特許第5904412号(P5904412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904412
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/7197 20110101AFI20160331BHJP
   H01R 31/08 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01R13/7197
   H01R31/08 Q
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-275952(P2012-275952)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-120393(P2014-120393A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 武史
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−176618(JP,A)
【文献】 特開2007−287642(JP,A)
【文献】 特開2006−164778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66 − 13/7197
H01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具と、
この端子金具に接続される端子接続部とコンデンサ本体からなるコンデンサと、
前記コンデンサ本体を上下、左右及び前後方向への遊動を抑制した状態で収容するコンデンサ収容部を有し、相手コネクタと嵌合可能なコネクタハウジングと、
前記コンデンサ収容部に設けられ、前記コンデンサ本体に弾性的に当接して前記コンデンサのがたつきを規制する弾性規制部とを備えて構成され、かつ
前記端子接続部は前記コンデンサ本体より後方へ突出して設けられたリード線であり、前記リード線と前記端子金具とは前記相手コネクタとの嵌合方向に沿って前後に配され、その端部同士が溶着によって接続される一方、
前記コンデンサ収容部における前面には前記コンデンサを収容するための差込み口が開口するとともに、前記差込み口を閉止する蓋体の内面には前記弾性規制部が設けられ、
前記差込み口を前記蓋体により閉止したときに、前記弾性規制部が前記コンデンサ本体を前記嵌合方向から前記コンデンサ収容部の後壁に押し当てるように付勢することを特徴とするノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングは、前記端子金具を保持するコネクタハウジング本体と、このコネクタハウジング本体とは別体に形成され前記コネクタハウジング本体に組み付け可能な前記コンデンサ収容部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングには、前記リード線と前記端子金具との接続部位に対応する領域に開閉可能な開閉部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線基板間の電気的接続に使用されるコネクタの端子には、ノイズを除去するためにコンデンサ等のノイズ除去用部品(ノイズフィルター)が接続されるのが一般的である。そして、コンデンサを端子間に組み付ける手段として、各端子の接続部に弾発性のある一対の金属部材を設け、この一対の金属部材の間にコンデンサを弾性的に挟みこむことで、コンデンサの接続作業を容易にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−287642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のコネクタは、コンデンサを固定する手段として、一対の金属部材で挟み付け、下から支持台にて支持するだけである。そのため、車載用途などの大きな振動を伴う環境にて使用される場合、振動によりコンデンサが上方に変位して端子から外れてしまい、接続不良を起こしてしまう問題点があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、大きな振動を伴う環境下であってもコンデンサが接続不良を起こさないノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタは、
端子金具と、
この端子金具に接続される端子接続部とコンデンサ本体からなるコンデンサと、
前記コンデンサ本体を上下、左右及び前後方向への遊動を抑制した状態で収容するコンデンサ収容部を有し、相手コネクタと嵌合可能なコネクタハウジングと、
