(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁小葉が、第1の材料を有し、前記弁フレームに、第2の材料によるサンドイッチ式取り付けによって取り付けられていることを特徴とする、請求項1の弁モジュール。
前記折り畳まれ組み立てられていない送達時の形態は、前記弁小葉と、前記共線状の第1リング部材および第2リング部材ならびに複数のマストとが、ガイドワイヤーに螺旋状に巻きつけられていることを特徴とする請求項1の弁モジュール。
前記相補的ロック部材のそれぞれが、スピアおよびシャフトを有し、前記スピアは第1の端部および第2の端部を有し、前記シャフトが前記スピアを覆って嵌合していることを特徴とする請求項12のモジュラー式弁デバイス。
前記スピアの少なくとも一つが、前記第1の端部にスピアヘッドを、前記第2の端部にスピアクロスを、有していることを特徴とする請求項13のモジュラー式弁デバイス。
少なくとも一つの相補的なシャフトおよびスピアが第1の内径を有する第1リングシャフトと、第2の内径を有する第2リングシャフトと、片側ハイブリッドスピアとを有していることを特徴とする請求項13のモジュラー式弁デバイス。
少なくとも一つの相補的なシャフトおよびスピアが第1の内径を有するリングシャフトと、第2の内径を有するシャフトと、片側ハイブリッドスピアとを有していることを特徴とする請求項13のモジュラー式弁デバイス。
前記シャフトが、前記弁フレームの前記マスト上に配置され、前記スピアが、前記支持モジュール上に配置され、各スピアが前記複数のマストのうちの一つに整列されていることを特徴とする請求項13のモジュラー式デバイス。
前記弁フレームの前記片割れ第1マスト部分が第1シャフトを含み、前記片割れ第2マスト部分が第2シャフトを含み、前記第1シャフトが前記弁モジュールの縦軸に沿って前記第2シャフトの近位端部側に配置され、前記第1および第2シャフトが前記支持モジュール上の単一の対応するスピアにロックするよう設計されていることを特徴とする請求項13のモジュラー式弁デバイス。
前記弁フレームが前記複数のワイヤーガイドを含み、前記ワイヤーガイドが前記第1リング部材に取り付けられた複数の第1ワイヤーガイドと、前記第2リング部材に取り付けられた複数の第2ワイヤーガイドとを有し、前記アセンブリーワイヤーが、前記第1および第2ワイヤーガイドに通されていることを特徴とする請求項20のシステム。
前記相補的ロック部材は、(a)シャフトおよびスピア、(b)リングシャフトおよびハイブリッドスピア、(c)第1の径を有する第1リングシャフト、第2の径を有する第2リングシャフト、および単溝ハイブリッドスピア、(d)前記の組合せ、からなるグループから選択され、前記シャフト、リングシャフト、および第1および第2リングシャフトが、前記弁フレームの前記マスト上に配置され、前記スピアが、前記支持モジュール上に配置され、各スピア、ハイブリッドスピア、および単溝ハイブリッドスピアが、前記第1の端部にアイレットを有し、前記アセンブリーワイヤーが前記アイレットに通されていることを特徴とする請求項20のシステム。
前記複数のマストのうちの一つが片割れ第1マスト部分および片割れ第2マスト部分を含む分割マストであり、前記片割れ第1マスト部分は第1シャフトを有し、前記片割れ第2マスト部分は第2シャフトを有し、前記第1シャフトは前記弁モジュールの縦軸に沿って前記第2シャフトの近位端部側に配置され、前記第1および第2シャフトは単一の相補的スピアに接続するよう設計され、
前記案内するステップが、前記分割マストの前記第1および第2シャフトを前記対応するスピアに被せて案内し前記第1および第2リング部材を閉じて閉じた前記使用時の形態の弁モジュールをロックすることを含む
ことを特徴とする請求項24の方法。
弁フレームおよびそれに取り付けられた複数の弁小葉を含む弁モジュールであって、前記弁フレームは少なくとも一つのリング部材およびそれに取り付けられた複数のマストを含み、前記弁モジュールは、折り畳まれ組み立てられていない送達時の形態と組み立てられた使用時の形態とを有し、前記少なくとも一つのリング部材のそれぞれが第1端部および第2端部を備える実質的に真っ直ぐな送達時の形態を有し、前記折り畳まれ組み立てられていない送達時の形態において前記少なくとも一つのリング部材のそれぞれが前記複数のマストと同じ概略方向に延び、前記複数のマストは前記組み立てられた使用時の形態において前記少なくとも一つのリング部材に実質的に直交するよう構成された、弁モジュールと、
圧縮された送達時の形態と拡張させた使用時の形態とを有する支持モジュールと、
前記弁モジュールを前記拡張させた支持モジュールにロックするよう設計された複数セットのロック部材であって、各ロック部材セットがスピアと、内腔を有する対応するシャフトとを有し、前記スピアが第1スピア端部および第2スピア端部を有し、前記第1スピア端部に設けられたスピアヘッドがアイレットおよび長孔を含むよう構成された、複数セットのロック部材と、
前記少なくとも一つのリング部材上に配置された複数のワイヤーガイドと
を有するモジュラー式経皮弁デバイス。
前記少なくとも一つのリング部材が第1リング部材および第2リング部材を有し、前記複数のマストがそれらの間に配置され、前記弁小葉が前記第1リング部材に取り付けられて前記第2リング部材から吊り下げられていることを特徴とする請求項26の弁デバイス。
前記複数のマストのうちの一つが、前記少なくとも一つのリング部材の前記第1端部に接続された片割れ第1マスト部分と前記少なくとも一つのリング部材の前記第2端部に接続された片割れ第2マスト部分とを有する分割マストを含むことを特徴とする請求項26の弁デバイス。
前記スピアヘッドが、ダイヤモンド形、菱形、台形、凧形、円形、矩形、長円形、鏃形、球形、卵形、球根形からなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項26の弁デバイス。
前記スピアがさらに前記第2スピア端部にスピアクロスを有し、前記対応するシャフトが前記スピアヘッドと前記スピアクロスとの間でロックするよう設計されていることを特徴とする請求項26の弁で弁デバイス。
前記スピアがハイブリッドスピアであり、前記スピアヘッドがさらに溝を含み、前記シャフトが、前記スピアヘッドの前記溝における幅と同等の内腔径を有するリングシャフトを有することを特徴とする請求項26の弁デバイス。
前記溝が前記ハイブリッドスピアの一方側のみに配置され、前記ハイブリッドスピアがさらにステムを有し、前記リングシャフトが、前記スピアの前記ステムにおける幅と同等の第1の内腔径を有する第1リングシャフトと、前記スピアヘッドの前記溝における幅と同等の第2の内腔径を有する第2リングシャフトとを有することを特徴とする請求項32の弁デバイス。
前記溝が前記ハイブリッドスピアの一方側のみに配置され、前記ハイブリッドスピアがさらにステムを有し、前記シャフトがさらに第1シャフトおよび第2シャフトを有し、前記第1および第2シャフトが前記スピアの前記ステムにおける幅と同等の第1の内腔径を有し、前記リングシャフトが前記スピアヘッドの前記溝における幅と同等の第2の内腔径を有することを特徴とする請求項32の弁デバイス。
前記複数のマストのうちの一つが、前記少なくとも一つのリング部材の前記第1端部に接続された片割れ第1部分と、前記少なくとも一つのリング部材の前記第2端部に接続された片割れ第2部分とを含む分割マストであり、前記分割マスト片割れ第1部分が第1シャフトを含み、前記分割マスト片割れ第2部分が第2シャフトを含み、前記第1シャフトが前記弁フレームの縦軸に沿って前記第2シャフトの近位端部側に配置され、前記第1および第2シャフトが単一の対応するスピアにロックされるよう設計されていることを特徴とする請求項26の弁デバイス。
前記複数のマストの一つが片割れ第1部分および片割れ第2部分を有する分割マストであり、前記分割マスト片割れ第1部分が第1シャフトを有し、前記分割マスト片割れ第2部分が第2シャフトを有し、前記第1シャフトが前記組み立てられた使用時の形態において前記弁モジュールの縦軸に沿って前記第2シャフトの近位端部側に配置され、前記第1および第2シャフトが単一の対応するスピアにロックされるよう設計され、
前記案内する工程が、前記分割マストの前記第1および第2シャフトを前記対応するスピアに被せて案内し、前記少なくとも一つのリング部材を閉じる
