(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1又は2記載のリビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下、1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製造方法。
ラジカル重合可能なビニル系モノマーが、スチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6又は7記載のブロック共重合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]
リビングカチオン重合開始剤系
まずはじめに、第1の発明である本発明のリビングカチオン重合開始剤系について説明する。
【0018】
本発明のリビングカチオン開始剤系は下記成分:
(A)エーテル類に溶解したプロトン酸と、
(B)前記式(1)で表されるRAFTカチオン剤
とを含むものである。
【0019】
成分(A)において、プロトン酸を溶解させるエーテル類としては、プロトン酸を解離させる能力があれば特に限定されないが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等が挙げられる。このうち、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサンが好ましく使用される。
【0020】
また、プロトン酸としては、強酸であれば特に限定されないが、塩化水素、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸が好ましく、塩化水素が特に好ましい。
【0021】
一方、成分(B)のRAFTカチオン剤において、式(1)中、R
1で示される分岐を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0022】
また、R
2で示される分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
【0023】
更に、式(1)中、R
3で示される置換又は非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−へプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシルチオ基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、3−メトキシシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基などの環状アルキル基など等が挙げられる。
【0024】
置換又は非置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メトキシ−1一ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。
【0025】
置換又は非置換のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、ナフチルメチル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基等が挙げられる。
【0026】
置換又は非置換のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−へキシルチオ基、n−へプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−へプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−エイコシルチオ基等の直鎖状アルキルチオ基;イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の分岐状アルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、3−メチルシクロペンチルチオ基、3−メトキシシクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、4−メチルシクロヘキシルチオ基、4−メトキシシクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基またはシクロオクチルチオ基などの環状アルキルチオ基など等が挙げられる。
【0027】
置換又は非置換のアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、2,4−キシリルチオ基、2,5−キシリルチオ基、3,4−キシリルチオ基、3,5−キシリルチオ基、o−トリルチオ基、m−トリルチオ基、p−トリルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、3−メトキシフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、4−メチル−1−ナフチルチオ基、4−メトキシ−1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントラセニルチオ基、9−アントラセニルチオ基等が挙げられる。
【0028】
置換又は非置換のアリールアルキルチオ基としては、例えば、ベンジルチオ基、4−メチルベンジルチオ基、4−フェニルベンジルチオ基、ナフチルメチルチオ基、トリフェニルメチルチオ基、トリフェニルエチルチオ基等が挙げられる。
【0029】
置換又は非置換のアシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等が挙げられる。
【0030】
上記のうち、好ましいR
3としては、直鎖又は分岐状のアルキル基、置換又は非置換のフェニル基もしくは置換又は非置換のベンジル基が挙げられ、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基が好ましい。
【0031】
また、式(1)中、Qは各々独立に酸素原子または硫黄原子であるが、ラジカル重合を引き続き行うためには、Qは酸素原子よりもむしろ硫黄原子が好ましい。
【0032】
なお、上記式(1)で示されるRAFTカチオン剤は、下記式(2)
【化2】
(式中、R
1、R
2及びpは、前記式(1)と同義である)
で示されるビニルエーテルと、下記式(3)
【化3】
(式中、R
3及びQは、前記式(1)と同義である)
で示される化合物を反応させることにより得ることができる。
【0033】
本発明のリビングカチオン開始剤系において、成分(A)のプロトン酸は、開始反応を引き起こし、さらに、一部重合を開始させた生長カチオンがカチオンRAFT剤(B)に作用し、可逆的付加開裂連鎖移動カチオン重合が進行する。そのため、上述のプロトン酸の使用量は、RAFTカチオン剤(B)より必ず少ない量でなければならない。つまり、プロトン酸の使用量は、RAFTカチオン剤1モルに対して0.001モル以上、1モル未満であるのが好ましく、0.01モル以上、1モル未満であるのがより好ましく、0.1モル以上、1モル未満であるのが更に好ましい。
