(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5904513
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】粉塵収納袋
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20160331BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
B23Q11/00 K
B65F1/00 L
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-211859(P2014-211859)
(22)【出願日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592058234
【氏名又は名称】株式会社エム・アンド・エフ
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真澄美
【審査官】
小川 真
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−149602(JP,U)
【文献】
特開平11−106001(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0035077(US,A1)
【文献】
独国実用新案第202004003623(DE,U1)
【文献】
英国特許出願公開第02433045(GB,A)
【文献】
特開2014−108499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B65F 1/00
B25D 17/14
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉塵を収納するための粉塵収納袋において、
表裏のシートの両側辺と底辺が合わさり上辺が開口する袋体と、該袋体を壁面に対して着脱可能に取り付けるための取付手段とを有し、
前記袋体が開口する表裏のシートの各上辺のうち、壁面に対向する裏側シートの上辺に、正面を向く表側シートの上辺よりも一段高く、かつ、少なくとも一部の横幅が両側辺より中心側に所定長さ切り欠かれて挟まる幅狭部のある被取付片が形成され、
前記取付手段は、前記被取付片のうち前記幅狭部より上方の上端縁を壁面に対して密着した状態に取り付けるものであり、
前記取付手段は、前記被取付片に沿って開口内周側より重ね合わされ、該被取付片の上端縁より上方へ延出し、該延出した部位を壁面に密着させて取り付けるテープであることを特徴とする粉塵収納袋。
【請求項2】
前記袋体が開口する表裏のシートの各上辺に沿って、両側辺における折り目の箇所を跨ぎ、該袋体の開口状態を維持するための補助部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粉塵収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削屑等のような粉塵を収納するための粉塵収納袋に関し、例えば、木材や石膏ボート等の壁面に対してドリルで穿孔する等の施工時に生じる切削屑を回収するのに適したものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材や石膏ボート等の壁面に対してドリルで穿孔する等の施工時には、手動あるいは電動の工具を問わず必ず切削屑が発生するものであり、特にドリル等の工具を壁に差し込んだり引き抜く際に多量の切削屑がこぼれ落ちてしまうのが実情であった。このような切削屑は、床面に散乱して施工後の仕上がった床を汚してしまうことになり、その後の清掃が面倒であるばかりでなく、壁面の材質がアスベスト等のように人体に有害な影響を及ぼすものである場合には、健康被害を誘発するという問題もあった。
【0003】
かかる問題を解決する従来の技術として、例えば、特許文献1に開示された壁面の切削粉受け具が知られている。これは、切削粉を受ける袋体とは別に用意された袋体の保持器具であり、袋体の開口部を取り付けると共に、水平方向に突出する袋取付アームの後部上方に、壁面に接着可能に当接面体を設け、この当接面体の下方に、前記袋体内へ入り込む垂れ体を設けて構成したものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−108499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載された従来の技術では、受け具自体は袋体とは全くの別体であって部品点数が多く構成が複雑であり、商品としてのコストが嵩むという問題があった。また、袋体の開口部を開いた状態にして取り付ける作業が面倒であり、同様に袋体を取り外すための作業も面倒であり、使用に際してその準備作業が煩わしく、使い勝手が良くないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、袋体そのものが主要部をなし、部品点数が少なく構成も非常に簡素であり、コストが嵩むことなく低価格に抑えることができ、良好な作業環境を保つことに貢献でき、また、使用に際して壁面への取り付けや準備も容易であり使い勝手が良く、切削屑等の粉塵を確実に回収して安全に処分することができる粉塵収納袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]粉塵を収納するための粉塵収納袋(10)において、
