特許 5904564 マルチセグメント喫煙物品

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5904564

(24)【登録日】2016年3月25日

(45)【発行日】2016年4月13日

(54)【発明の名称】マルチセグメント喫煙物品

(51)【国際特許分類】

   A24D 1/04 20060101AFI20160331BHJP

【ＦＩ】

   A24D1/04

【請求項の数】15

【全頁数】11

(21)【出願番号】特願2014-533803(P2014-533803)

(86)(22)【出願日】2012年10月8日

(65)【公表番号】特表2014-528243(P2014-528243A)

(43)【公表日】2014年10月27日

(86)【国際出願番号】EP2012004209

(87)【国際公開番号】WO2013050178

(87)【国際公開日】20130411

【審査請求日】2014年4月4日

(31)【優先権主張番号】11008140.3

(32)【優先日】2011年10月7日

(33)【優先権主張国】EP

(73)【特許権者】

【識別番号】596060424

【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム

(74)【代理人】

【識別番号】100092093

【弁理士】

【氏名又は名称】辻居 幸一

(74)【代理人】

【識別番号】100082005

【弁理士】

【氏名又は名称】熊倉 禎男

(74)【代理人】

【識別番号】100067013

【弁理士】

【氏名又は名称】大塚 文昭

(74)【代理人】

【識別番号】100086771

【弁理士】

【氏名又は名称】西島 孝喜

(74)【代理人】

【識別番号】100109070

【弁理士】

【氏名又は名称】須田 洋之

(74)【代理人】

【識別番号】100109335

【弁理士】

【氏名又は名称】上杉 浩

(74)【代理人】

【識別番号】100120525

【弁理士】

【氏名又は名称】近藤 直樹

(72)【発明者】

【氏名】ラスーリ フィルーズ

(72)【発明者】

【氏名】ガムス セリーヌ

(72)【発明者】

【氏名】サンチェス カルロス アンドレス

(72)【発明者】

【氏名】トゥッツォリーノ アントニオ

【審査官】 豊島 ひろみ

(56)【参考文献】

【文献】 特開平０３−２０６８７６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平０３−１８０１６６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許第０４７００７２６（ＵＳ，Ａ）

【文献】 特開平０５−２０７８６８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２００２／００００２３５（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ２４Ｄ １／００ − ３／１８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

口側端と該口側端から離れた遠位端を有し、少なくとも第１及び第２のセグメントを含み、前記第１のセグメント（５）がタバコロッドの遠位端を規定する遠位端を有し、前記第２のセグメントが前記第１のセグメントの下流に配置される、喫煙可能材料のタバコロッドと、
前記タバコロッドの口側端に取り付けられるマウスピースと、
を備える喫煙物品であって、
前記第１のセグメントは、第１のレベルの煙成分抑制剤を有する第１のタバコブレンドを含み、前記第２のセグメントは、第２のレベルの煙成分抑制剤を有する第２のタバコブレンドを含み、前記煙成分抑制剤の第２のレベルは、前記第１のレベルのよりも低いことを特徴とする喫煙物品。

【請求項2】

前記煙成分抑制剤は、アンモニア又はアミノ含有化合物である、請求項１に記載の喫煙物品。

【請求項3】

前記煙成分抑制剤は、アンモニア又はアミノ酸である、請求項１又は２に記載の喫煙物品。

【請求項4】

前記第２のタバコブレンドは、前記第１のタバコブレンドよりも少ないＴＳＮＡを含む、請求項１から３のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項5】

前記第１のセグメントは、アメリカンブレンドタバコを含む、請求項１から４のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項6】

前記第１のセグメントの少なくとも３０重量％の葉身材料は、空気乾燥バーレー種タバコである、請求項１から５のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項7】

前記第１のセグメントの少なくとも３０重量％の葉身材料は、オリエンタルタバコである、請求項１から６のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項8】

前記第２のセグメントは、バージニアブレンドタバコを含む、請求項１から７のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項9】

前記第２のセグメントの少なくとも９０重量％の葉身材料は、熱風乾燥タバコである、請求項１から８のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項10】

