特許第5904453号(P5904453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904453
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】芝刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/42 20060101AFI20160331BHJP
   A01D 34/47 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   A01D34/42 E
   A01D34/47
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-56548(P2012-56548)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-188168(P2013-188168A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095887
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿久保 伸一
(72)【発明者】
【氏名】立花 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩
(72)【発明者】
【氏名】中山 亜維
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−256554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/42
A01D 34/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝刈手段を備えた本体と、前記本体の後方かつ上方に伸びたハンドルと、前記本体を移動させるための車輪を有し、前記本体の後方に芝草捕集口を有する集草ケースが取付けられる芝刈機において、
前記集草ケースに、前記本体から取り外したときに作業者により把持される取手部と、前記芝草捕集口の開口面積を前記本体に取付け時の前記集草ケースの芝草捕集口面積より狭めることが可能な可動案内手段と、前記可動案内手段を動作させる操作部を設け、
前記操作部は前記取手部を把持した手で操作可能なように前記取手部に設けられていることを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
前記可動案内手段は、前記芝草捕集口の下側に設けられた集草案内板であって、
前記集草案内板を捕集される芝草の流入方向と垂直な軸線上において回動可能な如く設け、前記集草案内板の回動により前記芝草捕集口の開口面積を狭めることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の芝刈機。
【請求項3】
前記操作部は前記可動案内手段を回動させるレバーであり、
前記レバーの操作を前記可動案内手段に伝達して前記可動案内手段を回動させる連結部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の芝刈機。
【請求項4】
前記レバーは、前記取手部にほぼ平行に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の芝刈機。
【請求項5】
芝刈手段を備えた本体と、前記本体の後方かつ上方に伸びたハンドルと、前記本体を移動させるための車輪を有し、前記本体の後方に芝草捕集口を有する集草ケースが取付けられる芝刈機において、
前記集草ケースに、前記本体から取り外したときに作業者により把持される取手部と、芝草の排出時の前記集草ケースの芝草捕集口面積前記本体に取付け時の前記集草ケースの芝草捕集口面積より大きくすることが可能な可動案内手段と、前記可動案内手段を動作させる操作部を設け、
前記操作部は前記取手部を把持した手で操作可能なように前記取手部に設けられていることを特徴とする芝刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭などの芝地の刈込みを行う芝刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芝刈機は、特許文献1にて開示されるように本体の斜め後方上部に前後方向に対して回転自在に枢支したハンドルを有し、ハンドルを保持して前方に押すようにして本体前方及び後方に配置した車輪により、本体を地面に沿って走行させ、車輪に配置している刈高装置により車輪を上下に移動させ、一定の高さに芝草を刈取るようにしている。電動モータ等の駆動源により回転さる刃によって芝草が刈られ、刈られた芝草は本体後方に配置された集草ケースに捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−177094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成された芝刈機は、集草ケースに捕集された芝草を定期的に捨てる必要があり、本体から集草ケースを外す際に刈られた芝草が集草ケースからこぼれたり、集草ケースに捕集された芝草をごみ袋に入れる際に芝草がこぼれたりするといった煩わしさがある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、芝草刈込作業時の刈られた芝草の集草ケースへの捕集を妨げることなく、集草ケースに捕集された芝草を捨てる際に集草ケースからの芝草のこぼれ防止を容易に行うことができる芝刈機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、芝草捕集口下部に集草案内板を回動可能な如く設け、集草ケースの取手部に設けられたレバーの操作により集草案内板の回動を制御することで芝草捕集口を選択的に狭めることを可能とすることで達成する。
