特許第5904590号(P5904590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5904590結晶質半導体の製造方法および結晶質半導体の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904590
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】結晶質半導体の製造方法および結晶質半導体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20160331BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20160331BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01L21/268 J
   H01L21/20
   H01L21/268 T
   B23K26/00 N
   B23K26/00 H
   B23K26/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-223680(P2012-223680)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-75562(P2014-75562A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】鄭 石煥
(72)【発明者】
【氏名】次田 純一
(72)【発明者】
【氏名】町田 政志
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−338892(JP,A)
【文献】 特開2003−109912(JP,A)
【文献】 特開2011−238804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
B23K 26/00
H01L 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる経路で導波される複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に照射して前記非晶質半導体を結晶化する結晶質半導体の製造方法であって、
前記複数のパルスレーザ光は、前記非晶質半導体上に同じエネルギー密度で照射され、時間的強度変化において1パルスに、少なくとも、1番目のピーク群と、その後に現れる2番目のピーク群とを有し、かつ前記1番目のピーク群における最大ピーク強度が前記1パルスにおける最大高さになっており、
前記1番目のピーク群の前記最大ピーク強度aと、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度bとの比b/aを最大ピーク強度比とし、予め定めた基準となる前記最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比として、前記複数のパルスレーザ光の前記最大ピーク強度比が、前記基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差になり、かつ
前記複数のパルスレーザ光は、各パルスレーザ光のいずれの間においても、一方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比を基準として、他方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比が前記基準に対し、4%以下の差になっていることを特徴とする結晶質半導体の製造方法。
【請求項2】
前記複数のパルスレーザ光が、前記非晶質半導体上で、互いに異なるパルス発生タイミングで照射されることを特徴とする請求項1記載の結晶質半導体の製造方法。
【請求項3】
前記複数のパルスレーザ光が、複数のレーザ光源から出力されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶質半導体の製造方法。
【請求項4】
前記複数のパルスレーザ光における前記最大ピーク強度比は、予め設定された所定範囲内にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の結晶質半導体の製造方法。
【請求項5】
前記非晶質半導体が、基板上に形成されたアモルファスシリコン薄膜であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の結晶質半導体の製造方法。
【請求項6】
1つまたは2つ以上のレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力され、時間的強度変化において1パルスに、少なくとも、1番目のピーク群と、その後に現れる2番目のピーク群とを有し、前記1番目のピーク群における最大ピーク強度が前記1パルスにおける最大高さであり、異なる経路で導波される複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に導く光学系と、を有し、
