【実施例1】
【0033】
図1は、本発明に係るエレクトレット型振動検出システム(以下、単に「振動検出システム」と称する。)10で使用される振動発電装置1の概略構成、特に外部振動により発電を行う構成を、振動発電装置1を縦断面(ZX平面)で切断したときの断面図である。なお、振動検出システム10の全体構成については、
図2および
図3に基づいて後述する。
【0034】
振動発電装置1は、不図示の筐体の内部に収納される可動部材3および固定部材5を備えている。可動部材3と固定部材5は、互いに対向した状態を保ったまま、X方向に沿って相対的に移動可能に構成されている。そして、本実施例においては、固定部材5は筐体に固定され、一方で、可動部材3は、その両端がそれぞれバネ4を介して筺体につながれている。そのため、可動部材3そのものは、振動発電装置1に作用する外部振動によって
筐体及び固定部材5に対して移動(振動)するように構成されている。
【0035】
なお、可動部材3と固定部材5は、互いに対向した状態で、かつ互いに平行な状態を保ったまま、つまり対向する面の間隔が一定の状態を保ったまま、相対的に移動可能に構成されている。これにより、可動部材3側のエレクトレット2の作用によって固定部材5側の一対の電極6、7間に発電電圧が生成される。この発電電圧の生成原理については従来技術であることから、本明細書ではその詳細な説明は割愛する。また、可動部材3と固定部材5との間の間隔を保持する構成、すなわち両者の円滑な相対移動を維持するための構成は、外部振動による発電効率を高めるために重要ではあるが、本願発明の核心から外れるものであるから、本明細書では言及は控えることとする。
【0036】
ここで、可動部材3側の構造について説明する。可動部材3における固定部材5との対向面側には、それぞれ導電体上に形成された複数のエレクトレット2が、振動方向(X方向)に等間隔で並べられている。なお、
図1においては、振動発電装置1の構造を簡略化するために、エレクトレット2は1つのみ記載している。また、振動方向に沿ったエレクトレット2の幅はW1とされる。なお、本実施例においては、エレクトレット2はマイナスの電荷を半永久的に保持するように構成されている。次に、固定部材5側の構造について説明する。固定部材5おける可動部材3との対向面側には、電極6、7を一対として、電極6、7が振動方向(X方向)に等間隔で複数対並べられている。なお、
図1においては、振動発電装置1の構造を簡略化するために、一対の電極6、7のみを記載している。また、振動方向に沿った電極6、7のそれぞれの幅はW2であり、電極6と電極7の間隔は全てにおいて等しくW3である。
【0037】
ここで、エレクトレット2の幅W1は電極6、7の幅W2と等しく、電極6、7間の間隔W3は、W1、W2に対して十分に小さい。また、振動発電装置1に外部振動が作用していない場合、すなわち可動部材3が二つのばね4から受ける弾性力が等しく、固定部材5に対して静止している状態(以下、「静止状態」という。)では、エレクトレット2の幅W1の中心は、電極6、7間の間隔W3の中心と一致する。したがって、可動部材3が静止状態にある場合には、振動方向において、エレクトレット2は、電極6および電極7に対して均等に跨った状態となっている。そして、振動発電装置1に対して想定される最大の外部振動が作用したときの、可動部材3の最大振幅をA0とすると、エレクトレット幅W1と電極幅W2は、以下の関係を満たす。
W1 = W2 > 2×A0
【0038】
そのため、仮に外部振動により可動部材3が想定の最大振幅A0で振動したとしても、可動部材2の振動方向の端部2aが、その振幅の全過程にわたって電極間の間隔W3を横切ることはない。すなわち、可動部材3が想定の最大振幅A0で振動する場合であっても、エレクトレット2は、電極6と電極7のそれぞれに重なり合う面積は変動するものの、常に電極6および電極7の両者に対して跨った状態が形成される。したがって、
図1に示す振動発電装置1は、本発明に係る非横断型振動発電装置に相当する。そして、非横断型振動発電装置である振動発電装置1は、エレクトレット2の端部2aが電極間の間隔W3を横切らない構成となっているため、その発電電圧にリップル電圧が重ならず、原理的には外部振動の周期に一致した発電電圧を出力する。