表裏のシート(11a,11b)の両側辺(12,13)と底辺(14)が合わさり上辺が開口する袋体(10a)と、該袋体(10a)を壁面(1)に対して着脱可能に取り付けるための取付手段(20)とを有し、
前記袋体(10a)が開口する表裏のシート(11a,11b)の各上辺(15,16)のうち、壁面(1)に対向する裏側シート(11b)の上辺(16)に、正面を向く表側シート(11a)の上辺(15)よりも一段高く、かつ、少なくとも一部の横幅が両側辺(12,13)より中心側に所定長さ切り欠かれて狭まる幅狭部(17)のある被取付片(18)が形成され、
前記取付手段(20)は、前記被取付片(18)のうち前記幅狭部(17)より上方の上端縁(18a)を壁面(1)に対して密着した状態に取り付けるものであることを特徴とする粉塵収納袋(10)。
【0008】
[2]前記取付手段(20)は、前記被取付片(18)に沿って開口内周側より重ね合わされ、該被取付片(18)の上端縁(18a)より上方へ延出し、該延出した部位を壁面(1)に密着させて取り付けるテープであることを特徴とする前記[1]に記載の粉塵収納袋(10)。
【0009】
[3]前記袋体(10a)が開口する表裏のシート(11a,11b)の各上辺(15,16)に沿って、両側辺(12,13)における折り目の箇所を跨ぐように装着され、該袋体(10a)の開口状態を維持するための補助部材(21)を備えたことを特徴とする前記[1]または[2]に記載の粉塵収納袋(10)。
【0010】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の粉塵収納袋(10)によれば、その主要部をなす袋体(10a)は、表裏のシート(11a,11b)の両側辺(12,13)と底辺(14)が合わさり上辺(15,16)が開口する簡素な構成であるが、この表裏のシート(11a,11b)の各上辺(15,16)の一方に、袋体(10a)を開口しやすくする工夫が施されている。
【0011】
すなわち、表裏のシート(11a,11b)のうち、壁面(1)に対向する裏側シート(11b)の上辺(16)に、正面を向く表側シート(11a)の上辺(15)よりも一段高く、かつ、少なくとも一部の横幅が両側辺(12,13)より中心側に所定長さ切り欠かれて狭まる幅狭部(17)のある被取付片(18)が形成される。この被取付片(18)のうち幅狭部(17)より上方の上端縁(18a)を、取付手段(20)によって壁面(1)に密着した状態に取り付けて使用する。ここで、壁面(1)に対する袋体(10a)の取付位置は、壁面(1)を例えばドリルで穿孔する等の施工箇所の直ぐ下側とする。
【0012】
袋体(10a)において、壁面(1)に取り付けた被取付片(18)のうち、その横幅が狭まっている幅狭部(17)では、その両端の切り欠き箇所にて上下に分断され、上下方向に連続していない。よって、幅狭部(17)より前方に位置する表側シート(11a)の上辺(15)のうち特に両端部分は上から吊られるような支えがなく、自重によって壁面(1)から離れる前方へと広がるように変形しやすい。これにより、袋体(10a)を単に壁に取り付けるだけで、容易に開口状態を維持することができる。
【0013】
かかる開口状態の収納袋によって、壁面(1)の施工に伴い発生する切削屑等の粉塵は、床にこぼれ落ちることなく回収される。取付手段(20)は、壁面(1)に対して着脱可能であるため、袋体(10a)は粉塵がある程度溜まるまで繰り返し使用することができる。このような粉塵収納袋(10)は、袋体(10a)内に粉塵がいっぱいとなったり、あるいは取付手段(20)の取り付け力が低下した時点で、そのまま廃棄する使い捨てであるが、粉塵を袋体(10a)から取り出して廃棄したのち、再び使用してもかまわない。
【0014】
前記取付手段(20)としては、具体的には例えば前記[2]に記載したように、前記被取付片(18)に沿って開口内周側より重ね合わされ、該被取付片(18)の上端縁(18a)より上方へ延出し、該延出した部位を壁面(1)に密着させて取り付けるテープを採用すると良い。このような簡易なテープによって、袋体(10a)を壁面(1)に確実に取り付けることができる。特にテープは、前記被取付片(18)に沿って開口内周側より重ね合わされ、該被取付片(18)の上端縁(18a)より上方へ延出するため、上端縁(18a)が壁面(1)より離間することはなく、その隙間に粉塵が残留したり下方へ落下することを防止できる。
【0015】