【0034】
本発明のリビングカチオン重合開始剤系は、金属ルイス酸の非存在下でカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させることができため、反応後の金属除去工程が不要となる。また、得られたポリマーは、末端にラジカル重合に有効な可逆的付加開裂連鎖移動可能な部位を有することから、ラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体の製造に好適に用いることができる。
【0035】
[2]
カチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製
造方法
次に、第2の発明であるカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製造方法について説明する。
【0036】
本発明では、カチオン重合可能なビニル系モノマーを第1の発明であるリビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下にリビングカチオン重合させる(以下、「メタルフリーリビングカチオン重合」という)。これにより該ポリマーの末端にラジカル重合に有効な可逆的付加開裂連鎖移動可能な部位を導入することができ、後述するように、得られたリビングポリマーにラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合させ、該カチオン重合可能なビニル系モノマーと該ラジカル重合可能なビニル系モノマーとブロック共重合体を得ることができる。
【0037】
このメタルフリーリビングカチオン重合における、前記リビングカチオン重合開始剤系の使用量は、必ずカチオン重合可能なビニル系モノマーよりもRAFTカチオン剤(B)が少なくなるようにする必要がある。具体的には、カチオン重合可能なビニル系モノマー1モルに対してRAFTカチオン剤(B)が0.001モル以上、1モル未満となるように用いることが好ましい。
【0038】
また、前記リビングカチオン重合開始剤系において、成分(A)として含まれるエーテル類の量は、カチオン重合可能なビニル系モノマー1モルに対して0.01〜100モルであるのが好ましい。また、溶媒としてエーテル類を用いても構わないが、エーテル類の総量が上記範囲を超えて多くなると重合速度が遅くなる。
【0039】
メタルフリーリビングカチオン重合に用いられるモノマーは、カチオン重合可能なビニル系モノマーであれば特に限定されないが、アルケニルエーテル、インデン、N−ビニルカルバゾール、スチレン類が挙げられる。好適には、スチレン、メトキシスチレン(o、m、p体)、メチルスチレン(o、m、p体)、クロロスチレン(o、m、p体)等のスチレン類及び下記式(4)
【化4】
(式中、R
4は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R
5は、ケイ素又は15
族から17族の元素のうち少なくとも一つの原子を含んでいてもよい1価の有機
基を示す)
で示されるアルケニルエーテルが好ましく使用される。
【0040】
上記式(4)中、R
5で示される1価の有機基の基本骨格としては、炭素数1〜24の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が挙げられる。また、15族から17族の元素としては、酸素、窒素、リン、イオウ、ハロゲン等が挙げられ、さらに酸素、窒素、イオウ、ハロゲンが好ましく、特に酸素、ハロゲンが好ましい。このうち、酸素を含む置換基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。また、ケイ素を含む置換基としては、アルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基が挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素が特に好ましい。
【0041】
R
5の好ましい例としては、フッ素原子又はアルコキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜24の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基が好ましい。ここで、炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜14のアリールアルキル基が好ましい。
【0042】
上記式(4)においてR
5で示される1価の有機基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基であって全部又は一部の水素がフッ素に置換されたフルオロアルキル基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は下記式(5)
【化5】
(ここで、qは0、1、2又は3であり、Yは未置換のフェニル基、又は、一つ又は
それ以上の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基、1〜4の直鎖又は分岐鎖ア
ルキル基であって全部又は一部の水素がフッ素に置換されたフルオロアルキル基、
炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されたフェニル基で
ある)
で表されるアリール基又はアリールアルキル基を挙げることができる。
【0043】
具体的には、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−アミル基、イソアミル基等が挙げられ、炭素数1〜6のフルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられ、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基としてはメトキシ基メチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカニル基、アダマンチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基等が挙げられ、アリールアルキル基としてはベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、フルオロベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基等が挙げられる。
【0044】
