(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス分離層が、前記第一保護層、及び、ガス透過性を有しかつ前記膜剤を透過させない高分子材料からなる第二保護層で挟持されている、請求項1記載のガス分離膜。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明のガス分離膜の一実施形態である管状ガス分離膜を説明するための図である。
図1(a)は、管状ガス分離膜の長手方向に直交する方向の模式断面図であり、
図1(b)は、当該管状ガス分離膜の長手方向の模式断面図である。
【0018】
図1に示す管状ガス分離膜9は、内側から、多孔質層1、第一保護層3、ガス分離層5及び第二保護層7がこの順で積層された管状構造を有する。
【0019】
多孔質層1は、混合ガス及び目的ガスの気圧の変化で実質上変形しない多孔質材料からなる。ここで実質的に変形しないとは、一定の強度を有することが必要であり、変形してガス分離能に影響を与えるということがないことをいう。こうした多孔質層1は、管状ガス分離膜9をガスの圧力変化等を要因とする変形から保護する骨材的な役割を果たすものである。
【0020】
この多孔質層1の細孔構造特性を示すと、通常平均細孔直径:100μm以下、好ましくは10μm以下、空孔率:5〜99%、好ましくは30〜90%である。また、そのガス透過速度は、例えば、二酸化炭素透過速度で、10
−5(cm
3(STP)/cm
2・sec・cmHg)以上であることが好ましい。
【0021】
こうした多孔質層1を構成する多孔質材料としては、例えば、ガスの透過が自在なセラミックやガラス繊維、金属等のフィルターが挙げられる。これらは目の粗いものであってもよい。これらの中で特に好ましいのは、ガスやガス分離層の成分に侵食されない金属の網目構造からなるものである。具体的には、ステンレスやハステロイの細線やリボンを編んで網目構造としたステンレスフィルターと呼ばれるものであり、必要に応じて加熱処理したものがよい。
【0022】
多孔質層1としては、例えば、内直径2〜10mm、厚さ0.1〜1mm、長さが50mm〜700mmの管を用いることができる。
【0023】
ガス分離層5は、膜剤と多孔質支持体からなる層である。ガス分離層5において混合ガスから目的ガスが分離される。また、膜剤は多孔質支持体及び/又は後述する第一保護層、第二保護層によって保持されている。
【0024】
ここで、膜剤とは、目的ガスを分離する性能を有する液状又はゲル状の物質であって、必要に応じて添加剤を加えたものである。
【0025】
こうした膜剤の例としては、目的ガスのキャリアとして機能する液体やゲルが挙げられる。膜剤は、製造時の取り扱いが容易となる点から、ある程度の粘度を有する(例えば、30℃における粘度が100〜600mPa・s程度)ことが好ましく、イオン液体又はデンドリマーを用いることがより好ましい。なお、膜剤が液体である場合には、ポリビニルアルコールのようなゲルを併用して、膜剤を保持することが好ましい。
【0026】
膜剤は、目的ガスの種類に応じて適宜選択することができる。例えば二酸化炭素を目的ガスとして分離するための膜剤としては、アルカリ金属塩、アルカリ金属重炭酸塩、親水性の塩基性イオン液体及びデンドリマーが挙げられ、塩基性イオン液体及びデンドリマーが好ましい。これらの膜剤は、化学的安定性が高く、蒸気圧が低く、かつ膜中から失われる可能性が低いことから、分離能の長期耐久性が期待できる。
【0027】
これらの膜剤を用いた場合、本実施形態のガス分離膜のCO
2/H
2分離係数は80℃加湿条件において10〜300程度である。
【0028】
親水性塩基性イオン液体としては、例えば、公知のイミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン及びホスホニウムカチオンからなる群から選ばれる少なくとも一種のカチオンと、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、プロリン(以上天然のL−α−アミノ酸として知られるアミノ酸);2−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、2−アミノシクロペンタンカルボン酸(以上非天然のα−アミノ酸として知られるアミノ酸);および4−アミノ酪酸(その他のアミノ酸)、及びタウリンから選ばれる少なくとも一種のアミノカルボン酸アニオン又はアミノスルホン酸アニオンとから構成されるイオン液体が挙げられる。
