(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電波の到来方向を推定するには、まず電波の到来の有無を検出する必要がある。特許文献1に開示された電波到来方向推定装置は、サブアレーを高速に常に切り替えることで、電波の到来の有無を検出している。このため、特許文献1に開示された電波到来方向推定装置は、電波の到来方向を推定するための消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、電波の到来方向を推定するための消費電力を抑えることができるアンテナ装置、電波到来方向推定装置、及び電波到来方向推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子であって、前記多角錐に周囲から到来する電波を検出するよう前記多角錐の側面に備えられた複数の側面素子と、を備えることを特徴とするアンテナ装置である。
【0007】
また、本発明は、前記複数の側面素子が、前記多角錐の側面毎に多角形の頂点を成すように備えられることを特徴とするアンテナ装置である。
【0008】
また、本発明は、前記垂直面内に指向性を有するアンテナ素子が、前記天頂にも備えられることを特徴とするアンテナ装置である。
【0009】
また、本発明は、前記天頂素子が、ダイポールアンテナであることを特徴とするアンテナ装置である。
【0010】
また、本発明は、前記側面素子が、パッチアンテナであることを特徴とするアンテナ装置である。
【0011】
また、本発明は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子であって、前記多角錐に周囲から到来する電波を検出するよう前記多角錐の側面に備えられた複数の側面素子と、を備えるアンテナ装置に対し、前記天頂素子の受信強度が所定閾値以上であるか否かを判定する判定部と、前記天頂素子の受信強度が前記所定閾値以上である場合、前記側面素子の受信強度に応じて、前記側面素子から成るアンテナ素子群、又は、前記天頂素子及び前記側面素子から成るアンテナ素子群を選択する選択部と、前記選択部により選択された前記アンテナ素子群の受信強度に基づいて、電波の到来方向を推定する推定部と、を備えることを特徴とする電波到来方向推定装置である。
【0012】
また、本発明は、前記選択部が、異なる前記側面で隣接する二つの前記側面素子の受信強度が、前記天頂素子及び全ての前記側面素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位内にある場合、前記隣接する二つの前記側面素子を含むアンテナ素子群を選択し、一方、前記隣接する二つの前記側面素子の受信強度が、前記天頂素子及び全ての前記側面素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから前記所定順位内にない場合、前記隣接する二つの前記側面素子のうち受信強度のより強い側面素子と、前記天頂素子と、を含むアンテナ素子群を選択することを特徴とする電波到来方向推定装置である。
【0013】
また、本発明は、前記複数の側面素子が、前記多角錐の側面毎に多角形の頂点を成すように備えられ、前記選択部が、異なる前記側面の底辺側で隣接する二つの前記側面素子の受信強度に応じて、アンテナ素子群を選択することを特徴とする電波到来方向推定装置である。
【0014】
また、本発明は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子であって、前記多角錐に周囲から到来する電波を検出するよう前記多角錐の側面に備えられた複数の側面素子と、を備えるアンテナ装置に到来した電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置のコンピュータに、前記天頂素子の受信強度が所定閾値以上であるか否かを判定する手順と、前記天頂素子の受信強度が前記所定閾値以上である場合、前記側面素子の受信強度に応じて、前記側面素子から成るアンテナ素子群、又は、前記天頂素子及び前記側面素子から成るアンテナ素子群を選択する手順と、選択された前記アンテナ素子群の受信強度に基づいて、電波の到来方向を推定する手順と、を実行させるための電波到来方向推定プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アンテナ装置は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子であって、前記多角錐に周囲から到来する電波を検出するよう前記多角錐の側面に備えられた複数の側面素子と、を備える。これにより、アンテナ装置は、電波の到来方向を推定するための消費電力を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1には、アンテナ装置及び電波到来方向推定装置の構成例が示されている。電波到来方向推定システムは、アンテナ装置100に到来する電波の到来方向を推定するシステムである。電波到来方向推定システムは、アンテナ装置100と、スイッチ200と、受信部300と、AD変換部400と、電波到来方向推定装置500とを備える。
【0018】
図2には、アンテナ装置の外観図が示されている。ここで、
図2の上段には、アンテナ装置100の上面図が示されている。また、
図2の下段には、アンテナ装置100の側面図が示されている。アンテナ装置100は、多角錐の形状を有する。
【0019】
例えば、側面素子のそれぞれの水平面内ビーム幅が、一例として、120[度]ある場合、側面が3面あれば側面素子群が全周(=120[度]×3)をカバーできるので、アンテナ装置100は、三角錐の形状を有していてもよい。
【0020】
