特許 5904589 販売データ管理サーバ、販売データ管理システム、販売データ管理プログラム及び販売データの管理方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5904589

(24)【登録日】2016年3月25日

(45)【発行日】2016年4月13日

(54)【発明の名称】販売データ管理サーバ、販売データ管理システム、販売データ管理プログラム及び販売データの管理方法

(51)【国際特許分類】

   G06Q 10/06 20120101AFI20160331BHJP

   G07G 1/14 20060101ALI20160331BHJP

   G07G 1/12 20060101ALI20160331BHJP

【ＦＩ】

   G06Q10/06 130

   G07G1/14

   G07G1/12 341E

   G07G1/12 341A

【請求項の数】5

【全頁数】18

(21)【出願番号】特願2012-183690(P2012-183690)

(22)【出願日】2012年8月22日

(62)【分割の表示】特願2012-122520(P2012-122520)の分割

【原出願日】2012年5月29日

(65)【公開番号】特開2013-246813(P2013-246813A)

(43)【公開日】2013年12月9日

【審査請求日】2015年4月27日

(73)【特許権者】

【識別番号】500165795

【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100117592

【弁理士】

【氏名又は名称】土生 哲也

(72)【発明者】

【氏名】山田 光太郎

【審査官】 宮地 匡人

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００８−１４０２１９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−１８９９４１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００７−０５８５３４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｇ０６Ｑ １０／００−５０／３４

Ｇ０７Ｇ １／１２

Ｇ０７Ｇ １／１４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末及び販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末と、ネットワークによって接続された販売データ管理サーバであって、
販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、
顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段と、
前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認手段と、
前記購買履歴確認手段によって、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込手段と、
前記レジ端末から受け付けた顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込手段と、
前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新手段と、
を備えることを特徴とする販売データ管理サーバ。

【請求項2】

前記推奨履歴更新手段は、顧客コードと商品コードの組合せのうち初回の購買履歴における購買時を前記推奨履歴に書込むことによって、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新すること
を特徴とする請求項１記載の販売データ管理サーバ。

【請求項3】

店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末、販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末、前記店内端末及び前記レジ端末とネットワークによって接続された販売データ管理サーバからなる販売データ管理システムであって、
前記店内端末は、
販売推奨者が顧客に推奨した商品に関する推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を、前記販売データ管理システムに送信する手段を備え、
前記レジ端末は、
レジ担当者が顧客から代金の支払いを受けた商品に関する顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記販売データ管理システムに送信する手段を備え、
前記販売データ管理サーバは、
販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、
顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段と、
前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認手段と、
前記購買履歴確認手段によって、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込手段と、
前記レジ端末から受け付けた前記商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込手段と、
前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新手段と、
を備えることを特徴とする販売データ管理システム。

【請求項4】

店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末及び販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末と、ネットワークによって接続され、販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段を備えた販売データ管理サーバに備えられる販売データ管理プログラムであって、前記販売データ管理サーバに、
前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認ステップと、
前記購買履歴確認ステップにおいて、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込ステップと、
前記レジ端末から受け付けた顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込ステップと、
前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新ステップと、
を実行させることを特徴とする販売データ管理プログラム。

【請求項5】

店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末及び販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末と、ネットワークによって接続され、販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段を備えた販売データ管理サーバによって実行される販売データの管理方法であって、
前記販売データ管理サーバが、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認ステップと、
前記販売データ管理サーバが、前記購買履歴確認ステップにおいて、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込ステップと、
前記販売データ管理サーバが、前記レジ端末から受け付けた顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込ステップと、
前記販売データ管理サーバが、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新ステップと、
を有することを特徴とする販売データの管理方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、店内で商品の販売を推奨する販売推奨者により顧客に推奨された商品について、推奨後の販売実績を販売推奨者毎に把握して分析することに好適な、販売データ管理サーバ、販売データ管理システム、販売データ管理プログラム及び販売データの管理方法に関するものである。

【背景技術】

【0002】

ドラッグストア等の小売店では、ＰＯＳシステムを導入して商品の販売情報を収集し、これを分析することが広く行われ、棚卸しや仕入れの効率化などに活用されている。また、顧客毎の購入傾向を把握して、顧客の嗜好に合った商品を推奨することなどに活用するために、ポイントカードなどの会員カードによって顧客を識別し、顧客毎の購入履歴を分析することも可能になっている（例えば、特許文献１参照）。

【0003】

購入履歴等により顧客の購買傾向や嗜好などを分析し、推奨すべき商品を特定することができたとしても、それを店舗での商品の販売に結びつけるためには、顧客に値引きなどのインセンティブを与えることが望ましい。そこで、顧客に推奨したい商品について、特定の商品の購入代金を割り引くクーポン券を発行する装置（例えば、特許文献２参照）が、店内に設置されている小売店も少なくない。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００１−２１６３６９号公報

【特許文献2】特開２００２−１７５４６１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところで、小売業の店舗オペレーションの形態として、レジで商品の販売代金を受け付けるレジ担当者とは別に、店内の売り場に商品を説明して販売を推奨する販売推奨者が配置されることがある。商品の提供し得る価値に合致するニーズがある顧客を見つけるとともに、その商品価値を顧客に伝え、顧客に理解させることが必要な、いわゆる「推奨販売品」や「推奨品」と呼ばれる商品を多く扱っている、ドラッグストアなどによく見られるオペレーション形態である。

