特許第5904427号(P5904427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5904427
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】メモリアル品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20160331BHJP
   A47G 33/02 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   A47G33/00 Z
   A47G33/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-165177(P2015-165177)
(22)【出願日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-177188(P2014-177188)
(32)【優先日】2014年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314010393
【氏名又は名称】有限会社中山石材店
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 常夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 仁生
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3056346(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3189055(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3112421(JP,U)
【文献】 特開2005−027714(JP,A)
【文献】 特開2004−016715(JP,A)
【文献】 特開2009−279374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
A47G 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺骨を粉末状にした遺骨粉末を用いたメモリアル品であって、
前記遺骨粉末を樹脂に混入して形成した半透明の本体部と、
前記本体部に封入される遺品とを有し、
前記本体部の底面から離れて前記本体部の内部に位置するよう前記遺品が設置されており、
前記遺骨粉末を樹脂に混入したオブジェ部が本体部に形成され、
前記オブジェ部は、前記本体部より遺骨粉末の含有率が高いことを特徴とするメモリアル品。
【請求項2】
遺品の少なくとも一部を糸で吊り上げて本体部の内部に位置するよう前記遺品が設置されていることを特徴とする請求項1記載のメモリアル品。
【請求項3】
遺品の少なくとも一部を持ち上げる支持台に前記遺品を搭載して本体部の内部に位置するよう前記遺品が設置されていることを特徴とする請求項1記載のメモリアル品。
【請求項4】
本体部において、樹脂に対する遺骨粉末の含有率を0.1%以上5%以下としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のメモリアル品。
【請求項5】
オブジェ部は、樹脂の量を100とすると、遺骨粉末の量を100〜130の重量比又は体積比としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のメモリアル品。
【請求項6】
オブジェ部は、複数層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のメモリアル品。
【請求項7】
遺骨を粉末状にした遺骨粉末を用いたメモリアル品の製造方法であって、
型内の底面から離れて前記型の内部に位置するよう遺品を設置し、
当該型内に前記遺骨粉末を混入した樹脂を流し込み、前記遺品を封入して真空脱泡を行って半透明の本体部を硬化させて形成し、
前記本体部の遺骨粉末の含有率より高くなるよう、遺骨粉末を樹脂に混入したオブジェ部を形成して、前記本体部に貼り付けて形成することを特徴とするメモリアル品の製造方法。
【請求項8】
遺骨を粉末状にした遺骨粉末を用いたメモリアル品の製造方法であって、
