特許第5904573号(P5904573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904573
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/51 20110101AFI20160331BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01R12/51
   H01R4/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-179528(P2011-179528)
(22)【出願日】2011年8月19日
(65)【公開番号】特開2013-41789(P2013-41789A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年6月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲学
(72)【発明者】
【氏名】山上 徹
(72)【発明者】
【氏名】奥山 毅
(72)【発明者】
【氏名】草谷 敏弘
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−033144(JP,A)
【文献】 特開2001−167839(JP,A)
【文献】 特開2000−315551(JP,A)
【文献】 特表2005−534142(JP,A)
【文献】 特表2007−502527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/51
H01R 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部基板に搭載されるコネクタにおいて、
筐体と、
前記筐体から外部に突出する突出部を有し、且つ熱伝導性を有する材料で構成される基板、及び前記基板の下部に固定され、且つ前記外部基板上に設けられた電極パッド上に接触して半田により固定される端子を有するコネクタモジュールと
を備え、
前記筐体は、前記突出部を外部に露出させるためのスリットを有し、
前記コネクタが前記外部基板に半田付けされる際は、前記突出部が熱を吸収し、その熱が前記基板を介して前記端子に伝導することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記突出部は、前記筐体の側面方向に折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記突出部は、蛇行形状に折り曲げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
さらに前記コネクタモジュールを複数備え、
前記基板の上部に設けられ、前記コネクタモジュール間の距離を規定するフレームを有し、
前記端子と対向する前記フレーム上の位置に第1開口部が形成され、
前記第1開口部と対向する前記筐体上の位置に第2開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リフロー工程により半田を溶融し、プリント回路基板上の接点パッドに溶着されるコネクタが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。リフロー工程とは、半田を印刷したプリント回路基板に部品を装着し、加熱装置の熱風によりプリント回路基板を加熱し半田を溶融させ、部品とプリント回路基板を結合させる工法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−060427号公報
【0004】
【特許文献2】特表2007−502527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタの底面に設けられた複数の端子が、半田によりプリント回路基板上の複数の接点パッドに結合される場合、コネクタの底面に接触する半田が溶融せずに、コネクタがプリント回路基板に結合しない場合がある。特に、コネクタの底面の中央部に接触する半田が溶融しない場合がある。これは、コネクタ自身がコネクタの底面に接触する半田へ送られる熱風を遮断し、コネクタの底面に接触する半田が溶融しないためである。
【0006】
本発明の目的は、外部基板上の半田を溶融しやすくするコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、明細書に開示されたコネクタは、外部基板に搭載されるコネクタにおいて、筐体と、前記筐体から外部に突出する突出部を有し、且つ熱伝導性を有する材料で構成される基板、及び前記基板の下部に固定され、且つ前記外部基板上に設けられた電極パッド上に接触して半田により固定される端子を有するコネクタモジュールとを備え、前記筐体は、前記突出部を外部に露出させるためのスリットを有し、前記コネクタが前記外部基板に半田付けされる際は、前記突出部が熱を吸収し、その熱が前記基板を介して前記端子に伝導する。かかる構成によれば、突出部で吸収された熱が基板及び端子を介して外部基板上に伝導されるので、外部基板上の半田を溶融しやすくすることができる。