前記複数のパルスレーザ光は、前記非晶質半導体上に同じエネルギー密度で照射され、それぞれのパルスレーザ光で前記1番目のピーク群の前記最大ピーク強度aと、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度bとの比b/aを最大ピーク強度比とし予め定めた基準となる前記最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比として、前記最大ピーク強度比が、前記基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差になり、かつ前記複数のパルスレーザ光は、各パルスレーザ光のいずれの間においても、一方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比を基準として、他方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比が前記基準に対し、4%以下の差になるように設定されていることを特徴とする結晶質半導体の製造装置。
【請求項7】
前記複数のパルスレーザ光が、異なるパルス発生タイミングを有して前記非晶質半導体に照射されるものであることを特徴とする請求項記載の結晶質半導体の製造装置。
【請求項8】
前記異なるパルス発生タイミングは、前記レーザ光源または/および前記光学系で与えられていることを特徴とする請求項6または7に記載の結晶質半導体の製造装置。
【請求項9】
前記レーザ光源から出力される前記最大ピーク強度比を調整するピーク強度比調整部を備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の結晶質半導体の製造装置。
【請求項10】
前記複数のパルスレーザ光を同じエネルギー密度で前記非晶質半導体に照射するため前記エネルギー密度を設定するエネルギー密度設定部を備えることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の結晶質半導体の製造装置。
【請求項11】
前記複数のパルスレーザ光を前記非晶質半導体に対し相対的に走査して照射する走査装置を有することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の結晶質半導体の製造装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスレーザ光を非晶質半導体に照射し結晶化して結晶質半導体を得る、結晶質半導体の製造方法および結晶質半導体の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイの画素スイッチや駆動回路に用いられる薄膜トランジスタでは、低温プロセスの製造方法の一環として、レーザ光を用いて結晶質半導体を得る工程が含まれている。この工程は、基板上に成膜された非単結晶半導体膜にレーザ光を照射して局部的に加熱し、その冷却過程で半導体薄膜を多結晶あるいは単結晶に結晶化するものである。結晶化した半導体薄膜は、キャリアの移動度が高くなるため薄膜トランジスタを高性能化することができる。
上記レーザ光の照射においては、半導体薄膜で均質な処理が行われる必要があり、一般に、非晶質膜に照射されるパルスレーザ光のエネルギー密度を一定にする制御がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、パルスレーザ光の最大ピーク高さを一定に維持することで、良質な結晶化を可能にするレーザ照射装置が提案されている。
また、特許文献2では、レーザ光源から出力された複数のレーザビームを結合して束ねる方法で、複数のレーザビームの動作タイミングを制御してパルス波形を作製するレーザ照射装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3293136号公報
【特許文献2】特開2002−176006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記パルスレーザ光源としてエキシマガスなどのガスを利用するものでは、放電方式によりレーザ光を発振させている。その際に、1回目の高電圧による放電後、残留電圧により複数の放電が発生し、その結果、複数のピーク群を有するレーザ光が発生する。このようなパルスレーザ光源から出力される複数のパルスレーザ光を使用する場合、ピーク形状の差異により、同一のエネルギー密度でパルスレーザ光を被照射物に照射した場合であっても、レーザ光照射による結果が異なることがある。
【0006】
また、従来のレーザ照射装置は、一般的に、レーザ光の出力をエネルギーモニターで制御する構成になっており、レーザ光のエネルギー密度を同一に維持して動作させることができる。しかし、パルスレーザ光源では、エネルギー密度を一定に維持しても、ガス混合比の変化などによって経時的にピーク形状が変化する。このため、レーザ光の照射により非晶質半導体を結晶化する場合、結晶化作用が変化し、良質で同等の結晶が得られにくくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、非晶質半導体をより均一に結晶化することができる結晶質半導体の製造方法および結晶質半導体の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の結晶質半導体の製造方法のうち、第1の本発明は、異なる経路で導波される複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に照射して前記非晶質半導体を結晶化する結晶質半導体の製造方法であって、