前記コンデンサ収容部に設けられ、前記コンデンサ本体に弾性的に当接して前記コンデンサのがたつきを規制する弾性規制部とを備えて構成され、かつ
前記端子接続部は前記コンデンサ本体より後方へ突出して設けられたリード線であり、前記リード線と前記端子金具とは前記相手コネクタとの嵌合方向に沿って前後に配され、その端部同士が溶着によって接続される一方、
前記コンデンサ収容部における前面には前記コンデンサを収容するための差込み口が開口するとともに、前記差込み口を閉止する蓋体の内面には前記弾性規制部が設けられ、
前記差込み口を前記蓋体により閉止したときに、前記弾性規制部が前記コンデンサ本体を前記嵌合方向から前記コンデンサ収容部の後壁に押し当てるように付勢する構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンデンサ本体はコネクタハウジングに設けられたコンデンサ収容部に三次元的方向への変位が抑制された状態で収容されるため、振動が加わったとしてもコンデンサがコンデンサ収容部より離脱することが防止できる。また、コンデンサ収容部には端子接続部以外のコンデンサ本体に弾性的に当接する弾性規制部が設けられているため、振動によるコンデンサ本体のがたつきは弾性規制部によって吸収され、それに付随して、端子金具と接続される端子接続部についてもがたつくことがなくなるので、端子金具とコンデンサの端子接続部との接続信頼性が向上する。
加えて、コンデンサのリード線と端子金具は溶着によって接続されるため、圧入や圧接による接続手法に比べて、振動に強く、接続信頼性を向上できる。また、コンデンサ本体を収容する為の差込み口を閉止する蓋体の内面に弾性規制部が設けられている。よって、差込み口を蓋体により閉じると同時に、蓋体の内面に設けられた弾性規制部は収容されたコンデンサ本体の前端面を押圧し、コンデンサ本体をコンデンサ収容部の後壁に押しつけることでコンデンサ本体のがたつきを抑制でき、それに付随して、端子金具と接続されるリード線についてもがたつくことがなくなるので、端子金具とコンデンサのリード線との接続信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係るノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタの側断面図
図2】実施例1に係るノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタの平断面図
図3】実施例2に係るノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタの一部を拡大した平断面図
図4】実施例2に係る大型コンデンサを収容したノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタの一部を拡大した平断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(2) 本発明のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタは、
前記コネクタハウジングは、前記端子金具を保持するコネクタハウジング本体と、このコネクタハウジング本体とは別体に形成され前記コネクタハウジング本体に組み付け可能な前記コンデンサ収容部とから構成されていることが好ましい。
この構成によれば、別体で形成されたコンデンサ収容部をコネクタハウジング本体に装着可能となる。よって、組み込むコンデンサの容量や種類における変更要求が生じた場合には、コンデンサ収容部のみを取り換えてコネクタハウジング本体に装着すれば良く、コネクタハウジング本体部分は共通に使用できるため、汎用性に富む。
【0011】
(3) 本発明のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタは、
前記コネクタハウジングには、前記リード線と前記端子金具との接続部位に対応する領域に開閉可能な開閉部が形成されている構成とすることが好ましい。
この構成によれば、開閉部を開くことで、コンデンサのリード線と端子金具を溶着するスペースが確保でき、接続作業を簡単にして、作業性を高めることができる。また、従来は溶着作業は端子金具とリード線を保持固定するホルダ部を別途設けて行い、コネクタハウジングにホルダ部を収容することにてコネクタを構成していたが、本構成とすることでホルダ部を別体で設ける必要がなくなる為、構成を簡潔にできる。
【0012】
本発明のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタを具体化した実施例1、2について図を参照しつつ説明する。
<実施例1>
