(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電源と照明負荷との間に接続され、オンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作とオンの状態を継続するオン継続動作とに切替え可能に構成された出力素子を備え、
前記照明負荷への出力が第1の出力以下のときに前記出力素子を前記オン継続動作に切替え、
前記照明負荷への出力が前記第1の出力よりも大きい第2の出力以上のときに前記出力素子を前記スイッチング動作に切替え、
前記照明負荷への出力が前記第1の出力よりも大きく前記第2の出力よりも小さいときに前記出力素子を第1の期間は前記オン継続動作に切替え、第2の期間は前記スイッチング動作に切替える照明用電源。
前記照明負荷への出力を制御する制御信号に基づいて、前記出力素子をスイッチング動作またはオン継続動作に切替える制御回路をさらに備えた請求項1記載の照明用電源。
前記照明負荷への出力が相対的に大きいときに前記出力素子を前記スイッチング動作に切替え、前記照明負荷への出力が相対的に小さいときに前記出力素子を前記オン継続動作に切替える請求項1または2に記載の照明用電源。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る照明用電源を含む照明装置を例示するブロック図である。
図1に表したように、照明装置1は、照明負荷2と、照明負荷2に電力を供給する照明用電源3と、を備えている。
【0010】
照明負荷2は、例えばLEDなどの照明光源4を有し、照明用電源3から出力電力POUT(出力電圧VOUT、出力電流IOUT)を供給されて点灯する。また、照明負荷2は、出力電力POUTを変化させて調光することができる。例えば、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTの少なくともいずれかを変化させて調光することができる。なお、出力電力POUT、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTのそれぞれの値は、照明光源4に応じて規定される。
【0011】
図2は、照明負荷に供給される出力電圧VOUTと出力電流IOUTとの関係を例示する特性図である。
図2においては、例えばLEDなどの点灯時の動作抵抗の小さい照明光源を有する照明負荷の特性を例示している。
照明負荷2は、出力電圧VOUTが所定電圧よりも低いときは、電流が流れず、消灯している。出力電圧VOUTが、所定電圧以上のとき、電流が流れて点灯する。
【0012】
例えば、照明光源4がLEDの場合、この所定電圧は、LEDの順方向電圧であり、照明光源4に応じて定まる。また、照明光源4は、点灯時の動作抵抗が低く、例えば定格動作点Pの近傍で出力電流IOUTが増加しても出力電圧VOUTは、変化が少ない。したがって、
図2に表したような特性の照明負荷2は、出力電流IOUTを変化させることにより、照明光源4の光出力を制御して調光することができる。また、出力電圧VOUTが所定電圧よりも低下すると、照明光源4が消灯して出力電流IOUTが流れなくなるため、例えばコンデンサで平滑化して出力した場合、出力電圧VOUTの値は所定電圧以上に保持される。
【0013】
また、照明光源4に供給する、例えば出力電圧VOUTを変化させることにより、照明光源4の光出力を制御して調光することができる。
このように、照明負荷2に供給する出力電力POUTを変化させることにより、照明光源4の光出力を制御して調光することができる。なお、以下の説明では、出力を変化させるとは、出力電圧VOUT、出力電流IOUT及び出力電力POUTの少なくともいずれかを変化させることをいうものとする。
【0014】
照明用電源3は、出力素子5と、定電流素子6と、出力素子5を駆動する第1の駆動回路70と、定電流素子6を駆動する第2の駆動回路71と、第1及び第2の駆動回路70、71を介して出力素子5と定電流素子6とを制御する制御回路72と、インタフェース回路73とを備える。照明用電源3は、入力端子74、75に入力された入力電力PINを変換して、高電位出力端子30と低電位出力端子31との間に出力電力POUTとして出力する。
【0015】
出力素子5は、照明負荷2と電源7との間に接続されている。出力素子5は、オンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作と、オンの状態を継続するオン継続動作とに切替え可能に構成されている。
【0016】
図3は、出力素子の電流波形を例示する波形図であり、(a)はオン継続動作、(b)及び(c)はオンの状態を継続して振動する動作、(d)はスイッチング動作の場合である。なお、
図3においては、横軸に時間tをとり、出力素子5の電流I5の波形を表している。