前記複数のパルスレーザ光は、前記非晶質半導体上に同じエネルギー密度で照射され、時間的強度変化において1パルスに、少なくとも、1番目のピーク群と、その後に現れる2番目のピーク群とを有し、かつ前記1番目のピーク群における最大ピーク強度が前記1パルスにおける最大高さになっており、
前記1番目のピーク群の前記最大ピーク強度aと、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度bとの比b/aを最大ピーク強度比とし、予め定めた基準となる前記最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比として、前記複数のパルスレーザ光の前記最大ピーク強度比が、前記基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差になり、かつ
前記複数のパルスレーザ光は、各パルスレーザ光のいずれの間においても、一方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比を基準として、他方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比が前記基準に対し、4%以下の差になっていることを特徴とす
【0009】
第2の本発明の結晶質半導体の製造方法は、前記第1の本発明において、前記複数のパルスレーザ光が、前記非晶質半導体上で、互いに異なるパルス発生タイミングで照射されることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の結晶質半導体の製造方法は、前記第1または第2の本発明において、前記複数のパルスレーザ光が、複数のレーザ光源から出力されたものであることを特徴とする。
【0012】
の本発明の結晶質半導体の製造方法は、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、 前記複数のパルスレーザ光における前記最大ピーク強度比は、予め設定された所定範囲内にあることを特徴とする。
【0015】
の本発明の結晶質半導体の製造方法は、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記非晶質半導体が、基板上に形成されたアモルファスシリコン薄膜であることを特徴とする。
【0016】
の本発明の結晶質半導体の製造装置は、1つまたは2つ以上のレーザ光源と、前記レーザ光源から出力され、時間的強度変化において1パルスに、少なくとも、1番目のピーク群と、その後に現れる2番目のピーク群とを有し、前記1番目のピーク群における最大ピーク強度が前記1パルスにおける最大高さであり、異なる経路で導波される複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に導く光学系と、を有し、前記複数のパルスレーザ光は、前記非晶質半導体上に同じエネルギー密度で照射され、それぞれのパルスレーザ光で前記1番目のピーク群の前記最大ピーク強度aと、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度bとの比b/aを最大ピーク強度比を最大ピーク強度比として、予め定めた基準となる前記最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比とし、前記最大ピーク強度比が、前記基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差になり、かつ前記複数のパルスレーザ光は、各パルスレーザ光のいずれの間においても、一方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比を基準として、他方の前記パルスレーザ光の最大ピーク強度比が前記基準に対し、4%以下の差になるように設定されていることを特徴とする。
【0017】
の本発明の結晶質半導体の製造装置は、前記第の本発明において、前記複数のパルスレーザ光が、異なるパルス発生タイミングを有して前記非晶質半導体に照射されるものであることを特徴とする。
【0018】
の本発明の結晶質半導体の製造装置は、前記第6または第7の本発明において、前記異なるパルス発生タイミングは、前記レーザ光源または/および前記光学系で与えられていることを特徴とする。
【0019】
の本発明の結晶質半導体の製造装置は、前記第6〜第8の本発明のいずれかにおいて、前記レーザ光源から出力される前記最大ピーク強度比を調整するピーク強度比調整部を備えることを特徴とする。
【0020】