予め型の内部の底面に凹形状を形成しておき、前記凹形状に前記遺骨粉末を混入した第1の樹脂を流し込んでオブジェ部を形成し、
前記型の内部の底面から離れて前記型の内部に位置するよう遺品を設置し、
当該型内に前記第1の樹脂より遺骨粉末の含有量が低くなるよう遺骨粉末を混入した第2の樹脂を流し込み、前記遺品を封入して真空脱泡を行って半透明の本体部を硬化させて形成することを特徴とするメモリアル品の製造方法。
【請求項9】
遺品の少なくとも一部を糸で吊り上げて型の内部に位置するよう前記遺品を設置することを特徴とする請求項7又は8記載のメモリアル品の製造方法。
【請求項10】
遺品の少なくとも一部を持ち上げる支持台に前記遺品を搭載して型の内部に位置するよう前記遺品を設置することを特徴とする請求項7又は8記載のメモリアル品の製造方法。
【請求項11】
本体部において、樹脂に対する遺骨粉末の含有率を0.1%以上5%以下としたことを特徴とする請求項乃至10のいずれか記載のメモリアル品の製造方法。
【請求項12】
オブジェ部は、樹脂の量を100とすると、遺骨粉末の量を100〜130の重量比又は体積比としたことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか記載のメモリアル品の製造方法。
【請求項13】
オブジェ部は、複数積層されて形成されることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか記載のメモリアル品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故人又は死亡したペットのメモリアル品に係り、特に、遺骨を粉末にして遺品と一体に形成されるメモリアル品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、遺骨を砕いて粉末(パウダー)にしたもの(遺骨粉末)を用いて、故人又は死亡したペットを偲ぶメモリアル品が製造されている。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2004−033692号公報「遺骨粉末収納墓石」(有限会社セレモニーフォート)[特許文献1]、特開2004−016715号公報「仏像等の塑像及びその製造方法」(宮井茂嗣)[特許文献2]、特開2002−238731号公報「遺骨仏の製造方法」(稲葉元昭)[特許文献3]、実用新案登録第3189055号公報「遺骨保持体」(萬代治文)[特許文献4]、実用新案登録第3035847号公報「仏壇」(平澤恒子)[特許文献5]がある。
【0004】
特許文献1には、遺骨粉末収納墓石を合成樹脂で形成した遺骨粉末収納墓石が示されている。
特許文献2には、遺骨粉末を樹脂で固めて仏像等を製造することが示されている。
特許文献3には、遺骨粉を樹脂に混合させて遺骨仏を製造することが示されている。
特許文献4には、遺骨の骨灰又は粉末を樹脂で固めた第一層の上に情報表示のシートを載せ、透明な合成樹脂の第二層を形成した遺骨保持体が示されている。
特許文献5には、受台の上に前面に墓石部、背面に遺骨収容部が形成された仏壇が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−033692号公報
【特許文献2】特開2004−016715号公報
【特許文献3】特開2002−238731号公報
【特許文献4】実用新案登録第3189055号公報
【特許文献5】実用新案登録第3035847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の遺骨粉末を用いたメモリアル品では、故人の遺骨と遺品との一体感がなく、使用されている遺骨粉末が故人のものであるのか疑問に思えることがあるという問題点があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、遺骨粉末と遺品とが一体化され、故人を身近に感じることができ、故人を偲ぶメモリアルな商品にすることができるメモリアル品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