前記第１のセグメントの長さは前記タバコロッドの長さの２５％未満である、請求項１から９のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項11】

前記マウスピースは、少なくとも１つのフィルタ要素を備える、請求項１から１０のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項12】

前記喫煙可能材料のタバコロッドは、前記第１及び第２のタバコセグメントの間に配置された第３のセグメントを備える、請求項１から１１のいずれかに記載の喫煙物品。

【請求項13】

マルチセグメント化された喫煙可能材料のタバコロッドを製造する方法であって、
ラッパー材を供給する段階と、
少なくとも喫煙可能材料の第１及び第２のブレンドを供給する段階と、
前記喫煙可能材料の第１及び第２のブレンドを前記ラッパー材内の個別のセグメントに置く段階と、
前記喫煙可能材料の周りに前記ラッパー材を巻き付けて、マルチセグメントタバコロッドを形成する段階と、
を含み、
第１のセグメントは、第１のレベルの煙成分抑制剤を有する第１のタバコブレンドを含み、第２のセグメントは、第２のレベルの煙成分抑制剤を有する第２のタバコブレンドを含み、前記煙成分抑制剤の第２のレベルは、前記第１のレベルのよりも低いことを特徴とする方法。

【請求項14】

前記喫煙可能材料の第１及び第２のブレンドの周りに、前記ラッパー材を直接巻き付ける段階をさらに含む、請求項１３に記載の方法。

【請求項15】

それぞれ少なくとも前記第１及び第２のブレンドを包む、少なくとも第１及び第２の内側ラッパー材を供給する段階をさらに含む、請求項１３に記載の方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は少なくとも２つの喫煙可能材料セグメントを有する喫煙物品、及びマルチセグメント化された喫煙物品を製造する方法に関する。

【背景技術】

【0002】

フィルタ付きシガレットは、典型的には、包装タバコロッドと端と端を接続した関係で整列し、かつそれに先端紙によって取り付けられたフィルタを含む。通常、タバコロッドは、タバコブレンドを含む単一のタバコセグメントを備える。しかしながら、複数のタバコセグメントを一緒に組み合わせてタバコロッドを形成することも知られている。例えば、２つのタバコセグメントから作られているタバコッドが知られており、コスト低減のために一方のセグメントは他方のセグメントよりも高品質のタバコブレンドとなっている。さらに、タバコロッドの喫煙時に均一なニコチン送達を可能にするために、異なる密度又は直径を有するセグメントを備えたタバコロッドを製造することが知られている。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0003】

本発明の目的は、消費者が喫煙物品を喫煙する際の所望の感覚特性及びブレンド特性を維持しながら１つ又はそれ以上の煙成分が低減された喫煙物品及び喫煙物品を製造する方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0004】

本発明によれば、口側端及び該口側端から離れた遠位端を有する喫煙可能材料ロッドを備える喫煙物品が提供され、ロッドは少なくとも第１のセグメント及び第２のセグメントを備え、第１のセグメントは、ロッドの遠位端を規定する遠位端を有し、第２のセグメントは、第１のセグメントの下流に配置される。また、喫煙物品は、ロッドの口側端に取り付けられるマウスピースを備える。第１のセグメントは、第１のレベルの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤を有する第１のタバコブレンドを備え、第２のセグメントは、第２のレベルの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤を有する第２のタバコブレンドを備え、第２のレベルは第１のレベルよりも低い。

【0005】

煙成分抑制剤は、喫煙物品の燃焼時に特定の煙成分の生成を抑止するタバコ材料に提供される物質である。「下流」及び「上流」は、喫煙物品を通過する煙の方向に関して定義される。換言すると、下流セグメントは、相対的に上流セグメントよりも消費者の口唇に近い。

【0006】

ホルムアルデヒドは、タバコの燃焼時に発生する副生成物である。喫煙時に発生するホルムアルデヒドの大部分は、シガレットの最初の数回の吸煙時に送達され、一部の種類のタバコは、他よりもより多くのホルムアルデヒドを生成する傾向がある。例えば、アメリカンブレンドタバコは、空気乾燥バーレー種タバコを含み、ホルムアルデヒドの生成量がバージニア熱風乾燥タバコよりも少ない。