【0029】
特に、本出願人による、特開2010-214324号公報に記載のイミダゾリウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン及び第4級ホスホニウムカチオンからなる群から選ばれる少なくとも一種のカチオンと、アミノカルボン酸アニオンとから構成されるイオン液体;特開2010-285398号公報に記載のホスホニウムカチオンとタウリン由来のアニオンとから構成されるイオン液体、及び特開2010-285399号公報に記載のイミダゾリウムカチオンと、天然のL−α−アミノ酸由来のアニオンとから構成されるイオン液体は、耐久性や耐熱性の観点から格別に効果が高いものである。
【0030】
デンドリマーとしては、例えば、式(1):
【化1】
[式中、A
1は炭素数1〜3の二価有機残基を示し、m、nは0又は1を示す。]
で示される基、又は式(2):
【化2】
[式中、A
2は炭素数1〜3の二価有機残基を示し、m、nは0又は1を示す。]
で示される基を有するデンドリマーが挙げられる。このデンドリマーはキトサン、ヒアルロン酸、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−アミノスチレン)のようなアミノ基や水酸基を有する高分子材料とエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの多官能モノマーとの結合物として使用することもできる。
【0031】
これらのデンドリマーは、60℃において、粘度が10〜200mPa・s程度であることが好ましい。
【0032】
一般的に膜剤は流動性が高いほど分離能がよい傾向がある。これに対して、本実施形態のガス分離膜によれば膜剤が、少なくとも第一保護層3により保持されるので、ある程度の流動性のある膜剤を使用することができるという利点がある。
【0033】
多孔質支持体としては、炭酸ガス分離用の促進輸送膜の分野で公知の多孔質支持体の中から適宜選択して使用することができる。多孔質支持体は、膜剤を構成する液体又はゲルを孔内部に保持し膜を形成するために用いるものである。多孔質支持体は、耐熱性であり、厚さ35μm以上1mm以下、空隙率が30%から70%であることが好ましく、細孔径が0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0034】
これらの要件を満たし得る多孔質支持体としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン膜、銀メンブレンフィルター、親水性ポリテトラフルオロエチレン膜、ガラス繊維ろ紙、セラミックス膜、ステンレスフィルターを使用することができるが、ステンレスフィルターが好適に使用される。
【0035】
ガス分離層5の厚みは、例えば10μm〜1mm程度とすることができる。
【0036】
第一保護層3及び第二保護層7は、ガス透過能を有しかつ膜剤を実質上透過させない高分子材料からなるものである。具体的には、CO
2を目的ガスとした場合には、CO
2透過係数が3.2×10
-7cm
3(STP)cm/(cm
2・s・cmHg)以上であるポリジメチルシロキサン、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリジフェニルアセチレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの高分子材料を好適に使用することができる。なお、第一保護層3及び第二保護層7を構成する高分子材料は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