【0017】
図3(a)に表したように、出力素子5のオン継続動作においては、定電流素子6で制限されたほぼ一定の直流電流が出力素子5に流れる。出力素子5が一定の直流電流を出力する状態においては、照明用電源3は、シリーズレギュレータのような動作をする。
【0018】
図3(b)、(c)に表したように、オンの状態を継続したまま電流が振動する動作においては、出力素子5は、例えば不完全に発振しているような状態になる。しかし、この動作においては、出力素子5は、オフの状態にはならず、オンの状態を継続する。なお、出力素子5の振動する電流のピーク値は、定電流素子6の定電流値で制限された値になる。また、出力素子5の振動周期Tは、電流の変動幅に応じて変化する。また、
図3(c)は、
図3(b)の場合よりも、出力素子5の電流I5の変動幅が大きい場合を表している。
【0019】
図3(d)に表したように、出力素子5のスイッチング動作においては、出力素子5は発振する。このとき、照明用電源3は、スイッチング電源として動作する。
【0020】
定電流素子6は、出力素子5に直列に接続され、出力素子5の電流I5のピーク値を制限する。なお、出力素子5及び定電流素子6は、例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、例えば高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)である。
【0021】
第1の駆動回路70は、出力素子5を駆動する。第1の駆動回路70は、例えば出力素子5の制御端子の電位を制御して、出力素子5の動作を切替える。第2の駆動回路71は、定電流素子6を駆動する。第2の駆動回路71は、例えば定電流素子6の制御端子の電位を制御して、定電流値を制御する。
【0022】
制御回路72は、第1の駆動回路70を介して出力素子5を制御し、第2の駆動回路71を介して定電流素子6を制御する。制御回路72は、出力素子5と定電流素子6との駆動条件を制御して、出力素子5をスイッチング動作またはオン継続動作に切替え、また、出力素子5の電流値を制御する。
【0023】
また、制御回路72は、照明負荷2への出力を相対的に大きくする制御信号を入力した場合、定電流素子6を制御して定電流素子6の定電流値を大きくするとともに、出力素子5を制御して出力素子5をスイッチング動作させる。また、制御回路72は、照明負荷2への出力を相対的に小さくする制御信号を入力した場合、定電流素子6を制御して定電流素子6の定電流値を小さくするとともに、出力素子5を制御して出力素子5をオン継続動作させる。
【0024】
インタフェース回路73は、照明負荷2の光出力を制御する調光信号を入力して、制御回路72に出力電力POUTを制御する制御信号として出力する。調光信号は、例えば、位相制御信号、PWM調光信号、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)信号、LANなどの無線または有線の通信信号、センサの出力信号などである。
【0025】
調光信号が、例えば位相制御信号の場合、インタフェース回路73は、例えば、調光器8により位相制御された交流電圧を所定値と比較して調光器8の導通期間及び遮断期間を検出し、制御信号を生成することができる。
【0026】
調光信号が、例えばPWM信号の場合、インタフェース回路73は、例えば、デューティ比に基づいて制御信号を生成することができる。
【0027】
調光信号が、例えばDALI信号の場合、インタフェース回路73は、例えばマイクロコンピュータ、例えば論理回路を有し、DALI信号をデコードして、制御信号として出力する。
【0028】
調光信号が、例えば無線または有線の通信信号の場合、インタフェース回路73は、例えば通信信号を復調する受信回路と、復調した信号をデコードして制御信号として出力するマイクロコンピュータや論理回路などを有することができる。
【0029】
調光信号が、例えばセンサの出力信号の場合、インタフェース回路73は、例えばセンサの出力信号を受信する受信素子と、受信素子により受信した信号を解析する解析回路を有することができる。また、センサは、照明用電源3の外部に設けられる。なお、センサとしては、例えば遠赤外センサ、近赤外センサ、超音波センサ、近接センサ、加速度センサ、重力センサ、音センサ(音圧センサ)、色センサ(波長センサ)などを含むことができる。
【0030】
また、インタフェース回路73は、外部から入力される調光信号を用いずに、入力電力PIN、または入力電力PINと出力電力POUTとに基づいて、制御信号を生成してもよい。例えば、電源7から照明用電源3に供給される入力電力PINの変化に応じて、出力電力POUTを制御することもできる。例えば、調光器8により位相制御した交流電源を整流した電源においては、調光器8により入力電力PINを変化させることができる。また、電源7の電源電圧VINを変化に応じて、出力を制御することもできる。