ことを特徴とする請求項39の方法。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景] 人体には、たとえば、心臓弁、噴門(食道/胃)弁、腸弁、リンパ系内の弁など、広範な種類の生来の弁がある。生来の弁は、疾病、年齢などのさまざまな理由により変性することがある。機能不全を生じた弁は、最小圧力損失での単一方向の体液の流れを維持することができない。機能不全を生じた弁とは、たとえば、狭窄(すなわち弁小葉が完全に開かない)状態、または、閉鎖不全(すなわち弁小葉が適切に閉まらない)状態が疑われる心臓弁である。弁が関係している器官が正常に機能している状態を取り戻すためには、弁の機能を回復することが望ましい。たとえば、心臓における正常な弁機能によって、弁を介して最小圧力欠損での単一方向の血流を確実に維持することができるので、血液循環と血圧を維持することが可能となる。同様に、正常な食道弁機能によって、酸性胃液分泌が食道内層に対して炎症を生じさせたり永久的に損傷を与えたりすることがないよう担保されている。
【0004】
いくつかの経皮人口弁システムについて記述するものがある。Andersen, et al. (米国特許第5,411,552号)に記載の一例は、拡張可能なステントと、展開前の当該ステントに装着された折り畳み可能な弁を有するものである。折り畳み可能な弁は生体弁であってもよいが、合成材料から作成されるものでもよい。Anderson人工弁は、弁−ステント人工器官を最終サイズまで拡張するためにバルーンを用いるバルーンカテーテルを利用して送達および展開がなされる。「身体への植え込み用弁人工器官(Valve Prosthesis for Implantation in the Body)」と題された米国特許第6,168,614号(Andersen, et al.)および「心臓弁植え込みのためのシステムおよび方法(System and Method for Implanting Cardiac Valves)」と題された米国特許第5,840,081号(Andersen, et al.)も参照されたい。
【0005】
Spenser, et al.(米国特許第6,893,460号)には、生物材料または合成材料からなる弁構造と、支持ステントとを備える別の人工弁デバイスが開示されている。Spenser人工弁は、入口と出口を有する導管からなり、当該出口側に折り畳み可能な壁を提供するよう配置された曲がりやすい材料から作成された圧着可能なリーフ弁アセンブリーである。この弁アセンブリーは展開前の支持ステントに固着される。完成した弁デバイスは、バルーンカテーテルまたは同様のデバイスなどの展開手段を用いて体内導管内の目標位置で展開される。
【0006】
人工弁の経皮的な植え込みは、標準的な外科的処置よりも、安全で、安価、かつ患者の回復時間が短い。しかし、現在一般に用いられている人造の経皮的な人工弁には、送達のため圧縮したときでさえ非常にかさばるという欠点がある。このかさばることに伴う問題は、送達カテーテルをかなり大径のものにする必要が生じることである。大きなカテーテルは、一般に、経皮的処置には不向きであり、静脈切開外科処置および/または手の込んだ難しい穿刺閉鎖(縫合)技術を必要とする。現在一般に用いられている弁デバイスおよびそのデバイスを送達する際に通さなければならない解剖学的組織と結合させた送達システムが、かさばり大径となることは、内腔への送達を、成功率、展開(配置)精度、合併症リスクの観点からみて解決の難しいものとする可能性がある。具体的には、送達の合併症は、カテーテルが導入される内腔の形状、たとえば、大動脈弓、および/または、屈曲した腸骨/大腿動脈のかなり大きな自然なカーブによって、生ずる可能性がある。また、そのような大径のカテーテルは、特にかさばる柔軟性の低いデバイスとともに装着される場合には、小径のカテーテルよりも柔軟性が低い傾向にある。また、そのような装着されたカテーテルを狭い管、特に屈曲した管を通して操作することで、高い罹病率および死亡率に相関する、管壁の損傷や出血などの脈管合併症の可能性が実質的に生じる。
【0007】
さらに、弁小葉材料は、経皮的な人工弁送達径の80%を占めている。弁小葉材料の体積を最小化するための現在進行中の取り組みとして、薄い弁材料を使用することや、弁小葉をよりきつく圧着させることが試みられている。これらの処置はともに、弁小葉の耐久性に悪影響を生じるものであり、後者は弁材料を損傷することで耐久性を損なう。
【0008】
したがって、人造の弁の送達を容易にし、処置の安全性を高めることに対するニーズが存在する。組み立て済みの経皮弁デバイスよりも送達径が小さく、体内腔の壁部にさらなる損傷を生じることなく管を通過し送達させることができる弁デバイスが、大いに要望されている。また、外科用人工弁デバイスに利用可能なタイプの小葉耐久性を備える薄型の(送達径を小さくした)経皮人口弁デバイスを手にすることが望まれている。
【0009】
米国特許出願公開第2010/0185275号(A1)公報(ここに、その全体を引用により補充する)には、血管内の植え込み部位ないしその近傍で組み立てて使用時の形態に変形することができる送達可能モジュールとしての弁デバイスを提供することによって人工弁の送達を容易にするモジュラー式(多部品)経皮弁が記載されている。また、米国特許出願公開第2010/0185275号(A1)公報は、組み立てたデバイスモジュールをまとめてロックする様々な手段について記載するものでもある。
【0010】
米国特許出願公開第2011/0172784号(A1)公報(ここに、その全体を引用により補充する)には、血管内でのモジュラー式人工弁の組み立てを容易にする自己組み立て(self-assembly)部材を備えるモジュラー式(多部品)経皮弁デバイスが記載されている。また、米国特許出願公開第2011/0172784号(A1)公報は、機能する弁形状とは異なる、特に送達時に有利な形状(組み立てられていない形態)とすることができる弁モジュールを記載するものでもある。組み立てられていない形態とすることで弁モジュールを、デバイスの送達径を最小化するように折り畳むことができ、それによって、合併症リスクを最少化し、弁交換処置の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、植え込み可能なモジュラー式経皮人工弁デバイス、植え込み可能な経皮モジュラー式弁デバイス(たとえば、経皮モジュラー式心臓弁デバイス)を展開して組み立てるためのシステムおよび方法を提供する。
【0023】
本発明の経皮弁デバイスは、体腔(たとえば血管)内での送達および組み立て用の複数のデバイスモジュールを含んでいる。デバイスモジュールは、経皮的に体内の所望の位置に、たとえば、弁植え込み部位近傍や、弁植え込み部位に送達し、そこで送達デバイスから展開し、組み立てて、使用形態の弁デバイスを形成することができる。複数のデバイスモジュールは、支持モジュールおよび弁モジュールを有するものとすることができる。支持モジュールには、圧縮された送達時の形態と拡張された使用時の形態とがある。弁モジュールは、弁デバイスの弁小葉と弁フレームとを有し、弁小葉は、一ないし複数のリング部材およびそれに接続された複数のマストを含む弁フレームの構成部品に取り付けられてもよい。
【0024】
弁モジュールには、組み立てられていない開いた形態があり、この形態では一ないし複数のリング部材は実質的に線形、すなわち、略直線状の形態をとり、弁小葉は実質的にフラットである。弁小葉が、たとえば、交連(commissures)を含む形態を有し、したがって「実質的にフラットである」という用語が多少の起伏(undulations)を含むものであってもよいことは、当該技術分野の熟練技術者であれば理解するところである。この組み立てられていない開いた形態では、弁モジュールを主として「長手方向に(lengthwise)」折り畳み(たとえば、丸めて)折り畳まれた送達時の形態にすることが可能となり、この形態から弁モジュールは、組み立てて使用時の形態にすることができる。組み立てられていない開いた形態において、弁モジュールは、その縦軸に沿った(すなわち、尖端部から基部までの)幅と、線形周軸に沿った(すなわち、一ないし複数のリング部材の第1の端部と該一ないし複数のリング部材の第2の端部との間、あるいは、分割マストを有する実施形態における片割れ第1マスト部分と片割れ第2マスト部分との間)長さを有する。したがって、当該技術分野の熟練技術者が理解するところの「長手方向に」は、たとえば、片割れ第1マスト部分から片割れ第2マスト部分へと向かう、長さ方向に沿って(along the length)いることを意味する。その折り畳まれた形態において、複数のマストは、実質的に線状のリング部材と実質的に共線関係となるように、一ないし複数のリング部材に向かって折り畳まれていてもよい。