【0006】

こうした商品は、初回購入に至るまでの説明コストが高くかかる一方で、顧客ニーズに合致するものを適切に推奨できれば、その後も定期的に反復購入され、小売店にとっては中長期的な収益に結び付く可能性が高い。そのため、こうした推奨販売品は、小売業にとって販売に注力すべき商品と考えられているが、その販売を強化するためには、販売推奨者による推奨販売への貢献を適切に把握し、販売推奨者を公平に評価する仕組みが求められることになる。

【0007】

具体的には、販売推奨者によって推奨された商品が、顧客にとって初めての購買に結びついたか、さらに、初回購買後に同じ顧客が同じ商品を継続的に購買しているかどうかを把握して評価に結びつけることができれば、単に１回売れればよいということではなく、真に顧客のニーズに合致した商品を適切に推奨して小売店の中長期的な収益に貢献するようすることができるように、販売推奨者にインセンティブを与えることが可能になるはずである。

【0008】

これに対して、特許文献１のような顧客毎の購入履歴を分析するシステムを用いると、特定の商品について顧客の購入実績を把握することは可能になるが、その商品を最初に推奨したのは誰なのか、一般的なＰＯＳシステムであれば、初回にレジを打ったレジ担当者を把握することはできても、店内の推奨販売品が陳列してある場所等で商品を推奨した販売推奨者を特定することはできない。特許文献２のようなクーポンの出力装置は、顧客に対して特定の商品を購入させるインセンティブとして用いることはできるものの、販売推奨者の特定に用いることができるものではない。

【0009】

本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、店内で商品の販売を推奨する販売推奨者により顧客に推奨された商品について、推奨後の販売実績を販売推奨者毎に把握して分析することに好適な、販売データ管理サーバ、販売データ管理システム、販売データ管理プログラム及び販売データの管理方法を提供することを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0010】

このような課題を解決する本発明は、店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末及び販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末と、ネットワークによって接続された販売データ管理サーバであって、販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段と、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認手段と、前記購買履歴確認手段によって、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込手段と、前記レジ端末から受け付けた顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込手段と、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新手段と、を備えることを特徴とする販売データ管理サーバである。

【0011】

本発明では、商品を販売する店内に、商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末と販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末を設置する。店内端末から販売推奨者による顧客への商品の推奨に関する情報を受け付け、顧客の購買履歴がない商品であれば、この情報を推奨履歴として保留中の状態で保持する。レジ端末から受け付けた顧客が購買した商品に関する情報は購買履歴として格納されるが、推奨履歴が保留状態にある商品の購買が確認されると、保留状態の推奨履歴を有効化することによって、販売推奨者による推奨履歴が有効な情報として記録される。以上のように推奨履歴と購買履歴をそれぞれ蓄積することによって、顧客の商品の購買履歴に対して、その顧客にその商品を最初に推奨した販売推奨者を特定することができるため、推奨後の販売実績を販売推奨者毎に把握して分析することが可能になる。

【0012】

また、本発明は、所定の操作により指定を受けた販売推奨者について、前記推奨履歴格納手段に格納されたステータスが有効な状態で前記販売推奨者を識別する推奨者コードを含む推奨履歴と、前記購買履歴格納手段に格納された購買履歴を、顧客コード、又は商品コード、若しくは顧客コードと商品コードの組合せをキーにマッチングさせて、前記販売推奨者の、前記顧客コードから識別される顧客への推奨、又は前記商品コードから識別される商品の推奨、若しくは前記顧客コードから識別される顧客への前記商品コードから識別される商品の推奨による購買履歴を検出し、前記販売推奨者の商品の販売の推奨による販売実績に関する情報を出力する推奨実績出力手段を備えることを特徴とすることもできる。

【0013】

このように構成すると、販売推奨者の推奨者コードに対して、顧客コードや商品コード、顧客コードと商品コードの組合せなどの条件を指定すれば、販売推奨者の推奨による顧客毎の販売実績、商品毎の販売実績、顧客が購買した商品毎の販売実績を集計して、分析することが可能になる。

【0014】

さらに、本発明は、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無い場合には、前記商品コードにより識別される商品の購買に利用できるクーポンを前記店内端末で出力するためのクーポンデータを生成して、前記店内端末に送信するクーポン送信手段を備えることを特徴としてもよい。前記レジ端末から、前記クーポンデータにより発行されたクーポンから読み取った商品コードと、顧客が購買する商品から読み取った商品コードを受信し、これらの商品コードが一致する場合には、クーポンの利用が可能であることを示す情報を前記レジ端末に送信するクーポン利用情報送信手段を備えることを特徴としてもよい。

【0015】

このように構成すると、顧客が購買したことのない商品を推奨した販売推奨者に関する情報を推奨履歴として保持することとあわせて、顧客に対して商品を購買するインセンティブとなるクーポンを提供することができるので、本発明を販売実績の分析に用いるだけでなく、初回の購買を促すにも好適となる。クーポン利用時のクーポンと購買する商品の照合は、上記のとおり本発明にかかる販売データ管理サーバで行うことができるが、レジ端末において行うよう構成してもよい。

