【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。本実施例の係る芝刈機を説明する前に、まず
図11及び
図12を用いて従来の芝刈機の構造を説明する。
図11は従来のリール式芝刈機の側面図であって一部を断面図で示す図である。
【0010】
芝刈機は、芝地などの芝刈りを行なう本体1と、集草ケース107と、操作者が把持するハンドル3と、ハンドル3に接続される主棹部10と、芝刈機全体を移動させるための前車輪4、後車輪5等を備えている。
図11に示す芝刈機は、いわゆる手押し式の芝刈機であり、芝を刈る際には前方へと押し進めながら作業を行う。
【0011】
主棹部10は、軽量で丈夫な材料によって中空棒状に形成され、ハンドル3と本体1とを接続する。主棹部10は、ハンドル3と内部で連通配設されている。また、主棹部10は、本体1に対して回転可能に取付けられており、操作者は、収納時には主棹部10を起立させておくなど、利用状況に応じて主棹部10を前方向に回動させることができる。
【0012】
本体1は、主棹部10の前端に連結されたハウジング2と、動力を出力するモータ6と、前車輪4の回転軸が上下に移動可能な刈高装置14と、後車輪5とを備える。モータ6は、ハウジング2に内蔵されている。モータ6には、ハンドル3に接続された電源コード8を介して外部電源から電力が供給される。ハウジング2の後方側には、刈り取られた芝草を捕集するための集草ケース107が設けられる。集草ケース107は、本体1に対して着脱可能であって、作業者は取手111をもって集草ケース107を本体1から取り外して、内部にたまった芝草を廃棄することができる。
【0013】
回転可能な如く本体1に取付けられた回転刃16は、回転刃16との間隙を調整可能な如く本体に固着された固定刃17と、回転刃16とで芝草を挟むことによって芝草を刈取る構造となっている。
図12は
図11と同様リール式芝刈機の側面図であるが、一部を
図11とは別位置の断面図で示している。モータ6からの動力は、モータ6の先端に固着取付けられた駆動プーリ18と、回転刃16の先端固着取付けられた従動プーリ19がベルト20を介して回転し、刈られた芝草は回転刃16により後方へ飛ばされ、本体後方に配置された集草ケース107内に捕集される。回転刃16は駆動軸21によって本体1に固定される。集草ケース107は、空気だけを通過させ芝草だけを捕集するように、例えば布製又はメッシュ状の部材にて製造される。
【0014】
次に本発明の実施例に係る芝刈機の集草ケース7を
図1、
図2を用いて説明する。
図1は本実施例に係る集草ケース7の左側面図であり、
図2はその正面図である。集草ケース7は、
図11、
図12で示した集草ケース107に代えて芝刈機に装着するものである。集草ケース7は、回転刃16によって刈られた芝草が、回転刃16の回転力によって又はブロア等の風力によって後方に飛ばされ、前方から後方に向けて集草ケース7内に流入する。集草ケース7の前方側は、芝草を集草ケース7内に入れる為の開口部(芝草捕集口)になっている。集草ケース7の特に後壁面は、空気を透過するものの芝草は透過させない布や網等の材質で構成することが重要である。
【0015】
集草ケース7の芝草捕集口下部には捕集口部から突出した集草案内板7aが回動軸Mを中心に回動が可能となるように設けられる。この回動軸Mは芝草の流入方向と垂直な水平方向になるように配置された金属製又は合成樹脂製の平板により構成された可動案内手段であって、本実施例では集草ケース7の底面7bの前端付近に位置するように配置される。回動軸Mは、芝草の流入方向と垂直な水平方向に設けるのが好ましく、回動軸Mの上下方向位置は、底面7bと同じ位置であっても良いし、底面7bよりもやや上方に設けるように構成しても良い。さらに集草ケース7には、集草ケース7の取付け取外しを行うために手で握れるようにノブ11が集草ケース7に固着取付けられている。ノブ11は握り部となるもので、ノブ11の下側には集草案内板7aの状態を変化させる操作部となるレバー12が設けられる。
図2に示すようにレバー12は前板12aと接続され、前板12aには捕集口の外周縁にそって配置された連結部材13が接続さられる。
【0016】
図3は本実施例に係る集草ケース7の集草案内板7aの動作を示す側面図である。集草ケース7の上部には、レバー12がノブ11の握り部と概ね平行に取り付けられ、レバー12の引き離し(上下方向の移動)により連結部材13は集草ケース7の上下方向と概ね平行に移動可能となる。然るに、