【0025】
弁モジュールを「長手方向に」折り畳むことで、送達時の形態が最小径を有するものとなり、小葉へのクリンピング(crimping)ダメージを最小限に抑えるのに役立つので、耐久性が向上する。特に、弁モジュールを主として長手方向に折り畳むことで、径方向に折り畳む、あるいは圧縮する場合に比べて、小葉材料の厚みを軸方向により長い距離にわたり、主に長手方向に分布させることになるので、送達カテーテルの弁材料が場所を問わず少なくなる。その結果、現在市販されているデバイスの径方向のクリンピングに比べ、小葉にかける必要があるクリンピング力が小さくなり、小さな送達径が実現される。その結果として得られる効果は、小葉材料へのクリンピングダメージが少なくなることと、それにより耐久性が向上することである。また、そのような小さな送達形状を実現するために使用する弁材料を薄くする必要がなくなる。このような利点を有する主として長手方向に折り畳む態様の一例として、組み立てられていない開いた弁モジュールをスパイラルに、たとえばガイドワイヤーに巻きつけることが考えられる。他の例としては、複数のマストを一ないし複数のリング部材に向かって折り畳む際に弁材料を押しつぶす(scrunching)ことが考えられる。
【0026】
一部の実施形態においては、マストとリング部材の間の特殊な接続―ピボットポイント―によって折り畳みしやすくできる。使用時の形態に組み立てると、弁モジュールは、入口端部と出口端部とを有する導管を形成する。弁フレームは、その使用時の形態において、端部を近接させた一ないし複数のリング部材と、弁の縦軸に沿って配向させた複数のマストとを含むことで、―弁小葉により―導管を形成するものとすることができる。弁小葉は、一ないし複数のリング部材およびマストによって支持させることができる。
【0027】
弁フレームは、各種の材料、たとえば、形状記憶合金、塩化コバルト、超弾性特性を有する材料、あるいは高分子変形可能プラスチックなどの材料から任意のものを選んで製造することができる。一実施形態において、弁フレームは、所定の形態に戻るよう予め調整された形状記憶金属または形状記憶合金を有するものである。この実施形態の一態様において、弁フレームは、形状記憶合金から製造される。この所定の形態を、第1の形態(たとえば、弛緩した状態)と呼び、送達時の形態を第2の形態(たとえば、弛緩していない、拘束された状態)と呼ぶことができる。弁フレームは、たとえば、温度の変化(加熱または冷却)や電流によって所定の形態に戻すトリガーとすることができ、あるいは、超弾性特性を有する場合には幾何学的(形状上の)制約から解放するものとしてもよく、または、バルーンの拡張により機械的に変形させることをもって「トリガーを引く」こともできるが、それによって、たとえばNiTiの別の相(phase)への変換のトリガーとすることができる。形状記憶合金によって、弁フレームを熱機械的に予め調整して、前もって選択された形状(所定の形態)にすることができるので、一実施形態においては、たとえば、比較的まっすぐではあるが軸方向にフレキシブルな第2の形態で送達してから、熱機械的所定の第1の形態に戻すべくトリガーを引くようにすることができる。他の実施形態において、送達デバイス、ないし送達デバイス内の内腔が弁フレームを送達時の形態に拘束するものとして、トリガーをその拘束からの解放としてもよい。
【0028】
本明細書で用いられているように、弁フレームに関する「所定の形態」や「第1の形態」は、形状記憶構造に限定されない。「所定の形態」および「第1の形態」は、弁フレームがとる、または弁フレームが送達デバイスからの展開後に復帰する前もって選択された形状を意味する。弁フレームが、たとえば温度ステップによってその第1の形態に戻る場合、この温度ステップは、たとえば、高温流体、低温流体、体温、あるいはワイヤーに電流を流して抵抗熱を発生させることによって、弁フレーム周囲の温度を変化させることによって達成することができる。形状記憶弁フレームをつくるため、任意の形状記憶合金を使用することができる。具体的な実施形態において、使用される形状記憶合金には、NiTi(すなわち、NiTinol),CuZnAl,CuAlNi、あるいはこれらの混合物がある(たとえば、SHAPE MEMORY MATERIALS, EDITED BY Otsuka and Wayman, Cambridge University Press; October 1999、および、SHAPE MEMORY ALLOYS, edited by Youji and Otsuka, International Academic Publishers, June 1998参照)。
【0029】
弁小葉材料は、たとえば、ポリマー、金属、または、たとえばウシやブタやウマの組織に由来する哺乳類の心膜などの生物材料といった適切な材料から製造することができる。材料、構造および製造方法の選択は、弁の機能、耐久性および生体適合性を最適化するようになされるのが好ましい。弁小葉は、当該技術分野において周知の手段によって、たとえば、縫製(sewing)、接着(gluing)、接合(bonding)や、以下に記載する方法によって、弁フレームに取り付けることができる。
【0030】
支持モジュールは、拡張可能に構成し、圧縮(拡張されていない)状態で送達し、弁デバイスの植え込みと組み立てのために拡張することができるのが好ましい。支持モジュールは、内腔の中でのデバイスの位置を維持しつつ、その構造が弁の構成要素を支持することができるよう、充分な耐久性がある生体適合性材料から製造することができる。また、支持モジュール材料は、圧縮された状態での支持モジュールの送達および内腔における展開時の圧縮された支持モジュールの拡張に適合している。たとえば、支持モジュールは、形状記憶合金、塩化コバルト、超弾性特性を有する材料、または高分子変形可能プラスチックを含む様々な材料から製造することができる。本発明の一実施形態において、支持モジュールは、ステンレス鋼や、たとえばニチノールなどの形状記憶合金から製造される。また、別の実施形態において、当該技術分野において知られている適切な原子組成を有するアモルファス金属合金からなるものとしてもよい。支持モジュールのさらに他の実施形態は、当該技術分野において周知の同類の生体適合性材料から製造することができる。適切な支持モジュールの非限定的な一例に、メッシュチューブがある。この例において、支持モジュールは、複数の孔またはセルを有するメッシュを含む側面をもつ中空で略円筒形状(環状)の部材を有する。支持モジュールは、生来の弁小葉を外側に押しやり、置き換えるべき罹病弁よりも大きな弁開口部を形成するために、支持モジュールが展開されると植え込み部位にその位置が維持されるよう充分な径方向の強度を備えている。支持モジュールは、自己拡張型であってもよく、バルーン拡張型であってもよい。本発明に使用される支持モジュールの例は、当該技術分野において周知である。
【0031】
支持モジュールは、支持モジュール内に弁モジュールを固定するため、本明細書に記載されているようなロック部材を含むものとすることができる。支持モジュールは、生来の解剖学的構造(たとえば、弁輪)への組み立て済み弁デバイスの固定を容易にするために、さらに、フック、リブ、あるいは他の固定装置を含むものであってもよい。支持モジュールの弁輪への、および/または、弁モジュールの支持モジュールへの接続は、構造間の相対位置に対する整合がとれるように設計することができる。
【0032】
本発明のデバイスおよび方法は、経皮的な大動脈弁の置き換えに利用するために特に適合されているが、たとえば、肺動脈弁、僧帽弁、三尖弁のような他の心臓弁や、末梢脈管構造または他の体内腔(たとえば、置き換えが必要な弁を有する、または弁の植え込みが必要な、消化管、リンパ管、胆管など他の内腔)の弁に対する代替としても使用することができる。モジュラー式弁デバイスは、大動脈弁を置き換えるよう設計される場合、上行大動脈、下行大動脈、左心室の、植え込み部位において、あるいは、植え込み部位の一部と大動脈の一部において組み立てられるものとすることができる。人体の内腔に使用されるものとして特に適合されているのではあるが、そのデバイス、システムおよび方法は、(ヒト以外の)動物にも適用可能である。
【0033】
上述の実施形態および他の実施形態は、添付の図面を参照しながら以下に検討し説明している。図面は、本発明の代表例の知識として、そして、本発明の特定の実施形態を模式的に例示するために提供されている。熟練技術者であれば、本発明の範囲内にある他の類似した例を容易に認識するだろう。図面は、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0034】