【0008】
好ましくは、前記突出部は、前記筐体の側面方向に折り曲げられている。かかる構成によれば、突出部が折り曲げられていない場合に比べて、熱風を受けやすい方向を増加することができる。
【0009】
好ましくは、前記突出部は、蛇行形状に折り曲げられている。かかる構成によれば、熱を吸収する表面積を増加することができる。
【0010】
好ましくは、さらに前記コネクタモジュールを複数備え、前記基板の上部に設けられ、前記コネクタモジュール間の距離を規定するフレームを有し、前記端子と対向する前記フレーム上の位置に第1開口部が形成され、前記第1開口部と対向する前記筐体上の位置に第2開口部が形成されている。かかる構成によれば、ユーザが端子の状態を確認することができると共に、熱風が外部基板上の半田に到達し易くなる
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部基板上の半田を溶融しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態にかかるコネクタ10及び基板50の概略構成図である。
図2】(A)は、コネクタ10の背面の構成を示す斜視図である。(B)は、複数のコネクタモジュール12がコネクタ10に内蔵されている場合のコネクタ10の背面の構成を示す斜視図である。
図3】コネクタ10に含まれるコネクタモジュール12の構成図である。
図4図3のコネクタモジュール12の集合体を示す図である。
図5】(A)は、信号端子23を通過する線上のコネクタモジュール12及び基板50の断面図である。(B)は、グラウンド端子24を通過する線上のコネクタモジュール12及び基板50の断面図である。
図6】熱が突出部26から信号端子23及びグランド端子24に伝導される状態を示す図である。
図7】(A)は、ソケット10の背面の斜視図であり、(B)はコネクタモジュール12の突出部26の第1変形例を示す図である。
図8】(A)は、ソケット10の背面の斜視図であり、(B)はコネクタモジュール12の突出部26の第2変形例を示す図である。
図9】コネクタモジュール12の変形例を示す図である。
図10】(A)及び(B)は、コネクタ10の筐体11の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態にかかるコネクタ10及び基板50の概略構成図である。図2(A)は、コネクタ10の背面の構成を示す斜視図である。図2(B)は、複数のコネクタモジュール12がコネクタ10に内蔵されている場合のコネクタ10の背面の構成を示す斜視図である。
【0015】
図1において、コネクタ10は、基板50の表面に実装されるコネクタであり、電算機、パーソナルコンピュータ、又はワークステーション等に使用される高密度コネクタである。コネクタ10は、絶縁体の筐体11と、筐体11に内蔵される複数のコネクタモジュール12とを備えている。ここでは、複数のコネクタモジュール12が筐体11に内蔵されているが、コネクタ10は、少なくとも1つのコネクタモジュールを備えていればよい。
【0016】
コネクタ10の正面には、開口13が形成されており、不図示の別のコネクタがこの開口13を介して複数のコネクタモジュール12に装着される。また、図2(A)に示すように、コネクタ10の背面には、各コネクタモジュール12の一部(即ち、後述する突出部26)を外部に露出するためのスリット14が形成されている。図2(B)に各コネクタモジュール12の一部が外部に露出されている状態を示す。
【0017】
図1において、外部基板としての基板50は、ガラスエポキシ基板のようなリジッド基板である。また、基板50は、電極パッド51と、電極パッド51上に塗布された半田52と、コネクタモジュール12から鉛直方向に伸びる脚部27(図3参照)を固定する孔53と、筐体11を固定する凹部54とを備えている。リフロー工程により加熱装置100の熱風が基板50を加熱し、半田52を溶融し、コネクタ10が基板50に固定される。リフロー工程において、加熱装置100は、コネクタ10及び基板50の上方から熱風をコネクタ10及び基板50に送る。
【0018】
図3は、コネクタ10に含まれるコネクタモジュール12の構成図である。図4は、図3のコネクタモジュール12の集合体を示す図である。図5(A)は、信号端子23を通過する線上のコネクタモジュール12及び基板50の断面図である。図5(B)は、グラウンド端子24を通過する線上のコネクタモジュール12及び基板50の断面図である。
【0019】
図3に示すように、コネクタモジュール12は、基板20と、ソケット21と、信号線22と、フレーム25とを備えている。フレーム25は、例えば、プラスチック製の樹脂で構成されている。また、フレーム25は、図4に示すように、基板20の上部に設けられ、コネクタモジュール12間の距離を規定する。つまり、コネクタモジュール12と隣接するコネクタモジュール12とは、フレーム25の厚みだけ離れている。