【0039】
次に、上記のように構成される振動発電装置1を利用して、構造体に発生する外部振動の情報を生成、収集する振動検出システム10について、
図2および
図3に基づいて説明する。
図2は、振動検出システム10の概略構成を示す図であり、
図3は、振動検出システム10を構成する振動発電装置1およびサーバ20で所定の目的のために発揮される機能を、機能部としてイメージ化した機能ブロック図である。
【0040】
具体的には、
図2は、本発明に係る振動発電装置1を利用した、橋梁50のメンテナンスのための振動情報を検出するシステムの概略構成を示す。橋梁50は使用年月の経過とともに、強度等の性能が劣化していくため、適時、橋梁50の性能変化を把握しておく必要がある。例えば、地震や度重なる大型車両の通行等によって生じる橋梁50の劣化の進行に応じて、橋梁50の振動に関する振動変位(振幅)や振動速度が変化していく。そこで、橋梁50に上記振動発電装置1が数個、設置される。振動発電装置1が設置される場所としては、振動により橋梁50の強度劣化等が懸念される個所などが挙げられる。また、振動発電装置1は、後述するように出力発電電圧の推移情報を、無線で基地局15に送信する。この基地局15はインターネット16に接続されており、受信した情報は、インターネット16を経由してサーバ20に届けられる。
【0041】
このサーバ20は、取得した情報を利用して橋梁50に発生する外部振動に関する情報の生成および収集に関する処理を行い、橋梁50がどのような状態に置かれているか(たとえば、強度の低下の程度など)について判断などを行う。また、サーバ20は、当該判断に必要なその他の情報(橋梁50が存在している地域の気象データや橋梁50の交通荷重データ等)を、インターネット16に接続されているデータサーバ17、18等から取得することも可能である。
【0042】
ここで、振動検出システム10の中核をなす振動発電装置1およびサーバ20が発揮する機能をイメージ化して表した機能ブロックを
図3に示す。もちろん、振動発電装置1およびサーバ20は、
図3に示す機能部以外の機能部を有していても構わない。振動発電装置1内には、蓄電部11、推移情報記憶部12が形成される。なお、振動発電装置1は、CPU、メモリ等を含むコンピュータにも相当し、そこで所定のプログラムが実行されることでこれらの機能部が形成される。蓄電部11は、外部振動により電極間6、7に発生した電力を発電電力として蓄電する。蓄電部11に蓄電された電力は、振動発電装置1内の様々な信号処理等に利用される。推移情報記憶部12は、外部振動により電極間6、7に発生した出力発電電圧の推移に関する情報(以下、単に「推移情報」と称する。)を、振動発電装置1内のメモリに記憶する機能部であり、当該記憶に要する電力は、蓄電部11から供給される。また、推移情報記憶部12による推移情報の記憶は常時行ってもよいが、記憶に要する電力消費の抑制やメモリの記憶容量を考慮して、所定期間ごとに断続的に行うようにしてもよい。
【0043】
更に、振動発電装置1内には、送信部13が形成され、送信用電池14が設けられている。送信部13は、推移情報記憶部12が記憶している推移情報を、基地局15に送信する機能部である。なお、データを無線で基地局15に送信するには、相応の電力が必要となるため、送信電力については、蓄電部11の蓄電電力ではなく、送信用電池14から供給を受ける。しかし、蓄電部11の蓄電電力に余裕がある場合には、送信用電池14に代えて蓄電部11から情報送信のための電力供給を行ってもよい。
【0044】
次に、サーバ20内には、推移情報取得部21、出力スペクトル情報算出部22、振動速度情報生成部23、振動変位情報生成部24、伝達関数情報記憶部25が形成される。なお、サーバ20は、CPU、メモリ等を含むコンピュータに相当し、そこで所定のプログラムが実行されることでこれらの機能部が形成される。先ず、推移情報取得部21は、振動発電装置1から基地局15を介して送信されてきた、振動発電装置1の出力発電電圧の推移情報を取得する。なお、