10の本発明の結晶質半導体の製造装置は、前記第6〜第9の本発明のいずれかにおいて、前記複数のパルスレーザ光を同じエネルギー密度で前記非晶質半導体に照射するため前記エネルギー密度を設定するエネルギー密度設定部を備えることを特徴とする。
【0021】
11の本発明の結晶質半導体の製造装置は、前記第6〜第10の本発明のいずれかにおいて、前記複数のパルスレーザ光を前記非晶質半導体に対し相対的に走査して照射する走査装置を有することを特徴とする。
【0022】
本発明では、異なる経路を導波される複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に照射して前記非晶質半導体を結晶化する際に、各パルスレーザ光が、時間的強度変化において1パルスに、1番目のピーク群と、その後に現れる2番目のピーク群とを含む複数のピーク群を有し、1番目のピーク群における最大ピーク強度が1パルスにおける最大高さになっている。なお、本発明としては、1パルスにピーク群が3つ以上現れるものであってもよい。
【0023】
パルスレーザ光におけるピーク群とは、1パルス中で時間的に近接して現れる1つまたは複数のピークがまとまったものであって、一パルスには、少なくとも二つのピーク群が現れる。ピーク群間には、エネルギー強度の極小値が存在する。
【0024】
複数のパルスレーザ光は、複数のレーザ光源から出力されたものでも、1つのレーザ光源から出力されて分波されたものでもよく、また、これらが組み合わされたものであってもよい。複数のパルスレーザ光が導波される経路は、光源、光学系を含めて少なくとも一部が異なっていればよく、共通経路を有することは除外されない。
【0025】
2nd/1st最大ピーク強度比が異なると、非晶質半導体の結晶化に最適な照射エネルギー密度が異なることは本願発明者らの研究により明らかにされている。
図6図8は、2nd/1st最大ピーク強度比が18.2%、23.0%、および26.2%である場合のそれぞれについて、異なるエネルギー密度のパルスレーザ光の照射によりアモルファスシリコン薄膜を結晶化して得られた多結晶シリコン薄膜のムラモニターの写真(コントラストの強調処理)を示している。これらから最適とするエネルギー密度がずれていることを確認できる。
【0026】
図6に示すように、2nd/1st最大ピーク強度比が18.2%である場合、照射エネルギー密度430mJ/cm、440mJ/cm、および450mJ/cmのうち、440mJ/cmで最もムラが少ない多結晶シリコン薄膜表面が得られ、440mJ/cmが最適な照射エネルギー密度であることが分かる。
また、図7に示すように、2nd/1st最大ピーク強度比が23.0%である場合、照射エネルギー密度440mJ/cm、450mJ/cm、および460mJ/cmのうち、450mJ/cmで最もムラが少ない多結晶シリコン薄膜表面が得られ、450mJ/cmが最適な照射エネルギー密度であることが分かる。
さらに、図8に示すように、2nd/1st最大ピーク強度比が26.2%である場合、照射エネルギー密度450mJ/cm、460mJ/cm、および470mJ/cmのうち、460mJ/cmで最もムラが少ない多結晶シリコン薄膜表面が得られ、460mJ/cmが最適な照射エネルギー密度であることが分かる。
【0027】
なお、結晶シリコン膜の照射ムラ評価は以下の方法によって行った。
結晶シリコン膜に検査光をそれぞれの例で5地点に照射し、それぞれ反射光を受光してカラー画像を取得し、カラー画像の色成分を検出し、検出された色成分に基づいてカラー画像をモノクロ化した。次いで、モノクロ化された画像のデータをコンボリューションして画像濃淡を強調した画像データを取得し、表面ムラを評価した。
モノクロ化は、検出がされた色成分のうち、主となる色成分を用いて行うことができ、主となる色成分は、光分布が他の色成分よりも相対的に大きい色成分とすることができる。
モノクロ化した画像データは、レーザのビーム方向を行、レーザの走査方向を列とする行列データで示し、コンボリューションでは、所定係数の行列をモノクロ化された画像のデータの行列に掛け合わせることによって行った。
所定係数の行列は、ビーム方向を強調するものと、スキャン方向を強調するものとをそれぞれ用いてビーム方向の画像濃淡を強調した画像データとスキャン方向の画像濃淡を強調した画像データとをそれぞれムラモニターとして取得した。
具体的には、以下のコンボリューションを行った。なお、所定係数の行列が下記に限定されるものではない。
【0028】
【数1】
【0029】
図9に示すグラフは、上記のようにして得られた最適なエネルギー密度と2nd/1st最大ピーク強度比とを対応付けて示したものである。なお、グラフには、上記で説明した測定結果以外も図示されている。図9に示すグラフから明らかなように、2nd/1st最大ピーク強度比が増加するに従って、結晶化に最適な照射エネルギー密度も増加することが分かる。
【0030】
上述のように、2nd/1st最大ピーク強度比が異なれば、非晶質半導体の結晶化に最適な照射エネルギー密度も異なってくる。