【0007】

本発明の好適な実施形態において、１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤は、アンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物を含む。アンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物は、タバコが燃焼する場合、特に抑制剤が喫煙物品の遠位端の近くに存在する場合にホルムアルデヒドの生成を抑制すると考えられている。例えば、アメリカンブレンドのバーレー種タバコは、バージニアブレンドに比べて本来的に比較的大量のアンモニアを含有し、アンモニアの存在は、ホルムアルデヒドの生成を抑制すると考えられる。

【0008】

いくつかの実施形態において、異なるタバコブレンドの複数のタバコセグメントを設けると、風味に関して好ましい特定のタバコブレンドをタバコロッドの大部分に沿って使用することができる。例えば、第１のセグメントは、比較的大量の煙成分抑制剤を有する第１のブレンドを含むことができる。喫煙物品の遠位端に存在する第１のブレンドは、第２のセグメントのブレンドよりも好ましい風味に劣るが、全体的な煙の風味への影響を抑えるために第１のセグメントの長さを制限することができる。また、第１のセグメントは、燃焼時の煙成分、例えば、ホルムアルデヒドを非常に少なくすることができる。このようにして、所望の煙の風味を送達しながら全体的な煙成分送達を低減することができる。

【0009】

第１のセグメントのアンモニア量は、好ましくは少なくとも０．０８重量％、より好ましくは少なくとも０．１２重量％、最も好ましくは少なくとも約０．２０重量％である。第１のセグメントに存在するアンモニアは、好ましくは０．７５重量％未満である。いくつかの実施形態において、第１のセグメントに存在するアンモニアは、好ましくは０．０８重量％と０．７５重量％との間、より好ましくは０．１２％と０．７５％との間、最も好ましくは０．２０％と０．７５％との間である。第２のセグメントに存在するアンモニア量は、好ましくは０．０８重量％未満、より好ましくは０．０６重量％未満である。いくつかの実施形態において、第２のセグメントに存在するアンモニアは、好ましくは０．０１重量％と０．０８重量％との間、より好ましくは０．０１％と０．０６％との間である。第２のセグメントのアンモニアは、好ましくは０．０１重量％よりも多い。いくつかの実施形態において、第１のセグメントに存在するアンモニアは、好ましくは少なくとも、第２のセグメントの約２倍の量、より好ましくは少なくとも第２のセグメントの約３倍の量である。

【0010】

また、第１のセグメント及び第２のセグメントは、異なるレベルの１つ又はそれ以上の煙成分、例えば、タバコ特異的ニトロソアミン（ＴＳＮＡ）を有することができる。大部分のＴＳＮＡは、タバコ製品に見出すことができ、葉の成長時及びタバコの乾燥時に生成されるが、一部はタバコの燃焼過程で生成されると考えられる。各タイプのタバコブレンドは、組成物に応じて異なるレベルのＴＳＮＡを生じる。以下に詳細に説明するように、例えば、バージニアブレンドのバーレー種タバコの存在量が少ないので、バージニアブレンドタバコは、典型的にアメリカンブレンドタバコよりも少量のＴＳＮＡを生じる。バーレー種タバコ栽培には高レベルの化学肥料が使用され、バーレー種の乾燥プロセスは比較的長期にわたり、両方の要因は、タバコのＴＳＮＡ量に影響すると考えられる。多数の異なるＴＳＮＡの化学種が存在するが、本出願では特に指示しない限り用語「ＴＳＮＡ」は、Ｎ−ニトロソノルニコチン（ＮＮＮ）、ニコチン送達ニトロソアミンケトン（ＮＮＫ）、Ｎ−ニトロソアナタビン（ＮＡＴ）、及び／又はＮ−ニトロソアナバシン（ＮＡＢ）の組み合わせを意味することになる。