また、前記[3]に記載したように、袋体(10a)が開口する表裏のシート(11a,11b)の各上辺(15,16)に沿って、補助部材(21)を、両側辺(12,13)における折り目の箇所を跨ぐように装着すると良い。かかる補助部材(21)によって、袋体(10a)を確実に開口状態に維持することができ、袋体(10a)の開口に何かが触れて狭小となるような不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる粉塵収納袋によれば、袋体そのものが主要部をなし、部品点数が少なく構成も非常に簡素であり、コストが嵩むことなく低価格に抑えることができ、また、使用に際して壁面への取り付けや準備も容易であり使い勝手が良く、切削屑等の粉塵を確実に回収して安全に処分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る粉塵収納袋を示す正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る粉塵収納袋を壁面に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る粉塵収納袋を壁面に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る粉塵収納袋を壁面に取り付けた使用状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る粉塵収納袋を壁面に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係る粉塵収納袋の補助部材を示す正面図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態に係る粉塵収納袋を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1から
図4は、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1に示すように、本実施の形態に係る粉塵収納袋10は、壁面1(
図2参照)の施工時に生じる切削屑等を含めた粉塵を収納するものである。ただし、粉塵収納袋10の用途は切削屑の回収に限定されることなく、壁状の部位に取り付けた状態で様々な粉塵の回収に適用することができる。
【0019】
粉塵収納袋10は、表裏のシート11a,11bの両側辺12,13と底辺14が合わさり、上辺15,16が開口する袋体10aと、該袋体10aを壁面1に対して着脱可能に取り付けるための取付手段20を有する。ここで袋体10aを構成する表裏のシート11a,11bは、材質は特に限定されないが、具体的には例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等からなる単層または多層の樹脂シートの他、紙や布等を用いることができる。樹脂シートを用いる場合は、内部が透けて見えるように透明(半透明を含む)であることが好ましい。また、焼却しても有害ガスが生じない材質が良い。
【0020】
表裏のシート11a,11bは、それぞれ基本的には縦長の長方形であり、両側辺12,13と底辺14で互いに一体に合わさった折り目をなしている。一方、各上辺15,16は、袋体10aの開口をなすため、一体に合わさる両端(両側辺12,13)を除いて互いに分離している。ここで、壁面1に対向する裏側シート11bの上辺16には、正面を向く表側シート11aの上辺15よりも一段高く、かつ、一部の横幅が両側辺12,13より中心側に所定長さ切り欠かれて狭まる幅狭部17のある被取付片18が形成されている。
【0021】
詳しく言えば、裏側シート11bの上辺16にある被取付片18は、表側シート11aの上辺15より上側に延び出ている。この被取付片18の途中は、両側辺12,13より中心側に所定長さ分だけ矩形に切り欠かれており、両側の切り欠きの間が横幅の狭まった幅狭部17となる。ここで幅狭部17の下端は、表側シート11aの上辺15と同じ高さ位置にあり、また、幅狭部17の上端より上方となる上端縁18aは、両側辺12,13間の横幅と一致している。
【0022】
このような袋体10aは、表裏のシートが同一の長方形である一般的な袋の上辺側を一部切り欠くことで容易に作成することができる。また、袋体10aにおいて表裏のシート11a,11bの底辺14を含む下部は、
図1および
図2に示した形状に限られることなく、底が平らに広がるように立体成形したものであっても良い。
【0023】
取付手段20は、袋体10aを壁面1に対して着脱可能に取り付けるものであれば何でも良く、前記被取付片18のうち幅狭部17より上方の上端縁18aを壁面1に対して密着した状態に取り付けるものが該当する。かかる取付手段20は、具体的には例えば、一般的な粘着テープをそのまま利用することができる。すなわち、粘着テープである取付手段20は、その長手方向に延びる下半部が、前記被取付片18の上端縁18aに沿って開口内周側より予め重ね合わされ接着されており、長手方向に延びる上半部が、上端縁18aより上方へ延出し、該上半部を壁面1に密着させて取り付けることができる。
【0024】
