(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行車体(1)の上側に操縦部(3)を配設し、該操縦部(3)に有した運転席(10)の下方の原動部(4)にはエンジン(E)を備え、前記原動部(4)におけるエンジン(E)の外側の部位に冷却ファン(12)及びラジエータ(13)を配置し、前記走行車体(1)から立設した冷却ファン枠体(22,22)に、支持部材(25)を介して前記冷却ファン(12)を支持し、前記支持部材(25)には、円形の送風開口部(25b)を中央部に有する取付板(25a)を設け、前記冷却ファン(12)を、該冷却ファン(12)の回転軸となる軸部(12a)側から前記取付板(25a)における送風開口部(25b)の周辺部へ向けて放射状に延伸する複数の支持アーム(25c,…)によって取付板(25a)に支持し、前記冷却ファン(12)と、該冷却ファン(12)を無段階に変速して駆動する無段変速装置(91)を連動する伝動装置(37)を、冷却ファン(12)の軸心方向から見て、前記複数の支持アーム(25c,…)の間の間隔部に配置し、
前記走行車体(1)における原動部(4)の周辺部に配設された走行ミッションケース(31)の側方に、前記刈取搬送部(7)懸架用の刈取フレーム(43)を設け、該走行ミッションケース(31)及び刈取フレーム(43)から立設するフレーム(45)に前記無段変速装置(91)を支持したコンバイン。
前記原動部(4)の前側面及び上側面と前記操縦部(3)の運転席(10)との間を内側カバー(55)及び外側カバー(56)で仕切り、該内側カバー(55)と外側カバー(56)を所定の間隔をおいて前記操縦部(3)のフレーム部(47a)に取り付けた請求項1に記載のコンバイン。
前記運転席(10)を上部に取り付けた運転席取付フレーム(57)の下側部を、前記内側カバー(55)と外側カバー(56)の間に形成される空間部(62)に入り込ませた請求項2に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記背景技術の発明は、エンジン側に冷却ファンを配設し、走行車体側に配設している冷却ファン用無段変速装置からベルト伝動装置を経由して冷却ファンを駆動する構成であるため、冷却ファンと冷却ファン用無段変速装置とが異なる振動となりベルト伝動装置の耐久性が低下し、また、その組立て作業が複雑になるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、冷却ファンをエンジンから分離し冷却ファン用油圧式無段変速装置と共に走行車体側に配設することにより前記問題点を解決し、更に冷却ファンの配設構成をコンパクトで強硬なものにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、走行車体(1)の上側に操縦部(3)を配設し、該操縦部(3)に有した運転席(10)の下方の原動部(4)にはエンジン(E)を備え、前記原動部(4)におけるエンジン(E)の外側の部位に冷却ファン(12)及びラジエータ(13)を配置し、
前記走行車体(1)から立設した冷却ファン枠体(22,22)に、支持部材(25)を介して前記冷却ファン(12)を支持し、前記支持部材(25)には、円形の送風開口部(25b)を中央部に有する取付板(25a)を設け、前記冷却ファン(12)を、該冷却ファン(12)の回転軸となる軸部(12a)側から
前記取付板(25a)における送風開口部(25b)の周辺部へ向けて放射状に延伸する複数の支持アーム(25c,…)によって
取付板(25a)に支持し、前記冷却ファン(12)と、該冷却ファン(12)を無段階に変速して駆動する無段変速装置(91)を連動する伝動装置(37)を、冷却ファン(12)の軸心方向から見て、前記複数の支持アーム(25c,…)の間の間隔部に配置し
、前記走行車体(1)における原動部(4)の周辺部に配設された走行ミッションケース(31)の側方に、前記刈取搬送部(7)懸架用の刈取フレーム(43)を設け、該走行ミッションケース(31)及び刈取フレーム(43)から立設するフレーム(45)に前記無段変速装置(91)を支持したコンバインである。
【0007】
【0008】
【0009】
請求項
2に記載の発明は、前記原動部(4)の前側面及び上側面と前記操縦部(3)の運転席(10)との間を内側カバー(55)及び外側カバー(56)で仕切り、該内側カバー(55)と外側カバー(56)を所定の間隔をおいて前記操縦部(3)のフレーム部(47a)に取り付けた請求項