本実施例のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ10(以下、コネクタと称する。)は第1、第2バスバー端子(端子金具)21A、21Bと、ノイズ除去用のコンデンサ30と、プラスチック製のコネクタハウジング11とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後方向については、図1の左側を前側ということにする。
【0013】
第1、第2バスバー端子21A、21Bは銅合金等の金属の導電性板材を打ち抜いて、曲げ加工等を施すことで成形されている。各バスバー端子21A、21B共に、複数の端子部22とこれらを連結する帯状連結部23と、延出部24及びコンデンサ30のリード線31と接続する接続部25からなっている。帯状連結部23は図2に示すように幅方向に長い帯状の金属板である。端子部22は帯状連結部の一側縁に所定のピッチで並んで突設されており、タブ状を成し先端が尖って形成されている。端子部は相手方コネクタ(図示しない)に保持された端子金具(図示しない)と相手方コネクタとの嵌合時に接続する。また、帯状連結部23のうち端子部23とは反対の縁より、延出部24が形成され、延出部24の先端がコンデンサ30のリード線31と接続する接続部25となっている。
【0014】
また、第1、第2バスバー端子21A、21Bは図1に示すように、コネクタハウジング11の高さ方向に2段に並んで配置されている。なお、第1バスバー端子21Aが上段側であり、下段側が第2バスバー端子21Bである。なお、第1バスバー端子21Aが正極側となり、第2バスバー端子21Bが負極側(アース側)となる。図1に示すように、第1バスバー端子21Aの延出部24A(以下、第1延出部24A)は、全長に渡って段差がなく、平坦に形成されている。その一方で、第2バスバー端子21Bの延出部24B(以下、第2延出部24B)は、その先端部(すなわち接続部25)が第1延出部24Aと同一の高さに揃えるべく、長さ方向の途中で、二度略直角に曲げられている。図2に示すように、第1延出部24A及び第2延出部24Bはコネクタハウジング11の幅方向には、一定の間隔を開けて配置され、第2延出部24Bの方が第1延出部24Aより長くなっている。なお、第1、第2延出部24A、24Bの接続部25をそれぞれ第1、第2接続部25A、25Bとする。
【0015】
コンデンサ30はアルミ電解コンデンサであり、円柱形状を成すコンデンサ本体32と、その後端面より導出された正負極を有する一対のリード線31とを備えている。リード線31は丸ピン状をなし、コンデンサ本体32の後端面から略垂直方向に突出し、その先端部は各バスバー端子21A、21Bの各接続部25A、25Bに接続される。なお、リード線31のうち、突出長さが長い方が正極リード線31Aであり、短い方が負極リード線31Bである。正極リード線31Aは第1バスバー端子21Aの第1接続部25Aと接続し、負極リード線31Bは第2バスバー端子21Bの第2接続部25Bと接続する。
【0016】
コネクタハウジング11は、相手方コネクタと嵌合可能なフード部12と、各バスバー端子21A、21Bとコンデンサ30の各リード線31A、31Bを収容可能な端子収容部13と、フード部12と端子収容部13とを仕切る第1仕切り壁14と、コンデンサ本体32を収容可能なコンデンサ収容部15と、端子収容部13とコンデンサ収容部15を仕切る第2仕切り壁16により構成されている。図2に示すように、第2仕切り壁16にはコンデンサ30を収容するに伴って、各リード線31A、31Bが端子収容部13に収容できるように各リード線31A、31Bの径よりも若干大きい径を有するリード線挿通孔18が幅方向に2つ並んで開口している。
【0017】
フード部12は角筒状を成し、コネクタハウジング11の後端部に配されている。また、フード部12の後端面は全面にわたって開口している。第1仕切り壁14は、コネクタハウジング11とインサート成形によって一体に形成された各バスバー端子21A、21Bの帯状連結部23を内部に埋設して保持固定している。また、各バスバー端子21A、21Bの端子部22は第1仕切り壁14よりフード部12側の後方に突出し、フード部12内に収容されている。
【0018】
端子収容部13は第1仕切り壁14を挟んでフード部12の前方に角筒状に形成されている。また、各バスバー端子21A、21Bの各延出部24A、24Bは、第1仕切り壁14より端子収容部13前方に突出し、端子収容部13内に収容されている。また、上述の通り、第2仕切り壁16に形成されたリード線挿通孔18を通して、コンデンサ30の各リード線31A、31Bも端子収容部13内に収容される。
【0019】