【0016】

さらに、本発明は、前記推奨履歴更新手段は、顧客コードと商品コードの組合せのうち初回の購買履歴における購買時を前記推奨履歴に書込むことによって、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新することを特徴としてもよい。

【0017】

本発明において、保留状態にある推奨履歴を有効化する方法は特に限定されるものではないが、このように構成すると、推奨履歴を有効化するだけでなく、推奨販売の実績が生じた時点を記録することができるので、その後の検索時の絞込み等に有効である。

【0018】

本発明は、本発明にかかる販売データ管理サーバと、店内端末、レジ端末によって構成される販売データ管理システムとして特定することもできる。

【0019】

本発明にかかる販売データ管理システムは、店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末、販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末、前記店内端末及び前記レジ端末とネットワークによって接続された販売データ管理サーバからなる販売データ管理システムであって、前記店内端末は、販売推奨者が顧客に推奨した商品に関する推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を、前記販売データ管理システムに送信する手段を備え、前記レジ端末は、レジ担当者が顧客から代金の支払いを受けた商品に関する顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記販売データ管理システムに送信する手段を備え、前記販売データ管理サーバは、販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段と、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認手段と、前記購買履歴確認手段によって、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込手段と、前記レジ端末から受け付けた前記商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込手段と、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新手段と、を備えることを特徴とする販売データ管理システムである。

【0020】

また、本発明にかかる販売データ管理システムは、前記販売データ管理サーバは、所定の操作により指定を受けた販売推奨者について、前記推奨履歴格納手段に格納されたステータスが有効な状態で前記販売推奨者を識別する推奨者コードを含む推奨履歴と、前記購買履歴格納手段に格納された購買履歴を、顧客コード、又は商品コード、若しくは顧客コードと商品コードの組合せをキーにマッチングさせて、前記販売推奨者の、前記顧客コードから識別される顧客への推奨、又は前記商品コードから識別される商品の推奨、若しくは前記顧客コードから識別される顧客への前記商品コードから識別される商品の推奨による購買履歴を検出し、前記販売推奨者の商品の販売の推奨による販売実績に関する情報を出力する推奨実績出力手段を備えることを特徴とすることもできる。

【0021】

さらに、本発明にかかる販売データ管理システムは、前記販売データ管理サーバは、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無い場合には、前記商品コードにより識別される商品の購買に利用できるクーポンを前記店内端末で出力するためのクーポンデータを生成して、前記店内端末に送信するクーポン送信手段を備えることを特徴としてもよい。前記販売データ管理サーバは、前記レジ端末から、前記クーポンデータにより発行されたクーポンから読み取った商品コードと、顧客が購買する商品から読み取った商品コードを受信し、これらの商品コードが一致する場合には、クーポンの利用が可能であることを示す情報を前記レジ端末に送信するクーポン利用情報送信手段を備えることを特徴としてもよい。

【0022】

さらに、本発明にかかる販売データ管理システムは、前記販売データ管理サーバにおいて、前記推奨履歴更新手段は、顧客コードと商品コードの組合せのうち初回の購買履歴における購買時を前記推奨履歴に書込むことによって、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新することを特徴としてもよい。

【0023】

本発明は、本発明にかかる販売データ管理サーバに備えられる、販売データ管理プログラムとして特定することもできる。

【0024】

本発明にかかる販売データ管理プログラムは、店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末及び販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末と、ネットワークによって接続され、販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段を備えた販売データ管理サーバに備えられる販売データ管理プログラムであって、前記販売データ管理サーバに、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認ステップと、前記購買履歴確認ステップにおいて、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込ステップと、前記レジ端末から受け付けた顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込ステップと、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新ステップと、を実行させることを特徴とする販売データ管理プログラムである。

【0025】

また、本発明にかかる販売データ管理プログラムは、前記販売データ管理サーバに、所定の操作により指定を受けた販売推奨者について、前記推奨履歴格納手段に格納されたステータスが有効な状態で前記販売推奨者を識別する推奨者コードを含む推奨履歴と、前記購買履歴格納手段に格納された購買履歴を、顧客コード、又は商品コード、若しくは顧客コードと商品コードの組合せをキーにマッチングさせて、前記販売推奨者の、前記顧客コードから識別される顧客への推奨、又は前記商品コードから識別される商品の推奨、若しくは前記顧客コードから識別される顧客への前記商品コードから識別される商品の推奨による購買履歴を検出し、前記販売推奨者の商品の販売の推奨による販売実績に関する情報を出力する推奨実績出力ステップを実行させることを特徴とすることもできる。

【0026】

さらに、本発明にかかる販売データ管理プログラムは、前記販売データ管理サーバに、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無い場合には、前記商品コードにより識別される商品の購買に利用できるクーポンを前記店内端末で出力するためのクーポンデータを生成して、前記店内端末に送信するクーポン送信ステップを実行させることを特徴としてもよい。前記販売データ管理サーバに、前記レジ端末から、前記クーポンデータにより発行されたクーポンから読み取った商品コードと、顧客が購買する商品から読み取った商品コードを受信し、これらの商品コードが一致する場合には、クーポンの利用が可能であることを示す情報を前記レジ端末に送信するクーポン利用情報送信ステップを実行させることを特徴としてもよい。