上述した前記式(4)で示されるアルケニルエーテルの具体例として、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;トリフルオロメチルビニルエーテル、ペンタフルオロエチルビニルエーテル、2,2,2−トリフルオロエチルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル類;2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル、2−テトラヒドロピラニルビニルエーテル、2−テトラヒドロフラニルビニルエーテル等のアルコキシアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘプチルビニルエーテル、シクロオクチルビニルエーテル、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルビニルエーテル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチルビニルエーテル、8−トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、4−メチルフェニルビニルエーテル、4−トリフルオロメチルフェニルビニルエーテル、4−フルオロフェニルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル類;ベンジルビニルエーテル、4−フルオロベンジルビニルエーテル等のアリールアルキルビニルエーテル類等が挙げられる。この中でも特に、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル等の低級アルキルビニルエーテル類を好ましく用いることができる。
【0045】
カチオン重合性可能なビニル系モノマーは、上記モノマーの中から1種類を選んで使用してもよいし、2種以上を混合して用いても良い。
【0046】
またメタルフリーリビングカチオン重合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒は、反応に不活性なものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ化合物、へキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の飽和炭化水素等、又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、中でも、ヘキサン及びトルエンが好ましく使用される。
【0047】
メタルフリーリビングカチオン重合の温度は、通常、−40〜100℃の間、好ましくは0〜35℃の間である。これらは、使用するエーテル類の沸点を超えてはならない。
【0048】
メタルフリーリビングカチオン重合時間は特に限定されず、カチオン重合可能なビニル系モノマーやRAFTカチオン剤の種類や使量等により調製できる。メタルフリーリビングカチオン重合により目的のカチオン重合可能なビニル系モノマーのリビングポリマーが得られた後に、反応液にアルコールや水を加え、重合を停止することができる。
【0049】
重合停止に用いるアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等であり、中でもメタールが好んで使用される。重合停止剤の使用量はルイス酸1モルに対して、1モル〜100モル使用するのが好ましい。
【0050】
このように重合すると、メタルフリーリビングカチオン重合が進行すると同時に、可逆的付加開裂連鎖移動重合機構がカチオン重合に導入されるため、上記式(1)の構造を両末端に配置したカチオン重合可能なビニル系モノマーのリビングポリマーが得られる。すなわち、アルケニルエーテルを表す上記式(4)を利用して記載すると下記式(6)
【0051】
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3、Q及びpは、式(1)と同義であり、R
4及びR
5は、式
(4)と同義であり、nは各構造単位の繰り返し数を表す)
で表される該ポリマーが得られる。
【0052】
得られたポリマーは、メタルフリーポリマーとして、或いは、ラジカル重合可能なビニル系モノマー重合との共重合原料として使用することができる。
【0053】
[3]
カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーの
ブロック共重合体の製造方法
最後に、第3の発明であるブロック共重合体の製造方法について述べる。
【0054】
本発明のブロック共重合体の製造方法は、下記工程(i)及び(ii):
(i)前記リビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下、
1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合して、末
端に前記RAFTカチオン剤(B)由来の構造を有するカチオン重合体を得る工
程;及び
(ii)前記リビングカチオン重合工程(i)で得られたカチオン重合体及びラジカ
ル重合開始剤の存在下、1種以上のラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビン
グラジカル重合する工程
を順次行うものであり、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーのブロック共重合体が得られる。
【0055】
リビングカチオン重合工程(i)は、前記第2の発明にて説明したとおりであり、本発明では、次に、得られたカチオン重合可能なビニル系モノマーからのリビングポリマー、つまり前記式(6)に示されるポリマーから、リビングラジカル重合の一つである可逆的付加開裂連鎖移動重合を行い、1種以上のラジカル重合可能なビニル系モノマー重合させる。
【0056】
ラジカル重合可能なビニル系モノマーを、前記式(6)で表されるリビングポリマーから可逆的付加開裂連鎖移動重合させて合成する工程(ii)は、前記式(6)で表されるリビングポリマーにラジカル重合可能なビニル系モノマー及びラジカル重合開始剤を加え、加温することで達成される。
【0057】
ここで、可逆的付加開裂連鎖移動重合を行うためには、一般式(6)においてQが硫黄原子である化合物が望ましい。
【0058】
ラジカル重合可能なビニル系モノマーは、ラジカル重合可能なものであれば特に限定されないが、一般式(7)で示される物が好ましい。
【0059】
【化7】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、同一又は異なり、水素原子又はハロゲン置換もしくは
非置換の低級アルキルを示し、R
9は有機基を示す)
【0060】
具体的には、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリロニトリル、イソプレン、1,3−ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルインドール、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