そこで、本発明では、前記1番目のピーク群の前記最大ピーク強度aと、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度bとの比b/aを最大ピーク強度比とし、基準となる前記最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比として、前記複数のパルスレーザ光の前記最大ピーク強度比が、前記基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差になるようにしている。
【0031】
前記最大ピーク強度比は、レーザ光源から出力された後に調整することは難しく、通常は、レーザ光源の出力時に設定される。最大ピーク強度比の設定は、レーザ光源の出力調整、出力回路の設定、媒質であるガスの混合比の調整などにより行うことができる。
【0032】
また、基準最大ピーク強度比は、複数のパルスレーザ光のうちのいずれか一のパルスレーザ光における初期の最大ピーク強度比を使用したり、実験的に予め定めておいたりすることができる。また、直前の照射におけるパルスレーザ光の最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比に設定してもよい。さらには、複数の任意のパルスレーザ光間で、一方のパルスレーザ光の最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比として、この基準最大ピーク強度比に対し他方のパルスレーザ光における最大ピーク強度比が4%以下の差になるようにしてもよい。
【0033】
上記のように、最大ピーク強度比を、基準最大ピーク強度比に対し、差が4%以下になるようにするのは、次の理由による、
図10に示すように、エネルギー密度は、一パルスにおいて、第1ピーク群におけるエネルギー強度の時間積分と第2ピーク群におけるエネルギー強度の時間積分の和によって示すことができる。また、同一基板上では、非晶質半導体の結晶化に最適となるエネルギー密度は一定である。その最適エネルギー密度は、レーザパルス波形、具体的には最大ピーク強度比に影響されている。パルス波形の面積は、エネルギー密度を意味する。最適エネルギー密度は、通常のアモルファスシリコン薄膜において、10mJ/cm程度の許容幅(OED範囲:最適エネルギー密度範囲)を有する。この許容幅内であれば、レーザ処理による結晶化は同等に行われる。その許容幅を満たすため、最大ピーク強度比の差は4%以内とすることが必要になる。そのため、上記差を4%以下とした。
【0034】
例えば、ピーク強度の単位を任意単位として、2nd/1st最大ピーク強度比が18.2%である場合、1番目のピーク群における最大ピーク強度が相対数値で100、2番目のピーク群における最大ピーク強度が同じく18.2であると、最適エネルギー密度は439.5mJ/cmとなる。2nd/1st最大ピーク強度比が23.1%である場合、1番目のピーク群における最大ピーク強度が相対数値で93、2番目のピーク群における最大ピーク強度が21.5であると、最適エネルギー密度は451.3mJ/cmとなる。2nd/1st最大ピーク強度比が26.2%である場合、1番目のピーク群における最大ピーク強度が相対数値で89、2番目のピーク群における最大ピーク強度が23.5であると、最適エネルギー密度は459.2mJ/cmとなる。
これらの関係から最小二乗法による一次回帰を行うと、図9に示す線形Aが得られる。この線形Aに基づくと、例えば、2nd/1st最大ピーク強度比が22.4%である場合を見ると、最適エネルギー密度の幅(10mJ/cm)は、455mJ/cm〜445mJ/cmの範囲内にある。最適エネルギー密度445mJ/cmに対応する2nd/1st最大ピーク強度比は20.44%で、最適エネルギー密度455mJ/cmに対応する2nd/1st最大ピーク強度比が24.49%である。この幅を最大ピーク強度比の差で表すと、24.49%−20.44%=4.05%となる。したがって、最大ピーク強度比の差を4%以下にすれば、最適エネルギー密度における許容範囲内に収めることができる。
【0035】
また、複数のパルスレーザ光は、互いに異なるパルス発生タイミングで非晶質半導体に照射され、単位時間当たりに非晶質半導体に照射されるパルス数を増加させることができ、また、擬似的にパルス幅を大きくすることができる。
互いに異なるパルス発生タイミングは、レーザ光源での出力時に得られていてもよく、また、経路途中で位相差が与えられて得られるものであってもよい。分波により位相差を与えることができるが、パルスレーザ光の分波もその手段が特に限定されるものではなく、ビームスプリッタなどを適宜用いることができる。
異なるパルス発生タイミングで非晶質半導体でパルスレーザ光が照射される際に、パルスが互いに重ならないようにしてもよく、また、パルスの一部が重なるようにしてもよい。
【0036】
また、パルスレーザ光の経路には、パルスレーザ光の透過率を調整可能な可変減衰器を設けることができる。可変減衰器により、パルスレーザ光を所望のエネルギー密度で非晶質半導体に照射することができ、さらに、共通するエネルギー密度で複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に照射することができる。
なお、パルスレーザ光のエネルギー密度は、パルスレーザ光源の出力の制御と、上記可変減衰器の一方または両方により行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