このような粘着テープの上半部の粘着面は、壁面1に対して粘着力が弱るまで繰り返し着脱可能となっている。この粘着面には、必要に応じて剥離紙を貼着しておき、使用時に剥がすようにすると良い。また、補助として粘着テープの両端等の適所を、押しピンで壁面1に刺して固定しても良い。さらに、テープにて被取付片18の上端縁18aより上方へ延出した上半部の裏面は、必ずしも粘着面とする必要はなく、テープの適所を押しピンだけで壁面に固定するようにしても良い。
【0025】
次に、本実施の形態に係る粉塵収納袋10の作用を説明する。
粉塵収納袋10を使用する際には、
図4に示すように、壁面1をドリルで穿孔する等の施工箇所の直ぐ下側に、被取付片18を取付手段20である粘着テープによって取り付ける。このように、袋体10aに予め設けられている粘着テープを壁面1に取り付けるだけの簡単な準備で、直ぐに使用することができる。ここで粘着テープは、前記被取付片18に沿って開口内周側より重ね合わされており、該被取付片18の上端縁18aより上方へ延出する上半部の粘着面により壁面1に取り付けられる。
【0026】
このような簡易な粘着テープによって、袋体10aを壁面1に確実に取り付けることができる。また、
図2に示すように、粘着テープは被取付片18の開口内周側を覆う状態で壁面1に取り付けられるため、被取付片18の上端縁18aが壁面1より離間することはなく、その隙間に粉塵が残留したり下方へ落下することを防止することができる。なお、前述したように、粘着面には剥離紙を貼着しておき、使用時に剥がすと良い。
【0027】
また、粘着テープの両端等の適所を、補助として押しピンで壁面1に刺して固定しても良い。さらに、テープにて被取付片18の上端縁18aより上方へ延出した上半部の裏面は必ずしも粘着面とする必要はなく、テープの適所を押しピンだけで壁面に固定するようにしても良い。要するに、取付手段20は、袋体10aを壁面1に対して着脱可能に取り付けるものであれば何でも良く、その他、ネジで止めたり、クリップで留めたり、あるいは面ファスナ等を利用しても良い。また、押しピンやネジ等は、粘着テープで取り付ける前の仮止めとして用いても良い。
【0028】
壁面1に取り付けられた粉塵収納袋10は、袋体10a自体の構成により、表裏のシート11a,11bの上辺15,16同士が自然と拡開した開口状態となる。前述したように、袋体10aにおいて、壁面1に取り付けた被取付片18のうち、その横幅が狭まっている幅狭部17では、その両端の切り欠き箇所にて上下に分断され、上下方向に連続していない。よって、幅狭部17より前方に位置する表側シート11aの上辺15のうち特に両端部分は上から吊られるような支えがなく、自重によって壁面1から離れる前方へと広がるように変形しやすい。これにより、袋体10aを単に壁に取り付けるだけで、容易に開口状態を維持することができる。
【0029】
そして、
図4に示すように、開口状態にある袋体10aの上方の壁面1で、ドリルで穿孔する等の施工に伴い発生する切削屑等の粉塵は、施工後の仕上がった床に散乱することなく確実に回収される。また、取付手段20は、壁面1に対して着脱可能であるため、袋体10aは粉塵がある程度溜まるまで繰り返し使用することができる。
【0030】
また、粉塵収納袋10は、袋体10a内に粉塵がいっぱいとなったり、あるいは取付手段20の取り付け力が低下した時点で、そのまま粉塵収納袋10ごと廃棄することができる。この場合、粘着テープの粘着面を、袋体10aの開口を閉じるように折り返して表側シート11aに貼り付けることにより、袋体10aの開口を閉塞状態に維持することができ、内部の粉塵が漏れたり飛散することなく廃棄処分することができる。このとき、粉塵が入った袋体10aを寿司巻状に巻き、粘着テープで固定すれば、よりコンパクトに廃棄処分することができる。
【0031】
このような粉塵収納袋10は、その主要部をなす袋体10aが、表裏のシート11a,11bの両側辺12,13と底辺14が合わさり上辺15,16が開口する極めて簡素な構成であり、極めて容易に製造することができる。よって、商品として、コストが嵩むことなく低価格に抑えることができる。また、商品のみならず、各種ノベルティーとして活用することもできる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図5および
図6は、本発明の第2の実施の形態を示している。
本実施の形態では、袋体10aが開口する表裏のシート11a,11bの各上辺15,16に沿って、両側辺12,13における折り目の箇所を跨ぐように開口内周側より装着され、該袋体10aの開口状態を維持するための補助部材21を備えている。なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、補助部材21は、袋体10aの開口内周側のうち両側辺12,13の折り目の箇所を含むように両側に対向する一対として備えられている。ここで補助部材21は、ある程度弾発性がある可撓性の樹脂や厚紙等から、
図6に示す細幅の帯状、あるいは図示省略したが形状記憶合金等の針金や合成樹脂を線状に形成したものでも良い。
【0034】