上述のように、本発明のモジュラー式弁デバイスは、弁モジュールおよび支持モジュールを有し、これらは、組み立てられていない送達時の形態で送達し、送達デバイスからの展開後に組み立てられ一体とすることができる。弁モジュールは、弁フレームに取り付けられた弁小葉を有する。部分的に組み立てられた弁フレームと拡張させた支持モジュールとを例示した図が
図14Aと
図14Bにそれぞれ示されている。弁モジュールとその支持モジュールへの接続の詳細は、
図1〜13に記載されている。
【0035】
図1は、弁フレームが第1および第2リング部材を含む、弁モジュール発明の非限定的実施形態を示している。
図1に示すように、弁モジュール10は、その組み立てられた使用時の形態において、弁小葉15および弁フレームを有している。弁フレームは、弁モジュールの基部(弁の近位端部)に第1リング部材21を、弁モジュールの遠位端部(弁の遠位端部)に第2リング部材22を、そして、第1および第2リング部材21,22の間を略垂直に延びて接続する複数のマスト25,28a,28b(たとえば、3本のマスト)を有している。一実施形態において、第1リング部材21は、縦軸方向の幅が、第2リング部材22よりも広い(
図14A参照)ので、第1リング部材の方が反りにくくなっており、それによって、組み立てられた弁モジュールの形状が維持される。
【0036】
弁小葉15は、リング部材21,22の一方または両方、および/または、マスト25,28a,28bに取り付けられているものとすることができる。
図1に示されている実施形態において、弁小葉15は、第1リング部材21に取り付けられ、第2リング部材22から、たとえば、マスト25,28a,28bと第2リング部材との間の接続箇所に隣接する箇所で、吊り下げられている。また、
図1には、弁小葉15が分割マスト28a,28bに取り付けられ、他のマスト25には取り付けられていない実施形態を示すものでもある。弁小葉15は、たとえば、
図1に示すように縫製により、あるいは、当該技術分野において周知の他の適切な方法によって、弁フレームに取り付けられているものとすることができる。たとえば、弁小葉15は、
図1,5,6A,6Bに示されているように、小葉ループ16を介して吊り下げられているものとすることができる。代替的に、弁小葉15は、たとえば、縫製によって、第2リング部材22またはマスト25,28a,28bに、あるいは当該分野の技能の範囲に属する他の手段で、吊り下げられ、または取り付けられているものとすることができる。小葉ループ16は、弁小葉15と同じ材料から作られ、たとえば、ループを縫って閉じたり、ループを第2リング部材に縫い付けたりすることによって、あるいはそれらを組み合わせて、留めることができる。代替的に、弁小葉15は、縫い糸または第2の材料で形成されたループによって第2リング部材22から吊り下げられているものとすることができる。
【0037】
一実施形態において、弁フレームに直接取り付けるのではなく、弁小葉材料(第1の材料)を第2のフレキシブルでより耐久性のある材料に取り付け、この第2の材料を、当該技術分野において周知の手段(たとえば、ループをつけ、縫製、接着、接合するなど)によって、弁フレームに取り付ける。弁小葉を弁フレームに取り付けるための一実施形態は、サンドイッチ式取り付けである。具体的に、この態様においては、第2の材料で、弁フレームの一部(たとえば、リング部材またはマスト)を包み、その包みから第2の材料が部分的にはみ出すようにして、第1の材料の一部を第2の材料の2つのはみ出した部分の間に差し込んで、第1の材料−第2の材料−第1の材料という(3層の)サンドイッチ構造を形成することができる。そして、第2の材料を、たとえば、縫製(たとえば縫合糸による縫合)によって、第1の材料に取り付けることができる。第1の材料は、たとえば、心膜とし、第2の材料は、たとえば、ダクロンとすることができる(ただし、当該技術分野で周知の適切な材料の他の組合せも適用可能である)。
【0038】
サンドイッチ式取り付けの実施形態は、代替的に、オープンサンドイッチ(2層)構造を含むものであってもよい。この実施形態においては、第2の材料で、弁フレームを包み、第2の材料をその末端部を残してそれ自身に取り付け、その末端部を別途上述の手段で弁小葉の一部分に取り付けるのでもよい。同様のサンドイッチ取り付け設計は、弁小葉をマストに取り付けるために採用することができるが、それには、マスト上のロック部材の取り付け箇所を収めるタブまたはループを使用することも含まれる。サンドイッチ式取り付けの利点は、弁小葉材料(第1の材料)の弁フレームの表面による摩損が回避されることによる、弁が完全に機能する状態での長寿命化である。
【0039】
組み立てられていない折り畳まれた形態において、
図1の第1及び第2リング部材22,22は、閉じていない、または、実質的に閉じた構造であるが、開いている。すなわち、たとえば、
図2および
図3Aに示されているように、それぞれが、第1の端部および第2の端部を有する実質的に線状形態で配置されている。一実施形態において、
図1,2,3Aに示されているように(
図9Aも参照)、マストのうちの一つが分割マスト28a,28bであり、分割マストの片割れ第1部分28aは、組み立てられていない弁モジュールの第1の端部に配置され、リング部材の第1の端部に接続されており、分割マストの片割れ第2部分28bは、組み立てられていない弁モジュールの第2の端部に配置され、リング部材の第2の端部に接続されている。弁小葉15は、分割マストの各片割れ部分28a,28bに、たとえば、縫製によって、または上述の方法によって、あるいは当該技術分野において周知の他の適切な方法によって、固定することができる。
【0040】
リング部材は、分割マストを有する弁フレームに対する
図9Aに示されているように、たとえば、マストの近位端部に隣接して、アセンブリーワイヤー80を通すことができるワイヤーガイド30で装着されるものとすることができる。近位端部は、大動脈弁を代替するために弁を植え込んだ際に心臓に最も近い端部である。たとえば、
図14Aに示されているように、第1ワイヤーガイド30は、第1リング部材21(
図9Aも参照)上の分割マストの片割れ第1部分28a近傍に配置され、第2ワイヤーガイド31は、第2リング部材22上の分割マストの片割れ第2部分28b近傍に配置されるものとすることができる。同様に、第1ワイヤーガイド30も、第1リング部材21上のマスト25の近位端部近傍に配置され、第2ワイヤーガイド31は、第2リング部材22のマスト25の近位端部近傍に配置されるものとすることができる。弁フレームの必須の特徴ではないが、ワイヤーガイド30,31は、弁モジュールをカテーテルから展開する際の、アセンブリーワイヤー80の弁フレームに対する適切な整列配置を維持するために有用である。
【0041】
弁モジュールは、送達時には、小径の送達時の形態に折り畳まれなければならないが、組み立てて支持モジュールと一体にするため展開すると簡単に略筒状形態に変形することができるのでなければならない。本発明は、弁モジュールを折り畳むための改良された弁フレーム構造を提供するものである。
【0042】
マストをリング部材に向けて折り畳み、実質的に共線状に折り畳まれた弁フレームを形成することは、弁フレーム材料に、マストと第1および第2リング部材との間の接続箇所において、かなり大きな応力ないしひずみを生じることがあり得る。したがって、本発明の一態様において、この接続箇所を、たとえば
図2に示されているようなピボットポイント70として設計することができる。標準的な、工夫に乏しい接続形態と対照的に、ピボットポイントを採用することで、弁フレームの折り畳みが容易になり、接続箇所においてさほど大きな材料の応力ないしひずみを生じさせずに、第1および第2リングとマストとを、実質的に共線状にすることができる。本発明の新規なピボットポイントによる弁フレームにおけるひずみの低減は、弁フレームの第1および第2リングとマストとが実質的に共線状となるように折り畳まれているときに最小の断面積にすることができるというさらなる利点をもたらしてくれる。一実施形態において、マストと第1および第2リング部材は、ピボットポイントよりも大幅に剛性が高い。接続箇所において材料の応力やゆがみを低減するようピボットポイントを最適化する方法には、たとえば、接続部の水準(plane)、厚み、幅、または形状を調整することなど、いくつかある。採用可能なピボットポイントとして形状を利用する2つの非制限的な例を以下に説明しているが、本明細書に基づき、当該技術分野の技術者であれば、本発明のピボットポイントに使用できる他の形状があることを理解するだろう。