第一保護層3及び第二保護層7の厚みは、例えばそれぞれ20〜200μm程度とすることができる。
【0038】
上記本実施形態においては、管状のガス分離膜について説明したが、本発明のガス分離膜は平面状の膜として使用してもよい。また、上記第二保護層7は任意の層であり、本発明のガス分離膜は、多孔質層1、第一保護層3及びガス分離層5の3層から構成されるものであってもよい。
【0039】
上述の管状ガス分離膜9は、例えば以下に示す方法により製造することができる。まず、多孔質層1としての多孔質材料からなる管を、管の外径に合わせた第一保護層3としての高分子材料で被覆する。更にその外側に、多孔質支持体を取り付け、その後、膜剤を浸透させ、ガス分離層5を形成する。更に、任意でガス分離層5を第二保護層7としての高分子材料で被覆する。
【0040】
多孔質支持体に膜剤を浸透させる方法としては、例えば、スポイトのようなもので膜剤をたらす方法や、浸漬により膜剤を浸透させる方法が挙げられる。このときの膜剤の温度は、膜剤の種類にもよるが50℃程度とすることが好ましい。また、減圧して浸透しやすくしてもよい。
【0041】
上述の管状ガス分離膜9を用いたガス分離法の好適な実施形態について、以下に説明する。本実施形態のガス分離法においては、管状ガス分離膜9の外側7a(以下、「混合ガス側」ともいう。)に混合ガスを流通させ、目的ガスを管状ガス分離膜9の内側1a(以下、「透過側」ともいう。)に透過させることによって、ガス分離を行う。
【0042】
この際、混合ガス側の気圧を透過側の気圧よりも高くすることが好ましい。本実施形態においては、例えば混合ガス側の気圧を0.1MPaA〜6MPaA程度、透過側の気圧は0MPaA〜0.5MPaA程度、混合ガス側の気圧と透過側の気圧との差を0MPaA〜6MPaA程度とすることができる。管状ガス分離膜9においては、膜剤を含むガス分離層5の内側に第一保護層3が存在するので、圧力の低い透過側への膜剤の流出を防止することができる。
【0043】
また、透過側にはスイープガスを流通させてもよい。典型的なスイープガスとしては、アルゴンなどの希ガスやスチームが挙げられる。
【0044】
本発明においては、20℃〜200℃程度の温度で実施することができる。特に、本実施形態のガス分離膜は、膜剤の流出の心配がないため、高温でも好適に使用できる。
【0045】
本実施形態の管状ガス分離膜9は、工業的に適用されるためには、2〜100本程度をケージング内に並列に組み合わせ、モジュール化して使用されることが好ましい。以下、管状ガス分離膜9を備えるモジュールの一実施形態について説明する。
【0046】
図2は、本実施形態のガス分離膜を備えるモジュールを示す概略図である。
図2に示すモジュール10は、ケーシング(筐体)12と、このケーシング12に収容された複数の膜エレメント14とを備えている。膜エレメント14としては、管状ガス分離膜9が使用される。モジュール10においては、分離対象となる混合ガスが膜エレメント14の外部を通過してもよいし、膜エレメント14の内部を通過してもよい。以下の説明においては、膜エレメント14の外部に混合ガスを通過させ、膜エレメント14によって選択的に分離された目的ガスが外部よりも負圧状態の膜エレメント14の内部を通過する構成について説明する。
【0047】
ケーシング12は、SUS(Steel Use Stainless)、アルミ、樹脂などの各種材料によって作製されており、管状を呈している。ケーシング12は、膜エレメント14を収容すると共に、混合ガスの流路を形成している。
【0048】
ケーシング12の長手方向の両端部には、保持部材16A,16Bが配設されている。保持部材16A,16Bは、膜エレメント14を保持する部材であり、円筒状を呈している。保持部材16A,16Bの外周面側には、溝(図示しない)がケーシング12の外形に合わせて環状に形成されており、その溝にケーシング12の両端部が挿入されている。保持部材16A,16Bの端部の周囲には、フランジ18A,18Bが設けられている。フランジ18A,18Bは、保持部材16A,16Bの径方向の外側に張り出しており、図示しないボルトが挿通される貫通孔が複数(ここでは4つ)形成されている。