記従来例の問題点を解決するための本発明は、遺骨を粉末状にした遺骨粉末を用いたメモリアル品であって、遺骨粉末を樹脂に混入して形成した半透明の本体部と、本体部に封入される遺品とを有し、本体部の底面から離れて本体部の内部に位置するよう遺品が設置されており、遺骨粉末を樹脂に混入したオブジェ部が本体部に形成され、オブジェ部は、本体部より遺骨粉末の含有率が高いことを特徴とする。
【0009】
(糸で吊り上げて浮かせた状態を実現)
本発明は、上記メモリアル品において、遺品の少なくとも一部を糸で吊り上げて本体部の内部に位置するよう遺品が設置されていることを特徴とする。
【0010】
(支持台で遺品を浮かせた状態を実現)
本発明は、上記メモリアル品において、遺品の少なくとも一部を持ち上げる支持台に遺品を搭載して本体部の内部に位置するよう遺品が設置されていることを特徴とする。
【0011】
(遺骨粉末の含有率を規定した第1のメモリアル品の構成)
本発明は、上記メモリアル品において、本体部が、樹脂に対する遺骨粉末の含有率を0.1%以上5%以下としたことを特徴とする。
【0013】
(粉末の重量比等を規定した第2のメモリアル品の構成)
本発明は、上記メモリアル品において、オブジェ部が、樹脂の量を100とすると、遺骨粉末の量を100〜130の重量比又は体積比としたことを特徴とする。
【0014】
(第3のメモリアル品の積層構造)
本発明は、上記メモリアル品において、オブジェ部は、複数層が積層されていることを特徴とする。
【0015】
発明は、遺骨を粉末状にした遺骨粉末を用いたメモリアル品の製造方法であって、型内の底面から離れて型の内部に位置するよう遺品を設置し、当該型内に遺骨粉末を混入した樹脂を流し込み、遺品を封入して真空脱泡を行って半透明の本体部を硬化させて形成し、本体部の遺骨粉末の含有率より高くなるよう、遺骨粉末を樹脂に混入したオブジェ部を形成して、本体部に貼り付けて形成することを特徴とする。
本発明は、遺骨を粉末状にした遺骨粉末を用いたメモリアル品の製造方法であって、予め型の内部の底面に凹形状を形成しておき、当該凹形状に遺骨粉末を混入した第1の樹脂を流し込んでオブジェ部を形成し、型の内部の底面から離れて型の内部に位置するよう遺品を設置し、当該型内に第1の樹脂より遺骨粉末の含有量が低くなるよう遺骨粉末を混入した第2の樹脂を流し込み、遺品を封入して真空脱泡を行って半透明の本体部を硬化させて形成することを特徴とする。
【0016】
(糸で吊り上げて浮かせた状態を実現)
本発明は、上記メモリアル品の製造方法において、遺品の少なくとも一部を糸で吊り上げて型の内部に位置するよう遺品が設置されていることを特徴とする。
【0017】
(支持台で遺品を浮かせた状態を実現)
本発明は、上記メモリアル品の製造方法において、遺品の少なくとも一部を持ち上げる支持台に遺品を搭載して型の内部に位置するよう遺品が設置されていることを特徴とする。
【0018】
(遺骨粉末の含有率を規定した第1のメモリアル品の製造方法)
本発明は、上記メモリアル品の製造方法において、本体部が、樹脂に対する遺骨粉末の含有率を0.1%以上5%以下としたことを特徴とする。
【0020】
(粉末の重量比等を規定した第2のメモリアル品の製造方法)
本発明は、上記メモリアル品の製造方法において、オブジェ部が、樹脂の量を100とすると、遺骨粉末の量を100〜130の重量比又は体積比としたことを特徴とする。
【0021】
(第3のメモリアル品の積層構造の製造方法)
本発明は、上記メモリアル品の製造方法において、オブジェ部が、複数積層されて形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
発明によれば、遺品が、遺骨粉末を樹脂に混入して形成した半透明の本体部の内部に、本体部の底面から離れて位置するよう設置されており、遺骨粉末を樹脂に混入したオブジェ部が本体部に形成され、オブジェ部は、本体部より遺骨粉末の含有率が高いメモリアル品としているので、遺品を立体的に見せることができ、遺骨粉末と遺品とを一体感のあるものにすることができ、更に遺骨粉末を多く用いたオブジェ部を本体部と一体化することで、故人を偲ぶメモリアルなものとすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1のメモリアル品の概略図である。
図2】第1のメモリアル品の製造方法を示す図である。
図3】遺品を持ち上げる支持台7を示す図である。
図4】第2のメモリアル品を示す図である。
図5】第2のメモリアル品の製造方法を示す図である。