【0043】
図2に示されている弁フレームの一実施形態において、新規なピボットポイント70a,70bは、マスト25,28a,28bに含まれており、実質的にs−字形71であり、第1および第2リング部材21,22に直角に接続するものとすることができる。第1リング部材21をマスト25,28a,28bに接続するピボットポイントのs−字形の向きは、
図2に示すように、第2リング部材22をマスト25,28a,28bに接続するピボットポイント70bのs−字形の反対(または逆)向きとすることができる。
図2の70aと70bを対比されたい。好ましくは、マストを第1リング部材21に接続するs−字形ピボットポイント71は、同じ向きであり、マストを第2リング部材22に接続するs−字形ピボットポイント71は同じ向きである。
図2に示したs−字形ピボットポイントは、マストよりも幅が狭くてもよい。
【0044】
図3Aおよび3Bに示されている弁フレーム120の他の実施形態において、新規なピボットポイント170は、より複雑で、マスト25,28a,28bとリング部材121,122の第1セグメント121a,122aとの間の「馬蹄形」接続部75と、馬蹄形部材75とリング部材121,122の隣接セグメント121b,122bとの間の斜方向接続部76とを有するものとすることができる。
図3Aには、この弁フレーム120の実施形態の、その実質的に平らに広げた、組み立てられていない形態を示している。
図3Bは、ピボットポイント170をより詳細に示した図である。第1リング部材121へのマストの接続部における馬蹄形75の向きは、第2リング部材122へのマストの接続部における馬蹄形接続部75の向きの反対である。それに付随して、馬蹄形部材75と第1リング部材121の隣接セグメントとの間の斜方向部材76の向きは、馬蹄形部材75と第2リング部材122の隣接セグメントとの間の斜方向部材76の向きに対し反対向きである。
図3Aの170aおよび170bを対比されたい。好ましくは、馬蹄形部材75の向きと、マストを第1リング部材121に接続する斜方向部材76とが同じ向きであり、馬蹄形部材75と、マストを第2リング部材122に接続する斜方向部材76とが同じ向きである。ピボットポイント170における馬蹄形部材75は、ひずみが低くなるように変位を分散させており、斜方向接続部76は、角変位を少なくするのでひずみが抑制される。任意選択的に、馬蹄形‐斜方向接続ピボットポイント170は、マストと同じ幅である。
【0045】
代替的に、ピボットポイントは、S−字形か、馬蹄形‐斜方向か、あるいはいくつかの別の幾何学形状かにかかわらず、その上さらに、あるいはその代りに、厚みを小さく(たとえば、ゲージを小さく)してもよく、―換言すれば、好ましい幾何学ピボットポイント形状に加え、あるいはそれに代えて、屈曲する部分が、マストやリング部材の構造よりも薄くなるようにすることができる。マストとリング部材との間の接続は、代替的に、ヒンジを含むものであってもよい。
【0046】
図3A−Bの実施形態の弁フレーム120が使用時の形態のとき、馬蹄形/斜方向ピボットポイント170は平板状である。弁フレーム120の実施形態の平板状の形態が
図4A(これは上から見た図である)に示されており、弁フレームは、2つの円環、すなわち第1リング部材121および第2リング部材122、として図示されている。
図4Bは、馬蹄形/斜方向ピボットポイント170を有する弁フレーム120の実施形態を使用時の形態で横から見た図である。この透視図法によって、この実施形態の第1および第2リング部材121,122が、単純なリングではなく、「波打っている(wavy)」ことがわかる。
図4Bの第1および第2リング部材を、
図2に示されている実施形態と対比されたい。マスト上のリングシャフト37も図示されている。それでもやはり、
図3A〜4Bの実施形態のリング部材121,122は、折り畳まれた送達時の形態において、互いに、そしてマストに対して実質的に共線状となる。
【0047】
マスト25,28a、28bは、弁モジュールを経皮的に送達するために、実質的に線状のリング部材21,22,121,122およびマストが同じ概略方向に配向されて、実質的に共線状の弁フレームを形成するように折り畳まれて、
図5に示すように、弁小葉15とともに、ガイドワイヤー86の周りに螺旋状に巻き付けられる。弁モジュールを折り畳むこの方法は、ガイドワイヤー86が螺旋状になった線状の弁フレームと弁小葉の中央を通過することを可能にする。ガイドワイヤー内腔は、カテーテル85を通って延び、弁モジュール10は、ガイドワイヤー内腔またはガイドワイヤーの周りに折り畳まれて、
図6Aに示されているように、弁モジュールの送達のためカテーテル85(図示のため、透明なチューブとして表されている)に装入されるものとすることができる。弁モジュール10が展開されるとき、弁フレームによって、弁モジュールの展開(
図6B)と略丸い形状の形成(
図7C,7D参照)が容易になされることになる。マストの、リング部材上で折り畳まれて実質的に共線状の弁フレームを形成する機能が、弁フレームの、ひいては弁モジュールの、送達径の最小化に役立っている。
【0048】
支持モジュールは、
図14B,14Dに示されているように(
図7A−B,8A,10Aも参照)、支柱またはフィラメントによって画成される複数のセルを有する。複数のセルは、
図14B(
図10A〜B,14C〜Dも参照)に示されているように、以前植え込んだモジュラー式弁をもつ患者において必要とされる可能性のある血管治療処置を受容するための一ないし複数の大セル43を有する。大セル43は、たとえば、カテーテルを冠状動脈内に導くために、植え込まれた弁を通る通路を提供する。
【0049】
展開時には、支持モジュールは、弁輪(あるいは、たとえば、大動脈弁の置き換えにおける左心室の開口部)に、生来の弁小葉を除去しない場合にはそれを押しつけながら係合して、弁輪内にしっかりはまって、たとえば弁を通流する流体の圧力または閉じた弁へのその衝撃から、弁モジュールが内腔中でずれることなく、所望の位置から移動してしまわないものでなければならない。支持モジュールは、狭窄弁の開口を拡げるものであってもよい。一実施形態において、支持モジュールの形状は、径が一定の環状であるが、弁を植え込む位置の内腔の断面形状によって、他の形状であってもよい。したがって、たとえば、その拡張された形態において、支持モジュールは、その縦軸方向に沿って径が均一でないものであってもよい。支持モジュールの遠位端部と近位端部の径は同じであってもよく異なっていてもよい。
図14Bに示した一実施形態において、支持モジュールは、近位端部および遠位端部よりも中央領域で小径になるようにすることができる。そのような実施形態では、支持モジュールの中線を通る縦断面が、砂時計またはドッグボーン(犬用の骨)の形状となる。そのような形状とすることで、支持モジュールを弁輪内に固定(seating)しやすくなる、および/または、生来の解剖学的組織に対する弁のシーリング性能を向上させることができる。
【0050】
図7A〜Eに示されているように、本発明のシステムは、デバイスモジュールをその薄型の送達時の形態(その形態からデバイスモジュールが展開できる)でデバイスモジュールを送達するための、カテーテル85などの送達デバイスを含む送達システム87を有する。また、このシステムは、本発明のモジュラー式弁デバイスを展開し組み立てるために使用するアセンブリーワイヤー80と推進部材81とをさらに含んでいる。
【0051】
本発明の弁デバイスは、弁モジュールを拡張させた支持モジュールにロックするよう設計された複数セットのロック部材を含むものとすることができる。さまざまなロック部材のうち任意の部材を使用して弁ジュールを支持モジュールにロックすることができる、あるいは、組み立てられていない弁モジュールの端部を互いにロックするために使用することができる。そのようなロック部材の例が、ここに引用により補充する米国特許出願公開第2010/0185275号(A1)のパラグラフ83〜111,113および
図7,7A,8A〜14Cに詳細に記載されている。以下にさらに詳しく記載する新規なロック部材が好ましい。ロック部材は、各セットがそれぞれ第1ロック部材および第2ロック部材を有するものとすることができる。ロック部材セットの第1ロック部材は、弁フレームのマストのうちの一つに取り付け、ロック部材セットの第2ロック部材は、支持モジュールに取り付けることができる。各セットの第1および第2部材は、互いに周方向に整列させてあり、好ましい実施形態においては、ワイヤーガイドが第1ロック部材と周方向に整列させてある。