以下では、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のそれぞれの水平面内ビーム幅は、一例として、90[度]であるものとする。この場合、側面が4面あれば側面素子群が全周(=90[度]×4)をカバーできるので、アンテナ装置100は、一例として、四角錐であるものとして説明を続ける。
【0021】
アンテナ装置100は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子である天頂素子110と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子である側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152と、を備える。
【0022】
ここで、天頂素子110は、アンテナ装置100の天頂に備えられる。また、側面素子120〜122は、アンテナ装置100の第1の側面に、三角形の頂点を成すように備えられる。また、側面素子130〜132は、アンテナ装置100の第2の側面に、三角形の頂点を成すように備えられる。また、側面素子140〜142は、アンテナ装置100の第3の側面に、三角形の頂点を成すように備えられる。また、側面素子150〜152は、アンテナ装置100の第4の側面に、三角形の頂点を成すように備えられる。
【0023】
図3には、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子の指向性パターンが示されている。水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子である天頂素子110は、天頂素子指向性パターン11−1及び11−2に示される「8の字指向性」を有する。天頂素子110は、例えば、ダイポールアンテナである。
【0024】
図4には、天頂素子の指向性パターンと、アンテナ装置の構成例とが示されている。天頂素子110は、斜め仰角から到来する電波701に対する受信感度と比較して、天頂から到来する電波700に対する受信感度が低い。すなわち、天頂素子110は、天頂から到来する電波700に対する受信感度と比較して、斜め仰角から到来する電波701に対する受信感度が高い。また、天頂素子110は、天頂から到来する電波700に対する受信感度と比較して、水平方向又は俯角方向から到来する電波702に対する受信感度が高い。
【0025】
図5には、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子の指向性パターンが示されている。垂直面内に指向性を有するアンテナ素子である側面素子120は、側面素子指向性パターン12に示される指向性を有する。側面素子121〜122、130〜132、140〜142及び150〜152についても同様である。側面素子121〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のそれぞれは、例えば、パッチアンテナである。
【0026】
図6には、側面素子の指向性パターンと、アンテナ装置の構成例とが示されている。側面素子120は、天頂から到来する電波700に対する受信感度と比較して、水平方向又は俯角方向から到来する電波702に対する受信感度が低い。すなわち、側面素子120は、水平方向又は俯角方向から到来する電波702に対する受信感度と比較して、天頂から到来する電波700に対する受信感度が高い。また、側面素子120は、水平方向又は俯角方向から到来する電波702に対する受信感度と比較して、斜め仰角から到来する電波701に対する受信感度が高い。
【0027】
なお、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子は、アンテナ装置100の天頂にも備えられてよい。これにより、アンテナ装置100は、天頂から到来する電波700に対する受信感度を有するので、天頂から電波が到来した場合でも、電波の到来方向を電波到来方向推定装置500に推定させることができる。
【0028】
図1に戻り、電波到来方向推定システムの構成例の説明を続ける。スイッチ200は、全アンテナ素子(天頂素子110、並びに、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152)のうち、電波到来方向推定装置500により選択されたサブアレーを構成するアンテナ素子群と、受信部300とを接続する。
【0029】
受信部300には、スイッチ200を介して接続されたサブアレーを構成するアンテナ素子群から、アンテナ素子に到来した電波に応じたアナログ信号が、アンテナ素子毎に入力される。ここで、電波に応じたアナログ信号とは、例えば、電波の受信強度に応じて振幅が変化するアナログ信号である。以下、アンテナ素子に到来した電波に応じたアナログ信号を、「RF(Radio Frequency)信号」という。RF信号のアンテナ素子毎の入力タイミングには、各アンテナ素子の配置に応じた時間差があってもよい。受信部300は、RF信号をアンテナ素子毎にAD変換部400に転送する。
【0030】
AD変換部400は、転送されたRF信号にアナログ・デジタル(AD)変換を施し、到来した電波に応じたデジタル信号を、アンテナ素子に対応付けて電波到来方向推定装置500に転送する。
【0031】
電波到来方向推定装置500は、アンテナ装置100に到来した電波の到来方向を、到来した電波に応じたデジタル信号に基づいて推定する。電波到来方向推定装置500は、判定部510と、選択部520と、推定部530とを備える。
【0032】
判定部510には、到来した電波に応じたデジタル信号が、アンテナ素子に対応付けられてAD変換部400から入力される。判定部510は、到来した電波に応じたデジタル信号に基づいて、天頂素子110の受信強度が、予め定められた閾値A以上であるか否かを判定し、この判定結果を示す情報を選択部520に出力する。