【発明の効果】
【0007】
発明によれば、集草ケースの取手部に設けられたレバーの操作により芝草捕集口を選択的に狭めることを可能とする構成で、芝草刈込作業時の刈られた芝草の集草ケースへの捕集を妨げることなく、集草ケースに捕集された芝草を捨てる際に集草ケースからの芝草のこぼれ防止を容易に行えるなどの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る集草ケース7の側面図である。
図2】本発明の実施例に係る集草ケース7の正面図である。
図3】本発明の実施例に係る集草ケース7の集草案内板7aの動作を示す側面図である。
図4図3のノブ11およびレバー12の部分拡大図であり、一部を断面図で示した図である。
図5】本発明の実施例に係る芝刈機で刈り取り時の集草ケース7の状態を示す図である。
図6】本発明の実施例に係る集草ケース7の集草時の状態を示す側面図である。
図7】本発明の実施例に係る集草ケース7の取り外した時の状態を示す側面図である。
図8】本発明の実施例に係る集草ケース7の運搬時の状態を示す側面図である。
図9】本発明の実施例に係る集草ケース7の芝草の排出時の状態を示す図である。
図10】本発明の実施例に係る集草ケース7の芝草捕集口の開口面積を示す図である。
図11】従来のリール式芝刈機の側面図であって一部を断面図で示す図である。
図12】従来のリール式芝刈機の側面図であって一部を別位置の断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。本実施例の係る芝刈機を説明する前に、まず図11及び図12を用いて従来の芝刈機の構造を説明する。図11は従来のリール式芝刈機の側面図であって一部を断面図で示す図である。
【0010】
芝刈機は、芝地などの芝刈りを行なう本体1と、集草ケース107と、操作者が把持するハンドル3と、ハンドル3に接続される主棹部10と、芝刈機全体を移動させるための前車輪4、後車輪5等を備えている。図11に示す芝刈機は、いわゆる手押し式の芝刈機であり、芝を刈る際には前方へと押し進めながら作業を行う。
【0011】
主棹部10は、軽量で丈夫な材料によって中空棒状に形成され、ハンドル3と本体1とを接続する。主棹部10は、ハンドル3と内部で連通配設されている。また、主棹部10は、本体1に対して回転可能に取付けられており、操作者は、収納時には主棹部10を起立させておくなど、利用状況に応じて主棹部10を前方向に回動させることができる。
【0012】
本体1は、主棹部10の前端に連結されたハウジング2と、動力を出力するモータ6と、前車輪4の回転軸が上下に移動可能な刈高装置14と、後車輪5とを備える。モータ6は、ハウジング2に内蔵されている。モータ6には、ハンドル3に接続された電源コード8を介して外部電源から電力が供給される。ハウジング2の後方側には、刈り取られた芝草を捕集するための集草ケース107が設けられる。集草ケース107は、本体1に対して着脱可能であって、作業者は取手111をもって集草ケース107を本体1から取り外して、内部にたまった芝草を廃棄することができる。
【0013】
回転可能な如く本体1に取付けられた回転刃16は、回転刃16との間隙を調整可能な如く本体に固着された固定刃17と、回転刃16とで芝草を挟むことによって芝草を刈取る構造となっている。図12図11と同様リール式芝刈機の側面図であるが、一部を図11とは別位置の断面図で示している。モータ6からの動力は、モータ6の先端に固着取付けられた駆動プーリ18と、回転刃16の先端固着取付けられた従動プーリ19がベルト20を介して回転し、刈られた芝草は回転刃16により後方へ飛ばされ、本体後方に配置された集草ケース107内に捕集される。回転刃16は駆動軸21によって本体1に固定される。集草ケース107は、空気だけを通過させ芝草だけを捕集するように、例えば布製又はメッシュ状の部材にて製造される。
【0014】
次に本発明の実施例に係る芝刈機の集草ケース7を図1図2を用いて説明する。図1は本実施例に係る集草ケース7の左側面図であり、図2はその正面図である。集草ケース7は、図11図12で示した集草ケース107に代えて芝刈機に装着するものである。集草ケース7は、回転刃16によって刈られた芝草が、回転刃16の回転力によって又はブロア等の風力によって後方に飛ばされ、前方から後方に向けて集草ケース7内に流入する。集草ケース7の前方側は、芝草を集草ケース7内に入れる為の開口部(芝草捕集口)になっている。集草ケース7の特に後壁面は、空気を透過するものの芝草は透過させない布や網等の材質で構成することが重要である。
【0015】
集草ケース7の芝草捕集口下部には捕集口部から突出した集草案内板7aが回動軸Mを中心に回動が可能となるように設けられる。この回動軸Mは芝草の流入方向と垂直な水平方向になるように配置された金属製又は合成樹脂製の平板により構成された可動案内手段であって、本実施例では集草ケース7の底面7bの前端付近に位置するように配置される。回動軸Mは、芝草の流入方向と垂直な水平方向に設けるのが好ましく、回動軸Mの上下方向位置は、底面7bと同じ位置であっても良いし、底面7bよりもやや上方に設けるように構成しても良い。さらに集草ケース7には、集草ケース7の取付け取外しを行うために手で握れるようにノブ11が集草ケース7に固着取付けられている。ノブ11は握り部となるもので、ノブ11の下側には集草案内板7aの状態を変化させる操作部となるレバー12が設けられる。図2に示すようにレバー12は前板12aと接続され、前板12aには捕集口の外周縁にそって配置された連結部材13が接続さられる。