図6】第2のメモリアル品における別の製造方法を示す断面説明図である。
図7】第3のメモリアル品を示す概略図である。
図8】第3のメモリアル品の製造方法を示す断面説明図である。
図9】第2のメモリアル品の応用例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るメモリアル品は、遺品が、遺骨粉末を樹脂で固めた半透明の本体部の内部に、本体部の底面から離れて位置するよう設置され、遺品を浮かせた状態で硬化させるようにしているので、遺品を立体的に見せることができ、遺骨粉末と遺品とを一体感のあるものにすることができるものである。
【0028】
また、本発明の別の実施の形態に係るメモリアル品は、遺品を封入した遺骨粉末の本体部に遺骨粉末を樹脂で固めたオブジェ部を取り付け、そのオブジェ部は本体部より遺骨粉末の含有率を高くしたものとしているので、透明に近い本体部の中に遺品を浮かせた状態とすることで、遺品を立体的に見せることができ、更に遺骨粉末を多く用いたオブジェ部を本体部と一体化することで、故人を偲ぶメモリアルな商品とすることができるものである。
【0029】
本発明の実施の形態に係るメモリアル品の製造方法は、型内の底面から離れて型の内部に位置するように遺品を設置し、当該型内に遺骨粉末を混入した樹脂を流し込み、遺品を封入して半透明の本体部を硬化させて形成したものであり、遺品を浮かせた状態として、遺品を立体的に見せることができ、遺骨粉末と遺品とを一体感のあるものにすることができるものである。
【0030】
本発明の実施の形態に係るメモリアル品の再利用方法は、遺骨粉末を樹脂で固めたメモリアル品について樹脂部分を燃焼させ、遺骨粉末を取り出し、その遺骨粉末を新たな樹脂で固めてメモリアル品を形成するようにしているので、メモリアル品が破損した場合、また、メモリアル品のデザインを変更したい場合等には、元のメモリアル品から作成でき、メモリアル品を再利用できるものである。
【0031】
[第1のメモリアル品:図1
本発明の実施の形態に係る第1のメモリアル品(第1のメモリアル品)について図1を参照しながら説明する。図1は、第1のメモリアル品の概略図である。
第1のメモリアル品は、半透明の本体部1内で、本体部1の底面から離れて遺品2が位置するよう設置されるもので、遺品2が本体部1内で浮かせた状態で硬化して固定されたものとなっている。
尚、遺品2は、全体を本体部1内で浮かせてもよく、一部が本体部1の底辺に接触してその他の部分が浮き上がっている状態としてもよい。
【0032】
本体部1は、遺骨を砕いて粉末状にした遺骨粉末を樹脂で固めた半透明のものである。図1では形状が立方体としたが、円柱、球体、その他様々な形状であってもよい。
本体部1を半透明にするためには、樹脂に対する遺骨粉末の含有率(遺骨粉末の配合比率又は遺骨粉末の濃度)を0.1%以上5%以下としている。好ましくは、含有率を0.1%以上3%以下にすることが望ましい。
遺骨粉末の含有率は、(遺骨粉末の量/樹脂の量)×100で求められる。遺骨粉末の含有率は、重量比であっても、体積比であってもよい。
【0033】
樹脂は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の透明樹脂を用いる。尚、強度と市場価格を鑑みると、エポキシ樹脂又はアクリルウレタン樹脂を用いるのが望ましい。
また、本体部1を着色するために、樹脂に顔料(トナー)を含めるようにしてもよい。但し、着色したとしても半透明の特性を維持するために、含める顔料の量は遺骨粉末の量よりも少なくする。これにより、本体部1は、半透明性を保ちながら様々な色を付けることができる。
更に、ラメ感、キラキラした感じを演出するために、本体部1内に複数のメタルチップ、複数の貝殻の破片等を挿入して固めてもよい。
【0034】
遺品2は、故人又は死亡したペットを偲ぶ物であり、例えば、結婚指輪、アクセサリ、ネクタイピン、遺骨、又は遺骨を加工したオブジェ(例えば、ハート型の形状のオブジェ)等である。
遺品2として写真を封入する場合には、写真を透明フィルムで覆い、ラミネート加工するか、透明のケースに入れるようにして、樹脂によって写真が劣化しないようにしておく。
【0035】
[第1のメモリアル品の製造方法:図2
次に、第1のメモリアル品の製造方法について図2を参照しながら説明する。図2は、第1のメモリアル品の製造方法を示す図である。