【0027】

さらに、本発明にかかる販売データ管理プログラムは、前記推奨履歴更新ステップにおいて、前記販売データ管理サーバに、顧客コードと商品コードの組合せのうち初回の購買履歴における購買時を前記推奨履歴に書込ませることによって、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新することを特徴としてもよい。

【0028】

本発明は、本発明にかかる販売データ管理サーバによって実行される、販売データの管理方法として特定することもできる。

【0029】

本発明にかかる販売データの管理方法は、店内で商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末及び販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末と、ネットワークによって接続され、販売推奨者による顧客への商品の推奨毎に、販売推奨者を識別する推奨者コード、商品を推奨された顧客を識別する顧客コード及び推奨した商品を識別する商品コードを含む推奨履歴を格納する推奨履歴格納手段と、顧客による商品の購買毎に、商品を購買した顧客を識別する顧客コード及び購買した商品を識別する商品コードを含む購買履歴を格納する購買履歴格納手段を備えた販売データ管理サーバによって実行される販売データの管理方法であって、前記販売データ管理サーバが、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索して、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴の有無を確認する購買履歴確認ステップと、前記販売データ管理サーバが、前記購買履歴確認ステップにおいて、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無いことが確認されると、前記店内端末から受け付けた推奨情報に含まれる推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む推奨履歴を保留中のステータスで前記推奨履歴格納手段に書き込む推奨履歴書込ステップと、前記販売データ管理サーバが、前記レジ端末から受け付けた顧客コード及び商品コードを含む商品の購買情報を、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込む購買履歴書込ステップと、前記販売データ管理サーバが、前記購買履歴格納手段に新たな購買履歴として書き込まれた購買履歴の顧客コードと商品コードの組合せをキーに前記推奨履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードを含む保留中のステータスの推奨履歴が存在する場合には、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新する推奨履歴更新ステップと、を有することを特徴とする販売データの管理方法である。

【0030】

また、本発明にかかる販売データの管理方法は、前記販売データ管理サーバが、所定の操作により指定を受けた販売推奨者について、前記推奨履歴格納手段に格納されたステータスが有効な状態で前記販売推奨者を識別する推奨者コードを含む推奨履歴と、前記購買履歴格納手段に格納された購買履歴を、顧客コード、又は商品コード、若しくは顧客コードと商品コードの組合せをキーにマッチングさせて、前記販売推奨者の、前記顧客コードから識別される顧客への推奨、又は前記商品コードから識別される商品の推奨、若しくは前記顧客コードから識別される顧客への前記商品コードから識別される商品の推奨による購買履歴を検出し、前記販売推奨者の商品の販売の推奨による販売実績に関する情報を出力する推奨実績出力ステップを有することを特徴とすることもできる。

【0031】

さらに、本発明にかかる販売データの管理方法は、前記販売データ管理サーバが、前記店内端末から推奨者コード、顧客コード及び商品コードを含む商品の推奨情報を受け付けると、前記顧客コードと前記商品コードの組合せをキーに前記購買履歴格納手段を検索し、前記顧客コードと前記商品コードの組合せに対応する購買履歴が無い場合には、前記商品コードにより識別される商品の購買に利用できるクーポンを前記店内端末で出力するためのクーポンデータを生成して、前記店内端末に送信するクーポン送信ステップを有することを特徴としてもよい。前記販売データ管理サーバが、前記レジ端末から、前記クーポンデータにより発行されたクーポンから読み取った商品コードと、顧客が購買する商品から読み取った商品コードを受信し、これらの商品コードが一致する場合には、クーポンの利用が可能であることを示す情報を前記レジ端末に送信するクーポン利用情報送信ステップを有することを特徴としてもよい。

【0032】

さらに、本発明にかかる販売データの管理方法は、前記推奨履歴更新ステップにおいて、前記販売データ管理サーバは、顧客コードと商品コードの組合せのうち初回の購買履歴における購買時を前記推奨履歴に書込むことによって、前記推奨履歴のステータスを保留中から有効な状態に更新することを特徴としてもよい。

【発明の効果】

【0033】

本発明によって、ドラッグストア等の店内で、推奨販売品等の商品の販売を推奨する販売推奨者により顧客に推奨された商品について、推奨後の販売実績を販売推奨者毎に把握して分析することが可能になるが、これによって、販売推奨者による推奨販売品の販売実績への貢献を公平に把握できるようになるので、推奨販売品の販売が促進され、小売店の業績に寄与することが期待される。また、推奨販売品の販売促進は小売業の重要な課題の一つとされているので、小売業の活性化に資することも期待できるものである。