1に記載
のコンバインである。
【0010】
請求項
3に記載の発明は、前記運転席(10)を上部に取り付けた運転席取付フレーム(57)の下側部を、前記内側カバー(55)と外側カバー(56)の間に形成される空間部(62)に入り込ませた請求項
2に記載
のコンバインである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、冷却ファン(12)を無段階に変速して駆動する無段変速装置(91)を連動する伝動装置(37)を、冷却ファン(12)の軸心方向から見て、この冷却ファン(12)を支持する複数の支持アーム(25c,…)の間の間隔部に配置しているので、ラジエータ(13)を支持する支持部材(25)に冷却ファン(12)を強固に支架して耐久性を高めることができ、また、伝動装置(37)をコンパクトに配設することができる。
【0012】
【0013】
また、走行ミッションケース(31)及び刈取フレーム(43)から立設しているフレーム(45)に無段変速装置(91)を支持したので、操縦部(3)の支持部材と冷却ファン用無段変速装置(91)の支持部材とを分離することができ、操縦部(3)の運転席(10)の振動を軽減し、操縦者の疲労を軽減することができる。
【0014】
請求項
2記載の発明によると、請求項
1に記載の発明の効果に加えて、内側カバー(55)と外側カバー(56)を所定の間隔をおいて操縦部(3)のフレーム部(47a)に取り付けたので、原動部(4)の振動や高温を遮断して運転席(10)の居住性を高めることができる。
【0015】
請求項
3記載の発明によると、請求項
2に記載の発明の効果に加えて、運転席(10)を上部に取り付けている運転席取付フレーム(57)の下側部を、内側カバー(55)と外側カバー(56)の間に形成される空間部(62)に入り込ませたので、内側カバー(55)と外側カバー(56)を強固に構成しながら運転席(10)をコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の実施例について説明する。
まず、
図1乃至
図3に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。なお、機体の進行方向を基準にして前側、後側、左側、右側と記載している。
【0018】
コンバインの走行車体1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行車体1の右側前部に運転席10付きの操縦部3を配設し、操縦部3後部の運転席10の下方にはエンジンを備えた原動部4を配設し、操縦部3後方には穀粒収納用のグレンタンク5を配設している。走行車体1の左側部に脱穀部6を配設し、走行車体1の前側部全面には刈取搬送部7を昇降自在に設け、走行車体1の後部には排稾処理装置8を配設している。また、操縦部3をキャビン15で覆い、グレンタンク5の後側部に排出オーガ9を設け、グレンタンク5内の穀粒を外部に排出するようにしている。
【0019】
次に、
図4乃至
図7に基づき操縦部3及び原動部4の具体構成について説明する。
操縦部3の後部下方に原動部4を設け、該原動部4を左右方向に長い直方体状に構成し、原動部4内の底部の走行車体1にエンジンEをマウント23,…介して支架し、クランク軸Eaを左右方向に沿うように配設している。エンジンEの右側方に冷却ファン12を左右方向軸心回りに回転自在に支架し、冷却ファン12の右側方にラジエータ13を配設し、ラジエータ13の右側方にインタクーラ17,オイルクーラ18,除塵ネット16a付きの外気導入カバー16を配設している。
【0020】
エンジンEの左側上方部位において冷却ファン12の回転軌跡の外側に偏位させて冷却ファン用油圧式無段変速装置(無段変速装置)91を配設し、冷却ファン用油圧式無段変速装置91により冷却ファン12を正転,逆転駆動及び増減速駆動するようにしている。しかして、冷却ファン12は正転駆動状態では、外気導入カバー16の防塵ネット16aを経由して外気を吸入しラジエータ13,インタクーラ17,オイルクーラ18,エンジンEを冷却し、逆転駆動状態では外気導入カバー16の防塵ネット16aを経由して内気を排気し、外気導入カバー16の防塵ネット16aに付着している藁屑類,塵埃類を除去するようにしている。
【0021】