【0011】

いくつかの好ましい実施形態において、第１のセグメントは、１グラムのタバコブレンド当たり約１５００ナノグラムから約４０００ナノグラムの間、より好ましくは約２０００ナノグラムから約４０００ナノグラムの間、最も好ましくは約２５００ナノグラムから約４０００ナノグラムの間のＴＳＮＡを有するタバコのブレンドを含む。追加的に又は代替的に、好ましくは、第２のセグメントは、１グラムのタバコブレンド当たり約１５００ナノグラム未満、より好ましくは約１２００ナノグラム未満、最も好ましくは約１０００ナノグラム未満のＴＳＮＡを有するタバコのブレンドを含む。第２のセグメントのブレンド中に存在するＴＳＮＡ量は、第１のセグメントのブレンドのＴＳＮＡ量よりも好ましくは少なくとも約２５％少なく、より好ましくは少なくとも約４０％少なく、最も好ましくは少なくとも約６０％少ない。

【0012】

従来から種々のタバコブレンドが知られており、例えば、アメリカンブレンドタバコ及びバージニアブレンドタバコが知られている。異なるタバコブレンドは、典型的に異なる種類のタバコ、又は異なる量の特定の種類のタバコ、又はその両方を含有する。好ましくは、第１のセグメント及び第２のセグメントは、異なる種類のタバコブレンドを含む。しかしながら、第１のブレンド及び第２のブレンドを備えることも可能であり、この場合、各々のブレンドは同じ種類のブレンドで作られているが、各々のブレンドは異なる組成物を有する。

【0013】

好ましくは、第１のセグメントはアメリカンブレンドタバコを含む。アメリカンブレンドタバコは、好ましくは熱風乾燥及びバーレー種タバコを含む。アメリカンブレンドタバコのバーレー種の含有量は、ブレンドの葉身（ｌａｍｉｎａ）部の好ましくは少なくとも約３０重量％、より好ましくは少なくとも約４０重量％、及び最も好ましくは少なくとも約５０重量％である。追加的に又は代替的に、バーレー種の含有量は、ブレンドの葉身部の好ましくは約７０重量％未満、より好ましくは約６０重量％未満である。好ましくは、アメリカンブレンドのバーレー種の含有量は、ブレンドの葉身部は、約３０重量％から約７０重量％の間、より好ましくは約４０重量％から約６０重量％の間である。（「ブレンドの葉身部」は、膨張タバコ又は再構成タバコ等の構成又は形態を変えるように処理された葉身又は茎等のタバコ葉身に由来しないブレンド部を除くブレンド部を意味する。葉身部に加えて、アメリカンブレンドは、膨張タバコ、再構成タバコ、及び茎材料の１つ又はそれ以上を含むこともできる。アメリカンブレンドタバコは、典型的に大量のアンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物を含み、バージニアブレンドタバコ材料等の他の種類のタバコブレンドに比べて、発生するホルムアルデヒドを少量とすることができる。また、アメリカンブレンドは、典型的にバージニアブレンドタバコに比べて大量のＴＳＮＡを含む。

【0014】

アメリカンブレンドに加えて、第１のセグメントは、ブレンドの葉身部が全て又は実質的に全てバーレー種タバコであるブレンドを含むこともできる。例えば、第１のセグメントは、ブレンドの葉身部に基づいて、約８０重量％以上のバーレー種、好ましくは約９０重量％以上又は約１００重量％のバーレー種であるブレンドを含むことができる。また、第１のセグメントは、典型的に元来アンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物の含有量が多いオリエンタルタバコを含むことができる。第１のセグメントのブレンド中のオリエンタルタバコの量は、ブレンドの葉身部の好ましくは少なくとも約３０重量％、より好ましくは少なくとも約４０重量％、最も好ましくは少なくとも約５０重量％である。ブレンド中のオリエンタルタバコの量は、ブレンドの葉身部の約１００％と同量とすることができる。代替的に、オリエンタルタバコの含有量は、ブレンドの葉身部の好ましくは約８０重量％未満、より好ましくは約６０重量％未満である。好ましくは、アメリカンブレンド中のオリエンタルタバコの含有量は、ブレンドの葉身部の約３０重量％から約１００重量％の間、より好ましくは約４０重量％から約８０重量％の間、最も好ましくは約４０重量％から約６０重量％の間である。葉身部に加えて、これらのタバコブレンドは、１つ又はそれ以上の膨張タバコ、再構成タバコ、及び茎材料を含むことができる。