【図面の簡単な説明】

【0034】

【図1】本発明の実施形態の一例を示す図である。

【図2】本発明にかかる販売データ管理システムの構成を示すブロック図である。

【図3】本発明の商品の推奨時におけるデータの流れを示す第１の図である。

【図4】本発明の商品の推奨時におけるデータの流れを示す第２の図である。

【図5】本発明の商品の推奨時におけるデータの流れを示す第３の図である。

【図6】本発明の商品の販売時におけるデータの流れを示す図である。

【図7】本発明の推奨販売実績の確認時におけるデータの流れを示す第１の図である。

【図8】本発明の推奨販売実績の確認時におけるデータの流れを示す第２の図である。

【図9】本発明にかかる販売データ管理サーバの商品の推奨時における処理フローを示すフローチャートである。

【図10】本発明にかかる販売データ管理サーバの推奨販売実績の確認時における処理フローを示すフローチャートである。

【図11】本発明において推奨履歴と購買履歴から販売推奨者によって推奨された商品の販売実績を分析する方法の一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0035】

本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下に示す構成やデータの流れ、データの内容等は本発明の実施形態の一例であって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。

【0036】

図１は、本発明の実施形態の一例の概要を示したものである。本発明では、推奨販売品を含めた商品を販売するドラッグストア等の店内に、商品の販売を推奨する販売推奨者が操作する店内端末と、販売する商品の代金を受け付けるレジ担当者が操作するレジ端末が設置され、それぞれが本発明にかかる販売データ管理サーバに、ネットワークによって接続されている。

【0037】

店内には、販売する商品の一部として推奨販売品が陳列され、レジ端末において商品の代金を受け付けるレジ担当者とは別に、推奨販売品を顧客に説明するための販売推奨者が、推奨販売品を陳列したコーナー等に配置されている。販売推奨者は陳列された推奨販売品を顧客に説明し、顧客が興味を持って購買の意向を示した場合には、顧客と共に店内端末のある場所に移動して（推奨販売品の陳列された場所に店内端末があってもよい）、店内端末を操作する。

【0038】

店内端末では、商品に貼付されたバーコード等からＪＡＮコード等の商品を識別する商品コードを、ポイントカード等の会員カードから顧客を識別する顧客コードを、社員証等の社員カードから販売推奨者を識別する推奨者コードをそれぞれ読み取って、販売データ管理サーバに送信する。販売データ管理サーバでは、購買履歴が格納されたデータベースを参照して、推奨した商品を顧客が過去に購買していないかを確認し、初めての購買に当たる場合は、これらのデータを推奨履歴としてデータベースに保留状態で仮登録をするとともに、店内端末に商品の購買に用いることができる値引き等のインセンティブがついたクーポンを出力させる。

【0039】

販売推奨者は出力されたクーポンを顧客に提供し、顧客は商品とクーポンを持ってレジに移動する。販売推奨者と異なるレジ担当者は、レジ端末を操作して、商品からＪＡＮコード等の商品を識別する商品コードを、クーポンからインセンティブが付与された商品を識別する商品コードを、ポイントカード等の会員カードから顧客を識別する顧客コードを、社員証等からレジ担当者を識別する担当者コードを、それぞれ読み取らせる。レジ端末では、商品から読み取った商品コードとクーポンから読み取った商品コードを照合し、一致する場合は商品の代金がクーポンによる値引分を考慮して演算される。

【0040】

レジ端末で読み取られた商品コード、顧客コード、担当者コードは、商品が販売された時間（購買時間）や商品の販売代金（購買金額）等の情報と併せて、ＰＯＳデータとして販売データ管理サーバに送信される。送信されたＰＯＳデータは、購買履歴としてデータベースに格納されるが、推奨履歴が保留状態で仮登録されている商品の購買が確認されると、保留状態にあった推奨履歴を有効化することによって、販売推奨者による推奨履歴が有効な情報として記録されることになる。

【0041】

本発明では、以上のように推奨履歴と購買履歴をそれぞれデータベースに格納することによって、商品の購買履歴に対して推奨履歴を参照すれば、顧客にその商品を最初に推奨した販売推奨者を特定できるので、推奨販売品の推奨後の販売実績を、その商品を推奨した販売推奨者毎に把握して分析することが可能となっている。

【0042】

図２は、本発明にかかる販売データ管理サーバと、店内端末、レジ端末によって構成される販売データ管理システムの構成の一例を示している。

【0043】

図２において、販売データ管理サーバ１０は、店内端末２０、レジ端末３０とネットワークによって接続されている。これらを接続するネットワークの種別は、データ通信の可能なネットワークであれば特に限定されるものではなく、インターネットでもよいし、専用回線であってもよい。

【0044】

販売データ管理サーバ１０は、ネットワークに接続された端末とデータ通信が可能なサーバコンピュータであって、その物理的な構成は特に限定されるものではないが、ＣＰＵ、メインメモリ、ＨＤＤ等の補助記憶装置を備えた一般的なコンピュータを用いることができる。販売データ管理サーバ１０における所定の機能は、補助記憶装置に格納されたアプリケーションプログラムがメインメモリに呼び出され、ＣＰＵで演算処理を行うことによって実現される。