【0049】
保持部材16A,16Bには、それぞれ保持部材16A,16Bを厚み方向に貫通する開口部(図示しない)が形成されており、保持部材16A側から保持部材16B側に向かって、ケーシング12の内部(すなわち、膜エレメント14の外側)に混合ガスを流通することができる。
【0050】
膜エレメント14(管状ガス分離膜9)は、混合ガスから目的ガスを選択的に透過させて分離する。膜エレメント14は、ケーシング12の長手方向に延在する管状をなしている。膜エレメント14は、一端部が保持部材16Aに保持されていると共に、他端部が保持部材16Bに保持されており、ケーシング12内に所定の間隙を有して収容されている。つまり、ケーシング12内では、膜エレメント14以外の部分が、混合ガスの流路となっている。各膜エレメント14は、流路管22A,22Bの分岐流路部22Ab,22Bbにそれぞれ連結されており、その内部が各流路管22A,22Bと連通している。
【0051】
モジュール10において、ケーシング12の保持部材16A側の開口部から供給される混合ガスは、
図1中矢印で示すように、膜エレメント14に接触しつつケーシング12の内を通過し、ケーシング12の保持部材16B側の開口部から排出される。この際、混合ガスは、ケーシング12内に設けられた膜エレメント14によって目的ガスが選択的に分離される。これにより、ケーシング12の排出口から排出される混合ガスにおいては、目的ガスの含有量が少なくなる。
【0052】
膜エレメント14によって分離された目的ガスは、保持部材16A側の流路管22Aの主流路部22Aaから導入されたスイープガスに同伴され、保持部材16Bの流路管22Bの主流路部22Baから導出される。スイープガスとしては上述のものを用いることができる。なお、モジュール10では、保持部材16Bに設けられた流路管22Bの主流路部22Baからスイープガスを導入し、スイープガスに同伴された目的ガスが保持部材16Aに設けられた流路管22Aの主流路部22Aaから導出してもよい。
【0053】
モジュール10においても、上述のように混合ガス側の気圧を透過側の気圧よりも高くすることが好ましい。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
○膜剤(イオン液体)の製造
タウリン1.3gに水13mLを加え、均一溶解させた後にこれを陰イオン交換樹脂(OH体)に通した。テトラエチルホスホニウムブロミド1.2gをイオン交換水20mLに均一溶解させ、先ほどの陰イオン交換樹脂に通した。得られた水溶液を減圧乾燥し、これにアセトニトリル20mlとメタノール5mlを加えて氷冷し、沈殿した未反応のタウリンをろ別した。得られたろ液を減圧乾燥することにより、テトラエチルホスホニウムタウリン塩(イオン液体)1.5g(収率99%)を得た。
【0055】
○ガス分離膜の製造
多孔質層としての円筒状のステンレスフィルターに保護層としてポリジメチルシロキサン膜を外側に取り付け、更に多孔質支持体として平均穴径10μm、空隙率50%のSUSフィルターを保護層の外側に取り付けた。得られた多層体を50℃に加熱したテトラエチルホスホニウムタウリン塩中に浸漬することで、ガス分離層を形成し、ガス分離膜を得た。
【0056】
○ガス透過性能の評価
(1−1)本ガス分離膜の外側に80℃でH
2:CO
2=1:1、90%RH湿度の混合ガスを流し、内側にスイープガスとしてArを供給し、混合ガス側を0.4MPaG、透過側を大気圧としてガス透過性能を評価したところ、CO
2/H
2分離係数は80℃で100であった。イオン液体の粘度は20mPa/sであった。
(1−2)本ガス分離膜の外側に40℃でH
2:CO
2=1:1、90%RH湿度の混合ガスを流し、内側にスイープガスとしてArを供給し、混合ガス側を0.4MPaG、透過側を大気圧としてガス透過性能を評価したところ、CO
2/H
2分離係数は40℃で80であった。イオン液体の粘度は80mPa/sであった。
【0057】
(比較例1)
○ガス分離膜の製造
保護層を使用しなかった他は実施例1と同様にしてガス分離膜を製造した。