【0015】

好ましくは、喫煙物品の第２のセグメントは、前述のバージニアブレンドタバコ又はアメリカンブレンドタバコを含む。バージニアブレンドタバコは、好ましくは熱風乾燥タバコを含む。特に、バージニアブレンドは、ブレンドの葉身部において少なくとも約９０％、より好ましくは少なくとも約９５％、最も好ましくは約１００％の熱風乾燥タバコを含むことができる。葉身部に加えて、バージニアブレンドは１つ又はそれ以上の膨張タバコ、再構成タバコ、及び茎材料を含むこともできる。バージニアブレンドタバコは、典型的に少量のアンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物を含み、アメリカンブレンドタバコ材料等の他の種類のタバコブレンドに比べて、発生するホルムアルデヒドを大量とすることができる。また、バージニアブレンドは、アメリカンブレンドタバコに比べて少量のＴＳＮＡを含む。

【0016】

前述のように、各タバコセグメントの長さは、第２のセグメントが送達する風味成分に対する第１のセグメントが送達する風味成分の量のバランスを取ると同時に送達される１つ又はそれ以上の煙成分の量を低減するために、様々とすることができる。いくつかの実施形態において、第１のセグメント中のタバコの感覚的な影響を制限することが望ましいであろう。例えば、いくつかの実施形態において、より望ましいタバコ風味は、第２のセグメント中のタバコによって提供される。しかしながら、第１のセグメント中のタバコブレンドが発生するホルムアルデヒドを少なくすることができる。

【0017】

本実施形態によれば、第１のセグメントの長さは、好ましくはタバコロッドの全長の約２５％である。第１のセグメントの長さは、より好ましくはタバコロッドの全長の約１５％未満、最も好ましくは約１０％未満である。第１のセグメントの長さは、１２ｍｍ又はそれ以下、より好ましくは８ｍｍ又はそれ以下、最も好ましくは６ｍｍ又はそれ以下とすることができる。このようないくつかの実施形態において、シガレットの最初の１回又は２回の吸煙は、全て又は実質的に全て第１のセグメント内である。いくつかの実施形態において、このことは、第１のタバコブレンドが煙の全体的な特性に及ぼす影響を制限することを可能にする。さらに、第２のタバコブレンドに比べて、第１のタバコブレンドが発生するホルムアルデヒドが相対的に少量である場合、シガレットの遠位端に第１のタバコブレンドを設けると、シガレットの喫煙時に送達されるホルムアルデヒドの量の制限を助長することができる。特に、第１のブレンドは、前述のようにアメリカンブレンドタバコとすること、又は前述のように任意量のバーレー種又はオリエンタルタバコを含有することができる。さらに、第２のブレンドは、前述のようにバージニアブレンドタバコ又はアメリカンブレンドタバコとすることができる。

【0018】

結果的に、本発明によれば、一方のセグメントを他方のセグメントに比べて増大させることで、比較的大きなセグメントに典型的な優れた香味を得ることが可能になる。

【0019】

本発明の他の好ましい実施形態において、喫煙物品のマウスピースは、少なくとも１つのフィルタ要素を備える。フィルタ要素は、ロッドの第２のセグメントの口側端に取り付けることができる。好ましくは、フィルタセクションは、多成分フィルタであり、異なるフィルタ特性及び特質の１つ又はそれ以上の成分を含有することができる。