【0033】
選択部520は、天頂素子110の受信強度が、予め定められた閾値A以上である場合、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152を順次選択し(サーチ処理)、選択した側面素子と受信部300とを接続するよう、スイッチ200を高速に切り替える。ここで、選択部520は、同時に一つの側面素子を選択してもよいし、同時に複数の側面素子を選択してもよい。
【0034】
選択部520は、隣り合う側面で隣接する側面素子を含むアンテナ素子群(第1構成のサブアレー)、又は、天頂素子110及び同一の側面に属する側面素子を含むアンテナ素子群(第2構成のサブアレー)を、選択した側面素子の受信強度に応じて選択する(スイッチング処理)。ここで、選択部520は、選択した側面素子の受信強度と、予め定められた閾値B〜Dとのそれぞれの比較結果に基づいて、サブアレー(アンテナ素子群)を構成するアンテナ素子の組み合わせを選択する。この選択手順については、
図9に示すフローチャートを用いて後述する。
【0035】
図7には、第1構成のサブアレーの例が示されている。選択部520は、隣り合う側面で隣接する二つの側面素子の受信強度の両方が、全てのアンテナ素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位内にある場合、その隣接する二つの側面素子を含むサブアレー(アンテナ素子群)を選択する。ここで、所定順位は、例えば、サブアレーを構成するアンテナ素子の個数として予め定められた値と等しい。以下、サブアレーを構成するアンテナ素子の個数、つまり、所定順位は、値4であるものとして説明を続ける。
【0036】
図7では、第1構成のサブアレーには、側面素子120、121、151及び152から成る第1構成のサブアレー600−1と、側面素子121、122、130及び131から成る第1構成のサブアレー600−2と、側面素子131、132、140及び141から成る第1構成のサブアレー600−3と、側面素子141、142、150及び151から成る第1構成のサブアレー600−4とがある。
【0037】
また、
図7には、第1構成のサブアレー600−1で、アンテナ装置100の側面の底辺側に在る隣接する側面素子120及び側面素子152の両方の受信強度が、全てのアンテナ素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位(4位)以内にある場合が示されている。
【0038】
この場合、選択部520は、隣り合う側面で隣接する側面素子120及び側面素子152を含む第1構成のサブアレー600−1を選択し、選択した第1構成のサブアレー600−1と受信部300とを接続するよう、スイッチ200を切り替える。
【0039】
なお、各サブアレーに共通する側面素子に到来している電波の到来タイミングを基準にして、各サブアレーへの電波の到来タイミングの同期を検出してもよい。例えば、第1構成のサブアレー600−1及び第1構成のサブアレー600−2に共通する側面素子121に到来している電波の到来タイミングを基準にして、第1構成のサブアレー600−1及び第1構成のサブアレー600−2への電波の到来タイミングの同期を検出してもよい。
【0040】
図8には、第2構成のサブアレーの例が示されている。選択部520は、隣り合う側面で隣接する二つの側面素子のいずれかの受信強度が、全てのアンテナ素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位(4位)以内にない場合、その隣接する二つの側面素子のうち受信強度のより強い側面素子と天頂素子110とを含むサブアレーを選択する。
【0041】
図8では、第2構成のサブアレーには、天頂素子110及び側面素子120〜122から成る第2構成のサブアレー610−1と、天頂素子110及び側面素子130〜132から成る第2構成のサブアレー610−2と、天頂素子110及び側面素子140〜142から成る第2構成のサブアレー610−3と、天頂素子110及び側面素子150〜152から成る第2構成のサブアレー610−4とがある。
【0042】
また、
図8には、第2構成のサブアレー610−1で、アンテナ装置100の側面の底辺側に在る隣接する側面素子120及び側面素子152のいずれかの受信強度が、全てのアンテナ素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位(4位)以内にない場合が示されている。
【0043】
この場合、選択部520は、隣り合う側面で隣接する側面素子120及び側面素子152のうち、受信強度のより強い側面素子120と、この側面素子120と同一側面に属する側面素子121及び122と、天頂素子110とを含む第2構成のサブアレー610−1を選択し、選択した第2構成のサブアレー610−1と受信部300とを接続するよう、スイッチ200を切り替える。
【0044】
なお、各サブアレーに共通する天頂素子110に到来している電波の到来タイミングを基準にして、各サブアレーへの電波の到来タイミングの同期を検出してもよい。例えば、第1構成のサブアレー600−1〜600−4に共通する天頂素子110に到来している電波の到来タイミングを基準にして、第1構成のサブアレー600−1〜600−4への電波の到来タイミングの同期を検出してもよい。
【0045】
推定部530は、選択部520により選択されたアンテナ素子群(サブアレー)の受信強度に基づいて、電波の到来方向を推定する。ここで、サブアレーを構成する各側面素子には、水平方向、仰角方向及び俯角方向にそれぞれ時間差をもって、電波が到来する。推定部530は、この時間差に基づいて、水平方向、仰角方向及び俯角方向について、電波の到来方向を推定する。