以上のとおり、本発明によれば、異なる経路で導波される複数のパルスレーザ光を非晶質半導体に照射して前記非晶質半導体を結晶化する結晶質半導体の製造方法であって、
前記複数のパルスレーザ光は、時間的強度変化において1パルスに、少なくとも、1番目のピーク群と、その後に現れる2番目のピーク群とを有し、かつ前記1番目のピーク群における最大ピーク強度が前記1パルスにおける最大高さになっており、
前記1番目のピーク群の前記最大ピーク強度aと、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度bとの比b/aを最大ピーク強度比とし、基準となる前記最大ピーク強度比を基準最大ピーク強度比として、前記複数のパルスレーザ光の前記最大ピーク強度比が、前記基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差になるようにするので、非晶質半導体をより均一に結晶化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態のレーザアニール装置を示す概略図である。
図2】同じく、パルスレーザ光の計測構成を示す概略図である。
図3】同じく、パルスレーザ光におけるパルス波形の例を示す図である。
図4】同じく、2台のパルスレーザ光源から出力されるパルスレーザ光の最大ピーク強度比を説明する図である。
図5】同じく、2台のパルスレーザ光源から出力されるパルスレーザ光の重ね合わせを説明する図である。
図6】同じく、最大ピーク強度比18.2%でエネルギー密度を変えたパルスレーザ光の照射によりアモルファスシリコン薄膜を結晶化して得られた多結晶シリコン薄膜のムラモニターによる図面代用写真である。
図7】同じく、最大ピーク強度比23.0%でエネルギー密度を変えたパルスレーザ光の照射によりアモルファスシリコン薄膜を結晶化して得られた多結晶シリコン薄膜のムラモニターによる図面代用写真である。
図8】同じく、最大ピーク強度比26.2%でエネルギー密度を変えたパルスレーザ光の照射によりアモルファスシリコン薄膜を結晶化して得られた多結晶シリコン薄膜のムラモニターによる図面代用写真である。
図9】同じく、パルスレーザ光における1番目のピーク群における最大ピーク強度に対する2番目のピーク群における最大ピーク強度の比と、結晶化に最適な照射エネルギー密度との関係を示す図である。
図10】同じく、基準パルスレーザ光以外の他のパルスレーザ光の最大ピーク強度比を、基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差に設定する理由を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
まず、本実施形態の結晶質半導体の製造装置について図1および図2を用いて説明する。
図1に示すように、結晶質半導体の製造装置に相当するレーザアニール装置1は、パルスレーザ光を出力する2台のパルスレーザ光源2、3を有している。
パルスレーザ光源2、3は、それぞれ例えば、エキシマレーザ発振光源であり、波長308nm、パルス周波数1〜600Hzのパルスレーザ光を出力するものである。
【0040】
パルスレーザ光源2の出力側には、パルスレーザ光源2から出力されるパルスレーザ光の減衰率を調整可能な可変減衰器4が配置されている。また、パルスレーザ光源3の出力側には、パルスレーザ光源3から出力されるパルスレーザ光の減衰率を調整可能な可変減衰器5が配置されている。
【0041】
可変減衰器4の出力側には、可変減衰器4から出力されるパルスレーザ光の一部を計測用に透過し、残部を処理用に反射するハーフミラー6が配置されている。
ハーフミラー6の透過側には、図2に示すように、パルスレーザ光の波形を計測する計測器7の受光部7aが配置可能になっている。計測器7には、制御部8が電気的に接続されており、計測器7の計測結果が制御部8に出力される。
【0042】
可変減衰器5の出力側には、ハーフミラー6で反射されたパルスレーザ光を一面側で光学系12側に反射し、可変減衰器5から出力されるパルスレーザ光を他面側で反射するミラー9が配置されている。
ミラー9の前記他面反射側には、ハーフミラー10が配置されており、ミラー9で反射されたパルスレーザ光の一部を計測用に透過し、残部を処理用に光学系12側に反射する。
【0043】
ハーフミラー10の透過側には、図2に示すように、パルスレーザ光の波形を計測する計測器11の受光部11aが配置可能になっている。計測器11には、制御部8が電気的に接続されており、計測器11の計測結果が制御部8に出力される。
【0044】
光学系12は、ミラー9の一方の反射面で反射されたパルスレーザ光と、ハーフミラー10で反射されたパルスレーザ光との2つのパルスレーザ光を導波し、ビーム形状の整形などを行って同一経路に出射するように構成されている。光学系12は、例えば、ミラー、レンズ、ホモジナイザなどにより構成される。
光学系の構成は、本発明としては特に限定されるものではなく、パルスレーザ光の数に応じて複数設けることもできる。
【0045】