【0020】

いくつかの実施形態において、第１及び第２のセグメントは互いに当接するので、第１のセグメントと第２のセグメントとの間には空間がない。

【0021】

さらに、タバコロッドは、第３のタバコセグメントを更に含むことができる。第１のセグメント及び第２のセグメントは、前述の任意のタバコブレンドを含むことができ、第３のセグメントは、第３のタバコブレンドを含むことができる。好ましい実施形態において、第１のタバコブレンドはアメリカンブレンドであり、第２のタバコブレンドはバージニアブレンドであり、第３のタバコブレンドは第１のセグメントのブレンドとは異なるアメリカンブレンドである。第３のタバコセグメントは、好ましくは第１のセグメントと第２のタバコセグメントとの間で、第１のタバコセグメントの下流及び第２のタバコセグメントの上流に配置される。第３のセグメントを追加することで、第１、第２、及び第３のセグメントのタバコの間のより漸次的な移行が可能になる。第２のセグメントは、好ましい風味の第１のタバコブレンドを含むことができる。第１のタバコブレンドは、風味の観点からあまり好ましくないが、低レベルの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤を有するタバコブレンドを含むことができる。第３のブレンドは、タバコロッドの喫煙の間中に一貫した風味を提供するために、第２のブレンドいくつかの風味特性を有する。いくつかの実施形態において、第３のブレンドは、第１のブレンドの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤のレベルと第２のブレンドのそのレベルとの間のレベルの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤を含む。好ましい実施形態において、１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤は、アンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物を含有する。

【0022】

また、本発明は、前述の喫煙可能材料ロッドを有するマルチセグメント喫煙物品を製造する方法に関する。本発明による方法は、喫煙材料の第１のブレンド及び第２のブレンドを供給する段階を含み、第１のブレンドは第１のレベルの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤を含み、第２のブレンドは第２のレベルの１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤を含む。各ブレンドは、シガレットラッパー材で包装されてタバコロッドを形成する。好ましくは、タバコロッドは、例えば以下に記載の任意のシガレットペーパーといったラッパー材内に第１のブレンド及び第２のブレンドの個別のセグメントを交互に置くことで形成することができる。本実施形態において、タバコロッドは、以下に記載の複式ラッパー法ではなく単一のラッパーを用いて形成することができる。次に、タバコロッドは、以下に説明するようにマウスピースと組み合わせることができる。

【0023】

もしくは、各ブレンドは、第１及び第２の内側ラッパー材でそれぞれ包装されて、それぞれ第１及び第２のタバコロッドセグメントを形成するようになっている。次に、第１のセグメント及び第２のセグメントは相互に隣接して配置され、シガレットラッパーが各セグメントに巻き付けられて喫煙可能材料ロッドが形成される。内側ラッパーは、ブレンドを包装するための第１及び第２の内側ラッパー材を含むこと、又は単一の内側ラッパー材として設けることができる。好ましい実施形態において、１つ又はそれ以上の煙成分抑制剤は、アンモニア又はアミノ酸等のアミノ含有化合物を含む。

【0024】

好ましくは、第１及び第２の内側ラッパー材はペーパーを備え、一方又は両方のラッパーはタバコ材料を含むことができる。好ましくは、第１及び第２の内側ラッパー材は、高度に多孔性であり、例えば、約５０００コレスタ単位よりも大きく、より好ましくは約１５０００コレスタ単位よりも大きく、最も好ましくは約２５０００コレスタ単位よりも大きい。シガレットラッパーは、好ましくはペーパーを備える。シガレットペーパーの多孔度は、好ましくは約２０コレスタ単位から約３００コレスタ単位の間、より好ましくは約３０コレスタ単位から約２００コレスタ単位の間、最も好ましくは約３０コレスタ単位から約１００コレスタ単位の間である。内側ラッパーとシガレットラッパーとを組み合わせた多孔度が低すぎる場合（例えば、約１５コレスタ単位以下）、シガレットは安定した燃焼をもたらすことができず、空気流不足から立ち消えする場合がある。

【0025】

好ましくは、シガレットラッパーは、当接するセグメントが形成する全長にわたって完全に包装されるので、各セグメントの高度に多孔性の包装材料は、シガレットラッパーによって完全に覆われる。

【0026】

好ましくは、本方法は、喫煙物品に対してマウスピースを付加する段階を含む。マウスピースは、第２のセグメントに隣接して配置することができ、チップ材料は、少なくともマウスピースの一部及び少なくとも第２のセグメントの一部の周りの巻き付けることができ、マウスピース及び第２のセグメントを合体する。

【0027】

好ましくは、第１のセグメント及び第２のセグメントは、最初は第１のブレンド及び第２のブレンドをそれぞれ含む連続した喫煙可能材料ロッドとして製作される。次に、連続した喫煙可能材料ロッドは、適切な相対的長さ（例えば、前述の相対的長さ）に切断され、前述のように合体される。