図2に示すように、振動検出システム10には複数の振動発電装置1が含まれる場合には、推移情報取得部21は、取得した推移情報がどの振動検出装置1からのものであるか判別可能な状態で管理するのが好ましい。次に、出力スペクトル情報算出部22は、推移情報取得部21が取得した推移情報に対してフーリエ変換を施すことで、当該推移情報の出力スペクトル情報を算出する。当該出力スペクトル情報の算出については、後述する。
【0045】
次に、振動速度情報生成部23は、出力スペクトル情報算出部22によって算出された出力スペクトル情報と、後述する伝達関数情報とに基づいて、上記推移情報の起源となった振動発電装置1に作用した外部振動に関する情報のうち、振動速度に関する情報を生成する機能部である。また、振動変位情報生成部24は、当該外部振動に関する情報のうち、振動変位に関する情報を生成する機能部である。これらの外部振動に関する情報生成については、後述する。
【0046】
次に、伝達関数情報記憶部25は、振動速度情報生成部23、振動変位情報生成部24が、それぞれに対応する外部振動情報を生成するために利用する伝達関数情報を記憶する機能部である。当該伝達関数情報とは、振動発電装置1に入力される外部振動の周波数に応じて出現する、外部振動速度(m/s)と振動発電装置1の出力発電電圧(V)との間の所定の比例関係に基づいて形成されるものである。この所定の比例関係においては、外部振動の周波数ごとに、外部振動速度と出力発電電圧との間の比例関係を決定する比例定数である伝達係数を導出でき、そして、当該伝達係数と外部振動の周波数を相関づけることで、上記伝達関数情報が形成される。
【0047】
ここで、
図4および
図5に基づいて、上記伝達関数情報の生成フローについて説明する。
図4は、伝達関数情報を生成するための伝達関数情報生成処理のフローチャートを示す。当該伝達関数情報生成処理は、サーバ20もしくはそれ以外のコンピュータ(振動検出システム10に含まれるか否かにかかわらず、任意のコンピュータ)において所定のプログラムが実行されることで行われる処理であり、それにより生成された伝達関数情報が、伝達関数情報記憶部25に記憶されることになる。そして、当該伝達関数情報生成処理は、振動検出システム10における外部振動情報の生成処理(後述の
図6に示す処理)とは独立に行われる処理であるが、外部振動情報の生成処理に対して事前に行われるか、同時並行して行われるかは問われない。後者の場合には、伝達関数情報記憶部25に記憶される伝達関数情報は、逐次更新される形態が含まれる。
【0048】
以下に
図4に示す伝達関数情報生成処理の詳細について説明するが、以下の説明においては、当該処理は、振動検出システム10における外部振動情報の生成処理(後述の
図6に示す処理)に対して事前に行われることとする。先ず、S101では、振動発電装置1に対して特定の単一周波数の外部振動が振動発電装置1に入力され、S102において、その際の振動発電装置1の出力発電電圧と、入力された外部振動の振動速度との相関が計測される。なお、入力される外部振動の周波数は、振動検出システム10で振動発電装置1によって検出を想定する外部振動の所定の周波数範囲に属する周波数である。本実施例では、当該所定の周波数を0〜20Hzに定め、S101では0.5Hz毎に外部振動の周波数を変化させていき、その際の外部振動速度と出力発電電圧との相関がS102で計測されていく。
【0049】
次に、S103では、S102で計測された結果に基づいて伝達係数の算出が行われる。ここで、
図5の(a)、(b)図に基づいて伝達係数の算出について説明する。
図5(a)は、振動発電装置1に対して11Hzの外部振動が入力されたときの出力発電電圧の推移を示し、
図5(b)は、複数の計測点(本実施離柄においては5点)での、入力された外部振動の振動速度と、計測された出力発電電圧の関係から、両者の比例関係を規定する直線L1を示す。なお、直線L1は、複数の計測点に基づいて、最小二乗法等の既知の手法により導出され、本実施例では、直線L1は以下の式1で定義される。
y=3.4433x−0.0011 ・・・(式1)
(x:外部振動速度、y:出力発電電圧)
【0050】