また、図1に示すように、各リード線31A、31Bと各バスバー端子21A、21Bとの接続領域の上方及び下方に位置する端子収容部13の上面及び下面には、長方形状の上面開閉部材19A、下面開閉部材19Bが端子収容部外面より突出して設けられている。各開閉部材19A、19Bは取り外し可能となっており、各開閉部材19A、19Bを取り外した場合、端子収容部13上面及び下面に開閉部材19よりも若干狭い長方形状の上面開口部41A、下面開口部41Bがそれぞれ形成される。各バスバー端子21A、21Bの各接続部25A、25Bは上面開口部41Aより視認することができる。また、各開閉部材19A、19Bの前端側と後端側には、内側に撓み変形可能な一対の係止爪42が幅方向に2つ並んで形成されている。また、各開閉部材19A、19Bの左端側と右端側にも、内側に撓み変形可能な一対の係止爪42が前後方向に2つ並んで形成されている。端子収容部13上面及び下面の開口端に各開閉部材19A、19Bの係止爪42が弾性係止することで、各開口部41A、41Bに各開閉部材19A、19Bが取り付けられる。
【0020】
コンデンサ収容部15は角筒状であり、コネクタハウジング11の前端部に配されている。図2に示すように、コンデンサ収容部15は端子収容部13及びフード部12と比較して幅狭になっている。コンデンサ収容部の前端面は全面にわたって収容開口部(差込み口)46が開口している。図1に示すように、コンデンサ収容部15には、コンデンサ30を収容開口部46より収容可能である。また、コンデンサ30をコンデンサ収容部15に収容した後、コネクタハウジング11とは別体に形成されている蓋体43にて、収容開口部46を塞ぐことが可能である。収容開口部46の開口形状は正方形であり、一辺の長さは収容するコンデンサ本体32の直径と同等である。
【0021】
蓋体43の内面にはゴム製の弾性体(弾性規制部)44が密着形成されており、蓋体43にて収容開口部46を閉じた際には、収容開口部46全面をゴム製の弾性体44が塞ぐように正方形状に広がっている。また、第2仕切り壁16前面から収容開口部46までの長さL(コンデンサ収容部15の長さ)は、収容するコンデンサ本体32の前後方向の長さL1よりも長く、L1とゴム製の弾性体44の前後方向の長さL2を足し合わせた長さL1+L2よりも短く設定されている(L1<L<L1+L2)。よって、コンデンサ本体32をコンデンサ収容室15に収容し、蓋体43を閉めた場合には、ゴム製の弾性体43は前後方向に潰れるように弾性変形した状態でコンデンサ本体32の前端面に密着することになる。
【0022】
次にコネクタハウジング11内に保持された各バスバー端子21A、21Bとコンデンサ30の各リード線31A、31Bとを接続する作業について説明する。
【0023】
まず、各バスバー端子21A、21Bが保持されたコネクタハウジング11に対して、リード線31が後方を向くようにして、コンデンサ30をコンデンサ収容部15に挿入する。すると、コンデンサ本体32の上下及び左右の端部が、コンデンサ収容部15の上下及び左右の内壁面にそれぞれ当接しながらコンデンサ収容部15に収容される。一方で、リード線31は正極リード線31A、負極リード線31Bの順に第2仕切り壁16に設けられたリード線挿通孔18を貫通し、端子収容部13側に突出する。更に、第2仕切り壁16にコンデンサ本体32の後端面が当接するまで挿入すると、正極リード線31Aは第1接続部25Aの上面に、負極リード線31Bは第2接続部25Bの上面に接触した状態で配置される。そして、各リード線31A、31Bと各バスバー端子21A、21Bの各接続部25A、25Bとを接続する際にコンデンサ本体32の位置がずれないように、コンデンサ収容部15の収容開口部46を、蓋体43によって閉めることで固定を行う。この時、蓋体43の内面に密着形成されたゴム製の弾性体44は、収容開口部46を閉じるのに伴って前後に潰れるように弾性変形した状態でコンデンサ本体32の前端面と密着する。これにより、コンデンサ本体32は第2仕切り壁16に対して弾性的に押圧されて固定がなされる。
【0024】
コンデンサ本体32の固定が終わったら、上面開口部41Aからは上述の通り、各リード線31A、31Bと各バスバー端子21A、21Bの各接続部25A、25Bが確認できる。各リード線31A、31Bと各バスバー端子21A、1Bの接続部25の接続手段としては、接続信頼性が高い抵抗溶接を用いる。上面開口部41Aから上部溶接電極(図示しない)を、下面開口部41Bから下部溶接電極(図示しない)を進入させて、各リード線31A、31Bと各接続部25A、25Bを挟み込み、溶接電流を流すことにより、これらを溶着させる。抵抗溶接後は、各開口部41A、41Bに各開閉部材19A、19Bを取り付けてすべての作業は完了となる。
【0025】
次に本実施例の作用効果について説明する。
【0026】