図4に示すように、ラジエータ13の周囲をシュラウド21で囲みエンジンE側に冷気を導入し、ラジエータ13の右外側に配設しているインタクーラ17及びオイルクーラ18はブラケットを介してシュラウド21に取り付けられている。
【0022】
図4〜
図6に示すように、前記冷却ファン用油圧式無段変速装置91をエンジンEの左側部(
図4では右側)上方に配設し、エンジンEの吸気を過給するためにエンジンEの排気ガスが流入するタービン24よりも前方で、走行用油圧式無段変速装置HSTaよりも後方のエンジンEのクランク軸Eaの上方部位に配設している。
【0023】
また、
図6に示すように、キャビン15内の運転席10と共に左右方向に開閉する支持プレート10aの下方に配置され、また、
図7に示すように、冷却ファン12の回転軌跡の上方外側に偏位するように配設している。
【0024】
また、
図6に示すように、走行車体1の前側中央部で冷却ファン用油圧式無段変速装置91の左側前方に走行ミッションケース31を配設し、エンジンEのクランク軸Eaから前上り傾斜状の走行用HSTベルト伝動装置34を経由して走行用油圧無段変速装置HSTaに動力を伝達し、更に走行ミッションケース31内のギヤ式副変速装置(図示省略)を経由して左右クローラ走行装置2,2に動力を伝達している。
【0025】
図4、
図5,
図6に示すように、走行用油圧式無段変速装置HSTaの入力軸HSTaaのプーリから後上り傾斜状の冷却ファン用HSTベルト伝動装置35,冷却ファン用油圧式無段変速装置91を経由して冷却ファン伝動軸32の左側(
図5では右側)端部に動力を伝達し、冷却ファン伝動軸32の右側(
図5では左側)から第2冷却ファンベルト伝動装置(伝動装置)37,プーリ12bを介して冷却ファン12に動力を伝達している。
【0026】
また、
図6に示すように、前記走行用HSTベルト伝動装置34の上側外周部にテンションプーリ,テンションアームからなるテンションクラッチ装置30aを配設し、走行用HSTベルト伝動装置34の逆転駆動時の伝動ベルトの緩みを防止し耐久性を高めるようにしている。
【0027】
前記冷却ファン用HSTベルト伝動装置35の下側外周部にテンションプーリ,テンションアームからなるテンションクラッチ装置30bを配設し、冷却ファン用HSTベルト伝動装置35の逆転駆動時の伝動ベルトの緩みを防止し耐久性を高めるようにしている。
(14431)
次に、
図8〜
図10に基づき冷却ファン用無段変速装置91から冷却ファン12への伝動構成について説明する。
【0028】
エンジンEの動力をエンジンEの周辺部に配設している走行用HSTベルト伝動装置34,走行用油圧式無段変速装置HSTa,冷却ファン用HSTベルト伝動装置35,冷却ファン用油圧式無段変速装置91を経由して冷却ファン伝動軸32の一端に伝達し、冷却ファン伝動軸32の他端から第2冷却ファンベルト伝動装置37,プーリ12bを経由して冷却ファン12に動力を伝達している。
【0029】
図8〜
図9に示すように、走行車体1の原動部4の前後から前後冷却ファン枠体
(請求項の「冷却ファン枠体」)22,22を立設し、前後冷却ファン枠体22,22にラジエータ13を支持する取付手段(支持部材)25を介して冷却ファン12を軸架している。取付手段25は、左側面視で中央に円形の送風開口部2
5bを設けている取付板2
5aと、該取付板2
5aの周辺部から送風開口部2
5bの中心部に向けて延出している例えば3本の支持アーム2
5c,…と、該支持アーム2
5c,…の先端部に取り付けている円形状の支持体2
5dとで構成されている。該支持体2
5aにベアリングを介して冷却ファン12の軸部12aを左内側に向けて突出するように支架し、軸部12aの左側端部にプーリ12bを固着している。
【0030】
隣接する支持アーム25c,…の間に第2冷却ファンベルト伝動装置37と冷却水用のアッパーホース26を配設し、アッパホース26の一端をエンジンEに接続し他端をラジエータ13の上部に接続している。そして、3本の支持アーム25c,…と第2冷却ファンベルト伝動装置37,アッパーホース26を冷却ファン12の軸部12aに直交する上下方向にオーバーラップするように配設し、機体の左右方向の幅を狭くするように構成している。
【0031】