また、制御部8には、パルスレーザ光源2、3、および可変減衰器4、5が、制御可能に接続されており、制御部8は、パルスレーザ光源2、3の出力調整や、パルス開始タイミングの設定、可変減衰器4、5での減衰率の制御など、レーザアニール装置1全体の制御を行う。
制御部8は、CPUとこれを動作させるプログラム、該プログラムなどを格納するROM、作業領域となるRAM、データを不揮発に保持するフラッシュメモリなどを備えたものとすることができる。
制御部8は、パルスレーザ光源2、3の出力調整により、パルスレーザ光における最大ピーク強度比の調整を行うことができる。また、制御部8の制御によりパルスレーザ光源2、3のガス混合比を調整し、結果としてパルスレーザ光における最大ピーク強度比の調整を行うようにしてもよい。これら制御において、制御部8はピーク強度比調整部に相当する。
【0046】
また、パルスレーザ光の非晶質半導体上のエネルギー密度は、制御部8によるパルスレーザ光源2、3での出力調整や可変減衰器4、5での減衰率調整により、設定することができる。すなわち、制御部8および可変減衰器4、5は、エネルギー密度設定部に相当する。
【0047】
光学系12の出射側には、複数からなるパルスレーザ光の一部を計測用に透過し、残部を処理用に反射するハーフミラー13が配置されている。
ハーフミラー13の透過側には、各パルスレーザ光のエネルギー密度を測定する計測器14の受光部14aが配置されている。計測器14には、制御部8が電気的に接続されており、計測器14の計測結果が制御部8に出力される。
【0048】
ハーフミラー13の反射側には、非晶質半導体膜15aが形成された基板15を保持するステージ16が配置されている。基板15は、例えばガラス基板であり、非晶質半導体膜15aは、例えばアモルファスシリコン薄膜である。
【0049】
ステージ16は、ステージ16の面方向(XY方向)に沿って移動可能になっている。ステージ16には、前記面方向に沿ってステージ16を高速移動させる移動装置17が備えられている。
【0050】
次に、レーザアニール装置1を用いた、非晶質半導体膜15aを原料とする半導体製造方法について説明する。
ステージ16上には、結晶化すべき非結晶質半導体15aが上層に形成された基板15を載置し保持する。
本発明では、非晶質半導体として、基板上に形成されたアモルファスシリコン薄膜が好適に使用される。アモルファスシリコン薄膜を結晶化することにより、多結晶シリコン薄膜を得ることができる。アモルファスシリコン薄膜は、通常は45〜55nmの厚さに形成されているが、本発明としてはその厚さが特に限定されるものではない。
なお、基板には通常はガラス基板が用いられるが、本発明としては基板の材質が特に限定されるものではなく、その他の材質であってもよい。
【0051】
次に、制御部8によりパルスレーザ光源2、3をそれぞれ制御して、パルスレーザ光源2、3からそれぞれパルスレーザ光を出力する。各パルスレーザ光は、同一の波長、同一の繰り返し周波数を有し、パルス開始タイミングが異なって、非晶質半導体膜上で位相差を有するようにする。各パルスレーザ光におけるパルス開始タイミングの設定により、異なるパルスレーザ光間で、繰り返し周波数に対し位相差を有するように、互いに異なるパルス発生タイミングでそれぞれパルスレーザ光を出力し、非晶質半導体膜15aに照射する。
【0052】
エキシマレーザ発振器などのパルスレーザ光源2、3から出力されるパルスレーザ光は、図3に示すように、時間的変化において1パルスに、1番目のピーク群P1と、その後に現れる2番目のピーク群P2とを有している。また、1番目のピーク群P1における最大ピーク強度aは、2番目のピーク群P2における最大ピーク強度bよりも大きく、最大ピーク強度aが1パルスにおける最大高さになっている。
【0053】
図3では、同一のエキシマレーザ発振器を用い、その出力エネルギーを850mJ、950mJ、および1050mJにそれぞれ設定した場合のパルス波形を示している。最大ピーク強度比b/a(以後、適宜「2nd/1st最大ピーク強度比」と称する)は、出力エネルギーが高いほど大きくなっており、出力エネルギーが小さいほど小さくなる。
【0054】
パルスレーザ光源2、3から出力されたパルスレーザ光は、それぞれ可変減衰器4、5に至り、これを通過することで所定の減衰率で減衰される。減衰率は、制御部8により制御され、非晶質半導体膜15a上で、パルスレーザ光源2、3から出力されたパルスレーザ光がそれぞれ同一のエネルギー密度となるように調整される。
可変減衰器4により減衰されて出力されたパルスレーザ光は、ハーフミラー6で一部が透過し、残部が反射される。ハーフミラー6を透過したパルスレーザ光は、受光部7aで受光され、計測器7によりパルス波形が計測される。計測器7によるパルス波形の計測結果は、制御部8に送信される。
ハーフミラー6で反射されたパルスレーザ光の残部は、全反射ミラー9の一方の反射面で反射されて光学系12に導入される。
【0055】
可変減衰器5により減衰されて出力されたパルスレーザ光は、ミラー9の他方の反射面で反射されてハーフミラー10に入射される。ハーフミラー10に入射したパルスレーザ光は、ハーフミラー10で一部が透過されて受光部11aで受光され、残部が反射して光学系12に入射される。受光部11aで受光されたパルスレーザ光は計測器11によりパルス波形が計測される。計測器11によるパルス波形の計測結果は、制御部8に送信される。