【0046】
なお、アンテナ装置100の1側面につき1側面素子のみが備えられている場合、推定部530は、アンテナ装置100の側面単位(例えば、東西南北の単位)で、電波の到来方向を推定することができる。
【0047】
次に、電波到来方向推定装置500の動作手順を説明する。
図9は、電波到来方向推定装置の動作手順を示すフローチャートである。判定部510は、天頂素子110の受信強度が、予め定められた閾値A以上であるか否かを判定する(ステップS1)。天頂素子110の受信強度が閾値A以上でない場合(ステップS1−No)、判定部510は、ステップS1の処理を繰り返す。
【0048】
一方、天頂素子110の受信強度が閾値A以上である場合(ステップS1−Yes)、選択部520は、スイッチング処理を実行する。また、判定部510は、天頂素子110の受信強度が、予め定められた閾値B以上であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、閾値Bは、閾値Aより大きい値である。
【0049】
天頂素子110の受信強度が閾値B以上である場合(ステップS2−Yes)、判定部510は、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のうち、スイッチング処理により選択された側面素子の受信強度が、予め定められた閾値C以上であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0050】
選択された側面素子の受信強度が閾値C以上である場合(ステップS3−Yes)、推定部530は、水平方向又は低仰角方向から電波が到来していると判定する(ステップS4)。そして、判定部510は、隣り合う側面で隣接する二つの側面素子の受信強度が、天頂素子110及び全ての側面素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位内にあるか否かを判定する(ステップS5)。
【0051】
隣り合う側面で隣接する二つの側面素子の両方の受信強度が所定順位内にある場合(ステップS5−Yes)、選択部520は、この隣接する二つの側面素子を含むサブアレーを、スイッチにより選択する。そして、推定部530は、選択部520により選択されたサブアレーの受信強度に基づいて、電波の到来方向を推定する(ステップS6)。
【0052】
一方、ステップS5において、隣り合う側面で隣接する二つの側面素子のいずれかの受信強度が所定順位内にない場合(ステップS5−No)、選択部520は、これら隣接する二つの側面素子のうち受信強度のより強い側面素子と、この側面素子と同一の側面に属する他の側面素子と、天頂素子110とを含むサブアレーを、スイッチにより選択する。そして、推定部530は、選択部520により選択されたサブアレーの受信強度に基づいて、電波の到来方向を推定する(ステップS6)。
【0053】
ステップS2において、天頂素子110の受信強度が閾値B以上でない場合(ステップS2−No)、判定部510は、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のうち、スイッチング処理により選択された側面素子の受信強度が、予め定められた閾値D以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0054】
選択された側面素子の受信強度が閾値D以上である場合(ステップS8−Yes)、判定部510は、高仰角方向から電波が到来していると判定する(ステップS9)。そして、推定部530は、ステップS5に処理を進める。一方、ステップ8において、選択された側面素子の受信強度が閾値D以上でない場合(ステップS8−No)、推定部530は、電波の到来方向を推定せず、例えば、アンテナ装置100を移動させる(ステップS10)。そして、推定部530は、ステップS2に処理を戻す。
【0055】
ステップS3において、選択された側面素子の受信強度が閾値C以上でない場合(ステップS3−No)、判定部510は、俯角方向から電波(地面反射波)が到来していると判定する(ステップS11)。また、推定部530は、電波の到来方向を推定せず、例えば、アンテナ装置100を移動させる(ステップS12)。そして、推定部530は、ステップS2に処理を戻す。
【0056】
以上のように、アンテナ装置100は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子(例えば、8の字指向性を有するダイポールアンテナ)であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子110と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子(例えば、パッチアンテナ)であって、前記多角錐の側面に備えられた複数の側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152と、を備える。
【0057】
この構成により、アンテナ装置100は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子110と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子であって、前記多角錐に周囲から到来する電波を検出するよう前記多角錐の側面に備えられた側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152とを備える。したがって、アンテナ装置100は、サブアレーが高速に切り替えられなくても、天頂素子110により電波の到来の有無を常に検出する。これにより、アンテナ装置100は、電波の到来方向を推定するための消費電力を抑えることができる。また、アンテナ装置100は、サブアレーの切り替えタイミングにより電波の到来有無の検出を逃してしまうということがない(捕捉精度の向上)。また、アンテナ装置100は、天頂素子110と側面素子群との指向性(感度)パターンの違いにより、地面反射波を切り分けることができる。