本実施例のノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ10は、コンデンサ本体32がコネクタハウジング11に設けられたコンデンサ収容部15に三次元的方向(前後方向及び、上下、左右方向)への変位を規制された状態で収容されているため、振動が加わったとしてもコンデンサ30がコンデンサ収容部15より離脱することが防止できる。また、コンデンサ収容部15の開口形状は正方形であって、その一辺とコンデンサ本体32の直径はほぼ同等に設定されている。かつ、コンデンサ30のリード線31はリード線31の径とほぼ同等の径を有するリード線挿通孔18に挿入されることでコンデンサ30全体の姿勢矯正がなされているため、コンデンサ30が上下方向及び左右方向へがたつくことはない。
【0027】
また、コンデンサ収容部15の収容開口部46を塞ぐ蓋体43の内面には、コンデンサ本体32の前端面に弾性的に当接するゴム製の弾性体44が設けられている。よって、コンデンサ30をコンデンサ収容部15に収容後、収容開口部46を蓋体43により閉じることにより、ゴム製の弾性体44はコンデンサ本体32の前端面に前後方向に潰れるように弾性変形した状態で密着する。これにより、コンデンサ収容部15の後端面にコンデンサ本体32が押し付けられて、コンデンサ30の固定がなされる。また、ゴム製の弾性体44はコンデンサ30を固定するだけでなく、振動を吸収する効果も有するため、コンデンサ本体32の前後方向についてもがたつきは抑制される。また、それに付随して、端子金具である各バスバー端子21A、21Bと接続するコンデンサ30の各リード線31A、31Bががたつくこともなくなるので、リード線31と端子金具との接続部位の接続信頼性が向上する。
【0028】
また、各リード線31A、31Bと端子金具とは抵抗溶接によって接続されるため、圧入や接圧固定などの接続手段に比べて、振動に強く、接続信頼性を高めることができる。
【0029】
また、各リード線31A、31Bと各バスバー端子21A、21Bの接続領域の上方及び下方に位置するコネクタハウジング11には上面開閉部材19Aと下面開閉部材19Bが配置されている。各開閉部材19A、19Bを取り外すことで上述の接続領域の直上及び直下が開口し、各リード線31A、31Bと端子金具を抵抗溶接する際に広い作業スペースを確保できる。これにより、接続作業が簡単になり、作業性を高めることができる。また、従来は端子金具とリード線31を保持固定するホルダ部を別途設けて抵抗溶接を行い、ホルダをコネクタハウジング11内に組み込むことでコネクタ10を構成していたが、本構成とすることでホルダ部を別体で設けることなく、コネクタハウジング11内にリード線31及び端子金具を収容した状態で抵抗溶接作業を行うことが出来るため、構成を簡素にできる。
【0030】
<実施例2>
図3には、実施例2に係るノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ50の一部を拡大した平断面図が示されている。上述した実施例1のコネクタハウジング11はフード部12と端子収容部13とコンデンサ収容部15が一体形成されていたのに対して、実施例2では、端子金具21A、21Bを保持するコネクタハウジング本体51を共通部品とした上で、このコネクタハウジング本体51に、コネクタハウジング本体51とは別体であって、大きさや形状の異なる複数種類のコンデンサ30、80を収容可能なコンデンサ収容部52A、52Bが選択的に装着可能に形成されている。
【0031】
図3に示すように、コンデンサ収容部52Aの後端面(すなわち、実施例1における第2仕切り壁16の前面に相当する面)には、一対のリード線挿通孔54が開口している。リード線挿通孔54は、実施例1同様に収容するコンデンサ30のリード線31の径とほぼ同等の大きさを有している。そして、各リード線挿通孔54における幅方向外方には、コンデンサ収容部52Aの後端部より後方に延出する一対の係止部55が形成されている。係止部55はリード線31と平行な延出部56と、延出部56の先端に形成された鍵爪状の係止爪57からなっている。延出部56の長さは後述する係止部挿通孔59と同じ長さに設定されており、係止爪57はそれぞれ幅方向外方に突出している。また、係止部55は内側に撓み変形可能となっている。
【0032】
コネクタハウジング本体51の前端面(すなわち、実施例1における第2仕切り壁16の後面に相当する面)には、リード線31とコンデンサ収容部52Aの係止部55が進入可能な係止部挿通孔59が一対形成されている。係止部挿通孔59の径はリード線挿通孔54の径に比べて大きくなっており、具体的には、係止部55が撓み変形しつつ進入できる大きさに設定されている。それ以外のコネクタ50の構造は実施例1と共通の為、説明を省略する。