このとき、式1における比例定数3.4433が、外部振動速度と出力発電電圧の間の
比例関係を決定する伝達係数とされる。なお、式1においては切片として−0.0011が存在するが、理論的には外部振動速度が零であるときには出力発電電圧は零となるものであり、また当該切片の値も極めて微小であることから、上記式1は、外部振動速度と出力発電電圧との間に存在する所定の比例関係(伝達係数3.4433で規定される比例関係)を示すものとして扱うことができる。また、
図5(a)、(b)に示すのは入力された外部振動の周波数が11Hzのときのものであって、上記の通り、所定の周波数範囲(0〜20Hz)の範囲における0.5Hz刻みの外部振動のそれぞれの入力に対して、
図5(b)に示すように外部振動速度と出力発電電圧の間の比例関係における伝達係数が算出される。
【0051】
そして、S104で所定の周波数範囲(0〜20Hz)での上記計測が完了したか否かが判定される。S104で肯定判定されるとS105へ進み、否定判定されると計測が行われていない周波数に関し、S101〜S103の処理が行われる。
【0052】
S105では、S104で算出された伝達係数を、
図5(c)の上段に示すように、それぞれの伝達係数に対応する外部振動の周波数と関連付けてプロットすることで、所定の周波数範囲における外部振動の周波数と、伝達係数との相関からなる伝達関数情報が生成される。本実施例の伝達関数情報では、入力される外部振動の周波数が9Hz近傍であるときに、伝達係数がピーク値を迎える特性が見出せる。また、
図5(c)の下段には、入力される外部振動の周波数と、出力発電電圧に表れる位相遅れが示されており、外部振動の周波数が約9Hzを超えると大きな位相遅れが発生する特性が見出せる。
【0053】
このように伝達関数情報生成処理で生成される伝達関数情報は、振動発電装置1に入力される外部振動の周波数に対応した、振動発電装置の出力発電電圧を外部振動の振動速度に変換する関数の情報である。そこで、この伝達関数情報を利用して、振動検出システム10に含まれる振動発電装置1の出力発電電圧から、当該振動発電装置1に作用した外部振動に関する情報、すなわち外部振動速度情報および外部振動変位情報を生成する処理について、
図6および
図7に基づいて説明する。なお、これらの処理が、
図3に示す振動速度情報生成部23および振動変位情報生成部24によって実行されることになる。
【0054】
ここで、
図6は、上記の通り、振動検出システム10に含まれる振動発電装置1に作用した外部振動の速度情報および変位情報を生成する外部振動情報生成処理のフローチャートである。S201では、推移情報取得部21が取得した振動発電装置1からの推移情報のうち、所定期間の推移情報が抽出される。例えば、
図7(a)に示される推移情報のうち、点線で囲まれた期間における推移情報が抽出される。この所定期間の設定については、外部振動情報生成処理に要するサーバ20の負荷や、出力スペクトル情報の算出精度等を考慮して適宜設定される。S201の処理が終了すると、S202へ進む。
【0055】
S202では、S201で抽出された電圧推移情報に対してフーリエ変換を施し、周波数成分に対する出力スペクトル情報が算出される(
図7(b)を参照)。この出力スペクトル情報の算出は、上述した所定の周波数範囲に対応する範囲で行えばよいが、
図7(b)では、所定の周波数範囲より広い0〜30Hzまでの範囲での出力スペクトル情報が示されている。
図7(b)に示す結果では、所定の周波数範囲内に大半の出力スペクトル情報が出現している。S202の処理が終了すると、S203へ進む。
【0056】
S203では、伝達関数記憶部25に記憶されている伝達関数情報の読み込みが行われ、S204へ進む。S204では、S202で算出された出力スペクトル情報、すなわち
図7(b)に示す出力スペクトル情報のうち所定の周波数範囲(0〜20Hz)に対応する出力スペクトル情報と、S203で読み込まれた伝達関数情報に基づいて、外部振動の速度情報の生成が行われる。具体的には、周波数ごとの出力スペクトル情報値に当該周波