【0045】

販売データ管理サーバ１０に備えられるクーポン発行部１３、推奨履歴書込部１４、購買履歴書込部１５、推奨履歴確認部１６、推奨実績分析部１７は、いずれも機能的に特定されるものであって、各部の機能に対応するアプリケーションプログラムが、ＨＤＤ等の補助記憶装置からメインメモリに呼び出され、ＣＰＵで演算処理を行うことによって、所定の機能が実現される。

【0046】

販売データ管理サーバ１０に備えられる購買履歴データベース１１、推奨履歴データベース１２には、それぞれＨＤＤ等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられるが、これらは必ず一のコンピュータに備えられることを要件とするものではなく、その一部又は全部が、前述のアプリケーションプログラムを実行するサーバコンピュータとは異なる、データベースサーバ等の他のコンピュータに備えられるものであってもよい。

【0047】

店内端末２０には、タッチパネルを備えたキオスク端末等を用いればよいが、販売データ管理サーバ１０とのデータ通信が可能な端末装置であれば、その構成は特に限定されるものではない。店内端末２０には、販売データ管理サーバ１０とのデータ通信を制御する通信制御部２１の他に、紙媒体等のクーポンを出力する処理を実行するクーポン出力部２２が備えられている。

【0048】

レジ端末３０には、一般に用いられるＰＯＳレジ端末を用いればよく、商品の販売情報であるＰＯＳデータを送信するＰＯＳデータ送信部３１が備えられる他、販売する商品とクーポンを照合してクーポン利用の可否を判断するクーポン照合部３２を備えることとしてもよい。

【0049】

以上の構成を前提にして、本発明にかかる販売データ管理システムによる商品の推奨時における処理の流れを、図３〜図５と、図９のフローチャートを用いて説明する。

【0050】

推奨販売品が陳列された店内で、販売推奨者がいずれかの推奨販売品を顧客に説明し、顧客がその商品に興味を示すと、販売推奨者はその商品の初回購買時に値引き等に用いることができるクーポンを取得するために、店内端末２０を操作する。店内端末２０には、バーコードや二次元コード、ＩＣチップ等から所定の情報を読み取るリーダーが備えられていて、販売推奨者は、商品に貼付されたバーコード等からＪＡＮコード等の商品を識別する商品コードを、ポイントカード等の会員カードから顧客を識別する顧客コードを、社員証等の社員カードから販売推奨者を識別する推奨者コードを、それぞれ店内端末２０に読み取らせる。尚、これらのコードはカード等からリーダーを使って読み取るのではなく、その全部又は一部を、キーボード等を用いて入力するものであってもよい。

【0051】

店内端末２０で所定の情報が読み取られると、通信制御部２１が起動され、図３に示したように、これらのデータがネットワーク経由で販売データ管理サーバ１０に送信される。これらのデータを受信した販売データ管理サーバ１０では、図９のフローチャートに示した処理が実行される。

【0052】

まず、商品コード、顧客コード、推奨者コードが含まれた商品の推奨に関するデータを店内端末２０から受信すると（Ｓ０１）、クーポン発行部１３が起動され、図３に示したように、受信した商品コードと顧客コードの組合せをキーに購買履歴データベース１１を検索する（Ｓ０２）。購買履歴データベース１１には、過去に顧客が購買した商品の履歴が格納されているので、これを検索することによって、顧客が推奨された商品を過去に購買したことがあるか否かを確認することが可能である。

【0053】

顧客が推奨された商品について過去に購買履歴がある場合、すなわち、受信した商品コードと顧客コードの組合せに対応する購買履歴が検索によりヒットした場合には（Ｓ０３）、顧客が推奨された商品は初めて購買する商品には当たらないので、クーポン発行の対象外であることが店内端末２０に返信される（Ｓ０６）。過去に購買された実績のある商品であれば、顧客がその後に商品を購買したとしても、顧客に商品を推奨して初めて購買に結びつけた実績にカウントすることはできないので、推奨履歴データベース１２に新たな推奨履歴として登録されることもない。

【0054】

一方、顧客が推奨された商品について過去に購買履歴がない場合、すなわち、受信した商品コードと顧客コードの組合せに対応する購買履歴が検索によりヒットしない場合には（Ｓ０３）、図４に示したように、受信した商品コード、顧客コード、推奨者コードを含み、これらを関連付けたデータが、推奨履歴書込部１３によって、新たな推奨履歴として保留中のステータスで推奨履歴データベース１２に書込まれ、仮登録される（Ｓ０４）。

【0055】

ここで、新たな推奨履歴を保留中のステータスで保持する方法は特に限定されるものではないが、推奨販売品の推奨はその商品が購買された段階で初めて推奨実績としてカウントすべきものなので、例えば、その商品の初回購買日等の書き込みによって推奨履歴が有効になるよう設定するならば、初回購買日等のフィールドをブランクにすることによって、推奨履歴を保留中のステータスとして扱うことができる。

【0056】

さらに、顧客が推奨された商品が初めて購買する商品に当たることが確認されたので、商品の購買に用いることができる値引き等のインセンティブがついたクーポン（初回特別クーポン）を発行して、図５に示したように、店内端末２０に返信する（Ｓ０５）。