かかる補助部材21は、袋体10aの開口内周側にて湾曲させた状態に撓ませて両端を引っ掛けるように弾発的に仮止めしても良いが、両端を両面テープ22等によって接着すれば、確実に装着することができる。ここで補助部材21の一端は、
図5に示したように、裏側シート11b越しに壁面1に当接させることで支点となり、なおさら広がった形状に保つことができる。
【0035】
このような第2の実施の形態によれば、袋体10aの開口周縁の特に両側付近が折り癖で閉じられることを防ぐことができ、表裏のシート11a,11bの各上辺15,16が閉口した状態に戻ることが防止される。かかる補助部材21によって、袋体10aを確実に開口状態に維持することができ、袋体10aの開口に何かが触れて狭小となるような不都合を防止することができる。なお、補助部材21の装着は、必ずしも袋体10aの開口内周側からに限られるものではなく、開口外周側から装着するようにしても良い。
【0036】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図7は、本発明の第3の実施の形態を示している。
本実施の形態では、袋体10aにある被取付片19の形状が、前述した第1の実施の形態における被取付片18と異なっている。すなわち、本実施の形態の被取付片19は、その高さ方向の全長に亘って、両側辺12,13より中心側に所定長さ分だけ矩形に切り欠かれており、その全てにおいて横幅の狭まった幅狭部となっている。そして、被取付片19の上端縁19aが、その両側方向の全幅に亘って取付手段20である例えば粘着テープによって壁面1に対して貼り付けられる。
【0037】
このような第3の実施の形態によれば、より簡易に袋体10aを形成することができ、いっそうコストを低減することが可能となる。また、被取付片19の上端縁19aの長さに合わせて粘着テープも短くなるが、壁面1に対して着脱可能に接着できる粘着力があれば足りる。また、粘着テープの長さを、上端縁19aの両端より延出させて長くしても良い。なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0038】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態では、壁面1に対する施工時に生じる切削屑を回収することを前提として説明したが、他に例えば、机類の天板の端等に取り付けるようにして、机上での作業で生じた粉塵あるいは塵屑の類を回収するものであっても良い。要するに、大きさや形状を問わず様々な壁面に取り付けて使用することができるものである。
【0039】
また、取付手段20である粘着テープは、被取付片18,19の上端縁18a,19aの全長に亘って取り付ける必要はなく、例えば、両端だけとか所定間隔おきに分断して取り付けても良い。また、前述した取付手段20は、粘着テープを含む様々なテープで構成することなく、前記押しピンだけで被取付片18の上端縁18aを壁面1に取り付けるように構成することもできる。さらに、別の構成として、上端縁18aの開口外周側の面に両面テープを貼り付けておき、被取付片18に接着しない方の粘着面で壁面1に取り付けるようにしても良い。
【0040】
さらにまた、前記被取付片18,19において、幅狭部17をなすために矩形に切り欠いた箇所では、その切り込み隅の角の部分で強度が弱くなるため、切り込み隅の角形状に円みを持たせて使用の際の応力の集中を避けたり、あるいは、切り込み周縁に沿って素材の厚みを局所的に増したり、他の帯状のテープ等を貼り付けたりして補強し、より多くの粉塵の重量にも耐えられるようにすると良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、家屋や建物の壁面や机類の天板の端等に取り付けて使用する塵袋の一種として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…壁面
10…粉塵収納袋
10a…袋体
11a…表側シート
11b…裏側シート
12,13…側辺
14…底辺
15,16…上辺
17…幅狭部
18…被取付片
18a…上端縁
19…被取付片
19a…上端縁
20…取付手段
21…補助部材
22…両面テープ
【要約】
【課題】部品点数が少なく構成も非常に簡素であり、コストが嵩むことなく低価格に抑えることができ、良好な作業環境を保つことに貢献でき、また、使用に際して壁面への取り付けや準備も容易であり使い勝手が良く、粉塵を確実に回収して安全に処分することができる粉塵収納袋を提供する。
【解決手段】袋体10aを壁面1に対して着脱可能に取り付けるための取付手段20を有し、袋体10aが開口する表裏のシート11a,11bの各上辺15,16のうち、壁面1に対向する裏側シート11bの上辺16に、正面を向く表側シート11aの上辺15よりも一段高く、かつ、横幅が両側辺12,13より中心側に所定長さ切り欠かれて狭まる幅狭部17のある被取付片18が形成され、取付手段20は、被取付片18のうち幅狭部17より上方の上端縁18aを壁面1に対して密着した状態に取り付ける。
【選択図】
図1