【0028】

好ましくは、本発明の全てのフィルタセグメントが損なわれていない喫煙物品の全長は、約７０ｍｍから約１２８ｍｍの間であり、より好ましくは約８４ｍｍである。
好ましくは、本発明の喫煙物品の外径は、約５ｍｍから８．５ｍｍの間であり、より好ましくは約７．９ｍｍである。
本発明は添付図面を参照して更に説明される。

【図面の簡単な説明】

【0029】

【図1】本発明の第１の実施形態による喫煙物品を示す。

【図2】表１。

【発明を実施するための形態】

【0030】

発明性のある喫煙物品で行った試験結果を表１に示し、以下に詳細に説明する。表１は、種々の他の喫煙物品と比べて発明性のある喫煙物品から発生したタバコ特異的ニトロソアミン成分（ＴＳＮＡ）及びホルムアルデヒド生成に関する試験結果である。

【0031】

図１は、本発明による喫煙物品１を示す。喫煙物品１は、口側端３及び該口側端３から離れた遠位端４を有する喫煙可能材料ロッド２を備える。ロッド２は、端と端とを当接した状態の第１のセグメント５及び第２のセグメント６に分けられる。第１のセグメント５はロッド２の遠位端４を規定し、第２のセグメント６は第１のセグメント５の下流にあり、ロッド２の口側端３を規定する。

【0032】

さらに、図１は、第２のセグメント６と端と端を合わせた状態のマウスピース７を示す。チップ材料９は、マウスピース７をロッド２に結合するためにマウスピース７と第２のセグメント６の一部の周りに巻き付けられている。第１のセグメント５及び第２のセグメント６は、シガレットラッパー８によって結合される。図１には示していないが、他の実施形態によれば、第１及び第２のセグメント５、６は、シガレットラッパー８の下に設けられた多孔度の高い包装材料で包装することができる。シガレットラッパー８の多孔度は、該シガレットラッパー８の下に配置される高度に多孔性の材料の多孔度よりも低い。

【0033】

第１のセグメント５は喫煙可能材料の第１のブレンドで充填され、第２のセグメント６は喫煙可能材料の第２のブレンドで充填される。第１のブレンドはアメリカンブレンドであり第１のレベルのアンモニアを含み、第２のブレンドはバージニアブレンドであり第２のレベルのアンモニアを含む。アンモニアの第２のレベルは第１のレベルよりも低い。

【0034】

前述のように、典型的に、アメリカンブレンドがシガレットの遠位端に配置される場合、最初の数回の吸煙で燃焼する際に発生するホルムアルデヒドの量は、バージニアブレンドが発生するホルムアルデヒドの量よりも少ない。従って、図１に示す構成では、他のシガレットに比べてホルムアルデヒドの発生量が少ない。

【0035】

図１に示すように、ロッド２は、第１及び第２のセグメント５、６に分けることができ、セグメント５はセグメント６よりも短く、例えば、約１２ｍｍの長さである。もしくは、喫煙者に送達される香味に応じて、第１及び第２のセグメントの長さは短くすること又は長くすることができる。

【0036】

図１の第１のセグメント５の第１のブレンドは、アメリカンブレンドタバコを含む。アメリカンブレンドタバコは、所定量の再構成タバコ、膨張タバコ、及び茎材料（まとめて「他のタバコ材料」と呼ぶ）と一緒に熱風乾燥及びバーレー種タバコ材料を含む。図１に示す第１のセグメント５のために用いる場合、第１のブレンドは、約２５％のバーレー種タバコ、約２５％の熱風乾燥タバコ、及び約５０％の他のタバコ材料を含む。この種のタバコ材料組成物は、本発明で用いる場合、典型的にアメリカンブレンドタバコに用いられる。対照的に、図１に示す第２のセグメントの第２のブレンドは、バージニアブレンドを含み、約１００％の熱風乾燥タバコ材料を含有する。バージニアブレンドは「他のタバコ材料」を含まない。