【0057】

尚、ここでクーポンを発行する方法は特に限定されるものではないが、クーポンによって対象になる商品の商品コードが特定できることが必要であり、例えば、値引きの対象となる商品の商品コードや値引額などの値引条件、クーポンの使用期限等の情報を埋め込んだ二次元コードを出力するためのデータを生成し、これを店内端末２０に送信することとすればよい。

【0058】

また、発行される初回特別クーポンに付与されるインセンティブは、購買する商品の値引きに限られるものではなく、例えば、他の商品の無料でのプレゼント、ポイントカードへのボーナスポイトの付与など、対象となる商品を購買するインセンティブとなるものであれば、値引き以外のインセンティブを採用してもよい。

【0059】

続いて、本発明にかかる販売データ管理システムによる商品の販売時における処理の流れを、図６を用いて説明する。

【0060】

レジ端末３０には、バーコードや二次元コード、ＩＣチップ等から所定の情報を読み取るリーダーが備えられていて、レジ担当者は、商品に貼付されたバーコード等からＪＡＮコード等の商品を識別する商品コードを、初回特別クーポンに表示された二次元コード等から値引き等の対象となる商品を識別する商品コードを、ポイントカード等の会員カードから顧客を識別する顧客コードを、社員証等の社員カードからレジ担当者を識別する担当者コードを、それぞれレジ端末３０に読み取らせる。尚、これらのコードはカード等からリーダーを使って読み取るのではなく、その全部又は一部を、キーボード等を用いて入力するものであってもよい。

【0061】

レジ端末３０では、クーポン照合部３２が起動され、図６に示したように、商品から読み取った商品コードと初回特別クーポンから読み取った商品コードを照合する。これらの商品コードが一致する場合、レジ端末３０は、販売する商品の代金を初回特別クーポンによる値引分を考慮して演算する。

【0062】

ここでレジ端末３０において値引額を演算する方法は特に限定されるものではなく、初回特別クーポンに表示された二次元コード等に値引額や値引率などの値引条件に関する情報を埋め込んでおき、これを読み取ることとしてもよいし、あらかじめクーポン照合部３２に値引条件を設定しておくこととしてもよい。初回特別クーポンには使用期限を設定してもよく、二次元コード等から読み取られた使用期限を経過している場合は値引きが適用されず、通常の価格で販売されることになる。

【0063】

初回特別クーポンを反映した代金が決定され、レジ担当者が顧客から代金を受け取ると、ＰＯＳデータ送信部３１が起動され、図６に示したように、商品から読み取った商品コード、ポイントカード等の会員カードから読み取った顧客コード、社員証等の社員カードから読み取ったレジ担当者を識別する担当者コード、その他に代金を受け付けた日時（購買日時）や受け付けた金額等を含むＰＯＳデータ（購買情報）が、レジ端末３０から販売データ管理サーバ１０にネットワーク経由で送信される。

【0064】

尚、ＰＯＳデータ（購買情報）には、上記のとおりレジ担当者を識別する担当者コードが含まれるのが一般的であるが、本発明では、販売データ管理サーバ１０でレジ担当者を識別することは必ずしも必要ではないので、ここで販売データ管理サーバ１０に送信するデータに担当者コードを含むことは必須の要件ではない。

【0065】

また、値引きの可否を判断するための商品コードの照合はレジ端末３０で行うこととして説明したが、商品コードの照合は販売データ管理サーバ１０側で実行することとしてもよく、その場合は販売データ管理サーバ１０に送信されるＰＯＳデータ（購買情報）には、商品から読み取った商品コードと初回特別クーポンから読み取った商品コードの両方が含まれ、クーポン照合部３２に対応する機能は、販売データ管理サーバ１０に備えられることになる。

【0066】

ところで、商品から読み取った商品コードと初回特別クーポンから読み取った商品コードが一致しなかった場合や、顧客が初回特別クーポンを紛失等によって提示できない場合であっても、値引きが行えなくなるだけで、商品の販売自体は可能である。商品が販売された場合は上記と同様に、顧客がレジ端末３０で商品を購買すると、ＰＯＳデータ送信部３１が起動され、商品から読み取った商品コード、ポイントカード等の会員カードから読み取った顧客コード、社員証等の社員カードから読み取ったレジ担当者を識別する担当者コード、その他に代金を受け付けた日時（購買日時）や受け付けた金額等を含むＰＯＳデータ（購買情報）が、レジ端末３０から販売データ管理サーバ１０にネットワーク経由で送信される。

【0067】

レジ端末３０からネットワーク経由でＰＯＳデータ（購買情報）を受信した販売データ管理サーバ１０では、購買履歴書込部１５が起動されて、受信したＰＯＳデータ（購買情報）から生成された購買履歴が購買履歴データベース１１に書き込まれる。ここで購買履歴データベース１１に格納される購買履歴は一般的なＰＯＳシステムで用いられるものと異なるものではなく、そのデータ形式は特に限定されるものではないが、レジ端末３０から受信した商品コードと顧客コードを含むものであることが必要である。

【0068】

続いて、本発明にかかる販売データ管理サーバによる推奨販売実績の確認時における処理の流れを、図７〜図８と、図１０のフローチャートを用いて説明する。

【0069】

販売データ管理サーバ１０では、推奨販売品の推奨時から推奨履歴データベース１２に保留状態で仮登録されている推奨履歴について、推奨した商品が実際に顧客に購買されたかどうか、推奨販売の実績を確認するために、推奨履歴確認部１６が所定のタイミングで起動される。