【0016】
図3は本実施例に係る集草ケース7の集草案内板7aの動作を示す側面図である。集草ケース7の上部には、レバー12がノブ11の握り部と概ね平行に取り付けられ、レバー12の引き離し(上下方向の移動)により連結部材13は集草ケース7の上下方向と概ね平行に移動可能となる。然るに、図3の矢印に示すようにレバー12を握ることによりレバー12を上方向に移動させると、レバー12に接続される連結部材13が矢印のように上方に移動する。連結部材13の下端部分は集草案内板7aの下側であって、回動軸Mよりもやや前方側の位置に配置されるので、連結部材13を上方向に操作することで、集草案内板7aを回動軸Mを中心として角度αの範囲で移動させることができる。
【0017】
図4図3のノブ11およびレバー12の部分拡大図であり、一部を断面図で示した図である。ノブ11を握ってレバー12を移動させることにより、集草案内板7aの回転の抑制を行うことが可能となる。レバー12は回転可能かつ一方向にスプリング9で付勢され、ノブ11の握り部と概ね平行に取り付けられる。連結部材13は、レバー12の長穴溝と嵌合しており、集草ケース7の前方側開口部周縁を上下方向に概ね平行に移動可能とされる。
【0018】
集草ケース7は、本体1に装着されると図5に示すように本体1に取り付けられた保持部15により集草案内板7aは集草ケース7の底部と概ね平行な状態になるように保持される。この平行な状態においては図3の仰角αはほぼ0である。芝刈り作業を行うことにより集草ケース7に芝草が溜る。集草ケース7の内部に芝草が溜まったら、作業者は集草ケース7を本体1から取り外して芝草の排出を行う。この芝草の排出を行う場合に、レバー12を引いて集草案内板7aを上方向に回転させる(図3のような仰角αとする)ことで捕集口を狭くし、芝草を捕集口付近で挟み込むことができる。従い、集草ケース7の本体からの取り外し時に、芝草のこぼれが防止でき、さらに捕集口を下向きにしても集草ケース7からの芝草のこぼれも防止できるため、ごみ袋等所定の場所への芝草の排出が確実に行える。この状態を示すのが図6図8である。
【0019】
図6は本実施例に係る集草ケース7の集草時の状態を示す側面図である。一般に、手押し式電動芝刈機の集草ケース7は、製品本体が大きくなるため前方捕集口の大きさが規制され、また芝草の刈込時に人の足と干渉するために前後方向の長さも規制されるが、芝草の排出回数を減らしたいため大型としたい。よって、一般に前方捕集口より後方が大きくなる形状となっている。しかしながら、前方捕集口より後方が大きくなるということは集草ケース7の内部に芝草が効果的に入りにくいということになる。そこで本実施例では集草案内板7aが水平の状態として集草ケース7の内部に刈り取った芝草が入りやすいようにした。このようにして集草ケース7の内部が刈り取った芝草で一杯になった際には、本体1から集草ケース7を取り外す。
【0020】
図7は、本実施例に係る集草ケース7の取り外した時の形態を示す側面図である。作業者はノブ11を握ってレバー12を上方に引き上げることより、集草案内板7aが回動軸Mを中心に回動して芝草捕集口の開口面積が小さくなるようにした。これにより、芝草で満杯になった集草ケース7は前方捕集口がさらに小さくなるために、集草ケース7を下向きにしても芝草が排出され難くなり、運搬時において集草ケース7からの芝草のこぼれを効果的に防止できる。図8は本実施例に係る集草ケース7の運搬時の状態を示す側面図であって、仮に集草ケース7の前方捕集口が下向きになるように傾けた場合の状態を示す。この状態であっても前方側(図8の状態では下端側)に位置する芝草が、集草案内板7aの回動によって押しつぶされた状態であって、しかも芝草捕集口の開口面積が小さいために芝草が下方向に落ちにくくなる。
【0021】
図9は本実施例に係る集草ケース7の芝草の排出(投棄)時の状態を示す図である。図9に示すように本集草ケース7では、作業者はごみ袋等所定の場所への芝草の排出時にはレバー12を離すが、それによって集草案内板7aは集草ケース7の回動軸Mを中心に、底部より角度βまで回転する。このように集草案内板7aを水平時から両方向に回動可能としたため、捕集口を下向きにして芝草の排出を行う場合には、捕集口の面積が大きくなることで芝草の排出が容易となる。
【0022】
図10は本発明の実施例に係る集草ケース7の芝草捕集口の開口面積を示す図である。図10(1)は芝刈時の捕集口の状態を示し、その開口面積は斜線部で示すようにXとなる。同様に(2)はレバー12引いた時であって、その開口面積はYとなる。さらに(3)はレバー12をノブ11から離した状態であって捕集口を下向にして芝草の排出時の状態であって、その開口面積はZとなる。図から開口面積X、Y、Zの関係が理解できるように、Y<X<Zの関係となり、一連の動作が確実かつ容易に行える構成となる。
【0023】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 本体 2 ハウジング
3 ハンドル 3a グリップ部
4 前車輪 5 後車輪
6 モータ 7 集草ケース
7a 集草案内板 7b 底面
8 電源コード 9 スプリング
10 主棹部 11 ノブ
12 レバー 12a 前板
13 連結部材 14 刈高装置
15 保持部 16 回転刃
17 固定刃 18 駆動プーリ
19 従動プーリ 20 ベルト
21 駆動軸 107 集草ケース
111 取手 M 回動軸
X、Y、Z 開口面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12