【0031】
この場合、インタフェース回路73は、入力電力PIN、または入力電力PINと出力電力POUTとの電力差が相対的に大きい場合、制御信号として、照明負荷2への出力を相対的に大きくする制御信号を生成する。また、インタフェース回路73は、入力電力PIN、または入力電力PINと出力電力POUTとの電力差が相対的に小さい場合、照明負荷2への出力を相対的に小さくする制御信号を生成する。
【0032】
電源7は、直流を給電できればよく、例えば、電池、太陽光発電と二次電池とで構成された電源、USB電源、LAN電源などであり、例えば、商用電源などの交流電源を整流した電源である。なお、交流電源を整流した電源は、例えば、全波整流した電源であり、例えば平滑コンデンサにより平滑化した電源である。
【0033】
図4は、調光器を含む直流電源を例示する回路図である。
図4に表したように、電源7は、調光器8と整流回路9と平滑コンデンサ40を有する。
調光器8は、2線式位相制御調光器である。調光器8は、交流電源76に接続され、一対の電源ラインの一方に直列に挿入される。このように調光器8は、一対の電源ラインに直列に挿入されてもよい。
【0034】
調光器8は、電源ラインに直列に挿入されたトライアック12、トライアック12と並列に接続された位相回路13と、トライアック12のゲートと位相回路13との間に接続されたダイアック14と、を有する。
【0035】
トライアック12は、通常オフの状態であり、ゲートにパルス信号が入力されるとオンする。トライアック12は、交流の電源電圧VINが正極性のときと負極性のときの双方向に電流を流すことができる。
位相回路13は、可変抵抗15とコンデンサ16とで構成され、コンデンサ16の両端に位相が遅延した電圧を生成する。また、可変抵抗15の抵抗値を変化させると、時定数が変化し、遅延時間が変化する。
【0036】
ダイアック14は、位相回路13のコンデンサに充電される電圧が一定値を超えるとパルス電圧を生成し、トライアック12をオンさせる。
調光器8は、位相回路13の時定数を変化させてダイアック14がパルスを生成するタイミングを制御することにより、トライアック12がオンするタイミングを調整することができる。
【0037】
整流回路9は、調光器8を介して交流電源電圧を入力して、直流電圧を出力する。整流回路9は、ダイオードブリッジで構成されている。整流回路9は、調光器8による調光度に応じて電圧が変化する直流電圧を出力する。なお、整流回路9は、調光器8から入力される交流電圧を整流できればよく、他の構成でもよい。また、整流回路9の入力側には、照明用電源3で発生するノイズを低減するコンデンサが接続されている。
【0038】
平滑コンデンサ40は、整流回路9の高電位端子9aと低電位端子9bとの間に接続される。平滑コンデンサ40は、整流回路9により整流された直流電圧を平滑化する。
なお、照明用電源3においては、電源7として、直流電源が接続される構成を例示しているが、整流回路9と平滑コンデンサ40とを照明用電源3に含めて、照明用電源3が交流電源76から電力を供給される構成としてもよい。
【0039】
スイッチング電源は、出力素子5が抵抗の低いオンの状態と電流が流れないオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をするため、低消費電力・高効率の電源である。
本実施形態においては、出力電力POUTが所定値よりも大きいとスイッチング動作し、出力電力POUTが小さいと、シリーズレギュレータのような動作をする。出力電力POUTが大きい場合は、入力と出力との電位差ΔVと電流との積が大きく、シリーズレギュレータの動作を行うと損失が大きくなる。したがって、出力電力POUTが大きい場合に、スイッチング動作をすることは、低消費電力化に適する。また、出力電力POUTが小さい場合は、損失は小さいため、シリーズレギュレータとして動作をすることは問題ない。
【0040】
また、本実施形態においては、出力電力POUTが所定値よりも小さいときは、出力素子5はオフの状態にならずにオンの状態を継続したまま電流が振動して、電流の平均値で照明負荷2を点灯させる(
図3(b)、(c))。また、出力電力POUTがさらに小さいときは、出力素子5は、オンの状態を継続したまま、直流電流を照明負荷2に出力して点灯させる(
図3(a))。その結果、本実施形態においては、出力電流をゼロまで連続的に変化させることができる。また、照明装置1における照明負荷2をスムーズに消灯することができる。
【0041】
したがって、本実施形態においては、出力電力POUTに応じて、出力素子5のスイッチング動作時における最大値から、出力素子5のオンの状態を継続したまま直流電流を出力する際の最小値まで出力電力POUTを連続的に変化させることができる。また、照明装置1における照明負荷2を連続的に0〜100%の範囲で調光することができる。