【0061】
なかでも、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体等のラジカル重合可能な共役モノマーが好ましい。
【0062】
スチレン及びその誘導体としては、具体的には、スチレン、tert−ブチルスチレン(o、m、p体)、tert−ブトキシスチレン(o、m、p体)、アセトキシスチレン(o、m、p体)、ヒドロキシスチレン(o、m、p体)、イソプロペニルフェノール(o、m、p体)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン(o、m、p体)、スチレンスルホン酸(o、m、p体)及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレンがより好ましく使用される。
【0063】
(メタ)アクリル酸及びその誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等がより好ましく使用される。
【0064】
(メタ)アクリルアミド及びその誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド等のN,N−ジアルキルアクリルアミド等が挙げられ、なかでもN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等がより好ましく使用される。
【0065】
ラジカル重合可能なビニル系モノマーは、上記モノマーの中から1種類を選んで使用しても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
【0066】
ラジカル重合開始剤としては、任意の適切なラジカル重合開始剤を採用し得る。好ましくは、熱によりラジカルを発生する開始剤である。このようなラジカル重合開始剤として代表的なものとして、種々のアゾ化合物及び有機過酸化物を挙げることができる。
【0067】
アゾ化合物としては、具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの2,2’−アゾビスブチロニトリル類;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などの2,2’−アゾビスバレロニトリル類;2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2、2’−アゾビスプロピオニトリル類;1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などの1,1’−アゾビス−1−アルカンニトリル類;2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等を挙げることができる。
【0068】
有機過酸化物としては、具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレートなどのパーオキシケタール類;クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルシクロヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類等を挙げることができる。
【0069】
これらの中でも、アゾ化合物が好ましく、特に入手と取り扱いが容易なのはAIBNまたは2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルである。
【0070】
本発明に係わる可逆的付加開裂連鎖移動重合を行うに当たっては、溶媒を使用しても、また使用しなくても良い。使用できる溶媒としては、重合反応を阻害しないものであれば何れでも良いが、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素及びテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール及びtert−ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル及びジメチルフタレート等のエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等をあげることができる。また、水を溶媒とすることもできる。これらの溶媒は、単独もしくは2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
可逆的付加開裂連鎖移動重合反応の反応温度は、好ましくは20〜120℃であり、より好ましくは40〜100℃である。上記反応の反応時間は、試薬量、反応温度によって異なるが、好ましくは2〜50時間であり、より好ましくは2〜24時間である。
【0072】
反応混合物からのブロック共重合体の回収は、重合の反応温度を下げること等で重合を停止させた後、反応混合物から揮発分を留去する方法、又は大量の貧溶媒を添加し、ポリマーを沈殿させ分離する方法、又は水溶性ポリマーの場合は、水中での透析等にて行われる。
【0073】
本発明の製造法により製造されるブロック共重合体の数平均分子量は、可逆的付加開裂連鎖移動剤と加えたモノマーの比率にもよるが、1,000〜5,000,000であるのが好ましく、さらには2,000〜3,000,000であるのが好ましい。
【0074】
本発明の製造法により得られるブロック共重合体は、高分子界面活性剤、インキ、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、高分子樹脂への添加剤(改質剤)、リソグラフィーのテンプレート等の用途にも有用である。また、本発明の製造法を用いることで、金属を含有しないポリビニルエーテルを得ることができる。さらに、得られるポリマーの両末端にRAFTカチオン開始剤を導入することができ、そのポリマーを用いることで、様々なカチオン重合性モノマーとラジカル重合性モノマーのブロック共重合体を提供できる。
【実施例】
【0075】
次に実施例及び合成例により本発明を一層詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各測定法は次の方法に従った。
【0076】
(1)数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ポリスチレンゲル換算のゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定した[RI検出器、カラム(東ソー(株)製TSKgelカラムG
HR−M×3)、溶離液はテトラヒドロフラン]。
【0077】
(2)
1H NMRは、JEOL社製JMN AL−300を用い、サンプルを重クロロホルムに溶解して測定した。
【0078】
(3)フーリエ変換性外分光高度計(FT−IR)測定には、Varian社製FTS3000を用い、フッ化カルシウム板にサンプルを挟み、液膜法にて測定した。