数に対応する伝達係数の逆数を乗じるとともに、当該周波数に対応する位相遅れを考慮し、更に逆フーリエ変換を施すことで、所定期間における外部振動速度情報が生成される。
【0057】
また、S205において、S204で生成された外部振動速度情報を時間積分することで、外部振動変位情報が生成される。その生成された外部振動変位情報を、
図7(c)に示す。このように、振動検出システム10では、外部振動変位情報は1度の時間積分によって算出されることになる。
【0058】
上記の外部振動情報生成処理において使用される伝達関数情報は、外部振動に含まれる所定の周波数範囲において、振動発電装置1の出力発電電圧を外部振動の振動速度に変換する関数の情報でありながら、伝達関数情報に含まれる伝達係数は、出力発電電圧と外部振動速度との間の比例関係における比例定数であるため、伝達関数情報を用いた外部振動速度への変換は極めて効果的であり、故に当該変換を介した外部振動速度の算出を容易に、且つ精度よく実現することができる。特に、振動発電装置1が
図1に示すように非横断型振動発電装置であることから、伝達関数情報にリップル電圧によるノイズが含まれておらず、高精度の外部振動速度の生成が期待される。
【0059】
また、一般に橋梁50に生じる振動(振動発電装置1に作用する振動)には様々な周波数成分が含まれているが、上記の通り、伝達関数情報記憶部25が記憶する伝達関数情報は、外部振動に含まれる所定の周波数範囲における外部振動の振動速度と、振動発電装置の出力発電電圧との相関を規定するものであるため、実際に振動発電装置1に作用する外部振動情報を、振動発電装置1の出力発電電圧に基づいて適切に算出することができる。
【0060】
<変形例1>
図2に示す振動検出システム10は、橋梁50に設置された振動発電装置1とそれから離れて設置されたサーバ20によって構成され、両者の間は無線通信およびインターネット通信を介して情報の送受信が可能となるように電気的に接続されている。そこで、
図2に示す振動検出システム10の構成に代えて、振動発電装置1に、サーバ20側の出力スペクトル情報算出部22、振動速度情報生成部23、振動変位情報生成部24、伝達関数情報記憶部25の機能を持たせて、そこに振動検出システムを形成する構成を採用することもできる。すなわち、橋梁50側に設けられた振動発電装置1内で上を記外部振動情報生成処理を行うものである。このような場合も、情報収集の観点から、振動発電装置1内で生成された外部振動速度情報等を、無線通信等を介してサーバ20で集約するのが好ましい。
【0061】
<変形例2>
図6に示す外部振動情報生成処理では、推移情報取得部21が取得した推移情報のうちS201で抽出された部分的な推移情報から、外部振動速度情報、外部振動変位情報の生成が行われるが、それに代えて、推移情報取得部21が取得した推移情報の全部に基づいて外部振動速度情報、外部振動変位情報を生成するようにしてもよい。この場合、S202においてフーリエ変換を行うために、処理の対象となる推移情報の時間範囲が比較的長い場合には、フーリエ変換の条件次第では、出力スペクトル情報の算出誤差が大きくなり得る。
【0062】
そこで、推移情報取得部21が取得した推移情報から、複数の部分的な推移情報であってその部分的な推移情報同士には重複する部分が存在するよう当該複数の部分的な推移情報を窓関数を用いて抽出する。そして、抽出された部分的な推移情報のそれぞれに対して、S202〜S205の処理を施し、部分的な推移情報に対応した部分的な外部振動速度情報、および部分的な外部振動変位情報を生成する。そして、部分的な推移情報における上記重複部分に対応する、部分的な外部振動速度情報および部分的な外部振動変位情報に
おける部分を、各部分的な情報ごとに重ね合わせることで、全部の推移情報に対応した、全部の外部振動速度情報および全部の外部振動変位情報を生成するようにしてもよい。このように各情報を生成することで、上述したフーリエ変換時の算出誤差の影響を軽減させることができる。
【0063】
なお、部分的な外部振動速度情報同士の重ね合わせ、および部分的な外部振動変位情報の重ね合わせに関する処理は、情報同士の平均化、所定の重ね合わせ用の関数の利用等、様々な手法を用いることができる。