【0037】

例として、４つの試作品のシガレットデザインを製造した。４つの試作品の各々は、２−セグメント化された喫煙物品を備え、各セグメントは、同じ長さであった（各々タバコロッド全長の５０％）。試作品１は２つのセグメントを含み、両方共に各セグメント中に同じアメリカンブレンドタバコを有していた。アメリカンブレンドは、前段で示されるタバコの種類及び量を含み、アメリカンブレンド中のアンモニアの全量は、全ブレンド（葉身及び他のタバコ材料等のブレンドの他の部分を含む）中のタバコ材料の約０．１４重量％であった。試作品２は、２つのセグメントを含み、第１の遠位セグメントは前述のアメリカンブレンドであり、第２の下流セグメントは前段で示したバージニアブレンドである。試作品３は、試作品２と同様の２つのセグメントを含むが、順序が逆である。試作品４は２つのセグメントを含むが、両方共に各セグメント中に同じバージニアブレンドを有していた。バージニアブレンドは、試作品２及び３で用いたのと同じであり、バージニアブレンド中のアンモニアの全量は、全ブレンドのタバコ材料の約０．０５重量％であった。

【0038】

表１は、試作品全ての喫煙試験の結果を示す。先端にアメリカンブレンド（比較的バーレー種の含有量が多い）を有する試作品２は、セグメントの順序が逆の試作品３よりもホルムアルデヒドの発生量が比較的少ないことを示している。また、試作品２は、タバコロッド全体がバージニアブレンドである試作品４よりもホルムアルデヒドの発生が少ない。また、試験結果は、タバコロッドの一部のみにアメリカンブレンドを含有することでＴＳＮＡ量を相対的に低減できることを示している。両セグメントがアメリカンブレンドタバコを有する試作品１では煙中のＴＳＮＡ送達量が最も多い。タバコロッドの半分をバージニアブレンドに置き換えた試作品２及び３では煙中のＴＳＮＡ量が比較的少ない。両セグメントがバージニアブレンドを有する試作品４では、煙中のＴＳＮＡの相対レベルが最も低い。煙中のホルムアルデヒド及びＴＳＮＡ量の試験はカナダ保健省インテンス法を利用して行った。

【0039】

タバコのＴＳＮＡ量に関する試験を行う際に以下の試験を使用した。すなわち、標準オーブン揮発性試験を用いて、タバコサンプルの一部を試験して、タバコの水分含量を測定した。タバコサンプルの他の部分の０．７５グラムをフラスコに入れた。測定するＴＳＮＡ種に関する標準体のアセトニトリル、２μｇ／ｍＬ（終末濃度）を加えることで標準溶液を作った（例えば、ＮＮＮに関する標準体はＤ４−ＮＮＮである）。この標準溶液３００μＬをフラスコに加えた。次に、酢酸アンモニウム３０ｍＬ（１００ｍＭ溶液）をフラスコに加えた。この溶液を回転攪拌機で３０分間攪拌した。次に、ＴＳＮＡ量を定量化するために溶質部をＬＣ−ＭＳＭＳ（液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計）システムに通し、そのＴＳＮＡ量を乾燥タバコベース上に供給した。

【0040】

タバコのアンモニア量を試験する際に以下の試験を使用した。すなわち、タバコを粉砕して１．０ｍｍメッシュを通して粉砕タバコを得た。標準オーブン揮発性試験を用いて、粉砕タバコのサンプル７−８グラムの水分含有量を測定した。オーブン揮発性試験を受けていない粉砕タバコの第２のサンプル０．５グラムをフラスコに入れた。５％の酢酸溶液１００ｍＬをこのサンプル０．５グラムに加えて３０分間振り動かした。次に、抽出物をプリーツフィルタに通して、分析用サンプルを作った。次にこのサンプルをＳｋａｌａｒフロー分析計に通して分析して、この結果を利用して、タバコの乾燥重量に基づいてアンモニアの割合を計算した。

【符号の説明】

【0041】

１ 喫煙物品
２ 喫煙可能材料ロッド
３ 口側端
４ 遠位端
５ 第１のセグメント
６ 第２のセグメント
７ マウスピース
８ シガレットラッパー
９ チップ材料

【図1】

【図2】