第1のメモリアル品の製造方法は、遺骨を砕いて粉末状の遺骨粉末を作製しておく。
【0036】
次に、図2(a)に示すように、箱状の型3の上部に遺品2を吊り下げるための支柱4を設置し、支柱4に遺品2を細い透明な糸5で吊り下げて型3内に遺品2を宙に浮いた状態とする。支柱4は型3の上面を全て覆うものでないため、型3内に樹脂を流し込むことが可能である。
【0037】
そして、エポキシ樹脂等の透明樹脂に遺骨粉末を混ぜたものを型3に流し込んで、本体部1を硬化させ、遺品2を本体部1内に封入して固定する。着色する場合には、目的の色の顔料(トナー)を混ぜるようにする。また、メタルチップ、貝殻の破片を含めるようにしてもよい。
【0038】
ここで、本体部1を硬化させる際に、樹脂を攪拌しながら、図2(a)の全体を密閉する装置を用い、その装置内の空気をポンプで吸い出して真空脱泡を行う。樹脂が攪拌される時に、樹脂内に空気の泡が形成されるので、真空脱泡により、その泡を除去し、硬化後に泡の痕が残らないようにする。
本体部1が硬化すると、糸5を切って、支柱4を取り除き、型3から本体部1を取り出し、図2(b)に示すように、第1のメモリアル品において本体部1の上面を仕上げ加工する。
【0039】
糸5は、本体部1内で遺品2を固定するための技術である。糸5としては、化学繊維又は天然繊維の糸を用いるが、特に、ポリエステル製又はナイロン製の糸が望ましい。
特に、第1のメモリアル品の糸5は、細い透明な材料を用いているので、本体部1が硬化した場合には、一体になってしまい、目立たなくなる。
よって、本体部1内で遺品2が浮き上がった状態になり、遺品2を立体的に見せることができる。
【0040】
[第1のメモリアル品における別の製造方法:図3
また、第1のメモリアル品における別の製造方法について図3を参照しながら説明する。図3は、遺品を持ち上げる支持台7を示す図である。尚、図3(a)が概略図で、(b)が側面図である。
支持台7は、遺品2を持ち上げて支持するもので、透明な樹脂又は遺骨粉末を混入した樹脂で形成され、型3内に設置される。本体部1となる遺骨粉末を混入した樹脂を封入する際に、遺品2が動かないように、遺品2を支持台7に接着剤等で固定するのが望ましい。また、支持台7も型3の底面に軽く接着してもよい。
【0041】
尚、図3に示した支持台7の形状は、遺品2を斜めに保持するためにL字状となっているが、斜面を備えた三角柱、その三角柱の斜面部分を階段形状にしたもの等が考えられるが、遺品2を支持するものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0042】
支持台7は、透明な樹脂又は遺骨粉末を混入した樹脂で形成しているので、本体部1が硬化すると、本体部1と一体化して目立たなくなるものである。逆に、支持台7に着色等して目立つようにしてもよい。
また、本体部1を顔料(トナー)で着色したり、メタルチップや貝殻の破片を樹脂に含めてもよい。
よって、本体部1内において遺品2を浮かせた状態に見せることができ、遺品2を立体的に表現できる。
【0043】
[第1のメモリアル品の効果]
第1のメモリアル品によれば、遺骨粉末を樹脂で固めた半透明の本体部1内で、本体部1の底面から離れて本体部1の内部に配置するよう遺品2を設置して、本体部1を硬化させ、固めたものとしているので、本体部1内で遺品2を浮かせて見せることができ、遺品2を立体的に表現でき、本体部1と遺品2とが一体感をもって組み合わされた商品にすることができる効果がある。
【0044】
[第2のメモリアル品:図4
次に、本発明の実施の形態に係る第2のメモリアル品(第2のメモリアル品)について図4を参照しながら説明する。図4は、第2のメモリアル品を示す図であり、図4(a)が正面概略図で、(b)が側面外略図である。
第2のメモリアル品は、図4(a)(b)に示すように、第1のメモリアル品にオブジェ部6を取り付けた構成となっている。
【0045】
本体部1の上部の2箇所に遺品2を浮かせて設置しており、図4(a)に示すように、遺品2が見えるように、天使像のオブジェ部6を取り付けている。尚、遺品2の設置位置は、オブジェ部6の裏側であってもよく、任意である。
オブジェ部6は、遺骨粉末を混入した樹脂で形成されるが、本体部1に比べて遺骨粉末の含有率(遺骨粉末の配合比)が高くなっており、従って、本体部1に比べてオブジェ部6は透明度が低く、白色等となっている。