【0079】
(4)MALDI−TOF−MS測定には、Bruker Daltonics社製のAutoflex Spectrometerを用いた。測定にはマトリックスとしてジスラノールを用い、イオン化剤としてトリフルオロ酢酸ナトリウムを用い、リニアモードにて測定した。
【0080】
合 成 例 1
酢酸1−(2−メトキシエトキシ)エチル(MOEA)の合成
200mlのナスフラスコに、2−メトキシエチルビニルエーテル25.6mL(0.23mol)および酢酸8.7mL(0.15mol)を加え、70℃で10時間還流させた。得られた粗生成物を分液ロート中にて水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で予備乾燥した後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留精製し、58℃(5mmHg)でMOEAを得た。
1H NMRおよびFT−IR測定により下記式(8)のように構造が推定された。
【0081】
【化8】
【0082】
図1に、合成例1で得られたMOEAの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。
【0083】
合 成 例 2
安息香酸1−(2−メトキシエトキシ)エチル(MOBA)の合成
200mlのナスフラスコに、2−メトキシエチルビニルエーテル22.9mL(0.20mol)および安息香酸12.2g(0.1mol)を加え、90℃で10時間還流させた。その後室温まで放冷した。得られた粗生成物を分液ロート中にて1.0M水酸化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、中性になるまで水洗した後、無水硫酸ナトリウム上で予備乾燥した。その後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留精製し、98℃(1mmHg)でMOBAを得た。
1H NMRおよびFT−IR測定により下記式(9)のように構造が推定された。
【0084】
【化9】
【0085】
図2に、合成例2で得られたMOBAの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。
【0086】
合 成 例 3
ジチオ酢酸1−(2−メトキシエトキシ)エチル(MO−RAFT)の合成
還流冷却器付丸底フラスコに、3.0Mメチルマグネシウムクロリド/テトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製)60mLおよびテトラヒドロフラン30mLを加え、40℃に温めた。次に、同じ容器中に、二硫化炭素10.9mL(0.12mol)を15分かけて滴下した。1時間後、室温まで放冷し、150mLの氷水を150mL加え、さらにジエチルエーテル(以下、Et
2O)を100mL加え撹拌した。その後、撹拌を止めると水層とエーテル層に分離されるため、そのエーテル層を取り除き保管した(a)。
【0087】
残った水層にEt
2Oを100mL加え、少量の塩酸を加えて水層のpHを約2とし、激しく撹拌し、得られたエーテル層を分離し保管した(b)。
【0088】
(a)と(b)の両方をフラスコに入れ、Et
2Oを中心とする低沸点成分をエバポレートしたところ、ジチオ酢酸が得られた。このジチオ酢酸3.0
g(0.033mol)と2−メトキシエチルビニルエーテル4.3g(0.42mol)をフラスコに入れ、70℃で6時間撹拌し反応させた。放冷後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留精製し、60℃(5.25mmHg)でMO−RAFTを得た。
1H NMRおよびFT−IR測定により下記式(10)のように構造が推定された。
【0089】
【化10】
【0090】
図3に、合成例3で得られたMO−RAFTの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。
【0091】
実 施 例 1
MOEA(40.0mM)およびジエチルエーテルに溶解した塩化水素(以下、
HCl・Et2O)を用いたイソブチルビニルエーテル(以下、IBVE)の
メタルフリーリビングカチオン重合(1)
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt
2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et
2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例1で合成したMOEAをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(2.97mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMOEA(1mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、ここにHCl・Et
2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]
0=0.8M、[MOEA]
0=40.0mM、[HCl]
0=2.8mM、[Et
2O]
0=0.96Mである)。
【0092】
24時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=2300、Mw/Mn=1.38であった。また構造は、
1H NMRおよびMALDI−TOF−MAS測定より、下記式(11)のように決定した。
【0093】
【化11】
(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)
【0094】
図4に、実施例1で得られたポリマーの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。また
図5に、実施例1で得られたポリマーのMALDI−TOF−MSスペクトルを示した。
【0095】
実 施 例 2
MOEA(6.0mM)およびHCl・Et2Oを用いたイソブチルビニルエー
テル(IBVE)のメタルフリーリビングカチオン重合(2)
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt
2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et
2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例1で合成したMOEAをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(3.67mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMOEA(0.3mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、ここにHCl・Et