【0052】
第1および第2ロック部材は、スピアと、内腔を有する対応するシャフトとを有し、スピアは、第1スピア端部および第2スピア端部を、そして第1スピア端部にスピアヘッドを有し、スピアヘッドは、アイレットおよび長孔を有するものとすることができる。したがって、本発明の新規なロック部材を使用する一実施形態において、支持モジュール40は、その遠位端部42に複数のスピア45,145を有し、このスピアは、複数のシャフト35,135,136と整列するよう設計されている。
図8A〜B,9A〜B,10A〜Bにおいて、シャフト35,135,136またはリングシャフト37は、弁フレームのマスト25,28a,28bに配置されている。他の実施形態において、シャフト35,135,136またはリングシャフト37が、弁フレームの一ないし複数のリング部材21,22上に配置されていてもよく、あるいは、シャフト35,135,136またはリングシャフト37がマストおよびリング部材を組み合わせたものの上に配置されていてもよい。ロック機構のスピアとシャフトを有する実施形態について、概要を、
図8A〜B、9A〜Bの非限定的実施形態を参照しつつ説明することができる。各スピア45は、アセンブリーワイヤー80を通すことができるアイレット46を有するものであってもよい。
図8B,9B参照。代替的に、アセンブリーワイヤー80は、図示せぬ支持モジュールの一部を通すものであってもよい。
【0053】
他の実施形態において、スピア45を、スピアヘッドが弁モジュールの近位端部にくるよう、弁フレーム上に配置し、シャフト35,135,136および/またはリングシャフト37を支持モジュール40上に配置してもよい。そのような実施形態において、弁モジュールは、以下に詳細に説明するように、アセンブリーワイヤーに沿って支持モジュール内へ推進部材(pusher members)を利用して押し込んでもよく、支持モジュール内に引き込んでもよい。
【0054】
スピア45は、弁モジュールが支持モジュールの遠位端側から外へ移動することを防ぐことで弁モジュールを支持モジュールにロックする幾何学的形態を有するスピアヘッド47を含むものとすることができる。
図8A〜Bに示されているように、スピアヘッド47は、可撓性部分(この実施形態では「凧」のように設計されている)を有する。スピアヘッド47は、シャフト35を、推進部材81(前記
図7D,7E参照)を用いて、スピア45のスピアヘッド47に被せてゆっくりと動かせるように、曲がるように形成されている一方で、シャフト35が遠位端側へ滑って戻ってしまうことを防ぐことで、弁モジュールを支持モジュールにロックするようになっている。他の幾何学的構成を採用することも可能で、たとえば、ダイヤモンド形、円形、鏃形、リベット形、鉤形、ボール/球状など一方向の移動を可能にする同様の形状が挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0055】
アセンブリーワイヤー80が、
図8A〜8Bに、スピア45のアイレット46を通して巻き掛けてあることが示されており、シャフト35が、スピア45の遠位端部の凧型スピアヘッド47と近位端部側のスピアクロス49の間にロックされていることが示されている。代替的に、アセンブリーワイヤーは、一つのスピアのアイレットを通し、支持モジュールの一部の周りに沿わせ、さらに隣接するスピアのアイレットを通して、巻きつけてもよいし、あるいは、たとえば隣接するスピアに対応するシャフトと結びついている別のワイヤーガイドを通してバックアップされた2つの隣接するスピアを通して巻きつけてもよい。そのような構成によって、弁モジュールを支持モジュールに案内するために必要なアセンブリーワイヤーの数が減少する。さらに他の代替実施形態においては、アセンブリーワイヤーは、ここに引用により補充する米国特許出願公開第2011/0172784号(A1)に一態様として記載されているように、支持モジュールの一部を通して巻きつけてもよい。
【0056】
弁フレームが分割マストを有する場合、分割マストは、一対のシャフト、すなわち、
図9Aに示されているように、分割マスト(図中見えない)の片割れ第1部分上の第1シャフト135と、分割マストの片割れ第2部分28b上の第2シャフト136と、を有する。このように、第1および第2シャフト135,136をスピアヘッド47に被せてゆっくりと動かされると、第1および第2シャフト135,136は同時に弁モジュールを閉じ、筒状の使用時の形態を形成する。
図8Bのように、
図9Bに示されているスピアヘッド47を備えるスピア45は、戻り止めとしてのスピアクロス49を有しており、弁モジュールが支持モジュールの中で近位端部側へ心臓に向かって移動しないようになっている。もっとも、
図9Bでは、スピアクロス49に当接してシャフトをスピア45上に「固定(seat)」させるのはワイヤーガイド30であってシャフトではない。
【0057】
図10A〜Bに示されているスピア−シャフトロック部材の他の実施形態においては、スピアがハイブリッドスピア50であって、弁モジュールを支持モジュールにロックするためにリングシャフト37をハイブリッドスピア50に被せてゆっくりと動かすものとすることができる。ハイブリッドスピア50の一実施形態の詳細が
図11A〜Cに示されており、その主たる構成要素は離間させたセグメントと溝である。ハイブリッドスピア50は、セグメント51a,51bと溝53を有し、セグメント51a,51bは長孔54により分かたれており、その長孔54によって、リングシャフト57が被さってスライド移動する際にセグメント51a,51bが互いに近づく方向にわずかに撓むことができるようになっているとともに、溝53の中にリングシャフト37が到達し留置されることでリングシャフト37がハイブリッドスピア50上にロックされる。
図11A〜Cに示されている実施形態では、2つのセグメントがあるが、3つ以上のセグメントを有するハイブリッドスピアは本発明の範囲に属する。
図11Aに、アイレット52、セグメント51a,51bおよび溝53を示す。
図11Bは、リングシャフト37をハイブリッドスピア50に被せてゆっくりと動かしているようすを示している。
図11Cには、リングシャフトがハイブリッドスピア50の溝53(図中リングシャフトで見えない)にセットされ、それによって弁モジュールが支持モジュールにロックされているようすが示されている。
【0058】
図12A〜Bおよび13A〜Bに示されているロック部材のさらに別の実施形態においては、片側ハイブリッドスピア60が、スピアヘッド61と、ステム領域68とを有し、複数のリングシャフト66,67および/またはシャフト65a,65bと協働して弁モジュールを支持モジュールにロックする。スピアヘッド61は、長孔64で隔てられた2つのセグメントと、それらのセグメントの内の一つの外縁部に一つ設けられた溝63と、アイレット62とを有する。片側スピア60のスピアヘッド61は、ステム68よりも小径であり、および/または、アイレット62が配置された側である第1の端部から溝63に向かってテーパー状とすることができるが、片側でフレア状になっていて
図12B,13Bに見える溝63のすぐ上の楔形を形成している。この楔形箇所におけるスピアヘッド61の径または幅は、ステム68の径または幅より大きくなることはない。スピアヘッド61の最上部にあるアイレット62に、アセンブリーワイヤーを通すことができる。
【0059】
図12A〜Bに、マスト25に取り付けられているリングシャフト66および67内にロックされた片側スピア60(単溝スナップロック)が示されている。
図12Aには、スピア60のステム領域68上の下側(第1)リングシャフト66と、スピアヘッド61の溝63内の上側(第2)リングシャフト67が示されている。スピア60は、ステム領域68の基部に、下側第1リングシャフト66がスピア60に被さって前進するのを制限するスピア止め69を有する。
図12Bは、各端部において接合し孔64を画成する2つのセグメントを含むスピアヘッド61の構造を表す破断図である。セグメントの内の一方の外縁部には溝63がある。また、
図12Bには、下側および上側リングシャフト66,67の内部構造も図示されている。リングシャフト66,67は、内腔が、スピア60が嵌合するのに充分な大きさの径を有する。第1リングシャフト66の内腔径は、ステム領域68の幅と略同じである。第2リングシャフト67の内腔径は、ステム領域68の幅よりも小さく、スピアヘッド61の溝63のある箇所の幅ないし径と略同じなので、スピア60の単溝63内にロック可能である。