【0046】
オブジェ部6は、樹脂の量を100とすると、遺骨粉末の量を100以上130以下(100〜130)の重量比又は体積比としている。この重量比又は体積比であれば、全体として均等に白色又は灰色等になる(透明性はほとんどない)もので、遺骨粉末が薄い部分(薄い層)と遺骨粉末が濃い部分(濃い層)に分離するものではない。
【0047】
尚、上述したように、樹脂の量:遺骨粉末の量=100:0.1〜5(0.1以上5以下)の重量比又は体積比であれば、遺骨粉末が薄く均一に含まれることになる。しかし、樹脂の量100に[対して、遺骨粉末の量が、重量比又は体積比で「5」を超えて「100」未満の範囲では、薄い層と濃い層が分離することになる。上記の範囲内で遺骨粉末の量に応じて薄い層と濃い層の割合が変化する。この薄い層と濃い層の分離を模様として用いて、オブジェ部6及び本体部1を形成するようにしてもよい。
また、オブジェ部6内にも、顔料(トナー)、金属片等のチップ(メタルチップ)、貝殻破片を含めるようにしてもよい。
【0048】
[第2のメモリアル品の製造方法:図5
次に、第2のメモリアル品の製造方法について図5を参照しながら説明する。図5は、第2のメモリアル品の製造方法を示す図である。
図5(a)に示すように、遺骨粉末を混入した樹脂を型に流し込んで、遺品2を封入した本体部1を形成する。本体部1の製造方法は、第1のメモリアル品と同様であるが、オブジェ部6を取り付け易いように、本体部1に凹部を形成しておく。
遺骨粉末を混入したオブジェ部6を硬化させて形成し、本体部1の凹部に接着剤等で貼り付ける。オブジェ部6も真空脱泡によって成形する。
【0049】
[第2のメモリアル品の別の製造方法:図6
次に、第2のメモリアル品における別の製造方法について図6を参照しながら説明する。図6は、第2のメモリアル品における別の製造方法を示す断面説明図である。
図6に示すように、オブジェ部6の凸形状に対応して形成された凹形状を有する型3´を予め形成しておき、オブジェ部6の形状部分に遺骨粉末を混入した第1の樹脂6aを流し込む。
【0050】
次に、支柱4に糸5で遺品2を吊り下げ、第1の樹脂6aが硬化した後に、型3´内に遺骨粉末を混入した第2の樹脂1aを流し込む。第1の樹脂6aは、第2の樹脂1aより遺骨粉末の含有率が高くなっている。例えば、第1の樹脂6aは、樹脂の量:遺骨粉末の量=100:100〜130であり、第2の樹脂1aは、樹脂の量:遺骨粉末の量=100:0.1〜5となっている。
第2の樹脂1aが硬化後に、糸5を切って支柱4を取り除き、型3´からオブジェ部6と本体部1が一体となった第2のメモリアル品を取り出す。
これにより、本体部1にオブジェ部6が形成されて、オブジェ部6と本体部1を一体化されることになる。
【0051】
[第2のメモリアル品の効果]
第2のメモリアル品によれば、遺品2を封入し、遺骨粉末を混入した半透明の本体部1に、本体部1より遺骨粉末混合比が高いオブジェ部6を取り付けるようにしているので、遺品2は半透明の本体部1で立体的に見ることができ、更に遺骨粉末を多く用いた白色等のオブジェ部6を本体部1に接着して一体化し、若しくは本体部1にオブジェ部6を積層して一体化することで、故人を偲ぶメモリアルなものとすることができる効果がある。
【0052】
[第3のメモリアル品:図7
次に、本発明の実施の形態に係る第3のメモリアル品(第3のメモリアル品)について図7を参照しながら説明する。図7は、第3のメモリアル品を示す概略図であり、図7(a)が正面説明図で、(b)が断面説明図である。
第3のメモリアル品は、図7(a)に示すように、古墳形状をしており、本体部1の上に段々に古墳の形状のオブジェ部6´が積み上げられた(積層された)ものとなっており、正面中央にメッセージが記載されたプレート8が埋め込まれている。
【0053】
図7(b)に示すように、本体部1には遺品2が封入されており、プレート8はオブジェ部6´の上側の層に封入されている。プレート8が本体部分1内又はオブジェ部6´の下層(本体部1に近い層)内に設けていないのは、遺骨粉末の樹脂層が厚くなるため、プレート8のメッセージが読みづらくなるのを防止するためである。
【0054】
第3のメモリアル品では、オブジェ部6´が段々に積み重なるため、オブジェ部6´の各段(各層)における遺骨粉末の含有率を異なるものにしてもよい。この場合、オブジェ部6´の一つの層に本体部1の遺骨粉末の含有率より低いものがあってもよい。