【0020】
基板20は、アルミや銅などの熱伝導性の高い金属で構成されており、その金属の表面に絶縁膜28が塗布されている(図5(A)及び(B)参照)。図3に示すように、基板20は、コネクタ10の背面から外部に露出する突出部26を備えている。
【0021】
ソケット21は、コネクタ10に接続される他のコネクタと接続される。コネクタモジュール12は4つのソケット21を有するが、ソケットの数はこれに限定されるものではない。各ソケット21は、2本の信号線22を介して2つの信号端子23に接続されている。2つの信号端子23は、基板20の底部に固定されており、基板20の底部から水平方向に延びている。また、複数のグランド端子24が基板20の底部から水平方向に延びている。2つの信号端子23は、グラウンド端子24と隣接するグラウンド端子24と間に設けられている。信号端子23及びグラウンド端子24は、電極パッド51上に配置され、半田52が溶融することにより、電極パッド51上に固定される。
【0022】
さらに、脚部27が基板20の底部から鉛直下方向に延びており、この脚部27は基板50上の孔53に挿入される。これにより、コネクタモジュール12は、水平方向の動きが抑制される。また、筐体11の底面には、凹部54に嵌る不図示の突起が形成されている。
【0023】
以上のように構成されたコネクタ10は、図6に示すように、コネクタモジュール12の突出部26から加熱装置100による熱を吸収する。加熱装置100による熱は、基板20を介して複数の信号端子23及び複数のグランド端子24に伝導される。これにより、複数の信号端子23及び複数のグランド端子24と接触する電極パッド51上の半田52が溶融しやすくなる。
【0024】
また、コネクタ10が使用されるときは、基板50で発生する熱が、複数の信号端子23及び複数のグランド端子24を介してコネクタモジュール12の突出部26に伝導される。よって、コネクタモジュール12の突出部26は、基板50で発生する熱を放出するヒートシンクの機能を有する。
【0025】
図7(A)は、ソケット10の背面の斜視図であり、図7(B)はコネクタモジュール12の突出部26の第1変形例を示す図である。図8(A)は、ソケット10の背面の斜視図であり、図8(B)はコネクタモジュール12の突出部26の第2変形例を示す図である。
【0026】
図3では、コネクタモジュール12の突出部26は、平板の形状であるが、図7(B)に示すように、例えば、コネクタ10の筐体11の側面方向に折り曲げてもよい、即ち、上方から見てL字状に折り曲げてもよい。これにより、熱風を受けやすい方向を増加することができる。また、図8(B)に示すように、コネクタモジュール12の突出部26は、蛇行形状に折り曲げられていてもよい。即ち、突出部26は、筐体11の側面方向に複数回折り曲げてもよい。これにより、熱を吸収する表面積を増加することができる。
【0027】
図9は、コネクタモジュール12の変形例を示す図である。図10(A)及び(B)は、コネクタ10の筐体11の変形例を示す図である。
【0028】
図9に示すように、フレーム25には、複数の信号端子23及び複数のグランド端子24と対向する位置に開口部25A(第1開口部)が形成されている。図10(A)に示すように、筐体11の上面には、開口部11Aが形成されている。これに代えて、図10(B)に示すように、筐体11の上面には、スリット11Bが形成されていてもよい。開口部11A及びスリット11Bは、第2開口部として機能し、開口部25Aと対向する位置に形成されている。
【0029】
開口部25Aと開口部11A又はスリット11Bとにより、ユーザは、各信号端子23及び各グランド端子24の状態を確認することができる。即ち、ユーザは、半田52が溶融し、各信号端子23及び各グランド端子24が電極パッド51上に固定されているか否かを確認することができる。さらに、開口部25Aと開口部11A又はスリット11Bとにより、加熱装置100の熱風が半田52に到達し易くなる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によれば、突出部26で吸収された熱が、基板20、複数の信号端子23及び複数のグランド端子24を介して基板50上に伝導されるので、基板50上の半田52を溶融しやすくすることができる。
【0031】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 コネクタ
11 筐体
12 コネクタモジュール
20 基板
21 ソケット
22 信号線
23 信号端子
24 グラウンド端子
25 フレーム
26 突出部
50 基板
51 電極パッド
52 半田
53 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10