前記取付板25a,支持アーム25c,…とエンジンEの間に駆動部支持フレーム39を配置し、該駆動部支持フレーム39の中途部を屈曲させて取付板25aの送風開口部25bの外周部に沿うように対向配置し、その両端部を内側に屈折して送風開口部25bの内周側に突出させて上側の2本の支持アーム25c,25cにピンで固着している。該駆動部支持フレーム39の上面にブラケット41を介して前記冷却ファン伝動軸32の右側部(
図10では左側)を支持し、ブラケット41に第2冷却ファンベルト伝動装置37用のテンションアーム37aを軸支し、テンションクラッチ37bを第2冷却ファンベルト伝動装置37に断接するように構成している。
【0032】
前記構成によると、取付手段25に冷却ファン伝動軸32,冷却ファン12及びテンションアームアーム37aを支持することができ、コンパクトで強固な構成にしながら第2冷却ファンベルト伝動装置37を適正に入切することができる。
【0033】
次に、
図11〜
図13に基づき冷却ファン用無段変速装置91の支持構成について説明する。
走行車体1の前側中央部に走行ミッションケース31を配設し、走行車体1の走行ミッションケース31の左側方(
図11では右側)に刈取搬送部7懸架用の刈取フレーム43を立設し、刈取フレーム43の上端部に左右方向の刈取伝動軸44回りに回動自在に刈取搬送部7を支架し、刈取伝動軸44から刈取搬送部7の作動各部に動力を伝達している。
【0034】
そして、走行ミッションケース31及び刈取フレーム43からHSTフレーム(フレーム)45をそれぞれ立設し、該HSTフレーム45の上面に冷却ファン用無段変速装置91を搭載し、冷却ファン用無段変速装置91から右側方に冷却ファン伝動軸32を延出し、HSTフレーム45にブラケット45aを介して冷却ファン伝動軸32を支架している。
【0035】
また、走行車体1の操縦部3の下方対向部位から前後,左右の複数の操縦枠体47,…を立設し、前側部の左右操縦枠体47,47の上端部に上側前枠体48を取り付け、上側前枠体48に前側操作パネルを取り付けている。また、左側部の前後操縦枠体47,…の上端部に上側左枠体49を取り付け、上側前枠体48と上側左枠体49とを連結して枠組み構成し、上側左枠体49に左側操作パネルを取り付けている。
【0036】
また、後側部の左右操縦枠体47,…に運転席取付フレーム57を介して運転席10を取り付けている。走行車体1の後部から補強枠体51を走行ミッションケース31に向けて延出し、補強枠体51の前側部を走行ミッションケース31に連結し、操縦部3の振動を軽減するようにしている。
【0037】
操縦部3のフレーム部に冷却ファン用無段変速装置91を取り付けた構成であると、冷却ファン用無段変速装置91の振動,騒音が操縦部3の運転席10に伝わりキャビン内の振動や騒音を増加させる。しかし、前記構成によるとによると、操縦部3の支持部材とは別のHSTフレーム45に冷却ファン用無段変速装置91を取り付けるので、構成の簡単化しながら前記問題点を解消することができる。
【0038】
次に、
図14〜
図16に基づき操縦部3と原動部4の境界部におけるカバー構成について説明する。
原動部4の前側面及び上側面を内側カバー55,外側カバー56の二重構成とし、その上方に前記運転席10を配設している。小孔の無数に構成されている内側カバー55を長方形状の前側内側カバー55aと、前側内側カバー55aの上端部から後方へ屈折延出している長方形状の内側上側カバー55bとで側面視逆L字状に構成している。無孔の外側カバー56を長方形状の前側外側カバー56aと上側外側カバー56bとで同様に側面視逆L字状に構成している。
【0039】
走行車体1から立設している前記操縦枠体47,…には原動部4の前側面及び上側面に対向するようにカバー取付フレーム47a,…を設け、該カバー取付フレーム47a,…に内側カバー55の下側面をボルト締結している。
【0040】
運転席取付フレーム57を、前側縦フレーム57aと、前側縦フレーム57aの上端部から後方へ延出している上側横フレーム57bとで側面視逆L字型に構成している。内側カバー55の上側面に該運転席取付フレーム57をボルト締結し、外側カバー56を内側カバー55の上側面と運転席取付フレーム57の上側面にボルト締結し、運転席取付フレーム57に運転席10を取り付けている。
【0041】
そして、内側カバー55の内側前側カバー55a,内側上側カバー55bの中間部に左右方向に沿わせてそれぞれ膨出部55c,…を構成し、外側カバー56の外側前側カバー56a,外側上側カバー56bの中間部に該膨出部55c,…を当接しボルト締結し、両カバー55,56の接合強固を図っている。