【0070】

ここで推奨履歴確認部１６が起動されるタイミングは特に限定されるものではなく、一日に一度、一週間に一度のように定期的に起動されることとしてもよいし、レジ端末３０からＰＯＳデータ（購買情報）を受信して購買履歴を書き込む毎に起動、あるいは、販売データの管理者が入出力装置１８を操作して、手動で起動することとしてもよい。

【0071】

推奨履歴確認部１６によって実行される処理フローは、図１０のフローチャートに示したとおりである。購買履歴データベース１１から直近の購買履歴、すなわち、前回推奨履歴確認部１６が起動されて以降、購買履歴データベース１１に書き込まれた購買履歴を読み出して（Ｓ１１）、図７に示したように、各々の購買履歴に含まれる商品コードと顧客コードの組合せをキーに、推奨履歴データベース１２を検索する（Ｓ１２）。

【0072】

推奨履歴データベース１２に商品コードと顧客コードの組合せが一致する推奨履歴が存在する場合には、その推奨履歴が保留中のステータスにあるかどうかを確認し（Ｓ１３）、保留中のステータスにある場合は、そのステータスを有効な状態に更新する（Ｓ１４）。

【0073】

ここで保留中のステータスを有効化する方法は特に限定されるものではないが、先に例示したように、初回購買日等のフィールドをブランクにすることによって、推奨履歴を保留中のステータスとして扱っているケースであれば、図８に示したように、購買履歴に記録されている購買日時から特定される購買日をこのフィールドに初回購買日として書き込むことによって、推奨履歴を有効化することができる。

【0074】

上記の例では、「初回購買日」を書き込みこととしたが、ここに記録される初回の購買時点を特定する単位は「日」に限られるものではなく、週単位や時間単位で初回の購買時点を特定することとしてもよい。また、有効であることを示すフラグを立てるなど、他の方法によって推奨履歴を有効化こととしてもよい。

【0075】

検索した購買履歴の商品コードと顧客コードの組合せに一致する推奨履歴が推奨履歴データベース１２に存在しない場合、又は、存在しても保留中ではなく有効なステータスにある場合には、直近の購買履歴として他の購買履歴が存在すれば同様の処理を繰り返し（Ｓ１５）、存在しなければ推奨販売実績の確認処理を終了する。推奨履歴確認部１６がＰＯＳデータ（購買情報）を受信して購買履歴を書き込む毎に起動される場合には、他の購買履歴は存在しないので、ここで処理は終了することになる。

【0076】

以上に説明したように、購買履歴データベース１１に購買履歴が格納されるとともに、推奨履歴データベース１２には販売推奨者による推奨販売品の推奨履歴が記録されることになるので、商品の購買履歴に対して推奨履歴を参照すれば、顧客にその商品を最初に推奨した販売推奨者を特定することが可能になる。すなわち、販売データの管理者が入出力装置１８を操作して推奨実績分析部１７を起動すれば、購買履歴データベース１１と推奨履歴データベース１２を検索して、販売推奨者による推奨販売の実績を分析することができる。

【0077】

図１１はその一例を示したものであるが、推奨履歴データベース１２に有効なステータスで格納されている推奨履歴に対して、その後にその推奨販売品が継続的な購買に結びついたかを把握したい場合には、推奨履歴に記録された顧客コードと商品コードの組合せをキーに購買履歴データベース１１を検索すると、対応する購買履歴から、推奨販売がその後にどの程度継続的な購買に結びついたかを把握することが可能になる。

【0078】

その逆に、顧客が継続的に購買している推奨販売品について、その商品を推奨した販売推奨者を特定したい場合には、ある顧客が継続的に購買している推奨販売品の購買履歴に対して、その顧客の顧客コードと推奨販売品の商品コードの組合せをキーに推奨履歴データベース１２を検索すると、該当した推奨履歴に記録されている推奨者コードから、最初にその顧客にその推奨販売品を推奨した販売推奨者を特定することが可能である。

【0079】

このようにして、本発明によると、販売推奨者毎の推奨販売の実績を適切に把握することが可能になるが、検索のキーとして用いるのは顧客の顧客コードと推奨販売品の商品コードの組合せに限定されるものではなく、その一方のみを用いることによって、商品を限定せずに顧客の顧客コードから特定の顧客に対する販売実績を集計したり、顧客を限定せずに推奨販売品の商品コードから特定の商品の販売実績を集計したりすることも可能である。

【符号の説明】

【0080】

１０ 販売データ管理サーバ
１１ 購買履歴データベース
１２ 推奨履歴データベース
１３ クーポン発行部
１４ 推奨履歴書込部
１５ 購買履歴書込部
１６ 推奨履歴確認部
１７ 推奨実績分析部
１８ 入出力装置
２０ 店内端末
２１ 通信制御部
２２ クーポン出力部
３０ レジ端末
３１ ＰＯＳデータ送信部
３２ クーポン照合部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】