【0058】
また、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152は、前記多角錐の側面毎に多角形の頂点を成すように備えられる。例えば、前記多角錐の側面には、側面素子120〜122により三角形が構成される。他の側面素子についても同様である(
図2を参照)。
この構成により、多角形に配置された各側面素子には、水平方向、仰角方向及び俯角方向にそれぞれ時間差をもって、電波が到来する。これにより、アンテナ装置100は、水平方向、仰角方向及び俯角方向について、電波の到来方向を高精度に推定させることができる。
【0059】
また、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子(例えば、パッチアンテナ)は、前記天頂にも備えられる。これにより、アンテナ装置100は、天頂から電波が到来した場合でも、電波の到来方向を推定させることができる。
【0060】
また、前記天頂素子は、ダイポールアンテナでもよい。また、前記側面素子は、パッチアンテナでもよい。
【0061】
電波到来方向推定装置500(
図1を参照)は、水平面内に一様に感度を有するアンテナ素子であって、多角錐の天頂に備えられた天頂素子110と、垂直面内に指向性を有するアンテナ素子であって、前記多角錐に周囲から到来する電波を検出するよう前記多角錐の側面に備えられた側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152と、を備えるアンテナ装置100に対し、天頂素子110の受信強度が所定閾値以上であるか否かを判定する判定部510と、天頂素子110の受信強度が前記所定閾値以上である場合、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のいずれか一つ以上の受信強度に応じて、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のいずれか一つ以上から成るアンテナ素子群(サブアレー)、又は、天頂素子110並びに側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152のいずれか一つ以上から成るアンテナ素子群(サブアレー)を選択する選択部520と、選択部520により選択された前記アンテナ素子群の受信強度に基づいて、電波の到来方向を推定する推定部530と、を備える。
【0062】
この構成により、推定部530は、天頂素子110の受信強度が所定閾値以上である場合、電波の到来方向を推定する。したがって、電波到来方向推定装置500は、サブアレーを高速に切り替えることなく、天頂素子110により電波の到来の有無を常に検出する。これにより、電波到来方向推定装置500は、電波の到来方向を推定するための消費電力を抑えることができる。また、電波到来方向推定装置500は、サブアレーの切り替えタイミングにより電波の到来有無の検出を逃してしまうということがない(捕捉精度の向上)。
【0063】
また、選択部520は、異なる前記側面で隣接する二つの前記側面素子(例えば、側面素子120及び152)の受信強度が、天頂素子110及び全ての前記側面素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから所定順位内にある場合、前記隣接する二つの前記側面素子を含むアンテナ素子群を選択し(
図7及び
図9を参照)、一方、前記隣接する二つの前記側面素子の受信強度が、天頂素子110及び全ての前記側面素子の受信強度のうち、受信強度の強いほうから前記所定順位内にない場合、前記隣接する二つの前記側面素子のうち受信強度のより強い側面素子(例えば、側面素子120)と、天頂素子110と、を含むアンテナ素子群を選択する(
図8及び
図9を参照)。
この構成により、選択部520は、受信強度に基づいて、アンテナ素子群を選択する。選択されたアンテナ素子群には、水平方向、仰角方向及び俯角方向にそれぞれ時間差をもって、受信電力の強い電波が到来する。これにより、電波到来方向推定装置500は、水平方向、仰角方向及び俯角方向について、電波の到来方向を高精度に推定することができる。
【0064】
また、側面素子120〜122、130〜132、140〜142及び150〜152は、前記多角錐の側面毎に多角形(例えば、三角形)を成すように備えられ、選択部520は、異なる前記側面の底辺側で隣接する二つの前記側面素子(例えば、側面素子120及び152)の受信強度に応じて、アンテナ素子群(サブアレー)を選択する(
図7〜
図9を参照)
この構成により、選択部520は、受信強度に基づいて、アンテナ素子群を選択する。選択されたアンテナ素子群には、水平方向、仰角方向及び俯角方向にそれぞれ時間差をもって、受信電力の強い電波が到来する。これにより、電波到来方向推定装置500は、水平方向、仰角方向及び俯角方向について、電波の到来方向を高精度に推定することができる。
【0065】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0066】
例えば、選択部520は、天頂素子110の受信強度が閾値A以上でない場合でも(
図9のステップS1を参照)、スイッチング処理(
図9では、ステップS2以降)を、予め定められた周期毎に実行してもよい。
【0067】
なお、以上に説明した電波到来方向推定装置を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。