【0042】
前記構成によると、内側カバー55を利用して外側カバー56,運転席取付フレーム57を取り付けることができるので、シンプルなカバー取付構成としながら強固なカバー構成とし、キャビン内の騒音を低減することができる。
【0043】
また、内側前側カバー55a,内側上側カバー55bの前側部左右方向中間部、及び、外側前側カバー56a,外側上側カバー56bの前側部左右方向中間部に、後側に凹んだ上下方向に長い凹状空間部(空間部)62を構成している。該凹状空間部62に運転席10の筒状の上下調節手段64を入り込ませるように配設し、運転席10の上下調節手段64をコンパクトに構成している。
【0044】
また、
図17に示すように、前記内側カバー55と外側カバー56の二重カバー構成において、内側上面カバー55bのラジエータ13の給油口13aの上方部で且つ運転席10の前方部位に開口部55dを設け、外側上面カバー56bのラジエータ13の給油口13aの上方部位には取外し自在のキャップカバー58を設けている。従って、運転席10を原動部4の上方に残した通常の状態でラジエータ13の給水の容易に行なうことができる。
【0045】
また、
図17,
図18に示すように、前記内側カバー55と外側カバー56の二重カバー構成において、内側カバー55の内側部に前記冷却ファン伝動軸32,第2冷却ファンベルト伝動装置37の側方にインタクーラホース61を配設し、伝動装置及び冷却構成のコンパクト化を図っている。
【0046】
次に、
図19,
図20に基づき外気導入カバー16の塵埃除去構成について説明する。
前記防塵ネット16a付きの外気導入カバー16,ラジエータ13,インタクーラ17,オイルクーラ18を備え、冷却ファン12を逆転駆動し塵埃を除去する構成において、外気導入カバー16の底部に塵埃放出窓16bを開閉し塵埃を排出可能に構成し、モータ67の正逆駆動により開閉ロッド68を作動し塵埃放出窓16bを開閉可能に構成している。
【0047】
そして、外気導入カバー16の清掃する際に清掃スイッチ(図示省略)を操作すると、コントローラ(図示省略)の塵埃清掃指令に基づき冷却ファン用無段変速装置91が停止し、冷却ファン12の回転が所定時間にわたり停止する。そして、停止時間中にまずモータ67が逆転駆動され外気導入カバー16の塵埃放出窓16bが開口され塵埃が排出され、次いでモータ67が正回転し塵埃放出窓16bが閉鎖される。次いで、冷却ファン12が逆転駆動され内側から外側へ送風し外気導入カバー16の除塵ネット16aの塵埃を除去し、所定時間の清掃作業が終了する。次いで、冷却ファン正転スイッチ(図示省略)を操作すると、冷却ファン12が正転駆動され冷却運転を開始するようにしている。
【0048】
なお、穀粒排出クラッチ(図示省略)を入り状態とし、排出オーガ9の穀粒排出作業時にのみ前記の塵埃の排出作業,塵埃清掃作業をするようにしてもよい。
なお、
図20は排出オーガ9の駆動入切状態、冷却ファン12の正逆転停止状態、塵埃放出窓16bの開閉状態を示すタイムチャートである。
【0049】
前記構成によると、インタクーラ17やオイルクーラ18に塵埃の付着を防止しながら外気導入カバー16の防塵ネット16aを清掃することができる。
次に、
図21に基づきラジエータ13の取付構成について説明する。
【0050】
走行車体1のラジエータ13の前後両側からラジエータフレーム71を立設している。このラジエータフレーム71を前後フレーム71a,71bと、前後フレーム71a,71bの上側部,下側部,上下中間部を接続する連結フレーム71c,…で側面視門型に構成している。そして、ラジエータフレーム71と操縦部3のフレーム部とを連結し強固に走行車体1に支架している。
【0051】
ラジエータフレーム71の前後フレーム71a,71bに前後ブラケット13b,13bを介してラジエータ13をボルト締結し、走行車体1からラジエータ13の底部を浮かすように取り付け、連結フレーム71c,…にインタクーラ17,オイルクーラ18をボルト締結している。
【0052】
前記構成によると、操縦部3,原動部4の強度アップを図りながらインタクーラ17,オイルクーラ18を強固に支持することができる。また、インタクーラ17,オイルクーラ18からホース17a,ホース18aを取り外すことにより、ラジエータフレーム71からラジエータ13を取り外すことができてメンテナンスが容易になる。
【0053】
次に、