【0060】
片側スピア60は、
図13A〜Bに示されているような、分割マスト128a,128b上のシャフトと組み合わせると特に有益である。
図13A〜Bのスピア60は、
図12A〜Bのスピア60と同じだが、シャフトが異なっていて分割マスト128a,128bを収容できるようになっている。
図13Aに示されているように、分割マスト128aには、シャフト65aおよびリングシャフト67を取り付けることができ、分割マスト128bには、シャフト65bを取り付けることができ、これらシャフト65a,65bおよびリングシャフト67のすべてを、スピア60に被せてスライド移動させることで、弁モジュールの側部をまとめてロックし、弁モジュールを支持モジュールにロックすることができる。
図13Bは、
図12Bと同様、スピアヘッド61の構造―すなわち、孔64を画成する2つのセグメントと、セグメントの一方の外縁上に形成された溝63―を見せる破断図である。また、
図13Bには、シャフト65a,65bおよびリングシャフト67の内部構造も図示されている。シャフト65a,65bの内腔径は、スピア60のステム領域68の幅ないし径と略同じである。リングシャフト67の内腔径は、ステム領域68の幅ないし径よりも小さく、スピアヘッド61の溝63のある箇所の幅ないし径と略同じなので、スピア60の単溝63内にロック可能である。この実施形態の一態様において、リングシャフト67とシャフト65bは、分割マストの片割れ部分の一方128b上に配置することができ、シャフト65aは、分割マストの片割れ部分の他方128a上に配置することができる。代替態様においては、
図13A〜Bにおいてリングシャフト67として図示されているものを、シャフト65aの内径が小さい領域に置き換えて分割マストの片割れ部分の一方128aに配置し、シャフト65bを、分割マストの片割れ部分の他方128bに配置するのでもよい。分割マスト128a,128bとともに、シャフトおよびリングシャフトの他の組み合わせを採用することができるが、すべてのリングシャフト/シャフトは、単溝63内に嵌合するものを除き、スピア60のステム領域68に被せてスライド移動するのに充分な大きさの径を有するものである。
【0061】
単溝・片側スピア60をマスト25または分割マスト128a,128bとともに採用するどちらの実施形態においても、スピアヘッド61の楔形またはフレア状部分の最大幅/径は、ステム領域68の幅/径以下であり、長孔68が、応力がかかったときにスピアヘッド61の少なくとも一つのセグメントが他セグメント側に撓むことを可能にする役割を担っている。したがって、内腔径が大きいシャフトまたはリングシャフト65a,65b,66は、長孔63に向かってスピアヘッドのセグメントを撓ませることなく、スピアヘッド61上を容易にスライド移動することができる。対照的に、内腔径が小さいリングシャフト67(または、シャフトのリングシャフト部分)は、少なくとも、フレア状または楔形部分を有するスピアヘッド61のセグメントを撓ませ、続いて、リングシャフト67を溝63内に留置させる。より詳しくは、内腔径が大きい下側シャフトである第1リングシャフト66は、最初にスピア60に被せてゆっくりと動かされるが、推進器81上に押し進む。長孔64の両側のセグメントは、第1リングシャフト66の内腔径に鑑みると、第1リングシャフト66が被せられてスライド移動するときに撓むことがない。そして、内腔径が小さい上側リングシャフトである第2リングシャフト67は、推進器81を用いてスピアヘッドに被さって押し進められる。スピアヘッドの長孔64は、長孔64の少なくとも、楔形部分が配置された一方側のセグメントが撓むことを可能にしているので、第2リングシャフト67は、テーパー状部の最大フレア部分、すなわち楔形部分を越えて押し進められることが可能である。第2リングシャフト67の内腔径は溝63の幅にぴったりと適合するよう設計されており、第2リングシャフト67は、片側ハイブリッドスピア60の単溝63内にスナップ嵌合する。
【0062】
片側スピア60を、たとえば
図10A〜Bおよび11A〜Cに示されているようなハイブリッドスピアに被せたリングシャフト67およびシャフト65a,65b,66と組み合わせることの利点は、スピアとシャフトの両方に対して外径を小さくすることができ、それによって、弁モジュールの外形全体が小さくなることである。また、スピアをシャフトに通して押し進めるのに必要な力が小さくて済むという利点もある。
【0063】
ロック部材として、シャフトおよびリングシャフトは、スピアと相互に作用しあって弁モジュールを支持モジュール内に固定して両デバイスモジュールを一体にロックするよう設計され、および/または、弁モジュールの第1の端部および第2の端部を閉じるよう設計されている。スピア、シャフトおよびリングシャフトの多様な組み合わせが採用可能である。他のロック部材を、本明細書に記載したスピアおよびシャフトに置き換え、あるいは、それらと組み合わせて、使用することができる。同様に、推進器を、弁部材をアセンブリーワイヤーに沿って前進させることに加えてロック部材と係合するために使用してもよい。
【0064】
特定の実施形態において、ワイヤーガイドは、追加機能を有するものであってもよい。弁モジュールを支持モジュール内に前進させ、ロック部材に係合させるために推進器が用いられる場合、第2リング上のワイヤーガイド31は、推進器が力を加える面を提供するものとすることができる。この目的のためにワイヤーガイドを使用することで、次のような非限定的利点、すなわち、小葉組織の損傷回避および/または推進器のリング面からの脱落防止といった利点が提供される。同様に、シャフトが弁モジュール上に配置されている場合には、シャフトの遠位端部を、推進部材が弁部材を押す面として利用してもよい。一部の実施形態においては、ワイヤーガイドを、シャフトを完全にスピアに係合させるとスピアクロスに対する「台座部(seat)」として機能するものとすることもできる(たとえば、
図9B参照)。
【0065】
図7A〜Eに戻ると、これらは、本発明のシステムを図示するものであり、本発明のモジュラー式弁デバイスを展開し組み立てる方法が示されている。この実施形態においては、アセンブリーワイヤー80を、ワイヤーガイド31を通し、スピアのアイレットを通して巻き掛けて二重にすることで、送達システムにデバイスモジュールを装入する前に、アセンブリーワイヤー80を、ワイヤーガイドを通した二重ワイヤーとする。
図8A〜B,9A〜Bおよび10Bを参照されたい。このように、支持モジュール40が展開され、拡張され、弁の植え込み位置に固定された後に、弁モジュール10を、送達デバイスから展開し、広げて、アセンブリーワイヤー80に沿って支持モジュール40に向かわせその内部に入るようにさせることができる。
図7A〜Eを参照のこと。他の実施形態において、アセンブリーワイヤーを、一つのスピアのアイレットに通し、支持モジュールを回り込んで他のスピアのアイレットに通し、他のワイヤーガイドを通してバックアップされるものとしてもよい。そのような構成とすることで、必要なアセンブリーワイヤーの数が減少し、アセンブリーワイヤーの一端部で引っ張って取り外す能力が維持される。
【0066】
推進部材81は、アセンブリーワイヤー80上をスライド移動させて弁モジュール10をアセンブリーワイヤー80に沿って押すために使用することができる。推進部材81は、たとえば、アセンブリーワイヤー80が中に通されるとともに送達システム87を介して操作できる中空の管とすることができる。推進部材81は、カテーテルから弁モジュールを展開するために、および/または、弁モジュール10の組み立てを補助し支持モジュール40にそれをロックするために、使用することができる。これらの用途の内いずれにおいても、アセンブリーワイヤー80は張力がかかった状態で保持され、弁モジュール10が、レール上を滑るように、アセンブリーワイヤー上を滑動可能である。ワイヤーガイド31は、弁モジュール10を支持モジュール40に対して向きを揃えるためだけでなく、推進部材81と連携して弁モジュール10と支持モジュール40を接続する/取り付けるために使用することができる。
【0067】
図示せぬ他の実施形態においては、各スピアとそのアイレットが、当該スピアの近位端部にスピアヘッドを設け、弁モジュール上に配置されていてもよく、シャフトが支持モジュール上に配置されていてもよい。この実施形態では、カテーテルを、支持モジュールを通って前進させ、支持モジュールの近位端部41(