【0042】
なお、
図3(b)、(c)においては、出力素子5は、オフの状態にならずにオンの状態を継続したまま電流が振動し、出力電力POUTが大きくなると電流の変動幅が大きくなる動作を例示している。しかし、出力素子5は、出力電力POUTが所定値以上のときオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をして発振し(
図3(d))、出力電力POUTが所定値よりも小さいときオンの状態を継続して直流電流を出力する動作をしてもよい(
図3(a))。すなわち、出力素子5は、オフの状態とならずにオンの状態を継続したまま電流が振動する動作(
図3(b)、(c))をしなくてもよい。
【0043】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態における出力素子の電流波形を例示する波形図であり、(a)はオン継続動作、(b)及び(c)はオン継続動作とスイッチング動作とに切替わる動作、(d)はスイッチング動作の場合である。なお、
図5においては、横軸に時間tをとり、出力素子5の電流I5の波形を表している。
第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、出力素子5の動作が異なっている。
【0044】
図5(a)に表したように、出力電力POUTが相対的に小さい第1の出力以下のときは、時間tの全期間が、出力素子5のオン継続動作をする第1の期間T1になっている。定電流素子6で制限されたほぼ一定の直流電流が、出力素子5に流れる。出力素子5が一定の直流電流を出力する状態においては、照明用電源3は、シリーズレギュレータのような動作をする。
【0045】
図5(b)、(c)に表したように、出力電力POUTが第1の出力よりも高くなると、出力素子5は、オン継続動作をする第1の期間T1と、スイッチング動作をする第2の期間T2と、を繰り返す動作をする。なお、出力素子5の振動する電流のピーク値は、定電流素子6の定電流値で制限された値になる。また、出力素子5のオン継続動作をする第1の期間T1と、スイッチング動作をする第2の期間T2とは、出力電力POUTに応じて変化する。例えば、
図5(c)は、
図5(b)の場合よりも、出力電力POUTが大きい場合を表し、第2の期間T2が第1の期間T1に対して長くなっている。
【0046】
図5(d)に表したように、出力電力POUTが相対的に大きい第2の出力のときは、時間tの全期間が、出力素子5のスイッチング動作をする第2の期間T2になる。このとき、照明用電源3は、スイッチング電源として動作する。なお、第2の出力は、第1の出力よりも大きい出力値である。
【0047】
このように、制御回路72は、出力素子5を第1の期間T1はオン継続動作、第2の期間はスイッチング動作に切替えて、平均電力を連続的に変化させる。その結果、出力電力POUTを最大値と最小値との間で連続的に変化させることができる。また、照明装置1における照明負荷2を連続的に0〜100%の範囲で調光することができる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明したが、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、出力素子5及び定電流素子6はGaN系HEMTには限定されない。例えば、半導体基板に炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)やダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を用いて形成した半導体素子でもよい。ここで、ワイドバンドギャップ半導体とは、バンドギャップが約1.4eVのヒ化ガリウム(GaAs)よりもバンドギャップの広い半導体をいう。例えば、バンドギャップが1.5eV以上の半導体、リン化ガリウム(GaP、バンドギャップ約2.3eV)、窒化ガリウム(GaN、バンドギャップ約3.4eV)、ダイアモンド(C、バンドギャップ約5.27eV)、窒化アルミニウム(AlN、バンドギャップ約5.9eV)、炭化ケイ素(SiC)などが含まれる。このようなワイドバンドギャップ半導体素子は、耐圧を等しくする場合、シリコン半導体素子よりも小さくできるために寄生容量が小さく、高速動作が可能なため、スイッチング周期を短くすることができ、巻線部品やコンデンサなどの小形化が可能となる。
【0050】
また、照明光源4はLEDに限らず、ELやOLEDなどでもよく、照明負荷2には、複数個の照明光源4が直列又は並列に接続されていてもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。