B)としてポリスルホン樹脂“ユーデル”(登録商標)P1700(ソルベイアドバンストポリマーズ製、TgB185℃)を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0164】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0165】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、難燃性を有することがわかった。
【0166】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、良好な熱寸法安定性を有することがわかった。
【0167】
(実施例32)
樹脂(B)としてポリエーテルスルホン樹脂“レーデルA”(登録商標)A300(ソルベイアドバンストポリマーズ製、TgB220℃)を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0168】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0169】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、難燃性を有することがわかった。
【0170】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0171】
(実施例33)
P2層形成用樹脂組成物として実施例1で作製した混合原料A(ナイロン6/ポリフェニレンエーテル=50/50(質量比))2質量部と同様に実施例1で用いた樹脂(A
1)100質量部を用いて、表3の通り、P2層に含まれる樹脂(A
2)と樹脂(B)の質量比を98:2とした以外は実施例7と同様に積層シートを得た。
【0172】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(A
1)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0173】
また、得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表3に示す通り非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、良好な耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有することがわかった。また、実施例7に比べて難燃性が劣るが問題ない範囲であった。
【0174】
また、得られた積層シートについて実施例1と同様に熱収縮率の評価を行ったところ、非常に優れた熱寸法安定性を有することがわかった。
【0175】
【表3】
【0176】
(比較例1)
P2層が設けられていないこと以外は、実施例3と同様にシートを得た。
【0177】
得られたシートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表4に示す通り、耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)が劣ることがわかった。
【0178】
(比較例2)
P2層が設けられていないこと以外は、実施例1と同様にシートを得た。
【0179】
得られたシートについて、実施例1と同様に部分放電電圧試験、紫外線照射後の破断伸度、難燃性試験の評価を行った。その結果、表4に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)を有するが、難燃性が劣ることがわかった。
【0180】
(比較例3)
P2層が設けられていないこと以外は、実施例7と同様にシートを得た。
【0181】
得られたシートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表4に示す通り、非常に優れた耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)、優れた電気絶縁性(部分放電電圧)を有するが、難燃性が劣ることがわかった。
【0182】
(比較例4)
P1層形成用組成物として、実施例1で用いた混合原料Aを樹脂(A
1)と樹脂(B)の質量比が96:4となるように、樹脂(A
1)で希釈して用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0183】
得られたシートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表4に示す通り、優れた難燃性を有するが、電気絶縁性(部分放電電圧)が劣ることがわかった。
【0184】
(比較例5)
樹脂(A
1)100質量部と樹脂(B)127質量部を減圧した280℃のベント式二軸押出機内で溶融混練し、溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして混合原料D(N6/ポリフェニレンエーテル樹脂=44/56(質量比))を作製した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
【0185】
得られた積層シートについて、実施例1と同様に断面観察を行った結果、樹脂(B)が連続相である相分離構造を有することがわかった。
【0186】
得られたシートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、表4に示す通り、非常に優れた電気絶縁性(部分放電電圧)、良好な難燃性を有するが、耐紫外線性(伸度劣化の抑制性)が劣ることがわかった。
【0187】
【表4】