また、各層に色を着色することも可能であり、オブジェ部6´の形状も古墳形状に限定するものではなく、様々な形状をデザインするようにしてもよい。
また、プレート設置の位置にプレートの代わりに遺品を設置してもよい。
【0055】
[第3のメモリアル品の製造方法:図8
第3のメモリアル品の製造方法について図8を参照しながら説明する。図8は、第3のメモリアル品の製造方法を示す断面説明図である。
図8に示すように、古墳形状のオブジェ部6´の凸形状に対応して型3´に凹形状を形成しておき、型3´内に遺骨粉末を混入した樹脂を流し込み、第1層目が硬化したらプレート8を配置し、第2層目、第3層目の樹脂を順に流し込んで硬化させ、本体部1に遺品2を設置した状態で樹脂を流し込んで硬化させる。
遺品2の設置は、図6で示した方法と同様の方法を用いるものとする。
【0056】
[第3のメモリアル品の効果]
第3のメモリアル品によれば、オブジェ部6´を積層構造とするものであり、積層される形状を様々なものとすることで、変化に富み重みのあるデザインとすることができ、また、積層される各層に色を付けることで、複雑な色のメモリアル品とすることができる効果がある。
【0057】
[応用例1/樹脂への加工]
第1のメモリアル品の本体部1、第2のメモリアル品の本体部1及びオブジェ部6に用いられる樹脂について、上述したように、樹脂に顔料(トナー)を入れることで、様々な色(スケルトン風も含めて)にすることができる。
また、石目チップを樹脂に入れることにより石目調や人工大理石風にすることができる。
また、金属片等のチップ(メタルチップ)を樹脂に入れることによりメタリック調にしたり、貝殻片を入れることもできる。
更に、樹脂を硬化させた後、文字や絵を彫刻するようにしてもよい。
【0058】
[応用例2:図9
次に、第2のメモリアル品を用いた応用例について図9を参照しながら説明する。図9は、第2のメモリアル品の応用例を示す概略図である。
図9に示すように、第2のメモリアル品を台座9に設置し、ガラスケース10で覆ったものとなっている。つまり、オブジェ部6が天使像である第2のメモリアル品がガラスケース10内に納まったものである。ガラスケース10の代わりに、透明のプラスチックケースであってもよい。
【0059】
[応用例3/再利用]
第1〜3のメモリアル品について、本体部1、オブジェ部6,6´が破損した場合には、本体部1とオブジェ部6,6´の樹脂を燃焼させ、含まれる遺骨粉末を取り出し、取り出した遺骨粉末を用いて新たなメモリアル品を形成する。但し、本体部内に含まれる遺品2に耐熱性があれば、遺品2の再利用が可能である。燃焼とは、樹脂を加熱して気化させ、引火させるものである。
【0060】
上記の遺骨粉末の再利用は、メモリアル品が破損した場合に限らず、メモリアル品のデザインを変更したい場合にも行うことができ、メモリアル品をリニューアルできる効果がある。
更に、燃焼により遺骨粉末を取り出し、別の遺骨粉末を加えて新たなメモリアル品を形成することもできる。つまり、遺骨粉末を統合でき、また、メモリアル品を統合できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、遺骨粉末と遺品とが一体化された商品にすることができるメモリアル品及びその製造方法に好適である。
【符号の説明】
【0062】
1...本体部、 2...遺品、 3,3´...型、 4...支柱、 5...糸、 6,6´...オブジェ部、 7...支持台、 8...プレート、 9...台座、 10...ガラスケース
【要約】
【課題】 遺骨粉末と遺品とが一体化された商品にすることができるメモリアル品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 遺骨粉末を樹脂で固めた半透明の本体部1内で、本体部1の底面から離れて本体部1の内部に配置するよう遺品2を設置して、本体部1を硬化させ、固めたものであり、更に、本体部1に、本体部1より遺骨粉末の含有率(粉末濃度)が高いオブジェ部6を取り付けるようにし、遺骨粉末を混入した樹脂で形成された本体部1と遺品2とが一体感をもって組み合わされたメモリアル品及びその製造方法である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9