図22に基づきキャビン15の後側天井部の開閉構成について説明する。
キャビン15の天井部15aの後側中央部を開閉自在のハッチ15bに構成し、ハッチ15bには左右方向のピン15c回りに開閉天井板15dを開閉自在に設け、開閉支持手段75により開閉支持可能に構成している。開閉支持手段75により通常作業時に対応するように開閉天井板15dを少量開放状態としたり、あるいは、メンテナンス作業時に対応するように大開放状態で開放支持できるようにし構成している。
【0054】
この開閉支持手段75は、開閉天井板15dの内側面後側部に一端がピン連結されている伸縮自在のダンパ75aと、屈折自在にピン連結している一対のリンク75b,75cとで構成し、リンク75bの一端をダンパ75aの他端にピン連結し、リンク75cの他端を天井部15aのブラケット17dにピン連結している。
【0055】
しかして、開閉支持手段75を少量開放状態とする場合には、
図22(A)に示すように、ダンパ75aと折り畳んで短くなっているリンク75b,75cにより開閉支持手段75を短くし開閉天井板15dを少量開放状態に支持している。
【0056】
また、開閉支持手段75を大開放状態とする場合には、
図22(B)に示すように、ダンパ75aと直線状に伸長したリンク75b,75cにより開閉支持手段75を長くして開閉天井板15dを大開放状態に支持している。
【0057】
なお、開閉天井板15dを閉鎖しロック手段78でキャビン15にロックすると、開閉支持手段75はダンパ75a,リンク75b,75cは直線状に伸長した状態になる。
次に、
図23,
図24に基づき操縦部3のステップ構成について説明する。
【0058】
オペレータがキャビン15内の運転席10に乗降する際に使用する補助ステップ82に関するもので、操縦部3の右側下部に固定ステップ80を設け、前後回動アーム81,81の基部に前後方向の前後軸81a,81aを固定し、固定ステップ80の下方のフレーム部に前,後軸81a,81a回りに前後回動アーム81,81を回動自在に軸支している。前後回動アーム81,81を基部側のU字状に屈折した屈曲部81b,81bと、外周方向に延出している先端側の直線状の先端アーム81c,81cとで構成し、先端アーム81c,81cの先端部に補助ステップ82を取り付け枠組み構成している。
【0059】
前軸81aの前側端部から上下方向に上,下回動プレート83,83を固着延出し、上,下回動プレート83,83を前後回動アーム81,81が下方へ回動し補助ステップ81の下側突出状態で、上下回動プレート83,83の間隔が180度よりやや小さな角度で上下方向で且つ内側に突出するように構成している。フレーム部には握持部84a付きのステップ操作レバー84を上下動自在に支持し、ステップ操作レバー84の下部に下方に延出するように上下接続プレート85,85を取り付け、上下接続プレート85,85の下端部を上下回動プレート83,83の先端にピン連結している。
【0060】
前後回動アーム81,81,上下回動プレート83,83,ステップ操作レバー84,上下接続プレート85,85を運転席10よりも乗降側である右側に偏位した部位に配設し、運転席10が上方に回動している通常の運転状態で、前記操作部材81,81,83,83,84,85,85は作動可能で補助ステップ82を突出,収納操作できるように構成している。
【0061】
しかして、ステップ操作レバー84を上側から下方に押し下げ操作すると、上下接続プレート85,85,ピンp,p,回動プレート83を介して前後回動アーム81,81が上方内側に半回転し、前後回動アーム81,81,補助ステップ82が上方内側に回動し機体幅内に収納される。
【0062】
また、ステップ操作レバー84を下方から上方に引き上げ操作すると、上下接続プレート85,85,ピンp,p,回動プレート83を介して前後回動アーム81,81が下方外側に半回転し、固定ステップ80の下方部位で補助ステップ81が機体幅外に突出し、オペレータは楽に乗降することができる。
【0063】
前記構成によると、オペレータが刈取作業中に右側に障害物があり、補助ステップ82を収納する必要がある場合には、運転席10に座った状態で手あるいは足でステップ操作レバー84を下方へ押し下げ操作することにより収納することができ、刈取作業の中断を回避できる。また、コンバインから降りるときには運転席10からステップ操作レバー84を操作し収納している補助ステップ82を突出させ楽に乗降することができる。