図3の矢印に示すようにレバー12を握ることによりレバー12を上方向に移動させると、レバー12に接続される連結部材13が矢印のように上方に移動する。連結部材13の下端部分は集草案内板7aの下側であって、回動軸Mよりもやや前方側の位置に配置されるので、連結部材13を上方向に操作することで、集草案内板7aを回動軸Mを中心として角度αの範囲で移動させることができる。
【0017】
図4は
図3のノブ11およびレバー12の部分拡大図であり、一部を断面図で示した図である。ノブ11を握ってレバー12を移動させることにより、集草案内板7aの回転の抑制を行うことが可能となる。レバー12は回転可能かつ一方向にスプリング9で付勢され、ノブ11の握り部と概ね平行に取り付けられる。連結部材13は、レバー12の長穴溝と嵌合しており、集草ケース7の前方側開口部周縁を上下方向に概ね平行に移動可能とされる。
【0018】
集草ケース7は、本体1に装着されると
図5に示すように本体1に取り付けられた保持部15により集草案内板7aは集草ケース7の底部と概ね平行な状態になるように保持される。この平行な状態においては
図3の仰角αはほぼ0である。芝刈り作業を行うことにより集草ケース7に芝草が溜る。集草ケース7の内部に芝草が溜まったら、作業者は集草ケース7を本体1から取り外して芝草の排出を行う。この芝草の排出を行う場合に、レバー12を引いて集草案内板7aを上方向に回転させる(
図3のような仰角αとする)ことで捕集口を狭くし、芝草を捕集口付近で挟み込むことができる。従い、集草ケース7の本体からの取り外し時に、芝草のこぼれが防止でき、さらに捕集口を下向きにしても集草ケース7からの芝草のこぼれも防止できるため、ごみ袋等所定の場所への芝草の排出が確実に行える。この状態を示すのが
図6〜
図8である。
【0019】
図6は本実施例に係る集草ケース7の集草時の状態を示す側面図である。一般に、手押し式電動芝刈機の集草ケース7は、製品本体が大きくなるため前方捕集口の大きさが規制され、また芝草の刈込時に人の足と干渉するために前後方向の長さも規制されるが、芝草の排出回数を減らしたいため大型としたい。よって、一般に前方捕集口より後方が大きくなる形状となっている。しかしながら、前方捕集口より後方が大きくなるということは集草ケース7の内部に芝草が効果的に入りにくいということになる。そこで本実施例では集草案内板7aが水平の状態として集草ケース7の内部に刈り取った芝草が入りやすいようにした。このようにして集草ケース7の内部が刈り取った芝草で一杯になった際には、本体1から集草ケース7を取り外す。
【0020】
図7は、本実施例に係る集草ケース7の取り外した時の形態を示す側面図である。作業者はノブ11を握ってレバー12を上方に引き上げることより、集草案内板7aが回動軸Mを中心に回動して芝草捕集口の開口面積が小さくなるようにした。これにより、芝草で満杯になった集草ケース7は前方捕集口がさらに小さくなるために、集草ケース7を下向きにしても芝草が排出され難くなり、運搬時において集草ケース7からの芝草のこぼれを効果的に防止できる。
図8は本実施例に係る集草ケース7の運搬時の状態を示す側面図であって、仮に集草ケース7の前方捕集口が下向きになるように傾けた場合の状態を示す。この状態であっても前方側(
図8の状態では下端側)に位置する芝草が、集草案内板7aの回動によって押しつぶされた状態であって、しかも芝草捕集口の開口面積が小さいために芝草が下方向に落ちにくくなる。
【0021】
図9は本実施例に係る集草ケース7の芝草の排出(投棄)時の状態を示す図である。
図9に示すように本集草ケース7では、作業者はごみ袋等所定の場所への芝草の排出時にはレバー12を離すが、それによって集草案内板7aは集草ケース7の回動軸Mを中心に、底部より角度βまで回転する。このように集草案内板7aを水平時から両方向に回動可能としたため、捕集口を下向きにして芝草の排出を行う場合には、捕集口の面積が大きくなることで芝草の排出が容易となる。
【0022】
図10は本発明の実施例に係る集草ケース7の芝草捕集口の開口面積を示す図である。
図10(1)は芝刈時の捕集口の状態を示し、その開口面積は斜線部で示すようにXとなる。同様に(2)はレバー12引いた時であって、その開口面積はYとなる。さらに(3)はレバー12をノブ11から離した状態であって捕集口を下向にして芝草の排出時の状態であって、その開口面積はZとなる。図から開口面積X、Y、Zの関係が理解できるように、Y<X<Zの関係となり、一連の動作が確実かつ容易に行える構成となる。
【0023】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。