【0056】
制御部8では、計測器7、11によって得られたパルス波形の計測結果に基づいて、1番目のピーク群の前記最大ピーク強度と、前記2番目のピーク群の最大ピーク強度との比を最大ピーク強度比として算出する。
具体的には、図4に示すように、パルスレーザ光源2から出力されたパルスレーザ光に関しては、2nd/1st最大ピーク強度比R1は、1番目のピーク群における最大ピーク強度a1に対する2番目のピーク群における最大ピーク強度b1の比b1/a1で表される。また、他方のパルスレーザ光源3から出力されるパルスレーザ光の2nd/1st最大ピーク強度比R2は、1番目のピーク群における最大ピーク強度a2に対する2番目のピーク群における最大ピーク強度b2の比b2/a2で表される。
この実施形態では、最大ピーク強度比R1の初期値を基準最大ピーク強度比R0として、その後の最大ピーク強度比R1および最大ピーク強度比R2が、基準最大ピーク強度比R0に対し、4%以下の差になるように制御する。
【0057】
制御方法としては、パルスレーザ光源2、3の出力を調整することで、最大ピーク強度比が変動を4%以下に調整することができる。パルスレーザ光の出力変化が最大ピーク強度比として現れることは図3に示すように明らかである。
パルスレーザ光源2、3の出力調整によるエネルギー密度の変動は、可変減衰器4、5の減衰率を調整することで相殺する。可変減衰器4、5での減衰率の調整は、最大ピーク強度比に影響を殆ど与えないため、エネルギー密度の調整のみを目的にして減衰率を調整することができる。
【0058】
最大ピーク強度比が基準最大ピーク強度比に対し4%以下の差に収まっている各パルスレーザ光は、光学系12で所望による整形がなされつつ導波がなされ、同一光路上に出射される。光学系12を出射された複数のパルスレーザ光は、ハーフミラー13で一部が透過して受光部14aで受光され、残部がハーフミラー13で反射されて非晶質半導体膜15aに照射される。非晶質半導体膜15aは、移動装置17によって移動するステージ16とともに移動することで、パルスレーザ光が相対的に走査されつつ照射される。
また、受光部14aで受光される各パルスレーザ光は、計測器14の計測結果において、各パルスレーザ光が同一のエネルギー密度となるように、可変減衰器4、5の減衰率を設定する。受光部14aにおける受光位置は、非晶質半導体膜15aへの照射面を想定する位置に設定されている。
【0059】
非晶質半導体膜15a上では、エネルギー密度が同一に設定され、かつ最大ピーク強度比が基準最大ピーク強度比に対し差が4%以下に維持されており、非晶質膜が均一かつ良好に結晶化される。上記最大ピーク強度比の調整により、異なるパルスレーザ光源2、3から出力されたパルスレーザ光の最大ピーク強度比の差を小さくでき、また、経時的な変化も小さくすることができる。
【0060】
また、パルスレーザ光源2、3は、好適には、パルスレーザ光におけるパルスが互いに重ならず、繰り返し周波数に対し所定の位相差を有するように、互いに異なるパルス発生タイミングでそれぞれパルスレーザ光を出力する。
具体的には、例えば、図5に示すように、パルスレーザ光源2、3がともにパルス周波数600Hzでパルスレーザ光を出力する場合において、パルスレーザ光源2に対して、パルスレーザ光源3は、半周期遅延したパルス発生タイミングでパルスレーザ光を出力する。これにより、非晶質半導体膜15aには、パルスレーザ光源2、3の2倍のパルス周波数1200Hzのパルスレーザ光が実質的に照射されることになる。
互いに異なるパルス発生タイミングでそれぞれパルスレーザ光を非晶質半導体に照射することで、パルス周波数を実質的に増加させることができ、高い生産性でパルスレーザ光の照射を行うことができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、2台のパルスレーザ光源2、3を使用するものについて説明したが、2台を超える複数台のパルスレーザ光源を使用することもできる。
また、上記実施形態では、ステージ16を移動させることでパルスレーザ光を相対的に走査するものとしたが、パルスレーザ光が導かれる光学系を高速に動作させることでパルスレーザ光を相対的に走査するものとしてもよい。
また、上記実施形態では、複数のパルスレーザ光で同一のエネルギー密度で非晶質半導体膜に照射されるものとして説明したが、複数のパルスレーザ光が異なるエネルギー密度で非晶質半導体に照射されるように設定されるものであってもよい。
【0062】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 レーザアニール装置
2 パルスレーザ光源
3 パルスレーザ光源
4 可変減衰器
5 可変減衰器
6 ハーフミラー
7 計測器
7a 受光部
8 制御部
9 全反射ミラー
10 ハーフミラー
11 計測器
11a 受光部
12 光学系
13 ハーフミラー
14 計測器
14a 受光部
15 基板
15a 非晶質半導体膜
16 ステージ
17 移動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図9
図10
図6
図7
図8