【0058】
○ガス透過性能の評価
多孔質支持体中のイオン液体が多孔質層側に漏れ出し、CO
2/H
2分離係数は1となり分離能を発現しなかった。
【0059】
(実施例2)
○ガス分離膜の製造
ガス分離層の更に外側に第二保護層としてポリジメチルシロキサン膜を取り付けた他は実施例1と同様にしてガス分離膜を製造した。
【0060】
○ガス透過性能の評価
本ガス分離膜の外側に80℃でH
2:CO
2=1:1、90%RH湿度の混合ガスを流し、内側にスイープガスとしてArを供給し、混合ガス側を0.4MPaG、透過側を大気圧としてガス透過性能を評価したところ、CO
2/H
2分離係数は80℃で60であった。
【0061】
(
参考例3)
○膜剤(イオン液体)の製造
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム メチルカルボナート50%溶液(水:メタノール=3:2)(アルドリッチ社製)2.8gにL−セリン(アルドリッチ社製)0.7gを加え、攪拌しながら、100℃で減圧乾燥を行い余分な水分及びメタノールを除去し、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムセリン1.3g(イオン液体)(収率82%)を得た。
【0062】
○ガス分離膜の製造・ガス透過性能の評価
膜剤としてこのイオン液体を用いた他は実施例1と同様にしてガス分離膜を製造し、実施例1の(1−1)と同様の方法でガス透過性能を評価したところ、CO
2/H
2分離係数は200となった。
【0063】
(
参考例4)
○膜剤(イオン液体)の製造
セリン1.2g(11.42mmol、TCI製)をイオン交換水9.2gに溶解させ、その中に炭酸水素エチルメチルイミダゾリウム(アルドリッチ製、濃度48.2質量%溶液(CH
3OH:H
2O=2:3)4.32g(12.09mmol))を滴下した。14.5時間攪拌を行い、その後真空減圧加熱乾燥することで、オイル状の液体(イオン液体)を得た。
【0064】
○ガス分離膜の製造・ガス透過性能の評価
膜剤としてこのイオン液体を用いた他は実施例1と同様にしてガス分離膜を製造し、実施例1の(1−1)と同様の方法でガス透過性能を評価したところ、CO
2/H
2分離係数は140となった。
【0065】
(実施例5)
○膜剤(デンドリマー)の製造
窒素置換した反応フラスコにメチルアクリレート(アルドリッチ社製)51.33mL(570mmol)及びメタノール(和光純薬工業株式会社製)50mLを入れ、0℃まで冷却した。別途、7.0Nアンモニアのメタノール溶液(アルドリッチ社製)13.58mL(94.71mmol)を前述の0℃に冷却したメチルアクリレート/メタノール混合液に3時間かけて滴下した。
【0066】
得られた混合溶液を0℃で更に1時間撹拌した後、室温で48時間撹拌した。この混合溶液の溶媒と過剰のメチルアクリレートを減圧で留去して、更に50℃で一晩減圧乾燥した後、シリカゲルクロマトグラフィー(SiO
2、展開液:CH
3Cl)で精製し、無色液体のエステル体23.6g(収率91%)を得た。
【0067】
次いで、窒素置換した反応フラスコに1,3−ジアミノ−2−プロパノール(東京化成工業株式会社製)100.0g(1.11mol)とメタノール(和光純薬工業株式会社製)50mLを添加し、0℃まで冷却し、激しく撹拌しながら、前述のエステル体8.48g(30.8mmol)の100mLメタノール溶液を3時間かけて滴下した。得られた混合溶液を0℃で更に1時間撹拌した後、室温で1週間撹拌した。
【0068】
次いで、この混合溶液の溶媒を減圧で留去し、更に50℃で一晩減圧乾燥し、粗精製物を得た。この粗精製物に対してクーゲルロール蒸留し、淡黄色のガム状化合物である下記式(3)で表されるポリアミドアミンデンドリマー11.84g(収率86%)を得た。
【化3】
【0069】
○ガス分離膜の製造・ガス透過性能の評価
膜剤としてこのデンドリマーを用いた他は実施例1と同様にしてガス分離膜を製造し、実施例1の(1−1)と同様の方法でガス透過性能を評価したところ、CO
2/H
2分離係数は120となった。