2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]
0=0.8M、[MOEA]
0=6.0mM、[HCl]
0=2.8mM、[Et
2O]
0=0.96Mである)。
【0096】
0.33、1、2、3.5、10、16、24時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。いずれも式(11)と同じ構造を有することを
1H NMRおよびMALDI−TOF−MAS測定より決定した。また、各重合時間に対するMnおよびMw/Mnは表1記載の通りであった。
【0097】
【表1】
【0098】
実 施 例 3
MOBA(20.0mM)およびHCl・Et2Oを用いたイソブチルビニル
エーテル(IBVE)のメタルフリーリビングカチオン重合
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。
まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt
2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et
2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例2で合成したMOBAをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(3.47mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMOBA(0.5mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、ここにHCl・Et
2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]
0=0.8M、[MOBA]
0=20.0mM、[HCl]
0=2.8mM、[Et
2O]
0=0.96Mである)。
【0099】
24時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=11000、Mw/Mn=1.34であった。また構造は、
1H NMRおよびMALDI−TOF−MAS測定より、下記式(12)のように決定した。
【0100】
【化12】
(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)
【0101】
図6に、実施例3で得られたポリマーの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。
【0102】
実 施 例 4
MO−RAFT(6.0mM)およびHCl・Et2Oを用いたイソブチルビニ
ルエーテル(IBVE)のメタルフリーリビングカチオン重合
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt
2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et
2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例3で合成したMO−RAFTをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(3.67mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMO−RAFT(0.3mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、HCl・Et
2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]
0=0.8M、[MOEA]
0=6.0mM、[HCl]
0=2.8mM、[Et
2O]
0=0.96Mである)。
【0103】
10時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=12000、Mw/Mn=1.20であった。また構造は、
1H NMR測定より、下記式(13)のように決定した。
【0104】
【化13】
(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)
【0105】
図7に、実施例4で得られたポリマーの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。
【0106】
実 施 例 5
ポリイソブチルビニルエーテルとポリアクリル酸エチルから成るブロック共重
合体の合成
実施例4で得られたポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)とアクリル酸エチル(EA)とAIBNを三方活栓付試験管に入れ、トルエンを加えて3.0mLに調製した。この時の各モル濃度比は、[PIBVE]:[EA]:[AIBN]=1:200:0.2とし、EA濃度が全体の15質量%なるように調製した。その試験管を脱気した後、窒素下70℃で重合した。
【0107】
24時間後、氷水中で試験管を冷却し、空気を入れ、重合を停止した。EAの転化率は98%であり、得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=25000、Mw/Mn=1.80であった。また構造は、
1H NMR測定より、下記式(14)のように決定した。
【0108】
【化14】
(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)
【0109】
図8に、実施例5で得られたポリマーの
1H NMR[CDCl
3]の結果を示した。
【0110】
実 施 例 6
ポリイソブチルビニルエーテルとポリスチレンから成るブロック共重合体の合
成
実施例4で得られたポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)とスチレン(St)とAIBNを三方活栓付試験管に入れ、トルエンを加えて3.0mLに調製した。この時の各モル濃度比は、[PIBVE]:[St]:[AIBN]=1:200:0.2とし、St濃度が全体の15質量%なるように調製した。その試験管を脱気した後、窒素下70℃で重合した。
【0111】
24時間後、氷水中で試験管を冷却し、空気を入れ、重合を停止した。Stの転化率は80%であり、得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=17000、Mw/Mn=1.53であった。また構造は、実施例5と同様にして下記式(15)のように決定した。
【0112】
【化15】
(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)