【0033】
コネクタハウジング本体51にコンデンサ収容部52を取り付ける際には、コンデンサ収容部52Aの係止部55が後方を向くようにして、係止部55をコネクタハウジング本体51の係止部挿通孔59に挿入する。そして、コネクタハウジング本体51の係止部挿通孔59の開口端に係止部55の係止爪57が弾性係止することにより、コンデンサ収容部52Aの取付けがなされる。なお、延出部56と係止部挿通孔59の長さは上述の通り同じであり、余り代がないので、コンデンサ収容部52Aが取り付け後に前後方向へがたつくことはない。
【0034】
そして、コンデンサ30の収容は、コネクタハウジング本体51へコンデンサ収容部52Aの取付けが完了してから行う。それ以後のコネクタ50の組み付け手順は実施例1と共通の為、説明を省略する。
【0035】
図4には図3にて用いたアルミ電解コンデンサとは大きさの異なる大型コンデンサ80を収容したノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ50の一部を拡大した平断面図を示している。コンデンサ80はフィルムコンデンサである。大型コンデンサ80は直方体形状をなすコンデンサ本体82とコンデンサ本体82の後端面より導出された一対のリード線81からなる。また、フィルムコンデンサには極性がないため、一対のリード線81の長さは同じである。図4に示すコンデンサ収容部52Bは大型コンデンサ80が収容可能なように実施例1にて用いたコンデンサ収容部15に比べて幅広に作製されている。このように、リード線挿通孔54の位置及び係止部55の位置や大きさを変更しなければ、形状や大きさを変更した任意のコンデンサ収容部52A、52Bをコネクタハウジング本体51に対して組み付けることができる。
【0036】
実施例2によれば、コンデンサ収容部52A、52Bをコネクタハウジング本体51とは別体に形成することで、種類や形状の異なる任意のコンデンサ30、80を収容可能なコンデンサ収容部52A、52Bを作製し、コネクタハウジング本体51に組み付けることができる。よって、搭載するコンデンサの変更要求が生じた際には、コンデンサ収容部52A、52Bのみを変更し、コネクタハウジング本体51に取り付ければよく、コネクタハウジング本体51は共通に使用できる為、汎用性に富む。
【0037】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、コンデンサのリード線と端子金具との接続手段に抵抗溶接を用いたが、これに限らずレーザー溶接や半田付けを用いても良い。
(2)上記実施例では、コンデンサのリード線は丸ピン状をなしているが、これに限らず、角ピン状等であっても良い。
(3)上記実施例では、端子収容部において、端子部の並び方向に略平行である2面に開閉部材を取り付けたが、これに限らず、端子部の並び方向に略直角な2面に開閉部材を取り付けても良い。
(4)上記実施例では、端子収容部に開閉部材を2つ取り付けたが、これに限らず、1つ取り付けるだけでも良い。
(5)上記実施例では、端子金具は銅合金にて形成したが、他の金属を用いても良い。
(6)上記実施例では、弾性体を蓋体の内面に設けたが、コンデンサ収容部の後端面(第2仕切り壁の前面)に設けても良い。
(7)上記実施例では、弾性体を蓋体の内面に設けたが、これに限らず、コンデンサ収容部の内側面や上下の内面に設けても良い。
(8)上記実施例では、コンデンサ収容部を角筒状としたが、これに限らず、円筒状等であっても良い。
(9)上記実施例では、コンデンサ収容部とコンデンサとの間に間隙を設けたが、間隙を設けず、わずかな隙間を空けてコンデンサ収容部にコンデンサを保持するようにしても良い。
(10)上記実施例では、コンデンサにアルミ電解コンデンサ及びフィルムコンデンサを用いたが、これに限らず、その他の電解コンデンサやセラミックコンデンサや容量や形状の異なるコンデンサを用いても良い。
(11)上記実施例では、端子接続部をリード線としたが、これに限らず、コンデンサ本体と一体に設けられた電極であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
10、50…コネクタ(ノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ)
11…コネクタハウジング
15、52A、52B…コンデンサ収容部
19A、19B…上面、下面開閉部材(開閉部)
21A、21B…第1、第2バスバー端子(端子金具)
30、80…コンデンサ
31、81…リード線
32、82…コンデンサ本体
43…蓋体
44…弾性体(弾性規制部)
46…収容開口部(差込み口)
51…コネクタハウジング本体
図1
図2
図3
図4