図10A参照)を通過させて、アセンブリーワイヤー上を引っ張るために利用してもよく、それによって、弁モジュールを支持モジュールの中に、スピアをシャフトの中に引き込むことができる。さらに別の実施形態においてはスピアが弁モジュール上に、シャフトが支持モジュール上に配置されるものとし、方法が、支持モジュール40の近位端部41を超えてカテーテルを前進させ、アセンブリーワイヤー80を(場合によって推進部材65も)利用して弁モジュール10を支持モジュール40に向かって引き込むことを含むものとしてもよい。
【0068】
弁モジュールと支持モジュールが組み立てられて一体にロックされると、各アセンブリーワイヤー80は二重ワイヤーなので、アセンブリーワイヤー80の一方の端部が引っ張られて、アセンブリーワイヤーを植え込みと組み立てが済んだ弁デバイスから外すことができる。
【0069】
本発明のシステムを用いてモジュラー式デバイスを展開し組み立てる方法は、以下のように進行する。すなわち、送達デバイスを、その遠位端部が選択された位置、たとえば弁植え込み位置、の近傍にくるように前進させ、支持モジュールを送達デバイスから展開し、(支持モジュールが自己拡張型でない場合)当該選択された位置において支持モジュールを拡張させ、弁モジュールを送達デバイスから展開し、弁モジュールを、推進部材を用いて、アセンブリーワイヤーに沿って支持モジュールに向けて前進させ、複数のシャフトをそれぞれ対応するスピアを覆うように移動させて弁モジュールを支持モジュールにロックする。前記移動させるステップは、分割マストの第1および第2シャフトをスピアに被せて移動させ(あるいはスピアとシャフトのデバイスモジュール上の配置が逆の場合であれば、スピアをシャフトの中に移動させ)て使用時の形態の弁モジュールを形成することを含んでいてもよい。他の実施形態において、弁モジュールは、支持モジュールの前で展開されて、支持モジュールが生来の弁輪内に固定された後で支持モジュールの中に前進させてもよい。この代替実施形態の方法では、支持モジュールを含むカテーテルを、展開された弁モジュールを通して前進させて展開させてもよく、カテーテルをさらに前進させてから弁モジュールを支持モジュール上に引っ張るか、カテーテルを引っ込めて推進器を用いて弁モジュールをアセンブリーワイヤーに沿って支持モジュールまで滑らせてもよい。
【0070】
図7Aに示されているように、支持モジュール40は展開されて脈管90(図示の都合上、血管は透明なチューブとして示されている)内の選択された位置で拡張されており、カテーテル85は引き抜かれ弁モジュール10の展開するスペースを提供している。アセンブリーワイヤー80はぴんと張られており、たとえば張力をかけた状態にある。
図7Bには、折り畳まれた弁モジュールがカテーテル85から展開されているようすが図示されており、第1リング部材21に弁小葉が取り付けられているのが見える。
図7Cにおいては、弁モジュールが展開され広げられているが、まだ使用時の形態ではない。第1リング部材21、第2リング部材22、マスト25、分割マストの第1および第2の片割れ部分28a,28b、そして弁小葉15が見える。アセンブリーワイヤー80は、支持モジュール40との間でぴんと張られ、弁モジュールの図示せぬワイヤーガイドを通ってカテーテル85の中まで達しているのが図示されている。
図7Dには、推進部材81が送達システム87から展開され、アセンブリーワイヤー80が依然として張力をかけた状態にあるようすが示されている。
図7Dおよび7Eは、弁モジュール10を支持モジュール40の中に押し込む際にどのように推進部材81を用いることができるかを示している。
【0071】
特定の実施形態において、展開されて折り畳まれていない弁モジュールが、アセンブリーワイヤーを介して支持モジュール内に引き込まれる際の方法は、さらに、送達デバイス、たとえばカテーテルを、展開された弁モジュールおよび展開され拡張された支持モジュールを介して、遠位端側に、支持モジュールの遠位端ポイントまで(すなわち、支持モジュールの近位端部を越えて)前進させること、および、アセンブリーワイヤーを引っ張ることをさらに含むものとしてもよい。シャフトをスピアのスピアヘッドに被せて引っ張り、アセンブリーワイヤーをさらに引っ張ることでシャフトおよびスピアを係合させるものとしてもよい。代替的に、推進器を用いて、弁モジュールを支持モジュールの中に、シャフトをスピアヘッドに被せて、引っ張るものとしてもよい。方法のこの態様においては、推進器を、カテーテルの遠位端部を越えて、すなわち、支持モジュールの近位端部を充分に越えて、延出させている。このように推進器を前進させることで、ぴんと張られたアセンブリーワイヤーを効果的に引っ張り、それによって、弁モジュールを支持モジュールの中に引き込み、シャフトをスピアヘッドに被せて引っ張るなど、ロック部材のロックが可能になる。そのような実施形態では、スピアは、弁フレーム上に配置され、スピアヘッドは弁モジュールの近位端部に、シャフトおよび/またはリングシャフトは支持モジュール上に配置させることができる。
【0072】
図14A〜Dは、本発明の弁モジュールおよび支持モジュールの構造を示すために提示されている。
図14Aは、本発明による弁モジュール用の弁フレーム20の実施形態を示す写真に基づく概略図である。弁フレーム20の詳細が、弁小葉を取り付けていない状態で描かれている。この実施形態において、弁フレーム20は、第1リング部材21、第2リング部材22、分割マスト片割れ部分28a,28bとピボットポイント70を有する分割マストを含む複数のマスト25を有する。この実施形態において、第1リング部材21は、第2リング部材22よりも、幅は(縦方向において)広いが、径方向の厚みは同じである。また、第1リング部材21上にある複数の第1ワイヤーガイド30の一つおよび第2リング部材22上にある複数の第2ワイヤーガイド31の一つも図示されており、第2ワイヤーガイド31には、推進部材が押す面(図示されているように、平面である)がある。ロック部材の例も示されている。具体的に、第1および第2リングシャフト37a,37bが各マスト25状に配置され、第1シャフト部材135が第1分割マスト片割れ部分28a上に、第2シャフト部材136が第2分割マスト片割れ部分28b上に配置されている。
【0073】
図14Bおよび14Cは、本発明による支持モジュール40の実施形態を示す写真に基づく模式図である。これら特定の実施形態は、上述のように、スピア45と、一ないし複数の大セル43とを含んでいる。大セル43は、好ましくは、冠状動脈に隣接して留置され冠状動脈に連絡する通路を提供することができるよう植え込まれて大動脈弁の代わりになることが意図されている実施形態における支持モジュールの遠位端部に配置されている。他の実施形態においては、大セル43の位置とそれらのサイズは、弁デバイスの植え込み後にカテーテルの利用が望まれる可能性のある脈管の位置とサイズを許容するように調整することができる。
図14Bに図示された支持モジュール40の実施形態は、近位端部分や遠位端部分よりも中央部分が小径の、たとえば、上述のような「砂時計」の形をしている。
図14Cに図示された支持モジュール40の実施形態は、その遠位端部がその近位端部よりも大径の、たとえば、「洋梨」の形をしている。
図14Cには、さらに、弁フレーム20が示されており、第1および第2リング部材21,22が、ハイブリッドスピア150とシャフトとリングシャフトの実施形態を用いて支持モジュール40にロックされている。弁フレームに取り付けられている弁小葉がないので、接続をより見やすくなっている。アセンブリーワイヤー80a,80bも示されており、特に、アセンブリーワイヤー80aが、ハイブリッドスピアのアイレットと第2リング22のワイヤーガイド31を通して巻き掛けられているようすが図示されている。
図14Dは、支持モジュール上のアイレット152を含むハイブリッドスピア150の実施形態の詳細を示す写真に基づく模式図である。支持モジュールの大セル43も示されている。
図14B〜Dのハイブリッドスピア150の実施形態は、
図11A〜Cに示したハイブリッドスピア50とは異なっているが、リングスピアと同様に作用する。
【0074】
本技術分野の通常のスキルを有する技術者であれば、本出願書類において実施形態を通じて特に図示および記載がなされた態様に、本発明の要旨または範囲から逸脱することなく、多くの変形や追加や改造、そして他の用途への適用をなすことができると理解するだろう。したがって、下記の特許項により定義された発明の範囲は、あらゆる予期可能な変形や追加や改造、そして他の用途への適用を含むものであることが意図されている。